(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】コーナーフィッティング
(51)【国際特許分類】
F16B 12/20 20060101AFI20220518BHJP
F16B 12/32 20060101ALI20220518BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
F16B12/20 E
F16B12/32 E
F16B5/06 H
(21)【出願番号】P 2021568838
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2020054740
(87)【国際公開番号】W WO2020233845
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】202019102829.7
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518333443
【氏名又は名称】ハーフェレ ベルリン ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ メルツ
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5297498(US,A)
【文献】独国実用新案第202013101617(DE,U1)
【文献】独国実用新案第202007007637(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/00-12/60
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーナーフィッティング(10)であって、
互いに実質的に垂直に配置された2つの家具パネル(28、30)間のクランプ接続のための帯状のベース部材(11)を備え、
前記ベース部材(11)の端領域において、リップ(14)は、幅の少なくとも一部に沿って前記コーナーフィッティングから突き出ており、ピン(18)は、前記ベース部材(11)の反対側の端領域に突き出ており、
前記リップ(14)と前記ピン(18)は、前記ベース部材(11)の同じ側に、実質的に同じ方向に突き出て
おり、
前記ベース部材(11)は、直線部(12)と湾曲部(16)を含み、
前記リップは前記直線部(12)から突き出ており、前記ピン(18)は前記湾曲部(16)から突き出ており、前記湾曲部は前記リップ(14)の反対側で前記直線部(12)に隣接していることを特徴とするコーナーフィッティング。
【請求項2】
前記コーナーフィッティング(10)は、弾性材料、特に、金属またはプラスチック材料によって一体的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコーナーフィッティング。
【請求項3】
前記ピン(18)に面する前記リップ(14)の側面は、前記ベース部材(11)と鋭角を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のコーナーフィッティング。
【請求項4】
前記湾曲部は、前記リップ(14)と前記ピン(18)が突き出る方向に湾曲していることを特徴とする請求項
1乃至3のうち何れか1項に記載のコーナーフィッティング。
【請求項5】
前記ピン(18)は、前記湾曲部(16)から、前記直線部(12)に対して垂直に延びる方向に突き出ていることを特徴とする請求項
1乃至4のうち何れか1項に記載のコーナーフィッティング。
【請求項6】
前記ピン(18)は、中空ピンとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至
5のうち何れか1項に記載のコーナーフィッティング。
【請求項7】
前記ピン(18)は、断面としてのオープンリングを有することを特徴とする請求項
6に記載のコーナーフィッティング。
【請求項8】
前記ピン(18)は、前記ベース部材(11)から離れる範囲で、円錐状に先細になっていることを特徴とする請求項1乃至
7のうち何れか1項に記載のコーナーフィッティング。
【請求項9】
前記ピン(18)は、その外側に軸方向に延びる窪みまたはウェブ(20、22)を有することを特徴とする請求項1乃至
8のうち何れか1項に記載のコーナーフィッティング。
【請求項10】
前記リップに面するウェブ(22)は、前記ピンの円周方向に延びる歯状窪み(24)を有することを特徴とする請求項
9に記載のコーナーフィッティング。
【請求項11】
家具の一部を形成するための家具モジュール(26)であって、
請求項1乃至
10のうち何れか1項に記載のコーナーフィッティング(10)と、
第1の家具パネル(28)と、
第2の家具パネル(30)と、
を備え、
前記家具パネル(28、30)は、互いに実質的に垂直に配置されており、
前記第1の家具パネル(28)は、前記第2の家具パネル(30)の溝(32)に挿入されており、
前記コーナーフィッティング(10)の前記ピン(18)は、前記第1の家具パネルの凹部に挿入されており、
前記リップ(14)は、外側で前記第2の家具パネル(30)の後ろに係合することを特徴とする家具モジュール。
【請求項12】
前記第1の家具パネルは、引き出しの後壁であり、前記第2の家具パネルは、前記引き出しの側壁であることを特徴とする請求項
