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特許7075419スライス装置のゲート開口部の測定および調整のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】スライス装置のゲート開口部の測定および調整のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/26 20060101AFI20220518BHJP
   B26D 3/28 20060101ALI20220518BHJP
   B26D 1/36 20060101ALI20220518BHJP
   G01B 5/14 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B26D7/26
B26D3/28 620C
B26D1/36 D
G01B5/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019566124
(86)(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2019029122
(87)【国際公開番号】W WO2019210060
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-06-02
(31)【優先権主張番号】62/662,289
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504444120
【氏名又は名称】アーシェル ラボラトリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バノウェツ,ダニエル ローレンス
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0272540(US,A1)
【文献】米国特許第03479743(US,A)
【文献】特表2003-504224(JP,A)
【文献】米国特許第06575069(US,B1)
【文献】米国特許第08336225(US,B1)
【文献】米国特許第05555787(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/26
B26D 3/28
B26D 1/36
G01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライス装置のゲート開口部を測定可能に構成されたゲージシステムであって、
該ゲージシステムは、
フレームと、
前記フレームを前記スライス装置の軸および周方向を有する環状の切断ヘッドの内面に固定するための固定手段と、
前記切断ヘッド、並びに、前記ゲート開口部を形成する前記切断ヘッドの刃部および/またはゲートに対して前記フレームを位置決めして、該ゲージシステムを前記切断ヘッドの内面において軸方向および周方向に位置合わせするための位置決め手段と、および、
前記フレームに取り付けられている、少なくとも1つの前記ゲート開口部を測定するための測定手段と、
を備え、
前記位置決め手段は、前記フレームに取り付けられ、該フレームから外方向に伸長し、前記ゲージシステムを前記切断ヘッドに対して周方向に位置合わせするためのロケーターピンと、前記フレームに取り付けられ、該フレームから外方向に伸長し、前記ゲージシステムを前記切断ヘッドに対して軸方向に位置合わせするためのハンガーとを備え、
前記測定手段は、前記フレームに対して外方向に付勢されたアンビルと、前記アンビルに取り付けられて、前記フレームに対して外方向に付勢されたインジケータ手段と、および、前記インジケータ手段に対して外方向に付勢された該インジケータ手段のプローブとを備え、前記プローブおよび前記アンビルは、前記切断ヘッドの前記刃部および前記ゲートの表面の示差測定に基づいて、前記ゲート開口部の測定を可能とするよう構成されている、
ゲージシステム。
【請求項2】
前記固定手段は、マグネットを備える、請求項1に記載のゲージシステム。
【請求項3】
前記ゲージシステムは、前記測定手段として、前記ゲート開口部の軸方向に沿った異なる位置における測定を可能とする、少なくとも2つの測定手段を備える、請求項1に記載のゲージシステム。
【請求項4】
前記スライス装置は、遠心タイプのスライス装置である、請求項1に記載のゲージシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のゲージシステムを使用する方法であって、
該方法は、
前記フレームを前記スライス装置の前記切断ヘッドの内面に固定し、および、前記切断ヘッドの前記刃部および/または前記ゲートに対して前記フレームを位置決めして、前記アンビルを前記フレームの外方向に付勢して前記刃部の径方向内向き面と係合させ、前記プローブを前記フレームの外方向に付勢して前記ゲートの径方向内向き面と係合させ、および、
