(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20220518BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
C07D471/04 117A
(21)【出願番号】P 2020516724
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2018075282
(87)【国際公開番号】W WO2019057740
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-05-19
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アダン,ジャン-ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ファンタジア,セレーナ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュロック,ダニエル・ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン-エメリー,ファビーネ
(72)【発明者】
【氏名】モアンヌ,ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】フレガー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】メスナー,クリスティアン
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508075(JP,A)
【文献】国際公開第2016/058501(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/081111(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/080967(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 519/00
C07D 471/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化118】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、式(II):
【化119】
で示される化合物を強酸
(ここで、強酸は、硫酸、ハロゲン化水素酸、硝酸、リン酸、及びこれらの組合せから選択される)と反応させることを含む製造方法。
【請求項2】
強酸がHClである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
HClが、1-プロパノール及び塩化アセチルによりその場で製造される、請求項
2記載の製造方法。
【請求項4】
式(II):
【化120】
で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【化121】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート、又はハロゲン化物である]で示される化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【化122】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下で反応させることを含む製造方法。
【請求項5】
Xが、pTolSO
3
-、CH
3
SO
3
-、フェニル-SO
3
-、CF
3
SO
3
-、ノナフラート、Cl、Br、又はIである、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載された式(III)で示される化合物を式(III’)で示される化合物と反応させて式(II)で示される化合物を得る、請求項4又は5記載の製造方法。
【請求項7】
式(II):
【化123】
で示される化合物の製造方法であって、:
a)式(III”):
【化124】
で示される化合物をビス(ピナコラート)ジボロンと反応させて、式(III’):
【化125】
で示される化合物を得ること、
b)式(III):
【化126】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート、又はハロゲン化物である]で示される化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【化127】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物を得ること
を含む製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の式(II):
【化123】
で示される化合物の製造方法であって、:
a)式(III”):
【化124】
で示される化合物をビス(ピナコラート)ジボロンと反応させて、式(III’):
【化125】
で示される化合物を得ること、
b)式(III):
【化126】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート、又はハロゲン化物である]で示される化合物を式(III’):
【化127】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物を得ること
を含む製造方法。
【請求項9】
Xが、pTolSO
3
-、CH
3
SO
3
-、フェニル-SO
3
-、CF
3
SO
3
-、ノナフラート、Cl、Br、又はIである、請求項7又は8記載の製造方法。
【請求項10】
塩基の存在下で行われる、請求項
3記載の製造方法。
【請求項11】
Na
2
CO
3
、K
2
CO
3
、Cs
2
CO
3
、KOAc又はKOtBuから選択される塩基の存在下で行われる、請求項3又は10記載の製造方法。
【請求項12】
工程a)及びb)が
テレスコープ(telescoped)される、請求項
7~
9のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項13】
式(II):
【化141】
で示される化合物。
【請求項14】
式(II):
【化144】
で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【化145】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート、又はハロゲン化物である]で示される化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【化146】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下で反応させること
による製造方法
を更に含む、請求項1~
3のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項15】
式(II):
【化144】
で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【化145】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート、又はハロゲン化物である]で示される化合物を式(III’):
【化146】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下で反応させることによる製造方法
を更に含む、請求項1~3のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項16】
Xが、pTolSO
3
-、CH
3
SO
3
-、フェニル-SO
3
-、CF
3
SO
3
-、ノナフラート、Cl、Br、又はIである、請求項14又は15記載の製造方法。
【請求項17】
パラジウム触媒に加えて、塩基が存在する、請求項
14~16のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項18】
塩基が、Na
2
CO
3
、K
2
CO
3
、Cs
2
CO
3
、KOAc又はKOtBuである、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
式(III):
【化147】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート、又はハロゲン化物である]で示される化合物の製造方法であって、式(IV):
【化148】
で示される化合物を、
-XがpTolSO
3
-であるとき塩化トシルと、XがCH
3SO
3
-であるとき塩化メタンスルホニルと、XがCF
3SO
3
-であるとき塩化トリフリルと、又はXがフェニル-SO
3
-であるときフェニルスルホニルクロリドと、そして第3級アミンの存在下で;
-XがClであるときPOCl
3と;
-XがBrであるときPOBr
3と;あるいは
-XがIであるときPh
3PI
2又はPOCl
3と、続いてNaI又はCuIと反応させることによる製造方法
を更に含む、請求項
14~18のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項20】
Xが、pTolSO
3
-、CH
3
SO
3
-、フェニル-SO
3
-、CF
3
SO
3
-、ノナフラート、Cl、Br、又はIである、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
式(IV):
【化149】
で示される化合物の製造方法であって、式(V):
【化150】
で示される化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させることによる製造方法
を更に含む、請求項
19又は20記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的に活性な化合物として有用な7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの製造方法に関する。
【0002】
第1の態様において、本発明は、式(I):
【0003】
【化1】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、式(II):
【0004】
【化2】
で示される化合物を強酸、詳しくはHClと反応させることを含む製造方法を提供する。
【0005】
HClが、1-プロパノール及び塩化アセチルの存在下でその場で製造される、第1の態様による製造方法。
詳しくは、式(I)の化合物の調製は、アルコール、水性アルコール、酢酸エチル、酢酸1-プロピル、トルエン、アセトニトリル、THF又はジクロロメタンのような溶媒中で行われる。更に好ましくは、式(I)の化合物の調製は、1-プロパノール及びトルエンの存在下で行われる。
【0006】
特定の実施態様において、本発明は、本明細書に記載の製造方法であって、式(II)の化合物に対して、3~15当量、更に詳しくは4~8当量、最も詳しくは5当量の強酸(詳しくは、強酸はHClである)が使用される製造方法を提供する。
【0007】
別の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物の上記の製造方法であって、反応が、20℃~100℃の間、詳しくは60℃~80℃の間の温度で、更に詳しくは75℃で行われる製造方法を提供する。
【0008】
式(I)の化合物:7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンは、WO 2015 173181に記載されるとおり有用な医薬化合物である。
