(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】脱穀装置
(51)【国際特許分類】
A01F 12/32 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
A01F12/32 A
(21)【出願番号】P 2021053005
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上加 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮
(72)【発明者】
【氏名】黒木 慎
(72)【発明者】
【氏名】玉田 晋太郎
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-095073(JP,A)
【文献】実開昭57-084841(JP,U)
【文献】実開昭61-056844(JP,U)
【文献】実公平04-048760(JP,Y2)
【文献】特開平06-113663(JP,A)
【文献】特開2013-183655(JP,A)
【文献】特開2013-179852(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103313593(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/30 - 12/395
A01F 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を脱穀処理する扱室(10)の下側に、該扱室(10)から漏下してくる処理物を選別処理する選別室(20)を備えた脱穀装置において、
前記選別室(20)の上部に、揺動選別装置(21)を設け、
該揺動選別装置(21)の上部を板状体からなる移送棚(22)と複数のシーブからなるグレンシーブ(24)で形成し
、
左側面視において、前記移送棚(22)を前後方向に延在する平面部(40)と、該平面部(40)の後端部から後方上側に向かって延在する斜面部(41)と、該斜面部(41)の後端部から下側に向かって延在する垂直面部(42)から形成し、
前記平面部(40)に複数の第1開口部(50)を設け、前記斜面部(41)に複数の第2開口部(51)を設け、
前記移送棚(22)の下面に板状体からなる排出ガイド(27)の後部を固定し、該排出ガイド(27)を前方下側に向かって延在させ
、
前記移送棚(22)の上面の左部に後方右側に向かって延在する板状体からなる左寄せ板(26A)を設け、
前記移送棚(22)の上面の右部に後方左側に向かって延在する板状体からなる右寄せ板(26B)を設け、
平面視において、前記移送棚(22)の上面における排出ガイド(27)の後部よりも前側左部に設けられた第1開口部(50A)又は第2開口部(51A)の長軸を左寄せ板(26A)と平行に設け、前側右部に設けられた第1開口部(50B)又は第2開口部(51B)の長軸を右寄せ板(26B)と平行に設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
平面視において、前記移送棚(22)の上面における排出ガイド(27)の後部よりも後側左部に設けられた第1開口部(50C)又は第2開口部(51C)の長軸を左寄せ板(26A)と直交して設け、後側右部に設けられた第1開口部(50D)又は第2開口部(51D)の長軸を右寄せ板(26B)と直交して設けた請求項
1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記垂直面部(42)に第3開口部(52)を設けた請求項
1又は2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記移送棚(22)の下面の後部に排出ガイド(27)の後部を固定した請求項1~
3のいずれか1項に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動選別装置を備えた脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀・選別処理された穀粒の品質を高めるために、揺動選別装置の上部と揺動選別装置のグレンパンに、左右方向に所定の間隔を隔てて板状の複数のシーブを設ける技術が提案されている。(特許文献1)
【0003】
揺動選別装置に漏下されてきた穀粒に混在する藁屑等の夾雑物の漏下を抑制するために、揺動選別装置の上部に格子状に編まれた選別網を設け、揺動選別装置のグレンパンに左右方向に所定の間隔を隔てて板状の複数のシーブを設ける技術が提案されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006―81524号公報
