(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 55/06 20060101AFI20220519BHJP
B24B 45/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
B24B55/06
B24B45/00 C
(21)【出願番号】P 2017192841
(22)【出願日】2017-10-02
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】502098662
【氏名又は名称】株式会社エステーリンク
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 文昭
(72)【発明者】
【氏名】市川 文博
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-063949(JP,U)
【文献】特開2007-301638(JP,A)
【文献】特開2010-221383(JP,A)
【文献】特開2006-130575(JP,A)
【文献】特開平08-071884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0298402(US,A1)
【文献】米国特許第05100270(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B24B 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを固定するワーク固定台部に
該ワークを研磨する研磨本体部が備えられ、この研磨本体部には前記ワークに
駆動回転しながら接触して該ワークを研磨する回転研磨部が設けられ、この回転研磨部にはワーク研磨時に生じる研磨粉塵の飛散を防止するカバー部が設けられ、このカバー部には研磨粉塵導出用の導出開口部が設けられ、この導出開口部に
は吸引部の吸引先端開口部
が連設
され、前記カバー部内の研磨粉塵を回収するように構成された研磨装置であって、前記研磨本体部には前記回転研磨部が複数設けられ、前記研磨本体部
を手動により回転可動若しくはスライド可動させて前記ワークに接触させる前記回転研磨部を選
択可能に設けら
れ、この研磨本体部の
前記可動により前記回転研磨部を選択切り替えした
場合、切り替えした前記カバー部の導出開口部と前記吸引部の吸引先端開口部
が連設されるように構成されていることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
請求項1記載の研磨装置において、前記研磨本体部を回転可動若しくはスライド可動さ
せ、前記回転研磨部を前記ワークに接触
する位置に移動させて前記
回転研磨部を選択
した場合、前記カバー部の導出開口部が前記吸引先端開口部
の対向する位置に移動して
前記導出開口部と前記吸引先端開口部とが連設するように構成されていることを特徴とす
る研磨装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の研磨装置において、前記ワーク固定台部に固定した前記ワークに対して前記研磨本体部を接近移動及び退避移動させる移動手段を具備し
、前記移動手段により前記ワークに対して前記研磨本体部を接近移動させて前記回転研磨部で該ワークを研磨する際、前記ワーク固定台部に近接若しくは当接した状態で前記回転研磨部の周囲を被覆するように前記カバー部は構成されていることを特徴とす
る研磨装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の研磨装置において、前記研磨本体部は、
この研磨本体部の鉛直軸の両端部に前記回転研磨部が設けられるとともに、更に、この研磨本体部
の前記鉛直軸に対して交差
する方向に配される
水平軸部の軸線を中心に回転可動自在に設けられ
ており、前記研磨本体部が回転可動することで前記ワークに接触させる前記回転研磨部を選
択可能に設けられていることを特徴とす
る研磨装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の研磨装置において、前記導出開口部及び前記吸引先端開口部の少なくとも一方には開口縁部を囲繞する環状の可撓部材が設けられ、前記導出開口部と前記吸引先端開口部が近接した際、一方の開口縁部に設けられた前記可撓部材が他方の開口縁部に接触して両開口縁部同士間の間隙が閉塞されるように構成されていることを特徴とす
る研磨装置。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の研磨装置において、前記カバー部は、前記回転研磨部の周囲を被覆して前記ワーク固定台部に近接若しくは当接
