(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】空車室数表示付駐車場看板
(51)【国際特許分類】
E04H 6/00 20060101AFI20220519BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20220519BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20220519BHJP
【FI】
E04H6/00 C
G08G1/14 A
G07B15/00 N
(21)【出願番号】P 2018176399
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】599164916
【氏名又は名称】日本システムバンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000177357
【氏名又は名称】三和サインワークス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】永棹 健治
(72)【発明者】
【氏名】梅田泰永
(72)【発明者】
【氏名】東 孝二
(72)【発明者】
【氏名】坂東 上平
(72)【発明者】
【氏名】野坂 嘉信
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】女川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】西村 宏
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特許第2922986(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3173255(JP,U)
【文献】特公平02-058195(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3195326(JP,U)
【文献】特開2002-123895(JP,A)
【文献】特許第2990177(JP,B1)
【文献】特開平04-033100(JP,A)
【文献】特開2012-208833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
G08G 1/14
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個別式車室がある駐車場に設置された駐車状況を表示する電子式の満空表示板を備えた駐車場看板において、満車を意味する「満」の文字と、空車室があることを意味する「空」の文字と、残車室数を表す1から9の数字と文字「台」の組み合わせと、位置の異なる6種類の矢印を、あらかじめドットマトリックスであらわす画像として用意し、該駐車場の精算機が管理する空き車室数の変化に応じて、満車の場合は「満」の文字を、残車室数が10台未満の場合には「空」の文字と残車室数の数Xを「台」と組み合わせた「X台」という表示の交互表示を、残車室数が10台以上の場合には「空」と位置の異なった複数の矢印を一定時間をおいて選択し視覚的に駐車場内に利用者を誘導するような向きに矢印が動くような表示を、それぞれ満空表示板に表示できるようにしたことを特徴とする満空表示板付き駐車場看板。
【請求項2】
請求項1の満空表示板付き駐車場看板において、4ビットで表される16個のデータを、電子式表示板の「満」、「空」および「1台」から「9台」の数との組み合わせ表示、および「空」と5種類の「矢印」の組み合わせ表示に割り当て、該データを選択して満空表示板のコントローラーに送信することによって状況に応じた満空表示を行うことを特徴とする満空表示板付き駐車場看板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室ごとに駐車時間を算出できる時間貸し駐車場において、利用できる空車室数を表示できる駐車場看板に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のゲート式の駐車場においては、ブロックごとあるいは階床ごとに、満車、空車の表示装置が設けられている。また、個々の車室に車両検出装置を備えた時間貸し駐車場においても、満車、空車を表示する駐車場看板が駐車場入口付近に設置されている。大型の駐車場では、車室数が多いので、この2種類の表示だけでも利用者にとってさして不便はない。
【0003】