11に記載の家具モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに実質的に垂直に配置された2つの家具パネル間のクランプ接続のためのコーナーフィッティングに関する。例えば、このようなコーナーフィッティングは、製造された家具パネルのコーナーを安定させるのに役立つようになっており、例えば、引き出しなどの家具または家具部品の側壁と後壁が互いに接触するとき、その家具または家具部品のコーナーを安定させるのに役立つ。
【背景技術】
【0002】
家具モジュールの外側のコーナーを安定させるためにスナップフィット接続用に構成されたコーナーフィッティングプロファイルは、ドイツ実用新案登録出願の出願公開番号DE202018107189U1から知られている。このコーナーフィッティングプロファイルは、実質的にL字型に配置された2つのプレートを含む。各プレートは、プレートから突き出るリップを有する。これらのリップは、いずれの場合も、家具パネルの溝に係合されるように設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、より簡単な取り扱い能力(handling capacity)およびより簡単でより迅速な組み立て能力(assembly capacity)に関して、冒頭部分で述べたタイプのフィッティングを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有するフィッティングによって達成される。また、従属請求項は、本発明に係るフィッティングの有利な発展に関する。
【0005】
本発明によれば、コーナーフィッティングは、帯状のベース部材を備え、また、該ベース部材の一つの端領域には、ベース部材の幅の少なくとも一部に沿ってベース部材から突き出るリップが配置されている。また、リップの反対側のベース部材の端領域には、ベース部材から突き出るピンが配置されている。ピンとリップは、ベース部材の同じ側に、実質的に同じ方向に突き出ている。コーナーフィッティングのこのような構造により、容易な組み立て能力が可能で、且つ、安定した接続が可能なコーナーフィッティングの管理しやすい構成が可能になる。リップは、例えば、後側の家具パネルの周りに係合することができ、また、クランプ用のピンは、第2の家具パネルの凹部、例えば、穴に挿入されることができる。この挿入は、例えば、指で押すことにより、工具を使わずに行うことができる。
【0006】
有利な実施形態では、コーナーフィッティングは、好ましくは弾性材料(resilient material)によって一体的に構成されている。この一体型構成により、特に弾性材料と一体化しているため、弾力性(resilient property)を達成することができ、それにより、設置状態のコーナーフィッティングを張力下に置くことができ、その結果として、固定接続動作を実現することができる。
【0007】
本発明の一実施形態では、ピンに面するリップの側面は、ベース部材と鋭角、すなわち、90°未満の角度を形成する。リップとベース部材との間のこの鋭角は、設置状態で拡大されることができ、すなわち、リップとベース部材との間のこの鋭角は、より大きくなるか、約90°になるか、または状況によっては90°より大きくなる可能性がある。これにより、設置状態のコーナーフィッティングのクランプが可能になり、その結果として、安全な接続動作を実現することができる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、コーナーフィッティングのベース部材は、リップが突き出ている直線部を含む。リップの反対側の直線部の側面は、ベース部材の湾曲部に隣接している。ピンは、ベース部材の湾曲部から、好ましくは直線部に垂直な方向に突き出ている。好ましくは、湾曲部は、リップおよびピンが突き出ているベース部材の側面に向かって湾曲している。湾曲部は、帯状のベース部材に人間工学的な形状を与え、この人間工学的な形状は、例えば、親指でピンを家具部品の凹部へ押し込み動作を促進する。同時に、湾曲している形状は弾力性を有しており、この弾力性により、設置状態のコーナーフィッティングを張力下に置くことができ、それによって、安全な接続動作を実現することができる。
【0009】
ピンは、例えば、中空ピンとして構成され、および/または、断面としてのオープンリングを有する。個別にまたは組み合わせて使用されるこれらの特徴は、ピンにある程度の弾力性を提供し、圧縮を可能にするため、例えば、穴などの凹部への導入が容易になる。これにより、組立状態のコーナーフィッティングのクランプも容易になる。
【0010】
ピンの開口部は、例えば、リップの反対側を向いているピンの側面に配置されることができる。組立状態のコーナーフィッティングのクランプを促進するために、リップに面するピンの側面を利用することが可能であるため、このような構成は有利である。
【0011】
より良い組み立て能力のために、そして、凹部へのピンの固定を改善するために、ピンはその外側に軸方向に延びる窪みまたはウェブを有することができる。これにより、取り扱いと組み立ての能力をさらに向上させることができる。
【0012】
特に、ピンの円周方向に延びる歯状窪みを、リップに面するピンの側面にあるウェブに取り付けることによって、凹部へのピンの固定を達成することができる。この目的を達成するために、このような窪みの形状が有利であり、即ち、窪みは、導入方向に斜めであり、且つ、導入をサポートする平面を提供し、また、棘(barb)として反対方向に作用する。
【0013】
好ましくは、ピンは、ベース部材から離れる範囲で、円錐状に先細になっており、すなわち、ピンの外径は、より短い、ベース部材からの距離になる。例えば、ピンは、ベース部材に隣接する領域に、5mmを超える外径を有する。そして、この外径は、円錐形の先細りの範囲で、より小さくなる。この実施形態は、家具部品の凹部へのピンのより容易な挿入を可能にし、したがって、取り扱いと組み立ての能力を簡単化する。