する形状の先端開口部を有
し、このカバー部の先端開口部は前記回転研磨部
の基端方向に移動自在に設けられていることを特徴とす
る研磨装置。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の研磨装置において、一の前記回転研磨部を前記ワークに接触
する位置に移動さ
せ他の前記回転研磨部をその他の位置に移動させた際、この他の前記回転研磨部が移動配設
することで該回転研磨部を覆う覆い部を具備することを特徴とす
る研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば実用新案登録第3172710号に開示されるような研磨装置(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
この従来例は、回転することでワークを研磨する研磨ヘッドが設けられたヘッド部と、このヘッド部を先端に保持し、リンク機構により先端部が3次元空間内を自在に移動可能に形成されたヘッド保持部と、ワークを載置する上面に複数の穴が設けられたテーブル部と、このテーブル部の下面側から空気を吸い込む吸引装置を有する空気吸引部とを有するものである。
【0004】
この構成から、薄いワークでも吸引して簡易に固定することができ、また、上面からの研磨であるのでワークの姿勢が問われず、さらに、ワークの固定や交換をチャックによる固定に比較して効率よく行うことができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した研磨装置について更なる開発を進め、その結果、非常に実用的な研磨装置を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
ワークWを固定するワーク固定台部50に該ワークWを研磨する研磨本体部1が備えられ、この研磨本体部1には前記ワークWに駆動回転しながら接触して該ワークWを研磨する回転研磨部2が設けられ、この回転研磨部2にはワーク研磨時に生じる研磨粉塵Pの飛散を防止するカバー部3が設けられ、このカバー部3には研磨粉塵導出用の導出開口部3aが設けられ、この導出開口部3aには吸引部4の吸引先端開口部4aが連設され、前記カバー部3内の研磨粉塵Pを回収するように構成された研磨装置であって、前記研磨本体部1には前記回転研磨部2が複数設けられ、前記研磨本体部1を手動により回転可動若しくはスライド可動させて前記ワークWに接触させる前記回転研磨部2を選択可能に設けられ、この研磨本体部1の前記可動により前記回転研磨部2を選択切り替えした場合、切り替えした前記カバー部3の導出開口部3aと前記吸引部4の吸引先端開口部4aが連設されるように構成されていることを特徴とする研磨装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の研磨装置において、前記研磨本体部1を回転可動若しくはスライド可動させ、前記回転研磨部2を前記ワークWに接触する位置に移動させて前記回転研磨部2を選択した場合、前記カバー部3の導出開口部3aが前記吸引先端開口部4aの対向する位置に移動して前記導出開口部3aと前記吸引先端開口部4aとが連設するように構成されていることを特徴とする研磨装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の研磨装置において、前記ワーク固定台部50に固定した前記ワークWに対して前記研磨本体部1を接近移動及び退避移動させる移動手段53を具備し、前記移動手段53により前記ワークWに対して前記研磨本体部1を接近移動させて前記回転研磨部2で該ワークWを研磨する際、前記ワーク固定台部50に近接若しくは当接した状態で前記回転研磨部2の周囲を被覆するように前記カバー部3は構成されていることを特徴とする研磨装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の研磨装置において、前記研磨本体部1は、この研磨本体部1の鉛直軸の両端部に前記回転研磨部2が設けられるとともに、更に、この研磨本体部1の前記鉛直軸に対して交差する方向に配される水平軸部5の軸線を中心に回転可動自在に設けられており、前記研磨本体部1が回転可動することで前記ワークWに接触させる前記回転研磨部2を選択可能に設けられていることを特徴とする研磨装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の研磨装置において、前記導出開口部3a及び前記吸引先端開口部4aの少なくとも一方には開口縁部を囲繞する環状の可撓部材6が設けられ、前記導出開口部3aと前記吸引先端開口部4aが近接した際、一方の開口縁部に設けられた前記可撓部材6が他方の開口縁部に接触して両開口縁部同士間の間隙が閉塞されるように構成されていることを特徴とする研磨装置に係るものである。
