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特許7075682半導電性単層カーボンナノチューブ及び有機半導電性材料を含む有機電界効果トランジスタ
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  • 特許-半導電性単層カーボンナノチューブ及び有機半導電性材料を含む有機電界効果トランジスタ 図1
  • 特許-半導電性単層カーボンナノチューブ及び有機半導電性材料を含む有機電界効果トランジスタ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】半導電性単層カーボンナノチューブ及び有機半導電性材料を含む有機電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20220519BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20220519BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20220519BHJP
   C08G 61/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/28 100A
H01L29/28 250E
H01L29/28 250G
H01L29/28 220A
H01L29/78 618E
C08G61/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020546467
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019055522
(87)【国際公開番号】W WO2019170719
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】18160612.0
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520139099
【氏名又は名称】クラップ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLAP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジュンゴウ
(72)【発明者】
【氏名】イム,スマン
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンミン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,シャンツ
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-156502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0026214(US,A1)
【文献】特表2008-511735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351629(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0124737(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0141319(US,A1)
【文献】特開2006-303507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0365247(US,A1)
【文献】Kenneth D. Harris et al.,High Mobility, Air-Stable Organic Transistors from Hexabenzocoronene/Carbon Nanotube Bilayers,THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY C,米国,ACS Publications,2007年10月11日,Volume 111, Issue 48,pp. 17947-17951,DOI:10.1021/jp071898i
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 51/05
H01L 51/30
C08G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークからなる第1層、及び
ii)有機半導電性材料からなる第2層
で構成された二重層を含み、
前記有機半導電性材料は、下記式(1)で表される単位からなるジケトピロロピロール系ポリマーである、有機電界効果トランジスタ
【化1】
前記式(1)において、
は、
【化2】
であり、
は、C 6-14 -アルキルであり、
は、C 2-12 -アルキルであり、
nは1で、mは0であり、
Ar 及びAr は、
【化3】
であり、
及びL は、互いに独立して、
【化4】
よりなる群から選ばれ、
及びR は、互いに独立して、C 6-30 -アルキルであり、
d及びeは、互いに独立して、0又は1である
【請求項2】
前記単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークは、半導電性単層カーボンナノチューブの含量が99重量%以上である、請求項1に記載の有機電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記第1層は、単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークからなる、請求項1に記載の有機電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記有機電界効果トランジスタは、ボトムゲート(bottom-gate)有機電界効果トランジスタである、請求項1~のいずれかに記載の有機電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記二重層の前記第2層は、該二重層の前記第1層の上部にある、請求項に記載の有機電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記二重層の前記第1層は、接着層の上部にある、請求項に記載の有機電界効果トランジスタ。
