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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】シート供給方法及びシート供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/14 20060101AFI20220518BHJP
   B65H 19/18 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B65H19/14
B65H19/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019569036
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2019001877
(87)【国際公開番号】W WO2019151052
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2018015388
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】辻本 悦朗
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04842681(US,A)
【文献】特開平09-136751(JP,A)
【文献】特開平05-270706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが巻き付けられた第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、シートが巻き付けられた第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを下流側に供給する供給部と、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置されると共に上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えたシート供給装置を用いて、前記第1ロール及び前記第2ロールから順次シートを繰り出して供給するシート供給方法であって、
下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ供給されるように、前記第1支持軸を制御する繰出ステップと、
前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記第1ロールからのシートを前記第2ロールのシートに接合した後、その接合部の上流位置で前記第1ロールからのシートを切断する接ぎステップと、を含み、
前記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記繰出ステップにおける前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記接ぎステップにおける前記供給部からのシートの供給速度よりも大きくなるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留させる、シート供給方法。
【請求項2】
シートが巻き付けられた第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、シートが巻き付けられた第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを下流側に供給する供給部と、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置されると共に上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えたシート供給装置を用いて、前記第1ロール及び前記第2ロールから順次シートを繰り出して供給するシート供給方法であって、
下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ供給されるように、前記第1支持軸を制御する繰出ステップと、
前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記第1ロールからのシートを前記第2ロールのシートに接合した後、その接合部の上流位置で前記第1ロールからのシートを切断する接ぎステップと、を含み、
前記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記繰出ステップにおける前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記接ぎステップにおける前記供給部からのシートの供給速度と異なるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留させ、または吐き出させ、
前記接ぎステップでは、前記供給部から下流側へのシートの供給が停止されている場合に、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留することを特徴とするシート供給方法。
【請求項3】
記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記繰出ステップにおける前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記接ぎステップにおける前記供給部からのシートの供給速度よりも大きくなるように前記第1支持軸が制御された状態で実行される接ぎ動作の前に、予め前記第1ロールがシートを巻き取って前記貯留機構におけるシートの貯留量が最小となるように、前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留させることを特徴とする、請求項1または2に記載のシート供給方法。
【請求項4】
前記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの繰り出し及び前記第2ロールの回転が停止した状態で前記第1ロールのシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付け、その後前記第1ロール及び前記第2ロールの回転が開始するように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のシート供給方法。
【請求項5】
シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して供給するシート供給装置であって、
前記第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、
前記第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、
前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構であって、接ぎ動作後に前記第1ロールから繰り出されているシートを接合部の上流側で切断するカッターを含む前記接ぎ機構と、
前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを、前記シート供給装置の下流側に供給する供給部と、
前記シート供給装置から下流側へシートを供給する定常状態において、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ送り出されるように前記第1支持軸を制御し、且つ、シート接ぎ時に前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御するコントローラと、
前記第1支持軸と前記供給部との間に配置され、上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備え、
前記コントローラは、前記シート接ぎ時における前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記シート接ぎ時における前記供給部からのシートの供給速度よりも大きくなるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構は、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留ように作動する、シート供給装置。
【請求項6】
シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して供給するシート供給装置であって、
前記第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、
前記第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、