【0013】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の研磨装置において、前記カバー部3は、前記回転研磨部2の周囲を被覆して前記ワーク固定台部50に近接若しくは当接する形状の先端開口部を有し、このカバー部3の先端開口部は前記回転研磨部2の基端方向に移動自在に設けられていることを特徴とする研磨装置に係るものである。
【0014】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の研磨装置において、一の前記回転研磨部2を前記ワークWに接触する位置に移動させ他の前記回転研磨部2をその他の位置に移動させた際、この他の前記回転研磨部2が移動配設することで該回転研磨部2を覆う覆い部7を具備することを特徴とする研磨装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、ワークを良好に研磨することができ、また、ワーク研磨時に生じる研磨粉塵の飛散を防止して良好な作業完了を提供することができ、しかも、この研磨粉塵の飛散防止構造が効率の良い簡易構造の為、コスト安にして量産性に秀れるなど、非常に実用的な研磨装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
ワークWをワーク固定台部50に固定し、この固定されたワークWに研磨本体部1に設けられた回転研磨部2を回転させながら接触させて研磨する。
【0019】
本発明は、研磨本体部1に回転研磨部2が複数設けられており、研磨本体部1を可動することでワークWに接触させる回転研磨部2を選択使用することができる。
【0020】
従って、例えば、各回転研磨部2を研磨条件の異なる構造とすれば、ワークWに接触させる回転研磨部2を選択切り替えすることで種々の研磨が迅速且つ良好に行えることになる。
【0021】
ところで、本発明は、この各回転研磨部2にはワーク研磨時に生じる研磨粉塵Pの飛散を防止するカバー部3が設けられ、このカバー部3には研磨粉塵導出用の導出開口部3aが設けられ、この導出開口部3aに吸引部4の吸引先端開口部4aを連設し、カバー部3内の研磨粉塵Pを回収するように構成されている。
【0022】
従って、ワーク研磨時において、カバー部3により研磨粉塵Pの飛散は防止され、更に、このカバー部3内の研磨粉塵Pは吸引部4で吸引されて回収されることになる為、良好な作業環境が得られることになる。
【0023】
また、本発明は、研磨本体部1の可動により回転研磨部2を選択切り替えした際に、カバー部3の導出開口部3aと吸引部4の吸引先端開口部4aが切り替え連設されるように構成されている。
【0024】
つまり、複数設けられる回転研磨部2の数に応じて吸引部4を複数設けた構造ではなく、一つの吸引部4で複数の回転研磨部2に対応することができて極めて効率の良い簡易構造である為、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【実施例】
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、ワークWを固定するワーク固定台部50にこのワークWを研磨する研磨本体部1が備えられ、ワーク固定台部50に固定したワークWに対して研磨本体部1を接近移動及び退避移動させる移動手段53を具備し、この研磨本体部1にはワークWに回転しながら接触して該ワークWを研磨する回転研磨部2が設けられ、この回転研磨部2には、移動手段53によりワークWに対して研磨本体部1を接近移動させて回転研磨部2で該ワークWを研磨する際、ワーク固定台部50に近接若しくは当接した状態で回転研磨部2の周囲を被覆することで、ワーク研磨時に生じる研磨粉塵Pの飛散を防止するカバー部3が設けられ、この導出開口部3aに吸引部4の吸引先端開口部4aを連設し、カバー部3内の研磨粉塵Pを回収するように構成された研磨装置である。
【0027】
以下、本実施例係る構成各部について詳細な説明をする。
【0028】
ワーク固定台部50は、
図1に図示したようにボックス形状の装置本体51の上面部に多数の通気孔52aを有するワーク載置部52が設けられ、また、この装置本体51の内部にワーク載置部52付近の空気を通気孔52aを介して吸引する吸引装置(図示省略)が設けられたものである。
【0029】
従って、吸引装置を作動させてワーク載置部52付近の空気を通気孔52aを介して吸引すると、ワーク載置部52に載置されたワークWは吸引固定される。