【請求項7】
i)半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブを含む組成物を堆積させて、半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークからなる第1層を形成する段階と、
ii)有機半導電性材料を含む組成物を堆積させて、有機半導電性材料からなる第2層を形成する段階と
を含み、
前記有機半導電性材料は、下記式(1)で表される単位からなるジケトピロロピロール系ポリマーである、請求項1に記載の有機電界効果トランジスタの製造方法
【化5】
前記式(1)において、
は、
【化6】
であり、
は、C 6-14 -アルキルであり、
は、C 2-12 -アルキルであり、
nは1で、mは0であり、
Ar 及びAr は、
【化7】
であり、
及びL は、互いに独立して、
【化8】
よりなる群から選ばれ、
及びR は、互いに独立して、C 6-30 -アルキルであり、
d及びeは、互いに独立して、0又は1である
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単層カーボンナノチューブの浸透ネットワーク(percolating network of single-walled carbon nanotubes)を含む第1層及び有機半導電性材料を含む第2層から構成された二重層を含む有機電界効果トランジスタ及び前記有機電界効果トランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、数年間、有機電界効果トランジスタ(OFETs)において単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の使用に対する関心が高まった。
【0003】
初期に、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、電子装置において金属性及び半導電性単層カーボンナノチューブの混合物として使用され、その当時に成長方法としては、金属性及び半導電性単層カーボンナノチューブの混合物を収得した。単層カーボンナノチューブにおいて半導電性単層カーボンナノチューブを豊富にする方法が利用可能になった以後には、半導電性単層カーボンナノチューブが豊富な単層カーボンナノチューブが電子装置において使用された。
【0004】
下記の刊行物(publications)には、単層カーボンナノチューブを使用した有機電界効果トランジスタが記載されている。
【0005】
X.-Z.Bo,C.Y.Lee,M.S.Strano,M.Goldfinger,C.Nuckolis and G.B.Blanchet,Applied Physical Letters 2005,86,182102には、半導電層として金属性SWCNTと半導電性SWCNTの比が1:2であり、ポリ(3-ヘキシル-チオフェン)(P3HT)であるそれぞれの単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の複合層を有するボトムゲート・トップコンタクト(bottom-gate,top-contact、BGTC)有機電界効果トランジスタが記載されている。この複合層は、SWCNTの分散液とポリチオフェン溶液を混合し、複合混合物を基板上にスピン-コーティングすることによって製造される。
【0006】
Shuhong Liu,Alejandro L.Briseno,Stefan CB.Mannsfeld,Wie You,Jason Locklin,Hang Woo Lee,Youman Xia and Zhenan Bao,Advanced Functional Materials 2007,17,2891-2896には、パターン化されたSWCNTバンドル上に有機半導体結晶を成長させることによって製造された単結晶有機半導体を含む有機電界効果トランジスタが記載されている。パターン化されたSWCNTは、スタンプを使用して印刷することによって得られる。印刷されたSWCNTバンドルは、ソース-ドレイン電極(source-drain electrodes)の間に連結された経路を形成しない。
【0007】
Shuhang Liu,Stefan C.B.Mannsfeld,Melbs C.Le Mieux,Hang W.Lee and Zhenon Bao,Applied Physical Letters 2008,92,053306には、カーボンナノチューブ(CNT)ランダムアレイ上にペンタセン(pentacene)又はセキシチオフェン(sexithiophene)層を含むボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)有機電界効果トランジスタが記載されている。このCNTランダムアレイは、CNTの分散液をスプレーコーティングすることによって製造される。このCNTランダムアレイは、ソース-ドレイン電極の間に連結された経路を形成しない。ペンタセンを含むボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)有機電界効果トランジスタ(OFET)の場合、1.20cm/Vsの最も高い移動度に到達する。
【0008】