しかし、車室の数が例えば10ないし20台のような中小規模の駐車場では、満車空車の表示だけでは、空車室の数がわからないので、例えば、空車の表示を見て仲間で複数の車両を駐車しようとした時など、途中で満車になってしまって、残りの車両は別の駐車場を探さなければならないといったような不便や、駐車したいエリアでの駐車場の込み具合が分からないといった不便が生じる。
【0004】
従って、空車室がある場合には、その空車室数を表示する駐車場看板があると便利である。空車室の表示装置は、以下に示す先行技術文献にいくつか開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】実用新案第3018182号
【文献】実開平03-82499号
【文献】実用新案登録第3195326号(U3195326)
【0007】
特許文献1では、多階式駐車場において、駐車車両検出にLEDの光の遮蔽を利用した方法と、検出結果を元にして、各階床の空車室数を算出し、その結果を各階の入口に空車と空車室数を同時に表示する方法が開示されている。
【0008】
非特許文献1では、ゲート式の駐車場において、入場する車両と出場する車両をセンサーで検知して、場内に残る車両数を求め、その数を駐車場の収容車両数から差し引いて空車室の数を計算し、駐車場入口で現在何台の駐車が可能かを数値表示する装置が示されている。
【0009】
また、非特許文献2には、多階床式駐車場で、各階の空車率がどれくらいあるかを円グラフで表示する方法が開示されている。
【0010】
一方、中小規模のフラップ装置を備えた時間貸し駐車場では、精算機が個々の車室への車両の入出庫を検知するセンサーの情報を元に、個々の車室に駐車した車両に対し駐車時間に応じた駐車料金を課金している。精算機は、総車室数から現在の駐車中の車両数を引き算して空車室の数を算出することも可能になっている。
【0011】
このような中小規模の駐車場においても、空車室の数を表示できるような表示装置は非特許文献3に見られる。すなわち、従来の満空表示ができる駐車場看板の下部に、外付けする形で空車室がある場合にその車室数を表示できるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、残車室数を従来の駐車所看板の満空表示の下部に外付けの表示装置で表示するのは見栄えが悪い。また、残車室数の数だけを表示するよりも、人がその看板を見たときに、容易に駐車場の空車の状況を把握できるように例えば5台というように数字だけでなく「台」という文字を加えた方が分かりやすいこともわかっていた。
【0013】
また、残車室数の表示をLED表示板で表示しようとすると、例えば残車室数10台以上がある場合に、表示桁数が二けたになり表示盤が大きく高価になるというような欠点があることもわかってきた。したがって、表示方法を改善した残車室数表示付の一体型駐車場看板が必要ではないかと考えた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、中小規模の時間貸駐車場の看板として、満空表示の部分を単に満車を示す「満」や空車を示す「空」の表示だけではなく、空車室がある場合には、10台未満の空車室数の場合は、「空」の表示と空車室の台数がたとえば5台の場合「5台」という表示を、感覚的にわかりやすい時間間隔と長さで交互に表示するようにしたこと、さらに残車室数が10台を以上の場合には、LED表示盤の表示サイズの制限や、大型にしてコスト高になることを避けるために、残車室数の表示ではなく、駐車場に誘導できるような場内方向を指す矢印を、「空」の表示と適当な時間間隔と長さで表示させるようにして、スマートな一体型の空車室表示付駐車場看板を実現した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば駐車場に駐車していない残車室がある場合に、従来の満空表示と違って、残車室数の量に応じて空車の状況を表示できるスマートな一体型空車室数表示付駐車場看板を設置できるので、駐車場の利用者は駐車したいエリアの駐車場の込み具合がわかり、駐車しやすい駐車所を選んで駐車することが可能になり、駐車場の経営者も、駐車場の稼働率の向上を期待できるといった効果を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】は、本発明の残車室がある場合に、空と残車室の台数を表示できる駐車場看板を示す図である。
【
図2】は、本発明の駐車場看板において、満車と残車室数が9以下の場合、および残車室数が10以上の場合に、どのように表示するかを説明した図である。
【
図3】は、本発明の駐車場看板において、精算機から看板の表示コントローラーへ、駐車状況に応じて送る信号(データ)と、該信号に応じて駐車場看板に表示する内容を表す図である。
