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  • 特許-リンク式ブレスレット 図1
  • 特許-リンク式ブレスレット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】リンク式ブレスレット
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/10 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
A44C5/10 510G
A44C5/10 511D
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020026072
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2020151464
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-02-19
(31)【優先権主張番号】19163500.2
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ダヴィド
【審査官】山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3169559(JP,U)
【文献】特開2002-199914(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第667786(CH,A5)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレスレットの縁部を形成する2列のサイドリンク(1)と、及びこれらのサイドリンク(1)の間に配置される少なくとも1列の中央リンク(2)とを備えるリンク式ブレスレット(100)であって、
前記サイドリンク(1)にはそれぞれ、前記中央リンク(2)に対向している内側面(4)にて少なくとも開いている2つの穴(3)があり、一方の列の前記サイドリンク(1)の2つの前記穴(3)は、前記中央リンク(2)を挟んで、他方の列の前記サイドリンク(2)の2つの前記穴(3)と対向し、
前記中央リンク(2)を少なくとも2つの孔(6)が少なくとも部分的に横断し、
当該リンク式ブレスレットは、前記サイドリンク(1)に形成された前記穴(3)それぞれに挿入される軸(7)を備え、前記挿入される軸(7)は、前記穴(3)毎に異なり、前記軸(7)のそれぞれは、それぞれ異なる穴(3)に挿入され、一方の列の前記サイドリンク(1)の2つの前記穴(3)のそれぞれに挿入される前記軸(7)と、他方の列の前記サイドリンク(1)の2つの前記穴(3)のそれぞれに挿入される前記軸(7)とは異なり、
前記軸(7)は、前記中央リンクに形成された前記孔(6)に嵌められ、各軸(7)には、その端部(70)の近くに溝部(71)があり、前記中央リンク(2)には、前記溝部(71)へのアクセスを可能にする凹部(5)があり、
前記溝部(71)は、前記中央リンク(2)に形成された前記凹部(5)に挿入されるロック手段(8)と連係するように構成しており、
前記ロック手段(8)は、当該リンク式ブレスレットの組み付けを維持するように構成している
ことを特徴とするリンク式ブレスレット(100)。
【請求項2】
前記ロック手段(8)は、前記軸をブロックするブロック手段(81)を備え、
前記ブロック手段(81)は、前記軸が前記孔(6)内に収容されているときに、前記軸の前記溝部(71)と連係するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載のリンク式ブレスレット(100)。
【請求項3】
各ロック手段(8)は、ねじ(9)を用いて各開口内における適切な位置に保持される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリンク式ブレスレット(100)。
【請求項4】
前記ブロック手段(81)は、前記ロック手段(8)と一体化されている
ことを特徴とする請求項2、または、請求項2を引用する請求項3に記載のリンク式ブレスレット。
【請求項5】
前記孔(6)に前記凹部(5)を介してアクセス可能である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のリンク式ブレスレット(100)。
【請求項6】
前記ロック手段(8)は、カバー(80)と、及び前記カバー(80)の内面から垂直方向に延在している2つのブロック用タブを備え、
前記タブ、前記軸(7)の前記溝部(71)と連係するように構成している
ことを特徴とする請求項1記載のリンク式ブレスレット(100)。