Gen-Wen HsieH,Flora M.Li,Paul Beecher,Arokia Nathan,Yiliang Wu,Beng S.Ong and William I.Milne,Journal of Applied Physics,2009,106,123706には、分離したSWCNTs分散液をインクジェットプリンティングすることによって得られた薄い非浸透単層カーボンナノチューブ(SWCNT)層の上部にインクジェットプリンティングすることによって得られたポリ[5,5’-ビス(3-ドデシル-2-チエニル)-2,2’-ビチオフェン(PQT-12)層を含む二重層を含むボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)有機電界効果トランジスタが記載されている。有機電界効果トランジスタ(OFET)の移動度は、0.228cm/Vsである。
【0009】
米国特許公開第2011/0121273号公報は、環及びチオフェン環に窒素-含有二重結合を有する融合ヘテロアリール単位を含む反復単位を含む共役ポリマーをカーボンナノチューブ表面の少なくとも一部に付着したカーボンナノチューブ(CNT)複合体及びカーボンナノチューブ(CNT)複合体を含む半導電層を有する有機電界効果トランジスタを開示している。半導電層は、CNT複合層、半導体に分散したCNT複合層を含む層又は二重層であって、1つの層はCNT複合層を含み、他の層は有機半導体を含む。目的は、低いヒステリシスの有機電界効果トランジスタにある。
【0010】
米国特許公開第2013/0048949号公報は、炭素質のナノ物質から誘導された薄膜半導体及び有機-無機複合自己組織化の多重層から構成された誘電体層を含むボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)薄膜トランジスタ(TFT)装置を開示している。炭素質のナノ物質は、単一又は多重壁ナノチューブ、好ましくは金属性カーボンナノチューブ(CNT)が約1%以下である半導電性カーボンナノチューブであり得る。99%の純粋な半導電性単層カーボンナノチューブ(sc-SWCNT)を使用した例示されたボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)TFTでは、1~5cm/Vsの移動度、>10のオン-オフ電流比率(on-off current ratios)を有する。
【0011】
Smithson,C;Wu,Y.;Wigglesworth,Τ.;Gardner,S.;Zhu,S.;Nie Η.-Y.,Organic Electronics 2014,15,2639-2646には、ジケトピロロピロール-クォーターチオフェン(DPP-QT)の半導電性ポリマーと金属性及び半導電性単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)混合物の複合体を含む有機薄膜トランジスタの製造が記載されている。ボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)有機電界効果トランジスタにおいてDPP-QT及びSWCNT複合体の最大移動度は、1.3cm/Vsであった。
【0012】
Ting Lei,Ying-Chih Lai,Guonsong Hong,Huiliang Wang,Pascal Hayoz,R.Thomas Weitz,Changxin Chen,Hongjie Dai and Zhenan Bao,Small,2015,11,24,2946-2954には、主に約1.5nmの直径を有する半導電性単層カーボンナノチューブの半導電層を含むボトムゲート・ボトムコンタクト(BGBC)薄膜トランジスタ(TFTs)が記載されている。TFTは、41.2cm/Vsの高い移動度と10より大きい高いオン-オフ比率を開示している。半導電性単層カーボンナノチューブ層は、トルエンに含まれた半導電性単層カーボンナノチューブがラッピングされたジケトピロロピロール(DDP)系ポリマー溶液を基板に浸漬させた後、多くのDDP-基板ポリマーを除去するためにトルエンで洗浄し収得した。
【0013】
Tae-Jun Ha,Daisuke Kiriya,Kevin Chen,Ali Javey,Applied Materials & Interfaces 2014,6,8441 to 8446には、ヒステリシス-フリー(hysteresis-free)カーボンナノチューブボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)有機電界効果トランジスタがカーボンナノチューブ層の上部にフルオロポリマー テフロンTM AF(fluoropolymer TeflonTM AF)層を使用することが記載されている。この有機電界効果トランジスタ(OFET)は、また、空気中又は水中で作動安定性を示す。フルオロポリマー テフロンTM AF層の代わりに、フルオロポリマーサイトップ(Cytop)層、ポリメチルメタクリレート(PMMA)層又はパリレンC(parylene C)層も使用される。
【0014】
このような、単層カーボンナノチューブを含む有機電界効果トランジスタの製造のための既知の方法は、依然として欠陥を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許公開第2011/0121273号公報
【文献】米国特許公開第2013/0048949号公報
【非特許文献】
【0016】
【文献】X.-Z.Bo,C.Y.Lee,M.S.Strano,M.Goldfinger,C.Nuckolis and G.B.Blanchet,Applied Physical Letters 2005,86,182102
【文献】Shuhong Liu,Alejandro L.Briseno,Stefan CB.Mannsfeld,Wie You,Jason Locklin,Hang Woo Lee,Youman Xia and Zhenan Bao,Advanced Functional Materials 2007,17,2891-2896
【文献】Shuhang Liu,Stefan C.B.Mannsfeld,Melbs C.Le Mieux,Hang W.Lee and Zhenon Bao,Applied Physical Letters 2008,92,053306