前記インジゲータ手段による前記刃部および前記ゲートの径方向内向き面の示差測定に基づいて前記ゲート開口部の測定を行う、
ことを備える、ゲージシステムを使用する方法。
【請求項6】
前記フレームを、前記固定手段で前記切断ヘッドの内面に磁気的に固定させる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロケーターピンを、前記切断ヘッドにおける周方向の位置合わせの基準となる要素に係合させ、かつ、前記ハンガーを、前記切断ヘッドにおける軸方向の位置合わせの基準となる要素に係合させて、前記ゲージシステムを前記切断ヘッドに対して軸方向および周方向に関して位置決めする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記インジゲータ手段を用いた前記ゲート開口部の測定を、前記ゲート開口部の軸方向に沿った異なる位置について同時に行う、請求項に記載の方法。
【請求項9】
スライス装置の環状切断ヘッドのゲート開口部の線寸法測定を行うように構成されたゲージシステムであって、
該ゲージシステムは、
フレームと、
前記フレームを前記切断ヘッドの内面に固定するための固定手段と、
前記ゲート開口部を形成する刃部および/または前記切断ヘッドのゲートに対して前記フレームを位置決めするための位置決め手段と、および、
前記フレームに取り付けられている、前記切断ヘッドの径方向外向きの線寸法測定を行うための少なくとも1つの測定手段と、
を備え、
前記位置決め手段は、前記フレームに取り付けられ、該フレームから外方向に伸長し、前記ゲージシステムを前記切断ヘッドに対して周方向に位置合わせするためのロケーターピンと、前記フレームに取り付けられ、該フレームから外方向に伸長し、前記ゲージシステムを前記切断ヘッドに対して軸方向に位置合わせするためのハンガーとを備え、
前記測定手段は、前記フレームに対して径方向外向きに付勢されたアンビルと、前記アンビルに取り付けられて、前記フレームに対して径方向外向きに付勢されたインジケータ手段と、および、前記インジケータ手段に対して径方向外向きに付勢された該インジケータ手段のプローブとを備え、前記プローブおよび前記アンビルは、前記刃部および前記切断ヘッドの前記ゲートの表面の示差測定に基づいて、前記ゲート開口部の径方向外向きの線寸法測定を可能とするよう構成されている、
ゲージシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書に参照として組み込まれる2018年4月25日に出願された米国特許仮出願62/662,289の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、スライスされた食品に適したスライス装置を含む、さまざまな製品の切断装置に関する。具体的には、スライス装置によって生産されるスライスの厚さを制御するゲート開口部を測定し、設定し、調整するための器具、工具、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
野菜、果実、乳製品、肉製品などの食品をスライスし、細断し、粉砕するためのさまざまな装置が知られている。このような目的に広く使用されている装置は、アーシェル・ラボラトリーズ・インク.から、「モデルCC(Model CC(登録商標))」および「モデルCCL(Model CCL)」のブランド名で市販されている。モデルCCおよびモデルCCLは、遠心タイプのスライサを備え、さまざまな食品のスライスを高い生産能力で行うことができる。モデルCCシリーズの装置は、スライス、皮むき、細断、および粉砕を均一に行うのに適している。
【0004】
図1は、モデルCCシリーズの装置の代表的な装置10を模式的に示している。装置10は、内周に取り付けられた切断刃部(図示せず)を備える略環状の切断ヘッド12を有する。インペラ14は、切断ヘッド12内に同軸に取り付けられており、切断ヘッド12の軸と一致する回転軸17を有する。インペラ14は、ハウジング18内に収納され、ギアボックス16に連結されたシャフトを介して、軸17を中心に回転駆動される。切断ヘッド12は、ギアボックス16の上方にあるサポートリング15に取り付けられ、インペラ14が回転する際には静止している。製品は、インペラ14の上方に位置するホッパ11を介して、切断ヘッド12およびインペラ14に運ばれる。作動時に、ホッパ11が製品をインペラ14に運ぶと、遠心力により製品は外方に移動し、切断ヘッド12の刃部との係合部へと運ばれる。インペラ14は、実質的に径方向を向いたパドル13を備え、それぞれのパドル13は、インペラ14の回転に従って、製品に係合して、切断ヘッド12の刃部に対して径方向外方に製品を導く面を有する。モデルCCシリーズの装置の構造に関する他の構成および操作に関しては、その改良された実施形態を含み、米国特許第3,139,128号公報、米国特許第3,139,129号公報、米国特許第5,694,824号公報、米国特許第6,968,765号公報、米国特許第7,658,133号公報、米国第8,161,856号公報、米国特許第9,193,086号公報、米国特許第9,469,041号公報、および、米国特許第9,517,572号公報、並びに、米国特許出願公開第2016/0158953号公報および米国特許出願公開第2016/0361831号公報において明示されており、これらの全内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0005】
