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特許7075639物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/00 20060101AFI20220519BHJP
   B65F 1/12 20060101ALI20220519BHJP
   B65G 7/08 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
B65F1/00 W
B65F1/12 101
B65G7/08 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021147439
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2022-04-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518372028
【氏名又は名称】株式会社津田工業
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】津田 義久
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-62003(JP,U)
【文献】特開平6-191603(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172827(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00,1/12
B65G 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトにより反転して、収容された物品を排出する物品反転排出ボックスであって、
物品を収容するボックス本体と、該ボックス本体に対向して設けられ該フォークリフトのフォークが挿通される挿通孔を該ボックス本体の上方に有するフック部材と、該ボックス本体を反転可能な反転機構とを備え、
該ボックス本体は、平面状の底面と、該底面の外周に立設された第1壁面と、該第1壁面に対向して該底面の外周に立設された第2壁面とを有し、
該フック部材は、該第2壁面に固定される固定フック部材と、該第1壁面に設けられて該ボックス本体の下端から該第1壁面に沿って上方に延びる可動フック部材とからなり、
該反転機構は、該可動フック部材の下端から該底面に沿って一体として延びる底板と、該底板の先端部に設けられた反転部材とからなり、
該可動フック部材の該挿通孔に該フォークが挿通され、該固定フック部材の該挿通孔から該フォークが外されている場合、該反転部材により該底板の先端部を中心とし該ボックス本体を回動可能であることを特徴とする物品反転排出ボックス。
【請求項2】
前記ボックス本体は、直方体形状であることを特徴とする請求項1記載の物品反転排出ボックス。
【請求項3】
前記反転部材は、ヒンジであることを特徴とする請求項1又は2記載の物品反転排出ボックス。
【請求項4】
前記ボックス本体の前記第2壁面には、該ボックス本体の回動を補助する回動補助部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の物品反転排出ボックス。
【請求項5】
前記固定フック部材には、該固定フック部材を下方に延長して脚部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の物品反転排出ボックス。
【請求項6】
前記ボックス本体の前記底面には、キャスターが取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の物品反転排出ボックス。
【請求項7】
前記ボックス本体の前記底面には、該ボックス本体を反転させ物品を排出するための位置決めをするストッパが取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の物品反転排出ボックス。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の前記物品反転排出ボックスを用いた物品反転排出ボックスの使用方法であって、
物品が収容された該物品反転排出ボックスの前記フック部材の前記挿通孔に前記フォークリフトの前記フォークを挿通した後、該物品反転排出ボックスを持ち上げたまま物品排出場所まで運搬する運搬工程と、
該物品排出場所の所定位置において、前記可動フック部材の該挿通孔に該フォークを挿通したまま、前記固定フック部材の該挿通孔から該フォークを外して、前記ボックス本体を反転させ物品を排出する排出工程と、
