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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】液状試料の処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20220518BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
G01N35/02 D
G01N35/10 J
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020505534
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018059602
(87)【国際公開番号】W WO2018189398
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2019-12-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】100171
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】520299762
【氏名又は名称】ツィテナ バイオプロセス ソルーションズ コー.エルティーディー.
【住所又は居所原語表記】7F-6 No.495,GuangFu S.Rd.,Xinyi Dist.,Taipei City 110 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シェーンドゥベ、ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】グロス、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ツェンハン、ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】コルタイ、ペーター
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/116972(WO,A1)
【文献】特表2013-512447(JP,A)
【文献】特表2007-530270(JP,A)
【文献】国際公開第2002/072423(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0361719(US,A1)
【文献】特表2013-523150(JP,A)
【文献】国際公開第2007/133590(WO,A2)
【文献】欧州特許第3609617(EP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2020/158744(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G01N 35/10
G01N 37/00
B01L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状試料を収容するための少なくとも1つの収容部(2)を有する支持体(1)と、少なくとも1つの処理工程を実行するための処理ユニット(3)と、処理ユニット(3)によって実行される処理工程の制御ないし調節のための電気的制御ないし調節ユニット(5)を有する作動装置(4)とを備えた、液状試料の処理装置であって、
制御ないし調節ユニット(5)は、処理ユニット(3)に載置されていること、
処理ユニット(3)は支持体(1)に載置されていること、
支持体(1)の処理ユニット(3)から離隔する側に配置された少なくとも1つの更なる処理工程を実行するための更なる処理ユニット(11)と、支持体(1)の処理ユニット(3)から離隔する側に配置された更なる作動装置とが設けられていること
を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
a.該装置は、支持体(1)に再び分離可能に結合されておりかつ支持体(1)をカバーするハウジング(6)を有すること、及び/又は、
b.作動装置(4)はハウジング(6)と支持体(1)との間に配置されていること、及び/又は、
c.ハウジング(6)は作動装置(4)に載置されていること、
d.該装置は、液状試料の処理が該装置内において自律的に実行されるよう構成されていること、及び/又は、
e.ハウジング(6)及び/又は作動装置(4)及び/又は処理ユニット(3)は、支持体(1)と同じ操作装置によって操作可能であるよう構成されていること、及び/又は、
f.作動装置(4)は処理ユニット(3)に再び分離可能に結合されていること、及び/又は、
g.処理ユニット(3)は支持体(1)に再び分離可能に結合されていること、及び/又は、
h.ハウジング(6)は作動装置(4)に再び分離可能に又は固定的に結合されていること
を特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
a.ハウジング(6)は、作動装置(4)の電気的制御ないし調節ユニット(5)にデータを入力するための入力装置を有すること、及び/又は、
b.ハウジング(6)はボックス形状に構成されており、作動装置(4)及び/又は処理ユニット(3)及び/又は支持体(1)はハウジング(6)の中空空間に配置されていること、及び/又は、
c.作動装置(4)は、電気的制御ないし調節ユニットに電気エネルギを供給する電気的蓄積器(14)を有すること、及び/又は、
d.作動装置(4)は、データの送信及び/又は受信のための通信手段を有すること、及び/又は、
e.作動装置(4)は、電気的制御ないし調節ユニット(5)によって制御可能な少なくとも1つのポンプを有すること、及び/又は、
f.作動装置(4)は、ポンプ及び/又は処理ユニット(3)に液通的に結合可能な、処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つのタンクを有すること、及び/又は、
g.作動装置(4)は、電気的制御ないし調節ユニット(5)に電気的に接続可能な及び/又は処理ユニット(3)に液通的に結合可能な測定ユニットを有すること、及び/又は、
h.作動装置(4)は、電気的制御ないし調節ユニット(5)及び/又は電気的蓄積器(14)及び/又は通信手段及び/又はポンプ及び/又はタンク及び/又は測定ユニットが配されているプレート(25)を有すること
を特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の装置において、
a.該装置は作動装置(4)を処理ユニット(3)に載置する際又は作動装置(4)を処理ユニット(3)から取り外す際、処理ユニット(3)内に存在する処理媒体及び/又は処理ユニット(3)内に存在する液状試料の一部が作動装置(4)に接触しないよう構成されていること、及び/又は、
b.作動装置(4)は、チューブレスで(schlauchlos)又はワイヤレスで処理ユニット(3)に接続されていること、及び/又は、
c.該装置は、作動装置(4)と処理ユニット(3)との間に配置されている中間要素(7)を備えること、及び/又は、
d.該装置は、中間要素(7)を備え、作動装置(4)は該中間要素(7)を介して処理ユニット(3)に結合されていること、及び/又は、
e.該装置は、作動装置(4)と処理ユニット(3)との間に配置されている及び/又は作動装置(4)を処理ユニット(3)に当該中間要素(7)を介して結合させる中間要素(7)を備え、作動装置(4)は粘着部材として構成された中間要素(7)を介して処理ユニット(3)に材料結合的に(stoffschluessig)結合されていること、及び/又は、
f.処理ユニット(3)は更なる処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つの更なるタンクを有すること
を特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の装置において、
処理ユニット(3)は、載置基板部(21)と該載置基板部(21)から延伸しかつ収容部(2)内の液状試料に突入する少なくとも1つの流体案内部(19)を有すること
を特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
a.少なくとも1つの流体案内部(19)は、載置基板部(21)内に配されている流体チャネル(22)に液通的に結合されていること、及び、
b.少なくとも1つの他の流体案内部は、載置基板部(21)内に配されている他の流体チャネルに液通的に結合されていること
を特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の装置において、
a.処理ユニット(3)は、電気的制御ないし調節ユニット(5)に結合されている少なくとも1つの更なるバルブを有すること、及び/又は、
b.処理ユニット(3)は加熱要素及び/又は冷却要素(36)を有すること、及び/又は、
c.処理ユニット(3)は加熱剤又は冷却剤が流動可能な更なる流体チャネル(34)を有すること及び/又は、
d.処理ユニット(3)は液状試料の分析のための少なくとも1つの分析ユニット(27)を有すること、及び/又は、
e.処理ユニット(3)は液状試料の分析のための少なくとも1つの分析ユニット(27)を有し、分析ユニット(27)は、少なくとも1つのセンサと、分析ユニット(27)内に吸入された液状試料の一部を受容するための廃物室(31)とを有し、廃物室(31)は流体技術的にセンサの後方に配置されていること、及び/又は、
f.処理ユニット(3)は液状試料の及び/又はセンサの性質を検出するための少なくとも1つの光学的検出装置を有すること、及び/又は、
g.処理ユニット(3)は使い捨て部材として形成されること
を特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
a.更なる処理ユニット(11)は支持体(1)と更なる作動装置との間に配置されていること、及び/又は、
b.更なる処理ユニット(11)は液状試料の及び/又はセンサの性質を検出するための少なくとも1つの更なる光学的検出装置を有すること、及び/又は、
c.支持体(1)は更なる処理ユニット(11)に載置されていること、及び/又は、
d.作動装置(4)及び/又は更なる処理ユニット(11)は更なるハウジングの更なる中空空間に配置されており、更なるハウジングは支持体(1)に再び分離可能に結合可能であること、及び/又は、
e.更なる作動装置と作動装置(4)はデータ技術的に通信するよう構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の装置を用いて液状試料を処理する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
a.支持体(1)の少なくとも1つの収容部(2)に少なくとも1つの液状試料が配されること、及び、
b.処理ユニット(3)が支持体(1)に載置されること、及び、
c.作動装置(4)が処理ユニット(3)に載置されること、但し、作動装置(4)は電気的制御ないし調節ユニット(5)を有すること、及び、
d.処理ユニット(3)によって実行される処理工程が電気的制御ないし調節ユニット(5)によって制御ないし調節されること
を特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法において、
a.支持体(1)及び作動装置(4)及び処理ユニット(3)をカバーするハウジングが支持体(1)に再び分離可能に結合されること、及び、
b.液状試料の処理の前に、電気的制御ないし調節ユニット(5)がプログラムされること及び/又は処理プログラムが選択及び開始されること、及び、
c.処理工程の制御は予め設定される制御シークエンスに従って実行されること、及び、
d.液状試料の処理が終了した後に、処理ユニット(3)は他の処理工程の実行のための他の処理ユニット(11)と交換され、又は更に、前記他の処理ユニット(11)は前記処理ユニット(3)と同じ作動装置(4)に結合され、又は、液状試料の処理が終了した後に、ハウジング(6)及び作動装置(4)及び処理ユニット(3)は支持体(1)から分離され、支持体(1)は処理ステーションへ移送され、液状試料は処理ステーションにおいて処理されること
を特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9~11の何れかに記載の方法において、
a.作動装置(4)は、作動装置(4)のタンクへの処理媒体の供給が行われる充填ステーションへ移送されること、及び/又は、
b.処理ユニット(3)は、処理ユニット(3)の洗浄が行われる洗浄ステーション(49)へ移送されること、及び/又は、
c.前記処理装置の組立又は分解は手作業で又は自動的に行われること、及び/又は、
d.前記処理装置の組立又は分解は夫々ただ1つの操作装置によって行われること
を特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9~12の何れかに記載の方法において、
前記処理装置の組立の際に、