【0009】
特に断りない限り、明細書及び請求項に使用される以下の用語は、後述の意味を有する:
【0010】
「(C1-C8)アルキル」とは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びt-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチルのような、分岐又は直鎖炭化水素鎖のことをいう。「(C1-C3)アルキル」とは、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルのことをいう。
【0011】
「アルコール」とは、ベンジルアルコール、アミノエタノール、又は1個若しくは2個のヒドロキシ基により置換された、更に詳しくは1個のヒドロキシ基により置換された上記と同義の(C1-C8)アルキル(更に詳しくは(C1-C3)アルキル)のことをいう。アルコールの例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、プロピレングリコール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール、2-アミノエタノール及びオクタノールを含むが、これらに限定されない。詳しくは、アルコールとは、メタノール、エタノール、1-プロパノール又はベンジルアルコール、最も詳しくは1-プロパノールのことをいう。
【0012】
「周囲条件」とは、標準的な実験室で経験される条件、例えば、大気圧、空気、18℃と28℃の間の周囲温度、30%rHと80%rHの間の湿度のことをいう。
【0013】
「塩基」とは、それと反応させたときに別の化合物を脱プロトン化する化合物のことをいう。この開示に使用するのに適した塩基は、例えば、有機塩基及び塩基性アルカリ金属塩を含むが、これらに限定されない。詳しくは、有機塩基は、窒素含有複素環及び第3級アミンを含む。窒素含有複素環の例は、ピリジン、イミダゾール及びベンゾイミダゾールを含む。幾つかの実施態様において、第3級アミンは、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン及びジイソプロピルエチルアミンを含む。幾つかの実施態様において、塩基性アルカリ金属塩は、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、ナトリウム及びカリウムアルコキシド(ナトリウム及びカリウムt-ブトキシド、1-プロポキシド、2-プロポキシド、エトキシド、メトキシドなどを含むが、これらに限定されない)、ナトリウムアミド(NaNH2)、カリウムアミド(KNH2)などを含む。
【0014】
「結晶化」及び「再結晶」は互換的に使用されてよく、溶媒系に溶解又は懸濁された化合物が、特定の化合物の安定な多形又は結晶形をもたらす過程のことをいう。例えば、結晶化工程は、溶媒及び逆溶媒を用いて結晶を形成することによって行われ得る。
【0015】
「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲン化物」という用語は、互換的に使用されてよく、置換基のクロロ、ブロモ、又はヨードのことをいう。
【0016】
「強酸」とは、pH≦2の水溶液中で完全に解離する酸のことをいう。強酸は、硫酸(H2SO4)、ハロゲン化水素酸(即ち、X”がI、Br、Cl又はFである、HX”)、硝酸(HNO3)、リン酸(H3PO4)及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。詳しくは、強酸は、X”がBr又はClである、ハロゲン化水素酸である。最も詳しくは、強酸はHClである。
【0017】
「ニッケル触媒」とは、ニッケルもしくは酸化ニッケル又はこれらの混合物を含む触媒のことをいう。ニッケル触媒の例は、ラネーニッケル触媒(Ra-Ni)である。
【0018】
「オプションの」又は「場合により」という用語は、続いて説明される事象又は状況が発生する可能性があるが、発生する必要はないこと、及びその説明が、その事象又は状況が発生する場合と発生しない場合とを含むことを意味する。
【0019】
「パラジウム触媒」とは、ゼロ価パラジウム(Pd(0))の発生源である試薬のことをいう。Pd(0)の適切な発生源は、パラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)(Pd(dba)2)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(Pd(PPh3)2Cl2)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、塩化パラジウム(PdCl2)、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(Pd(PPh3)4)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンパラジウム(Pd(dppe)2)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンパラジウム(Pd(dppp)2)、ジクロロ-1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンパラジウム(PdCl2(dppp))、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンパラジウム、1,1-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセンジクロロパラジウム(PdCl2(dppf))、パラジウム担持炭素、Pd(OH)2担持炭素、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)、二塩化ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(PdCl2(CH3CN)2)、シクロペンタジエニルアリルパラジウム、塩化アリルパラジウム(II)二量体((Pd(アリル)Cl)2)、(2-ブテニル)クロロパラジウム二量体、塩化(2-メチルアリル)パラジウム(II)二量体、塩化パラジウム(1-フェニルアリル)二量体、ジ-μ-クロロビス[2’-(アミノ-N)[1,1’-ビフェニル]-2-イル-C]ジパラジウム(II)、ジ-μ-クロロビス[2-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル-C,N]ジパラジウム(II)又はジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(Pd(XantPhos)Cl2)を含むが、これらに限定されない。詳しくはパラジウム触媒とは、Pd(OAc)2、Pd(PPh3)4、Pd(PPh3)2Cl2、Pd2(dba)3、(Pd(XantPhos)Cl2)又はPdCl2(dppf)のことをいう。更に詳しくはパラジウム触媒は、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、(Pd(XantPhos)Cl2)又はPdCl2(dppf)である。
【0020】
「薬学的に許容し得る賦形剤」、「薬学的に許容し得る担体」及び「治療的に不活性な賦形剤」という用語は、互換的に使用されてよく、医薬品の処方に使用される、崩壊剤、結合剤、充填剤、溶剤、緩衝剤、等張化剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、担体、希釈剤又は潤滑剤のような、治療活性を有さず、かつ投与対象に対して非毒性である、医薬組成物中の任意の薬学的に許容し得る成分を意味する。
【0021】
「遷移金属水素化触媒」とは、基質とは異なる相で作用する、遷移金属水素化触媒のことをいう。特に遷移金属水素化触媒は固相にある。詳しくは、遷移金属水素化触媒が固相にあると同時に、反応物は液相にある。遷移金属水素化触媒は、遷移金属であって、1種以上の安定したイオンを形成し、これらのイオンがd軌道を不完全に満たしている遷移金属(即ち、Pd、Pt、Rh、Au、Ni、Co、Ru、Ir、V、Fe)、詳しくはPd、Pt、Rh又はAuのような貴金属を含む。これらの触媒では、遷移金属は詳しくは「支持」されており、これは、触媒が、有効性を高める第2の材料に分散されていることを意味する。「支持体」は、表面積を増大させるためにその上に金属が広げられる単なる表面であってよい。支持体は、表面積の大きい多孔質材料であり、最も一般的にはアルミナ又は種々の種類の炭素である。支持体の更なる例は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪藻土及び粘土を含むが、これらに限定されない。他の支持体が存在しない場合、金属自体も支持体として作用し得る。更に具体的には、「遷移金属水素化触媒」という用語は、ラネー触媒(例えば、Ra-Ni、Ra-Co)、Pd/C、Pd(OH)2/C、Au/TiO2、Rh/C、Ru/Al2O3、Ir/CaCO3、Pt-V/C又はPt/C、特にPt-V/Cを含むが、これらに限定されない。
【0022】
「第3級アミン」は、式:RaN(Rb)Rc(式中、Ra、Rb及びRcは、独立して、(C1-C6)アルキル又はフェニルから選択される)のアミンのことをいう。代表的な例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン及びメチルエチルブチルアミンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、第3級アミンは、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンから選択される。最も好ましい第3級アミンはトリエチルアミンである。
【0023】
互換的に使用される「処理」、「接触」又は「反応」という用語は、2種以上の化学物質(通常は試薬又は反応物と呼ばれる)を、更に詳しくは適切な条件下で、添加、寄せ集め又は混合して、指示及び/又は所望の生成物を生成させることをいう。指示及び/又は所望の生成物を生成させる反応は、必ずしも最初に添加された2種以上の試薬の組合せから直接生じるわけではない、即ち、混合物中に生成される1種以上の中間体が存在して、これが最終的に、指示及び/又は所望の生成物の形成につながり得ることを理解されたい。
【0024】
別の態様(態様2)において、本発明は、式(II):
【0025】
【化3】
で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【0026】
【化4】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)、又はハロゲン化物(Cl、Br、又はIなど)である]で示される化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【0027】
【化5】
で示される化合物、特に式(III’)の化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で反応させることを含む製造方法を提供する。
【0028】
態様2の特定の実施態様において、本発明は、式(II):
【0029】
【化6】
で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【0030】
【化7】
[式中、Xは、アルキル又はアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル又はアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)である]で示される化合物を式(III’):
【0031】