図2および図3は、図1に示したモデルCCシリーズのスライス装置10あるいは該装置に変更および改良を施した構造を含む、さまざまな切断装置に使用可能な切断ヘッド12の具体的かつ非限定的な実施形態を取り出して示す図である。切断ヘッド12については、図1に示したインペラ14を備えるスライス装置10を参照して説明する。切断ヘッド12およびインペラ14の同軸配置に基づく「軸方向」、「周方向」、「径方向」などの相対的な用語、および、これらに関連する表現が、図2に示された切断ヘッド12を説明するために使用される。
【0006】
図2では、切断ヘッド12は、その周囲に切断刃部20が取り付けられた、略環状である。それぞれの刃部20は、切断ヘッド12内におけるインペラ14の回転方向とは実質的に逆方向であって径方向内側に突出し、かつ、径方向の最も内側に刃先を備える。切断ヘッド12は、下部サポートリング22および上部サポートリング24をさらに備え、これらの間に周方向に間隔をあけて配置されたモジュールユニット26が取り付けられる。切断ヘッド12の刃部20は、クランプアセンブリ28によって、モジュールユニット26にそれぞれ固定される。図3から明らかなように、それぞれのモジュールユニット26のクランプアセンブリ28は、1対の取付ブロック34の間にファスナ32により取り付けられたナイフホルダ30を備える。取付ブロック34は、ファスナ36により、サポートリング22および24に強固に固定されている。それぞれのクランプアセンブリ28は、取付ブロック34の間に取り付けられたクランプ31をさらに備え、クランプ31は、刃部20を固定するために、ナイフホルダ30の径方向外面側に配置される。図2および図3に示した非限定的な実施形態においては、クランプ31は、取付ブロック34に枢動可能に取り付けられる。クランプ31の枢動軸としてさまざまな手段を用いることが可能であるが、図示した例においては、取付ブロック34をサポートリング22および24に固定するファスナ36が、取付ブロック34を通過して伸長して、クランプ31のピボットピン36Aも構成する。
【0007】
図3に示したように、刃部20は、ナイフホルダ30の径方向外面に支持され、クランプ31は、ナイフホルダ30上にあるため、刃部20は、ナイフホルダ30と、ナイフホルダ30と向き合うクランプ31の径方向内面との間に位置する。刃部20、ナイフホルダ30、およびクランプ31の位置合わせは、ナイフホルダ30から刃部20の相補スロットおよび/またはクランプ31の孔に突出するピン48により達成される。クランプ31に対してナイフホルダ30の方向に向けて力を加えることにより、クランプ31は、刃部20のうちの刃先に隣接する部分にクランプ力を付与する。
【0008】
図2および図3に示した非限定的な実施形態によれば、偏心カムロッド50は、クランプ31にクランプ力を付与するためのクイッククランプ装置として機能する。カムロッド50は、クランプ31の孔を通過し、取付ブロック34の孔に係合し、ピボットピン36Aにより構成されるクランプ31の枢動軸とともに、クランプ31を取付ブロック34に緩く組み付けている。図3に示したように、ロッド50を時計回りに回転させることにより、ロッド50が偏心的に移動して、クランプ31の表面と係合することにより、クランプ31が刃部20と係合する。ロッド50からクランプ31に付与された力は、ロッド50を反時計回りに回転させることにより解除される。
【0009】
取付ブロック34は、サポートリング22および24に備わる孔に係合するピン38を有する。サポートリング22および24に備わる孔を適切に位置させることで、取付ブロック34の向き、したがって、取付ブロック34に取り付けられた刃部20、ナイフホルダ30、およびクランプ31の向きにより、切断ヘッド12の軸に対する刃部20の刃先の径方向位置を変更することができる。これにより、スライスされた食品の相対的な厚さを制御することが可能となる。
【0010】
図2および図3は、ファスナ42により取付ブロック34に固定された調整可能なゲート40を備えたモジュールユニット28を示す。食品は、ゲート40を横切ってから、モジュールユニット28に取り付けられた刃部20に接する。刃部20の刃先および先行するゲート40の先行する後縁46により、刃部20によって生産されるスライスの厚さを決定するゲート開口部47が形成される。スライスされる食品の厚さをよりきめ細かく微調整できるようにするために、取付ブロック34は、ゲート40と係合する調節ねじ44を備える。調節ねじ44により、後続する刃部20の刃先に対するゲート40の後縁46の径方向位置を変更することで、切断ヘッド12によって生産されるスライスの厚さを決定するゲート開口部47の調整が可能となる。