【請求項7】
前記ロック手段(8)の前記カバー(80)は、前記凹部(5)内に形成されたリム(50)上に載置されるように構成している
ことを特徴とする請求項6に記載のリンク式ブレスレット(100)。
【請求項8】
前記軸(7)及び対応する孔(6)は、前記サイドリンク(1)と前記中央リンク(2)の間のいずれの相対的な角度的運動をも防ぐような円筒状の形を有する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のリンク式ブレスレット(100)。
【請求項9】
前記中央リンク(2)と前記ロック手段(8)の間にOリングシール(82)が配置される
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のリンク式ブレスレット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンク式ブレスレットの分野に関し、特に、鋼、貴金属、金属合金、複合材料又は他の材料で作られた腕時計のブレスレットの分野に関する。このようなブレスレットでは、リンクは互いに保持されており、ヒンジを形成するようにピンでリンクが組み付けられる。ピンは、圧入されたり、ねじ込まれたり、自由に係合したりすることがある。本発明は、互いに保持されねじを用いてヒンジを形成するように組み付けられるリンクを備えるブレスレットに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなブレスレットは、自由ピンを用いて組み付けられたリンクを備えるブレスレットを開示しているフランス特許FR2688984によって知られている。この自由ピンの両端には、ロックメンバーのハウジングと連係する溝が形成されている。このロックメンバーは、サービス位置において、外側リンクに形成された凹部内で固定されるように設計されている。この凹部はこれらリンクの内側面にて開いている。これらのロックメンバーは、ねじを用いて外側リンクに固定される。
【0003】
欧州特許EP1186252によって、2つのサイドリンクの列と、これらのサイドリンクの間に配置される少なくとも1つの中央リンクの列と、及びそのサイドリンクと中央リンクにて自由に配置されるが遊びはないピンとを有するリンク式ブレスレットが知られている。これらのピンには、その両端に、ロックメンバーと連係するように構成している溝が形成されており、このロックメンバーは、このアセンブリーをメンテナンスするためにサイドリンク内に形成された凹部に入ってクリップされるように意図されている。
【0004】
この種のリンク式ブレスレットには、外側リンクに対するロックメンバーの挿入及び/又は取り外しに関連する課題がある。
【0005】
実際に、挿入及び/又は取り外しには、ブレスレットの組み付け及び/又は分解のために、又はブレスレットの長さを調整するために、ねじ回しのような道具を使用することが必要となる。
【0006】
最後に、このようなアセンブリーの信頼性は、クリップインロックメンバーの場合には確実ではない。クリップインロックメンバーは、時間が経過に伴って十分に保持しなくなったり、壊れたり、さらには、衝撃を受けたときに部分的に外れたりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、着用者が容易に分解及び/又は調整することができるブレスレットを提供することによって前記課題の全部又は一部を克服することである。
【0008】
また、本発明の目的の1つは、少なくとも1つの特定の実施形態において、単純であり組み付けが低コストであるようなブレスレットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、ブレスレットの縁部を形成する2列のサイドリンクと、及びこれらのサイドリンクの間に配置される少なくとも1列の中央リンクとを備えるリンク式ブレスレットに関する。前記サイドリンクにはそれぞれ、前記中央リンクに対向している内側面にて少なくとも開いている2つの穴がある。
【0010】
本発明において、当該リンク式ブレスレットは、前記サイドリンクに形成された前記穴それぞれに挿入される、軸であるアーバーを備え、前記アーバーは、前記中央リンクに形成された前記ハウジングに嵌められ、各アーバーには、その端部の近くに溝部ないし首部がある。前記中央リンクには、前記溝部へのアクセスを可能にする開口があり、前記溝部は、前記中央リンクに形成された凹部に挿入されるように構成しているロック手段と連係するように構成しており、前記ロック手段は、当該リンク式ブレスレットの組み付けを維持するように構成している。
【0011】
本発明の他の好ましい代替実施形態は、以下の特徴を有する。