【文献】Gen-Wen HsieH,Flora M.Li,Paul Beecher,Arokia Nathan,Yiliang Wu,Beng S.Ong and William I.Milne,Journal of Applied Physics,2009,106,123706
【文献】Smithson,C;Wu,Y.;Wigglesworth,Τ.;Gardner,S.;Zhu,S.;Nie Η.-Y.,Organic Electronics 2014,15,2639-2646
【文献】Ting Lei,Ying-Chih Lai,Guonsong Hong,Huiliang Wang,Pascal Hayoz,R.Thomas Weitz,Changxin Chen,Hongjie Dai and Zhenan Bao,Small,2015,11,24,2946-2954
【文献】Tae-Jun Ha,Daisuke Kiriya,Kevin Chen,Ali Javey,Applied Materials & Interfaces 2014,6,8441 to 8446
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、改善された性能の有機電界効果トランジスタ、特に低いヒステリシス(hysteresis)だけでなく、高い移動度(mobilities)を有する有機電界効果トランジスタを提供することにある。
【0018】
このような本発明の目的は、請求項1に記載の有機電界効果トランジスタ及び請求項14に記載の有機電界効果トランジスタの製造方法により解決される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の有機電界効果トランジスタは、
i)半導電性単層カーボンナノチューブ(semiconducting single-walled carbon nanotubes)の含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワーク(percolating network of single-walled carbon nanotubes)からなる第1層、及び
ii)有機半導電性材料(organic semiconducting material)からなる第2層
で構成された二重層を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有機電界効果トランジスタは、ヒステリシスが低いだけでなく、高い移動度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、i)半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の浸透ネットワークからなる第1層、及びii)有機半導電性材料(OSC)からなる第2層で構成された二重層を含む、本発明のボトムゲート・トップコンタクト(bottom-gate,top-contact、BGTC)有機電界効果トランジスタの製造方法を示す。
図2図2は、ポリ-L-リジン接着層上に、市販の単層カーボンナノチューブ組成物(IsoNanotubes-STM、Nanointegris社製、半導電性単層カーボンナノチューブの含量:99.9重量%、溶液中のSWCNTの濃度:0.001重量%、直径範囲:1.2~1.7nm、長さ範囲:300nm~5μm)をドロップキャストして製造された半導電性単層カーボンナノチューブの含量が99.9重量%である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークからなる第1層の電界放出形走査電子顕微鏡(FESEM)イメージを示す。
図3図3は、ゲート電圧のスキャンが10~-30Vでの飽和領域(saturation regime)における、有機半導電性材料としてポリマー1aを含む実施例2のボトムゲート・トップコンタクト(bottom-gate,top-contact、BGTC)有機電界効果トランジスタの、ゲート-ソース電圧(gate-source voltage(Vg))に対するドレイン電流(drain current(Id))の転移特性(transfer characteristics)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の有機電界効果トランジスタは、
i)半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークからなる第1層、及び
ii)有機半導電性材料からなる第2層
で構成された二重層を含む。
【0023】
第1層は、本質的に単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークから構成され得て、単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークの他に、追加材料を含むことができる。追加材料の一例としては、コール酸ナトリウム(sodium cholate)、硫酸ドデシルナトリウム(sodium dodecyl sulfate)又は有機半導電性材料のような胆汁酸塩(bile salts)がある。第1層の有機半導電性材料は、下記に羅列された第2層の有機半導電性材料のうち1つであり得る。第1層の有機半導電性材料と第2層の有機半導電性材料とは、同じでも、異なっていてもよい。
【0024】
好ましくは、第1層は、本質的に単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークから構成される。第1層が、第1層の重量を基準として単層カーボンナノチューブを95重量%以上、好ましくは98重量%以上含む場合、第1層は、本質的に単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークから構成される。