【0011】
通常、ゲート開口部47を調整する際には、ゲート40の位置を正確に調整するためのゲージが必要とされる。そのようなゲージとして、切断ヘッド12の周囲を測点から測点まで移動してそれぞれの刃部20の位置を測定するダイヤルインジケータの形態からなるゲージ、あるいは、そのようなダイヤルインジケータを使用したゲージが挙げられる。操作者が切断ヘッド12の調整中にゲージを所定の位置に保持しなくてはならなくなった場合に、調整途中にあるゲージの位置が移動してしまうと、測定値の読み取りが不正確となる可能性がある。そのような測定誤差は、とても細かな微調整が必要とされる、たとえば、図2および図3に示す切断ヘッド12において可能な程度の、非限定的な例として、約0.5mm(約0.020インチ)レベルの微調整が必要とされる場合に、特に問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、スライス装置のゲート開口部を測定および調整するための器具および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様のゲージシステムは、スライス装置の切断ヘッドのゲート開口部を測定するよう構成される。該ゲージシステムは、フレーム、該フレームを前記切断ヘッドの内面に固定するための手段、ゲート開口部を形成する刃部および/または前記切断ヘッドのゲートに対して前記フレームを位置決めするための手段、および、前記フレームに取り付けられている、少なくとも1つの前記ゲート開口部を測定するための手段と、を有する。前記測定手段は、前記フレームに対して外方向に付勢されたアンビル、前記アンビルに取り付けられて、前記フレームに対して外方向に付勢されたインジケータ手段、および、前記インジケータ手段に対して外方向に付勢された該インジケータ手段のプローブを備える。前記プローブおよび前記アンビルは、前記刃部および前記切断ヘッドの前記ゲートの表面の示差測定に基づいて、前記ゲート開口部の外側測定を可能とするよう構成される。
【0014】
本発明の別の一態様では、上述した要素を備えるゲージシステムを用いるための方法が提供される。前記方法は、前記フレームを前記切断ヘッドの前記内面に固定し、および、前記刃部および/または前記切断ヘッドの前記ゲートに対して前記フレームを位置決めして、前記アンビルを外方向に付勢して前記刃部の表面と係合させ、かつ、前記プローブを外方向に付勢して前記ゲートの表面と係合させ、および、前記刃部および前記ゲートの表面の示差測定に基づいて前記ゲート開口部の測定を行うことを含む。
【0015】
本発明のその他の特徴および効果は、以下の詳細な説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、従来のスライス装置の部分断面概略側面図である。
図2図2は、図1に示したスライス装置に適用可能な切断ヘッドの一例を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示した切断ヘッドの一部の詳細図である。
図4図4は、図2および図3に示した切断ヘッドに適用可能なゲージシステムの概略斜視図である。
図5図5は、図4に示したゲージシステムの底面図である。
図6図6A図6B図6Cは、それぞれ、図4および図5に示したゲージシステムの平面図、断面図、および斜視図である。
図7図7は、図4図6Cに示したゲージシステムを用いて、図2および図3に示した切断ヘッドのゲート開口部の測定および調整を行っている状態を示す斜視図である。
図8図8は、切断ヘッドのゲート開口部の測定および調整に使用されている状態にある、図4図6Cのゲージシステムを示す、図7に示した切断ヘッドについての詳細な軸方向端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図4図6Cは、図2および図3に示した切断ヘッド12を備える、図1に示した遠心タイプのスライス装置などのスライス装置のゲート開口部の測定および調整に適用可能なゲージシステム100のさまざまな図である。装置10の切断ヘッド12およびインペラ14の同軸配置に基づく「軸方向」、「周方向」、「径方向」などの相対的な用語、および、これらに関連する表現が、図示された非限定的な実施形態を示すために使用される。さらに、本明細書において、「後」(およびその関連する表現)は、切断ヘッド12内でのインペラ14の回転方向において後に来るまたは後続する切断ヘッド12上の位置を意味し、「前」(およびその関連する表現)は、インペラ14の回転とは反対方向において前方または先行する位置を意味する。これらすべての相対的な用語は、切断ヘッド62の構造および切断ヘッド62の部品および特徴に関する相対的な方向を示しており、ゲージシステム100の説明には有用であるが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