【化8】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で反応させることを含む製造方法を提供する。
【0032】
態様2の更に特定の実施態様において、本発明は、式(II):
【0033】
【化9】
で示される化合物の製造方法であって、式(III
a):
【0034】
【0035】
【化11】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で反応させることを含む製造方法を提供する。
【0036】
詳しくは、本明細書に記載の製造方法(即ち、態様2)は、塩基を更に含み、詳しくは、ここで塩基は、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、KOAc又はKOtBuであり、更に詳しくは、ここで塩基は、K2CO3である。
【0037】
更に別の態様(態様3)において、本発明は、式(II):
【0038】
【化12】
で示される化合物の製造方法であって、:
a)式(III”):
【0039】
【化13】
で示される化合物をビス(ピナコラート)ジボロンと反応させて、式(III’):
【0040】
【化14】
で示される化合物を得ること、
b)式(III):
【0041】
【化15】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)、又はハロゲン化物(Cl、Br、又はIなど)である]で示される化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【0042】
【化16】
で示される化合物、特に式(III’)の化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物を得ること
を含む製造方法を提供する。
【0043】
態様3の特定の実施態様において、本発明は、式(II):
【0044】
【化17】
で示される化合物の製造方法であって、:
a)式(III”):
【0045】
【化18】
で示される化合物をビス(ピナコラート)ジボロンと反応させて、式(III’):
【0046】
【化19】
で示される化合物を得ること、
b)式(III):
【0047】
【化20】
[式中、Xは、アルキル又はアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル又はアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)である]で示される化合物を式(III’):
【0048】
【化21】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物を得ること
を含む製造方法を提供する。
【0049】
態様3の更に特定の実施態様において、本発明は、式(II):
【0050】
【化22】
で示される化合物の製造方法であって、:
a)式(III”):
【0051】
【化23】
で示される化合物をビス(ピナコラート)ジボロンと反応させて、式(III’):
【0052】
【化24】
で示される化合物を得ること、
b)式(III
a):
【0053】
【0054】
【化26】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で反応させて、式(II)の化合物を得ること
を含む製造方法を提供する。
【0055】
詳しくは、本発明は、上記の製造方法であって、式(III)又は(IIIa)の化合物の、式(III’)、(IIIa’)又は(IIIb’)の化合物との、上記と同義のパラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下での反応が、塩基(詳しくはここで塩基は、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、KOAc又はKOtBuであり、更に詳しくは、ここで塩基は、K2CO3である)の存在下で行われる製造方法を提供する。
【0056】
特定の実施態様において、本発明は、工程a)及びb)がテレスコープ(telescoped)される、本明細書に記載される製造方法を提供する。
【0057】
更にまた別の態様(態様4)において、本発明は、式(III):
【0058】
【化27】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)、又はハロゲン化物(Cl、Br、又はIなど)である]で示される化合物の製造方法であって、式(IV):
【0059】
【化28】
で示される化合物を、
-XがpTolSO
3
-であるとき塩化トシルと、XがCH
3SO
3
-であるとき塩化メタンスルホニルと、XがCF
3SO
3
-であるとき塩化トリフリルと、又はXがフェニル-SO
3
-であるときフェニルスルホニルクロリドと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で;
-XがClであるときPOCl
3と;
-XがBrであるときPOBr
3と;あるいは
-XがIであるときPh
3PI
2又はPOCl
3と、続いてNaI又はCuIと反応させることを含む製造方法を提供する。
【0060】
態様4の特定の実施態様において、本発明は、式(III):
【0061】
【化29】
[式中、Xは、アルキル又はアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル又はアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)である]で示される化合物の製造方法であって、式(IV):
【0062】
【化30】
で示される化合物を、
それぞれ、塩化トシル、塩化メタンスルホニル、フェニルスルホニルクロリド又は塩化トリフリルと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で反応させることを含む製造方法を提供する。
【0063】
態様4の更に特定の実施態様において、本発明は、式(IIIa):
【0064】
【化31】
で示される化合物の製造方法であって、式(IV):
【0065】
【化32】
で示される化合物を、塩化トシルと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で反応させることを含む製造方法を提供する。
【0066】
更にまた別の態様(態様5)において、本発明は、式(IV):
【0067】
【化33】
で示される化合物の製造方法であって、式(V):
【0068】
【化34】
で示される化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させることを含む製造方法を提供する。
【0069】
更にまた別の態様(態様6)において、本発明は、式(IV):
【0070】
【化35】
で示される化合物の製造方法であって、:
a)式(VI):
【0071】
【化36】
で示される化合物を還元して、式(V):
【0072】
【化37】
で示される化合物にすること、
b)式(V)の化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させて、式(IV)の化合物を得ること
を含む製造方法を提供する。
【0073】
更にまた別の態様(態様7)において、本発明は、式(IV):
【0074】
【化38】
で示される化合物の製造方法であって、:
a)式(VI):
【0075】
【化39】
で示される化合物を遷移金属水素化触媒と反応させて、式(V):
【0076】
【化40】
で示される化合物を得ること、
b)式(V)の化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させて、式(IV)の化合物を得ること
を含む製造方法を提供する。
【0077】
詳しくは、式(V)の化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させることを含む、式(IV)の化合物の製造方法(即ち、態様5~7)は、キシレン、ジクロロベンゼン、トルエン又はアニソールの存在下、特にアニソールの存在下で行われる。
【0078】
更に詳しくは、遷移金属水素化触媒がラネー触媒(例えば、Ra-Ni、Ra-Co)、Pd/C、Pd(OH)2/C、Au/TiO2、Rh/C、Ru/Al2O3、Ir/CaCO3、Pt-V/C若しくはPt/C又はこれらの組合せ、詳しくはPt-V/C、更に詳しくは活性炭上のPt 1%及びV 2%である、式(IV)の化合物の製造方法。
【0079】
特定の実施態様において、本発明は、工程a)及びb)がテレスコープ(telescoped)される、本明細書に記載される製造方法を提供する。
【0080】
別の実施態様(態様8)において、本出願は、式(VI):
【0081】
【化41】
で示される化合物の製造方法であって、式(VII):
【0082】
【0083】
【化43】
で示される化合物又はその塩(特にシュウ酸塩)(更に詳しくはここで式(VIII)の化合物の塩は、4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル・シュウ酸塩である)と反応させることを含む製造方法を開示する。
【0084】
詳しくは、塩化リチウム、ジメチルスルホキシド及び塩基(テトラメチルグアニジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)など、最も詳しくはテトラメチルグアニジン)の存在下で、式(VII)の化合物を式(VIII)の化合物と反応させることを含む、式(VI)の化合物の製造方法。
【0085】
更なる実施態様において、本出願は、スキーム1による式(V)の化合物の製造方法を開示する。
【0086】
【0087】
詳しくは、式(IX)の化合物は、式(X)の化合物を式(VIII)の化合物と、触媒(Pd(PPh3)4、PdCl2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、Pd(PPh3)2Cl2、PdCl2(dppf)、PdCl2(dppf).CH2Cl2、PdCl2(dppp)、PdCl2(CH3CN)、シクロペンタジエニルアリルパラジウム、塩化アリルパラジウム(II)二量体(Pd(アリル)Cl)2、(2-ブテニル)クロロパラジウム二量体、塩化(2-メチルアリル)パラジウム(II)二量体、塩化パラジウム(1-フェニルアリル)二量体、ジ-μ-クロロビス[2’-(アミノ-N)[1,1’-ビフェニル]-2-イル-C]ジパラジウム(II)、ジ-μ-クロロビス[2-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル-C,N]ジパラジウム(II)、ジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(Pd(XantPhos)Cl2)、[Pd(アリル)(tBu BrettPhos)]OTf、[Pd(クロチル)(tBu BrettPhos)]OTf、[Pd(シンナミル)(tBu BrettPhos)]OTf)などであるがこれらに限定されない)の存在下で、特にジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウムの存在下で;及び塩基(Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、KOtBu、NaOtBu((CH3)3CONa)又はKOAcなど;特にKOtBu)の存在下で、特に2-メチルテトラヒドロフラン、THF又はジオキサン中で、更に詳しくは2-メチルテトラヒドロフラン中で反応させることにより調製され得る。化合物(V)は、化合物(IX)をアンモニア(NH3)と、触媒(Pd(PPh3)4、PdCl2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、Pd(PPh3)2Cl2、PdCl2(dppf)、PdCl2(dppf).CH2Cl2、PdCl2(dppp)、PdCl2(CH3CN)、シクロペンタジエニルアリルパラジウム、塩化アリルパラジウム(II)二量体(Pd(アリル)Cl)2、(2-ブテニル)クロロパラジウム二量体、塩化(2-メチルアリル)パラジウム(II)二量体、塩化パラジウム(1-フェニルアリル)二量体、ジ-μ-クロロビス[2’-(アミノ-N)[1,1’-ビフェニル]-2-イル-C]ジパラジウム(II)、ジ-μ-クロロビス[2-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル-C,N]ジパラジウム(II)など)の存在下で、特にPd2(dba)3、塩基(Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、KOtBu、NaOtBu((CH3)3CONa)又はKOAcなど;特にKOtBu)、及びtBu BrettPhosの存在下で反応させることによって調製され得る。好ましくは、この工程はジオキサン中で行われる。
