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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】皮膚状態検知装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
A61B5/00 M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020093031
(22)【出願日】2020-05-28
(62)【分割の表示】P 2016164228の分割
【原出願日】2016-08-25
(65)【公開番号】P2020146486
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126583
【弁理士】
【氏名又は名称】宮島 明
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀樹
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-518622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0054303(US,A1)
【文献】特開2001-188024(JP,A)
【文献】特開2009-153728(JP,A)
【文献】特開2000-139846(JP,A)
【文献】特表2001-504739(JP,A)
【文献】特開2015-154886(JP,A)
【文献】特開2014-180305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/01
A61B 5/06 - 5/22
G01N 21/00 -21/01
G01N 21/17 -21/61
G01N 33/48 -33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の状態を検知するための皮膚状態検知装置であって、
前記皮膚で反射した赤色、緑色、青色それぞれの波長帯の反射光強度を検知するための検知部と、
前記赤色の波長帯の反射光である赤色反射光、前記緑色の波長帯の反射光である緑色反射光又は前記青色の波長帯の反射光である青色反射光のうちのいずれかの反射光の光強度によって、皮膚の状態を判定する制御部と、を有し、
前記制御部は、想定される前記皮膚の状態ごとに、前記赤色反射光、前記緑色反射光又は前記青色反射光のなかから、使用する前記反射光を選択し、
前記判定する皮膚状態は、床ずれによるものであって、床ずれの初期症状の検出を行うときは、前記赤色反射光のみを使用し、床ずれの症状が進行した皮膚状態を判定するときは、前記赤色反射光と前記青色反射光のみを使用する
ことを特徴とする皮膚状態検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被験者の皮膚に貼付された保護シートを介して皮膚の状態を検知するための皮膚状態検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化に伴い、長期の治療を要する患者が多くなっている。これらの患者が同じ体勢で寝たきりになった場合、身体と支持面(多くはベッド)との接触局所で、圧迫により血行不全となった周辺組織に床ずれを起こす問題がある。
この床ずれは初期の発赤から始まり、放置すると組織欠損などの重症に短期間で悪化する危険性がある。したがって初期の発赤段階で床ずれを認識して治療する必要がある。
【0003】
しかし、初期の発赤段階で床ずれを認識するのは難しいことであり、現状は介護師や看護師が患者の発赤に気がつくと、ガラス板や指押しの色変化で床ずれかどうかを確認している。
皮膚色は個人差があり、初期の皮膚の赤みの判断は、医師や看護師等の経験者で判断しているのが実情である。しかし自宅等で家族が介護している場合が多く、家族のような非経験者では判断が難しく、初期の発赤を見逃して悪化させてしまうことがある。
【0004】
また、床ずれ発見後の対応としては、発見した床ずれ部分の皮膚に保護シートを貼って皮膚の接触局所への圧迫を緩和し、床ずれ部分の回復経過を観察して行くことになる。
この経過観察は、保護シートを剥がして観察しようとすると、保護シートの剥離によって患者に苦痛を与え、また床ずれ部分を悪化させる危険性もあるため、保護シートを剥がさないで観察することが望ましい。
【0005】
したがって、経過観察は床ずれ部分を保護シートが貼られた上から観察することになるが、もともと主観的な色味判断であるため、保護シート越しの判断では家族等の非経験者はもちろん、医師や看護師等の経験者でも困難となる。
さらに、処方される保護シートとしては、光透過特性の異なる複数種類があり、表面の光沢の違いや、貼り方による表面の凹凸などによっても、皮膚の赤味変化の把握を難しくしている。
【0006】
上記床ずれの観察を光学的に行なう従来技術としは特許文献1があり、以下特許文献1に記載された床ずれ検出装置について説明する。
