(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ、及びそれを備える同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20220519BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20220519BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20220519BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20220519BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R13/631
H01R24/38
H01R13/6581
(21)【出願番号】P 2020504166
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 CN2019124151
(87)【国際公開番号】W WO2020215742
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2020-01-22
(31)【優先権主張番号】201910339450.6
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520027741
【氏名又は名称】蘇州祥龍嘉業電子科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GOLDENCONN ELECTRONIC TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】NO.777, Xiuhu West Road, Economic Development Zone, Wujiang Area Suzhou, Jiangsu 215000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳 進嵩
(72)【発明者】
【氏名】何 志剛
(72)【発明者】
【氏名】盧 髦
(72)【発明者】
【氏名】樊 広才
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-033832(JP,A)
【文献】特開2016-062661(JP,A)
【文献】特開2012-230820(JP,A)
【文献】特開2006-066384(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109586069(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/91
H01R 13/631
H01R 24/38
H01R 13/6581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌側コネクタ絶縁体、前記雌側コネクタ絶縁体に対してフローティングする雌側コネクタカバー、雌側コネクタ端子及びシールドシェルを備え、
前記雌側コネクタ絶縁体の外周が前記シールドシェルに包まれ、
前記雌側コネクタカバーは、前記雌側コネクタ端子に套設して固定される自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタであって、
2つ設けられ、それぞれ前記シールドシェルの左側壁、右側壁から上へ延設されている弾性案内板をさらに備え、
前記弾性案内板は、弾性サイド当接部とアーチ状案内部を備え、前記弾性サイド当接部は、前記雌側コネクタカバーに当接され、前記弾性案内板の内壁から内へ延設されており、前記アーチ状案内部は、前記弾性案内板の自由端から外へ曲がって延設されており、
前記雌側コネクタ端子は、導通部、前記導通部における前記シールドシェルの前記左側壁および前記右側壁の方向にそれぞれ設けられる挿着部、及び前記導通部の真下に固定された弾性支持部を備え、前記弾性支持部は、前記雌側コネクタ絶縁体のキャビティに固定され、
同軸コネクタの雄側コネクタが前記同軸コネクタの雌側コネクタに対して挿抜された後、前記雌側コネクタカバーは、前記弾性サイド当接部の作用により前記雌側コネクタ絶縁体に対してX方向及び/又はY方向に沿って位置微調整、校正を行い、前記同軸コネクタの雄側コネクタの次の挿着操作のために前記雌側コネクタカバーと前記雌側コネクタ端子の相対位置を正確に
し、前記雌側コネクタカバーは、前記導通部の真上にカバーされ、且つそのチャンバーには、前記挿着部に適合するスロットが設けられる、
ことを特徴とする自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項2】
前記弾性サイド当接部は、S字形である、
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項3】
内へ曲がった弾性突き出し部が前記シールドシェルの前後側壁から上へ延設されており、雄側コネクタのハウジングを弾性的に押し当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項4】