【0025】
第1層が、本質的に単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークから構成される場合、浸透ネットワークは、単層カーボンナノチューブの2次元ネットワークである。
【0026】
第1層が、単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークの他に追加材料を含む場合、浸透ネットワークは、単層カーボンナノチューブの3次元ネットワークである。
【0027】
単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークは、単層カーボンナノチューブのネットワークであって、ドレイン電極とソース電極との間の連結を設定する。
【0028】
単層カーボンナノチューブの2次元ネットワークについて、単層カーボンナノチューブの平均密度がμm当たり5個を超える単層カーボンナノチューブであるか、単層カーボンナノチューブの3次元ネットワークについて、単層カーボンナノチューブの平均密度がμm当たり20個を超える単層カーボンナノチューブであれば、ドレイン電極とソース電極との間の連結が設定される。第1層における単層カーボンナノチューブの平均密度は、走査電子顕微鏡(SEM)により決定され得る。
【0029】
最も好ましくは、単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークは、半導電性単層カーボンナノチューブを99重量%以上の含量で有する。
【0030】
単層カーボンナノチューブは、0.5~10nmの範囲の直径を有することができる。好ましくは、単層カーボンナノチューブは、0.5~3nmの直径、より好ましくは0.5~2nmの直径を有する。
【0031】
単層カーボンナノチューブは、0.001~10μmの範囲の長さを有することができる。好ましくは、単層カーボンナノチューブは、0.1~100μmの長さ、より好ましくは0.1~10μmの長さ、さらに好ましくは0.05~1μmの長さ、最も好ましくは0.05~0.5μmの長さを有する。
【0032】
単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)は、高圧一酸化炭素分解(high pressure carbon monoxide decomposition(HiPCO))、Co-Mo触媒(CoMoCAT)、レーザアブレーション(laser ablation)、アーク放電(arc discharge)及び化学気相成長法(chemical vapor deposition)(CVD)のような当該技術分野にて公知の多様な方法により成長させることができる。前記方法により得られたSWCNTsは、それらのチューブ直径、長さ及び巻き付け角(wrapping angle)が多様であり、半導電性及び金属性SWCNTsの混合物である。
【0033】
半導電性及び金属性SWCNTsの混合物から半導電性SWCNTの量を豊富にするための、いくつかのポスト成長方法(post-growth method)がある。
【0034】
Ralph Krupke,Frank Hennrich、Hibert von Lohneysen and Manfred M.Kappes,Science 2003,301,344 to 347には、交流誘電泳動(alternating current dielectrophoresis)による金属性及び半導電性SWCNTの分離が記載されている。
【0035】
Michael S.Arnold,Alexander A.Green,James F.Hulvat,Samuel I.Stupp and Mark C.Hersam,Nature Nanotechnology 2006,1,60 to 65には、界面活性剤としてコール酸ナトリウムのような胆汁酸塩(bile salts)の存在下で、密度差を用いた遠心分離法(density gradient ultracentrifugation)による金属性及び半導電性SWCNTの分離が記載されている。
【0036】
Yasumitsu Miyata,Kazunari shiozwa,Yukiasada,Yutaka Ohno,Ryo Kitaura,Takashi Mitzutani and Hisanori Shinohara,Nano Research 2011,4(10),963-970には、SWCNTs及びコール酸ナトリウムの混合物の遠心分離、上澄み液の分離及び上澄み液に硫酸ドデシルナトリウムを添加した後の上澄み液のゲル濾過を含む、半導電性及び金属性SWCNTの混合物から半導電性SWCNTを豊富にする方法が記載されている。
【0037】
半導電性及び金属性SWCNTの混合物を共役ポリマーに分散させた後、遠心分離して、共役ポリマーと共に豊富な半導電性単層カーボンナノチューブを収得することができる。例えば、Kojiro Akazaki,Fumiyuki Toshimitsu,Hiroaki Ozawa,Tsuyohiko Fujigaya,Naotoshi Nakashima,Journal of the American Chemical Society 2012,134,12700 to 12707には、共役ポリマーとしてフルオレンビナフトールポリマーを使用した豊富化工程(enrichment process)が記載されている。例えば、Ting Lei,Ying-Chih Lai,Guonsong Hong,Huiliang Wang,Pascal Hayoz,R.Thomas Weitz,Changxin Chen,Hongjie Dai and Zhenan Bao,Small,2015,11,24,2946-2954には、共役ポリマーとしてジケトピロロピロール系ポリマー(diketopyrrolopyrrole-based polymer)を使用した豊富化工程が記載されている。
【0038】