- ロック手段は、アーバーをブロックするブロック手段を備え、このブロック手段は、アーバーがハウジング内に収容されているときにアーバーの溝部と連係するように構成している。
- 各ロック手段は、ねじを用いて各凹部内にて適切な位置に保持される。
- 前記ブロック手段は、前記ロック手段と一体化されている。
- 前記ハウジングに前記凹部を介してアクセス可能である。
- 前記ロック手段は、カバーと、及び前記カバーの内面から垂直方向に延在している2つのタブとを備え、前記タブは、アーバーの溝部と連係するように構成している。
- ロックメンバーの前記カバーは、凹部内にて形成されたリム上に載置されるように構成している。
- 前記アーバー及び対応するハウジングは、サイドリンクと中央リンクの間のいずれの相対的な角度的運動をも防止するような円筒状の形を有する。
- 中央リンクとロック手段の間にOリングシールが配置される。
【0012】
また、本発明は、本発明に係るリンク式ブレスレットを備える腕時計に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面を参照しながら説明用の例(これに限定されない)として与えられる以下の本発明の特定の実施形態の説明を読むことによって、本発明の他の特徴や利点を明確に理解することができるであろう。
【0014】
図1】本発明に係るリンク式ブレスレットの分解斜視図である。
図2】本発明に係るリンク式ブレスレットの部分分解図である。
図3】本発明に係るリンク式ブレスレットを下方から見た分解図である。
図4】本発明に係るリンク式ブレスレットの水平方向の正中面に沿った断面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1、2、3及び4をともに参照しながら本発明に係るリンク式ブレスレットについて説明する。
【0016】
このようなブレスレットは、一般的には、鋼、貴金属又は金属合金によって作られ、複合材料、セラミックス又はプラスチック材料によって作ることもできる。
【0017】
図1~4に示しているように、ブレスレットは、いくつかの列、図示している場合においては3列、を形成するように構成しているリンク1、2の組によって形成される。当業者であれば、例えば、本発明を5列のブレスレットに適応させることは難しくないであろう。ブレスレット100は、貫通穴11を通るアーバー12を用いて伝統的な手法でブレスレット100に組み付けられる一又は複数の接続リンク10によって完成し、これによって、例えば、トング(tongue)式のバックル又はクラスプの組み付けが可能になる。
【0018】
本発明に係るブレスレット100は、ブレスレットの縁部を形成するサイドリンク1と、及びこれらの2つの列のサイドリンク1の間に配置される中央リンク2とを備える。
【0019】
図1に示しているように、サイドリンク1にはそれぞれ、それらの内側面4にて開いている2つの穴3が形成されている。穴3は、非貫通穴であることができ、また、貫通穴であることができる。
【0020】
中央リンク2を2つのハウジング6が少なくとも部分的に横断しており、これらのハウジング6は、中央リンク2の本体に形成される凹部5内へと開いている。凹部5は中央リンクの下側にて開いている。この「下側」とは、ブレスレットのユーザーの手首に接触するように意図された側を意味する。ブレスレットが手首に着用されているときには、ブレスレットの組み付け手段は見えない。また、ハウジング6は、中央リンクを貫通するように延在している貫通ハウジングであることもできる。
【0021】
サイドリンク1及び中央リンク2は、ブレスレットの横断方向に配置される、軸であるアーバー7を用いてヒンジを形成するように互いに取り付けられ、これらのアーバー7は、その端部73によって穴3に取り付けられる。これらのアーバー7にはそれぞれ、その端部に、頭部70と、溝部ないし首部71があり、この溝部71は、頭部70と本体72によって境界が定められる。これらは両方とも溝部71よりも直径が大きい。アーバー7がハウジング6に挿入された後において、溝部71には中央リンク2の凹部5からアクセス可能である。アーバー7は、穴3にねじ込んだり、圧入したりすることができる。
【0022】
また、このブレスレットは、さらに、凹部5に対応する形状及び寸法を有するカバー80と、及び2つのブロック用メンバーないしブロック用タブ81によって形成されるロック手段8とを備える。このブロック用メンバー81は、カバー80と一体化されており、カバー80の内面から垂直方向に延在している。ブロック用メンバー81は、アーバーの溝部71内に入り、アーバーの本体72と頭部70の間にてアーバー上に載置される。好ましいことに、凹部5の開口には、カバー80を受けるように構成しているリム50があり、これによって、カバー80は中央リンク2の表面と同一平面上になる。