前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構であって、接ぎ動作後に前記第1ロールから繰り出されているシートを接合部の上流側で切断するカッターを含む前記接ぎ機構と、
前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを、前記シート供給装置の下流側に供給する供給部と、
前記シート供給装置から下流側へシートを供給する定常状態において、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ送り出されるように前記第1支持軸を制御し、且つ、シート接ぎ時に前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御するコントローラと、
前記第1支持軸と前記供給部との間に配置され、上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備え、
前記コントローラは、前記シート接ぎ時における前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記シート接ぎ時における前記供給部からのシートの供給速度と異なるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構は、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留し又は吐き出すように作動し、
前記コントローラは、前記供給部から下流側へのシートの供給が停止されている場合に、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御する、シート供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート供給方法及びシート供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1,2に開示されるように、それぞれシートが巻き付けられた一対のロールから順次シートを繰り出して下流側のラインに供給するシート供給装置であって、一方のロールからの供給中のシートに対して待機中の他方のロールのシートを接ぐための接ぎ機構を備えたものが知られている。この装置によれば、供給中のロールのシート残量が少なくなったタイミングで、待機中のロールのシートを供給中のロールから繰り出されたシートに接ぐことにより、シートを下流側のラインへ連続的に供給することができる。
【0003】
特許文献1,2に開示されるシート供給装置は、一対のロールをそれぞれ支持する支持軸と、供給中の一方のロールから繰り出されたシートを待機中の他方のロールの外周面に押し付ける押付ロールを有する接ぎ機構と、シートを下流側のラインに供給する供給部と、を備えている。この装置によれば、一方のロールにおけるシート残量が少なくなったとき、供給中のシートを待機中の他方のロールの外周面に押し付け、当該外周面に設けられた接着部材によってシート同士を接着させることにより、シートの接ぎ動作を行うことができる。
【0004】
特許文献1,2に開示されるシート供給装置では、下流側のラインへのシートの供給速度と同じ速度でシートが繰り出されるように両ロールの支持軸を回転させ、シートを下流側のラインに供給しながら接ぎ動作が行われる。また接ぎ動作中、待機中のロールの外周面の速度は、供給中のシートの送り速度と同じ速度に設定される。
【0005】
通常、シートの搬送速度は、ラインにおける製造効率などを考慮して高速に設定される。このため、従来のシート供給装置による接ぎ動作では、高速で搬送されるシートを、高速で回転する待機側のロールの外周面における接着部材が設けられた位置に押し付ける必要があり、そのタイミング調整が難しく、接ぎ動作を行うに当たって高い精度が要求されるという課題がある。
【0006】
また、例えばロール(シート)の仕様を変更する際などに下流側のラインを停止させ、ラインへのシートの供給を停止させることがある。従来のシート供給装置では、待機中のロールの外周面に設けられた接着部材が、供給中のシートを押し付ける位置に到達することにより、この接着部材を介してシート同士が接着される。このため、シートの供給を停止した状態では、接着部材を押付位置まで移動させることができず、接ぎ動作を行うことができない。このため、待機中のロールとしてシート供給装置にセットされた新しいロールのシートは、作業者がシートの先端を下流側のラインへ所定のパスラインを経由して案内しなければならず、その作業が煩雑であるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-118895号公報
【文献】国際公開第2017/149610号
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、下流側のラインへのシート供給が停止された状態であってもシートの接ぎ動作を行うことができ、また、ラインへのシート供給が高速であっても、容易に正確なタイミングで接ぎ動作を行うことができるシート供給方法及びシート供給装置を提供することである。
【0009】
本発明の一局面に係るシート供給方法は、シートが巻き付けられた第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、シートが巻き付けられた第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを下流側に供給する供給部と、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置されると共に上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えたシート供給装置を用いて、前記第1ロール及び前記第2ロールから順次シートを繰り出して供給する方法である。このシート供給方法は、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ供給されるように、前記第1支持軸を制御する繰出ステップと、前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記第1ロールからのシートを前記第2ロールのシートに接合した後、その接合部の上流位置で前記第1ロールからのシートを切断する接ぎステップと、を含む。前記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記繰出ステップにおける前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記接ぎステップにおける前記供給部からのシートの供給速度よりも大きくなるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留させる。
本発明の他局面に係るシート供給方法は、シートが巻き付けられた第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、シートが巻き付けられた第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを下流側に供給する供給部と、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置されると共に上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えたシート供給装置を用いて、前記第1ロール及び前記第2ロールから順次シートを繰り出して供給する方法である。このシート供給方法は、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ供給されるように、前記第1支持軸を制御する繰出ステップと、前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記第1ロールからのシートを前記第2ロールのシートに接合した後、その接合部の上流位置で前記第1ロールからのシートを切断する接ぎステップと、を含む。前記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記繰出ステップにおける前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記接ぎステップにおける前記供給部からのシートの供給速度と異なるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留させ、または吐き出させ、前記接ぎステップでは、前記供給部から下流側へのシートの供給が停止されている場合に、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留する。
【0010】
