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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47B 97/00 20060101AFI20220519BHJP
   A47B 88/00 20170101ALI20220519BHJP
   A47B 88/453 20170101ALI20220519BHJP
【FI】
A47B97/00 M
A47B88/00
A47B88/453
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018162851
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032041
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】大野 正博
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一朗
(72)【発明者】
【氏名】一二三 潤
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-50326(JP,A)
【文献】特表2011-505184(JP,A)
【文献】国際公開第2008/041544(WO,A1)
【文献】実開平1-167590(JP,U)
【文献】特開2006-9366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 97/00
A47B 88/453
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定枠体と、
前記固定枠体に可動可能に設けられた引出しと、
前記固定枠体に設けられ、前記引出しの開放を補助する開放補助手段であって、前記引出しを前記固定枠体から押し出す押出し部を有する開放補助手段と、
キャビネット外部に露出した検知部を有する始動スイッチと、
前記開放補助手段に電力を供給する電源ユニットと、
前記引出しの閉止時のみ、前記検知部と前記開放補助手段とを電気的に接続する電気接続手段と、
を備え、
前記電気接続手段を通じて前記検知部と電気的に接続された状態の前記開放補助手段は、前記検知部の操作により起動するキャビネット。
【請求項2】
前記検知部は前記引出しの扉に設けられ、
前記電気接続手段は、前記引出しの背面部に設けられた第1の電気接点と、前記第1の電気接点に対向する前記固定枠体の前面部に設けられた第2の電気接点とを有し、
前記引出しの開閉に連動して、前記第1の電気接点と前記第2の電気接点とは互いに接続または離間する請求項1記載のキャビネット。
【請求項3】
前記第1の電気接点が設けられた前記引出しの前記背面部は、前記引出しの前記扉の背面である請求項2記載のキャビネット。
【請求項4】
前記電気接続手段は、前記第1の電気接点と前記第2の電気接点とが互いに接近する方向に力が働くように補助する手段を有する請求項2または3に記載のキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザのスイッチ操作に応じて引出しの開放を補助する開放補助手段を備えたキャビネットが知られている。例えば、特許文献1のような、引出しの扉に引出しの開放を補助する開放補助手段を起動するスイッチを設けた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5202322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような構成では、開放補助手段を起動するための始動スイッチは常に作動可能な状態にあるため、開放補助手段を利用する意図のない引出し開放時にも開放補助手段が作動するおそれがあり、開放補助手段に対し負荷がかかる。また、例えば、利用者が引出しを閉める際に始動スイッチを誤って操作してしまうことにより、開放補助手段の押出し部が破損するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、外部へ露出した始動スイッチであっても、引出し開放時における開放補助手段の意図しない起動を抑制した、使い勝手の良い開放補助手段付きキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のキャビネットは、固定枠体と、前記固定枠体に可動可能に設けられた引出しと、前記固定枠体に設けられ、前記引出しの開放を補助する開放補助手段であって、前記引出しを前記固定枠体から押し出す押出し部を有する開放補助手段と、キャビネット外部に露出した検知部を有する始動スイッチと、前記開放補助手段に電力を供給する電源ユニットと、前記引出しの閉止時のみ、前記検知部と前記開放補助手段とを電気的に接続する電気接続手段と、を備えている。前記電気接続手段を通じて前記検知部と電気的に接続された状態の前記開放補助手段は、前記検知部の操作により起動する。