互いに異なるように構成された複数の処理ユニットから1つの処理ユニット(3)が選択されて組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該処理ユニットが支持体に載置され、次いで、
互いに異なるように構成された複数の作動装置から、該処理ユニット(3)に割り当てられる1つの作動装置(4)が選択されて該組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該作動装置(4)が該処理ユニット(3)に載置されること、又は更に、
組立ステーションにおける前記処理装置の組立後、組み立てられた処理装置は保管ステーション(47)へ移送されること、及び/又は、処理ユニット(3)及び作動装置(4)の各ステーションへの移送は同じ移送装置(38)によって実行されること
を特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9~13の何れかに記載の方法において、
a.支持体(1)の収容部(2)内に存在する液状試料の混合又は液状試料の一部の吸入又は液状試料への流体の投与は処理ユニット(3)によって選択的に実行されること、又は更に、液状試料の混合は、収容部(2)内に存在する液状試料の一部が処理ユニット(3)の流体案内部に吸入されること及び次いで流体案内部(19)に吸入された液状試料の一部が直接的に液状試料に投与されることが交互に及び/又は複数回続けて行われること、及び/又は、流体案内部(19)の出口部にガス気泡が生成され、ガス気泡径が交互に及び/又は複数回続けて拡大及び縮小されること、によって実行されること、及び/又は、
b.処理ユニット(3)によって、少なくとも2つの処理媒体を有する少なくとも1つの混合物が生成されること、但し、処理ユニット(3)によって、予め設定される量の一の処理媒体が収容部(2)に供給され、次いで、処理ユニット(3)によって、予め設定される量の他の処理媒体が同じ収容部(2)に供給されること、又は更に、次に、処理ユニット(3)によって、前記一の処理媒体と前記他の処理媒体が他の収容部に供給されること、但し、該他の収容部に生成される他の混合物は、該一の処理媒体について及び/又は該他の処理媒体について、前記収容部に存在する混合物とは異なる量を有すること、及び/又は、
c.処理ユニット(3)によって、液状試料は一の収容部(2)から他の収容部へ移送されること、又は更に、液状試料の移送は、複数の収容部(2)を循環するようにして実行されるか、又は、液状試料の移送は、液状試料が予め設定された収容部(2)に投与された後、終了されること
を特徴とする方法。
【請求項15】
請求項9~14の何れかに記載の方法において、
収容部(2)は監視されること、但し、
監視の際に、液状試料の性質が光学的に検出され、及び、
電気的制御ないし調節ユニット(5)は、処理ユニット(3)によって実行される処理工程を、検出された該性質に依存して調節すること、又は更に、
収容部(2)内における混合比が監視されること
を特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
液状試料が異物で汚染されているか否かが監視されること、又は更に、
液状試料が異物で汚染された場合、処理ユニット(3)によって、処理媒体が、とりわけ対抗作用剤(Gegenmittel)が、汚染された液状試料に投入されること
を特徴とする方法。
【請求項17】
請求項9~16の何れかに記載の方法において、
処理ユニット(3)によって、液状試料は加熱又は冷却されること、又は更に、
加熱剤又は冷却剤(36)は処理ユニット(3)を通って流動すること
を特徴とする方法。
【請求項18】
請求項9~17の何れかに記載の方法において、
処理ユニット(3)は液状試料を分析すること、又は更に、
液状試料の分析のために、液状試料は処理ユニット(3)に設けられた少なくとも1つのセンサへ導かれること、又は更に、
センサは、光学的検出装置及び/又は更なる光学的検出装置によって読み出されること、及び/又は、処理ユニット(3)に吸入された液状試料は、分析後、処理ユニット(3)に設けられた廃物室へ導かれること
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状試料を収容するための少なくとも1つの収容部を有する支持体と、少なくとも1つの処理工程を実行するための処理ユニットと、処理ユニットによって実行される処理工程の制御ないし調節のための電気的制御ないし調節ユニットを有する作動装置とを備えた、液状試料の処理装置であって、作動装置が、とりわけ制御ないし調節ユニットが、処理ユニットに載置されている、処理装置に関する。
【0002】
更に、本発明は液状試料の処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロタイタープレート又は類似の試験支持体が例えば細胞培養物、生体組織、DNA試料、作用物質候補等のような液状試料がその中に配される多数の収容部を有することは、従来技術から既知である。個々の液状試料は、例えばDNAの増幅又は精製、細胞の培養、細胞培養物の毒性試験の実行、細胞培養物のタンパク質発現の分析、タンパク質―タンパク質相互作用の検出、免疫アッセイの実行等のような化学的及び/又は生物学的実験プロセスを実現するために、通常、ピペット、ラボロボット及び/又は例えばインキュベータ(培養装置)、リーダ(読取機)、撹拌機等のような周辺実験装置によって手作業で又は自動的に処理される。
【0004】
特別な使用に必要とされている試験支持体(複数)に予め保持された液状試料(複数)について多様な処理を実行するために、多様な試験装置が存在する。試験装置は、液状試料について個別の又は複数の処理工程を行うことができる。ラボには、通常は、完全な処理フローを実現するために規格化されたマイクロタイタープレートに予め配された液状試料を一の処理ステーションから次の処理ステーションへ移送するよう設計された設備が存在する。
【0005】
マイクロタイタープレート又は同様の支持体を処理することが可能な多数の試験装置及び方法が知られている。大抵の試験装置について共通であるのは、これらが1つ又は複数のマイクロタイタープレートの処理のために設計されていることである。試験装置の多くは、場合によっては完全な分析又はプロセス全体の少なくとも複数の部分を全自動で実行可能であるために、複数の機能を有することもある。1つのプロセスが1つの試験装置では完全に実行できない場合、典型的には、複数の異なる試験装置が自動化ソルーションによって組み合わされて、マイクロタイタープレートが一の処理ステーションから次の処理ステーションへ移送される1つのシステムが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO 2007/133590 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このコンセプトによって得られるシステムは、部分的に極めて大きくかつ高価であり、しかも場合によっては僅かしか利用されない。とりわけ、例えばx-y-z位置決めシステム又は自動ピペッティングステーションのような自動化コンポーネントの多くは、しばしば、多くのシステムに冗長的に存在する。なぜなら、これらは、例えばマイクロタイタープレートのための処理ステーションから(他の)処理ステーションへの移送システム、ピペッティングロボットの軸システム、マイクロタイターリーダの位置決めシステム等のような複数の異なる試験装置に存在するからである。この冗長性は実用上必要とされない。
【0008】
他方、このようなシステムでは、必要なスループットは場合によっては達成されない。というのは、幾つかの処理ステーションがボトルネックになり得るからである。また、これらのボトルネックは簡単には克服することはできない。というのは、システムのスケール変更(Skalierung)は、モジュール性が小さくかつしばしばプロセスが線形であるため、簡単にはできないからである。更に、自動化は旧式であるため、使用される液体量を最小化すること及びそれによってプロセスをよりリソース節約的に、より効率的にかつより迅速に実行することは、殆ど可能ではない。
【0009】
使用されていたシステムの代替として、閉鎖型マイクロ流体系において極めて少量の液体を処理するアプローチがある。これらの系は英語の“Lab-on-a-Chip(ラブオンチップ)”又は“Micro-Total-Analysis-Systems”(マイクロ全分析系)としても知られている。これらの系は極めて迅速かつ効率的であるが、完全な自動化に関して及び従来の試験装置に対するインターフェースに関して、依然として大きな弱点を有する。ラブオンチップ系は、その試験支持体は閉鎖型でありかつその処理の構造は固定的に予め定められているため、その上流側又は下流側の他の処理との柔軟な組み合わせが可能ではないことが多い。更に、ラブオンチップ系の場合、試験支持体及び液体量のみが比較的小さく、これらの試験支持体を処理する処理装置又は分析装置は小さくないことも多い。
【0010】
従って、既知のシステムの場合、一方では、マイクロタイタープレートや類似の支持体を使用する場合に、大きな柔軟性(自由度)での大きな規格化度及び自動化度が得られる。しかしながら、これらのシステムは、試験設備が大型で、高価でかつしばしば適切に使用されず、かつ、小型化ないしコスト削減の可能性が限られているという欠点を有する。他方では、強度に小型化されかつ高度に一体化されたマイクロ流体ラブオンチップ系は、実行可能なプロセスに関する柔軟性が小さく、しばしば複雑なマイクロ流体構造(体)を含む試験支持体が複雑であり、及び、上流側又は下流側にある従来の態様の処理チェーン(処理フロー)への組込みが困難であるという欠点を有する。
【0011】
それゆえ、本発明の一課題は、処理に必要な装置要素を削減し、小型かつ単純に構成され、柔軟に(フレキシブルに)使用可能であり、既存の試験環境に簡単に組み込み可能な装置を提供することである。
【0012】
更に、本発明の一課題は、処理をより簡単かつより迅速に実行可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の装置の課題は、本発明の第1の視点により、冒頭に記載した種類の装置によって解決される。該装置においては、即ち、液状試料を収容するための少なくとも1つの収容部を有する支持体と、少なくとも1つの処理工程を実行するための処理ユニットと、処理ユニットによって実行される処理工程の制御ないし調節のための電気的制御ないし調節ユニットを有する作動装置とを備えた、液状試料の処理装置においては、制御ないし調節ユニットは処理ユニットに載置されていること、処理ユニットは支持体に載置されること、支持体の処理ユニットから離隔する側に配置された少なくとも1つの更なる処理工程を実行するための更なる処理ユニットと、支持体の処理ユニットから離隔する側に配置された更なる作動装置とが設けられていることを特徴とする(形態1)。
【0014】
上記の方法の課題は、本発明の第2の視点により、本発明の装置を使用する液状試料の処理方法によって解決される(形態)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の装置は、装置の複数の構成要素の積み重ね構成により、小型でかつ簡単に組み立てられ、液状試料の処理が可能な装置を提供することができるという利点を有する。本装置によって、有利なことに、個々の処理工程は、本装置内又は本装置のそばで直接的に、とりわけ支持体で直接的に、実行されることができ、そのため、処理プロセスは単純化されかつ加速(促進)される。その結果として、作動装置及び処理ユニットによって、支持体内に配されている(含まれている)複数の(多数の)液状試料の小型化され、自動化された同時処理が可能になる。とりわけ、複数の支持体が複数の異なる装置において並列的に処理されることができる。かくして、支持体は処理ステーション内に最早導入される必要がないため、既存の具体例とは異なり、処理フロー及び/又は処理ステーションにはボトルネックは最早生じない。
【0016】
更なる一利点は、作動装置と処理ユニットは個別でも、支持体と一緒でも、手作業で又は自動的に操作可能であることである。とりわけ、作動装置と処理ユニットを手作業で支持体に載置することによって本装置を手作業で組み立て、これに対し、液状試料の次の処理を自動的に実行することも可能である。液状試料の処理が自動的に実行されるため、例えば処理ユニットの操作のための別個の試験装置を設ける必要もない。処理ユニットと支持体は、とりわけ作動装置、処理ユニット及び支持体が例えばマイクロタイタープレートの外寸に相当する規格化(標準化)された寸法を有する場合、既知の試験装置を用いた従来の自動化技術によって自動的に操作されることができる。自動化技術が存在しない場合には、既述の構成要素は試験協働者によって操作されることができる。
【0017】
支持体として例えばマイクロタイタープレートのような従来技術から既知のかつ規格化(標準化)された支持体が使用されるため、従来の処理フローへの組み込みは可能である。更に、上記のような支持体を使用するため、従来の試験装置との互換性(適合性)も維持される。例えばマイクロタイタープレートのような支持体のための既存のロジスティック(物流)システム(輸送システム)も、その小型化が不可能な複雑な分析装置も、引き続き使用可能である。