本発明の他局面に係るシート供給装置は、シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して供給する装置である。このシート供給装置は、前記第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、前記第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構であって、接ぎ動作後に前記第1ロールから繰り出されているシートを接合部の上流側で切断するカッターを含む前記接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを、前記シート供給装置の下流側に供給する供給部と、前記シート供給装置から下流側へシートを供給する定常状態において、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ送り出されるように前記第1支持軸を制御し、且つ、シート接ぎ時に前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御するコントローラと、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置され、上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えている。前記コントローラは、前記シート接ぎ時における前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記シート接ぎ時における前記供給部からのシートの供給速度よりも大きくなるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構は、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留ように作動する。
本発明の他局面に係るシート供給装置は、シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して供給する装置である。このシート供給装置は、前記第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、前記第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構であって、接ぎ動作後に前記第1ロールから繰り出されているシートを接合部の上流側で切断するカッターを含む前記接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを、前記シート供給装置の下流側に供給する供給部と、前記シート供給装置から下流側へシートを供給する定常状態において、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ送り出されるように前記第1支持軸を制御し、且つ、シート接ぎ時に前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御するコントローラと、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置され、上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えている。前記コントローラは、前記シート接ぎ時における前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記シート接ぎ時における前記供給部からのシートの供給速度と異なるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構は、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留し又は吐き出すように作動し、前記コントローラは、前記供給部から下流側へのシートの供給が停止されている場合に、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御する。
【0011】
本発明によれば、容易に正確なタイミングで接ぎ動作を行うことができ、また供給部から下流側へのシートの供給が停止されている状態であってもシートの接ぎ動作を行うことができるシート供給方法及びシート供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係るシート供給装置の構成を模式的に示す正面一部断面図である。
図2】上記シート供給装置の動作を制御するコントローラの電気的構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態1に係るシート供給方法の手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態1に係るシート供給方法の手順を示すフローチャートである。
図5】上記シート供給方法において第1ロールのシートの途中部を第2ロールの外周面に押し付ける様子を示す模式図である。
図6】上記シート供給方法において第1ロールのシートが切断された様子を示す模式図である。
図7】上記シート供給方法において第1ロールのシートが巻き取られた様子を示す模式図である。
図8】本発明の実施形態2に係るシート供給装置の構成を模式的に示す正面一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るシート供給装置及びシート供給方法について詳細に説明する。
【0014】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係るシート供給装置1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、シート供給装置1の正面一部断面図である。図2は、シート供給装置1の動作を制御するコントローラ80の電気的構成を示すブロック図である。以下、図1における左右方向を「X方向」、図1における上下方向を「Z方向」、X方向及びZ方向に直交する方向(図1における紙面奥行方向)を「Y方向」として説明する。
【0015】
シート供給装置1は、シートSが巻き付けられた第1ロールR1及び第2ロールR2から順次シートSを繰り出して供給する装置である。図1に示すように、シート供給装置1は、基台50と、基台50に取り付けられると共に第1及び第2ロールR1,R2を支持する支持機構10と、基台50に取り付けられると共に第2ロールR2のシートSを第1ロールR1から繰り出されているシートSに接ぐための接ぎ機構20と、第1ロールR1又は第2ロールR2から繰り出されたシートSをシート供給装置1の下流側に供給するための駆動部(供給部)70と、駆動部70の上流側において所定量のシートSを貯留する貯留機構30と、支持機構10、接ぎ機構20及び駆動部70を制御するコントローラ80と、を備えている。
【0016】
図1では、第1ロールR1がシートSの供給状態にあると共に、第2ロールR2がシートSを供給していない待機状態となっている。シート供給装置1は、接ぎ機構20によって第2ロールR2(待機側ロール)のシートSを第1ロールR1(供給側ロール)のシートSに接ぐとともに、接がれた位置の上流側で第1ロールR1から繰り出されているシートSを切断することにより、シート供給装置1の下流側のラインにシートSを連続的に搬送することができる。
【0017】
図1に示すように、第2ロールR2の外周面には、第2ロールR2のシートSを第1ロールR1のシートSに接着するための接着部材H(例えば、両面テープなど)が設けられている。以下、シート供給装置1の各構成要素についてそれぞれ説明する。
【0018】
基台50は、予め定められた設置面上に載置される載置プレート51と、Z方向に延びる複数の支柱52と、X方向に延びる梁53と、を有する。図1に示すように、各支柱52は、X方向に互いに対向するように、載置プレート51上に立設されている。梁53の両端部には、各支柱52の上端部が固定されている。
【0019】
支持機構10は、Y方向に延びる回転軸13を中心に回転可能となるように、基台50に取り付けられている。具体的には、支持機構10は、回転軸13と、回転軸13を中心に回転可能な回転部材17と、回転部材17に設けられると共に第1及び第2ロールR1,R2をそれらの中心位置で回転可能に支持する第1支持軸11及び第2支持軸12と、を有する。
【0020】
回転部材17は、回転軸13と直交する方向に延びている。第1支持軸11は回転部材17における回転軸13の一方側の端部に設けられ、第2支持軸12は回転部材17における回転軸13の他方側の端部に設けられている。また第1及び第2支持軸11,12は、回転部材17により片持ち支持されるように、当該回転部材17からY方向の一方側(紙面手前側)に延びている。このため、第1及び第2ロールR1,R2の中心に第1及び第2支持軸11,12の自由端をそれぞれ挿入することにより、第1及び第2ロールR1,R2を支持機構10に装着することができる。
【0021】