【0023】
ロック手段は、リンクどうしを保持し、リンクどうしが組み付けられた後に凹部5を閉じる。そして、ユーザーは、単に、カバーを通り抜けるようにねじ9を挿入し、ねじ9を中央リンク2にねじ込むだけで、ロック手段を中央リンクの凹部5内の適切な位置に保持することができる。図2に示しているように、カバー80には、ねじ9の頭部91を受けるように構成しているハウジングがあり、ねじの本体90は、オリフィスを介してカバー80を通り抜け、中央リンク2の底部20にねじ込まれる。
【0024】
この組み付け方法によって、アーバー7を軸方向にブロックし、ユーザーが容易に挿入し取り外すことができる単一の部品を用いてロック手段8を介してサイドリンク1と中央リンク2を保持することが可能になる。
【0025】
リンク1、2の対応する穴/ハウジング3、6内にてアーバー7を調整することによってリンクをポジショニングすることができ、このポジショニングによって、比較的単純な機械加工に起因して発生することがあるリンクの間の遊びを抑えることができる。このようにして、ほとんど遊びがなくヒンジを形成するようにリンクどうしが取り付けられたブレスレットを作ることができる。
【0026】
リンクは、以下に示すように組み付けられる。まず、サイドリンク1の穴3にアーバー7を挿入する。次に、中央リンク2、1どうしが互いに対してポジショニングされるまで中央リンク2のハウジング6内にアーバーの頭部70を挿入しながら、サイドリンク1が中央リンク2に接するように配置される。なお、組み付けを容易にするために、ブレスレットは、その内面がユーザーの方を向くように組み付けられることは明らかである。
【0027】
少なくとも3列のリンクを備えるブレスレットを形成するようにリンク1、2が並んで配置された後に、中央リンク2の凹部5内にてアーバーの頭部70と溝部71を見ることができアクセス可能である。そして、ブロック用タブがアーバー7の溝部71に入るようにして凹部5の開口の方を向くようにカバー80を配置することによって、ロック手段8が凹部5内に配置される。
【0028】
ロック手段8が所定の位置に配置された後には、単に、凹部5のリム50上にカバー80を置くようにロック手段8を押すだけでよく、そして、図4の断面図に示しているように、ブロック用タブ81は、リンクのアセンブリーを確実に保持する。
【0029】
最後に、ユーザーは、単に、各中央リンク2にねじ9を挿入して、それらのねじ9を底部20にねじ込むだけで、ロック手段8を固定して、ブレスレットのアセンブリーを完成させることができる。
【0030】
好ましいことに、Oリングシール82は、中央リンク2にある凹部5内の底部20に配置され、これによって、ロック手段8と中央リンクの間のいずれの遊びをもなくす。ねじ9がねじ込まれると、シール82は底部20とカバー80の間で圧縮され、このことによって、遊びがあってもなくす。
【0031】
このようにして、ユーザーがブレスレットの長さを調整したりリンクの1つを交換したりしたい場合に、このアセンブリーを容易に分解することができる。分解のためには、単に、1つ又は複数のねじ9を緩め、1つ又は複数のロック手段8を取り外し、所望のリンクを取り出すだけでよい。
【0032】
このようなブレスレットによって、特に、ブレスレットを構成する部品の数を減らし、そして何よりも、伝統的なブレスレットの圧入ピンを大幅になくすことができる。
【0033】
このブレスレットは、ねじや圧入ピンがないために、組み付けが容易である。これは多くのモデルに用いることができ、自動化されたプロセスを用いて容易に製造することができる。この組み付けをいつでも逆にすることができ、したがって、ブレスレットの長さを調整したり、損傷したリンクを交換したりするために、ブレスレットを分解することが容易になる。
【0034】
ブレスレット全体を個々に分解せずにリンクを交換することができ、ユーザーが容易に長さ調整を行うことができる。
【0035】
本発明のこれらの異なる態様の結果として、長さ調整及び組み付けが容易な単純な設計のリンク式ブレスレットが提供される。
【0036】
もちろん、本発明は、図示している例に限定されず、当業者が容易に想到することができる種々の代替実施形態及び変更が可能である。
【0037】
1 サイドリンク
2 中央リンク
20 中央リンクの底部
3 穴
4 内側面
5 凹部
50 リム
6 ハウジング
7 アーバー
70 アーバーの頭部
71 溝部
72 アーバーの本体
73 アーバーの端部
8 ロック手段
80 カバー
81 ブロック用タブ
82 Oリングシール
9 ねじ
90 ねじ頭
91 ねじ本体
10 接続リンク
11 貫通穴
12 ピン
100 ブレスレット
図1
図2
図3
図4