【0014】
本発明はまた、別の実施態様において、本発明に係るコーナーフィッティングを備えた、家具の一部を形成するための家具モジュールに関する。この場合には、家具モジュールは、互いに実質的に垂直に配置された2つの家具パネルを含み、第1の家具パネルは、第2の家具パネルの溝に配置されている。コーナーフィッティングのピンは、第1の家具パネルの凹部に挿入されており、また、リップは、外側で第2の家具パネルの後ろに係合する。この場合には、第1の家具パネルの凹部は、好ましくは、ピンに適合された直径、例えば、1mmから10mmまでの間、好ましくは4mmから6mmまでの間、非常に好ましくは約5mmの直径を有する穴である。穴は、好ましくは、第2の家具パネルの外側から10mmから30mmまでの間に配置され、非常に好ましくは、第2の家具パネルの外側から約24mmに配置される。
【0015】
好ましくは、第1の家具パネルは、引出しの後壁であり、第2の家具パネルは、引出しの側壁である。例えば、100mmの高さからのより高い引出しでは、安定性を改善するために、本発明に係る複数のコーナーフィッティングを、上下に並んだ形で、挿入することもできる。
【0016】
本発明の他の利点は、明細書、特許請求の範囲および図面から明らかになる。上述した特徴および以下に示す特徴は、それ自体を個別に使用することも、任意の組み合わせで一緒に使用することもできる。図示及び説明される実施形態は、本発明の全てを完全に網羅していると解されるべきではなく、むしろ、本発明を説明するための例示的性質を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るコーナーフィッティングの側面図である。
【
図2】線A-Aに沿ったコーナーフィッティングの断面図である。
【
図5】コーナーフィッティングを備えた、家具モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、帯状のベース部材11を有するコーナーフィッティング10の側面図である。ベース部材11は直線部12を有し、また、直線部12の端部でリップ14が突き出ている。リップ14の反対側の直線部12の側面は、ベース部材11の湾曲部16によって隣接されている。ピン18は、ベース部材11の湾曲部16から突き出ている。ピンは、軸方向に延びるウェブ20、22を有する。リップ14に面するウェブ22は、ピンの円周方向に延びる歯のような窪み24を有しており、また、それらの窪み24の形状の結果として、それらの窪み24は、棘として作用することができる。
【0019】
図2は、
図1の線A-Aに沿ったコーナーフィッティング10の断面図である。直線部12は、湾曲部16に隣接しており、また、そのウェブ22が円周方向に延びる窪み24を有するピン18は、湾曲部16から突き出ている。
【0020】
図3のコーナーフィッティング10の斜視図は、ベース部材11の湾曲部16から突き出ているピン18の開口形状を示している。リップ14は、ベース部材11の直線部12から突き出ている。ピン18の開口部は、リップ14の反対側を向いているピンの側面に配置されている。
【0021】
図4は、家具の一部を形成するための家具モジュール26を示している。第1のコーナープレート28、例えば、引き出しの後壁は、第2の家具壁30、例えば、引き出しの側壁に対して垂直に配置される。この場合には、第1の家具パネルは、第2の家具パネルの溝32に配置される。帯状のベース部材を備えたコーナーフィッティング10は、この例では、例えば、引出しの後壁コネクタとして作用し、また、コーナーフィッティング10のリップ14(
図5)は、第2の家具パネルの外側後縁の周りに係合し、コーナーフィッティング10のピン18(
図5)は、第1の側壁の穴34(
図5)に導入される。
図4の概略図では、このような引出しの後部コーナーが示されているが、コーナーコネクタ10は、好ましくは、引出しの他の後部コーナー用の後壁コネクタとして、同じ方法で使用されることができる。この目的を達成するために、引出しの後壁は、好ましくは、サイドフレームとも呼ばれる両方の側壁の溝に埋め込まれる。
【0022】
図5は、組み立てのためにどんな方法でコーナーフィッティングが家具パネルに接続されるか(即ち、コーナーフィッティングを家具パネルに接続する方法)を概略的に示している。この目的を達成するために、好ましくは、コーナーフィッティング10のリップ14は、側壁30の縁に吊下げられ、続いて、後壁28の穴34へ湾曲部16に置いてある指で押し込むことにより、リップ14が固定されることができる。この場合には、コーナーフィッティングの好ましい形状は、弾力性クランプ(resilient clamping)をもたらし、安全で、必要に応じて永続的な接続を可能にし、また、必要に応じて解放できる接続も可能にする。
【符号の説明】
【0023】
10 コーナーフィッティング
11 ベース部材
12 直線部
14 リップ
16 湾曲部
18 ピン
20 ウェブ
22 ウェブ
24 窪み
26 家具モジュール
28 第1の家具パネル
30 第2の家具パネル
32 溝
34 穴
【要約】
本発明に係るコーナーフィッティング(10)は、互いに実質的に垂直に配置された2つの家具パネル(28、30)間のクランプ接続のための帯状のベース部材(11)を含む。ベース部材(11)の端領域において、リップ(14)は、幅の少なくとも一部に沿ってコーナーフィッティングから突き出ており、また、ピン(18)は、ベース部材(11)の反対側の端領域に突き出ている。リップ(14)とピン(18)は、ベース部材(11)の同じ側に、実質的に同じ方向に突き出ている。
【選択図】
図5