【0088】
触媒の[Pd(アリル)(tBu BrettPhos)]OTf、[Pd(クロチル)(tBu BrettPhos)]OTf及び[Pd(シンナミル)(tBu BrettPhos)]OTfは、A. J. DeAngelis, J. Org. Chem, 80, 6794-6813の6804ページの化合物それぞれ8A、8B及び8Cにより調製され得る。
【0089】
式(V)の化合物はまた、スキーム2によっても調製され得る。
【0090】
【0091】
詳しくは、式(V)の化合物は、式(X)の化合物を式(VIII)の化合物と、触媒(Pd(PPh3)4、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、PdCl2、PdCl2(dppf)、PdCl2(dppf).CH2Cl2、PdCl2(dppp)、塩化アリルパラジウム(II)二量体(Pd(アリル)Cl)2、(2-ブテニル)クロロパラジウム二量体、塩化(2-メチルアリル)パラジウム(II)二量体、塩化パラジウム(1-フェニルアリル)二量体、ジ-μ-クロロビス[2’-(アミノ-N)[1,1’-ビフェニル]-2-イル-C]ジパラジウム(II)、ジ-μ-クロロビス[2-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル-C,N]ジパラジウム(II)など)、特に塩化アリルパラジウム(II)二量体(Pd(アリル)Cl)2又は塩化パラジウム(1-フェニルアリル)二量体;及び配位子(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル(DavePhos)又は2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル(tBu DavePhos)など、特にtBu DavePhos)及び塩基(Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、KOtBu、NaOtBu((CH3)3CONa)、KOAc又はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドなど;特にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド)の存在下で、特にテトラヒドロフラン中で反応させることにより調製され得る。
【0092】
別の実施態様において、本発明は、式(II):
【0093】
【0094】
別の実施態様において、本発明は、式(III):
【0095】
【化47】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)、又はハロゲン化物(Cl、Br、又はIなど)である]で示される化合物を提供する。
【0096】
更に別の実施態様において、本発明は、式(III):
【0097】
【化48】
[式中、Xは、アルキル又はアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル又はアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)である]で示される化合物を提供する。
【0098】
別の実施態様において、本発明は、式(IIIa):
【0099】
【0100】
別の実施態様において、本発明は、式(IV):
【0101】
【0102】
本発明は、エーテル様溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル又はジブチルエーテル)、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム)又は芳香族溶媒(例えば、アニソール、トルエン又はt-ブチルベンゼン)のような有機溶媒の存在下で行われる。特に、態様1の式(I)の化合物の調製に使用される溶媒は、トルエンである。
【0103】
反応は、詳しくは不活性ガス雰囲気下で、更に詳しくはアルゴン又は窒素下で実施される。
【0104】
更なる実施態様において、本発明は、7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オンの製造方法であって、前述の製造方法及び条件のいずれかによって得られる式(I)の化合物の形成を含む製造方法を提供する。
【0105】
別の実施態様(態様9)において、本発明は、式(I):
【0106】
【化51】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(III):
【0107】
【化52】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)、又はハロゲン化物(Cl、Br、又はIなど)である]で示される化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【0108】
【化53】
で示される化合物、特に式(III’)の化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で前記のとおり反応させて、式(II):
【0109】
【化54】
で示される化合物を得ること;
b)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0110】
態様9の特定の実施態様において、本発明は、式(I):
【0111】
【化55】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(III):
【0112】
【化56】
[式中、Xは、アルキル又はアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル又はアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)である]で示される化合物を式(III’):
【0113】
【化57】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で前記のとおり反応させて、式(II):
【0114】
【化58】
で示される化合物を得ること;
b)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0115】
態様9の更に特定の実施態様において、本発明は、式(I):
【0116】
【化59】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(III
a):
【0117】
【0118】
【化61】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で前記のとおり反応させて、式(II):
【0119】
【化62】
で示される化合物を得ること;
b)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0120】
別の実施態様(態様10)において、本発明は、式(I):
【0121】
【化63】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(IV):
【0122】
【化64】
で示される化合物を、
-XがpTolSO
3
-であるとき塩化トシルと、XがCH
3SO
3
-であるとき塩化メタンスルホニルと、XがCF
3SO
3
-であるとき塩化トリフリルと、又はXがフェニル-SO
3
-であるときフェニルスルホニルクロリドと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で;
-XがClであるときPOCl
3と;
-XがBrであるときPOBr
3と;あるいは
-XがIであるときPh
3PI
2又はPOCl
3と、続いてNaI又はCuIと前記のとおり反応させて、式(III):
【0123】
【化65】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)、又はハロゲン化物(Cl、Br、又はIなど)である]で示される化合物を得ること;
b)式(III)の該化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【0124】
【化66】
で示される化合物、特に式(III’)の化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で反応させて、前記のとおり式(II):
【0125】
【化67】
で示される化合物を得ること;
c)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0126】
態様10の特定の実施態様において、本発明は、式(I):
【0127】
【化68】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(IV):
【0128】
【化69】
で示される化合物を、
-Xが、pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、CF
3SO
3
-又はフェニル-SO
3
-であるとき、それぞれ塩化トシル、塩化メタンスルホニル、塩化トリフリル又はフェニルスルホニルクロリドと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で前記のとおり反応させて、式(III):
【0129】
【化70】
[式中、Xは、アルキル又はアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル又はアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)である]で示される化合物を得ること;
b)式(III)の該化合物を式(III’):
【0130】
【化71】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で反応させて、前記のとおり式(II):
【0131】
【化72】
で示される化合物を得ること;
c)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0132】
態様10の更に特定の実施態様において、本発明は、式(I):
【0133】
【化73】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(IV):
【0134】
【化74】
で示される化合物を、塩化トシルと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で、前記のとおり反応させて、式(III