【文献】特開2018―85958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2の技術では、扱室から揺動選別装置の移送棚に漏下してくる穀粒と砂やほこり等の夾雑物が接触して穀粒の表皮に傷がつき、穀粒の商品価値が低下する恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、扱室から揺動選別装置の移送棚に漏下してくる砂やほこり等の夾雑物を外部に排出して、穀粒と夾雑物の接触頻度を低減して穀粒の表皮に傷がつくのを抑制することができる脱穀装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、穀稈を脱穀処理する扱室(10)の下側に、該扱室(10)から漏下してくる処理物を選別処理する選別室(20)を備えた脱穀装置において、
前記選別室(20)の上部に、揺動選別装置(21)を設け、
該揺動選別装置(21)の上部を板状体からなる移送棚(22)と複数のシーブからなるグレンシーブ(24)で形成し、左側面視において、前記移送棚(22)を前後方向に延在する平面部(40)と、該平面部(40)の後端部から後方上側に向かって延在する斜面部(41)と、該斜面部(41)の後端部から下側に向かって延在する垂直面部(42)から形成し、前記平面部(40)に複数の第1開口部(50)を設け、前記斜面部(41)に複数の第2開口部(51)を設け、前記移送棚(22)の下面に板状体からなる排出ガイド(27)の後部を固定し、該排出ガイド(27)を前方下側に向かって延在させ、前記移送棚(22)の上面の左部に後方右側に向かって延在する板状体からなる左寄せ板(26A)を設け、前記移送棚(22)の上面の右部に後方左側に向かって延在する板状体からなる右寄せ板(26B)を設け、平面視において、前記移送棚(22)の上面における排出ガイド(27)の後部よりも前側左部に設けられた第1開口部(50A)又は第2開口部(51A)の長軸を左寄せ板(26A)と平行に設け、前側右部に設けられた第1開口部(50B)又は第2開口部(51B)の長軸を右寄せ板(26B)と平行に設けたことを特徴とする脱穀装置である。
【0008】
【0009】
請求項2に係る発明は、平面視において、前記移送棚(22)の上面における排出ガイド(27)の後部よりも後側左部に設けられた第1開口部(50C)又は第2開口部(51C)の長軸を左寄せ板(26A)と直交して設け、後側右部に設けられた第1開口部(50D)又は第2開口部(51D)の長軸を右寄せ板(26B)と直交して設けた請求項1記載の脱穀装置である。
【0010】
【0011】
【0012】
請求項3に係る発明は、前記垂直面部(42)に第3開口部(52)を設けた請求項1又は2記載の脱穀装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記移送棚(22)の下面の後部に排出ガイド(27)の後部を固定した請求項1~3のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、揺動選別装置(21)の上部を板状体からなる移送棚(22)と複数のシーブからなるグレンシーブ(24)で形成し、左側面視において、移送棚(22)を前後方向に延在する平面部(40)と、平面部(40)の後端部から後方上側に向かって延在する斜面部(41)と、斜面部(41)の後端部から下側に向かって延在する垂直面部(42)から形成し、平面部(40)に複数の第1開口部(50)を設け、斜面部(41)に複数の第2開口部(51)を設け、移送棚(22)の下面に板状体からなる排出ガイド(27)の後部を固定し、排出ガイド(27)を前方下側に向かって延在させ、移送棚(22)の上面の左部に後方右側に向かって延在する板状体からなる左寄せ板(26A)を設け、移送棚(22)の上面の右部に後方左側に向かって延在する板状体からなる右寄せ板(26B)を設け、平面視において、移送棚(22)の上面における排出ガイド(27)の後部よりも前側左部に設けられた第1開口部(50A)又は第2開口部(51A)の長軸を左寄せ板(26A)と平行に設け、前側右部に設けられた第1開口部(50B)又は第2開口部(51B)の長軸を右寄せ板(26B)と平行に設けたので、移送棚(22)に漏下してきた砂やほこり等の夾雑物を選別室(20)の外部に排出して、穀粒と夾雑物の接触頻度を低減して穀粒の表皮に傷がつくのを抑制することができる。