半導電性単層カーボンナノチューブが豊富な単層カーボンナノチューブは、また、Nanointegris社又はSouthwest Nanotechnologies社等の多様な会社から商業的に利用が可能である。
【0039】
有機半導電性材料は、当該技術分野において公知の任意の有機半導電性材料であり得る。有機半導電性材料は、小分子(small molecule)又はポリマーであり得る。
【0040】
有機半導電性材料の一例は、アントラセン(anthracene)、ペンタセン(pentacene)及びその誘導体等の線形縮合芳香族環(linearly-fused aromatic ring)からなる多環式の芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)、ペリレン(perylene)、ペリレンジイミド誘導体(perylene diimide derivatives)、ペリレン無水物誘導体(perylene dianhydride derivatives)及びナフタレンジイミド誘導体(naphthalene diimide derivatives)等の2次元融合芳香族環(two-dimensional fused aromatic ring)からなる多環式の芳香族炭化水素、オリゴチオフェン(oligothiophene)、オリゴフェニレンビニレン(oligophenylenevinylene)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチエニレンビニレンポリパラフェニレン(polythienylenevinylene polyparaphenylene)、ポリピロール(polypyrrole)及びポリアニリン(polyaniline)等の芳香族単位を含むトリフェニルアミン誘導体(triphenylamine derivatives)、オリゴマー及びポリマー、ポリアセチレン(polyacetylenes)等の炭化水素鎖及びジケトピロロピロール系材料(diketopyrrolopyrrole-based material)である。
【0041】
例えば、線形縮合芳香族環からなるビスアルキニル置換された多環式の芳香族炭化水素(bis-alkinyl substituted polycyclic aromatic hydrocarbon)は、W02007/068618に記載されている。
【0042】
例えば、ペリレンジイミド誘導体、ペリレン無水物誘導体及びナフタレンジイミド誘導体は、W02007/074137,W02007/093643,W02009/024512,W02009/147237、WO2012/095790、WO2012/117089、WO2012/152598、WO2014/033622、WO2014/174435及びWO2015/193808に記載されている。
【0043】
例えば、チオフェン(thiophene)単位を含むポリマーは、WO2010/000669に記載されており、ベンゾチアジアゾール-シクロペンタジチオフェン(benzothiadiazole-cyclopentadithiophene)単位を含むポリマーは、WO2010/000755に記載されており、ジチエノベンズアチエノチオフェン(dithienobenzathienothiophene)単位を含むポリマーは、WO2011/067192に記載されており、ジチエノフタルイミド(dithienophthalimide)単位を含むポリマーは、WO2013/004730に記載されており、チエノチオフェン-2,5-ジオン(thienothiophene-2,5-dione)単位を含むポリマーは、WO2012/146506に記載されており、イソインディゴ系(Isoindigo-based)単位を含むポリマーは、W02009/053291に記載されている。
【0044】
例えば、ジケトピロロピロール系材料及びこれらの合成は、W02005/049695,W02008/000664、WO2010/049321、WO2010/049323、WO2010/108873、WO2010/136352、WO2010/136353、WO2012/041849、WO2012/175530、WO2013/083506、W02013/083507及びWO2013/150005に記載されている。
【0045】
また、有機電界効果トランジスタにおける半導電性材料として適合したジケトピロロピロール(DPP)系ポリマーに関する要旨も、Christian B.Nielsen,Mathieu Turbiez and lain McCulloch,Advanced Materials 2013,25,1859 to 1880に提示されている。
【0046】
好ましくは、有機半導電性材料は、1つ以上のジケトピロロピロール系材料(diketopyrrolopyrrole-based material)である。
【0047】
好ましくは、前記ジケトピロロピロール系材料は、
i)下記式(1)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマー(diketopyrrolopyrrole-based polymer)である。
【化1】
【0048】
前記式(1)において、
は、各出現において、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル又はC2-30-アルキニルであり、前記C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル及びC2-30-アルキニルは、1つ以上の-Si(R又はOSi(Rで置換され得るか、又はC1-30-アルキル、C2-30-アルケニル及びC2-30-アルキニルの1つ以上のCH基が-Si(R-又は[Si(R-O]-Si(R-に代替され得て、
前記Rは、各出現においてC1-10-アルキルであり、aは、1~20の整数であり、
n及びmは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar及びArは、互いに独立して、アリーレン(arylene)又はヘテロアリーレン(heteroarylene)であり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