該ボックス本体を元の状態に戻す復帰工程と、を有することを特徴とする物品反転排出ボックスの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトにより反転して、収容された物品を排出する物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトにより収容された物品を排出する排出ボックスとして、特許文献1、2に示されたスクラップボックスが知られている。特許文献1のスクラップボックスでは、スクラップ放出位置でフォークを前下がりに傾斜させると、スクラップボックスとフォークリフトの昇降フレーム(32)とが連結具(31)で連結されているため、係脱対(40)の係合が外れて、開閉側板(4)が開きスクラップが放出される。また、特許文献2のスクラップボックスでは、スクラップ放出位置でロック固定ピン(52)を取り外した上で導線(34)をけん引操作すると、揺動部材(46)が揺動されて留金(40)とフック穴(48)とのロック係合が解除され、底蓋(14)が開きスクラップが放出される。このように、特許文献1、2のスクラップボックスによれば、スクラップの放出に際し、開閉側板(4)や底蓋(14)を手動操作により開く必要がなく、作業者の安全が確保されるとともに、作業負担も軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-263145号公報
【文献】実開平3-25403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の排出ボックスでは、スクラップの排出に際し、排出ボックスに十分な回転角度がないためスクラップを完全には排出できず、作業者がフォークリフトから降りて残りのスクラップを手作業で掻き出さなけらばならない。また、スクラップ放出後に作業者が開閉側板(4)を閉じ、係脱対(40)で閉鎖状態をロックする必要がある。そのうえ、スクラップボックスのフォークリフトへの積み下ろしに際しては、連結具(31)でスクラップボックスとフォークリフトの昇降フレーム(32)とを連結したり、連結解除したりしなければならない。また、特許文献2のスクラップボックスでは、スクラップ放出後にスクラップボックスを床面に下ろせば、スクラップボックスの荷重及びカウンターウェイト(52)の作用で底蓋(14)が容器本体(12)に自動的にロックされるものの、スクラップ放出前に作業者はフォークリフトから降りてロック部材(38)からロック固定ピン(52)を取り外さなければならない。さらに、スクラップを排出してスクラップボックスを床面に下ろした後には、作業者はフォークリフトから降りてロック部材(38)にロック固定ピン(52)を挿通しなければならない。そのため、特許文献1、2のスクラップボックスでは、作業者は何度もフォークリフトに乗降しなければならず、作業者の負担軽減は十分ではない。また、作業者はスクラップボックス等に触れなければならず、特に感染症等の対策が求められる場合には取り扱いが面倒である。さらには、構造が複雑であり、部品点数も多く製造コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、作業者の負担を軽減するとともに、作業者がフォークリフトから降りることなく物品の排出作業ができるうえ、安価に製造することができる物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る物品反転排出ボックスの特徴は、フォークリフトにより反転して、収容された物品を排出する物品反転排出ボックスであって、物品を収容するボックス本体と、該ボックス本体に対向して設けられ該フォークリフトのフォークが挿通される挿通孔を該ボックス本体の上方に有するフック部材と、該ボックス本体を反転可能な反転機構とを備え、該ボックス本体は、平面状の底面と、該底面の外周に立設された第1壁面と、該第1壁面に対向して該底面の外周に立設された第2壁面とを有し、該フック部材は、該第2壁面に固定される固定フック部材と、該第1壁面に設けられて該ボックス本体の下端から該第1壁面に沿って上方に延びる可動フック部材とからなり、該反転機構は、該可動フック部材の下端から該底面に沿って一体として延びる底板と、該底板の先端部に設けられた反転部材とからなり、該可動フック部材の該挿通孔に該フォークが挿通され、該固定フック部材の該挿通孔から該フォークが外されている場合、該反転部材により該底板の先端部を中心とし該ボックス本体を回動可能であることである。
【0007】
請求項2に係る物品反転排出ボックスの特徴は、請求項1において、前記ボックス本体は、直方体形状であることである。
【0008】
請求項3に係る物品反転排出ボックスの特徴は、請求項1又は2において、前記反転部材は、ヒンジであることである。
【0009】
請求項4に係る物品反転排出ボックスの特徴は、請求項1乃至3において、前記ボックス本体の前記第2壁面には、該ボックス本体の回動を補助する回動補助部材が設けられていることである。