支持機構10は、回転部材17を回転させる駆動力を発生する回転部材駆動源18(図2)と、第1及び第2支持軸11,12を軸周りに回転させる駆動力を発生する軸駆動源19(図2)と、をさらに有する。回転部材駆動源18及び軸駆動源19は、例えばモータにより構成されており、当該モータの回転駆動力は、ベルトやプーリなどの動力伝達機構を介して回転軸13及び第1,第2支持軸11,12にそれぞれ伝達される。これにより、回転軸13及び第1,第2支持軸11,12を所定の速度で軸周りに回転させることができる。
【0022】
なお、図示は省略するが、下流側のラインにシートSを搬送する定常状態の間、回転部材17は、任意の姿勢を採ることができる。例えば、回転部材17は、供給側ロール(第1ロールR1)が待機側ロール(第2ロールR2)よりもZ方向上側であって、接ぎ機構20に接近した側に位置する姿勢で配置される。そして、両ロールのシートSを接ぐ時は、図1に示すように待機中の第2ロールR2が接ぎ機構20に接近するように、回転部材17が回転軸13を中心に回転する(スプライス位置)。
【0023】
接ぎ機構20は、梁53に沿ってX方向に移動する接ぎユニット23と、接ぎユニット23を移動させる駆動力を発生するユニット駆動源27(図2)と、第1ロールR1から繰り出されているシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるための押付ローラ24と、第1ロールR1から繰り出されているシートSを切断するためのカッター25と、第2ロールR2の中心から外周面までの距離(半径)を検出する外径検出器21と、第2ロールR2の外周面に配置された接着部材Hの周方向の位置を検出する接着部材検出器22と、を有する。
【0024】
ユニット駆動源27は例えばサーボモータにより構成されており、その駆動力はベルトやプーリなどの動力伝達機構を介して接ぎユニット23に伝達される。これにより、接ぎユニット23を、スプライス位置にある第2ロールR2に接近するように前進移動させ、又は当該第2ロールR2から離れるように後退移動させることができる。
【0025】
押付ローラ24は、軸がY方向に延びると共に、接ぎユニット23に取り付けられている。このため、押付ローラ24を第2ロールR2の軸と平行な姿勢で、接ぎユニット23と共に前進移動又は後退移動させることができる。これにより、第1ロールR1から繰り出されたシートSの途中部を、押付ローラ24により第2ロールR2の外周面に押し付け、接着部材Hによって両シートSを接着することにより、シートSの接ぎ動作を行うことができる。
【0026】
カッター25は、Y方向に延びる軸を中心に回転可能なカッター刃25Bと、当該カッター刃25Bを回転させる駆動力を発生するカッター駆動源25A(図2)と、を有する。カッター25も接ぎユニット23に取り付けられており、当該接ぎユニット23と共に前進移動又は後退移動させることができる。カッター25によって、接ぎ動作後に第1ロールR1から繰り出されているシートSを、その接合部の上流側で切断することができる。
【0027】
外径検出器21は、例えばレーザセンサにより構成されている。図1に示すように、外径検出器21は、梁53に立設されたブラケット26によって接ぎユニット23よりも上側で固定されている。
【0028】
接着部材検出器22は、例えばカラーセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)により構成されている。接着部材検出器22も接ぎユニット23に取り付けられており、当該接ぎユニット23と共に前進移動又は後退移動させることができる。
【0029】
駆動部70は、シート供給装置1においてシート搬送方向の最下流に配置されている。駆動部70は、シートSを掛けられるようにY方向に軸が延びる駆動ローラ72と、駆動ローラ72を軸周りに所定の速度で回転させる駆動力を発生するローラ駆動源71(図2)と、を有する。ローラ駆動源71は、例えばモータなどにより構成されている。ローラ駆動源71の出力によって駆動ローラ72の回転速度を調整することにより、下流側のラインにおいて予め定められた搬送速度でシートSが供給されるように搬送速度が調整される。
【0030】
貯留機構30は、第1支持軸11と駆動部70(駆動ローラ72)との間に配置され、上流側のシートSを引き取って所定量のシートSを貯留する。この貯留機構30は、第1ロールR1から繰り出されるシートSの搬送速度を、前記予め定められた搬送速度と一致させるようにコントローラ80を介してフィードバック制御する制御機構を兼ねる。図1に示すように、貯留機構30は、一対の固定ロール31,32と、当該一対の固定ロール31,32の間に配置されると共に、シートSの張力に応じて移動する移動ロール33と、を有する。搬送中のシートSは、固定ロール31,32及び移動ロール33にそれぞれ掛けられる。
【0031】
シートSの張力が予め定められた設定値よりも低い場合には、シートSの経路長が長くなるように移動ロール33が移動し、これによりシートSの貯留量が増加する。一方、シートSの張力が当該設定値よりも高い場合には、シートSの経路長が短くなるように移動ロール33が移動し、これによりシートSの貯留量が減少する。
【0032】
貯留機構30は、移動ロール33の位置を検出する位置検出センサ34(図2)をさらに有する。この位置検出センサ34による検出結果はコントローラ80に送信され、当該検出結果に基づいてコントローラ80が第1支持軸11の回転速度を制御する。つまり、移動ロール33の位置情報を第1支持軸11の制御にフィードバックすることができ、これにより移動ロール33が予め定められた設定位置にある状態にすることで、前記予め定められた搬送速度と一致するように前記第1ロールR1から繰り出されるシートSの搬送速度を制御することができる。
【0033】
コントローラ80は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを組み合わせて構成されている。図2に示すように、コントローラ80は、シート供給装置1の各動作部を制御する制御領域81を含む。この制御領域81は、回転部材駆動源18を構成するモータの回転及びその停止を制御する回転部材制御部81Aと、軸駆動源19を構成するモータの回転及びその停止を制御する軸制御部81Bと、ユニット駆動源27を構成するサーボモータの駆動及びその停止を制御するユニット制御部81Cと、カッター駆動源25Aの動作を制御するカッター制御部81Dと、ローラ駆動源71を構成するモータの回転及びその停止を制御するローラ制御部81Eと、外径判定部81Fと、接着部材位置判定部81Gと、を含む。外径判定部81Fは、外径検出器21による検出結果に基づいて、第2ロールR2の任意の部位における半径や平均半径を特定する。接着部材位置判定部81Gは、接着部材検出器22による検出結果に基づいて、第2ロールR2の外周面における接着部材Hの周方向の位置を特定する。
【0034】
コントローラ80は、下流側へシートを搬送する定常状態時及びシート接ぎ時において、それぞれ以下のような制御を実行する。まず、定常状態のシート搬送時において、コントローラ80(軸制御部81B及びローラ制御部81E)は、下流側のラインにおいて予め定められた搬送速度でシートSが駆動部70から下流側へ送り出されるように、第1支持軸11及び駆動部70を制御する。この時、第1ロールR1から繰り出されるシートSの搬送速度が駆動部70によるシートSの搬送速度と同じになるように、貯留機構30からのフィードバックにより第1支持軸11が制御される。
【0035】
一方、シート接ぎ時において、コントローラ80(軸制御部81B及びユニット制御部81C)は、第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合った状態で第1ロールR1から繰り出したシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるように、第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御する。
【0036】
例えば、下流側のラインで製造する製品の品種やサイズが変更される場合、使用材料であるロール(シート)の仕様を変更する必要があり、上記の第2ロールR2が新しい材料の第2ロールR2に交換される。そして、上記の接ぎ動作は、下流側のラインを停止させ、ラインへのシートSの供給を停止させた状態で実行される。
【0037】
以下、コントローラ80により実行される処理に基づいて、本実施形態に係るシート供給方法を説明する。図3及び図4は、当該シート供給方法の手順を示すフローチャートであり、以下これに沿って説明する。
【0038】
まず、下流側のラインにシートSを搬送する定常状態にあっては、繰出ステップS10が実行される。このステップでは、第1ロールR1から繰り出されたシートSが、下流側のラインにおいて予め定められた搬送速度で駆動部70から下流側へ供給されるように、第1支持軸11及び駆動部70がコントローラ80(軸制御部81B、ローラ制御部81E)により制御される。この時、上述のように貯留機構30の移動ローラ33の位置に基づいて、第1支持軸11の回転速度が調整される。またこのステップ中、第2支持軸12の回転は停止される。