【0018】
更に、本装置の格別な一利点は、作動装置、処理ユニットおよび支持体を有する本装置が処理を実行可能な小さな試験装置に相当するという点にある。そのため、1つ又は複数の処理工程を実行可能な処理ステーションを設ける必要はない。本装置によって、各支持体のために、個別に、当該支持体のために必要な1つ又は複数の処理工程を提供することができる。この場合、個別の支持体の各々について時間的に空き(ないしズレ)のない処理を実現することができ、また、本装置において支持体は個別に処理されるため、支持体の待機時間及び保管(Lagerung)を回避することができる。
【0019】
処理ユニットは少なくとも1つの処理工程を実行するよう構成されかつ設定されるため、処理ないし個々の処理工程は小型化(縮小化)される。このことは、液状試料の処理が大きな処理ステーションから本装置の処理ユニットへ移されることを意味する。かくして、処理工程(複数)をより効率的に、従ってコスト的により好都合に実行することができる。とりわけ、試験プロセス(複数)の並列化の可能性及びスケール変更の可能性は、特別な機能を有する個々の処理ユニット及び作動装置において個々の処理工程をモジュール化することによって、著しく改善される。かくして、複雑な作業のためのより効率的な自動化コンセプトが可能になる。
【0020】
試料の処理とは、方法技術的な処理としても、生化学的分析の枠内においてしばしば要求される試料の生物学的及び/又は化学的及び/又は物理的性質の検出としても理解されるものである。これに応じて、処理工程としては、流体の供給又は除去、複数の流体の混合及びマイクロパーティクル(複数)の運動が考慮される。更に、流体の光学的性質の、とりわけ光学的画像の生成による、検出、流体の加熱又は冷却及び/又は例えば流体のpH値及び/又は酸素濃度及び/又は流体の蛍光強度のような流体の物理的性質の測定は、処理工程に該当する。更なる処理工程も勿論可能である。この場合、処理ユニットは、既述の処理工程(複数)の1つ又は2つ以上を実行することができる。
【0021】
液状試料の処理は生物学的及び/又は化学的な調製及び/又は反応及び/又は分析の目的のために実行されることができる。液状(液体)試料は液状(液体)の生物又は化学試料であり得る。とりわけ、液状試料は液体中で泳動する細胞を含むことができる。支持体の収容部はマイクロバイオリアクタであり得る。マイクロバイオリアクタ内では、試料の処理のために特定された化学的及び/又は生物学的反応が定められた条件下で進行することができ、反応はとりわけ流体の供給及び/又は排出によって制御可能又は調節可能である。とりわけ、マイクロバイオリアクタ内では、例えば細胞を培養することができる。
【0022】
流体はガス(気体)又は液体、とりわけ液状(液体)試料、であることが可能であり、可動であり、従って、ポンプ、バルブ部、流体案内部等によって導かれること及び移送されることが可能である。2つの構成要素間の液通的な結合(接続)は、流体が一方の構成要素から他方の構成要素へ流動することができる場合、存在する(形成されている)ものとする。液状試料の混合とは、液状試料の成分(複数)が、新たな配置パターン(Anordnungsschema)が生じるよう、互いに対し相対的に運動される過程(プロセス)として理解されるものである。
【0023】
特別な一実施形態では、本装置は、液状試料の処理が本装置において自律的に(autonom)実行されるよう構成されることができる。そのため、本装置は、処理媒体を本装置内に導入するための連結部(Anschluesse)を有しない。このことは、本装置は、本装置が配置される場所に依存することなく、液状試料を自己処理的に(独立に:selbsttaetig)処理できることを意味する。これにより、液状試料の処理のための装置は任意の場所に設置されることができ、そのため、処理ステーションにボトルネックが生じないという重要な利点が得られる。なぜなら、液状試料の処理のための装置は処理ステーションに導入される必要がないからである。
【0024】
本装置は、支持体に再び分離可能に結合されておりかつ支持体をカバーするハウジングを有することができる。とりわけ、作動装置は、ハウジングと支持体との間に配置されることができる。この場合、ハウジングは、作動装置に、とりわけ直接的に、載置されることができる。ハウジングは、作動装置、処理ユニットおよび支持体が外部の影響から保護されるという利点を提供する。
【0025】
ハウジング及び/又は作動装置及び/又は処理ユニットは、これらが、支持体と同じ、とりわけ機械的な、操作装置によって操作可能であるよう、構成されることができる。とりわけ、操作装置は、上記の構成要素の操作のために使用されるロボットであり得る。ハウジング、作動装置及び処理ユニットは支持体と同じ外寸を有することができるため、支持体に適合化されている従来の自動化及びロジスティック設備を引き続き使用することができる。この点で、本装置は、従来の自動化及びロジスティック設備を最早使用することができない既存の装置との著しい相違を有する。
【0026】
作動装置は処理ユニットに再び分離可能に結合されることができる。更に、処理ユニットは支持体に再び分離可能に結合されること及び/又は支持体に直接載置されることができる。更に、ハウジングは作動装置に再び分離可能に又は固定的に結合されることができる。個々の構成要素間の結合は手作業で又は自動的に実行することができる。ハウジング、処理ユニット及び作動装置は支持体から簡単に取り外すことができるため、その余の試験装置設備に対する支持体の適合性及び既存の、不動的な、複雑な処理装置及び分析装置の使用の可能性は維持される。
【0027】
特別な一実施形態では、ハウジングは、とりわけ作動装置に組み込まれた、電気的制御ないし調節ユニットにデータを入力するための入力装置を、とりわけタッチディスプレイを、有することができる。これにより、ユーザは、格別に簡単な方法で、電気的制御ないし調節ユニットをプログラムすること及び/又は処理プロセスを開始すること及び/又は処理パラメータを入力することができる。
【0028】
ハウジングはボックス形状に構成されることができ、作動装置、とりわけ電気的制御ないし調節ユニット、及び/又は処理ユニット及び/又は支持体、とりわけ支持体の一部、はハウジングの中空空間に配置されることができる。この場合、支持体の底部は、本装置を一方の側に対して閉鎖することができる。このことは、本装置の外側輪郭がハウジング及び/又は支持体底部によって画される(境界形成ないし限定される)ことができることを意味する。
【0029】
作動装置は、電気的制御ないし調節ユニットに電気エネルギを供給する、とりわけ再び蓄積(充電)可能な、電気的蓄積器(蓄電器)を有することができる。電気的蓄積器が本装置の更なる構成要素に電気エネルギを供給することも勿論可能である。従って、電気的蓄積器は電気的制御ないし調節ユニット及び/又は更なる構成要素に電気エネルギを供給するために役立つ。更に、作動装置は、データの、とりわけワイヤレスの(無線式の)、送信及び/又は受信のための通信手段を有することができる。とりわけ、通信手段は、WLAN、ブルートゥース等によって通信を実現することができる。従って、本装置はその試験環境(周辺装置)と自律的に通信することができ、それによって得られたデータを伝送し、処理命令を受け取ることができる。そのため、作動装置及び処理ユニットによって形成される(部分)処理(複数)は簡単に並列化可能であり、スケール変更可能であり、それにも拘らず、完全に従来の処理フローに組み込み可能である。更に、作動装置は通信手段によって以下に詳細に説明する更なる作動装置と通信することができる。
【0030】
更に、作動装置は、電気的制御ないし調節ユニットによって制御可能な少なくとも1つのポンプを有することができる。ポンプは、とりわけマイクロ流体構造を有する処理ユニットの場合、処理工程が実行されることができるよう、駆動装置として機能することができるという利点を提供する。作動装置にポンプ及び/又は処理ユニットを駆動するための他の駆動装置を設けることにより、処理ユニット及び作動装置が支持体自体よりも実質的により大きくはなくかつその作業を自律的にかつ効率的に実行できるコンパクトかつ独立の試験装置を構成するという利点が得られる。
【0031】
更に、作動装置は処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つのタンクを有することができる。処理媒体は固体、液体又はガス(気体)であり得る。タンクはポンプ及び/又は処理ユニットに液通的に結合することができる。とりわけ、ポンプはタンク内に存在する処理媒体を処理ユニットへ輸送することができる。代替的に又は追加的に、タンクはバルブ部を介して処理ユニットに液通的に結合することができる。これは、とりわけ処理媒体がタンク内に高圧で貯蔵されているガスである場合に、提案される。電気的制御ないし調節ユニットはバルブ部を、とりわけバルブ位置を制御することができる。
【0032】
更に、作動装置は電気的制御ないし調節ユニットに電気的に接続される及び/又は処理ユニットに液通的に結合される測定ユニットを、とりわけ圧力センサを、有することができる。電気的制御ないし調節ユニットは、測定ユニットから伝送されたデータに基づいてポンプを制御ないし調節することができる。
【0033】
作動装置は、電気的制御ないし調節ユニット及び/又は電気的蓄積器及び/又は通信手段及び/又はポンプ及び/又はタンク及び/又は測定ユニットが配されるプレートを有することができる。プレートに構成要素を配することによって、コンパクトに構成される作動装置が実現される。プレートは処理ユニットをカバーするよう構成されることができる。
【0034】
作動装置が処理ユニットに、とりわけ間接的に又は直接的に、載置される場合、作動装置と処理ユニットとの間の、とりわけ液通的又は電気的な、結合を実現することができる。かくして、作動装置と処理ユニットとの間の結合を、試験協働者又は操作装置の介入を要することなく、簡単な方法で実現することができる。
【0035】
更に、とりわけ本装置は、処理ユニットに作動装置を載置する際又は処理ユニットから作動装置を取り外す際、処理ユニット内に存在する処理媒体及び/又は処理ユニット内に存在する液状試料の一部が作動装置に接触しないよう構成されることができる。そのために、処理ユニットは液体非透過性であるフィルタを有することができ、そのため、処理媒体及び/又は液状試料による作動装置の汚染は簡単な方法で阻止されることができる。
【0036】
作動装置はチューブレスで(schlauchlos)又はワイヤレスで処理ユニットに接続されることができる。その限りで、作動装置と処理ユニットとの間のコンパクトな結合も実現できる。作動装置は、1つの所定の処理工程又は複数の所定の処理工程を実行することができる処理ユニットにのみ結合可能であるよう、構成されかつ設定されることができる。
【0037】
作動装置と処理ユニットとの間に中間要素を配置することができる。とりわけ、作動装置及び処理ユニットは、夫々、中間要素に直接的に結合されることができる。中間要素は、作動装置に及び処理ユニットに、とりわけ機械的に、結合される別個の(独立の)構成要素として構成されることができる。この実施形態では、中間要素は、作動装置と処理ユニットとの液通的な結合を可能にする少なくとも1つのインターフェースを有することができる。
【0038】
代替的に、中間要素を介して(によって)、作動装置と処理ユニットとの間の材料結合的な(stoffschluessig:部材間の材料同士の結合により部材同士が一体化される結合様式)結合を実現することも可能である。この実施形態では、中間要素は粘着剤(接着剤)であり得る。この場合、作動装置及び処理ユニットの縁部のみが中間要素によって互いに粘着(接着)されることができる。この実施形態でも、作動装置と処理ユニットとの間に液通的結合を形成することは可能である。
【0039】
特別な一実施形態では、処理ユニットは更なる処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つの更なるタンクを有することができる。更なるタンクを備えることによって、処理媒体を含みかつ本装置の外部に配置される貯蔵器のための連結部を設ける必要がないという利点が得られる。更なる処理媒体は固体、液体又はガス(気体)であり得る。結果的に、本装置において液状試料の自律的処理を実行することができる。
【0040】
処理ユニットは使い捨て部材として形成されることができる。更に、処理ユニットは、支持体に載置されると、1つ又は複数の収容部を密封的にカバーする(閉鎖する)よう、構成されることができる。このために、処理ユニットはシール部材を有することができる。かくして、例えば収容部において液状試料を混合する際に液状試料が収容部から漏出すること及び/又は液状試料が蒸発することを阻止することができる。
【0041】
本装置は更なる処理ユニットを有することができる。更なる処理ユニットは少なくとも1つの更なる処理工程を実行するために役立つ。とりわけ、更なる処理ユニットは、上記の処理工程(複数)の1つ又は複数を実行することができる。更に、本装置は更なる作動装置を有することができ、更なる処理ユニットと(更なる)作動装置は支持体の処理ユニットから離隔する側に配置されることができる。
【0042】
