IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宮崎食研有限会社の特許一覧 ▶ 株式会社Le Braveの特許一覧

特許7075564家禽肉若しくは畜肉が主原料のノンフライチップス及びその製造方法。
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】家禽肉若しくは畜肉が主原料のノンフライチップス及びその製造方法。
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20220519BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20220519BHJP
   A23L 13/50 20160101ALI20220519BHJP
【FI】
A23L13/00 Z
A23L13/60 Z
A23L13/50
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021026035
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2021151220
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】511012145
【氏名又は名称】宮崎食研有限会社
(73)【特許権者】
【識別番号】321001126
【氏名又は名称】株式会社Le Brave
(72)【発明者】
【氏名】坂元 浩一
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】[新発売]およそ87%がタンパク質!カラダづくり中でも罪悪感なく楽しめるクラフトスナック「チキンチップス コーパブル」を発売。,pp.1-4,retrieved on 2022.03.11, retrieved from the internet,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000070391.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 13/00-13/70
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽肉若しくは畜肉が主原料の1mm以下の厚みで滑らかな表面をしてい
る高たんぱく低脂肪低炭水化物のノンフライチップスの製造方法であって、
家禽肉若しくは畜肉に水を加えペースト加工し、そのペースト品を薄く均一
に広げ、加熱し、一口大にカットする工程を含む事を特徴とするノンフライ
チップスの製造方法。
【請求項2】
調味料、スパイス及び/又はハーブで味付けして製造する事を特徴とする請
求項1の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽肉若しくは畜肉が主原料のノンフライチップス及びその製造方法に関するものである。
【0002】
本発明のチップスは、厚みが1mm以下のノンフライ品で、また、ポテトチップスのようにパリパリサクサクとした軽快な食感と食べ易さが特徴で、従来に無い味と食感を有し、高たんぱく低脂肪低炭水化物で微生物生存が少ないチップスを提供する事を目的とする。
【0003】
また、開発目標を解決すべく鋭意研究の結果、家禽肉若しくは畜肉を主原料とするノンフライチップス及びその製造方法を発明するに至った。
【背景技術】
【0004】
ポテトチップスに代表される従来のチップス類は、油脂でフライしてあり、この為製品中に35%程度の油脂分を含む。
【0005】
また、従来のチップス類は、原料由来のでんぷん若しくは小麦粉、でんぷん等を添加する為、製品中に多くの炭水化物を含む。
【0006】
しかし、昨今の健康志向、体重増加抑制等の高たんぱく低脂肪低炭水化物志向、さらに食品添加物等の無添加志向の高まりで油脂類や炭水化物及び食品添加物が敬遠される傾向がある。
【0007】
これらのチップス以外にも鶏ささみを原料にした「ささみチップス」があるが、既存の「ささみチップス」は、1mm以上の厚みでごつごつとした粗い表面をしており、食感が硬く、また、口の中に残り易く飲み込み難い、チップスとは名ばかりでパリパリサクサクとした軽快な食べ応えは得られない。
【0008】
これら従来品の課題を解決すべく鋭意研究の結果、従来には無い、家禽肉若しくは畜肉を主原料とする、1mm以下の厚みで滑らかな表面のノンフライ品で、パリパリサクサクとした軽快な食感の高たんぱく低脂肪低炭水化物で微生物生存が少ないチップスとその製造方法を発明するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
見当たらず。
【非特許文献】
【0010】
クックパッド「綺麗になれちゃう『ささみチップス』」https://cookpad.com/recipe/6412961
ヘルシーおやつ♪ささみチップス-macaroni
https://macaro-ni.jp/89180
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
まず、ノンフライ加工で、原料が脂肪や炭水化物を含まない、若しくは脂肪、炭水化物や食品添加物を添加しない事を前提に検討した結果、肉類を主原料に選択した。
【0012】
既存の「ささみチップス」と同様の方法でささみを加工したところ、ささみを叩いて薄く延ばし電子レンジ等で加熱する加工方法の為、薄く延ばしたささみが加熱時に収縮しチップスの厚みが1mm以上に厚くなり、しかも水分が蒸発するため組織が非常に硬くなり、食べた時に口の中に残り易く飲み込み難く、また、ごつごつとした表面で見た目が悪く、目標とする品質には程遠い物が出来た。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ポテトチップスのように手軽で美味しい、高たんぱく低脂肪低炭水化物のチップスを検討した結果、脂肪分をほぼ含まないような肉類を主原料にし、ノンフライ加工する方向性が出来た。