【0039】
次に、下流側のラインが停止され、操作部90(図2)においてシートSの搬送停止操作が行われると(ステップS20の「YES」)、コントローラ80(軸制御部81B、ローラ制御部81E)により第1支持軸11及び駆動部70の動作が停止される。これにより、シート供給装置1から下流側のラインへのシートSの搬送が停止される(ステップS30)。そして、予め新しい材料ロールに交換されている待機中の第2ロールR2がスプライス位置(図1)に移動するように、回転部材17の回転がコントローラ80(回転部材制御部81A)により制御される(ステップS40)。
【0040】
次に、接ぎ準備ステップS50が実行される。このステップS50では、まず、待機中の第2ロールR2の半径が外径検出器21により検出される(ステップS51)。この検出結果の情報は、コントローラ80(外径判定部81F)に送信される。なお、第2ロールR2の半径が既知であれば、このステップは省略されてもよい。
【0041】
次に、スプライス位置にある第2ロールR2に向かって接ぎユニット23が接近するように、ユニット駆動源27がコントローラ80(ユニット制御部81C)により制御される(ステップS52)。この時、上記ステップS51で検出された第2ロールR2の半径の情報に基づいて、第1ロールR1のシートSが第2ロールR2の外周面に接触しないように、接ぎユニット23の移動量が制御される。
【0042】
次に、第2ロールR2を回転させ、この状態で、接着部材検出器22により第2ロールR2の外周面における接着部材Hの周方向の位置を検出する(ステップS53)。この検出結果の情報は、コントローラ80(接着部材位置判定部81G)に送信される。
【0043】
次に、上記検出結果に基づいて、接着部材Hが予め定められた位置に配置されるように第2ロールR2を回転させ、その後、当該回転を停止させる(ステップS54)。具体的には、図5に示すように、第2ロールR2の回転方向(図中矢印)において、第1ロールR1のシートSが押し付けられる押付位置P1の上流側(例えば、押付位置P1の50mm手前)に接着部材Hが位置するように、第2ロールR2を回転させる。
【0044】
次に、接ぎステップS60が実行される。このステップでは、以下の手順により、第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合った状態で第1ロールR1から繰り出したシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるように、第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20が制御され、第1ロールR1からのシートSを第2ロールR2のシートSに接合した後、その接合部の上流位置で第1ロールR1からのシートSを切断するようにカッター25が制御される。なお、このステップ中は、駆動部70から下流側へのシートSの供給が停止されている。
【0045】
まず、貯留機構30の位置検出センサ34による検出結果に基づく第1支持軸11へのフィードバック制御をオフにする(ステップS61)。次に、接ぎ動作の前に、予め第1ロールR1がシートSを巻き取って貯留機構30におけるシートSの貯留量が最小となるように、第1支持軸11の回転がコントローラ80(軸制御部81B)により制御される(ステップS62)。換言すると、貯留機構30におけるシートSの経路長が最短となるように、第1ロールR1が巻き戻される。
【0046】
次に、接ぎユニット23が第2ロールR2に向かってさらに接近するように、ユニット駆動源27がコントローラ80(ユニット制御部81C)により制御される。これにより、図5に示すように、第1ロールR1からのシートSの繰り出し及び第2ロールR2の回転が停止した状態で、第1ロールR1のシートSの途中部が、押付ローラ24によって第2ロールR2の外周面(当該外周面における接着部材H以外の位置)に対して所定のトルクで押し付けられる(ステップS63)。
【0047】
その後、上記押付状態を維持しつつ、第1ロールR1及び第2ロールR2の回転が開始するように、第1支持軸11及び第2支持軸12がコントローラ80(軸制御部81B)により制御される(ステップS64)。この時、第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合うと共に、接着部材Hが押付位置P1を通過するまで第2ロールR2が回転するように、第1支持軸11及び第2支持軸12が制御される。これにより、第2ロールR2のシートSの先端が接着部材Hを介して第1ロールR1のシートSの途中部に接着され、第1ロールR1のシートSに対して第2ロールR2のシートSが接がれる。
【0048】
コントローラ80(軸制御部81B)は、接ぎステップS60における第1ロールR1からのシートSの送り速度が、繰出ステップS10における前記予め定められた搬送速度よりも小さく、且つ、接ぎステップS60における、下流側への供給を停止している駆動部70からのシートSの供給速度(0m/min)と異なる、例えば5m/minとなるように、第1支持軸11を制御する。
【0049】
接ぎステップS60において第1ロールR1から繰り出されたシートSは、貯留機構30により引き取られて貯留される。貯留機構30は、接ぎステップS60中に第1ロールR1から繰り出されたシートSの長さに応じて経路長を長くするように作動(移動ロール33が移動)する。ここで、上記ステップS62において貯留機構30のシートSの貯留量を予め最小にしておくことにより、接ぎステップS60中に第1ロールR1から繰り出されるシートSを確実に貯留することができる。このように、貯留機構30により、第1ロールR1からのシートSの送り速度(5m/min)と駆動部70からのシートSの供給速度(0m/min)との速度差により生じるシートSの余剰分を引き取って貯留することができる。
【0050】
次に、図6に示すように、第1ロールR1のシートSを、第2ロールR2のシートSが接がれた位置よりも上流側においてカッター25により切断し、その後、第1ロールR1及び第2ロールR2の回転を停止させる(ステップS65)。そして、コントローラ80において、第1ロールR1を供給側ロールの制御から待機側ロールの制御に切り替えると共に、第2ロールR2を待機側ロールの制御から供給側ロールの制御に切り替える(ステップS66)。
【0051】
ここで、接ぎステップS60において「第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合う」とは、押付位置P1において両速度が一致することを意味する。したがって、押付位置P1におけるシートSの送り速度に影響しない範囲であれば、第1ロールR1から繰り出されるシートSの速度を少し遅くすることも可能である。これにより、第1ロールR1と押付位置P1との間におけるシートSの張力を高めることができるため、シートSが弛んだ状態に比べて、カッター25によりシートSを容易に切断することができる。
【0052】
次に、貯留機構30の位置検出センサ34による検出結果に基づく第2支持軸12へのフィードバック制御をオンにすると共に、第2ロールR2を回転させることにより貯留機構30におけるシートSの貯留量を適正量に調整する(ステップS67)。その後、接ぎユニット23を後退させ、第2ロールR2が第1ロールR1よりもZ方向上側に位置するように回転部材17を回転させる(ステップS68)。また図7に示すように、第1ロールR1を逆回転させることにより切断位置よりも上流側のシートSを巻き取り、巻取完了後に第1ロールR1の回転を停止させる(ステップS69)。このステップS69は、上記ステップS67,S68と並行して実行される。
【0053】
その後、第2ロールR2から繰り出された新しいシートSの先端が所定の経路を経て下流側のラインへ案内されるように第2支持軸12及び駆動部70がコントローラ80(軸制御部81B、ローラ制御部81E)により制御された後、下流側のラインの運転再開に伴い、予め定められた搬送速度でシートSの搬送が再開する。以上のような手順で本実施形態に係るシート供給方法が実施される。
【0054】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係るシート供給装置及びシート供給方法について、図8を参照して説明する。実施形態1では、上述のようにライン停止状態でシートSの接ぎ動作が行われるのに対し、実施形態2では、下流側のラインにシートSが供給される定常状態でシートSの接ぎ動作が行われる。以下、実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0055】
まず、実施形態2に係るシート供給装置1Aの構成について説明する。シート供給装置1Aの貯留機構30は、シート接ぎ時において、第1ロールR1からのシートSの送り速度と駆動部70からのシートSの供給速度との速度差により生じるシートSの過不足を吐き出すように作動する。具体的には、図8に示すように、貯留機構30は、実施形態1で説明したフィードバック制御機構(固定ロール31,32、移動ロール33)に加えて、所定量のシートSを蓄積する蓄積機構35をさらに有する。蓄積機構35は、接ぎ機構20と当該フィードバック制御機構との間に配置されている。