とりわけ、更なる処理ユニットは支持体と更なる作動装置との間に配置されることができる。この場合、支持体は更なる処理ユニットに、とりわけ直接的に、載置されることができる。更なる処理ユニットは更なる作動装置に、とりわけ直接的に、載置されることができる。更なる処理ユニットは液状試料の性質を検出するための少なくとも1つの更なる光学的検出装置を有することができる。光学的検出装置は例えばカメラのような光学的結像(イメージング)装置を有することができる。光学的撮像装置によって、液状試料及び/又はセンサの画像を生成することができる。このために、収容部は、とりわけ収容部の底部は、透明(透光性)とすることができる。
【0043】
支持体が複数の収容部を有する場合、更なる光学的検出装置は複数の光学的撮像装置を有することができる。この場合、光学的撮像装置の個数は収容部の個数に相当し、そのため、各液状試料について夫々1つの画像を作成することができる。
【0044】
更なる処理ユニット及び作動装置は更なるハウジングの更なる中空空間に配置されることができ、更なるハウジングは支持体に再び分離可能に結合されることができる。更なる作動装置は更なるハウジングに、とりわけ直接的に、載置される。更なるハウジングは、更なる処理ユニット及び更なる作動装置を外部の影響から保護する。
【0045】
更なる作動装置と作動装置はデータ技術的に通信する(よう構成される)ことができる。これは、とりわけ更なる光学的検出装置によって検出される液状試料の性質が液状試料の処理の調節のために使用される場合、有利である。従って、更なる処理ユニットを設けることによって、収容部の、とりわけ液状試料の、とりわけ自動的な(独立の)、監視(モニタ)が本装置によって可能になるという利点が得られる。この場合、監視の際に液状試料の性質を検出することができ、電気的制御ないし調節ユニットは、処理ユニットによって実行される処理工程を検出された性質に依存して調節することができる。
【0046】
支持体は複数の収容部を有することができる。とりわけ、支持体はマイクロタイタープレートとすることができる。マイクロタイタープレートは6又は24又は96又は384又は1536又は3456又は6144個の収容部を有するプレートであり得る。マイクロタイタープレートは矩形のプレートであり得及び/又はプラスチック製であり得る。互いに対し分離された(孤立の)収容部(複数)は複数行及び複数列に(マトリックス状に)配置されることができる。個々の収容部には、異なる液状試料を配することができる。
【0047】
支持体は、載置装置(載置部材ユニット)を除去する際に、収容部(複数)が互いに液通的に結合(接続)されないように構成される。とりわけ、支持体の壁部(複数)には、少なくとも2つの収容部を互いに液通的に結合させる流体通路(貫通孔)は存在しない。
【0048】
処理ユニットは、とりわけ第1変形形態による処理ユニットは、少なくとも1つの流体案内部を有することができる。更に、処理ユニットは載置基板部(ここから流体案内部が延伸する)を有することができる。流体案内部は、液状試料に突入するよう構成されかつ設定される。流体案内部は堅固に(剛に)構成されることができる。とりわけ、流体案内部はカニューレ(状部材)とすることができる。
【0049】
載置基板部は少なくとも1つの流体チャネルを有することができる。処理ユニットの少なくとも1つの流体案内部は流体チャネルに液通的に結合されることができる。更に、処理ユニットは他の流体案内部を有することができる。載置基板部は他の流体チャネルを有することができる。他の流体案内部は他の流体チャネルに液通的に結合することができる。この場合、流体チャネルと他の流体チャネルは互いに液通的に結合(接続)されないことが可能である。これは、流体チャネルと他の流体チャネルとが載置基板部(内)において異なる面(レベルないし高さ位置)に延在することによって実現することができる。この場合、流体チャネル(複数)は載置基板部の内部において交差する(非平行的に延在する)ことも可能である。
【0050】
流体チャネルはポンプに液通的に結合(接続)されることができる。更に、流体チャネルはタンク及び/又は更なるタンクに液通的に結合されることができる。他の流体チャネルは他のポンプに液通的に結合されることができる。更に、他の流体チャネルはタンク及び/又は更なるタンクに液通的に結合されることができる。
【0051】
処理ユニットは少なくとも1つの更なるバルブ部を有することができる。更なるバルブ部によって、処理ユニット(内)における処理媒体及び/又は更なる処理媒体及び/又は液状試料の流れを制御することができ、更なるバルブ部は電気的制御ないし調節ユニットに結合(接続)されることができる。とりわけ、各流体案内部には夫々1つの更なるバルブ部を割り当てる(配属する)ことができる。かくして、処理ユニットの内部における流体の流れを極めて簡単な方法で、とりわけ電気的制御ないし調節ユニットによって、制御することができる。このため、処理媒体は最早浪費されない(無駄に使用されない)ため、コストを削減することができる。
【0052】
上述したように、本装置は液状試料の処理を自律的に(autonom)に実行することができる。これは、本装置が第1変形形態による処理ユニットを有する場合、全く格別に簡単な方法で可能になる。そのため、この場合、チューブ(ホース)を介して接続(結合)される外設の流体貯蔵器、並びに、外部ポンプ、バルブ部及び処理のための外部制御器を備える必要性はなくなる。
【0053】
第1変形形態による上述の処理ユニットによって、本装置について複数の処理工程及び/又は運転モードを実現することができる。処理ユニットが上述のマイクロ流体構造を有するため及び/又は少なくとも1つの流体案内部が少なくとも収容部内に侵入する、とりわけ液状試料内に突入するため、後述する複数の運転モードが可能になる。
【0054】
第1運転モードでは、支持体の収容部内に存在する液状試料の混合又は液状試料の一部の一部の吸入又は流体の、とりわけ予め吸入された液状試料の一部又はガスの、液状試料への投与が、処理ユニットによって選択的に実行されることができる。そのため、処理ユニットによって、複数の(多数の)処理工程を実行することができる。
【0055】
液状試料の混合は、収容部内に存在する液状試料の一部が処理ユニットの流体案内部に吸入されること及び次いで流体案内部に吸入された液状試料の一部が直接的に液状試料に投与されることが交互に及び/又は複数回続けて行われることによって、実行されることができる。代替的に又は追加的に、液状試料の混合は、流体案内部の出口部(Auslass)にガス気泡が生成され、ガス気泡径が交互に及び/又は複数回続けて拡大及び縮小されることによって達成されることができる。
【0056】
本装置の第1運転モードは、とりわけバイオテクノロジー生産の分野において、有利である。そして、バイオテクノロジー及び医薬生産における例えばタンパク質、抗体等のような作用物質の作成は細胞ベースで実行されることが増えている。そのために、遺伝子工学的に改変された個別細胞からのクローニングによって、遺伝子的に同一の大きな細胞集団が培養される。これらが、特殊鋼(ステンレススチール)製タンク内で作用物質を成長させ、生産する。この高度に複雑な処理フローは個別(単一)細胞から出発する。個別細胞は遺伝子工学的改変後例えばマイクロタイタープレートのような支持体の収容部において増加(増殖)される。
【0057】
単離の前には、細胞は数百万個の類似の細胞と一緒にいわゆる振盪培養中で生存している。このことは、細胞(複数)は定常的に振盪されながら浮遊した状態で液体媒体(液体培地)中に保存されていることを意味する。即ち、細胞は振盪には慣れている。他方、支持体の収容部内で細胞を単離する場合、小さな容積の収容部(複数)を有する従来技術から既知のマイクロタイタープレートは振盪させられないため、細胞は流体の静止を経験することになる。小さな収容部は過度に大きな毛細管圧を有するうえ、振盪が激しすぎると、液状試料が蓋を越えて(介して)漏出するという危険が生じる。従って、この種のマイクロタイタープレートは静止状態で保管されるのが通常である。これは細胞にとってはストレスである。というのは、細胞の自然の(本来の)環境条件が変化してしまったからである。更に、細胞は同種細胞から隔離(孤立化)されるが、これもまた付加的なストレス要因となる。
【0058】
本発明の装置は(液状試料の)吸入及び投与(投入)のプロセス及びその結果として引き起こされる液状試料の混合によって、支持体を運動させる必要性を生じることなく、振盪運動を疑似的に引き起こす(模擬する)ことができる。これによって、細胞にとっての上記2つのストレス要因の一方は最小化されるか又は最早存在しなくなる。このため、1つの細胞から1つのコロニーが形成される機会は著しく大きくなる。
【0059】
第2運転モードでは、処理ユニットによって、少なくとも2つの処理媒体を有する少なくとも1つの混合物を生成することができる。この場合、とりわけ混合物を生成するために、処理ユニットによって、予め設定される量の一の処理媒体が収容部に供給され、次いで、処理ユニットによって、予め設定される量の他の処理媒体が同じ収容部に供給されることができる。次に、処理ユニットによって、該一の処理媒体と該他の処理媒体が他の収容部に供給されることができる。ここで、該他の収容部に生成される他の混合物は、該一の処理媒体について及び/又は該他の処理媒体について、該収容部に存在する混合物とは異なる量を有する。
【0060】
結果的に、上記の第2運転モードによって、例えばタンパク質合成又は作用物質のスクリーニングの場合に使用される希釈系列を生成することができる。所定体積の流体を個々の収容部に目的通りに輸送(供給)することによって、複数の収容部に、異なる濃度の混合物を生成することができる。処理ユニット及び/又は作動装置内に予め貯蔵されている流体の数に応じて、最短の時間内に、その上複雑で、多段階的な複数の希釈物を作製することができる。
【0061】
第2運転モードは、本装置が液状試料の性質を検出するための更なる光学的検出装置を有する上記の更なる処理ユニットを有すると、全く格別に有利である。更なる光学的検出装置によって、収容部内における混合比を監視(モニタ)することができる。これによって、収容部毎に正確な混合比を自動的に決定することができる。その結果、夫々の収容部における所望の混合比を達成するために、更なる処理ユニットによって正確な量の処理媒体を夫々の収容部へ供給可能にすることが、更なる処理ユニットによって保証されることができる。
【0062】
処理ユニットの第3運転モードでは、処理ユニットによって、液状試料は一の収容部から他の収容部へ、とりわけ一定の流速で、移送されることができる。液状試料の移送は支持体の複数の個別収容部を循環するようにして実行することができる。代替的に、液状試料の移送は、液状試料が始収容部から出発し予め設定された収容部に、とりわけ終収容部に、投与された後、終了されることができる。第3運転モードによって、複数の異なる媒体を有する支持体の混合が可能になる。
【0063】
第4運転モードでは、処理ユニットは汚染に対抗するために使用されることができる。このために、液状試料が、とりわけ細胞培養物が、例えば細菌、カビ又は病原菌のような外来物体によって汚染されているか否かを、更なる処理ユニットによって監視(モニタ)することができる。外来物体による液状試料の汚染が更なる処理ユニットによって確認さ(検出)れると、処理ユニットによって、処理媒体、とりわけ例えば抗菌剤のような対抗作用剤(Gegenmittel)を、汚染された液状試料を含む収容部に投入することができる。
【0064】
更なる光学的検出装置は、予め設定された複数の期間に、例えば6時間毎に、液状試料の画像を生成することができる。更に、更なる光学的検出装置は生成された画像に基づいて汚染の程度を決定する(求める)ことができる。一の収容部において急性の汚染が確認されると、処理ユニットによって、対抗作用剤が、とりわけ抗菌剤が、当該汚染された収容部のみに供給される。本装置は汚染された収容部を検知することができ、当該収容部を後に行われる製薬プロセスから除外するために、そのことについて後に通知することができる。その結果、使用不可となるのは支持体の1つの収容部のみであり、収容部のすべてが使用不可となることはない。
【0065】
更に、処理ユニットは、第1変形形態に応じ、複数の更なるアプリケーションのために使用されることができる。とりわけ、処理ユニットは、1つの流体又は複数の流体が1つの収容部又は複数の収容部に供給される必要があるアプリケーションのために使用されることができる。そのようなアプリケーションには、アッセイ、スクリーニング、タンパク質精製、細胞培養、又は全く一般的に複数の流体の混合が含まれる。
【0066】
第1変形形態による処理ユニットを有する本発明の装置は、極めて多様な異なる媒体を用いてこれらのオペレーションのすべてを自給自足的に(自己完結的に:autark)実行することができる。使用される工程(複数)の制御(管理)及び追跡可能性を保証可能にするために、本装置は更なる処理ユニットを有することができる。これは、例えば透過(率)、化学ルミネセンス又は蛍光のような、光学的測定によって、液状試料の及び/又は本装置に備えられたセンサの状態の読み取りを可能にする。
【0067】