【0010】
請求項5に係る物品反転排出ボックスの特徴は、請求項1乃至4において、前記固定フック部材には、該固定フック部材を下方に延長して脚部が形成されていることである。
【0011】
請求項6に係る物品反転排出ボックスの特徴は、請求項1乃至4において、前記ボックス本体の前記底面には、キャスターが取り付けられていることである。
【0012】
請求項7に係る物品反転排出ボックスの特徴は、請求項1乃至6において、前記ボックス本体の前記底面には、該ボックス本体を反転させ物品を排出するための位置決めをするストッパが取り付けられていることである。
【0013】
請求項8に係る物品反転排出ボックスの使用方法の特徴は、請求項1乃至7のいずれか1項記載の前記物品反転排出ボックスを用いた物品反転排出ボックスの使用方法であって、物品が収容された該物品反転排出ボックスの前記フック部材の前記挿通孔に前記フォークリフトの前記フォークを挿通した後、該物品反転排出ボックスを持ち上げたまま物品排出場所まで運搬する運搬工程と、該物品排出場所の所定位置において、前記可動フック部材の該挿通孔に該フォークを挿通したまま、前記固定フック部材の該挿通孔から該フォークを外して、前記ボックス本体を反転させ物品を排出する排出工程と、該ボックス本体を元の状態に戻す復帰工程と、を有することである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る物品反転排出ボックスは、可動フック部材の挿通孔にフォークが挿通され、固定フック部材の挿通孔からフォークが外されている場合、反転部材により底板の先端部を中心としボックス本体を回動可能である。これにより、作業者が可動フック部材の挿通孔にフォークを挿通したまま固定フック部材の挿通孔からフォークを外すと、ボックス本体を反転したり元の状態に戻すことができる。そのため、作業者はフォークリフトに乗ったまま、物品反転排出ボックスの搬送から物品の排出、及びボックス本体の復帰までの一連の作業を行うことができる。したがって、作業者は、排出作業のすべての工程において一度もフォークリフトから降りることはなく、物品反転排出ボックスに触れることもない。また、この物品反転排出ボックスは、ボックス本体、フック部材、及び反転機構だけからなるため、構造が簡単であり部品点数も少ない。したがって、この物品反転排出ボックスによれば、作業者の負担を軽減するとともに、作業者がフォークリフトから降りることなく物品の排出作業ができるうえ、安価に製造することができる。
【0015】
なお、物品には、排出時の衝撃に耐え得る食品、医薬品、廃棄物等あらゆるものが含まれ、衝撃に弱いものであっても衝撃に耐え得る包装が施してあれば含まれる。また、ボックス本体の材質は金属に限定されず、樹脂、木材等も用いることができる。さらには、フレームのみを金属で組み立て、このフレームに樹脂ボックスや発泡スチロールボックス等をはめ込んでボックス本体としてもよい。
【0016】
請求項2に係る物品反転排出ボックスにおいては、請求項1において、ボックス本体が直方体形状であるため、製造しやすく取り扱いも容易である。
【0017】
請求項3に係る物品反転排出ボックスにおいては、請求項1又は2において、反転部材がヒンジであるため、構造が簡単かつ安価である。また、可動フック部材の挿通孔にフォークを挿通したまま固定フック部材の挿通孔からフォークを外すと、ボックス本体を簡単に反転したり元の状態に戻すことができる。すなわち、この状態において、フォークを上昇させて物品反転排出ボックスを持ち上げれば、ボックス本体が反転する。また、そのままフォークを下降させて物品反転排出ボックスを床面、又は地面まで下げれば、ボックス本体を元の状態に戻すことができる。
【0018】
請求項4に係る物品反転排出ボックスにおいては、請求項3において、ボックス本体の第2壁面にはボックス本体の回動を補助する回動補助部材が設けられているため、フォークを下降させて物品反転排出ボックスを床面、又は地面まで下げる場合、ボックス本体が元の状態に戻り易くなる。
【0019】
請求項5に係る物品反転排出ボックスにおいては、請求項1乃至4において、固定フック部材には固定フック部材を下方に延長して脚部が形成されているため、簡単な構造でボックス本体の底面を床面、又は地面から離すことができる。
【0020】
請求項6に係る物品反転排出ボックスにおいては、請求項1乃至4において、ボックス本体の底面にはキャスターが取り付けられているため、ボックス本体の底面を床面、又は地面から離すことができる。また、フォークを下降させて物品反転排出ボックスを床面、又は地面まで下げてボックス本体を元の状態に戻す場合、キャスターによりボックス本体を適度に移動させることができるため作業がやり易くなる。
【0021】
請求項7に係る物品反転排出ボックスにおいては、請求項1乃至6において、ボックス本体の底面には、ボックス本体を反転させ物品を排出するための位置決めをするストッパが取り付けられているため、所定の位置に確実に物品を排出しやすくなる。