前記弾性突き出し部は、4つ設けられ、前記シールドシェルの中軸線に沿って周方向に均等に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項5】
前記雌側コネクタカバーは、前記雌側コネクタ絶縁体と接触せず、前記雌側コネクタ端子だけにより支持され、
前記同軸コネクタの雄側コネクタが前記同軸コネクタの雌側コネクタに対して挿着されるとき、前記弾性支持部を介して前記雌側コネクタカバーが前記雌側コネクタ絶縁体に対してX方向、Y方向及び/又はZ方向に沿って位置微調整を行い、前記導通部に対する雄側コネクタ端子の差し込み位置を正確にする、
ことを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項6】
前記弾性支持部は、前記シールドシェルの左側壁、右側壁からなる方向に対して垂直する方向に配置される前接続体と後接続体から構成され、前記前接続体は、前記導通部の前側壁から下へ延設された前多段曲がり弾性部、及び前記前多段曲がり弾性部の下端部に沿って水平に前へ延びており、前記雌側コネクタ絶縁体の前側壁に挿設された前固定部を備え、前記後接続体は、前記導通部の後側壁から下へ延設された後多段曲がり弾性部、及び前記後多段曲がり弾性部の下端部に沿って水平に後へ延びており、前記雌側コネクタ絶縁体の後側壁に挿設された後固定部を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項7】
前記前多段曲がり弾性部及び前記後多段曲がり弾性部は、いずれもS字形であり、且つ両方の延び方向が反対である、
ことを特徴とする請求項6に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項8】
前記雌側コネクタカバーには、それぞれ前記雌側コネクタカバーの底壁から左右方向に外へ延設された2つのブロックが設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項9】
前記シールドシェルの左右側壁のいずれにも、係止爪が設けられ、それに対応して、前記雌側コネクタ絶縁体の左右側壁には、前記係止爪と嵌合する係止溝が開けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ。
【請求項10】
互いに挿合される雄側コネクタ及び雌側コネクタを備える同軸コネクタであって、
前記雌側コネクタは、請求項1-9のいずれか1項に記載の自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタである、
ことを特徴とする同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタの技術分野に関し、特に自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタ、及びそれを備える同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、関連する技術の発展に伴い、そのサイズの小型化及びモジュール化へ進めており、その組立信頼性及び伝送安定性に対してもより高い要求が求められてきた。同軸コネクタは、現在のコネクタ製品のうち伝送性が高いコネクタ製品であり、電力システム、通信ネットワーク、金融製造業、エレベータ、産業オートメーション、医療機器、オフィス機器、家電、軍事製造産業などの産業に幅広く使用されており、通常、互いに差し込まれる雄側コネクタ及び雌側コネクタを備える。挿合操作をするとき、雌側コネクタに対する雄側コネクタの相対位置のズレが発生しやすく、このため、組み立て操作の難度を向上させて、組み立て効率の低下を引き起こす。さらに、組み立てが完了した後、信号の導通安定性に悪影響を与え、製品の機能異常を引き起こす恐れもある。上記技術的課題を解決するために、現在、フローティング式雌側コネクタが市販されており、つまり、雌側コネクタ端子に対する雄側コネクタマンドレルの組み立て位置が正確になるまで雌側コネクタカバーが適応的に変位を調整することができ、それによって、リジッド組み立てによる嵌合部品のダメージを回避する。しかしながら、雄側コネクタマンドレルを抜き出した後、雌側コネクタカバーはタイムリーで正確に復位できず、その結果、次の雄側コネクタマンドレルの取り付けプロセスに悪影響を及ぼす。したがって、技術者が上記課題を解決することが期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、構造の設計がシンプルであり、取り付けやすく、マンドレルに対して雌側コネクタ端子が自動的に校正することができ、且つマンドレルが抜き出された後、雌側コネクタカバーが自動的に復位できるフローティング式雌側コネクタを提供することである。
【0004】