特許文献1に記載された床ずれ検出装置は、身体の皮膚に検出面を押し当てることにより水分量を検出する一つまたは複数の水分センサを有する第1の検出手段と、皮膚に検出面を押し当てることにより水分量を検出する、第1の検出手段とは別個に設けられた第2の検出手段と、第1の検出手段により得られた水分量と第2の検出手段により得られた水分量との差に基づいて、第1の検出手段が有する水分センサの検出面が押し当てられた部位が床ずれである可能性を示す床ずれ危険度を判定する判定手段と、判定手段の判定結果を表示する表示装置を備えている。そして第1の検出手段により得られた床ずれ部位の水分量と第2の検出手段により得られた比較用の皮膚の水分量との差に基づいて床ずれを判定している。
【0007】
また、床ずれの観察ではないが特許文献2には、接触アレルギー検査用シートとして、透明なシートにアレルゲンが載置された検査用シートを皮膚に被着し、その透明なシートの上から光学的手法によって皮膚の色変化を直接検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5922457号公報(第1頁、図1
【文献】特開2001-55346号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示される従来例は、本発明と共通する床ずれ検出装置ではあるが、皮膚の床ずれ個所に直接検出面を押し当てて水分量の検出を行うものである。したがって皮膚の床ずれ個所に保護シートが被着されている場合には、保護シートを剥がして測定を行うことになり、患者に保護シートを剥がすことの苦痛を与えることになる。
また、特許文献2に示された従来技術は、床ずれ検出装置に関するものではなく、また、皮膚に被着した透光シートの有無によらず、皮膚色を光学的に検知する方法が、具体的に記載されていない。
【0010】
本発明の目的は、床ずれのような患部の皮膚に被着した保護シートの上から直接患部の状態を観察し、かつ保護シートの光学的特性を補正して正確な経過観察が可能な皮膚状態検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明における皮膚状態検知装置の構成は、皮膚の状態を検知するための皮膚状態検知装置であって、前記皮膚で反射した赤色、緑色、青色それぞれの波長帯の反射光強度を検知するための検知部と、前記赤色の波長帯の反射光である赤色反射光、前記緑色の波長帯の反射光である緑色反射光又は前記青色の波長帯の反射光である青色反射光のうちのいずれかの反射光の光強度によって、皮膚の状態を判定する制御部と、を有し、前記制御部は、想定される前記皮膚の状態ごとに、前記赤色反射光、前記緑色反射光又は前記青色反射光のなかから、使用する前記反射光を選択し、前記判定する皮膚状態は、床ずれによるものであって、床ずれの初期症状の検出を行うときは、前記赤色反射光のみを使用し、床ずれの症状が進行した皮膚状態を判定するときは、前記赤色反射光と前記青色反射光のみを使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記の通り、本発明の皮膚状態検知装置は、皮膚と保護シートを被着した患部からの反射光を比較して患部の経過状況を観察する皮膚状態検知装置において、保護シートを被着した患部からの赤色、緑色、青色それぞれの波長帯の反射光に、保護シートの光学的特性に基づく補正を加えることにより、正確な皮膚状態検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置を示す斜視図である。
図2A図1に示す皮膚状態検知装置におけるA-A断面を示す部分断面図である。
図2B図1に示す皮膚状態検知装置の変形例におけるA-A断面を示す部分断面図である。
図3】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の回路構成を示すブロック図である。
図4A】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の使用例を示す模式図である。
図4B】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の使用例を示す模式図である。
図5A】本発明の第1実施形態における光源と検知部との光学的動作を説明する模式図である。
図5B】本発明の第1実施形態における光源と検知部との光学的動作を説明する模式図である。
図6】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の動作を説明するフローチャートである。
図7A】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の動作を説明する表である。
図7B】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の動作を説明する表である。
図8A】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の動作を説明するグラフである。
図8B】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の動作を説明するグラフである。
図8C】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の動作を説明するグラフである。
図8D】本発明の第1実施形態における皮膚状態検知装置の動作を説明するグラフである。
図9】本発明の第2実施形態における、皮膚状態検知装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の思想を具体化するための皮膚状態検知装置を例示するものであって、本発明を以下の構成に限定しない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。以下の説明において、同一部品、同一構成要素には同一の名称、符号を付し詳細説明を適宜省略することがある。