【0015】
左寄せ板(26A)と右寄せ板(26B)に沿って移送されてくる夾雑物を選別室(20)の外部に効率良く排出することができる。また、移送棚(22)に漏下してきた夾雑物を選別室(20)の外部に効率良く排出することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、平面視において、移送棚(22)の上面における排出ガイド(27)の後部よりも後側左部に設けられた第1開口部(50C)又は第2開口部(51C)の長軸を左寄せ板(26A)と直交して設け、後側右部に設けられた第1開口部(50D)又は第2開口部(51D)の長軸を右寄せ板(26B)と直交して設けたので、これにより、左寄せ板(26A)と右寄せ板(26B)に沿って移送されてくる穀粒を有する穀稈が第1開口部(50C)等から漏下するのを抑制してグレンシーブ(24)に効率良く移送することができる。
【0017】
【0018】
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明による効果に加えて、垂直面部(42)に第3開口部(52)を設けたので、移送棚(22)に漏下してきた夾雑物を選別室(20)の外部により効率良く排出することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1~3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、移送棚(22)の下面の後部に排出ガイド(27)の後部を固定したので、移送棚(22)に漏下してきた夾雑物を選別室(20)の外部にさらに効率良く排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】第1実施形態の脱穀装置の前後方向の縦断面図である。
【
図6】(a)は移送棚の平面部のスリットの平面図であり、(b)は移送棚の左側面図である。
【
図7】移送棚の平面部の他のスリットの平面図である。
【
図8】移送棚の平面部のさらに他のスリットの平面図である。
【
図9】(a)は移送棚の斜面部のスリットの平面図であり、(b)は移送棚の左側面図である。
【
図10】移送棚の斜面部の他のスリットの平面図である。
【
図11】移送棚の斜面部のさらに他のスリットの平面図である。
【
図12】(a)は移送棚の垂直面部のスリットの平面図であり、(b)は垂直面部のスリットの背面図であり、(c)は移送棚の左側面図である。
【
図13】(a)は移送棚の垂直面部の他のスリットの平面図であり、(b)は垂直面部の他のスリットの背面図である。
【
図14】(a)は移送棚の垂直面部のさらに他のスリットの平面図であり、(b)は垂直面部のさらに他のスリットの背面図である。
【
図15】第2実施形態の脱穀装置の前後方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1~3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0023】
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
【0024】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0025】
<第1実施形態の脱穀装置>
図4に示すように、第1実施形態の脱穀装置4は、穀稈を脱穀する扱室10と、脱穀された穀粒を選別する選別室20から形成されている。
【0026】
扱室10の前壁と後壁には、フィーダハウス3Dから搬送されてくる穀稈を脱穀する扱胴11が架設され、扱胴11の下側には、扱胴11の外周下部に沿って半円弧形状に形成された受網12が設けられている。また、扱胴11の上部は、開閉可能な扱胴カバー(図示省略)で覆われており、扱胴カバーの内周部には、穀稈を扱室10の後部に案内する送塵板が設けられている。
【0027】
選別室20の上部には、扱室10から漏下してくる穀粒を選別処理する揺動選別装置21が設けられている。
【0028】
図5に示すように、揺動選別装置21の上部には、前側から順に板状体から形成された移送棚22と、左右方向に所定の間隔を隔てて並設され前後方向に延在する丸鋼から形成された篩体23と、前後方向に所定の間隔を隔てて並設された上下方向に傾斜し左右方向に延在する複数のシーブから形成されたグレンシーブ24と、左右方向に所定の間隔を隔てて並設された前後方向に延在する複数のシーブから形成されたストローシーブ25が設けられている。また、グレンシーブ24のシーブの傾斜角度(開度)は、収穫される穀稈の種類によって操縦部5に設けられたレバーを操作して変更することができる。これにより、収穫された穀稈の種類によらず選別効率を高い水準に維持することができる。