本発明が解決しようとする別の技術的課題は、上記自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタを備える同軸コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタに関し、該フローティング式雌側コネクタは、雌側コネクタ絶縁体、該雌側コネクタ絶縁体に対してフローティングする雌側コネクタカバー、雌側コネクタ端子及び上記雌側コネクタ絶縁体の外周に包まれたシールドシェルを備える。雌側コネクタカバーは、雌側コネクタ端子に套設して固定される。また、2つ設けられ、それぞれ上記シールドシェルの左側壁、右側壁から上へ延設されている弾性案内板をさらに備える。それぞれの弾性案内板は、弾性サイド当接部とアーチ状案内部を備え、弾性サイド当接部は、雌側コネクタカバーに当接され、弾性案内板の内壁から内へ延設されている。アーチ状案内部は、弾性案内板の自由端から外へ曲がって延設されている。同軸コネクタの雄側コネクタが同軸コネクタの雌側コネクタに対して挿抜された後、雌側コネクタカバーは、弾性サイド当接部の作用により雌側コネクタ絶縁体に対してX方向及び/又はY方向に沿って位置微調整、校正を行い、同軸コネクタの雄側コネクタの次の挿着操作のために雌側コネクタカバーと雌側コネクタ端子の相対位置を正確にする。
【0006】
上記技術案のさらなる改良として、弾性サイド当接部は、S字形であり、且つ雌側コネクタカバーの側壁に反対して延びている。
【0007】
上記技術案のさらなる改良として、内へ曲がった弾性突き出し部が、シールドシェルの前後側壁から上へ延設されており、雄側コネクタハウジングを弾性的に押し当てる。
【0008】
上記技術案のさらなる改良として、弾性突き出し部は、4つ設けられ、シールドシェルの中軸線に沿って周方向に均等に配置されている。
【0009】
上記技術案のさらなる改良として、前記雌側コネクタ端子は、導通部、該導通部の左右側に設けられた挿着部及び該導通部の真下に固定された弾性支持部を備える。弾性支持部は、雌側コネクタ絶縁体のキャビティに固定される。雌側コネクタカバーは、導通部の真上にカバーされ、且つそのチャンバーには、挿着部に適合するスロットが設けられる。また、該雌側コネクタカバーは、上記雌側コネクタ絶縁体と接触せず、雌側コネクタ端子だけにより支持される。同軸コネクタの雄側コネクタが同軸コネクタの雌側コネクタに対して挿着されるとき、弾性支持部を介して雌側コネクタカバーが雌側コネクタ絶縁体に対してX方向、Y方向及び/又はZ方向に沿って位置微調整を行い、導通部に対する雄側コネクタ端子の差し込み位置を正確にする。
【0010】
上記技術案のさらなる改良として、弾性支持部は、前接続体と後接続体から構成され、上記前接続体は、導通部の前側壁から下へ延設された前多段曲がり弾性部と、該前多段曲がり弾性部の下端部に沿って水平に前へ延びており、雌側コネクタ絶縁体の前側壁に挿設された前固定部と、を備える。上記後接続体は、前記導通部の後側壁から下へ延設された多段曲がり弾性部と、該後多段曲がり弾性部の下端部に水平に後へ延びており、雌側コネクタ絶縁体後の側壁に挿設された後固定部と、を備える。
【0011】
上記技術案のさらなる改良として、前多段曲がり弾性部及び後多段曲がり弾性部は、いずれもS字形であり、且つ両方の延び方向が反対である。
【0012】
上記技術案のさらなる改良として、雌側コネクタカバーには、それぞれ雌側コネクタカバーの底壁から左右方向に外へ延設された2つの制限ブロックが設けられている。
【0013】
上記技術案のさらなる改良として、シールドシェルの左右側壁のいずれにも、係止爪が設けられ、それに対応して、雌側コネクタ絶縁体の左右側壁には、上記係止爪と嵌合する係止溝が開けられている。
【0014】
また、本発明は、互いに挿合される雄側コネクタ及び雌側コネクタを備え、且つ該雌側コネクタが上記自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタである同軸コネクタをさらに開示する。
【発明の効果】
【0015】
上記技術案を利用して構成すると、雌側コネクタ端子に対する雄側コネクタマンドレルの組み立て位置が正確になるまで雌側コネクタカバーが適応的に変位を調整することができ、それによって、リジッド組み立てにより挿着嵌合部品がダメージを受け、さらに信号の伝送安定性を損なうようなことの発生を回避する。さらに、雄側コネクタマンドレルが抜き出されると、雌側コネクタカバーは、弾性サイド当接部による当接力の作用により自動的に復位し、さらに雌側コネクタ端子を復位させ、雄側コネクタマンドレルに対する雌側コネクタ端子の位置ズレ量を許容可能な範囲の値以内に制御し、雄側コネクタマンドレルの次の挿着操作に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかなように、以下の説明における図面は、本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これら図面に基づいてほかの図面を取得し得る。
【
図1】本発明に係る同軸コネクタの組み立て模式図である。
【
図2】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタの斜視図である。
【
図3】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタの斜視図である(雌側コネクタカバーを取り外した)。
【
図4】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタの雌側コネクタ絶縁体の斜視図である。
【
図5】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタの雌側コネクタカバーの1つの視点からの斜視図である。
【
図6】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタの雌側コネクタカバーの別の視点からの斜視図である。