また、以下の実施形態の説明においては、床ずれの皮膚状態を観察する皮膚状態検知装置を事例として説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1から図8を用いて本発明の第1実施形態の皮膚状態検知装置について説明する。
図1は第1実施形態の皮膚状態検知装置の構成を示す斜視図である。図2A図1に示す皮膚状態検知装置におけA-A断面を示す部分断面図、図2B図1に示す皮膚状態検知装置の変形例におけるA-A断面を示す部分断面図、図3図1に示す皮膚状態検知装置の回路構成を示すブロック図である。
【0016】
[第1実施形態の構成説明]
図1に示す皮膚状態検知装置1は、長方形のケース2の前面に測定部3が設けられ、この測定部3の構成は照射用の光源4と検知部5を有し、その周辺は黒色の弾性体よりなる接触部材6が設けられている。
またケース2の上面には皮膚状態検知装置1の測定動作を制御するスイッチ7と皮膚状態検知装置1の測定結果を表示する表示部8が設けられている。
なお、後述するが皮膚状態検知装置1のケース2の内部には、電源用の電池や測定回路等が内蔵されている。
【0017】
図2A図1に示す皮膚状態検知装置1のA-A断面を示す部分断面図であり、検知部5は赤色光を検知する赤色光センサ5r(以後、「Rセンサ5r」と記載)、緑色光センサ5g(以後、「Gセンサ5g」と記載)、青色光センサ5b(以後、「Bセンサ5b」と記載)を有し、それぞれ光源4から照射された白色光から、赤色成分R、緑色成分G、青色成分Bを検出する。そして光源4と検知部5を構成するRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bの周辺は黒色の接触部材6によって覆われており、光源4と検知部5との
光学的検出動作に対して外部光の混入を防止している。
さらに接触部材6の先端に設けられた枠形状部6aの柔軟性によって測定部3が人体の皮膚に密着するようになっている。
【0018】
なお、皮膚状態検知装置1において、光源4から照射された白色光が皮膚又は保護シートで反射した反射光強度を、検知部5を構成しているRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bによって、赤色成分R、緑色成分G、青色成分Bごとに検出している。このとき赤色成分R、緑色成分G、青色成分Bの反射光強度を合算した白色成分Wを反射光強度として検出してもよい。
白色成分Wの反射光強度として検出する場合は、変形例として図2Bに示すように検知部5に白色光検出部として白色光センサ5w(以後、「Wセンサ5w」と記載)をさらに設け、このWセンサ5wによって直接白色成分Wの検出を行っても良い。
図2Bの構成によればセンサが一つ増えるが、図2Aに示したRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bにより検出された3色光の合算による白色成分Wより、Wセンサ5wにより直接検出された白色成分Wの反射光強度の検出精度が高く、皮膚状態検知の動作に有利である。
【0019】
[皮膚状態検知装置の回路構成の説明]
次に図3を用いて、皮膚状態検知装置1の回路構成を説明する。
図3は、皮膚状態検知装置1の回路構成を示すブロック図であり、測定部3、測定スイッチ7、表示部8に加えてケース2に内蔵される制御部10によって構成されている。
制御部10は、測定スイッチ7の操作回数を判定するスイッチ回数判定部11、スイッチ回数判定部11からの信号を受けて各種の制御信号を出力する制御回路12と、制御回路12からの制御信号を受けて、測定部3の検知部5を構成するRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bからの検出光を入力して、光信号である赤色成分R(以後、「R値」と記載する)、緑色成分G(以後、「G値」と記載する)、青色成分B(以後、「B値」と記載する)を検出すると共に、R値、G値、B値を合成した白色成分W(以後、「W値」と記載する)を算出する光信号処理部13と、光信号処理部13からの各光信号によって各種の判定動作を行う判定回路部14とを有する。
【0020】
さらに判定回路部14は、光信号処理部13からの検出光信号Phc(R値、G値、B値)と、検出光信号Phcから算出した総合光信号Pha(R値、G値、B値を合算したW値)とを記憶する記憶部15と、記憶部15から総合光信号Phaを受けて保護シートの有無を判定する保護シート判定部16と、保護シート判定部16から保護シート有りの信号Saと、保護シートによる光学特性値を受けて補正係数αを算出する補正係数計算部17と、記憶部15から供給される検出光信号Phc1(R1値、G1値、B1値)を、補正係数計算部17から供給される補正係数αによって補正した検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)を作成する補正部18と、補正部18から供給される検出光信号Phc2を予め設定した基準値と比較して床ずれか否かを判定する皮膚状態判定部19とを有する。
【0021】