【0029】
移送棚22の左部には、移送棚22に搬送されてきた穀稈等を左右方向の中央部に案内する後方右側に向かって延在する左寄せ板26Aが設けられ、移送棚22の右部には、移送棚22に搬送されてきた穀稈等を左右方向の中央部に案内する後方左側に向かって延在する右寄せ板26Bが設けられている。なお、本明細書では、左寄せ板26Aと右寄せ板26Bを総称して寄せ板26という。
【0030】
図4に示すように、移送棚22の下側には、移送棚22の前後方向の中間部から前方下側に延在する排出ガイド27が設けられている。また、排出ガイド27の左右方向の長さは移送棚22の左右方向の長さに形成され、排出ガイド27は、移送棚22の前後方向の中間部から唐箕30の上側を通って唐箕カバー30Aにおける上側前部に至っている。これにより、移送棚22に形成されたスリット50等から漏下した砂、埃等のごみを選別室20の外部に排出することができる。
【0031】
揺動選別装置21の下部には、上部から漏下してくる穀粒等を受け入れるバケット状に形成されたグレンパン28が設けられている。
【0032】
揺動選別装置21の下側には、前側から順に、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕30と、唐箕30の後方に選別風の送風方向を変更する風割31と、揺動選別装置21から漏下してくる穀粒をグレンタンク7に搬送する1番螺旋32と、揺動選別装置21の後部から漏下してくる枝梗等が付着した穀粒を揺動選別装置21の前部の選別棚に再搬送する2番螺旋33が設けられている。
【0033】
(移送棚の平面部のスリット)
図6に示すように、左側面視で、移送棚22は、前後方向に水平に延在する平面部40と、平面部40の後端部から後方上側に延在する斜面部41と、斜面部41の後端部から下側に延在する垂直面部42から形成されている。
【0034】
移送棚22における前側左部に位置する平面部40には、左寄せ板26Aと略平行に延在する長軸を有する左スリット50Aが形成され、移送棚22における前側右部に位置する平面部40には、右寄せ板26Bと略平行に延在する長軸を有する右スリット50Bが形成されている。これにより、移送棚22の左寄せ板26Aに沿って移送されてくる砂、埃等のごみを左スリット50Aから効率良く漏下させ、移送棚22の右寄せ板26Bに沿って移送されてくる砂、埃等のごみを右スリット50Bから効率良く漏下させて、大豆や緑豆の穀粒が砂、埃等のごみに接触する頻度を低減して穀粒の柔らかい表皮に傷がつくのを抑制することができる。なお、排出ガイド27の上部は、移送棚22の下面における前側から2番目に位置する垂直面部42に対向する部位に固定されている。
【0035】
移送棚22における前側左部に位置する平面部40には、左寄せ板26Aと略直交に延在する長軸を有する左スリット50Cが形成され、移送棚22における前側右部に位置する平面部40には、右寄せ板26Bと略直交に延在する平行な長軸を有する右スリット50Dが形成されている。これにより、移送棚22の左寄せ板26Aに沿って移送されてくる穀稈が左スリット50Cから漏下するのを防止し、移送棚22の右寄せ板26Bに沿って移送されてくる穀稈が右スリット50Dから漏下するのを防止することができる。また、唐箕30からの選別風はスリット50Cとスリット50Dを介して移送棚22の上面に送風されるので、移送棚22の穀稈を篩体23やグレンシーブ24に効率良く移送することができる。なお、左スリット50Cと右スリット50Dをそれぞれ左スリット50Aと右スリット50Bと同一形状に形成することもできる。これにより、平面部40に簡易にスリット50A~50Dを形成することができる。
【0036】
本明細書では、左スリット50Aと、右スリット50Bと、左スリット50Cと、右スリット50Dを総称してスリット50(請求項の「第1開口部」)という。また、スリット50は、後述するスリット51やスリット52と共に形成してもよく、また、単独で形成することもできる。
【0037】
図7は、移送棚22の左半分を図示している。