従来の処理の場合とは異なり、これらの工程はすべて、本発明の装置によって支持体の閉じられた収容部即ち閉空間(複数)において制御された条件下で実行されることができる。本発明の装置では、従来技術から既知の装置と比べると、処理の安定性は格段により大きく、処理(複数)はより均一に進行し(行われ)、異なるシステム間での移送及び例えば蓋部又はその他の閉鎖要素の取り外しによる収容部の開放(これらは気化を引き起こし、汚染を促進し得る)のような従来は必要であった不利な工程は不要になる。
【0068】
後者は、まさに数マイクロリットルから数ナノリットルのように流体量が少ない場合、問題は大きくなる。敏感な反応混合物は、供給される処理媒体(複数)の混合比が正確に一致している場合にのみ、再現可能に機能する。体積が小さければ小さいほど、それだけ一層、気化の影響はより大きくなる。この傾向はそのように小さな体積ついて明確に表れる。というのは、手間がかかりかつ高価な処理媒体は、ますます多くのアプリケーション、例えばDNAやRNAの配列決定、において、より重要な役割を有するからである。
【0069】
マイクロ流体構造を備えた第1変形形態による処理ユニットは、死容積が極僅かであり、そのため、大型のピペッティングロボットと比べると処理媒体の喪失が最小化される(少なくなる)という利点を有する。密封的にシールする処理ユニットは、処理全体にわたって支持体上に留まり、そのため効果的に気化を妨げる。
【0070】
とりわけ第2変形形態による、代替的な処理ユニットでは、処理ユニットは、液状試料を加熱するための加熱要素及び/又は液状試料を冷却するための冷却要素を有することができる。この場合、処理ユニットは加熱剤(加熱手段)又冷却剤(は冷却手段)が流動可能な更なる流体チャネルを有することができる。加熱剤又は冷却剤は、処理ユニットの内部を流動することができ、及び/又は、液状試料には液通的に結合(接触)されない。この場合、処理ユニットは、加熱要素及び/又は冷却要素の及び/又は加熱剤及び/又は冷却材の温度を測定する温度センサを有することができる。電気的制御ないし調節ユニットは、温度センサによって検出された値に基づいて、液状試料の加熱又は冷却を調節することができる。
【0071】
支持体の収容部は受容要素の受容部に配されることができる。全く格別に有利な一実施形態では、受容要素は冷却要素として機能することができる。液状試料の冷却のためには、受容要素は、収容部内に存在する試料よりもより低い温度を有していればよい。代替的に又は追加的に、受容要素は、とりわけ加熱(加温)された液状試料の冷却(温度低下)を阻止することが意図される断熱装置として作動することができる。
【0072】
第2変形形態による処理ユニットは、所定の物質の検出のための試験(アッセイ)の際に重要である。多くのアッセイでは、試料の温度は化学反応のために決定的に重要である。可及的に一定の温度が必要とされる等温アッセイの他に、温度の周期的変化が必要とされる多数のアッセイがある。
【0073】
これに関し、最も有名な例は、DNAの増幅のためのいわゆる「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」である。従来は、そのようなPCRアッセイを実行するために、試験支持体は試験装置内に装入され、試験装置は試験支持体全体を、収容されている液体と一緒に、予め定められたプロトコルに従って、可及的に迅速にその都度所望される温度にもたらしていた。第2変形形態による処理ユニットを用いることによって、この機能はより迅速に、より正確にかつより省エネルギ的に実行されることができる。そのため、処理ユニットは、試料内に到達しかつ該試料を直接液体中において所望の温度にもたらす加熱要素及び/又は冷却要素を有する突出バー(ないし棒状体)を含むことができる。温度センサは加熱要素及び/又は冷却要素に設けられることができ、従って、液体温度の正確な調節を可能にすることができる。
【0074】
とりわけ、更なる光学的検出装置を備えた更なる処理ユニットを有する装置は有利である。支持体の下方に配置される更なる光学的検出装置によって、蛍光強度は収容部内において反応中に観察されることができる。そのため、いわゆる「リアルタイムPCR」アッセイを簡単に実行することができる。
【0075】
とりわけ第3変形形態による、代替的な処理ユニットは、液状試料の分析のための分析ユニットを有することができる。分析ユニットは、液状試料の性質を検出するための少なくとも1つのセンサを有することができる。とりわけ、分析ユニットはバイオセンサ及び/又は温度センサ及び/又は酸素センサを有することができる。処理ユニット内に吸入された液状試料の一部は各センサに導かれることができる。個々のセンサは、例えば、処理ユニット(内)に配置可能な光学的検出装置によって検出可能な蛍光信号によって読み出されることができる。代替的に又は追加的に、センサは更なる処理ユニットの更なる光学的検出装置によって検出されることができる。
【0076】
更に、分析ユニットは液状試料の受容のための廃物室を有することができ、廃物室は流体技術的にセンサの、とりわけすべてのセンサの、後方に(下流側に)配置される。この場合、液状試料の吸入された一部は分析後に廃物室に導かれることができる。これは、液状試料の吸入された一部は再び投与によって収容部に戻されないことを意味する。
【0077】
更に、処理ユニットは、例えば第1変形形態による処理ユニットのようなマイクロ流体構造も有することができる。分析が行動(処置)の必要(Handlungsbedarf)があることを示す場合、処理媒体を支持体の個々の収容部へ供給することが、マイクロ流体構造によって可能になる。
【0078】
第3変形形態による処理ユニットは細胞の分野において格別に有利に使用されることができる。例えばMSC又はiPSのような幹細胞のような極めてデリケートな細胞は現代医学において一連の治療において使用される。細胞は、例えば温度低下、pH値変動、二酸化炭素レベル(濃度)の変動及び/又はUV光のような外部の影響の変化によって引き起こされるストレスに激しく反応する。このストレスの結果、これらの細胞は培地中での増殖が困難になり及び/又は、例えばiPSの場合における多能性のような、治療のために必要なその性質を極めて急速に喪失する。ひとたび喪失すると、これは再び獲得されることはできない。細胞集団は最早治療に使用できない。
【0079】
第3変形形態による処理ユニットを有する本発明の装置は、そのような細胞のための培養条件を自動的に(独立に:selbsttaetig)かつ間断なく監視しかつリアルタイムで調節することができる。従来は、人間又はロボットが条件(状態)を測定しかつこれを適合化しなければなかった。このために、細胞を備えたプレートがまさにこの条件(状態)から取り出され、蓋が開かれ、測定ないし適合化が実行される。このプロセスからして既に、細胞にとっては過大なストレスであり得る。従って、従来は、そのような細胞を培養することは多大な労力をかけてはじめて可能であった。このため、治療は極めて高額になる。
【0080】
この問題は、第3変形形態による処理ユニットを有する装置によって解決することができる。細胞はストレスフリーでかつ一定に制御された条件下で増殖(成長)することができる。センサは、例えば、更なる処理ユニットによって、とりわけ更なる光学的検出装置によって、検出される蛍光信号によって読み出されることができる。従って、分析は、本装置の内部において完全に実行されることができ、本装置の開放及び/又は外部の分析装置への試料の移送は必要でない。
【0081】
特別な一実施形態では、液状試料の処理の前に、電気的制御ないし調節ユニットがプログラムされること及び/又は処理プログラムが選択及び開始されることができる。かくして、電気的制御ないし調節ユニットは、処理工程を予め設定される処理フローに応じて制御するよう、プログラムされることができる。代替的に又は追加的に、処理プログラムは制御シークエンス(制御フロー)(これに従って処理工程は制御される)を含むことができる。
【0082】
液状試料の処理が終了した後、処理ユニットは他の処理工程の実行のための他の処理ユニットと交換されることができる。これは、とりわけただ1つの処理ユニットによっては必要なすべての処理工程を実行することができない場合、有利である。処理ユニットは他の構成要素に再び分離可能に結合されるため、処理ユニットの交換は簡単な方法で実行することができる。
【0083】
とりわけ、他の処理ユニットは処理ユニットと同じ作動装置に結合されることができる。これは、同じ作動装置が複数の異なる処理ユニットの複数の異なる処理工程を制御できることを意味する。
【0084】
更に、液状試料の処理の終了後、ハウジング及び作動装置及び処理ユニットは支持体から分離されることができる。支持体は処理ステーションへ移送されることができ、液状試料は処理ステーションにおいて処理されることができる。これは、例えば、本装置によっては実現可能ではない複雑な処理工程が使用される場合に必要である。複雑な処理工程は、既存の試験装置において従来の手段及び方法で実行されることができる。
【0085】
支持体から分離された作動装置は、作動装置の電気的蓄積器への電気的エネルギの充填が行われる充電ステーションへ移送されることができる。更に、支持体から分離された作動装置は、作動装置のタンクへの処理媒体の供給が行われる充填ステーションへ移送されることができる。処理ユニットは、処理ユニットの洗浄が行われる洗浄ステーションへ移送されることができる。従って、作動装置及び/又は処理ユニットは複数回使用されることができ、このことはコストの観点から有利である。
【0086】
特別な一実施形態では、本装置の組立又は分解は手作業で又は自動的に実行されることができる。とりわけ、本装置の組立又は分解は夫々ただ1つの操作装置によって実行されることができる。これにより、既存の試験装置を使用することができるため、新たな試験装置のための付加的な投資コストは不要になるという利点が得られる。
【0087】
本装置の組立の際には、例えばロボットのような操作装置によって、互いに異なるように構成された複数の処理ユニットから1つの処理ユニットが選択されて組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該処理ユニットが支持体に載置されることができる。そのために、第1~第3変形形態による処理ユニットを使用することができる。更に、操作装置は更なる処理ユニットを組立ステーションへ移送することができる。これは、支持体が組立ステーションに配される前に実行可能であると有利である。というのは、支持体は更なる処理ユニットに載置されるからである。
【0088】
次に、互いに異なるように構成された複数の作動装置から、該処理ユニットに割り当てられる(配属する)1つの作動装置が選択されて該組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該作動装置が該処理ユニットに載置されることができる。その結果、本装置のモジュール構造に基づき、液状試料の処理のために必要な構成要素(複数)が必要に応じて選択され、互いに結合されることができる。
【0089】
とりわけ、操作装置の制御ユニットは、選択されかつ組み立てられるべき処理ユニット及び作動装置を、アプリケーションに応じて決定することができる。その一例は、複数の異なる培養条件を複数の異なる装置によって実現することであろう。更に、他の装置は、細胞を溶解した後、ゲノムを増幅することができるであろう。更なる装置は、細胞コロニーの培地を交換することができる。代替的な装置は、支持体における酸素含有量、pH値及び細胞集団の個体群密度を決定する(求める)ことができるであろう。代替的な装置は、タンパク質のフォールディング又は合成のための希釈系列を調製すること、及び、更なる処理ユニットの更なる光学的検出装置によって直接的に結果を読み出すことができるであろう。
【0090】
組立ステーションで本装置を組み立てた後、組み立てられた本装置は保管ステーション(Ablagestation)へ移送されることができる。本装置は処理が終了されるまでの間、保管ステーションに留まることができる。更に、保管ステーションにおいて、本装置は、とりわけ電気的蓄積器は、電気エネルギが供給されることができる。本装置に電気エネルギが供給されない場合にも、電気的蓄積器(の電力)に基づき液状試料を処理することは勿論可能である。
【0091】
特別な一実施形態では、処理ユニット及び作動装置の各ステーションへの移送は操作装置の同じ移送装置によって実行されることができる。これは、本装置の組立のために及び本装置の、とりわけ作動装置、処理ユニット及び支持体の、移送のためにただ1つの移送装置のみが必要とされることを意味する。移送装置は外部の制御装置によって制御されることもできる。
【0092】
ここに、本発明の好ましい実施の形態を示す。
(形態1)上記第1の視点参照。
(形態2)形態1の装置において、
a.該装置は、支持体に再び分離可能に結合されておりかつ支持体をカバーするハウジングを有すること、及び/又は、
b.作動装置はハウジングと支持体との間に配置されていること、及び/又は、
c.ハウジングは作動装置に載置されていること、
d.該装置は、液状試料の処理が該装置内において自律的に実行されるよう構成されていること、及び/又は、
e.ハウジング及び/又は作動装置及び/又は処理装置は、支持体と同じ操作装置によって操作可能であるよう構成されていること、及び/又は、
f.作動装置は処理ユニットに再び分離可能に結合されていること、及び/又は、