第1の発明によれば、開放補助手段を起動させる必要がない引出し開放時に、利用者が検知部を意図せず操作してしまっても、開放補助手段が起動することを防止できる。このような開放補助手段の無駄な動作の抑制は、開放補助手段にかかる負荷を低減させ、耐久性を向上させる。また、無駄な電力消費も抑制できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記検知部は前記引出しの扉に設けられ、前記電気接続手段は、前記引出しの背面部に設けられた第1の電気接点と、前記第1の電気接点に対向する前記固定枠体の前面部に設けられた第2の電気接点とを有し、前記引出しの開閉に連動して、前記第1の電気接点と前記第2の電気接点とは互いに接続または離間する。ここで、引出しの背面部は、引出しの構成要素の背面を表し、例えば、扉の背面、または背板の背面である。また、固定枠体の前面部は、固定枠体の構成要素の前面を表し、例えば、側板の前面、または裏板の前面である。
第2の発明によれば、引出しの開閉に連動して、検知部と開放補助手段との間の信号伝達のON/OFFを行う構成であるため、引出しの開閉状態を検知する開閉状態検知センサなどを別途設けることが不要となり、簡易な構成で引出し開放時における開放補助手段の意図しない起動を抑制でき、使い勝手を良くできる。
第3の発明は、第2の発明において、前記第1の電気接点が設けられた前記引出しの前記背面部は、前記引出しの前記扉の背面である。
第3の発明によれば、引出しの扉に設けた検知部から引出し奥側まで直接配線する必要がない。
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記電気接続手段は、前記第1の電気接点と前記第2の電気接点とが互いに接近する方向に力が働くように補助する手段を有する。
第4の発明によれば、閉止状態における固定枠体と引出しとの間の隙間の大きさにばらつきが生じても、第1の電気接点と第2の電気接点とを確実に接触させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のキャビネットによれば、外部へ露出した始動スイッチであっても、引出し開放時における開放補助手段の意図しない起動を抑制でき、使い勝手を良くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るキャビネットの斜視図である。
図2】実施形態に係る固定枠体の斜視図である。
図3】実施形態に係るキャビネットにおける引出し閉止状態の模式断面図である。
図4】実施形態に係るキャビネットにおける引出し開放状態の模式断面図である。
図5】実施形態に係るキャビネットにおける電気接続手段の模式断面図である。
図6】実施形態に係るキャビネットにおける引出し閉止状態の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係るキャビネット1の斜視図である。
【0011】
キャビネット1は、固定枠体10と、固定枠体10に可動可能に設けられた引出し40、50とを有する。図1に示す例では、第1の引出し40と、第1の引出し40の下方に位置する第2の引出し50の2つの引出しを示すが、引出しの数は、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0012】
図2は、図1に示す天板11を取り外した状態の固定枠体10の斜視図である。
【0013】
固定枠体10は、天板11(図1に示す)と、底板12と、裏板13と、2つの側板14とを有する。固定枠体10は、それら天板11、底板12、裏板13、および2つの側板14で囲まれた空間を有し、引出し40、50はその空間内に収納可能となっている。
【0014】
固定枠体10の前面は開放され開口16が形成されている。その開口16を通じて、引出し40、50がスライド自在に固定枠体10に取り付けられる。引出し40、50のスライドは、側板14の内面に設けられたスライドレール17によってガイドされる。
なお、本願明細書において、「前方」とは、引出し40、50が固定枠体10から引き出される方向を指しており、「後方」とは、引出し40、50が固定枠体10へ収納される方向を指している。
【0015】
裏板13の前面には、開放補助手段30が設けられている。引出し40、50の数に対応して、2つの開放補助手段30が設けられている。開放補助手段30は、引出し40、50を固定枠体10から押し出す押出し部31を有し、引出し40、50の開放を補助する。
開放補助手段30は、引出し40、50の閉止位置近傍において、引出し40、50を後方へ引き込もうとする閉止アシスト手段に対し、閉止アシスト手段の付勢力に対して、引出し40、50を前方へ押し出す手段のことを指す。
【0016】
開口16の上端部には、間口方向(一対の側板14の間を結ぶ方向)に渡って間口補強部材15が設けられている。間口補強部材15は、開口16の幅と同一幅で一対の側板14の間を延在し、間口補強部材15の両端部は側板14に固定されている。
【0017】
図3は、キャビネット1の模式断面図である。図3は、固定枠体10の内部に引出し40、50が収納された引出し閉止状態を表す。
図4は、固定枠体10から引出し40、50が引き出された引出し開放状態の模式断面図である。
【0018】
それぞれの引出し40、50は、扉21と、背板22と、底板23と、2つの側板24とを有し、上面は開放されている。
【0019】
引出し40、50の閉止状態において、開放補助手段30は、固定枠体10の裏板13と引出し40、50の背板22との間に位置する。
【0020】
固定枠体10の裏板13の前面に電源ユニット80が設けられている。電源ユニット80は、商用電源と接続可能であり、商用電源の交流電力を直流電力に変換する。
【0021】
開放補助手段30は、電源ユニット80と電源線81で接続され、その電源線81を通じて電源ユニット80から電力供給を受ける。