【0022】
請求項8に係る物品反転排出ボックスの使用方法においては、運搬工程において、フック部材の挿通孔にフォークリフトのフォークを挿通して物品反転排出ボックスを持ち上げたまま物品排出場所まで運搬する。また、排出工程において、作業者が可動フック部材の挿通孔にフォークを挿通したまま固定フック部材の挿通孔からフォークを外した後、反転部材によりボックス本体を反転して物品を排出する。さらに、復帰工程において、反転部材によりボックス本体を元の状態に戻す。このように、作業者が可動フック部材の挿通孔にフォークを挿通したまま固定フック部材の挿通孔からフォークを外すと、ボックス本体を反転したり元の状態に戻すことができる。そのため、作業者はフォークリフトに乗ったまま、物品反転排出ボックスの搬送から物品の排出、及びボックス本体の復帰までの一連の作業を行うことができる。これにより、作業者は、排出作業のすべての工程において一度もフォークリフトから降りることはなく、物品反転排出ボックスに触れることもない。したがって、この物品反転排出ボックスの使用方法によれば、作業者の負担を軽減するとともに、作業者がフォークリフトから降りることなく物品の排出作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に係り、物品反転排出ボックスの斜視図。
図2】実施形態の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に係り、物品反転排出ボックスの正面図。
図3】実施形態の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に係り、物品反転排出ボックスの平面図。
図4】実施形態の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に係り、物品反転排出ボックスの背面図。
図5】実施形態の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に係り、物品反転排出ボックスの側面図。
図6】実施形態の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に係り、ボックス本体が回転している物品反転排出ボックスの側面図。
図7】実施形態の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法に係り、別の物品反転排出ボックスの側面図。
図8】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法のフローチャート。
図9】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、運搬工程の物品反転排出ボックスの図。
図10】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、排出工程の物品反転排出ボックスの図。
図11】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、排出工程の物品反転排出ボックスの図。
図12】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、排出工程の物品反転排出ボックスの図。
図13】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、排出工程の物品反転排出ボックスの図。
図14】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、復帰工程物品反転排出ボックスの図。
図15】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、復帰工程物品反転排出ボックスの図。
図16】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、復帰工程物品反転排出ボックスの図。
図17】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、復帰工程物品反転排出ボックスの図。
図18】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、復帰工程物品反転排出ボックスの図。