【
図7】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタの雌側コネクタ端子の1つの視点からの斜視図である。
【
図8】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタの雌側コネクタ端子の別の視点からの斜視図である。
【
図9】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタのシールドシェルの一実施形態の斜視図である。
【
図10】本発明に係る自己復帰機能付きのフローティング式雌側コネクタのシールドシェルの別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
なお、本発明の説明において、用語「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などにより示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明、及び説明の簡素化のために過ぎず、示される装置又は素子が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造又は操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を制限するものとして理解できない。
【0018】
以下、特定の実施例にて本発明の内容をさらに詳細に説明し、
図1は、本発明における同軸コネクタの組み立て模式図を示し、雄側コネクタ1は、雌側コネクタ2に挿設され、且つそのマンドレルが常に雌側コネクタ端子23に当接され、それにより、電源又は信号の伝送が実現される。
【0019】
同軸コネクタに優れた電源又は信号伝送性能を付与するために、本発明で開示された技術案では、フローティング式雌側コネクタが適用されており、その構造の詳細及び作動原理は、前記のとおりである。
図2、
図3は、いずれも本発明におけるフローティング式雌側コネクタの斜視図を示し、該フローティング式雌側コネクタは、雌側コネクタ絶縁体21、雌側コネクタカバー22、雌側コネクタ端子23及びシールドシェル24を備える。雌側コネクタ絶縁体21は、キャビティ構造を有する(
図4参照)。シールドシェル24は、板金構造であり、上記雌側コネクタ絶縁体21の外周に包まれる。雌側コネクタカバー22は、雌側コネクタ端子23に套設して固定され、且つ雌側コネクタ絶縁体21に対してフローティング可能である。雌側コネクタカバーは、雌側コネクタ端子に套設して固定される。雌側コネクタ端子23は、導通部231、挿着部232及び弾性支持部233などのいくつかの部分から構成され、挿着部233は、導通部231の左右両側に設けられ、弾性支持部233は、導通部231の真下に固定され(
図7参照)、それによって、導通部231自体は、外力の作用を受けたとき、フローティング可能な状態にある。雌側コネクタカバー22は、導通部231の真上にカバーされ、且つそのチャンバーには、挿着部232と適合するスロット221が設けられる(
図5、6参照)。なお、雌側コネクタカバー22は、雌側コネクタ絶縁体21と接触せず、雌側コネクタ端子23だけにより支持される。
【0020】
フローティング式雌側コネクタの作動原理は、以下のとおりである。同軸コネクタの雄側コネクタ1と同軸コネクタの雌側コネクタ2が挿着されるとき、雄側コネクタ1に固定されたマンドレルが雌側コネクタ端子23に付勢すると同時に、弾性支持部233が適応的に変形又は傾斜し、それによって、雌側コネクタカバー22がX方向、Y方向及び/又はZ方向に沿って位置微調整を行い、雌側コネクタ端子23の導通部231に対するマンドレルの差し込み位置を正確にする。このようにして、リジッド組み立てにより同軸コネクタの嵌合部材がダメージを受け、さらに信号の伝送安定性を損なうことの発生を効果的に回避する。また、振動、衝撃などによる同軸コネクタの接続信頼性への影響をある程度で解消する。
【0021】
雌側コネクタカバー22及び雌側コネクタ端子23の自動的な復位動作を実現するために、上記フローティング式雌側コネクタ2には、弾性案内板241を増設する必要があり、該弾性案内板241は、2つ設けられ、それぞれ上記シールドシェル24の左右側壁から上へ延設されている。それぞれの弾性案内板241は、弾性サイド当接部2411とアーチ状案内部2412を備え、弾性サイド当接部2411は、雌側コネクタカバー22に当接され、弾性案内板241の内壁から内へ延設されている。アーチ状案内部2412は、弾性案内板241の自由端が外へ曲がって延設されている。同軸コネクタの雄側コネクタ1が同軸コネクタの雌側コネクタ2に対して挿抜された後、弾性案内板241は、直接雌側コネクタカバー22の側壁に当接され、その結果、雌側コネクタカバー22は、サイドからの押し力の作用により雌側コネクタ絶縁体21に対してX方向及び/又はY方向に沿って位置微調整、校正を行い、同軸コネクタの雄側コネクタ1の次の挿着操作のために雌側コネクタカバー22と雌側コネクタ端子23の相対位置を正確にする。
【0022】
上記フローティング式雌側コネクタ2のさらなる改良として、好ましくは、上記弾性サイド当接部2411は、S字形であり、且つ雌側コネクタカバー22の側壁に反対して外へ延びており、それにより、良好な弾性を有し、実際に作動するときに、雌側コネクタカバー22は、よりタイムリーで正確に復位できる。