a):
【0135】
【化75】
で示される化合物を得ること;
b)式(III
a)の該化合物を式(III’):
【0136】
【化76】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で反応させて、前記のとおり式(II):
【0137】
【化77】
で示される化合物を得ること;
c)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0138】
別の実施態様(態様11)において、本発明は、式(I):
【0139】
【化78】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(V):
【0140】
【化79】
で示される化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させて、式(IV):
【0141】
【化80】
で示される化合物を得ること;
b)式(IV)の該化合物を、
-XがpTolSO
3
-であるとき塩化トシルと、XがCH
3SO
3
-であるとき塩化メタンスルホニルと、XがCF
3SO
3
-であるとき塩化トリフリルと、又はXがフェニル-SO
3
-であるときフェニルスルホニルクロリドと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で;
-XがClであるときPOCl
3と;
-XがBrであるときPOBr
3と;あるいは
-XがIであるときPh
3PI
2又はPOCl
3と、続いてNaI又はCuIと前記のとおり反応させて、式(III):
【0142】
【化81】
[式中、Xは、アルキル若しくはアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル若しくはアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)、又はハロゲン化物(Cl、Br、又はIなど)である]で示される化合物を得ること;
c)式(III)の該化合物を式(III’)、(III
a’)又は(III
b’):
【0143】
【化82】
で示される化合物、特に式(III’)の化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で反応させて、前記のとおり式(II):
【0144】
【化83】
で示される化合物を得ること;
d)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0145】
態様11の特定の実施態様において、本発明は、式(I):
【0146】
【化84】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(V):
【0147】
【化85】
で示される化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させて、式(IV):
【0148】
【化86】
で示される化合物を得ること;
b)式(IV)の該化合物を、Xが、pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、CF
3SO
3
-又はフェニル-SO
3
-であるとき、それぞれ塩化トシル、塩化メタンスルホニル、塩化トリフリル又はフェニルスルホニルクロリドと、そして塩基(詳しくはここで塩基は、有機塩基又は塩基性アルカリ金属塩であり、更に詳しくはここで塩基は、窒素含有複素環、第3級アミン又は塩基性アルカリ金属塩であり、最も詳しくはここで塩基は、第3級アミンである)の存在下で前記のとおり反応させて、式(III):
【0149】
【化87】
[式中、Xは、アルキル又はアリールスルホナート(pTolSO
3
-、CH
3SO
3
-、フェニル-SO
3
-など)、フッ化アルキル又はアリールスルホナート(CF
3SO
3
-、ノナフラートなど)である]で示される化合物を得ること;
c)式(III)の該化合物を式(III’):
【0150】
【化88】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で反応させて、前記のとおり式(II):
【0151】
【化89】
で示される化合物を得ること;
d)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0152】
態様11の更に特定の実施態様において、本発明は、式(I):
【0153】
【化90】
で示される化合物又はそのHCl塩の製造方法であって、:
a)式(V):
【0154】
【化91】
で示される化合物をマロン酸ジ-tert-ブチルと反応させて、式(IV):
【0155】
【化92】
で示される化合物を得ること;
b)式(IV)の該化合物を塩化トシルと、そして第3級アミンの存在下で前記のとおり反応させて、式(III
a):
【0156】
【化93】
で示される化合物を得ること;
c)式(III
a)の該化合物を式(III’):
【0157】
【化94】
で示される化合物と、パラジウム触媒又はニッケル触媒の存在下、特にパラジウム触媒の存在下で、場合により塩基の存在下で反応させて、前記のとおり式(II):
【0158】
【化95】
で示される化合物を得ること;
d)式(II)の該化合物を前記のとおり強酸と反応させること
を含む製造方法を提供する。
【0159】
別の実施態様(態様12)において、本発明は、スキーム3による式(III”)の化合物の製造方法を提供する:
【0160】
【0161】
詳しくは本発明によれば、式(XII)の化合物は、式(XIII)の化合物を、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、N-ブロモ-スクシンイミド又は臭素と(場合により酢酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを伴う)、そしてアルコールのような溶媒(例えば、メタノール又はエタノール)の存在下で反応させることにより調製される。更に(XI)の化合物は、式(XII)の化合物を、塩化若しくは臭化メチルマグネシウム、メチルボロン酸、ホウ酸メチル、ジメチル亜鉛又はメチルリチウムと、場合により塩化亜鉛の存在下で、あるいはジメチル亜鉛とメチルテトラヒドロフラン又はTHF中で、触媒(Pd(PPh3)4、PdCl2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、Pd(PPh3)2Cl2、PdCl2(dppf)、PdCl2(dppf).CH2Cl2、PdCl2(dppp)、シクロペンタジエニルアリルパラジウム、塩化アリルパラジウム(II)二量体(Pd(アリル)Cl)2、(2-ブテニル)クロロパラジウム二量体、塩化(2-メチルアリル)パラジウム(II)二量体、塩化パラジウム(1-フェニルアリル)二量体、ジ-μ-クロロビス[2’-(アミノ-N)[1,1’-ビフェニル]-2-イル-C]ジパラジウム(II)、ジ-μ-クロロビス[2-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル-C,N]ジパラジウム(II)、ジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(Pd(XantPhos)Cl2)など)の存在下で、特にPd(PPh3)4の存在下で反応させることにより調製される。式(III”)の化合物は、クロロアセトンを式(XI)の化合物と、第3級アミン及び臭化ナトリウムの存在下で反応させることにより調製される。
【0162】
あるいは式(III”)の化合物は、WO 2015 173181に記載の製造方法により調製され得る。
【0163】
本出願は更に、スキーム4による式(IIIa’)又は(IIIb’)の化合物の製造方法を開示する。
【0164】
【0165】
本発明の特定の実施態様はまた、本明細書に記載のとおり得られる式(I)の化合物及び少なくとも1種の薬学的に許容し得る賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0166】
本発明の更なる特定の実施態様はまた、治療的に活性な物質として使用するための、本明細書に記載される製造方法により得られる式(I)の化合物に関する。
【0167】
本明細書に明確に開示されている合成経路を持たない出発物質及び試薬は、一般に商業的供給源から入手可能であるか、又は当業者に周知の製造方法を使用して容易に調製される。
【0168】
一般に、本出願に使用される命名法は、IUPACの体系的命名法を生成するためのBeilstein Instituteのコンピュータ化システムであるAUTONOM(商標)2000に基づいている。本明細書に示される化学構造は、MDL ISIS(商標)バージョン2.5 SP2を使用して作成された。本明細書の構造中の炭素、酸素又は窒素原子上に現れる開放原子価は、水素原子の存在を示す。
【0169】
以下の実施例は、更なる例示の目的で提供され、請求される発明の範囲を限定することを意図しない。
【0170】
本出願において、以下の略語及び定義が使用される:br(ブロード);BuLi(ブチルリチウム);CDCl3(重水素化クロロホルム);d(ダブレット);eq.(当量);g(グラム);GC(ガスクロマトグラフィー);h(時間);HCl(塩酸);H2O(水);HPLC(高性能液体クロマトグラフィー);ISP(同位体スピン占有数);KOH(水酸化カリウム);L(リットル);LDA(リチウムジイソプロピルアミド);LCMS(液体クロマトグラフィー-質量分析);M(モル);m(マルチプレット);MS(質量分析);mL(ミリリットル);NaOH(水酸化ナトリウム);NMR(核磁気共鳴);Pd(dba)3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0));Pd(Xantphos)Cl2(ジクロロ[9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-キサンテン]パラジウム(II));s(シングレット);sec(秒);t(トリプレット);t-Bu Brett Phos(2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-2’,4’,6’-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル);THF(テトラヒドロフラン)。
【実施例1】
【0171】
7-(6-クロロ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0172】
【化98】
5-ブロモ-2-クロロピリジン(85.0g、442mmol)、4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(102g、442mmol)及びMe-THF(722g)を反応容器に仕込んだ。10分間撹拌後、ほとんどの固体が溶解し、[Pd(Xantphos)Cl
2](3.34g)を加えて5分後、Me-THF(173g)中のナトリウムtert-ブタノラート(56.3g、574mmol)の溶液を加えた。反応混合物を70℃で1.25時間撹拌し、室温に冷却して、水(595g)及び酢酸1-プロピル(378g)を加えた。激しい撹拌後、相を分離し、有機相を2回目の水(425g)及び水(425g)と食塩水(25mL)との混合物で洗浄した。有機相を活性炭(6.8g)で処理し、濾過し、減圧下で濃縮して褐色の油を与え、これをtert-アミル-メチル-エーテル(347g)に還流温度で溶解した。溶液をゆっくりと室温まで冷却した。室温で18時間撹拌後、n-ヘプタン(205g)を加え、懸濁液を更に-10℃に冷却した。沈殿物を濾別し、高真空下で乾燥させて、7-(6-クロロ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(110.9g、77.5%)をベージュ色の固体として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 7.95 (d, 1H); 7.18 - 7.14 (m, 1H); 7.13 - 7.09 (m, 1H); 3.79 - 3.63 (m, 2H); 3.24 - 3.12 (m, 2H); 2.96 (s, 2H); 1.47 (s, 9H); 1.11 - 1.04 (m, 2H); 0.90 - 0.79 (m, 2H); LCMS: 324.15, 326.15 (M+H