上記では、検知部5としてRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bで構成された例について説明したが、白色光検出部としてWセンサ5wをさらに設け、このWセンサ5wによって直接白色成分Wの検出を行っても良い。その場合は、光信号処理部13でR値、G値、B値を合算してW値を算出する処理は不要となる。
【0022】
図3では、検知部5で検出した反射光強度の情報を光信号処理部13を介して記憶部15に記憶する構成例を示したが、記憶部15を設けずに光信号処理部13から直接保護シート判定部16、補正部18、床ずれ判定部19に検出光信号Phcや総合光信号Phaを供給する構成とすることもできる。
【0023】
[皮膚状態検知装置の操作方法と動作原理の説明]
次に図4Aから図5Bを用いて、皮膚状態検知装置1の操作方法と動作原理を説明する。図4A図4Bは被験者の皮膚に、皮膚状態検知装置1の測定部3を押し当て検知動作を行う状態を示す模式図であり、図4Aは保護シート200の無い皮膚の非圧迫部103に皮膚状態検知装置1の測定部3を押し当てた基準皮膚色測定状態を示し、図4Bは保護シート200を貼った皮膚の圧迫部102に、皮膚状態検知装置1の測定部3を押し当てた対象皮膚色測定状態を示している。また、図5A及び図5Bは、図4A及び図4Bに示す基準皮膚色測定状態及び対象皮膚色測定状態での光源4と検知部5との光検出動作を示す模式図である。
【0024】
図4Aから図5Bにおいて、皮膚100の床ずれによる発赤部101には保護シート200が被着されて、発赤部101を保護している。この皮膚100の保護シート200が被着されている部分が圧迫部102であり、保護シート200が被着されていない部分が非圧迫部103である。
そして、図4Aは皮膚状態検知装置1の測定部3を保護シート200が被着されていない非圧迫部103に押し当てた基準皮膚色測定状態を示し、図4Bは皮膚状態検知装置1の測定部3を保護シート200が被着されている圧迫部102に押し当てた対象皮膚色測定状態を示している。
この皮膚状態検知装置1の測定部3を、皮膚100又は保護シート200に押し当てた状態において、接触部材6の先端に設けられた枠形状部6aの柔軟性によって測定部3が皮膚100または保護シート200に密着している。
【0025】
図5A及び図5Bは、被験者の皮膚に、皮膚状態検知装置1の測定部3を押し当て検知動作を行う状態における、光源4と検知部5との光学的動作を示す模式図であり、図5A図4Aに示す基準皮膚色測定状態に対応し、図5B図4Bに示す対象皮膚色測定状態に対応している。
【0026】
すなわち、図5Aの基準皮膚色測定状態では、光源4から出射した光線P1はすべて皮膚100の非圧迫部103で反射されて、反射光P2として検知部5に受光される。
図5Bの対象皮膚色測定状態では、光源4から出射した光線P1の多くは保護シート200の表面で反射されて反射光P3(点線で示す)として検知部5に受光される。また光線P1の一部は保護シート200を通過し、皮膚100の圧迫部102で反射されて、反射光P4として検知部5に受光される。
【0027】
後述するが、図5Bに示す対象皮膚色測定状態では保護シート200の種類や貼り方によって、保護シート200の表面で鏡面反射する成分が含まれることで、反射光P3と反射光P4との合成された反射光は、図5Aに示す基準皮膚色測定状態での反射光P2に比べて、R値、G値、B値の各輝度が高くなる。
【0028】
次に、図4Aから図5Bに示す模式図を参照し、図3に示す回路構成図に従って皮膚状態検知装置1の動作例を説明する。
まず、皮膚状態検知装置1を図4Aに示す基準皮膚色測定状態にセットし、測定スイッチ7を1回操作すると、スイッチ回数判定部11より第1回操作信号が出力され、この第1回操作信号により制御回路12が基準皮膚色測定モードとなって測定部3と光信号処理部13を基準皮膚色測定状態に制御する。
この結果、測定部3を構成する光源4が10回の発光動作を繰り返し、検知部5を構成するRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bは、基準値信号として各々10個のRt値、Gt値、Bt値を受光し、光信号処理部13に供給する。
【0029】
光信号処理部13は各々10個のRt値、Gt値、Bt値を供給されると、各々10個のデータを平均値化したRt値、Gt値、Bt値を算出する。さらに平均値化したRt値、Gt値、Bt値を加算したWt値を算出し、この算出したWt値を基準値の総合光信号Pha0と、均値化したRt値、Gt値、Bt値を基準値の検出光信号Phc0とを記憶部15に記憶する。
【0030】
次に、皮膚状態検知装置1を図4Bに示す対象皮膚色測定状態にセットし、測定スイッチ7を1回操作すると、スイッチ回数判定部11より第2回操作信号が出力され、この第2回操作信号により制御回路12が対象皮膚色測定モードとなって測定部3と光信号処理部13を対象皮膚色測定状態に制御する。
この結果、測定部3を構成する光源4が10回の発光動作を繰り返し、検知部5を構成するRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bは、測定値信号として各々10個のR値、G値、B値を受光し、光信号処理部13に供給する。
【0031】
光信号処理部13は、各々10個のR値、G値、B値が供給されると、各々10個のデータを平均値化したR値、G値、B値を算出する。さらに平均値化したR値、G値、B値を加算したW値を算出し、この算出したW値を測定値の総合光信号Pha1とし記憶部15に供給し、平均値化したR値、G値、B値を測定値の検出光信号Phc1(R1値、G1値、B1値)として記憶部15に記憶する。