ゲージシステム100は、フレーム102と、フレーム102に取り付けられた1対のダイヤルインジケータ104と、フレーム102に取り付けられて伸長する1組の磁気ユニット106と、フレーム102に取り付けられ、フレーム102から磁気ユニット106と同一方向に伸長するロケータピン108とを備える。ダイヤルインジケータ104は、切断ヘッド12の外方向(好ましくは径方向外方)に関する線寸法測定を行うよう構成され、図示したダイヤルインジケータ104の代わりに、別のインジケータ手段(機械式または電子式のインジケータ、近接センサなど)を使用することも可能である。それぞれのダイヤルインジケータ104は、フレーム102から磁気ユニット106およびロケータピン108と同一方向に伸長するプランジャアセンブリ114に対して、取り付けられる。
【0019】
磁気ユニット106は、ゲージシステム100を切断ヘッド12に磁気的に固定するためのものである。図示した実施形態においては、ゲージシステム100は、3つの磁気ユニット106を備えることにより、安定したプラットホームが提供されている。ただし、安定したプラットホームが確立されるのであれば、より多くあるいはより少ない個数の磁気ユニット106を設置することも可能である。ゲージシステム100を切断ヘッド12に固定するために、非限定的な例として、切断ヘッド12に対してフレーム102を引っ張り保持するための真空吸引装置または機械装置など、マグネット以外の手段を採用することも可能である。
【0020】
フレーム102は、少なくとも2つのハンガーピン112を有するハンガー110を備える。図示の例では、ハンガー110は、フレーム102と一体となった部分により構成されているが、別の作成されたハンガー110をフレーム102に取り付けた構造とすることも可能である。ロケータピン108およびハンガーピン112は協働して、ゲージシステム100を切断ヘッド12に確実に配置するための手段として機能する。これにより、ダイヤルインジケータ104が切断ヘッド12、すなわち、後述するように切断ヘッド12のゲート開口部47に関する正確かつ一貫した測定を行うことが可能となる。
【0021】
ハンドル116は、たとえばブラケット118により、フレーム102に取り付けられる。ハンドル116は、使用中のシステム100の取り扱いと操作を容易にする。
【0022】
図4図6Cに示したゲージシステム100の使用方法の非限定的な例を、図7および図8に示す。図8は、ダイヤルインジケータ104のうちの1つと、そのプランジャアセンブリ114の断面図である。図8による詳細図は、ゲージシステム100とその部品が、切断ヘッド12とその部品に接した状態を示す。
【0023】
図8に示したプランジャアセンブリ114は、フレーム102に固定されたハウジング120と、ハウジング120内に形成された孔に往復可能に受け入れられたアンビル122と、アンビル122をハウジング120から離れるように、かつ、切断ヘッド12の径方向外方に付勢する、ばね124とを備える。ダイヤルインジケータ104は、突出端とは反対側でアンビル122に固定されている。ダイヤルインジケータ104は、従来と同様に、機械的接触チップ127を有するプローブ126を備え、第2のねじ128によって、アンビル122に形成された孔から突出するよう付勢されている。すべてが機械的なダイヤルインジケータ104を示したが、インジケータによって測定される表面との機械的接触を必要としない電子プローブを採用することも可能である。プローブ128およびアンビル122はいずれも、フレーム102から、磁気ユニット106およびロケータピン108(そのうちの1つが図8に示されている)と同じ方向に付勢されている。図8に示した、システム100と接する、切断ヘッド12の部品は、刃部20と、ナイフホルダ30と、ゲート40とあり、これらは図2および図3に示したものと同じである。図8に示した切断ヘッド12のその他の部品は、図2および図3で用いた参照番号と同じ参照番号が付されている。
【0024】
付勢されたプローブ126とアンビル122との組み合わせにより、二段作動プランジャアセンブリ114が提供される。アンビル122によって構成されるアセンブリ114の外側部分が、その刃先に隣接する刃部20の径方向内向き面の上にあるとき、対応するダイヤルインジケータ104がゼロを示すようになっている。プローブ126によって構成されるアセンブリ114の内側部分が、ゲート開口部47に隣接するゲート40の表面に位置すると、刃部20の刃先と、ゲート40の隣接する後縁46との間の軸方向距離が示される。このようにして、プローブ128は、ゲート開口部47を正確に測定することができ、その結果、刃部20により形成されるスライスの正しいスライス厚測定値を得ることができる。
【0025】