+)
【実施例2】
【0173】
7-(6-アミノ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0174】
【化99】
上行パイプを備えたオートクレーブに、-70℃でアンモニア(78.7g、15当量;10当量で十分)を満たした。別のオートクレーブに、7-(6-クロロ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(100g、309mmol)、ナトリウムtert-ブタノラート(32.6g、340mmol)及びジオキサン(800mL)を仕込んだ。Ar下、室温で10分間撹拌後、ジオキサン(180mL)中のPd
2(dba)
3(1.41g、1.54mmol)及びtBu BrettPhos(1.50g、3.09mmol)の溶液を加えた。その後、接続されたアンモニア容器を温水槽で温めて、接続バルブを開けた。オートクレーブを30℃に温め、反応混合物をこの温度で5時間撹拌した。アンモニア容器を閉じて、接続を外した。過剰のアンモニアをアルゴンでオートクレーブから洗い流した。反応溶液を分液ロートに注ぎ入れ、オートクレーブを酢酸エチル(300mL)及び水(100mL)で洗浄し、これらの二溶媒部を分液ロートに加えた。二相性混合物を更に酢酸エチル(900mL)及び水(1000mL)で希釈した。激しい撹拌後、相を分離した。有機相を水(500mL)と食塩水(10mL)との混合物で洗浄した。合わせた水相を酢酸エチル(500mL)で2回抽出した。合わせた有機相を活性炭(3.70g、309mmol)で処理し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、濃い褐色の油を与えた。この油を45~50℃で酢酸1-プロピル(160mL)に溶解し、1.5時間以内にn-ヘプタン(940mL)を滴下した。懸濁液をゆっくりと-5℃に冷却し、-5℃で4時間撹拌して濾過した。沈殿物を冷n-ヘプタンで洗浄して、高真空下で50℃で乾燥させて、7-(6-アミノ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(81.4g、86.5%)をベージュ色の固体として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 7.71 (d, 1H); 7.12 (dd, 1H); 6.47 (d, 1H); 4.18 (br s, 2H); 3.74 - 3.58 (m, 2H); 3.09 - 2.94 (m, 2H); 2.81 (s, 2H); 1.52 - 1.39 (m, 9H); 1.17 - 0.98 (m, 2H); 0.92 - 0.75 (m, 2H); LCMS: 305.20 (M+H
+)
【実施例3】
【0175】
7-(6-アミノ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0176】
【化100】
オートクレーブに、7-(6-クロロ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(339mg、1mmol)、ナトリウムtert-ブタノラート(109mg、1.1mmol)及びジオキサン(5mL)を仕込んだ。アルゴン下、室温で5分間撹拌後、[Pd(アリル)(tBu BrettPhos)]OTf(4mg、5μmol)を加えた。その後、オートクレーブを閉じて、アンモニアタンクに接続し、バルブを開いてアンモニア(230mg、13.5mmol)をオートクレーブに導入した。バルブを閉じてオートクレーブの接続を外した。オートクレーブを30℃に温め、反応混合物をこの温度で4時間撹拌した。次にオートクレーブを開いて、過剰のアンモニアをアルゴンでオートクレーブから洗い流した。反応溶液をフラスコに注ぎ入れ、減圧下で乾固させた。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製した(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル~ジクロロメタン/メタノール)。溶媒の留去後、7-(6-アミノ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(283mg、93%)を、4%ジクロロメタン及び3%酢酸エチルを含む褐色の油として単離した。
【実施例4】
【0177】
7-(6-ニトロ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0178】
【化101】
4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル・シュウ酸塩(2.46kg、8.13mol)、5-ブロモ-2-ニトロ-ピリジン(1.50kg、7.39mol)及びジメチルスルホキシド(7.80L)を、35℃に予熱された反応容器に仕込んだ。撹拌しながら、かつ温度を40℃未満に保ちながら、塩化リチウム(1.25kg、25.6mol)を何回かに分けて加え、続いてテトラメチルグアニジン(2.98kg、25.9mol)を加えた。ジメチルスルホキシド(450mL)を使用して、供給ラインを洗浄した。反応混合物を79℃で8時間撹拌し、70℃に冷却し、水(2.48L)を2時間以内に加えた。70℃でさらに1時間撹拌後、沈殿物を濾別し、水(4.5L)で3回洗浄した。沈殿物を還流温度で酢酸エチル(15L)及び水(7.5L)に溶解した。60℃で相を分離し、n-ヘプタン(7.5L)を60℃で30分以内に有機層に加えた。溶液を2時間で0℃に冷却し、更に0℃で1時間撹拌した。沈殿物を濾別し、酢酸エチル(750mL)/n-ヘプタン(375mL)の混合物で2回洗浄し、減圧下で乾燥させて、7-(6-ニトロ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル1.89kg(76.4%)を黄色から淡褐色の固体として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 8.16 (d, 1H); 8.07 (d, 1H); 7.15 (dd, 1H); 3.80 - 3.72 (m, 2H); 3.49 - 3.41 (m, 2H); 3.23 (s, 2H); 1.48 (s, 9H); 1.16 - 1.08 (m, 2H); 0.92 - 0.85 (m, 2H); LCMS: 335.17 (M+H
+)
【実施例5】
【0179】
7-(2-ヒドロキシ-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0180】
【化102】
7-(6-アミノ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(80.0g、263mmol)をアニソール(800mL)に溶解して、マロン酸ジ-tert-ブチル(71.1g、315mmol)を加えた。溶液を145℃で3.5時間撹拌し、次に室温に冷却した。沈殿物を濾別し、トルエン(何回かに分けて、全部で320mL)で洗浄し、50℃で高真空下で乾燥させて、7-(2-ヒドロキシ-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(65.6g、67%)を淡ピンク色の粉末として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 8.46 (d, 1H); 7.74 (dd, 1H); 7.52 (d, 1H); 5.37 (s, 2H); 3.83 - 3.69 (m, 2H); 3.23 (t, 2H); 3.01 (s, 2H); 1.48 (s, 9H); 1.17 - 1.03 (m, 2H); 0.95 - 0.75 (m, 2H); LCMS: 373.19 (M+H
+)
【実施例6】
【0181】
7-(2-ヒドロキシ-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0182】
【化103】
7-(6-ニトロ-3-ピリジル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(950g、2.84mol)、Pt 1%、V 2%担持活性炭(95.1g、2mmol)及び酢酸エチル(9.5L)を、水素ガスで3barに加圧されたオートクレーブ中に仕込んだ。反応混合物を室温で6時間撹拌した。過剰な水素を排出した。反応混合物を濾過し、触媒を酢酸エチル(0.95L)で3回洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、蒸留により溶媒をアニソールに交換した(2.85L及び5.18Lの2回に分けて加える)。マロン酸ジ-tert-ブチル(921.7g、4.26mol)を加え、供給ラインをアニソール(618mL)で濯ぎ、反応混合物を125~135℃で8時間撹拌した。この温度に達するには、副生成物のtert-ブタノールを留去することが必要な場合がある。反応の進行は、例えば、HPLCによって追跡された。反応が失速した場合は、温度を135~145℃に上げ、1時間後に進行についてチェックする。反応が完了したら、バッチを室温に冷却し、室温で4時間撹拌した。沈殿物を濾別し、トルエン(3.55L)で洗浄し、真空下60℃で乾燥させて、7-(2-ヒドロキシ-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(861.0g、81.4%)を黄色から淡褐色の固体として与えた。
【実施例7】
【0183】
7-[4-オキソ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0184】
【化104】
反応器に、7-(2-ヒドロキシ-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル)-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(920g、2.47mol)を、そして次にトリエチルアミン(325g、3.21mol)を、続いて塩化トシル(527.1g、2.77mol)及びジクロロメタン(4.6L)を仕込んだ。反応混合物を20~25℃で少なくとも3時間撹拌した。反応が完了したら、有機溶液を、HCl(32%、247.8mL)と水(4.6L)との調製溶液で、続いて水酸化ナトリウム(30%ストック溶液 432.3mL)と水(3.9L)との調製溶液でこの順序で洗浄した。最後に有機相を水(4.8L)で洗浄し、次に減圧下50~55℃でジクロロメタンをほぼ完全に留去した。酢酸エチル(920mL)を加え、この温度で減圧下2回蒸留し、次に酢酸エチル(4.8L)を加え、懸濁液を2時間かけて20~25℃に冷却した。n-ヘプタン(944.4mL)を加え、混合物を0~5℃に冷却し、次に更に3時間撹拌した。沈殿物を濾別し、酢酸エチル(772.8mL)とn-ヘプタン(147.2mL)との調製溶液で洗浄し、次にn-ヘプタン(2.6L)で2回洗浄した。固体を真空下45~50℃で乾燥させて、1122.6g(86.3%)の7-[4-オキソ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルを黄色の結晶として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 8.32 (d, 1H); 8.00 - 7.89 (m, 2H); 7.66 (dd, 1H); 7.50 (d, 1H); 7.36 (d, 2H); 6.04 (s, 1H); 3.80 - 3.68 (m, 2H); 3.23 (t, 2H); 3.01 (s, 2H); 1.48 (s, 9H); 1.15 - 1.04 (m, 2H); 0.92 - 0.82 (m, 2H); LCMS: 527.20 (M+H