【0032】
記憶部15は、記憶した基準値の総合光信号Pha0と測定値の総合光信号Pha1のデータが全て揃うと、この記憶データを保護シート判定部16に供給する。保護シート判定部16は供給されたデータから、Pha1-Pha0=ΔWを算出する。
このΔWは皮膚100の非圧迫部103と、保護シート200からの反射光量の差分であり、この反射光量差ΔWが予め定めた比較値Mより大きければ、測定個所に保護シートが有るものと判定し、反射光量差ΔWが予め定めた比較値Mより小さければ、測定個所に保護シートが無いものと判定する。そして保護シート有りの判定の場合には保護シート有り信号Saと共に反射光量差ΔWを補正係数計算部17に供給し、保護シート無しの判定
の場合には保護シート無し信号Snを補正部18に供給する。
【0033】
保護シート有り信号Saと反射光量差ΔWを供給された補正係数計算部17は、補正係
数αを計算する。補正係数αは反射光量差ΔWをR、G、Bに3等分した値であり、α=ΔW/3で計算され、この補正係数αを補正部18に供給する。
補正係数αを供給された補正部18は、記憶部15から供給される検出光信号Phc1(R1値、G1値、B1値)の各R1値、G1値、B1値に補正係数αを加えて補正した検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)を床ずれ判定部19に供給する。
また、保護シート判定部16の判定が保護シート無しの判定で、保護シート無し信号Snが補正部18に供給された場合には、補正部18は補正動作を行わず、記憶している検出光信号Phc1のデータをそのまま検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)として床ずれ判定部19に供給する。
【0034】
補正部18から検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)を供給された床ずれ判定部19は、各R2値、G2値、B2値を予め設定された基準値Xと比較し、R2値、G2値、B2値の内の1つでも基準値Xより大きければ、床ずれと判定し、表示部8に床ずれ表示と、床ずれ部分の色を表示する。
【0035】
床ずれの初期症状の発赤のみを検出する場合は、赤色が強くなるためR2値のみを用いて床ずれの判定をすることもできるし、床ずれの症状が進行して赤黒くなった皮膚状態を判定する場合は、R2値とB2値を用いて皮膚状態を判定することもできる。基準値XをR2値、G2値、B2値ごとに設定し、それぞれの色成分について基準値Xと比較した結
果の組合せによって、複数の症状を詳細に判定することも可能である。
【0036】
検知部5に白色光検出部であるWセンサ5wを設け、このWセンサ5wによって直接白色成分Wの検出を行った場合は、光信号処理部13は総合光信号Pha0と総合光信号Pha1とを、均値化したRt値、Gt値、Bt値または平均化したR値、G値、B値からWt値またはWを算出するのではなく、Wセンサ5wで検出される10個のWt値またはW値を平均化し、その平均化したWt値、W値をPha0及びPha1として記憶部15に供給し、保護シート判定部16はこのPha0及びPha1によってΔWを算出して保護シートの有無の判定を行う。
【0037】
測定部3に白色光検出用のWセンサ5wを設けて、白色光を直接検出する方式は、図2Aに示すRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bによりR値、G値、B値を個別に測定して加算する方式に比べて特性的に優れている。その理由はRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bにはそれぞれ特性値にバラツキがあり、検出したR値、G値、B値が真の値より微妙にずれるので、それらを合算したW値も、Wセンサ5wで直接測定したW値より少しずれた値となる。
【0038】
このように、図2Bに示す皮膚状態検知装置1の変形例の構成は、Wセンサ5wが一つ増加することになるが、検出される白色光の精度が高くなり、全体しての測定精度が高まるという効果を有する。
【0039】
[皮膚状態検知装置の動作を示すフローチャートの説明]
次に図6に示すフローチャートにより、皮膚状態検知装置1の動作の流れを説明する。なお、このフローチャートにおいても、図3に示す回路構成図及び図4A及び図4Bに示す模式図を参照して行なう。
ステップS1は、皮膚状態検知装置1に電源を投入する測定開始モードである。ステップS2は、基準皮膚色測定モードであり、図4Aに示す皮膚状態検知装置1を皮膚100の非圧迫部103に当て、測定スイッチ7を操作する。ステップS3は、基準皮膚色値検出モードであり、光信号処理部13がRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bより各々10個ずつ供給されるRt値、Gt値、Bt値を平均化して各々10個のデータを平均値化したRt値、Gt値、Bt値を算出する。さらに平均値化したRt値、Gt値、Bt値を加算したWt値を算出し、この算出したWt値を基準値の総合光信号Pha0と、均値化したRt値、Gt値、Bt値を基準値の検出光信号Phc0とを記憶部15に供給して記憶させる。
【0040】