ゲージシステム100を取り付ける工程は、磁気ユニット106を切断ヘッド12の内壁(たとえば、ナイフホルダ30およびゲート40の径方向内向き面130および132)に接触させることからなる。これにより、ゲージシステム100を切断ヘッド12に磁気的に固定することができる。磁気ユニット106およびロケータピン108は、ロケータピン108のそれぞれが、下部サポートリング22および上部サポートリング24のいずれかに隣接し、かつ、刃部20の両端部のいずれかに隣接した位置で、ゲート40の後縁46とナイフホルダ30との間の位置に受け入れられると、3つすべての磁気ユニット106が切断ヘッド12に接触するように、それぞれのサイズおよび位置が定められている。ロケータピン108は、図8に示すように、ナイフホルダ30に対して周方向に押されることが好ましい。ハンガーピン112は、切断ヘッド12の上部サポートリング24上に置かれて、重さを支え、かつ、切断ヘッド12の軸に沿ってゲージシステム100を配置させる。したがって、ロケータピン108およびハンガーピン112の組み合わせにより、ナイフホルダ30を切断ヘッド12における周方向の位置合わせの基準として使用して、ロケータピン108により切断ヘッド12上にゲージシステム100を周方向に位置決めし、かつ、上部サポートリング24を切断ヘッド12における軸方向の位置合わせの基準として使用して、ハンガーピン112により切断ヘッド12上にゲージシステム100を軸方向に位置決めすることにより、ゲージシステム100を切断ヘッド12上に正確に配置させて、ダイヤルインジケータ104がゲート開口部47を正確かつ一貫して測定を行うことが可能となる。
【0026】
図7および図8に示したように切断ヘッド12に取り付けられた場合に、ダイヤルインジケータ104は、切断ヘッド12に対して、フレーム102の径方向内側に配置され、プランジャアセンブリ114は、フレーム102の径方向外側、すなわち、フレーム102と切断ヘッド12との間に配置される。磁気ユニット106により、ゲージシステム100は切断ヘッド12に磁気的に保持され、初期平面が確立される。ロケータピン108により、ゲージシステム100はナイフホルダ30に対して周方向に正確に位置決めされ、ハンガーピン112により、ゲージシステム100は切断ヘッド12の軸方向に沿って配置される。また、ロケータピン108により、ダイヤルインジケータ104はゲート開口部47の軸の長さ方向に沿って配置され、インジケータ104は、ゲート開口部47の異なる位置で同時に測定を行うことが可能となる。上述したように、それぞれのプランジャアセンブリ114は、ばねで付勢された2つの表面を備える。これらのうち、アンビル122は、刃部20と軽くではあるが一貫して接触するように付勢されており、ダイヤルインジケータプローブ126は、ゲート40と軽くではあるが一貫して接触するように付勢されている。このため、ダイヤルインジケータ104により得られる線寸法測定値は、刃部20およびゲート40間の相対距離に相当し、刃部20で生産されるスライスの厚さが決定される。図7および図8に示したように配置すれば、ゲージシステム100は、所定の位置に保持され、手で保持する必要はない。このため、ゲージシステム100に望ましくない動作が生じる可能性が低減され、かつ、操作者の手をゲート開口部47の調整にのみ使うことが可能となる。ゲート開口部47が調整されると、ダイヤルインジケータ104もそれに応じて調節されて、調節後のゲート開口部47が正確に測定される。ゲージシステム100が意図された正確な位置に位置決めされなかった場合であっても、アンビル122が、ばねの付勢により調整可能な基準面を提供するため、調整工程全体を通して正確な読み取り値が確実に得られる。
【0027】
以上のように、本発明について、特定の実施形態に関して説明を行ったが、本発明の代替態様についても、当業者によって適用可能である。たとえば、ゲージシステム100およびその部品は、図示の態様および構造とは異なっていてもよく、特定の部品の機能は、異なる構造を有するが機能が類似する(必ずしも同等でなくてもよい)部品により達成されてもよい。非限定的な例として、図示の例では、マグネット磁気ユニット106、ロケータピン108、および/または、ハンガーピン112は、個別に製造されて、フレーム102に取り付けられているが、これらの少なくともいずれかを、フレーム102の一体部分として加工して構成することも可能である。さらに、ゲージシステム100および/またはその部品を加工するためには、さまざまな材料を採用することができる。上述した詳細な説明は、図示された特定の実施形態、並びに、これに関するが必須ではない機能および特徴を記述することのみを意図しており、上記特定の実施形態、並びに、その機能および特徴の必須ではない代替構成は同じものと解釈される。非限定的な例として、本発明は、開示された実施形態の1つ以上の機能または特徴に代替する、追加的または代替的な実施形態を包含する。したがって、本発明は、本明細書に記述された実施形態または図示された実施形態に限定されず、図示した実施形態を説明する目的で本明細書において使用した語法および用語は、本発明の範囲を限定するものではない。したがって、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲のみによって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8