【0022】
第1の引出し40の開放を補助する開放補助手段30は、第1の引出し40に設けられた始動スイッチ60の操作によって起動し、第2の引出し50の開放を補助する開放補助手段30は、第2の引出し50に設けられた始動スイッチ60の操作によって起動する。それぞれの始動スイッチ60は、利用者の操作を検知する検知部61を有する。また、始動スイッチ60は、検知部61の操作信号の入力を受け、開放補助手段30に制御信号を出力する制御部74を有する。
【0023】
検知部61は、利用者が操作しやすいように、キャビネット1の外部に露出して設けられている。例えば、検知部61は、引出し40、50の扉21の上端部に設けられ、扉21の幅方向(間口方向)に延在している。また、検知部61は、引出し40、50の扉21の背面に露出する部分も有する。このように、第1の引出し40の開放を補助するための検知部61は、逆L字形状であり、天板11の下面と接する面と、信号線73(詳細は後述)と接する面と、を有している。
そのため、天板11の下面と引出し40との間に位置する検知部61を、デザイン性を考慮し薄く設けたとしても、信号線73との接続が容易となる。
【0024】
検知部61は、例えば、利用者が触れることで電気信号が発生するタッチセンサを有する。このタッチセンサは、例えば、指先を検知部61に近づける、または触れると、指先を通じて静電容量が変化する静電式センサである。扉21が金属製の場合、扉21がタッチセンサ式の検知部を兼ねることが可能である。または、タッチセンサは、加えられた力を電圧に変換する圧電素子を有する圧電式センサであってもよい。
【0025】
始動スイッチ60の検知部61は、電気接続手段70を通じて、開放補助手段30と電気的に接続可能となっている。
【0026】
電気接続手段70は、第1の電気接点71と、第2の電気接点72と、信号線73と、電気配線75とを含む。制御部74、信号線73、および電気配線75は、例えば固定枠体10の側板14に設けられている。
【0027】
第1の電気接点71は、図4に示すように、引出し40、50の扉21の背面に露出する検知部61の背面に設けられている。第2の電気接点72は、第1の電気接点71に対向するように、固定枠体10の側板14の前面に設けられている。
【0028】
第2の電気接点72は、信号線73によって、制御部74と電気的に接続されている。制御部74は、電気配線75によって、開放補助手段30と電気的に接続されている。電気配線75は、電源線と信号線を兼ねる。制御部74は、電源線81および電気配線75を通じて、電源ユニット80から電力の供給を受ける。
【0029】
検知部61の操作信号は、第1の電気接点71、第2の電気接点72、信号線73、制御部74、および電気配線75を通じて、開放補助手段30に伝達する。制御部74は、検知部61の操作信号を受けて、開放補助手段30を起動させる制御信号を開放補助手段30に送る。
【0030】
第2の電気接点72は固定側の要素である固定枠体10に設けられているのに対し、第1の電気接点71は可動側の要素である引出し40、50の扉21に設けられている。したがって、引出し40、50の開閉に連動して、第1の電気接点71と第2の電気接点72とは互いに接続または離間する。
【0031】
すなわち、図3に示す引出し40、50の閉止時のみ、第1の電気接点71と第2の電気接点72とが互いに接続し、それらを含む前述した電気接続手段70によって、始動スイッチ60の検知部61と開放保持手段30とが電気的に接続される。
【0032】
このようにして検知部61と開放補助手段30とが電気的に接続された状態で、利用者が検知部61を操作すると(例えばタッチセンサである検知部61に触れると)、操作信号が電気接続手段70を通じて開放補助手段30に伝達する。この操作信号を受けて、開放補助手段30は起動する。すなわち、押出し部31が作動して、引出し40、50を固定枠体10から引き出す方向に背板22を押す。
【0033】
開放補助手段30が起動した後、例えば所定時間が経過すると自動的に押出し部31は元の位置に戻り、開放補助手段30は作動待機状態になる。
【0034】
図4に示すように、引出し40、50が固定枠体10から引き出された開放状態では、引出し40、50に設けられた第1の電気接点71が、固定枠体10に設けられた第2の電気接点72から離間し、検知部61と開放補助手段30との電気的接続が遮断される。この状態では、利用者が検知部61を操作しても(触れても)、開放補助手段30は起動しない。
【0035】
したがって、開放補助手段30を起動させる必要がない引出し開放時に、利用者が検知部61を意図せず操作してしまっても(触れてしまっても)、開放補助手段30が起動することを防止できる。このような開放補助手段30の無駄な動作の抑制は、開放補助手段30にかかる負荷を低減させ、耐久性を向上させる。また、無駄な電力消費も抑制できる。
【0036】
また、開放状態から利用者が引出し40、50を閉める際に、作動した開放補助手段30の押出し部31と、引出し40、50の背板22とが干渉し、開放補助手段30や引出し40、50が破損することを抑制できる。このことも、開放補助手段30の耐久性を向上させる。このように、実施形態によれば、始動スイッチ60の検知部61を外部に露出した構成にしつつも、引出し開放時における開放補助手段30の意図しない起動を抑制でき、使い勝手を良くできる。
【0037】