【
図4】は、本発明の駐車場看板で、残車室数が10以上の場合の前記信号とそれに対応する状態表示内容を示す図である。
【
図5】は、本発明の駐車場看板で、満車の場合の前記信号と満の文字を示すものである。
【
図6】は、本発明の駐車場看板へ、精算機から駐車状況に応じた信号を送る具体的な信号線と端子盤、および該信号を受ける駐車場看板のLED表示板のコントローラーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の駐車場に空車室がある場合の満空表示LED板の表示例を示すもので、1は残車室数が9台あることを表示したもの、2は空車室があるという従来の表示を示したものである。従来は、残車室数の大小にかかわらず、空のみを表示していたが、本発明では、空の文字と、9台という残車室数を交互に表示するようにした。
【0018】
駐車場の利用者は、混んでいる駐車場か、それとも駐車スペースに余裕がある駐車場なのかを知ることができれば、余裕のある駐車場に駐車するであろうという心理的な効果が期待でき、残車室数がわかる駐車場の稼働率が向上するであろう。
【0019】
しかし、発明者らの視認性の向上を種々検討した結果、空と残車室数を示す数字だけでは、その数字が必ずしも残車室数であるとはわからないことがわかり、
図1からも分かるように、本発明では数字の次に「台」の文字を入れる工夫をした。この満空や台数表示は、LED表示盤を使うことになるが、表示枠の大きさやコストの制限から、10台以上の残車室がある場合に、数字と「台」の文字を書き込むことには無理があることがわかった。
【0020】
そこで、本発明では、
図2に示すように駐車場の駐車状態により、LED表示盤の表示を3つのケースに分けて行うことにした。すなわち、全車室が駐車状態にあるときは、従来通り「満」の文字を赤色などで表示し続けるが、残車室数が9台以下の場合に限って、「空」の文字と、残車室の数をたとえば7台という風にし、両者を視認性の良い表示時間と表示間隔で表示することにした。実験の結果、「空」の表示を1.7秒、台数の表示を0.7秒とするのがベストとわかった。ただし、このような時間間隔などは、本発明では、設定で任意に変えられるようにしたことは勿論である。
【0021】
次に10台以上の残車室がある場合は、「空」の文字と10以上の二桁の数字を表示させると、表示盤の中の文字を小さくしなければならず、視認性が悪くなってしまうので、本発明では、
図2の残車室数が10台以上ある場合のところに書いたように、「空」と交互に表示する台数の表示でなはなく、駐車場内に向かって動く矢印を表示することにした。
【0022】
次に、
図2で示したような駐車状態に応じた満空の表示をどのようにして行うかについて、説明したい。
図3は、精算機から、残数表示が可能な本発明の駐車場看板のLED表示盤の信号受信端末に送信する信号(データ)を示したものである。データは4ビットのデータより構成され、4本の信号線とコモンの電線の間に、5Vの電圧または無電圧を送ることになる。5Vは信号では1、無電圧は0と認識されるので、結局16の異なったデータを送ることができる。なお、以降の説明では印加する電圧は、5Vとしているが、それに限定するものではなく、コントローラーに最適な既定の電圧でよい。
【0023】
図3で分かるように、本発明では4ビットの信号を表示のように割り当てた。すなわち、残車室数が1台のみの場合を、「0000」すなわち、4本の信号線に無電圧を送るようにした。残車室数が2台の場合は、「0001」として、4本目の信号線のみに既定の電圧を印加する。以下、残車室数が9までは、「0010」から、「1000」の信号を送る。そして、LED表示のコントローラーは、これらの信号に対して、あらかじめ用意した表示である、「空」と「7台」といった表示を、決められた表示時間と時間間隔で交互に表示する。
【0024】
そして、残車室数が10を超えたら、その台数如何にかかわらず、「1001」から「1110」までの信号を、順次一定の時間間隔で、LEDの表示盤のコントローラーに送る。
この信号に対するLED表示盤の表示は、
図4に示すようにしてある。すなわち、「1001」の信号に対しては、表示盤の中央に右向きの矢印、次の「1010」の信号に対しては、矢印が少し右へ移動したもの、次の「1011」に対しては、矢印が左端から移動してくるようなもの、「1100」から「1110」に対しては、矢印が右へ進んで、最後に「1001」と同じく、」中央の矢印に戻るようになっている。したがって、これらを一定に時間間隔でサイクリックに表示させるようにして、この看板を見る人には、駐車場内に案内するような動きのある矢印の表示になる。