【0030】
尚、ワーク固定台部50におけるワーク固定手段としては前述した吸引構造に限らず、チャック等の治具を使用した構造でも良いなど、本実施例の特性を発揮する構造であれば前述した構造に限られないのは勿論である。符号51aは本実施例で具備する各種装置の作動を制御する制御部の操作部である。
【0031】
また、ワーク固定台部50には、研磨本体部1を保持して移動させる移動手段53が設けられている。
【0032】
この移動手段53は、
図1に図示したようにワーク固定台部50の後方部に設けられる基部53aに水平回動自在に枢着される第一アーム部53bと、この第一アーム部53bの先端部に水平回動自在にして上下回動自在に枢着される第二アーム部53cとから成るリンク機構を備えたアーム構造体であり、第二アーム部53cの先端部には、該第二アーム部53cの先端部を移動させる際に握持する把手部54が設けられている。
【0033】
従って、作業者は把手部54を持ち、手動にて研磨本体部1を移動手段53を介してワーク固定台部50の上を上下左右前後方向(3次元方向)にフレキシブルに移動させることができ、ワーク固定台部50に固定したワークWに対して第二アーム部53cの先端部(研磨本体部1)を接近移動及び退避移動させることができる。尚、移動手段53は手動式でなく自動式(電動式)でも良いなど、本実施例の特性を発揮する構造であれば前述した構造に限られないのは勿論である。
【0034】
また、第二アーム部53cの先端部には、後述する研磨本体部1を保持する保持部55が設けられている。
【0035】
この保持部55は、
図5,6に図示したように移動手段53(第二アーム部53c)の先端部に上下方向に首振り可動自在に設けられた連結部材55aに、研磨本体部1と交差連設される
水平軸部5を設けて構成されている。
【0036】
従って、この水平軸部5の軸線を中心に研磨本体部1は上下方向に回転可動させることができる。
【0037】
また、本実施例は、研磨本体部1の回転可動をロックする回転ロック部10が設けられている。
【0038】
この回転ロック部10は、
図5,6,8,9に図示したように研磨本体部1に設けられた係止杆10aと、この係止杆10aが貫挿係止する連結部材55aに設けられた係止孔10bとで構成され、後述する可動規制部8で研磨本体部1が180度の範囲で回動規制される際、係止杆10aが係止孔10bに貫挿係止して研磨本体部1の回転可動はロックされるように構成されている。
【0039】
また、係止杆10aは図示省略の付勢部材の付勢に抗して引動し得るように構成されており、係止孔10bに貫挿係止した状態で係止杆10aを引動すると、係止孔10bに対する貫挿係止が解除され、この引動した指を離すと復帰動して係止孔10bに貫挿係止する。この係止孔10bは、可動規制部8で回動規制された際に、係止杆10aの対向する位置(本実施例では2箇所)に設けられている。
【0040】
尚、更に係止孔10bを研磨本体部1を90度回転可動させた状態(
図8の状態)で係止杆10aが貫挿係止する位置に設けても良い。
【0041】
また、本実施例では、水平軸部5における研磨本体部1に対する連設位置は、研磨本体部1の重心付近となるように設けられている。即ち、水平軸部5との連設位置から、後述する両端部の回転研磨部2,カバー部3及び導出開口部3aは略等距離に設けられている。
【0042】
従って、重心が両端部のうちいずれか一方の端部側に大きくずれていると、前述した回動ロック部10を解除した際、自重により勝手に回動してしまう場合があり危険であるが、前述した構成からこの問題は確実に解消されることになる。
【0043】
また、保持部55と研磨本体部1との間には、該研磨本体部1の可動を規制する可動規制部8が設けられている。
【0044】
この可動規制部8は、研磨本体部1が可動(回転可動)する範囲においてこの研磨本体部1に設けられた係止部8aが突き当て係止する係合部8bを連結部材55aに設けて構成されている。
【0045】
また、この可動規制部8は、研磨本体部1の可動を180度の範囲で規制するように構成されており、よって、後述する研磨本体部1の両端部の回転研磨部2は180度の範囲で回転可動(上下反転)することになる(
図5,8,9参照)。
【0046】
また、本実施例では、ワーク研磨時に生じる研磨粉塵Pを回収する吸引部4が設けられている。
【0047】
この吸引部4は、前述したワーク固定台部50の装置本体51内に設けられる吸引装置から延設される吸引管部4bと、この吸引管部4bの先端部に設けられる吸引先端開口部4aとで構成されている。
【0048】