【0014】
さらに、既存の「ささみチップス」の欠点である、硬く食べ難い食感とごつごつとした見た目を改善し、パリパリサクサクとした軽快な食感と食べ易さを得るべく厚みが1mm以下の製品の開発を目指した。
【発明の効果】
【0015】
課題を解決すべく鋭意研究の結果、従来には無い、家禽肉若しくは畜肉を主原料とし、厚みが1mm以下の滑らかな表面をしたノンフライ品で、パリパリサクサクとした軽快な食感と食べ易いチップスとその製造方法を発明するに至った。
【0016】
以下、実施例でその詳細を説明する。
【実施例1】
【0017】
鶏ささみ100gを細切れにする。
【0018】
原料鶏肉は、ささみの様に脂肪が少ない部位、若しくは脂肪を除去した鶏肉が好ましい。また、ささみに限らず他の家禽肉でも構わない。
【0019】
細切れにした鶏ささみ、鶏ささみと同量の水及び食塩0.6gをフードプロセッサーに入れ、ペーストにする。
【0020】
上記0019の水の量は任意に変更できるが、鶏ささみと同量程度の水が好ましく、水の量が少な過ぎると後工程で薄く均一に広げるのが困難になり、また、逆に水の量が多過ぎると後工程での加熱時間が長時間必要になる。
【0021】
上記0019の味付けの食塩の添加量は任意に変更できるが、完成重量の2%程度になるよう添加するのが好ましく、添加量が少な過ぎると味が弱くなり、また、逆に添加量が多過ぎると塩辛くなる。
【0022】
上記0019のペースト化に使用する機器は、ペースト化が可能な機器類であればフードプロセッサーに限らない。
【0023】
上記0019のペースト約130gを50cm×29cmのテフロン(登録商標)パンに薄く均一に広げる。またはペースト10g程度をテフロンパンの数か所に落とし薄く均一に広げても良い。
【0024】
上記0023で広げるペーストの量は任意に変更できるが、0.09g/平方cmの条件で薄く均一に広げるのが製品品質上及び後工程の加熱効率上適している。
【0025】
上記0023のペーストを薄く均一に広げる物は、加熱後のペーストがこびりつかない素材の物であればテフロンパンに限らずクッキングシート等でも構わない。
【0026】
ペーストを広げたテフロンパンをスチームオーブンに入れ、約125℃×20分間程度加熱する。
【0027】
上記0026の加熱条件は任意に変更できるが、加熱条件が弱過ぎると加熱品の乾燥が不十分になり、更に微生物が生存する可能性が高まり、逆に加熱条件が強過ぎると加熱品が焦げてしまう。
【0028】
上記0026の加熱する器具類は、約125℃×20分間程度の加熱と同等の加熱が出来る物であれば、フライパン、オーブン、電子レンジ及び連続式加熱装置等でも構わない。
【0029】
加熱終了後テフロンパンから加熱品を取り出す。
【0030】
上記加熱品が冷めてから一口大にカットする。
【0031】
上記0030のカット品に柔らかい部分がある時には、その部分をパリパリになるまで乾燥機で乾燥させる。
【0032】
上記0023から0031の作業を繰り返し行い、鶏ささみ100gから、厚みが1mm以下の表面が滑らかなパリパリサクサクとした食感で、たんぱく質90%、脂質3%、炭水化物0%、塩分2.5%で、一般生菌数300個未満/g、大腸菌群陰性の食べ易いノンフライチップス26gが得られる。
【0033】
上記0019のペースト加工時に1.3gの乾燥ローズマリー破砕品を添加し、チップスにローズマリーの味を付けた。
【0034】
上記0033の乾燥ローズマリー破砕品の添加量は任意に変更できる。
【0035】
上記0032で得られたチップス26gにガーリックパウダー1.3gを混ぜ合わせ、チップスにガーリックの味を付けた。
【0036】
上記0035のガーリックパウダーの添加量は任意に変更できる。
【0037】
上記0033や0035以外にも、0019のペースト加工時に調味料、スパイスやハーブを添加したり、0032で得られた物に調味料、スパイスやハーブをまぶしたりして、チップスに味付けすることが可能である。
【実施例2】
【0038】
豚ヒレ肉100gを細切れにする。
【0039】
原料豚肉は、ヒレ肉の様に脂肪が少ない部位、若しくは脂肪を除去した豚肉が好ましい。また、豚ヒレ肉に限らず他の家畜肉でも構わない。
【0040】
上記0019から0031と同様の手順で加工する。
【0041】
上記0040を実施し、豚ヒレ肉100gから、厚みが1mm以下の表面が滑らかなパリパリサクサクとした食感で、たんぱく質90%、脂質3%、炭水化物0%、塩分2.5%で、一般生菌数300個未満/g、大腸菌群陰性の食べ易いノンフライチップス26gが得られる。
【0042】
ペースト加工時に1.3gの乾燥ローズマリー破砕品を添加しチップスにローズマリーの味を付け、また、0041で得られたチップス26gにガーリックパウダー1.3gを混ぜ合わせ、チップスにガーリックの味を付けた。
【0043】
上記0042の乾燥ローズマリー破砕品の添加量やガーリックパウダーの添加量は任意に変えられる。
【0044】
なお、0037と同様、ペースト加工時に調味料、スパイスやハーブを添加したり、加熱・カット後得られた物に調味料、スパイスやハーブをまぶしたりして、チップスに味付けすることが可能である。
【実施例3】
【0045】
0032で得られたチップス及び0041で得られたチップスと既存の「ささみチップス」を三名のモニターで官能比較した。
【0046】
その結果、0032で得られたチップス及び0041で得られたチップスは、厚みが1mm以下の表面が滑らかなパリパリサクサクとした食感で食べ易く、既存の「ささみチップス」は、厚みが1mm以上でごつごつした粗い表面の硬く食べ難い食感で、本発明のチップスと既存の「ささみチップス」とは全く異なる物である事が確認できた。