g.処理ユニットは支持体に再び分離可能に結合されていること、及び/又は、
h.ハウジングは作動装置に再び分離可能に又は固定的に結合されていることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の装置において、
a.ハウジングは、作動装置の電気的制御ないし調節ユニットにデータを入力するための入力装置を有すること、及び/又は、
b.ハウジングはボックス形状に構成されており、作動装置及び/又は処理ユニット及び/又は支持体はハウジングの中空空間に配置されていること、及び/又は、
c.作動装置は、電気的制御ないし調節ユニットに電気エネルギを供給する電気的蓄積器を有すること、及び/又は、
d.作動装置は、データの送信及び/又は受信のための通信手段を有すること、及び/又は、
e.作動装置は、電気的制御ないし調節ユニットによって制御可能な少なくとも1つのポンプを有すること、及び/又は、
f.作動装置は、ポンプ及び/又は処理ユニットに液通的に結合可能な、処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つのタンクを有すること、及び/又は、
g.作動装置は、電気的制御ないし調節ユニットに電気的に接続可能な及び/又は処理ユニットに液通的に結合可能な測定ユニットを有すること、及び/又は、
h.作動装置は、電気的制御ないし調節ユニット及び/又は電気的蓄積器及び/又は通信手段及び/又はポンプ及び/又はタンク及び/又は測定ユニットが配されているプレート)を有することが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの装置において、
a.該装置は作動装置を処理ユニットに載置する際又は作動装置を処理ユニットから取り外す際、処理ユニット内に存在する処理媒体及び/又は処理ユニット内に存在する液状試料の一部が作動装置に接触しないよう構成されていること、及び/又は、
b.作動装置は、チューブレスで(schlauchlos)又はワイヤレスで処理ユニットに接続されていること、及び/又は、
c.該装置は、作動装置と処理ユニットとの間に配置されている中間要素を備えること、及び/又は、
d.該装置は、中間要素を備え、作動装置は該中間要素を介して処理ユニットに結合されていること、及び/又は、
e.該装置は、作動装置と処理ユニットとの間に配置されている及び/又は作動装置を処理ユニットに当該中間要素を介して結合させる中間要素を備え、作動装置は粘着部材として構成された中間要素を介して処理ユニットに材料結合的に(stoffschluessig)結合されていること、及び/又は、
f.処理ユニットは更なる処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つの更なるタンクを有することが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの装置において、処理ユニットは、載置基板部と該載置基板部から延伸しかつ収容部内の液状試料に突入する少なくとも1つの流体案内部を有することが好ましい。
(形態6)形態5の装置において、
a.少なくとも1つの流体案内部は、載置基板部内に配されている流体チャネルに液通的に結合されていること、及び/又は、
b.少なくとも1つの他の流体案内部は、載置基板部内に配されている他の流体チャネルに液通的に結合されていることが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかの装置において、
a.処理ユニットは、電気的制御ないし調節ユニットに結合されている少なくとも1つの更なるバルブを有すること、及び/又は、
b.処理ユニットは加熱要素及び/又は冷却要素を有すること、及び/又は、
c.処理ユニットは加熱剤又は冷却剤が流動可能な更なる流体チャネルを有すること及び/又は、
d.処理ユニットは液状試料の分析のための少なくとも1つの分析ユニットを有すること、及び/又は、
e.処理ユニットは液状試料の分析のための少なくとも1つの分析ユニットを有し、分析ユニットは、少なくとも1つのセンサと、分析ユニット内に吸入された液状試料の一部を受容するための廃物室とを有し、廃物室は流体技術的にセンサの後方に配置されていること、及び/又は、
f.処理ユニットは液状試料の及び/又はセンサの性質を検出するための少なくとも1つの光学的検出装置を有すること、及び/又は、
g.処理ユニットは使い捨て部材として形成されることが好ましい。
(形態8)形態7の装置において、
a.更なる処理ユニットは支持体と更なる作動装置との間に配置されていること、及び/又は、
b.更なる処理ユニットは液状試料の及び/又はセンサの性質を検出するための少なくとも1つの更なる光学的検出装置を有すること、及び/又は、
c.支持体は更なる処理ユニットに載置されていること、及び/又は、
d.作動装置及び/又は更なる処理ユニットは更なるハウジングの更なる中空空間に配置されており、更なるハウジングは支持体に再び分離可能に結合可能であること、及び/又は、
e.更なる作動装置と作動装置はデータ技術的に通信するよう構成されていることが好ましい。
(形態9)上記第2の視点参照。
(形態10)形態9の方法において、
a.支持体の少なくとも1つの収容部に少なくとも1つの液状試料が配されること、及び、
b.処理ユニットが支持体に載置されること、及び、
c.作動装置が処理ユニットに載置されること、但し、作動装置は電気的制御ないし調節ユニットを有すること、及び、
d.処理ユニットによって実行される処理工程が電気的制御ないし調節ユニットによって制御ないし調節されることが好ましい。
(形態11)形態9又は10の方法において、
a.支持体及び作動装置及び処理ユニットをカバーするハウジングが支持体に再び分離可能に結合されること、及び、
b.液状試料の処理の前に、電気的制御ないし調節ユニットがプログラムされること及び/又は処理プログラムが選択及び開始されること、及び、
c.処理工程の制御は予め設定される制御シークエンスに従って実行されること、及び、
d.液状試料の処理が終了した後に、処理ユニットは他の処理工程の実行のための他の処理ユニットと交換され、又は更に、前記他の処理ユニットは前記処理ユニットと同じ作動装置に結合され、又は、液状試料の処理が終了した後に、ハウジング及び作動装置及び処理ユニットは支持体から分離され、支持体は処理ステーションへ移送され、液状試料は処理ステーションにおいて処理されることが好ましい。
(形態12)形態9~11の何れかの方法において、
a.作動装置は、作動装置のタンクへの処理媒体の供給が行われる充填ステーションへ移送されること、及び/又は、
b.処理ユニットは、処理ユニットの洗浄が行われる洗浄ステーションへ移送されること、及び/又は、
c.前記処理装置の組立又は分解は手作業で又は自動的に行われること、及び/又は、
d.前記処理装置の組立又は分解は夫々ただ1つの操作装置によって行われることが好ましい。
(形態13)形態9~12の何れかの方法において、
前記処理装置の組立の際に、
互いに異なるように構成された複数の処理ユニットから1つの処理ユニットが選択されて組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該処理ユニットが支持体に載置され、次いで、
互いに異なるように構成された複数の作動装置から、該処理ユニットに割り当てられる1つの作動装置が選択されて該組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該作動装置が該処理ユニットに載置されること、又は更に、
組立ステーションにおける前記処理装置の組立後、組み立てられた処理装置は保管ステーションへ移送されること、及び/又は、処理ユニット及び作動装置の各ステーションへの移送は同じ移送装置によって実行されることが好ましい。
(形態14)形態9~13の何れかの方法において、
a.支持体の収容部内に存在する液状試料の混合又は液状試料の一部の吸入又は液状試料への流体の投与は処理ユニットによって選択的に実行されること、又は更に、液状試料の混合は、収容部内に存在する液状試料の一部が処理ユニットの流体案内部に吸入されること及び次いで流体案内部に吸入された液状試料の一部が直接的に液状試料に投与されることが交互に及び/又は複数回続けて行われること、及び/又は、流体案内部の出口部にガス気泡が生成され、ガス気泡径が交互に及び/又は複数回続けて拡大及び縮小されること、によって実行されること、及び/又は、
b.処理ユニットによって、少なくとも2つの処理媒体を有する少なくとも1つの混合物が生成されること、但し、処理ユニットによって、予め設定される量の一の処理媒体が収容部に供給され、次いで、処理ユニットによって、予め設定される量の他の処理媒体が同じ収容部に供給されること、又は更に、次に、処理ユニットによって、前記一の処理媒体と前記他の処理媒体が他の収容部に供給されること、但し、該他の収容部に生成される他の混合物は、該一の処理媒体について及び/又は該他の処理媒体について、前記収容部に存在する混合物とは異なる量を有すること、及び/又は、
c.処理ユニットによって、液状試料は一の収容部から他の収容部へ移送されること、又は更に、液状試料の移送は、複数の収容部を循環するようにして実行されるか、又は、液状試料の移送は、液状試料が予め設定された収容部に投与された後、終了されることが好ましい。
(形態15)形態9~14の何れかの方法において、
収容部は監視されること、但し、
監視の際に、液状試料の性質が光学的に検出され、及び、
電気的制御ないし調節ユニットは、処理ユニットによって実行される処理工程を、検出された該性質に依存して調節すること、又は更に、
収容部内における混合比が監視されることが好ましい。
(形態16)形態15の方法において、
液状試料が異物で汚染されているか否かが監視されること、又は更に、
液状試料が異物で汚染された場合、処理ユニットによって、処理媒体が、とりわけ対抗作用剤(Gegenmittel)が、汚染された液状試料に投入されることが好ましい。
(形態17)形態9~16の何れかの方法において、
処理ユニットによって、液状試料は加熱又は冷却されること、又は更に、
加熱剤又は冷却剤は処理ユニットを通って流動することが好ましい。
(形態18)形態9~17の何れかの方法において、
処理ユニットは液状試料を分析すること、又は更に、
液状試料の分析のために、液状試料は処理ユニットに設けられた少なくとも1つのセンサへ導かれること、又は更に、
センサは、光学的検出装置及び/又は更なる光学的検出装置によって読み出されること、及び/又は、処理ユニットに吸入された液状試料は、分析後、処理ユニットに設けられた廃物室へ導かれることが好ましい。
図面には本発明の対象が模式的に記載されている。同じ又は同様に機能する構成要素には、概ね、同じ図面参照符号が付記されている。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】第1実施例による本発明の装置の分解図。
図2】作動装置の一例の斜視図。
図3図2に示した作動装置の平面図。
図4】第1実施例による処理ユニットの一例と支持体の一例の縦断面図。
図5】第2実施例による処理ユニットの一例と支持体の一例の斜視図。
図6図5に示した処理ユニットの縦断面図(側面からの視図)。
図7】第3実施例による作動装置及び処理ユニットの一例の分解図。
図8図7に示した作動装置と処理ユニットの一部の拡大図。
図9】第4実施例による処理ユニットの一例と支持体の一例の縦断面図(側面からの視図)。
図10】分析ユニットの一例の平面図。
図11】第5実施例による処理ユニットの一例の平面図。
図12】第6実施例による処理ユニットの一例の縦断面図。
図13】第7実施例による処理ユニットの一例の縦断面図。
図14】支持体の一例及び受容要素(Aufnahmeelement)の一例を備えた第8実施例による処理ユニットの一例の縦断面図。
図15】第本発明の装置のための操作装置の一例。
【実施例
【0094】
液状試料を処理するための図1に示した装置は、複数の収容部2を備える支持体1を有する。収容部2には夫々液状試料が配される。更に、本装置は少なくとも1つの処理工程を実行するための処理ユニット3と作動装置4とを有する。作動装置4は、処理ユニット3によって実行される1つ又は複数の処理工程の制御ないし調節に役立つ図2に示した電気的制御ないし調節ユニット5を有する。電気的制御ないし調節ユニット5は例えばマイクロコントローラ、プロセッサ等であり得る。作動装置4は処理ユニット3に載置される。更に、本装置はハウジング6及び中間要素7を有する。
【0095】
処理ユニット3は支持体1に、とりわけ直接的に、載置され、載置された状態で支持体1を、とりわけ収容部2を、密封的にカバーする。この場合、処理ユニット3は再び分離可能に支持体1に結合される。作動装置4は中間要素7を介して処理ユニット3に液通的に結合される。このために、中間要素7は貫通孔8の形での複数のインターフェースを有する。中間要素7の貫通孔8の個数は処理ユニット3の開口部9の個数に対応する。
【0096】
ハウジング6は作動装置4、中間要素7、処理ユニット3及び支持体1の上に配置され、支持体1に再び分離可能に結合される。本装置の組立状態では、処理ユニット3、中間要素7及び作動装置4並びに支持体1の一部はハウジング6の中空空間内に配されている。ハウジングは、電気的制御ないし調節ユニット5のプログラミング及び/又プログラミングプログラムの選択を実行可能にさせるタッチ式ディスプレイ10を有する。