【0025】
満車の場合は、
図5に示すように「1111」の信号を受けるようにしてあるので、LED表示盤のコントローラーは、用意してある「満」の文字を連続して表示する。
【0026】
図6は、精算機から駐車場看板の満空表示盤のコントローラーに前記信号(データ)を送る回路の配線図を示す。精算機21は当該駐車場の車室に関するデータや、車室ごとの駐車を記録し保管管理するファイル33を持っており、時々刻々変化する駐車場の残車室数を計算でできるようになっている。残車室の数は、4ビットのデータに変換され、精算機の端末34から28から31で表示する4本の信号線に対応するビットのデータが駐車場看板のLED表示盤のコントローラー23に送られる。32で示す信号線はコモンの線で、4本の信号線との間に既定の電圧が駐車状態に応じて印加される。LED表示盤のコントローラーは、前述したように、送られてくる信号に応じて、用意された台数の表示をする。
【0027】
図6で、丸24でくくった信号線25,26は、駐車場看板のLED表示盤に「満」や「空」の文字を表示するのに用いる信号線で、25、26間が、無電圧の時は「空」の表示を、既定の電圧が印加されるときは、「満」が表示される。したがって、本発明では、残車室がある場合は、25,26間を無電圧にする時間を1.7秒にし、次の0.7秒間は、27の丸でくくった4ビットの信号線からのデータに基づき、残車室数をLED表示盤に表示する。ただし、残車室数が10台以上の場合は、
図4で示したように、残車室数の表示にあたる時間帯に、「1001」から「1110」までの信号が順次送られるようにしたので、「空」の表示の後に、駐車場内へ誘導するような動く矢印が表示される。
【0028】
駐車場が満車の場合は、丸24でくくった信号線に既定の電圧が印加され「満」の文字が連続して表示される。
【実施例2】
【0029】
実施例1においては、残車室数が10を超える場合、精算機から「1001」から「1110」までの信号を、満空表示盤ノコントローラーに順次送るようにしたが、精算機からたとえば「1001」の信号を送った時には、満空表示盤のコントローラーが自動的に 「1001」から「1110」までの信号を生成し、それによって満空表示盤に動く矢印を表示するようにしてもよい。
【0030】
満空表示盤の満、空、及び台数と動く矢印の色は、視認性が良いように適宜異なった色や秒数で表示するようにしてもよい。
【0031】
実施例1では、4ビットの信号が1の時に精算機から満空表示盤のコントローラーに5Vの電圧を送り、0の時は無電圧にすると記述したが、精算機側の出力端子板で、信号が1の場合には当該通信線と、コモン線31間の接点をオンとし、0の時はオフとし、LED表示盤のコントローラーの方でLED表示に必要な電圧を加えるようにしてもよい。
【0032】
実施例1では4ビットの信号を精算機から満空表示盤まで通信する手段として、有線の信号線4本を用いたが、同様の通信が確保されるのであれば、信号線の本数は問わないものとし、信号線は有線乃至無線であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、時間貸し駐車場で駐車可能な残車室数の表示を、従来のLED満空表示盤に、「空」の表示と、残車室数を7台という風に「台」の文字付きの表示を、設定した表示時間及び時間間隔で交互に表示するようにしたほか、10台以上の残車室がある場合には、「空」の文字と、駐車場に誘導するような移動する矢印の表示を交互に表示するようにしたので、従来の満空表示だけに比べて、駐車場の混み具合という新たな情報を駐車場の利用客に提供できるようにした。これにより、駐車場経営者にとっては、稼働率の向上、利用者にとっては、焦らず、駐車しやすい駐車場を選べるなどの利便性が高まる効果がある。そのような駐車場は、産業上も大いに活用される。
【符号の説明】
【0034】
1 残車室数を表示した満空表示盤の例
2 残車室数と交互に表示される「空」の表示の例
3 LED表示盤の「空」の文字
4 残車室数が10以上ある場合に、「空」の文字と交互に表示される矢印の表示
5 各矢印に対応した信号線のデータ(4ビット)
10 LED表示盤の「満」の表示の例
11 「満」表示の場合の信号(4ビット)
21 精算機
22 満空表示盤付駐車場看板
23 LED表示盤のコントローラー
24 満空切り替え線(まとめ)
25,26 満空切り替え信号線
27 残車室数信号線(まとめ)
28,29.30.31 残車室数、誘導矢印を表示させるための4ビットの信号線
31 4ビット信号線のコモン線
33 精算機内の車室管理データファイル
34 精算機から駐車場看板へのデータ出力端子板
35 駐車場看板の満空表示部分