+)
【実施例8】
【0185】
2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン
【0186】
【化105】
6-クロロ-2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(40.0g、220mmol)、ビスピナコールジボラン(69.9g、275mmol)及び酢酸カリウム(43.2g、440mmol)をアセトニトリル(440mL)に懸濁した。懸濁液を加熱還流して、還流温度で30分間撹拌し、次にアセトニトリル(40mL)中のPdCl
2(dppf)(4.03g、5.51mmol)及びdppf(610mg、1.1mmol)の懸濁液を加えた。容器をアセトニトリル(20mL)で濯ぎ、これをまた反応混合物中に注ぎ入れた。橙色の懸濁液を還流温度で更に撹拌し、それによりアセトニトリル(50mL)を留去した。4時間後、反応混合物を濾別し、フィルターをアセトニトリル(全部で150mL)で数回に分けて洗浄した。濾液を希釈して体積を700mLとした。アセトニトリル中の2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの314mmol溶液を次の工程でそのまま使用した。
【実施例9】
【0187】
2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン
【0188】
【化106】
6-クロロ-2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(29.0g、22.8mmol)、ビスピナコールジボラン(44.6g、25.1mmol)及び酢酸カリウム(31.3g、45.6mmol)を酢酸1-プロピル(365mL)に懸濁した。懸濁液を80℃に加熱し、酢酸1-プロピル(37mL)中のトリシクロヘキシルホスフィン(448mg、0.23mmol)及びPd(OAc)
2(179mg、0.11mmol)の溶液を20分以内に加えた。80℃で更に2.5時間撹拌後、懸濁液を40℃に冷却し、この温度で濾過した。沈殿物を酢酸1-プロピル(200mL)で洗浄した。濾液は、酢酸1-プロピル中の2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの8.5%溶液 516.4gに相当する。
【実施例10】
【0189】
2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの単離
【0190】
【化107】
別の実験において、得られた上記溶液を3時間以内に0~5℃に冷却した。沈殿物を濾別し、冷酢酸1-プロピルで洗浄し、60℃で高真空下で乾燥させて、2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(24.0g、55%)を無色の固体として与えた。
1H NMR (CDCl
3, 600 MHz, ) δ ppm 7.86 (d, J=0.7 Hz, 1 H), 7.20 (d, J=1.0 Hz, 1 H), 2.63 (d, J=1.0 Hz, 3 H), 2.51 (d, J=0.7 Hz, 3 H), 1.33 - 1.49 (m, 12 H)
【実施例11】
【0191】
(工程6)7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0192】
【化108】
7-[4-オキソ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(25g、47.5mmol)、2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(アセトニトリル中314mM、191mL、59.8mmol)、PdCl
2(dppf)(868mg、1.19mmol)及び4.07M 炭酸カリウム水溶液(17.1mL、69.8mmol)を反応容器に仕込んだ。反応混合物を還流温度で3時間撹拌し、一晩室温に冷却して濾過した。沈殿物をアセトニトリル(全部で146mL)で数回に分けて洗浄し、次にメチル-THF(750mL)及びメタノール(75mL)に懸濁した。5%炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL)を加え、混合物を35℃で激しく撹拌した。相を分離し、有機相を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(250mL)で再度洗浄した。有機相を活性炭により室温で1時間処理し、濾過し、濾液を減圧下60℃で濃縮して体積を225mLとし、加熱還流し、次に室温に冷却し、室温で16時間撹拌し、次に0℃に冷却して、0℃で3時間撹拌した。沈殿物を濾別し、n-ヘプタン(60mL)で洗浄し、55℃で高真空下で乾燥させて、7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(20.13g、84.5%)を黄色の固体として与えた。
【0193】
この固体を、以下の方法で再結晶することができた:上記固体15gを、還流温度でトルエン(135mL)及びエタノール(15mL)に溶解した。溶液をゆっくりと室温に冷却し、室温で16時間撹拌し、次に0℃に冷却して0℃で4時間撹拌した。沈殿物を濾別し、冷トルエンで洗浄し、55℃で高真空下で乾燥させて、7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(11.92g、79.5%)を黄緑色の固体として与えた。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz): 8.44 (d, 1H); 7.93 (d, 1H); 7.96 - 7.89 (m, 1H); 7.80 (d, 1H); 7.76 - 7.72 (m, 1H); 7.70 - 7.63 (m, 1H); 7.38 (s, 1H); 3.85 - 3.69 (m, 2H); 3.28 (t, 2H); 3.07 (s, 2H); 2.74 (d, 3H); 2.55 (s, 3H); 1.49 (s, 9H); 1.16 - 1.09 (m, 2H); 0.93 - 0.86 (m, 2H); LCMS: 502.26 (M+H+)
【実施例12】
【0194】
7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル
【0195】
【化109】
6-クロロ-2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(4.14g、22.8mmol)、ビスピナコールジボラン(6.37g、25.1mmol)及び酢酸カリウム(4.47g、45.6mmol)を酢酸1-プロピル(59mL)に懸濁した。懸濁液を80℃に加熱し、酢酸1-プロピル(6mL)中のトリシクロヘキシルホスフィン(63.9mg、0.23mmol)及びPd(OAc)
2(25.6mg、0.11mmol)の溶液を20分以内に加えた。80℃で更に2.5時間撹拌後、懸濁液を40℃に冷却し、この温度で濾過した。沈殿物を酢酸1-プロピル(32mL)で洗浄した。濾液は、酢酸1-プロピル中の2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの8.5%溶液74.6gに相当する。
【0196】
反応容器に、7-[4-オキソ-2-(p-トリルスルホニルオキシ)ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(10.0g、19.0mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(58.6mg、0.21mmol)及びPd(OAc)2(21.3mg、0.10mmol)並びに酢酸1-プロピル(42mL)を仕込んで、水(19.0mL)中の炭酸カリウム(5.25g、38.0mmol)の溶液を加えた。懸濁液を70℃に加熱し、酢酸1-プロピル中の2,8-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの溶液を30分以内に加えた。混合物を70~75℃で2時間撹拌した。懸濁液を40℃に冷却し、水(10mL)を加えた。懸濁液を30分間寝かせた。粗生成物を濾別して、酢酸1-プロピル(41mL)で濯いだ。粗生成物をトルエン(100mL)、5% NaHCO3水溶液(30mL)及び1-プロパノール(20.0mL)中にとった。混合物を60~65℃に加熱し、相を分離し、有機相を更に2回に分けて水(30.0mL)で洗浄した。有機相を活性炭で濾過し、フィルターをトルエン(60.0mL)で洗浄した。濾液を減圧下で約120mLの体積に濃縮し、加熱還流して、1-プロパノール(0.8mL)を加えて溶液を得た。溶液を4~6時間以内に0~5℃に冷却し、0~5℃で1時間撹拌した。沈殿物を濾別し、トルエン(30mL)で洗浄し、70~80℃で減圧下で乾燥させて、7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(7.7g、80.8%)を帯黄色の固体として与えた。
【実施例13】
【0197】
7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン二塩酸塩
【0198】
【化110】
酢酸1-プロピル/1-プロパノール中のHCl溶液を調製するために、塩化アセチル(15.8g、199mmol)を酢酸1-プロピル(60mL)及び1-プロパノール(30mL)の混合物に0℃でゆっくりと加え、室温で更に2時間撹拌を続けた。
【0199】
7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(20g、39.9mmol)を酢酸1-プロピル(60mL)及び1-プロパノール(30mL)に室温で懸濁し、酢酸1-プロピル及び1-プロパノール中のHCl溶液を加えた。反応混合物を3時間以内に70℃に加熱し、この温度で16時間撹拌し、次に20℃に冷却した。沈殿物を濾別し、酢酸1-プロピル(50mL)で数回に分けて洗浄し、55℃で真空乾燥させて、7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン塩酸塩(18.8g、99%)を黄色の結晶として与えた。
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz): 8.34 (s, 1H); 8.22(s, 1H); 8.05 (s, 1H); 8.01 (dd, 1H); 7.80 (d, 1H); 7.16 (s, 1H); 3.71 - 3.67 (m, 2H); 3.64 - 3.59 (m, 2H); 3.52 (s, 2H); 2.69 (s, 3H); 2.54 (s, 3H); 1.23- 1.20 (m, 2H); 1.14 - 1.08 (m, 2H); LCMS: 402.20 (M+H+)
【実施例14】
【0200】
7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン
【0201】
【化111】
酢酸1-プロピル(375mL)中の7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(25g、50mmol)の懸濁液に1-プロパノール中のHCl溶液(塩化アセチル(18.0mL)を1-プロパノール(37.6mL)に5℃でゆっくりと加え、室温で1時間撹拌することにより調製)を加えた。撹拌懸濁液を10時間以内に75℃に加熱し、75℃で更に5時間撹拌した。水(160.0mL)を加え、75℃で相を分離した。32%水酸化ナトリウム水溶液(27.8mL)を水相に加えた。得られた懸濁液を5時間以内に室温に冷却し、室温で1時間撹拌した。沈殿物を濾別し、水(100.0mL)で洗浄し、減圧下50℃で18時間乾燥させて、7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン(19.7g、98.3%)を黄色の結晶として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 8. 45 (d, 1H); 7.92 (d, 1H); 7.80 (s, 1H); 7.75 - 7.71 (m, 1H); 7.71 - 7.67 (m, 1H); 7.37 (s, 1H); 3.31 - 3.24 (m, 2H); 3.22 - 3.16 (m, 2H); 3.09 (s, 2H); 2.73 (s, 3H); 2.55 (s, 3H); 0.82- 0.76 (m, 2H); 0.71 - 0.63 (m, 2H); LCMS: 402.20 (M+H
+)
【実施例15】
【0202】
7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン
【0203】
【化112】
トルエン(237.0g)中の7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-オキソ-ピリド[1,2-a]ピリミジン-7-イル]-4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチル(13.5g、26.9mmol)の懸濁液を75℃で撹拌して、1-プロパノール中のHClの21.9%溶液(21.4g、134.5mmol)を2.5時間以内に加えた。完全に変換するまで反応混合物を75℃で更に撹拌した。反応混合物を20~25℃に冷却した。水(70g)を加えた。二相性混合物を20~25℃で更に10分間撹拌し、相を分離した。有機相を水(17g)で2回抽出し、合わせた水相を28%水酸化ナトリウム水溶液(15.0g)及び水(45.0g)の混合物に加えた。得られた懸濁液を20℃に冷却した。沈殿物を濾別し、水(25g)で3回洗浄し、減圧下60℃で乾燥させて、7-(4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン(9.5g、95.1%)を黄色の結晶として与えた。
【実施例16】
【0204】
4-ブロモ-6-クロロ-ピリダジン-3-アミン
【0205】
【化113】
3-アミノ-6-クロロピリダジン(20g、154mmol)、重炭酸ナトリウム(25.9g、309mmol)及びメタノール(158g)を反応容器に仕込み、0~10℃に冷却した。臭素(34.5g、216mmol)を滴下し、反応混合物を室温で3日間撹拌した。10%硫酸ナトリウム水溶液を加えた。懸濁液を濾別した。濾液を酢酸エチル(300mL)で2回洗浄した。合わせた有機層を乾燥させ、蒸発させた。メタノール(50mL)中の残渣の懸濁液を加熱還流し、水(120mL)を加え、懸濁液を室温で16時間撹拌した。沈殿物を濾別して乾燥させた。残渣をn-ヘプタン(50mL)に懸濁し、室温で2時間撹拌し、濾別して乾燥させて、4-ブロモ-6-クロロ-ピリダジン-3-アミン(14.5g、46.2%)を淡褐色の固体として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 7.55 (s, 1H); 5.83-4.89 (m, 2H); LCMS: 209.93 (M+H
+)
【実施例17】
【0206】
4-ブロモ-6-クロロ-ピリダジン-3-アミン
【0207】
【化114】
3-アミノ-6-クロロピリダジン(50g、360mmol)、酢酸(5.8g、96.5mmol)、酢酸ナトリウム(28.7g、289.5mmol)及びメタノール(395g)を反応容器に仕込み、25~35℃に加熱した。ジブロモジメチルヒダントイン(66.0g、231.6mmol)を数回に分けて加え、反応混合物を30℃で3時間撹拌した。IPCによって完了をチェックし、変換が不完全な場合は、ジブロモジメチルヒダントイン(5.5g)を加える。反応が完了したら、38%硫酸ナトリウム水溶液(77.2mmol NaHSO
3)をゆっくりと加えた。懸濁液を減圧下で濃縮し、水(500g)を45℃でゆっくりと加え、次に30%水酸化ナトリウム水溶液(31.5g、231.6mmol NaOH)を20℃で加えて、pHを7~8に調整した。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、4-ブロモ-6-クロロ-ピリダジン-3-アミン(50.2g、62.5%)を灰色の固体として与えた。
【実施例18】
【0208】
6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン
【0209】
【化115】
4-ブロモ-6-クロロ-ピリダジン-3-アミン(3.0g、14.4mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1666mg、144μmol)をTHF(13.2g)に懸濁し、Me-THF中の塩化亜鉛の溶液(2.0M、9mL、18mmol)を加えた。反応混合物を-5℃に冷却し、ジエトキシメタン中のメチルリチウム(3.1M、11.6mL、36mmol)を加えた。反応混合物を45℃で4時間撹拌した。硫酸ナトリウム十水和物(11.7g、36mmol)を室温で加え、混合物を60℃で1.5時間撹拌し、水(100mL)で希釈し、30分後に沈殿物を濾別した。沈殿物を2M HCl水溶液(100mL)及び酢酸エチル(140mL)に溶解した。二相系を濾過し、相を分離し、32% NaOH水溶液(18mL)で水層のpHを7に調整した。沈殿物を濾過して乾燥させた。得られた固体を、室温でメタノール(20mL)中で2回温浸した。2つの濾液を合わせ、溶媒を留去し、高真空下で乾燥させて、6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン(1.2g、58.1%)を赤色の固体として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 7.09 (d, 1H); 4.90 (br s, 2H), 2.17 (d, 3H)
【実施例19】
【0210】
6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン
【0211】
【化116】
4-ブロモ-6-クロロ-ピリダジン-3-アミン(30.02g、143mmol)及びTHF(180mL)を反応容器に仕込んだ。塩化メチルマグネシウム(THF中22%、50.0mL、1.03当量)を20℃で60分かけて加え、続いてMe-THF中の塩化亜鉛(25%、37mL、0.50当量)及びパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(1.66g、1mol%)を加えた。反応混合物を50℃に加熱し、塩化メチルマグネシウム(THF中22%、81mL、1.7当量)をゆっくりと加えた。変換が完了するまで反応混合物を50℃で撹拌し、次に10℃で14.5時間撹拌して、20~30℃に維持した水(90g)、33% HCl水溶液(52.5g)及びトルエン(150mL)の混合物中に注ぎ入れた。水相を分離し、有機相を33% HCl水溶液(2.0g)及び水(45g)の溶液で抽出した。水層を合わせ、トルエン(30mL)で2回洗浄し、25%アンモニア水溶液を加えてpHを調整した。pHが2.4に達したら、種晶を加え、混合物を更に15分間撹拌し、その後pHを4.0にした。懸濁液を20℃で2時間撹拌し、沈殿物を濾別し、水(20mL)で3回洗浄して、粗6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン(29g)を褐色の固体として与えた。
【0212】
粗生成物29gを反応容器に移し、メタノール(20mL)を加えた。混合物を30分間還流し、水12gを加えた。溶液を0℃に冷却し、この温度で2時間撹拌した。沈殿物を濾別し、水で3回洗浄し、減圧下40℃で乾燥させて、精製6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン(13.8g、66%)を淡褐色の固体として与えた。
【0213】
代替精製法:
粗6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン 50gをメタノール(250mL)に溶解し、活性炭(4.0g)及び珪藻土(2.5g)を加えた。懸濁液を45℃で1時間撹拌し、30℃に冷却して、水素化リン酸カリウム(2.1g)を加えた。懸濁液を30℃で更に90分間撹拌し、濾過して、沈殿物をメタノール(100mL)で洗浄した。濾液を濃縮して残渣体積を175mLとし、水(120mL)を加えた。得られた懸濁液を加熱還流して溶液を与え、これを20℃に冷却すると懸濁液を得た。沈殿物を濾別し、水(90mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、純粋な6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン(38g、76%)を淡黄色の固体として与えた。
【実施例20】
【0214】
6-クロロ-2,8-ジメチル-イミダゾ[1,2-b]ピリダジン
【0215】
【化117】
6-クロロ-4-メチル-ピリダジン-3-アミン(70.95kg、494.2mol)、臭化ナトリウム(35kg、345.9mol)、酢酸イソプロピル(611kg)、イソプロパノール(28kg)及び水(35kg)を反応容器に仕込んだ。反応混合物を80~85℃で8時間撹拌した。酢酸イソプロピル(310kg)及び水(420kg)を加えた。45~55℃で30% NaOH水溶液を加え、系を2時間撹拌した。25~35℃で相を分離した。有機層を水(370kg)で洗浄し、珪藻土(7kg)で濾過し、フィルターを酢酸イソプロピル(35kg)で洗浄した。有機相を5.4%硫酸水溶液で2回(910kg、続いて579kg)に分けて抽出した。合わせた水相を30% NaOH水溶液(158kg)で塩基性にした。懸濁液を15~25℃で2時間撹拌した。沈殿物を3回に分けて遠心分離により単離し、それぞれ水(31kg)で洗浄した。湿った固体を25~35℃で酢酸イソプロピル(980kg)に溶解し、溶液を水(210kg)で3回洗浄した。有機相を活性炭で45~50℃で12時間処理し、約300kgに濃縮し、70~80℃に加熱して透明な溶液を得た。この溶液を50~60℃に冷却し、この温度で1時間撹拌し、n-ヘプタン(378kg)を加え、そして撹拌を1時間続けた。混合物を-10~-5℃に冷却し、更に3時間撹拌した。沈殿物を遠心分離により単離し、n-ヘプタン(33kg)で洗浄し、減圧下30~50℃で15時間乾燥させて、6-クロロ-2,8-ジメチル-イミダゾ[1,2-b]ピリダジン 67.4kg(76%)をオフホワイト色の固体として与えた。
1H-NMR (CDCl
3, 600 MHz): 7.67 (s, 1H); 6.86 (s, 1H); 2.65 (s, 3H), 2.50 (s, 3H)