図7に示すように、移送棚22における前側左部に位置する平面部40に前後方向に沿って延在する長軸を有する左スリット50Aを形成し、移送棚22における後側左部に位置する平面部40に前後方向に沿って延在する長軸を有する左スリット50Cを形成することもできる。同様に、移送棚22における前側右部に位置する平面部40に前後方向に沿って延在する長軸を有する右スリット50Bを形成し、移送棚22における後側右部に位置する平面部40に前後方向に沿って延在する長軸を有する右スリット50Dを形成することもできる。これにより、平面部40に簡易にスリット50を形成することができる。また、移送棚22の左右方向の中間部を移送されてくる砂、埃等のごみを左スリット50Aと右スリット50Bから効率良く漏下させて、移送棚22の左右方向の中間部を前後方向に対して所定の角度をもって移送されてくる穀稈が左スリット50Cと右スリット50Dから漏下するのを防止することができる。
【0038】
図8は、移送棚22の左半分を図示している。
図8に示すように、移送棚22における前側左部に位置する平面部40に左右方向に沿って延在する長軸を有する左スリット50Aを形成し、移送棚22における後側左部に位置する平面部40に左右方向に沿って延在する長軸を有する左スリット50Cを形成することもできる。同様に、移送棚22における前側右部に位置する平面部40に左右方向に沿って延在する長軸を有する右スリット50Bを形成し、移送棚22における後側右部に位置する平面部40に左右方向に沿って延在する長軸を有する右スリット50Dを形成することもできる。これにより、平面部40に簡易にスリット50を形成することができる。また、移送棚22の左右方向の中間部を移送されてくる砂、埃等のごみを左スリット50Aと右スリット50Bから効率良く漏下させて、移送棚22の左右方向の中間部を前後方向に対して所定の角度をもって移送されてくる穀稈が左スリット50Cと右スリット50Dから漏下するのを防止することができる。
【0039】
(移送棚の斜面部のスリット)
図9に示すように、移送棚22における前側左部に位置する斜面部41には、左寄せ板26Aと略平行に延在する長軸を有する左スリット51Aが形成され、移送棚22における前側右部に位置する斜面部41には、右寄せ板26Bと略平行に延在する長軸を有する右スリット51Bが形成されている。これにより、一般的に斜面部41の前後方向の長さは平面部40の前後方向の長さよりも長く形成されているので、移送棚22の左寄せ板26Aに沿って移送されてくる砂、埃等のごみを左スリット51Aからより効率良く漏下させ、移送棚22の右寄せ板26Bに沿って移送されてくる砂、埃等のごみを右スリット51Bから効率良く漏下させて、大豆や緑豆の穀粒が砂、埃等のごみに接触する頻度を低減して穀粒の柔らかい表皮に傷がつくのをより抑制することができる。なお、排出ガイド27の上部は、移送棚22の下面における前側から2番目に位置する垂直面部42に対向する部位に固定されている。
【0040】
移送棚22における前側左部に位置する斜面部41には、左寄せ板26Aと略直交に延在する長軸を有する左スリット51Cが形成され、移送棚22における前側右部に位置する斜面部41には、右寄せ板26Bと略直交に延在する平行な長軸を有する右スリット51Dが形成されている。これにより、移送棚22の左寄せ板26Aに沿って移送されてくる穀稈が左スリット51Cから漏下するのを防止し、移送棚22の右寄せ板26Bに沿って移送されてくる穀稈が右スリット51Dから漏下するのを防止することができる。また、唐箕30からの選別風はスリット51Cとスリット51Dを介して移送棚22の上面に送風されるので、移送棚22の穀稈を篩体23やグレンシーブ24に効率良く移送することができる。なお、左スリット51Cと右スリット51Dをそれぞれ左スリット51Aと右スリット51Bと同一形状に形成することもできる。これにより、斜面部41に簡易にスリット51A~51Dを形成することができる。
【0041】
本明細書では、左スリット51Aと、右スリット51Bと、左スリット51Cと、右スリット51Dを総称してスリット51(請求項の「第2開口部」)という。また、スリット51は、スリット50や後述するスリット52と共に形成してもよく、また、単独で形成することもできる。
【0042】
図10は、移送棚22の左半分を図示している。
図10に示すように、移送棚22における前側左部に位置する斜面部41に前後方向に沿って延在する長軸を有する左スリット51Aを形成し、移送棚22における後側左部に位置する斜面部41に前後方向に沿って延在する長軸を有する左スリット51Cを形成することもできる。同様に、移送棚22における前側右部に位置する斜面部41に前後方向に沿って延在する長軸を有する右スリット51Bを形成し、移送棚22における後側右部に位置する斜面部41に前後方向に沿って延在する長軸を有する右スリット51Dを形成することもできる。これにより、斜面部41に簡易にスリット51を形成することができる。また、移送棚22の左右方向の中間部を移送されてくる砂、埃等のごみを左スリット51Aと右スリット51Bから効率良く漏下させて、移送棚22の左右方向の中間部を前後方向に対して所定の角度をもって移送されてくる穀稈が左スリット51Cと右スリット51Dから漏下するのを防止することができる。