【0097】
更に、本装置は更なる処理ユニット11及び図1に不図示の更なる作動装置を有する。更なる処理ユニット11及び更なる作動装置は更なるハウジング12の更なる中空空間に配される。更なる処理ユニット11は複数の光学的撮像装置13を備えた光学的検出装置を有する。光学的検出装置によって、液状試料の性質は検出されることができる。
【0098】
液状試料の性質を検出するために、光学的撮像装置13によって、液状試料の画像を生成することができる。この場合、収容部2の各々に1つの光学的撮像装置13を割り当てる(配属する)ことができ、そのため、支持体に配されている液状試料の性質を光学的検出装置によって検出することができる。不図示の更なる作動装置は作動装置4と、とりわけ電気的制御ないし調節ユニット5と、データ技術的に通信することができる。
【0099】
更なる処理ユニット11は、処理ユニット3から離隔する(遠い)側の支持体1の端部(一端面)に配される。支持体は更なる処理ユニット11に載置される。更に、更なる処理ユニット11は再び分離可能に支持体1に結合される。更なる作動装置は再び分離可能に更なる処理ユニット11に結合される。更に、更なるハウジング12は支持体1に再び分離可能に結合される。
【0100】
図2は作動装置4を斜視図で示し、図3は作動装置4を平面図で示す。作動装置4は、電気的制御ないし調節ユニット5に加えて、電気的制御ないし調節ユニット5に電気エネルギを供給する例えば再充電可能な蓄電池のような電気的蓄積器(蓄電器)14を有する。更に、作動装置4は処理ユニット3に液通的に結合するマイクロポンプ15を有する。例えば二酸化炭素が充填されているガスタンク16はバルブ部17を介してマイクロポンプ15に及び/又は図1に示した処理ユニット3に液通的に結合(接続)される。更に、作動装置4は圧力センサ18及び不図示の通信手段を有する。作動装置4の個々のコンポーネントはプレート25上に配されている。従って、作動装置4はモジュールとして構成されている。
【0101】
図4は、図1に示した処理ユニット3と同じ原理に基づいて動作する、第2実施例による処理ユニットの一例を示す。処理ユニット3は、収容部2の液状試料20に突入する流体案内部19を有する。収容部2は処理ユニット3の蓋部24によってカバーされる。流体案内部19は、蓋部24に設けられた貫通孔を通り抜けて延伸して、収容部2内に侵入する。
【0102】
処理ユニット3は、更に、載置基板部21を有し、流体案内部19は載置基板部21から液状試料20の方向に延伸する。載置基板部21は、流体案内部19に液通的に結合する流体チャネル22を有する。更に、流体チャネル22は、マイクロポンプ15に液通的に結合する出口開口部(Auslassoeffnung)23に液通的に結合している。液状試料20から離隔する側の流体案内部19の端部には、フィルタ52を配することができる。フィルタ52は液体非透過性かつ気体透過性である。
【0103】
処理ユニット3によって、収容部2内に存在する液状試料20の一部は流体案内部19内に吸入され、次いで、収容部2に投与(投入)されることができる。かくして、収容部2内における液状試料20の混合が実現される。吸入と吐出(投与)のプロセスの結果、収容部2内及び流体案内部19内における液状試料のレベル(高さ位置)は二重矢印によって図示されているように変化する。更に、流体案内部19によって、流体は、とりわけガス(気体)又は液体は、液状試料20に供給されることができ、また、収容部2から流体案内部19及び出口開口部23を介して排出されることができる。
【0104】
図5は支持体1上に配されている、第3実施例による処理ユニット3の一例を示す。図4に示した形態とは異なり、処理ユニット3は、載置基板部21から支持体1の方向に延伸する複数の流体案内部19を有する。この場合、流体案内部19は、夫々、支持体1に設けられた収容部2内に侵入し、夫々対応する液状試料に突入する。この場合、流体案内部の各々によって、同じ運転モードを、とりわけ液状試料の吸入、液状試料の投与又は液状試料の混合を、図4図5及び図6に示した流体案内部19によるのと同様に、実現することができる。流体案内部19の各々はフィルタ52を有することができる。
【0105】
図6に示した流体案内部19の各々は流体チャネル22に液通的に結合している。図6には図示されておらずかつ図6に示した流体案内部19を有する面に平行に延在する他の面に配されている図5に示した流体案内部19は、同様に、流体チャネル22に液通的に結合されている。勿論、流体案内部19が流体チャネル22にではなく、不図示の他の流体チャネルに液通的に結合される形態も可能である。この場合、載置基板部21は、不図示の他のポンプ及び/又は他のタンクに液通的に結合される不図示の更なる開口部(Oeffnung)を有する。
【0106】
流体案内部19は夫々載置基板部21から直接的に延伸し、該載置基板部21に再び分離可能に結合されている。流体案内部19は、夫々収容部2内に存在する液状試料20に浸漬するよう設定されかつ相応に構成されている。液状試料20は図6には示されていない。
【0107】
図7は作動装置と第3実施例による処理ユニットを分解図で示す。図1に示した形態との相違の1つは、中間要素7がインターフェース(複数)を備えたプレートとして構成されておらず、処理ユニット3を作動装置4と材料結合的に結合させる接着(粘着)部材として構成されている点にある。
【0108】
図8図7に文字Aでマーキングした部分の拡大図である。作動装置のプレート25には、載置基板部21内に存在する流体チャネル22と液通的結合状態にある貫通路(Durchlass)26が存在することが図8から見出される。更に、貫通路26を通って流動する流体が中間要素7に接触することを妨げる他のシール部材53が存在することが図8から見出される。
【0109】
図1図4図5図6及び図7に示した処理ユニット3によって同じ運転モードを実現することができる。そのため、この処理ユニットによって、液状試料20の混合を実現することができる。更に、処理ユニットは、流体が、とりわけガス又は液体が、支持体1の収容部に供給可能であることを可能にすることが望まれる。更に、収容部内に存在する液状試料の一部が流体案内部19に吸入されることが処理ユニット3によって可能にされることが望まれる。流体の吸入された部分は再び収容部内に投与されること又は該収容部2から他の収容部へ輸送されることができる。
【0110】
図9は第4実施例による処理ユニット3の一例を示す。収容部2内に存在する液状試料20は処理ユニット3によって分析されることが意図されている。処理ユニット3は、液状試料20の分析を行う分析ユニット27を有する。分析ユニット27はバイオセンサ28、温度センサ29及び酸素センサ30を有する。更に、分析ユニット27は廃物室31を有する。
【0111】
液状試料の分析のために、液状試料20の一部は、流体案内部19によって、処理ユニット3の内部空間32に吸入される。内部区間32に流入した液状試料20の一部は圧力及び/又は毛管力によってバイオセンサ28、温度センサ29及び酸素センサ30へ到達する。そして、吸入された液状試料の一部は廃物室31へ導かれる。液状試料20の一部の内部空間32への流入は、内部空間32内に負圧が形成されることにって達成される。これはマイクロポンプ15によって実行することができる。なぜなら、マイクロポンプ15は更なる開口部40を介して内部空間32に液通的結合状態にあるからである。分析ユニット27の個々の構成要素は互いに液通的に結合(接続)している。
【0112】
図10は、図9に示した分析ユニット27と同じ原理で動作する分析ユニット27の一例を平面図で示す。これは、図9に示した形態とは、分析ユニットの個々の構成要素の配置において相違する。図11図10に示した分析ユニット27を複数有する処理ユニット3の一例を平面図で示す。図11は、分析ユニット27をカバーする蓋部を備えていない(状態にある)処理ユニット3を示す。運転時には、処理ユニット3は分析ユニット27をカバーするための蓋部を有する。分析ユニット(複数)27は複数行及び複数列に(マトリックス状に)配置されている。処理ユニット3は、複数の収容部2を有する支持体1上に配されている。その結果、処理ユニット3によって、収容部2内に存在する液状試料の各々の分析が実行されることができる。
【0113】
図12は第6実施例による処理ユニットの一例を示す。処理ユニットは図12に不図示の液状試料の加熱又は冷却のために役立つ。処理ユニット3はカバー要素50を有し、該カバー要素50からは2つのバー33が同じ方向に延伸している。更に、処理ユニット3は、加熱剤又は冷却剤が流動する更なる流体チャネル34を有する。流体チャネル34はカバー要素50の内部においても、2つのバー33の各々の内部においても延伸している。更に、処理ユニット3は2つのバー33の各々の内部に更なる温度センサ35を有する。
【0114】
図13は、図13には不図示の液状試料の加熱又は冷却のために同様に役立つ、第7実施例による処理ユニットの一例を示す。処理ユニット3は、更なる流体チャネル34を備えておらず、2つのバー33の各々の内部に加熱及び/又は冷却要素36が配されているという点において、図12に示した処理ユニット3と相違する。
【0115】
図14は、液状試料20の冷却又は加熱に役立ちかつ支持体1上に配されている処理ユニット3の一例を示す。この場合、バー(複数)33は支持体の夫々対応する収容部2内に侵入している。バー33の個数は支持体1に設けられている収容部の個数に対応する。収容部2内に存在する液状試料20はバー33によって冷却又は加熱されることができる。この場合、バー33は図12又は図13に示されているように構成されることができる。シール部材51を有するカバー要素50によって、液状試料20は密封される。
【0116】
支持体1は受容要素37上に配されている。とりわけ、支持体1の収容部2は部分的に受容要素37内に配されている。受容要素37は、液状試料20よりもその温度がより低い場合、冷却機能を有することができ、又は、その周囲を支配する温度に対して試料を熱的に絶縁するために役立つことができる。
【0117】
図15は、本装置のための、とりわけ自動的に動作する、操作装置の一例を示す。操作装置は、本質的に、本装置の組み立て、分解又は移送のために役立つ。操作装置は、掴持部39を備えた移送装置38と、複数のステーションを備えたプラットフォーム41とを有する。操作装置は不図示の制御装置によって制御される。
【0118】
プラットフォーム41は、本装置の組み立てが実行される組立ステーション42を有する。更に、プラットフォームは、本装置の異なる構成要素(複数)がストックされる複数のストックステーションを有する。そのため、プラットフォームは、処理ユニット(複数)がストックされる第1ストックステーション43と、更なる処理ユニット(複数)がストックされる第2ストックステーション44を有する。プラットフォームが上述の複数の異なる変形形態による処理ユニットのための更なるストックステーションを有することも勿論可能である。
【0119】
更に、プラットフォームは第3ストックステーション45及び第4ストックステーション46を有する。第3ストックステーションに45は一変形形態による処理装置(複数)が、第4ストックステーション46には他の変形形態による処理装置(複数)がストックされる。
【0120】
更に、プラットフォーム41は、完全に組み立てられた(組み立てが完了した)本装置(複数)を保管することが可能な複数の保管ステーション47を有する。本装置は保管ステーション47において電気エネルギの供給を受けることができる。更に、プラットフォームは、作動装置のタンク及び/又は処理ユニットの更なるタンクへの処理媒体の充填を行うことが可能な充填ステーション48を有する。更に、プラットフォーム41は、既に使用された処理ユニットの洗浄を行うことが可能な洗浄ステーション49を有する。
【0121】
不図示の制御装置は、処理ユニット(複数)及び作動装置(複数)の何れが組立ステーション42へ移送され、そこで組み立てられるべきかについて、液状試料及び必要な処理に依存して自律的に決定する。本装置の組み立て後、これらは保管ステーション47に配置され、そこで、液状試料が処理される。
【0122】
処理の終了後、本装置の個々の構成要素は支持体から取り外されることができる。そして、作動装置は充填ステーション48へ移送され、そこで、処理媒体が供給される。処理ユニットは洗浄のために洗浄ステーション49へ移送されることができる。そして、処理ユニット及び/又は作動装置はそれらに割り当てられたストックステーション43~46へ移送され、そこに配置される。
以下に本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]液状試料を収容するための少なくとも1つの収容部を有する支持体と、少なくとも1つの処理工程を実行するための処理ユニットと、処理ユニットによって実行される処理工程の制御ないし調節のための電気的制御ないし調節ユニットを有する作動装置とを備えた、液状試料の処理装置。
作動装置は、とりわけ制御ないし調節ユニットは、処理ユニットに載置されている。