【0056】
蓄積機構35は、複数の固定ガイドロール37と、複数の移動ガイドロール36と、を有する。固定ガイドロール37はその位置が固定されており、移動ガイドロール36は固定ガイドロール37に接近する方向又は当該固定ガイドロール37から離間する方向に移動可能となっている。具体的には、シートSの経路長が長くなるように移動ガイドロール36が固定ガイドロール37から離間する方向に移動し、又はシートSの経路長が短くなるように移動ガイドロール36が固定ガイドロール37に接近する方向に移動する。
【0057】
次に、上記シート供給装置1Aを用いて行われる、実施形態2に係るシート供給方法について説明する。このシート供給方法では、下流側のラインにシートSが供給される定常状態でシートSの接ぎ動作が行われる。したがって、図3のステップS30は省略され、ステップS20の代わりに所定の接ぎ条件(例えば、第1ロールR1の残量が所定量よりも少ないか否か)の成立の有無を確認し、成立する場合は、上記定常状態のままで第2ロールR2がスプライス位置(図8)に移動する(ステップS40)。
【0058】
次に、接ぎ準備ステップS50では、上記定常状態が維持されつつ、第2ロールR2の半径測定(ステップS51)、接ぎユニット23の接近(ステップS52)、接着部材Hの位置検出(ステップS53)及び接着部材Hの位置調整(ステップS54)がそれぞれ行われる。
【0059】
次に、接ぎステップS60では、シート張力による第1支持軸11の制御をオフにするステップS61は省略される。前記フィードバック制御機構は、シートSの張力に基づいて、第1ロールR1からのシートSの送り速度及び蓄積機構35におけるシートSの貯留量を、コントローラ80を介してフィードバック制御する。そして、コントローラ80が蓄積機構35を制御して移動ガイドロール36を移動させ、上流側からのシートSを引き取って蓄積機構35において貯留する。
【0060】
第1支持軸11は、前記フィードバック制御機構からのフィードバックにより、第1ロールR1からのシートSの送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも速くなるように制御される。そして、当該加速されたシートSの送り速度と前記予め定められた搬送速度との速度差による過足分のシートSが蓄積機構35に貯留される。この操作は、図4のステップS62(第1ロールR1の巻き戻し)の代わりに行われる。
【0061】
次に、第1ロールR1からのシートSの送り速度が前記予め定められた搬送速度(駆動部70からのシートSの供給速度と同じ速度)よりも遅くなるように、第1支持軸11がコントローラ80(軸制御部81B)により制御される。これと共に、前記フィードバック制御機構が、蓄積機構35から下流側へ前記予め定められた搬送速度でシートSが繰り出されるように、コントローラ80を介して蓄積機構35をフィードバック制御する。具体的には、移動ガイドロール36を移動させ、蓄積機構35への上流側からの引き取り速度と蓄積機構35から下流側への送り出し速度との速度差による不足分のシートSを、蓄積機構35から下流側へ吐き出させる。当該不足分のシートSを蓄積機構35から下流側へ吐き出させている間に、残りの接ぎステップS60が行われる。
【0062】
即ち、第2ロールR2の外周面の速度が第1ロールR1からのシートSの送り速度と合うように、第2支持軸12がコントローラ80(軸制御部81B)により制御される。即ち、図4のステップS64は、ステップS63に先立って行われる。
【0063】
次に、第2ロールR2の外周面における接着部材Hが押付位置P1を通過するタイミングに合わせて、第1ロールR1から繰り出したシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるように、接ぎ機構20がコントローラ80(ユニット制御部81C)により制御される(ステップS63)。これにより、上記定常状態のままで第2ロールR2のシートSが第1ロールR1のシートSに接がれる。
【0064】
接ぎステップS60では、蓄積機構35に貯留されたシートSが前記予め定められた搬送速度で下流側のラインに供給されると共に、第1ロールR1から繰り出されたシートSが蓄積機構35に引き取られる。ここで、第1ロールR1からのシートSの送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも遅いため、蓄積機構35におけるシートSの貯留量は、両速度の差に起因して徐々に減少する。
【0065】
接ぎ動作の完了後、第1ロールR1からのシートSの繰り出し及び第2ロールR2の回転を維持しつつ、第1ロールR1からのシートSを接合部の上流位置でカッター25により切断する(ステップS65)。そして、実施形態1と同様にロール制御を切り替える(ステップS66)。
【0066】
その後、第1及び第2ロールR1,R2の位置調整(ステップS68)が行われる。ここで、シート張力による第2支持軸12及び蓄積機構35へのフィードバック制御は引き続き行われているため、図4のステップS67は省略される。そして、蓄積機構35に貯留されていたシートSが全て下流側へ吐き出されると、蓄積機構35の移動ガイドロール36が停止され、第2ロールR2からのシートSの送り速度が駆動部70からの下流側へのシートSの供給速度(即ち、前記予め定められた搬送速度)と同じになるように制御される。この操作は、図4のステップS69(第1ロールR1のシートSの巻き取り)の代わりに行われる。
【0067】
実施形態2では、駆動部70から下流側のラインに高速でシートSを供給しつつ、第1ロールR1からのシートSの送り速度を、接ぎ動作を行い易い適切な速度とすることにより、接ぎ動作のタイミングを取り易くなる。そして、第1ロールR1からのシートSの送り速度と駆動部70からのシートSの供給速度との速度差により生じるシートSの過不足を、貯留機構30から吐き出させることができる。
【0068】
ここで、上記の通り説明した実施形態1,2に係るシート供給装置1,1A及びシート供給方法の特徴及び作用効果について説明する。
【0069】
実施形態1,2に係るシート供給方法は、シートSが巻き付けられた第1ロールR1をその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸11と、シートSが巻き付けられた第2ロールR2をその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸12と、第2ロールR2のシートSを第1ロールR1のシートSに接ぐための接ぎ機構20と、第1ロールR1又は第2ロールR2から繰り出されたシートSを下流側に供給する駆動部70と、第1支持軸11と駆動部70との間に配置されると共に上流側のシートSを引き取って所定量のシートSを貯留する貯留機構30と、を備えたシート供給装置1,1Aを用いて、第1ロールR1及び第2ロールR2から順次シートSを繰り出して供給する方法である。このシート供給方法は、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートSが駆動部70から下流側へ供給されるように、第1支持軸11を制御する繰出ステップと、第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合った状態で第1ロールR1から繰り出したシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるように、第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御し、第1ロールR1からのシートSを第2ロールR2のシートSに接合した後、その接合部の上流位置で第1ロールR1からのシートSを切断する接ぎステップと、を含む。接ぎステップでは、第1ロールR1からのシートSの送り速度が繰出ステップにおける前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ接ぎステップにおける駆動部70からのシートSの供給速度と異なるように第1支持軸11を制御し、貯留機構30により、第1ロールR1からのシートSの送り速度と駆動部70からのシートSの供給速度との速度差により生じるシートSの過不足を引き取って貯留させ、または吐き出させる。
【0070】