図19】実施形態の物品反転排出ボックスの使用方法に係り、復帰工程物品反転排出ボックスの図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法をスクラップボックス、及びこのスクラップボックスの使用方法として具体化した実施形態を図面に基づいて以下に説明する。まず、スクラップボックスについて、図1から図5を用いて説明する。図1から図5は、物品反転排出ボックスとしてのスクラップボックス1の斜視図、正面図、平面図、背面図、側面図である。このスクラップボックス1は工作機械の傍らに置かれ、切削、研磨等の作業に伴って生じる物品としてのスクラップを一時的に保管するものである。そして、スクラップボックス1がスクラップで満杯になると、フォークリフトにより物品排出場所であるコンテナまで運搬され、スクラップがコンテナ内に排出される。その後、スクラップボックス1はフォークリフトにより所定の位置に戻される。
【0025】
図1から図5に示すように、スクラップボックス1は、ボックス本体2とフック部材3、4と反転機構5とを備えている。ボックス本体2は、平面状の底面2dと、底面の外周に立設された第1壁面としての前面2bと、前面2bに対向して底面2dの外周に立設された第2壁面としての後面2cとを有する直方体形状をなしている。そして、ボックス本体2の上方に開口する収容空間2aにスクラップが収容されるようになっている。また、フック部材3、4は、ボックス本体2の後面2cに固定される固定フック部材3と、前面2bに設けられてボックス本体2の下端から前面2bに沿って上方に延びる可動フック部材4とからなっている。固定フック部材3、可動フック部材4には、ボックス本体2の上方に挿通孔3a、4aが設けられている。この挿通孔3a、4aにフォークリフトのフォークを挿通することにより、スクラップボックス1の運搬やスクラップの排出が可能になっている。
【0026】
また、反転機構5は、可動フック部材4の下端からボックス本体2の底面2dに沿って一体として延びる底板6と、底板6の先端部に設けられた反転部材としてのヒンジ7からなっている。このように、反転部材としてヒンジ7を用いているため、構造が簡単かつ安価である。この反転機構5により、可動フック部材4の挿通孔4aにフォークリフトのフォークを挿通したまま固定フック部材3の挿通孔3aからフォークを外すと、底板2dの先端部を中心としてボックス本体2を回動可能になっている。これにより、ボックス本体2の収容空間2aからスクラップを排出したり、ボックス本体2を元の状態に戻すことができる。すなわち、可動フック部材4の挿通孔4aにフォークリフトのフォークを挿通したまま固定フック部材3の挿通孔3aからフォークを外し、フォークを上昇させてスクラップボックス1を持ち上げれば、ボックス本体2が反転する。また、そのままフォークを下降させてスクラップボックス1を床面、又は地面まで下げれば、ボックス本体2を元の状態に戻すことができる。
【0027】
ボックス本体2の後面2cには、ボックス本体2の回動を補助する回動補助部材3bが設けられている。回動補助部材3bは、固定フック部材3の左右の両端が直角に折り曲げられ、固定フック部材3と一体として形成されている。図5に示すように、この回動補助部材3bは略直角台形の形状をなし、直線部3dの両端に第1支点部3e、第2支点部3fを有している。また、第2支点部3fからボックス本体2に向かって緩やかに傾斜する傾斜部3gが形成されている。この回動補助部材3bにより、フォークを下降させてスクラップボックス1を床面、又は地面まで下げる場合、ボックス本体2が元の状態に戻り易くなる。
【0028】
図4図5に示すように、固定フック部材3には、固定フック部材3を下方に延長して脚部3cが一体として形成されている。この脚部3cの先端と、ヒンジ7の先端とが床面、又は地面に当接してボックス本体2の底面2dを床面、又は地面から離している。このように、脚部3cにより、簡単な構造でボックス本体2の底面2dを床面、又は地面から離すことができる。
【0029】
図5に示すように、ボックス本体2の底面2dには、ボックス本体2を反転させスクラップを排出するための位置決めをするLアングルからなるストッパ8が取り付けられている。このストッパ8により、所定の位置に安全、かつ確実にスクラップを排出しやすくなる。すなわち、スクラップの排出に際し、ストッパ8をコンテナの壁面の上端に当てれば、コンテナに対し常に一定の位置でボックス本体2を載せることができるからである。
【0030】
図6は、ボックス本体2が回転しているスクラップボックス1の側面図である。反転機構5により、ヒンジ7を中心としボックス本体2を回動可能になっている。これにより、ボックス本体2の収容空間2aからスクラップを排出したり、ボックス本体2を元の状態に戻すことができる。
【0031】
また、脚部3cの替わりに、図7に示すキャスター9をボックス本体2の底面2dに取り付けることもできる。このキャスター9によっても、ボックス本体2の底面2dを床面、又は地面から離すことができる。また、フォークを下降させてスクラップボックス1を床面、又は地面まで下げてボックス本体2を元の状態に戻す場合、キャスター9によりボックス本体2を適度に移動させることができるため作業がやり易くなる。
【0032】