【0023】
さらに、内へ曲がった弾性突き出し部242がシールドシェル24の前後側壁から上へ延設されてもよく、雄側コネクタ1のハウジングを弾性的に押し当て、それによって、雄側コネクタ1が雌側コネクタ2に対して常に弾性当接状態にあり、両方のリジッド衝撃を回避する一方、マンドレルが雌側コネクタ端子23に対して良好な接触安定性を有する。さらに好ましくは、弾性突き出し部242は、4つ設けられ、シールドシェル24の中軸線に沿って周方向に均等に配置されている。
【0024】
上記弾性支持部233に優れた構造強度及び作動の高感度を付与するために、上記フローティング式雌側コネクタのさらなる改良として、上記弾性支持部233は、好ましくは、前接続体2331と後接続体2332から構成される。具体的には、上記前接続体233は、導通部231の前側壁から下へ延設された前多段曲がり弾性部23311と、該前多段曲がり弾性部23311の下端部に沿って水平に前へ延びており、雌側コネクタ絶縁体21の前側壁に挿設された前固定部23312と、を備える。後接続体2332は、前接続体2331と同様に設けられ、後多段曲がり弾性部と後固定部と、を備える(
図8参照)。
【0025】
さらなる改良として、前多段曲がり弾性部23311及び後多段曲がり弾性部は、いずれもS字形である。S字形部品が外力により押し付けられる又は引っ張られるとき、大きな弾性変形量を有することが知られており、このため、マンドレルにより小さな力が印加されると、弾性支持部233の位置を変えることができ、雌側コネクタ端子23が支持されてフローティングするときの感度が高まる。
【0026】
なお、前多段曲がり弾性部2331は、正方向S字形に設置され、それに対応して、後多段曲がり弾性部は、好ましくは、逆方向S字形に設置され、このようにすると、雌側コネクタ端子23がフローティング作動を行うとき、同じ時刻には、前多段曲がり弾性部2331及び後多段曲がり弾性部は、それぞれ逆方向力による作用を受け、即ち、前多段曲がり弾性部2331が引張力を受け、後多段曲がり弾性部が圧縮力を受け、又は、前多段曲がり弾性部2331が圧縮力を受け、後多段曲がり弾性部が引張力を受け、それによって、雌側コネクタ端子23の適応的位置調整がより安定的になり、また、さらに、マンドレルが雌側コネクタ端子23から抜き出されると、雌側コネクタ端子23は、前多段曲がり弾性部2331及び後多段曲がり弾性部の両方の作用により、次の雄側コネクタ1の挿着操作のために自動的に復位作動を行う。
【0027】
さらに、雌側コネクタカバー22には、それぞれ雌側コネクタカバー22の底壁から左右方向に沿って外へ延設された(
図6参照)制限ブロック222が設置されてもよく、この数は、好ましくは、2つであり、それによって、雄側コネクタ1を下へ差し込む力が過大であることにより雌側コネクタ端子23がダメージを受ける場合を回避する(即ち、雌側コネクタ端子23の弾性支持部233は、下へ差し込むための過大の力を受けると、その自体に過大の変形量が生じて、弾性が失われる)。
【0028】
さらに、シールドシェル24と雌側コネクタ絶縁体21の接続強度、及び取り外しやすさから、シールドシェル24の左右側壁のいずれにも係止爪243(
図9参照)が設けられ、それに対応して、雌側コネクタ絶縁体21の左右側壁には、上記係止爪243と嵌合する係止溝211(
図4参照)が開けられるようにしてもよい。
【0029】
最後に、実際に雄側コネクタ1を雌側コネクタ2に挿入したところ、マンドレルの傾斜角度が所定の範囲以外であれば、雌側コネクタ端子23自体の安定性が急激に低下し、フローティング効果に影響を及ぼすことを見出し、したがって、2つの弾性案内板241のいずれにも、エンボス制限ボス2413が設けられてもよく、1つの弾性案内板241の場合は、エンボス制限ボス2413の数は、2つ以上とし、且つ上記アーチ状案内部2412の前後方向に沿って均等に分布している(
図10参照)。それによって、エンボス制限ボス2413の存在により雌側コネクタ2への雄側コネクタ1の挿入角度が効果的に制御され、フローティングにおける雌側コネクタ端子23の安定性が向上する。
【0030】
当業者であれば、開示された実施例の上記説明に基づいて本発明を実現又は利用することができる。これら実施例に対するさまざまな修正は、当業者にとって明らかなことであり、本明細書において定義された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱せずにほかの実施例においても実現できる。このため、本発明は、本明細書に示されるこれら実施例に制限されるのではなく、本明細書に開示された原理及び新規性と一致する最も広範な範囲である。
【符号の説明】
【0031】
1-雄側コネクタ
2-雌側コネクタ
21-雌側コネクタ絶縁体
211-係止溝
22-雌側コネクタカバー
221-スロット
222-制限ブロック
23-雌側コネクタ端子
231-導通部
232-挿着部
233-弾性支持部
2331-前接続体
23311-前多段曲がり弾性部
23312-前固定部
2332-後接続体
24-シールドシェル
241-弾性案内板
2411-弾性サイド当接部
2412-アーチ状案内部
2413-エンボス制限ボス
242-弾性突き出し部
243-係止爪。