ステップS4は、対象皮膚色測定モードであり、図4Bに示す皮膚状態検知装置1を皮膚100に保護シート200を被着した圧迫部103に当て、測定スイッチ7を操作する。ステップS5は対象皮膚色値検出モードであり、光信号処理部13がRセンサ5r、Gセンサ5g、Bセンサ5bより各々10個ずつ供給されるR値、G値、Bを平均化して各々10個のデータを平均値化したR値、G値、B値を算出する。さらに平均値化したR値、G値、B値を加算したW値を算出し、この算出したW値を測定値の総合光信号Pha1と、均値化したR値、G値、B値を測定値の検出光信号Phc1とを記憶部15に供給し、記憶させる。
【0041】
ステップ6は、保護シートの有無判定モードであり、シート判定部16は記憶部15に記憶された基準値のPha0(W0)及び測定値のPha1(W1)によって光量差ΔWを算出して保護シートの有無の判定を行う。一例として基準となる皮膚の非圧迫部103からの反射光に対して、保護シート200からの反射光の光量が5倍以上あると仮定した場合、特定値Hを5と定める。そして「W1-W0=ΔW>5」によって保護シートの有無を判定する。そしてのΔW>5の場合(YES)には保護シート有りとして補正係数計
算部17に保護シート有り信号Saと共に光量差ΔWを供給する。
【0042】
ステップS7は、補正値計算モードであり、補正値計算部17は保護シート判定部16より供給された保護シート有り信号Saによって動作を開始し、光量差ΔWをR、G、Bの3色にそれぞれ補正するための補正値αを計算する。すなわち補正値αの計算式は以下のα=ΔW/3である。
【0043】
ステップS8は、補正処理モードであり、補正部18は記憶部15から供給される測定値の検出光信号Phc1(R1値、G1値、B1値)に補正値αを加えて補正した検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)を作成する。すなわち補正処理の計算式は以下である。{R2=R1-α、G2=G1-α、B2=B1-α}である。
【0044】
ステップS9は、補正処理無しモードであり、ステップS6の判定において、保護シート無し判定の場合、保護シート無し信号Snを供給された補正部18は記憶部15から供給される測定値の検出光信号Phc1(R1値、G1値、B1値)に補正を加えずに補正した検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)に変換する。
【0045】
補正部18は、保護シート有り信号Saを受けても、保護シート無し信号Snを受けても、床ずれ判定部19に補正した検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)を供給する。これらの補正した検出光信号Phc2データのうち保護シート有り信号Saに基づくデータは本発明の目的としている保護シートを介して測定したデータであり、保護シート無し信号Snに基づくデ-タは、床ずれの患部に保護シートを被着せずに対応している場合の測定したデータである。
すなわち、本発明における皮膚状態検知装置1は保護シ-トを用いて対応した場合と、保護シ-トを用いないで対応した場合の両方に使用できるものである。
【0046】
ステップS10は、皮膚色差計算モードであり、床ずれ判定部19は記憶部15から供給された基準値の検出光信号Phc0と補正部18から供給された補正した検出光信号Phc2(R2値、G2値、B2値)とから、R、G、Bごとの皮膚色差ΔR、ΔG、ΔBを計算する。その計算式は、ΔR=R2-R0、ΔG=G2-G0、ΔB=B2-B0である。
【0047】
ステップS11は、床ずれ判定モードであり、床ずれ判定部19は計算した皮膚色差ΔR、ΔG、ΔBを予め定めた基準値Xと比較し、皮膚色差ΔR、ΔG、ΔBの一つでも特定値Xより大きければ床ずれであると判定する。そして、表示部8に床ずれで有るか否かの表示と、特定値Xより大きい皮膚色の表示を行う。また、皮膚色差ΔR、ΔG、ΔBの全てが特定値Xより小さければ表示部8に床ずれで無い旨の表示を行う。
【0048】
次に図7A及び図7Bを用いて、図6のフローチャートに基づく動作を、実際の実測値を用いた判定例として説明する。
図7Aは被験者の床ずれ個所の皮膚を、保護シートで保護した場合の各ステップにおける測定値の一例を示す表である。
図7Aにおいて、ステップS3は、図6における基準皮膚色値検出モードであり、皮膚100の非圧迫部103の測定値であり、R0=21、G0=16、B0=11であり、このR0、G0.B0から算出したW0=51であった。そしてこの各色の数値が床ずれ判定の基準値となる。
【0049】
ステップS5は、図6における対象皮膚色値検出モードであり、皮膚100の床ずれ個所に保護シート200を被着した圧迫部分102の測定値であり、R1=30、G1=20、B1=13であり、このR1、G1、B1から算出してW1=62であった。
このステップ5における測定値がステップ3に比べて高い値になっているのは、保護シート200の表面反射によって各反射光が増加しているからである。
ステップS6は、保護シートの有無判定モードであり、白色光の光量差ΔW=W1-W0=62-51=11である。そして予め定められた特定値Hを5としているので、光量差ΔW(11)が特定値H(5)より大きいので保護シート有りと判定する。
【0050】
ステップS7は、補正係数計算モードであり、補正係数計算部17が保護シート判定部16から保護シート有り信号Saと、光量差ΔW(11)を供給されて、補正係数αの計算を行う。αの計算式は、α=ΔW/3=11/3=3.667である。