次に、以上の構成をしたスクラップボックス1の使用方法について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1においては、図9に示すように、スクラップが満杯になったスクラップボックス1の挿通孔3a、4aにフォークリフト90のフォーク91を差し込む。そして、フォーク91を上昇させてスクラップボックス1を持ち上げ、図10に示す物品排出場所であるコンテナ93まで運搬する。このステップS1が運搬工程である。
【0033】
ステップS2においては、図10に示すように、フォーク91を矢印で示すように下降させるとともに、ボックス本体2のストッパ8をコンテナ93の壁面93aの上端に当てる。このようにすることにより、コンテナ93に対しボックス本体2を常に一定の位置で載せることができ、安全かつ確実にボックス本体2からスクラップを排出することができる。
【0034】
そして、図11に示すように、フォークリフト90を後退させて、可動フック部材4の挿通孔4aにフォーク91を挿通したまま固定フック部材3の挿通孔3aからフォーク91を外す。この状態においては、ボックス本体2の重心Gは支点Fの鉛直線Lより図面右側にあり、フォーク91で可動フック部材4を支えているため、ボックス本体2は水平を保ったまま安定している。なお、支点Fは、ストッパ8が壁面93aの上端と当接する点である。
【0035】
図12に示すように、フォーク91を徐々に上昇させると、ボックス本体2の重心Gは支点Fの鉛直線Lより図面左側にゆっくりと移動する。これに伴って、ボックス本体2もゆっくりと回転し、収容空間2a内のスクラップが徐々に排出される。そして、フォーク91をさらに上昇させると、図13に示すように、ボックス本体2は完全に反転し、収容空間2a内のスクラップはすべて排出される。なお、ボックス本体2の回転角度は120度以上となるため、スクラップは十分に排出され、作業者が手作業で残りのスクラップを掻き出す必要はない。ここで、ステップS2が排出工程である。
【0036】
ステップS3においては、図14に示すように、フォークリフト90を後退させてスクラップボックス1をコンテナ93から離し、フォーク91を下降させる。そして、図15に示すように、ボックス本体2が床面95に着くと、最初に回動補助部材3bの第1支点部3eが床面95に当接し、この部分が支点Fとなる。この際、ボックス本体2の重心Gは支点Fの鉛直線Lより図面右側にあるため、ボックス本体2は矢印で示すように時計方向に回転する。さらにフォーク91を下降させると、図16に示すように、支点Fは回動補助部材3bの第2支点部3fに移動する。この回動補助部材3bには、ボックス本体2に向かって緩やかに傾斜する傾斜部3gが設けられているため、ボックス本体2の重心Gは支点Fの鉛直線Lより図面右側にあり、ボックス本体2は矢印で示すように時計方向に回転する。
【0037】
さらにフォーク91を下降させると、図17に示すように、支点Fは脚部3cの下端に移動する。そして、ボックス本体2の重心Gは支点Fの鉛直線Lより図面右側にあるため、ボックス本体2は矢印で示すように時計方向に回転し、ボックス本体2は完全に床面95に載置される。その後、図18に示すように、固定フック部材3と可動フック部材4の挿通孔3a、4aにフォーク91を差し込む。そして、フォーク91を上昇させてスクラップボックス1を持ち上げ、スクラップボックス1を所定の位置まで運搬する。なお、図19に示すフリーベア(フリーボールベアリング)付き台車96を用いれば、スクラップボックス1が使用される目的の場所まで簡単に運搬することができる。さらに、図7に示すキャスター9が取り付けられたスクラップボックス1を用いれば、フリーベア(フリーボールベアリング)付き台車96を用いることなく、スクラップボックス1が使用される目的の場所まで簡単に運搬することができる。このステップS3が復帰工程である。
【0038】
実施形態の物品反転排出ボックス1によれば、可動フック部材4の挿通孔4aにフォーク91が挿通され、固定フック部材3の挿通孔3aからフォーク91が外されている場合、ヒンジ7により底板2dの先端部を中心としボックス本体2を回動可能である。これにより、作業者が可動フック部材4の挿通孔4aにフォーク91を挿通したまま固定フック部材3の挿通孔3aからフォーク91を外すと、ボックス本体2を反転したり元の状態に戻すことができる。そのため、作業者はフォークリフト90に乗ったまま、物品反転排出ボックス1の搬送からスクラップの排出、及びボックス本体2の復帰までの一連の作業を行うことができる。したがって、作業者は、排出作業のすべての工程において一度もフォークリフト90から降りることはなく、物品反転排出ボックス1に触れることもない。また、この物品反転排出ボックス1は、ボックス本体2、フック部材3、4、及び反転機構5だけからなるため、構造が簡単であり部品点数も少ない。したがって、この物品反転排出ボックス1によれば、作業者の負担を軽減するとともに、作業者がフォークリフト90から降りることなくスクラップの排出作業ができるうえ、安価に製造することができる。