実施形態1,2に係るシート供給装置1,1Aは、シートSが巻き付けられた第1ロールR1及び第2ロールR2から順次シートSを繰り出して供給する装置である。シート供給装置1は、第1ロールR1をその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸11と、第2ロールR2をその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸12と、第2ロールR2のシートSを第1ロールR1のシートSに接ぐための接ぎ機構20であって、接ぎ動作後に第1ロールR1から繰り出されているシートSを接合部の上流側で切断するカッター25を含む接ぎ機構20と、第1ロールR1又は第2ロールR2から繰り出されたシートSを、シート供給装置1の下流側に供給する駆動部70と、シート供給装置1,1Aから下流側へシートSを供給する定常状態において、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートSが駆動部70から下流側へ送り出されるように第1支持軸11を制御し、且つ、シート接ぎ時に第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合った状態で第1ロールR1から繰り出したシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるように第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御するコントローラ80と、第1支持軸11と駆動部70との間に配置され、上流側のシートSを引き取って所定量のシートSを貯留する貯留機構30と、を備えている。コントローラ80は、シート接ぎ時における第1ロールR1からのシートSの送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つシート接ぎ時における駆動部70からのシートSの供給速度と異なるように第1支持軸11を制御し、貯留機構30は、第1ロールR1からのシートSの送り速度と駆動部70からのシートSの供給速度との速度差により生じるシートSの過不足を引き取って貯留し又は吐き出すように作動する。
【0071】
これにより、シート接ぎ時における第1ロールR1からのシートSの送り速度を、下流側の装置において予め定められたシートSの搬送速度よりも小さく且つ当該シート接ぎ時における駆動部70から下流側へ送り出されるシートSの供給速度と異なる速度にすることができる。このため、下流側へのシート供給が高速であっても、シート接ぎ時における第1ロールR1からのシートSの送り速度を、接ぎ動作を行い易い適切な速度に下げることができるため、容易に正確なタイミングで接ぎ動作を行うことができる。また接ぎ動作中、貯留機構30は、第1ロールR1からのシートSの送り速度と駆動部70からのシートSの供給速度との速度差により生じるシートSの過不足を引き取って貯留する。このため、下流側の装置が停止している状態、即ち、駆動部70から下流側へ送り出されるシートSの搬送速度がゼロであっても、第1ロールR1から所定の送り速度でシートSを繰り出すことができるため、下流側へのシート供給を停止した状態でシートSを接ぐことも可能になる。
【0072】
実施形態1に係るシート供給方法において、接ぎステップでは、駆動部70から下流側へのシートSの供給が停止されている場合に、第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合った状態で第1ロールR1から繰り出したシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるように、第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御し、貯留機構30により、第1ロールR1からのシートSの送り速度と駆動部70からのシートSの供給速度との速度差により生じるシートSの余剰分を引き取って貯留する。実施形態1に係るシート供給装置1において、コントローラ80は、駆動部70から下流側へのシートSの供給が停止されている場合に、第1ロールR1からのシートSの送り速度と第2ロールR2の外周面の速度とが合った状態で第1ロールR1から繰り出したシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付けるように、第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御する。これにより、シートSの仕様を変更する際など、ラインの停止中においてもシートSの接ぎ動作を行うことが可能になる。
【0073】
実施形態1に係るシート供給方法において、接ぎステップでは、接ぎ動作の前に、予め第1ロールR1がシートSを巻き取って貯留機構30におけるシートSの貯留量が最小となるように、第1支持軸11を制御する。実施形態1に係るシート供給装置1において、コントローラ80は、接ぎ動作の前に、予め第1ロールR1がシートSを巻き取って貯留機構30におけるシートSの貯留量が最小となるように、第1支持軸11を制御する。これにより、駆動部70から下流側へのシートSの供給が停止されている場合に、接ぎ動作中に第1ロールR1からシートSを繰り出した場合でも、貯留機構30において十分な量のシートSを貯留することができる。
【0074】
実施形態1に係るシート供給方法において、接ぎステップでは、第1ロールR1からのシートSの繰り出し及び第2ロールR2の回転が停止した状態で第1ロールR1のシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付け、その後第1ロールR1及び第2ロールR2の回転が開始するように、第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御する。実施形態1に係るシート供給装置1において、コントローラ80は、シート接ぎ時において、第1ロールR1からのシートSの繰り出し及び第2ロールR2の回転が停止した状態で第1ロールR1のシートSの途中部を第2ロールR2の外周面に押し付け、その後第1ロールR1及び第2ロールR2の回転が開始するように、第1支持軸11、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御する。これにより、第1ロールR1及び第2ロールR2によるシートSの送りが停止した状態で両シートSを押し付けることができるため、第2ロールR2の外周面に設けられた接着部材Hを、第1ロールR1から繰り出されたシートSを押し付ける位置P1に対して、第2ロールR2の回転方向上流側の適切な場所に位置させることができる。これにより、接ぎ動作時に第1ロールR1のシートSと第2ロールR2とを僅かに移動させるだけで、接着部材Hを介して両シートSを確実に接続することができる。したがって、貯留機構30におけるシートSの貯留量を過剰に増加させることなく、両シートSを確実に接続することができる。
【0075】
実施形態1に係るシート供給方法は、第2ロールR2の外周面に設けられた接着部材Hの、前記外周面における周方向の位置を検出する接ぎ準備ステップを含む。接ぎステップでは、上記検出結果に基づいて第1ロールR1のシートSの途中部を第2ロールR2の外周面における接着部材H以外の位置に押し付けた後、接着部材Hが当該押付位置を通過するまで第2ロールR2が回転するように、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御する。実施形態1に係るシート供給装置1において、接ぎ機構20は、第2ロールR2の外周面に設けられた接着部材Hの、当該外周面における周方向の位置を検出する接着部材検出器22を有している。コントローラ80は、シート接ぎ時において、接着部材検出器22による検出結果に基づいて第1ロールR1のシートSの途中部を第2ロールR2の外周面における接着部材H以外の位置に押し付けた後、接着部材Hが当該押付位置P1を通過するまで第2ローラR2が回転するように、第2支持軸12及び接ぎ機構20を制御する。これにより、両シートSの押付位置P1に接着部材Hを確実に通過させることにより、接着部材Hの全長を用いて両シートSを確実に接ぐことができる。
【0076】
(その他実施形態)
最後に、本発明のその他実施形態について説明する。
【0077】
実施形態1では、第1ロールR1及び第2ロールR2の回転が停止した状態で第1ロールR1のシートSを第2ロールR2の外周面に押し付ける場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1ロールR1からシートSを繰り出しつつ上記押付動作を行ってもよい。また第2ロールR2の外径検出、接着部材Hの位置検出及び接着部材Hの位置調整についても、第1ロールR1からシートSを繰り出しつつ行ってもよい。
【0078】
実施形態1では、カッター25により第1ロールR1のシートSを切断した後に第1ロールR1及び第2ロールR2の回転を停止させる場合について説明したが、第1ロールR1及び第2ロールR2の回転を停止させた後にシートSを切断してもよい。
【0079】
実施形態1では、貯留機構30をフィードバック制御機構と兼用にしたが、実施形態2のように制御機構とは別に貯留機構(蓄積機構35)を設けてもよい。また実施形態2においてフィードバック制御機構におけるシートSの貯留量を増やすことにより、蓄積機構35を省略してもよい。
【0080】