この吸引先端開口部4aは保持部55(連結部材55a)に設けられ、吸引管部4bの先端部に設けられた方形開口部であり、後述するカバー部3の導出開口部3aが対向合致する位置で連設されるように構成されている。
【0049】
また、
図3に図示したように吸引先端開口部4aには開口縁部を囲繞する環状の可撓部材6(モヘア)が設けられている。尚、この可撓部材6はゴム製(ゴムパッキン)でも良い。
【0050】
この可撓部材6は、導出開口部3aと吸引先端開口部4aが近接した際、この吸引先端開口部4aの開口縁部に設けられた可撓部材6が導出開口部3aの開口縁部に接触して両開口縁部同士間の間隙が閉塞されるように構成されている。
【0051】
尚、この可撓部材6を設ける位置は導出開口部3aの開口縁部のみに設けても良いし、導出開口部3a及び吸引先端開口部4a双方の開口縁部に設けても良い。また、この両開口縁部同士間の間隙を閉塞するとは完全密閉だけを指すものではない。また、本実施例のように可撓部材6を設けなくても良く、導出開口部3aと吸引先端開口部4aの両開口縁部同士間の隙間を可及的に減らした構造に設計する事でも良い。
【0052】
研磨本体部1は、ワーク固定台部50に固定されたワークWに回転しながら接触して該ワークWを研磨する回転研磨部2が複数設けられている。
【0053】
具体的には、研磨本体部1は、
図1,2に図示したように両端部に回転駆動軸部9を備えた両軸タイプのモーターであり、この各回転駆動軸部9の先端部に円形板材の表面に研磨ブラシ(バリ取りブラシ)が多数植設された研磨部材2aを設けることで回転研磨部2として構成されている。尚、この各回転研磨部2を構成する研磨部材2aは回転駆動軸部9に対して着脱自在に設けられており、また、研磨部材2aとして互いに研磨条件の異なる構造の研磨部材2aが採用されている。
【0054】
また、研磨本体部1は、前述した移動手段53の保持部55に設けられ、この研磨本体部1の鉛直軸と交差連設される水平軸部5の軸線を中心に回転可動自在(上下反転自在)に設けられており、この研磨本体部1が回転可動することで該研磨本体部1の両端部に設けられた回転研磨部2が交互に上下位置に配されることになる。
【0055】
つまり、研磨本体部1の回転可動(上下反転)に伴いワークWに接触させる回転研磨部2を選択使用可能となる。
【0056】
尚、本実施例では、回転研磨部を研磨本体部の中央部を中心とした放射方向に2つ設けられた構造であるが、放射方向に3つ以上設けても良く、また、研磨本体部の可動は回転可動に限らずスライド可動でも良く、この可動方向も上下方向に限らず水平方向でも良い。
【0057】
また、回転研磨部2夫々には、ワーク研磨時に生じる研磨粉塵Pの飛散を防止するカバー部3が設けられている。
【0058】
この各カバー部3は、
図1~5,7~9に図示したように研磨本体部1の端部に取付けられる基体3’と、この基体3’に設けられる筒状体3”とで構成されている。
【0059】
また、この各カバー部3は、移動手段53によりワークWに対して研磨本体部1を接近移動させて回転研磨部2で該ワークWを研磨する際、ワーク固定台部50に近接した状態で回転研磨部2の周囲を被覆するように構成されている。
【0060】
筒状体3”は、適宜な透明樹脂製の部材で形成したものであり、基体3’に対してスライド自在に設けられている。
【0061】
従って、カバー部3の先端開口部は回転研磨部2の先端基端方向(本実施例は上下方向)に移動自在となり、例えば研磨部材2aが摩耗して短くなった場合などに応じてカバー部3(先端開口部)を回転研磨部2の基端方向に移動させることができる(
図4参照)。
【0062】
また、各カバー部3には、研磨粉塵導出用の導出開口部3aが設けられている。
【0063】
この導出開口部3aは、基体3’に突設された方形開口部であり、回転研磨部2をワークWに接触して研磨する状態に位置させた際、前述した吸引部4の吸引先端開口部4aと対向合致する位置に設けられている。
【0064】
つまり、研磨本体部1を回転可動させて回転研磨部2をワークWに接触し得る位置に移動させて研磨回転部2を選択切り替えすると、吸引先端開口部4aに導出開口部3aが対向する位置に移動して切り替え連設するように構成されている。
【0065】
また、本実施例では、一の回転研磨部2をワークWに接触し得る位置に移動させて他の回転研磨部2をその他の位置に移動させた際、この他の回転研磨部2が移動配設されることで該回転研磨部2を覆う覆い部7を具備する。
【0066】
この覆い部7は、保持部55の上端部に設けられたケース状体であり、カバー部3の先端開口部を覆うことで回転研磨部2を覆うように構成されている。
【0067】