【0039】
また、この物品反転排出ボックス1では、ボックス本体2が直方体形状であるため、製造しやすく取り扱いも容易である。さらに、反転部材がヒンジ7であるため、構造が簡単かつ安価である。また、可動フック部材4の挿通孔4aにフォーク91を挿通したまま固定フック部材3の挿通孔3aからフォーク91を外すと、ボックス本体2を簡単に反転したり元の状態に戻すことができる。
【0040】
また、この物品反転排出ボックス1では、ボックス本体2の後面2cにはボックス本体2の回動を補助する回動補助部材3bが設けられているため、フォーク91を下降させて物品反転排出ボックス1を床面95まで下げる場合、ボックス本体2が元の状態に戻り易くなる。
【0041】
さらに、この物品反転排出ボックス1では、固定フック部材3には固定フック部材3を下方に延長して脚部3cが形成されているため、簡単な構造でボックス本体2の底面2dを床面95から離すことができる。この脚部3cの替わりにキャスター9を取り付けても同様な効果を得ることができる。また、この物品反転排出ボックス1では、ボックス本体2の底面2dには、ボックス本体2を反転させスクラップを排出するための位置決めをするストッパ8が取り付けられているため、所定の位置に確実にスクラップを排出しやすくなる。
【0042】
また、物品反転排出ボックス1の使用方法においては、運搬工程S1において、フック部材3、4の挿通孔3a、4aにフォークリフト90のフォーク91を挿通して物品反転排出ボックス1を持ち上げたままコンテナ93まで運搬する。また、排出工程S2において、作業者が可動フック部材4の挿通孔4aにフォーク91を挿通したまま固定フック部材3の挿通孔3aからフォーク91を外した後、ヒンジ7によりボックス本体2を反転してスクラップを排出する。さらに、復帰工程S3において、ヒンジ7によりボックス本体2を元の状態に戻す。このように、作業者が可動フック部材4の挿通孔4aにフォーク91を挿通したまま固定フック部材3の挿通孔3aからフォーク91を外すと、ボックス本体2を反転したり元の状態に戻すことができる。そのため、作業者はフォークリフト90に乗ったまま、物品反転排出ボックス1の搬送からスクラップの排出、及びボックス本体2の復帰までの一連の作業を行うことができる。これにより、作業者は、排出作業のすべての工程において一度もフォークリフト90から降りることはなく、物品反転排出ボックス1に触れることもない。したがって、この物品反転排出ボックス1の使用方法によれば、作業者の負担を軽減するとともに、作業者がフォークリフ90トから降りることなくスクラップの排出作業ができる。
【0043】
以上、本発明の物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法を実施形態に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。例えば、本実施形態においては、物品排出場所はコンテナ93であるが、物品排出場所は特に限定されず、例えば、地面に敷かれたブルーシートであっても、地面に掘ったピットなどであっても、効率的に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1…物品反転排出ボックス、2…ボックス本体、2b…前面、2c…後面、2d…底面、3、4…フック部材(3…固定フック部材、4…可動フック部材)、3a、4a…挿通孔、3b…回動補助部材、3c…脚部、5…反転機構(6…底板、7…反転部材(ヒンジ))、8…ストッパ、9…キャスター、90…フォークリフト、91…フォーク、93…物品排出場所(コンテナ)、S1…運搬工程、S2…排出工程、S3…復帰工程。
【要約】
【課題】作業者の負担を軽減するとともに、作業者がフォークリフトから降りることなく物品の排出作業ができるうえ、安価に製造することができる物品反転排出ボックス、及び物品反転排出ボックスの使用方法を提供する。
【解決手段】物品反転排出ボックス1は、スクラップを収容するボックス本体2と、フォークリフトのフォークが挿通される挿通孔3a、4aをボックス本体2の上方に有するフック部材3、4と、ボックス本体2を反転可能な反転機構5とを備えている。反転機構5は、可動フック部材4の下端から底面2dに沿って一体として延びる底板6と、底板6の先端部に設けられたヒンジ7とからなっている。そして、可動フック部材4の挿通孔4aにフォークが挿通され、固定フック部材3の挿通孔3aからフォークが外されている場合、ヒンジ7により底板6の先端部を中心としボックス本体2を回動可能である。
【選択図】図1
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