処理ユニットは支持体に載置されている。
[付記2]上記の装置において、
a.該装置は、支持体に再び分離可能に結合されておりかつ支持体をカバーするハウジングを有する、及び/又は、
b.作動装置はハウジングと支持体との間に配置されている、及び/又は、
c.ハウジングは作動装置に載置されている。
[付記3]上記の装置において、該装置は、液状試料の処理が該装置内において自律的に実行されるよう構成されている。
[付記4]上記の装置において、ハウジング及び/又は作動装置及び/又は処理装置は、支持体と同じ操作装置によって操作可能であるよう構成されている。
[付記5]上記の装置において、
a.作動装置は処理ユニットに再び分離可能に結合されている、及び/又は、
b.処理ユニットは支持体に再び分離可能に結合されている、及び/又は、
c.ハウジングは作動装置に再び分離可能に又は固定的に結合されている。
[付記6]上記の装置において、
a.ハウジングは、作動装置の電気的制御ないし調節ユニットにデータを入力するための入力装置を、とりわけタッチ式ディスプレイを、有する、及び/又は、
b.ハウジングはボックス形状に構成されており、作動装置、とりわけ電気的制御ないし調節ユニット、及び/又は処理ユニット及び/又は支持体はハウジングの中空空間に配置されている。
[付記7]上記の装置において、
作動装置は、
a.電気的制御ないし調節ユニットに電気エネルギを供給する、とりわけ再び蓄積可能な、電気的蓄積器を有する、及び/又は、
b.データの、とりわけワイヤレスの、送信及び/又は受信のための通信手段を有する。
[付記8]上記の装置において、作動装置は、
a.電気的制御ないし調節ユニットによって制御可能な少なくとも1つのポンプを有する、及び/又は、
b.ポンプ及び/又は処理ユニットに、とりわけバルブ部を介して、液通的に結合可能な、処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つのタンクを有する、及び/又は、
c.電気的制御ないし調節ユニットに電気的に接続可能な及び/又は処理ユニットに液通的に結合可能な測定ユニットを、とりわけ圧力センサを、有する。
[付記9]上記の装置において、作動装置は、電気的制御ないし調節ユニット及び/又は電気的蓄積器及び/又は通信手段及び/又はポンプ及び/又はタンク及び/又は測定ユニットが配されているプレートを有する。
[付記10]上記の装置において、該装置は作動装置を処理ユニットに載置する際又は作動装置を処理ユニットから取り外す際、処理ユニット内に存在する処理媒体及び/又は処理ユニット内に存在する液状試料の一部が作動装置に接触しないよう構成されている。
[付記11]上記の装置において、作動装置は、チューブレスで(schlauchlos)又はワイヤレスで処理ユニットに接続されている。
[付記12]上記の装置において、該装置は中間要素を備え、
a.中間要素は作動装置と処理ユニットとの間に配置されている、及び/又は、
b.作動装置は中間要素を介して処理ユニットに結合されている。
[付記13]上記の装置において、作動装置は中間要素を介して処理ユニットに材料結合的に(stoffschluessig)結合されている。
[付記14]上記の装置において、処理ユニットは更なる処理媒体を貯蔵するための少なくとも1つの更なるタンクを有する。
[付記15]上記の装置において、処理ユニットは、載置基板部から延伸しかつ液状試料に突入する少なくとも1つの流体案内部を有する。
[付記16]上記の装置において、
a.少なくとも1つの流体案内部は、載置基板部内に配されている流体チャネルに液通的に結合されている、及び/又は、
b.少なくとも1つの他の流体案内部は、載置基板部内に配されている他の流体チャネルに液通的に結合されている。
[付記17]上記の装置において、
a.流体チャネルは前記ポンプに液通的に結合されている、及び/又は、
b.流体チャネルは前記タンク及び/又は前記更なるタンクに液通的に結合されている、及び/又は、
c.前記他の流体チャネルは他のポンプに液通的に結合されている、及び/又は、
d.前記他の流体チャネルは前記タンク及び/又は前記更なるタンクに液通的に結合されている。
[付記18]上記の装置において、処理ユニットは、電気的制御ないし調節ユニットに結合されている少なくとも1つの更なるバルブを有する。
[付記19]上記の装置において、
a.処理ユニットは加熱要素及び/又は冷却要素を有する、及び/又は、
b.処理ユニットは加熱剤又は冷却剤が流動可能な更なる流体チャネルを有する。
[付記20]上記の装置において、支持体の収容部は受容要素の受容部に配されている。
[付記21]上記の装置において、処理ユニットは液状試料の分析のための少なくとも1つの分析ユニットを有する。
[付記22]上記の装置において、
分析ユニットは、少なくとも1つのセンサと、分析ユニット内に吸入された液状試料の一部を受容するための廃物室とを有する。
廃物室は流体技術的にセンサの後方に配置されている。
[付記23]上記の装置において、処理ユニットは液状試料の及び/又はセンサの性質を検出するための少なくとも1つの光学的検出装置を有する。
[付記24]上記の装置において、処理ユニットは使い捨て部材として形成される。
[付記25]上記の装置において、支持体の処理ユニットから離隔する側に配置された少なくとも1つの更なる処理工程を実行するための更なる処理ユニットと、支持体の処理ユニットから離隔する側に配置された更なる作動装置とが設けられている。
[付記26]上記の装置において、
a.更なる処理ユニットは支持体と更なる作動装置との間に配置されている、及び/又は、
b.更なる処理ユニットは液状試料の及び/又はセンサの性質を検出するための少なくとも1つの更なる光学的検出装置を有する、及び/又は、
c.支持体は更なる処理ユニットに載置されている。
[付記27]上記の装置において、更なる処理ユニット及び/又は作動装置は更なるハウジングの更なる中空空間に配置されており、更なるハウジングは支持体に再び分離可能に結合可能である。
[付記28]上記の装置において、更なる作動装置と作動装置はデータ技術的に通信するよう構成されている。
[付記29]上記の装置を用いて液状試料を処理する方法。
[付記30]液状試料を処理するための、とりわけ付記29の、方法においては、
a.支持体の少なくとも1つの収容部に少なくとも1つの液状試料が配される。
b.処理ユニットが支持体に載置される。
c.作動装置が処理ユニットに載置される、但し、作動装置は電気的制御ないし調節ユニットを有する。
d.処理ユニットによって実行される処理工程が電気的制御ないし調節ユニットによって制御ないし調節される。
[付記31]上記の方法において、支持体及び作動装置及び処理ユニットをカバーするハウジングは支持体に再び分離可能に結合される。
[付記32]上記の方法において、液状試料の処理の前に、電気的制御ないし調節ユニットがプログラムされること及び/又は処理プログラムが選択及び開始される。
[付記33]上記の方法において、処理工程の制御は予め設定される制御シークエンスに従って実行される。
[付記34]上記の方法において、液状試料の処理が終了した後に、処理ユニットは他の処理工程の実行のための他の処理ユニットと交換される。
[付記35]上記の方法において、前記他の処理ユニットは前記処理ユニットと同じ作動装置に結合される。
[付記36]上記の方法において、液状試料の処理が終了した後に、ハウジング及び作動装置及び処理ユニットは支持体から分離され、支持体は処理ステーションへ移送され、液状試料は処理ステーションにおいて処理される。
[付記37]上記の方法において、
a.作動装置は、作動装置のタンクへの処理媒体の供給が行われる充填ステーションへ移送される、及び/又は、
b.処理ユニットは、処理ユニットの洗浄が行われる洗浄ステーションへ移送される。
[付記38]上記の方法において、
a.前記(処理)装置の組立又は分解は手作業で又は自動的に行われる、及び/又は、
b.前記(処理)装置の組立又は分解は夫々ただ1つの操作装置によって行われる。
[付記39]上記の方法において、前記(処理)装置の組立の際に、
互いに異なるように構成された複数の処理ユニットから1つの処理ユニットが選択されて組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該処理ユニットが支持体に載置され、次いで、
互いに異なるように構成された複数の作動装置から、該処理ユニットに割り当てられる1つの作動装置が選択されて該組立ステーションへ移送され、該組立ステーションにおいて、該作動装置が該処理ユニットに載置される。
[付記40]上記の方法において、組立ステーションにおける前記(処理)装置の組立後、組み立てられた(処理)装置は保管ステーションへ移送される。
[付記41]上記の方法において、処理ユニット及び作動装置の各ステーションへの移送は同じ移送装置によって実行される。
[付記42]上記の方法において、支持体の収容部内に存在する液状試料の混合又は液状試料の一部の吸入又は液状試料への流体の投与は処理ユニットによって選択的に実行される。
[付記43]上記の方法において、液状試料の混合は、
a.収容部内に存在する液状試料の一部が処理ユニットの流体案内部に吸入されること及び次いで流体案内部に吸入された液状試料の一部が直接的に液状試料に投与されることが交互に及び/又は複数回続けて行われること、及び/又は、
b.流体案内部の出口部にガス気泡が生成され、ガス気泡径が交互に及び/又は複数回続けて拡大及び縮小されること
によって実行される。
[付記44]上記の方法において、処理ユニットによって、少なくとも2つの処理媒体を有する少なくとも1つの混合物が生成される、但し、処理ユニットによって、予め設定される量の一の処理媒体が収容部に供給され、次いで、処理ユニットによって、予め設定される量の他の処理媒体が同じ収容部に供給される。
[付記45]上記の方法において、次に、処理ユニットによって、前記一の処理媒体と前記他の処理媒体が他の収容部に供給される、但し、該他の収容部に生成される他の混合物は、該一の処理媒体について及び/又は該他の処理媒体について、前記収容部に存在する混合物とは異なる量を有する。
[付記46]上記の方法において、処理ユニットによって、液状試料は一の収容部から他の収容部へ、とりわけ一定の流速で、移送される。
[付記47]上記の方法において、
a.液状試料の移送は、複数の収容部を循環するようにして実行される、又は、
b.液状試料の移送は、液状試料が予め設定された収容部に投与された後、終了される。
[付記48]上記の方法において、収容部は、とりわけ更なる処理ユニットの更なる光学的検出装置によって、監視されること、但し、
a.監視の際に、液状試料の性質が光学的に検出され、及び、
b.電気的制御ないし調節ユニットは、処理ユニットによって実行される処理工程を、検出された該性質に依存して調節する。
[付記49]上記の方法において、収容部内における混合比が監視される。
[付記50]上記の方法において、液状試料が異物で汚染されているか否かが監視される。
[付記51]上記の方法において、液状試料が異物で汚染された場合、処理ユニットによって、処理媒体が、とりわけ対抗作用剤(Gegenmittel)が、汚染された液状試料に投入される。
[付記52]上記の方法において、処理ユニットによって、液状試料は加熱又は冷却される。
[付記53]上記の方法において、加熱剤又は冷却剤は処理ユニットを通って流動する。
[付記54]上記の方法において、処理ユニットは液状試料を分析する。
[付記55]上記の方法において、液状試料の分析のために、液状試料は処理ユニットに設けられた少なくとも1つのセンサへ導かれる。
[付記56]上記の方法において、
a.センサは、光学的検出装置及び/又は更なる光学的検出装置によって読み出される、及び/又は、
b.処理ユニットに吸入された液状試料は、分析後、処理ユニットに設けられた廃物室へ導かれる。
【符号の説明】
【0123】
1 支持体
2 収容部
3 処理ユニット
4 作動装置
5 電気的制御ないし調節ユニット
6 ハウジング
7 中間要素
8 貫通孔(Durchbruch)
9 開口部(Oeffnung)
10 タッチ式ディスプレイ
11 更なる処理ユニット
12 更なるハウジング
13 光学的撮像装置
14 電気的蓄積器
15 マイクロポンプ
16 ガスタンク
17 バルブ部
18 圧力センサ
19 流体案内部
20 液状試料
21 載置基板部(Aufsatz)
22 流体チャネル
23 出口開口部(Auslassoeffnung)
24 蓋部
25 プレート
26 貫通路(Durchlass)
27 分析ユニット
28 バイオセンサ
29 温度センサ
30 酸素センサ
31 廃物室
32 内部空間
33 バー
34 更なる流体チャネル
35 更なる温度センサ
36 加熱要素及び/又は冷却要素
37 受容要素
38 移送装置
39 掴持部
40 更なる開口部
41 プラットフォーム
42 組立ステーション
43 第1ストックステーション
44 第2ストックステーション
45 第3ストックステーション
46 第4ストックステーション
47 保管ステーション
48 充填ステーション
49 洗浄ステーション
50 カバー要素
51 シール部材
52 フィルタ
53 他のシール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15