【0043】
図11は、移送棚22の左半分を図示している。
図11に示すように、移送棚22における前側左部に位置する斜面部41に左右方向に沿って延在する長軸を有する左スリット51Aを形成し、移送棚22における後側左部に位置する斜面部41に左右方向に沿って延在する長軸を有する左スリット51Cを形成することもできる。同様に、移送棚22における前側右部に位置する斜面部41に左右方向に沿って延在する長軸を有する右スリット51Bを形成し、移送棚22における後側右部に位置する斜面部41に左右方向に沿って延在する長軸を有する右スリット51Dを形成することもできる。これにより、斜面部41に簡易にスリット51を形成することができる。また、移送棚22の左右方向の中間部を移送されてくる砂、埃等のごみを左スリット51Aと右スリット51Bから効率良く漏下させて、移送棚22の左右方向の中間部を前後方向に対して所定の角度をもって移送されてくる穀稈が左スリット51Cと右スリット51Dから漏下するのを防止することができる。
【0044】
(移送棚の垂直面部のスリット)
図12は、移送棚22の左半分を図示している。
図12に示すように、移送棚22の垂直面部42には、上下方向に対して所定の角度をもって延在する長軸を有するスリット52(請求項の「第3開口部」)を形成されている。これにより、移送棚22の平面部40に移送されてきた砂、埃等のごみをスリット52から効率良く漏下させて、平面部40と垂直面部42の隅に滞留するのを防止し、大豆や緑豆の穀粒が砂、埃等のごみに接触する頻度を低減して穀粒の柔らかい表皮に傷がつくのを抑制することができる。また、平面部40に移送されてきた穀稈がスリット52から漏下するのを防止して、後方の篩体23、グレンシーブ24に移送して高い穀粒の回収効率を維持することができる。なお、スリット52は、スリット50やスリット51と共に形成してもよく、また、単独で形成することもできる。
【0045】
図13は、移送棚22の左半分を図示している。
図13に示すように、移送棚22の垂直面部42には、上下方向に沿って延在する長軸を有するスリット52を形成されている。これにより、垂直面部42に簡易にスリット52を形成することができる。
【0046】
図14は、移送棚22の左半分を図示している。
図14に示すように、移送棚22の垂直面部42には、左右方向に沿って延在する長軸を有するスリット52を形成されている。これにより、垂直面部42に簡易にスリット52を形成することができる。
【0047】
<第2実施形態の脱穀装置>
図15には、第2実施形態の脱穀装置4が図示されている。同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
移送棚22の下側には、移送棚22の前後方向の後端部から前方下側に延在する排出ガイド27が設けられている。また、排出ガイド27の左右方向の長さは移送棚22の左右方向の長さに形成され、排出ガイド27は、移送棚22の前後方向の中間部から唐箕30の上側を通って唐箕カバー30Aにおける上側前部に至っている。これにより、移送棚22に形成されたスリット50等から漏下した砂、埃等のごみを選別室20の外部に全て排出することができる。なお、上述したとおり移送棚22の平面部40にはスリット50が形成され、斜面部41にはスリット51が形成され、垂直面部42にはスリット52が形成されている。
【符号の説明】
【0049】
10 扱室
20 選別室
21 揺動選別装置
22 移送棚
24 グレンシーブ
26A 左寄せ板
26B 右寄せ板
27 排出ガイド
40 平面部
41 斜面部
42 垂直面部
50 スリット(第1開口部)
51 スリット(第2開口部)
52 スリット(第3開口部)
【要約】
【課題】扱室から揺動選別装置の移送棚に漏下してくる砂やほこり等の夾雑物を外部に排出して、穀粒と夾雑物の接触頻度を低減して穀粒の表皮に傷がつくのを抑制することができる脱穀装置を提供する。
【解決手段】選別室(20)の上部に、揺動選別装置(21)を設け、揺動選別装置(21)の上部を板状体からなる移送棚(22)と複数のシーブからなるグレンシーブ(24)で形成し、移送棚(22)に複数の第1開口部(50)又は第2開口部(51)を設け、移送棚(22)の下面に板状体からなる排出ガイド(27)の後部を固定し、排出ガイド(27)を前方下側に向かって延在させた。
【選択図】
図4