また、実施形態によれば、引出し40、50の開閉に連動して、検知部61と開放補助手段30との間の信号伝達のON/OFFを行う構成であるため、引出し40、50の開閉状態を検知する開閉状態検知センサなどを別途設けることが不要となり、簡易な構成で引出し開放時における開放補助手段30の意図しない起動を抑制でき、使い勝手を良くできる。
【0038】
電源ユニット80は、キャビネットにおいて一般的にデッドスペースとなっている引出し40、50の後方空間に設けている。その電源ユニット80から、キャビネット1の前面側に設けられた第2の電気接点72まで配線接続されている。引出し40、50の扉21に設けた検知部61から引出し奥側まで直接配線する必要がない。配線が固定側にあり、引出し40、50を開けても目立たないので、美観を損ねない。配線を見えないように、また、他の部位に接触しないように埋め込む等の細工が不要となる。扉21の一部を検知部61として使うことができ、または扉21自体を検知部として利用でき、デザイン上の自由度が高く、意匠性に優れる。
【0039】
図5(a)および(b)は、第1の電気接点71と第2の電気接点72との接続構造の例を示す模式断面図である。
【0040】
電気接続手段70は、第1の電気接点71と第2の電気接点72とが互いに接近する方向に力が働くように補助する手段90を有する。この手段90は、ケース91と、ケース91内に収容された導電性のばね92とを有する。
【0041】
ケース91は、例えば固定枠体10の側板14に固定されている。ばね92は、ケース91内で伸縮自在に設けられている。ばね92の一端は前述した信号線73を通じて制御部74に接続され、ばね92の他端は第2の電気接点72に接続されている。導電性のばね92を通じて、第2の電気接点72と信号線73は電気的に接続されている。
【0042】
図5(a)および図5(b)は、ともに引出し40、50が閉止した状態を表す。その閉止状態において、図5(a)は、図5(b)よりも、固定枠体10と、引出し40、50の扉21との間の隙間(遊び)が大きい場合を表す。
【0043】
ばね92が伸縮することで、ばね92に固定された第2の電気接点72は、引出し40、50のスライド方向に可動する。閉止状態において第2の電気接点72に第1の電気接点71が接触すると、第2の電気接点72はばね92の復元力により第1の電気接点71に押し当たる。第2の電気接点72が可動することで、閉止状態における固定枠体10と扉21との間の隙間の大きさにばらつきが生じても、第2の電気接点72と第1の電気接点71とを確実に接触させることができる。
【0044】
または、第1の電気接点71と第2の電気接点72に磁性体を利用し、第1の電気接点71と第2の電気接点72とが互いに接近する方向に磁気吸引力が働くようにすることで、第1の電気接点71と第2の電気接点72とを確実に接触させることができる。
【0045】
図6は、他の実施形態に係るキャビネット2の模式断面図である。図6は、固定枠体10の内部に引出し40、50が収納された引出し閉止状態を表す。
【0046】
図6に示す例では、引出し40、50の背板22の背面に第1の電気接点71が設けられている。閉止状態における引出し40、50の背板22の後方に制御部74が設けられ、その制御部74の近傍に、または制御部74に一体に第2の電気接点72が第1の電気接点71に対向するように設けられている。始動スイッチ60の検知部61は、引出し40、50に設けられた信号線76を通じて、第1の電気接点71と電気的に接続されている。第2の電気接点72は、信号線を通じて制御部74と電気的に接続されている。または、第2の電気接点72は、制御部74の基板に設けられている。その他の構成は、前述した実施形態と同じである。
【0047】
図6に示す例においても、第2の電気接点72は固定側の要素である固定枠体10に設けられているのに対し、第1の電気接点71は可動側の要素である引出し40、50の扉21に設けられている。したがって、引出し40、50の開閉に連動して、第1の電気接点71と第2の電気接点72とは互いに接続または離間する。
【0048】
すなわち、引出し40、50の閉止時のみ、第1の電気接点71と第2の電気接点72とが互いに接続し、それらを含む電気接続手段70によって、始動スイッチ60の検知部61と開放保持手段30とが電気的に接続される。
【0049】
また、第1の電気接点71、第2の電気接点72、および制御部74が、引出し40、50の背板22よりも後方の位置(引出し40、50を開けても見えない位置)に設けられているため、美観を損ねない。
【0050】
引出し40、50の扉21に取っ手が設けられた構成において、その取っ手に始動スイッチ60の検知部61を設けてもよい。始動スイッチ60を取っ手としてデザインできるので、意匠性に優れる。また、引出し40、50を開けるときに、取っ手に手をかけた瞬間から引出し40、50の開放補助が作動するので、自然な動作で引出し開放のアシスト力が得られる。
【0051】
また、始動スイッチ60は、押しボタン式の検知部61の裏側に制御部74を一体に設けた構成であってもよい。
【0052】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,2…キャビネット、10…固定枠体、21…扉、30…開放補助手段、31…押出し部、40,50…引出し、60…始動スイッチ、61…検知部、70…電気接続手段、71…第1の電気接点、72…第2の電気接点、74…制御部、80…電源ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6