ステップS8は、補正処理ステップであり、補正部18は光信号処理部13より供給されて記憶している検出光信号Phc1(R1、G1、B1)に、補正係数計算部17から供給された補正係数α=3.667を加えて補正して検出光信号Phc2(R2、G2、B2)を作成する。なお検出光信号Phc2(R2、G2、B2)の計算式は、R2=R1-α=30-3.667=26.3、G2=G1-α=20-3.667=16.3、B2=B1-α=13-3.667=9.3である。
【0051】
ステップS10は、皮膚色差計算モードであり、床ずれ判定部19は記憶部15より供給される基準値の検出光信号Phc0(R0、G0、B0)と補正部18から供給された検出光信号Phc2(R2、G2、B2)との差から各色の色度差を求める。なお皮膚色差の計算式は、ΔR=R2-R0=26.3-21=5.3、ΔG=G2-G0=16.3-16=0.3、ΔB=B2-B0=9.3-11=-1.7である。
【0052】
ステップS11は、床ずれ判定ステップであり、床ずれ判定部19は求めた検出光信号Phc2(R2、G2、B2)の各色の色度差ΔR、ΔG、ΔBを予め定めた特定値と比較して床ずれか否かの判定を行う。特定値Xを5と定めているので、各色の色度差ΔR=5.3、ΔG=0.3、ΔB=-1.7を、それぞれX=5と比較するとΔR(5.3)≧X(5)なので床ずれであると判定し、その結果を表示部8に表示して皮膚状態検知測定を終了する。
【0053】
次に図7Bは被験者の床ずれ個所の皮膚を、保護シートで保護していない場合の各ステップにおける測定値の一例を示す表である。図7A図7Bは同じ床ずれの状態を有する被験者の皮膚100に、保護シート200を被着した場合と、保護シート200を被着しなかった場合とを比較している。また、図7Bにおいて図7Aと同じステップは基本的に同じ内容であり、重複する説明は省略し、その違いのみを記載する。
【0054】
図7BにおいてステップS3は、図7AのステップS3と同じ基準皮膚色値検出モードである。皮膚100の非圧迫部103の測定値はR0=21、G0=16、B0=11と同じであり、このR0、G0、B0から算出したW0=51も同じである。
【0055】
ステップS5は、図6における対象皮膚色値検出モードであり、皮膚100の床ずれ個所に保護シート200を被着していない非圧迫部103の測定値であり、R1=26、G1=16、B1=10と、図7Aとは異なっている。このR1、G1、B1から算出したW1=52についても図7Aとは異なっている。
【0056】
ステップS6は、保護シートの有無判定モードであり、光量差ΔW=W1-W0=52-51=1である。そして予め定められた特定値Hを5としているので、光量差ΔW(1)が特定値H(5)より小さいので保護シート無しと判定する。
【0057】
ステップS7は、補正値計算モードであるが、補正係数計算部17が保護シート判定部16から保護シート有り信号Saを供給されないので、補正係数αの計算は行わない。そ
して補正部18は保護シート判定部16から保護シート無し信号Snを供給されることにより、記憶部15より供給される検出光信号Phc1(R1、G1、B1)を補正せずに、そのまま検出光信号Phc2(R2、G2、B2)として床ずれ判定部19に供給する。
【0058】
ステップS10は、皮膚色差計算モードであり、床ずれ判定部19は記憶部15より供給される基準値の検出光信号Phc0(R0、G0、B0)と補正部18から供給された、検出光信号Phc2(R2、G2、B2)との差から各色の色度差を求める。なお皮膚色差の計算式は図7Aを用いて説明した場合と同様にΔR=R2-R0=26-21=5、ΔG=G2-G0=16-16=0、ΔB=B2-B0=10-11=-1である。
【0059】
ステップS11は、床ずれ判定ステップであり、床ずれ判定部19は求めた検出光信号Phc2(R2、G2、B2)の各色の色度差ΔR、ΔG、ΔBを予め定めた特定値と比較して床ずれか否かの判定を行う。特定値Xを5と定めているので、各色の色度差ΔR=5、ΔG=0、ΔB=-1を、それぞれX=5と比較しΔR(5)≧X(5)なので床ずれであると判定する。そして、その結果を表示部8に表示して皮膚状態検知測定を終了する。
【0060】
次に、図7A図7Bに示す同じ床ずれの状態を有する被験者の皮膚100に、保護シート200を被着した場合と、保護シート200を被着しなかった場合とを比較した場合について説明する。
ステップS5における対象皮膚色の測定モードでは、図7Aに示す保護シート有りの場合と、図7Bに示す保護シート無しの場合では、例えば総合光信号は、保護シート有りの場合のW1=62に対して保護シート無しの場合はW1=52と大きく異なっている。しかしステップS10の皮膚色計算の結果は、補正を行った図7Aに示す各色差ΔR=5.3、ΔG=0.3、ΔB=1.7に比べて、図7Bに示す各色差ΔR=5、ΔG=0、ΔB=1と、極めて近似した値となっている。このことは、被験者の皮膚100の床ずれ個所に、保護シート200を被着した状態で経過測定を行っても十分正しいデータが得られることを示している。
【0061】
次に図8Aから図8Dを用いて、床ずれの無い被験者の皮膚を、保護シートで保護した場合の、実測値と補正値との関係を説明する。図8A及び図8B図8C及び図8Dは2名の被験者に対する測定グラフを示している。図8A及び図8Cは実測値(補正なし)を示し、図8B及び図8Dは補正を行った場合の状態を示す。横軸は測定時間を示し、縦軸は光源4からの光が皮膚100又は保護シート200で反射した光量(反射光強度)を示している。なお、グラフの左半分は皮膚100の非圧迫部103の反射光量、右半分は保護シートの反射光量を示しており、Wは白色光量、R、G、Bは各々カラー光の反射光量を示している