実施形態2では、第1ロールR1からシートSを繰り出しつつ第1ロールR1のシートSを第2ロールR2の外周面に押し付ける場合について説明したが、上記押付動作を第1ロールR1及び第2ロールR2の回転が停止した状態で行ってもよい。
【0081】
実施形態1及び実施形態2では、いずれも回転部材17が第1支持軸11及び第2支持軸12を有する場合について説明したが、上記回転部材17が3つ以上の支持軸を有すると共に各支持軸がそれぞれロールをそれらの中心位置で回転可能に支持していてもよい。
【0082】
なお、上記実施形態を概説すると、以下の通りである。
【0083】
上記実施形態に係るシート供給方法は、シートが巻き付けられた第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、シートが巻き付けられた第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを下流側に供給する供給部と、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置されると共に上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えたシート供給装置を用いて、前記第1ロール及び前記第2ロールから順次シートを繰り出して供給する方法である。このシート供給方法は、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ供給されるように、前記第1支持軸を制御する繰出ステップと、前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記第1ロールからのシートを前記第2ロールのシートに接合した後、その接合部の上流位置で前記第1ロールからのシートを切断する接ぎステップと、を含む。前記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記繰出ステップにおける前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記接ぎステップにおける前記供給部からのシートの供給速度と異なるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留させ、または吐き出させる。
【0084】
上記シート供給方法によれば、接ぎステップにおける第1ロールからのシートの送り速度を、下流側の装置において予め定められたシートの搬送速度よりも小さく且つ当該接ぎステップにおける供給部から下流側へ送り出されるシートの供給速度と異なる速度にすることができる。このため、下流側へのシート供給が高速であっても、接ぎステップにおける第1ロールからのシートの送り速度を、接ぎ動作を行い易い適切な速度に下げることができるため、容易に正確なタイミングで接ぎ動作を行うことができる。また接ぎ動作中、貯留機構は、第1ロールからのシートの送り速度と供給部からのシートの供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留する。このため、下流側の装置が停止している状態、即ち、供給部から下流側へ送り出されるシートの搬送速度がゼロであっても、第1ロールから所定の送り速度でシートを繰り出すことができるため、下流側へのシート供給を停止した状態でシートを接ぐことも可能になる。
【0085】
上記シート供給方法において、前記接ぎステップでは、前記供給部から下流側へのシートの供給が停止されている場合に、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御し、前記貯留機構により、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの余剰分を引き取って貯留してもよい。
【0086】
この方法によれば、シートの仕様を変更する際など、ラインの停止中においてもシートの接ぎ動作を行うことが可能になる。
【0087】
上記シート供給方法において、前記接ぎステップでは、接ぎ動作の前に、予め前記第1ロールがシートを巻き取って前記貯留機構におけるシートの貯留量が最小となるように、前記第1支持軸を制御してもよい。
【0088】
この方法によれば、供給部から下流側へのシートの供給が停止されている場合に、接ぎ動作中に第1ロールからシートを繰り出した場合でも、貯留機構において十分な量のシートを貯留することができる。
【0089】
上記シート供給方法において、前記接ぎステップでは、前記第1ロールからのシートの繰り出し及び前記第2ロールの回転が停止した状態で前記第1ロールのシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付け、その後前記第1ロール及び前記第2ロールの回転が開始するように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御してもよい。
【0090】
この方法によれば、第1ロール及び第2ロールによるシートの送りが停止した状態で両シートを押し付けることができるため、第2ロールの外周面に設けられた接着部材を、第1ロールから繰り出されたシートを押し付ける位置に対して、第2ロールの回転方向上流側の適切な場所に位置させることができる。これにより、接ぎ動作時に第1ロールのシートと第2ロールとを僅かに移動させるだけで、接着部材を介して両シートを確実に接続することができる。したがって、貯留機構におけるシートの貯留量を過剰に増加させることなく、両シートを確実に接続することができる。
【0091】
上記実施形態に係るシート供給装置は、シートが巻き付けられた第1ロール及び第2ロールから順次シートを繰り出して供給する装置である。このシート供給装置は、前記第1ロールをその中心位置で回転可能に支持する第1支持軸と、前記第2ロールをその中心位置で回転可能に支持する第2支持軸と、前記第2ロールのシートを前記第1ロールのシートに接ぐための接ぎ機構であって、接ぎ動作後に前記第1ロールから繰り出されているシートを接合部の上流側で切断するカッターを含む前記接ぎ機構と、前記第1ロール又は前記第2ロールから繰り出されたシートを、前記シート供給装置の下流側に供給する供給部と、前記シート供給装置から下流側へシートを供給する定常状態において、下流側の装置において予め定められた搬送速度でシートが前記供給部から下流側へ送り出されるように前記第1支持軸を制御し、且つ、シート接ぎ時に前記第1ロールからのシートの送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御するコントローラと、前記第1支持軸と前記供給部との間に配置され、上流側のシートを引き取って所定量のシートを貯留する貯留機構と、を備えている。前記コントローラは、前記シート接ぎ時における前記第1ロールからのシートの前記送り速度が前記予め定められた搬送速度よりも小さく且つ前記シート接ぎ時における前記供給部からのシートの供給速度と異なるように前記第1支持軸を制御し、前記貯留機構は、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記供給部からのシートの前記供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留し又は吐き出すように作動する。
【0092】
上記シート供給装置によれば、シート接ぎ時における第1ロールからのシートの送り速度を、下流側の装置において予め定められたシートの搬送速度よりも小さく且つ当該シート接ぎ時における供給部から下流側へ送り出されるシートの搬送速度と異なる速度にすることができる。このため、従来のシート供給装置と異なり、ラインへのシート供給が高速であっても、シート接ぎ時における第1ロールによるシートの送り速度を、接ぎ動作を行い易い適切な速度に下げることができるため、容易に正確なタイミングで接ぎ動作を行うことができる。また接ぎ動作中、貯留機構は、第1ロールからのシートの送り速度と供給部からのシートの供給速度との速度差により生じるシートの過不足を引き取って貯留する。このため、下流側の装置が停止している状態、即ち、供給部から下流側へ送り出されるシートの搬送速度がゼロであっても、第1ロールから所定の送り速度でシートを繰り出すことができるため、下流側へのシート供給を停止した状態でシートを接ぐことも可能になる。
【0093】
上記シート供給装置において、前記コントローラは、前記供給部から下流側へのシートの供給が停止されている場合に、前記第1ロールからのシートの前記送り速度と前記第2ロールの外周面の速度とが合った状態で前記第1ロールから繰り出したシートの途中部を前記第2ロールの外周面に押し付けるように、前記第1支持軸、前記第2支持軸及び前記接ぎ機構を制御してもよい。
【0094】
この構成によれば、シートの仕様を変更する際など、ラインの停止中においてもシートの接ぎ動作を行うことが可能になる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8