従って、回転研磨部2を切り替える一連の動きの中でこの回転研磨部2が覆い部7で自動的に覆われ、この覆い部7により、回転研磨部2に対する接触を防止することができる。
【0068】
本実施例は上述のように構成したから、ワークWをワーク固定台部50に吸引固定し、この固定されたワークWに研磨本体部1に設けられた回転研磨部2を回転させながら接触させて研磨する。
【0069】
本実施例は、研磨本体部1に回転研磨部2が複数設けられており、研磨本体部1を可動することでワークWに接触させる回転研磨部2を選択使用することができる。
【0070】
従って、例えば、各回転研磨部2を研磨条件の異なる構造とすれば、ワークWに接触させる回転研磨部2を選択切り替えすることで種々の研磨が迅速且つ良好に行えることになる。
【0071】
ところで、本実施例は、この各回転研磨部2にはワーク研磨時に生じる研磨粉塵Pの飛散を防止するカバー部3が設けられ、このカバー部3には研磨粉塵導出用の導出開口部3aが設けられ、この導出開口部3aに吸引部4の吸引先端開口部4aを連設し、カバー部3内の研磨粉塵Pを回収するように構成されている。
【0072】
従って、ワーク研磨時において、カバー部3により研磨粉塵Pの飛散は防止され、更に、このカバー部3内の研磨粉塵Pは吸引部4で吸引されて回収されることになる為、良好な作業環境が得られることになる。
【0073】
また、本実施例は、研磨本体部1の可動により回転研磨部2を選択切り替えした際に、カバー部3の導出開口部3aと吸引部4の吸引先端開口部4aが切り替え連設されるように構成されている。
【0074】
つまり、複数設けられる回転研磨部2の数に応じて吸引部4を複数設けた構造ではなく、一つの吸引部4で複数の回転研磨部2に対応することができて極めて効率の良い簡易構造である為、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【0075】
また、本実施例は、研磨本体部1を回転可動若しくはスライド可動させて回転研磨部2をワークWに接触し得る位置に移動させて研磨回転部2を選択切り替えすると、吸引先端開口部4aに導出開口部3aが対向する位置に移動して切り替え連設するように構成されているから、研磨本体部1を回転可動させる操作だけで研磨粉塵Pを吸引して回収する状態が得られることになる。
【0076】
また、本実施例は、ワーク固定台部50に固定したワークWに対して研磨本体部1を接近移動及び退避移動させる移動手段53を具備し、回転研磨部2には、移動手段53によりワークWに対して研磨本体部1を接近移動させて回転研磨部2で該ワークWを研磨する際、ワーク固定台部50に近接若しくは当接した状態で回転研磨部2の周囲を被覆するようにカバー部3は構成されているから、作業者の思い通りの位置に研磨本体部1を移動させてワークWを研磨することができ、しかも、この研磨の際、ワーク研磨時に生じる研磨粉塵Pを確実に回収することができる。
【0077】
また、本実施例は、研磨本体部1は、該研磨本体部1と交差連設される水平軸部5の軸線を中心に回転可動自在に設けられるとともに、この研磨本体部1の両端部に回転研磨部2が設けられており、研磨本体部1が回転可動することでワークWに接触させる回転研磨部2を選択使用可能に設けられているから、研磨本体部1を反転させるだけでワークWに対する良好な研磨が行えることになる。
【0078】
また、本実施例は、導出開口部3a及び吸引先端開口部4aの少なくとも一方には開口縁部を囲繞する環状の可撓部材6が設けられ、導出開口部3aと吸引先端開口部4aが近接した際、一方の開口縁部に設けられた可撓部材6が他方の開口縁部に接触して両開口縁部同士間の間隙が閉塞されるように構成されているから、研磨粉塵Pを回収する際の漏れを可及的に防止することができる。
【0079】
また、本実施例は、カバー部3は、回転研磨部2の周囲を被覆してワーク固定台部50に近接若しくは当接させる先端開口部を有する形状であり、カバー部3は後退移動自在に設けられているから、回転研磨部2の状態に合わせてカバー部3の位置を任意に変更することができる。
【0080】
また、本実施例は、一の回転研磨部2をワークWに接触し得る位置に移動させて他の回転研磨部2をその他の位置に移動させた際、この他の回転研磨部2が移動配設されることで該回転研磨部2を覆う覆い部7を具備するから、研磨使用しない回転研磨部2に接触することを防止することができ安全となる。
【0081】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0082】
P 研磨粉塵
W ワーク
1 研磨本体部
2 回転研磨部
3 カバー部
3a 導出開口部
4 吸引部
4a 吸引先端開口部
5 水平軸部
6 可撓部材
7 覆い部
50 ワーク固定台部
53 移動手段