【0062】
ここでいう光量は、本来[μW/cm2]の単位で表されるものであるが、図8Aから図8Dに示すグラフでは、光量の実測値[μW/cm2]をA/D変換し、0から256のダイナミックレンジで表した数値[counts]を示している。
【0063】
図8A及び図8Bは、被験者Aの測定結果を示し、図8Aに示す実測値グラフでは左側前半の保護シートの無い部分での白色光量Waが69.06であるのに対し、右側後半の保護シート200部分での白色光量Wbが74.67と大きくなっている。またR、G、Bも白色光量Wbの影響を受けて大きくなっている。
しかし、図8Bに示す補正後のグラフでは、保護シート200の無い部分と、保護シート200のある部分でのR、G、Bの光量は、保護シート200の影響が補正されてほとんど同じレベルの光量となっている。
【0064】
図8C及び図8Dは、被験者Bの測定結果を示し、図8Cに示す実測値グラフでは左側前半の保護シート200の無い部分での白色光量Waが67.38であるのに対し、右側後半の保護シート200の有る部分での白色光量Wbが76.97と大きくなっている。またR、G、Bも白色光量Wbの影響を受けておおきくなっている。
しかし、図8Dに示す補正後のグラフでは、保護シート200の無い部分と、保護シート200の有る部分でのR、G、Bの光量は、保護シート200の影響が補正されてほとんど同じレベルの光量となっている。
【0065】
上記のように、基準となる保護シートの無い部分での白色光量Waが異なっている2名の被験者に対しても、本発明の皮膚状態検知装置では、保護シート200の影響を補正する効果は変わることなく、床ずれ部分の経過観察を保護シート200を被着したまま行なっても正しい治癒経過の確認を行うことが可能である。
【0066】
上記第1実施形態の説明では、光源4からの白色光を皮膚100又は保護シート200に照射し、反射した赤、緑、青それぞれの波長帯の反射光強度を合算して白色成分Wの反射光強度を検出する例や、白色光センサ5wをさらに設け、この白色光センサ5wによって直接白色成分Wの反射光強度の検出を行う例について説明を行ったが、検知部5で検出した皮膚100から反射した赤色成分R、緑色成分G、青色成分Bの反射光強度と、保護シート200から反射した赤色成分R、緑色成分G、青色成分Bの反射光強度との、それぞれの波長帯の差分に基づいて赤色成分R、緑色成分G、青色成分Bの反射光強度を補正し、皮膚100の正確な色を把握することも可能である。
【0067】
[第2実施形態]
次に図9を用いて本発明の第2実施形態の皮膚状態検知装置30について説明する。
図9は第2実施形態における皮膚状態検知装置30の構成を示し、皮膚状態検知装置30の基本的構成は図1に示す皮膚状態検知装1と同じであり同一要素または対応要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0068】
皮膚状態検知装置30が皮膚状態検知装置1と異なるところは、皮膚状態検知装置1が全体を一体に構成していたのに対し、皮膚状態検知装置30は皮膚状態検知装置1におけるケース2の部分が測定用のプローブ32、このプローブ32にコード33で接続される本体31の二体構成になっていることである。そして皮膚状態検知装置1の内部に設けられていた回路部分は本体31の内部に設けられ、さらに表示部8は画面サイズを大きくして本体31の表面に設けられている。
【0069】
皮膚状態検知装置30の操作は、本体31側で電源の操作を行って皮膚状態検知装置30を動作状態とし、プローブ32の測定部3を被験者の皮膚100に当接し、スイッチ7を操作して測定を行い、測定結果を本体31の画面サイズの大きい表示部8で確認することができる。
【0070】
図9では、皮膚状態検知装置30を測定用のプローブ32と本体31とをコード33で接続した例について説明したが、コード33の代わりに汎用の無線通信手段によりワイヤレスで接続する構成とすることもできる。
【0071】
上記の如く、本発明におけるは皮膚状態検知装置は皮膚の患部を保護シートで保護した状態で光学装置による正確な経過(回復状態)観察が可能となり、被験者に保護シートの剥離による苦痛を与えることなく、治療を継続することができる。
また、本発明の皮膚状態検知装置の適用例として床ずれについて説明したが、これに限定されるものではなく、一般的な怪我による疾患や、火傷による疾患等にも適用できるこ
とは当然である。
【符号の説明】
【0072】
1、30 皮膚状態検知装置
2 ケース
3 測定部
4 光源
5 検知部
5r Rセンサ
5g Gセンサ
5b Bセンサ
5w Wセンサ
6 接触部材
6a 枠形状部
7 スイッチ
8 表示部
10 制御部
11 スイッチ回数判定部
12 制御回路
13 光信号処理部
14 判定回路部
15 記憶部
16 保護シート判定部
17 補正係数計算部
18 補正部
19 床ずれ判定部
31 本体
32 プローブ
33 コード
100 皮膚
101 発赤部
102 圧迫部
103 非圧迫部
200 保護シート







図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9