及びLは、互いに独立して、
【化2】
【化3】
よりなる群から選ばれ、
Arは、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接するArは、CR、SiR又はGeRリンカーを介して連結され得て、前記Rは、各出現において、H、C1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
bは、各出現において、1~8の整数であり、
Arは、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-30-アルキル、O-C1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、ここで、フェニルは、C1-20-アルキル又はO-C1-20-アルキルで置換され得る。
【0049】
又は、好ましくは、前記ジケトピロロピロール系材料は、
ii)下記式(2)又は下記式(3)で表されるジケトピロロピロール系小分子(diketopyrrolopyrrole-based small molecule)である。
【化4】
【化5】
【0050】
前記式(2)及び前記式(3)において、
は、各出現において、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル又はC2-30-アルキニルであり、前記C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル及びC2-30-アルキニルは、1つ以上の-Si(R又はOSi(Rで置換され得るか、又はC1-30-アルキル、C2-30-アルケニル及びC2-30-アルキニルの1つ以上のCH基が-Si(R-又は[Si(R-O]-Si(R-に代替され得て、
前記Rは、各出現において、C1-10-アルキルであり、aは、1~20の整数であり、
は、H、CN、C1-20-アルキル、C2-20-アルケニル、C2-20-アルキニル、O-C1-20-アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、C1-20-アルキル、C2-20-アルケニル、C2-20-アルキニル、O-C1-20-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-6-アルキル、O-C1-6-アルキル又はフェニルで置換され得て、
x及びyは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar及びArは、互いに独立して、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
及びLは、互いに独立して、
【化6】
【化7】
よりなる群から選ばれ、
Arは、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接するArは、CR、SiR又はGeRリンカーを介して連結され得て、前記Rは、各出現において、H、C1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
cは、各出現において、1~8の整数であり、
Arは、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-30-アルキル、O-C1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、フェニルは、C1-20-アルキル又はO-C1-20-アルキルで置換され得る。
【0051】
1-6-アルキル、C1-10-アルキル、C1-20-アルキル、C1-30-アルキル及びC6-30-アルキルは、分岐状(branched)又は非分岐状(unbranched)(線形)であり得る。分岐状である場合、C1-6-アルキル、C1-10-アルキル、C1-20-アルキル、C1-30-アルキル及びC1-30-アルキルは、好ましくはC2-原子で分岐される。C1-6-アルキルの一例は、メチル(methyl)、エチル(ethyl)、n-プロピル(n-propyl)、イソプロピル(isopropyl)、n-ブチル(n-butyl)、sec-ブチル(sec-butyl)、イソブチル(isobutyl)、tert-ブチル(tert-butyl)、n-ペンチル(n-pentyl)、ネオペンチル(neopentyl)、イソペンチル(isopentyl)、n-(1-エチル)プロピル(n-(1-ethyl)propyl)及びn-ヘキシル(n-hexyl)である。C1-10-アルキルの一例は、C1-6-アルキル及びn-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-(2-エチル)ヘキシル(n-(2-ethyl)hexyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)である。C1-20-アルキルの一例は、C1-10-アルキル及びn-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-トリデシル(n-tridecyl)、n-テトラデシル(n-tetradecyl)、n-(2-ブチル)デシル(n-(2-butyl)decyl)、n-ペンタデシル(n-pentadecyl)、n-ヘキサデシル(n-hexadecyl)、n-ヘプタデシル(n-heptadecyl)、n-オクタデシル(n-octadecyl)、n-ノナデシル(n-nonadecyl)、n-(2-ヘキシル)テトラデシル(n-(2-hexyl)tetradecyl)及びn-イコシル(n-icosyl)(C20)である。C1-30-アルキルの一例は、C1-20-アルキル及びn-ドコシル(n-docosyl)(C22)、n-(2-デシル)ドデシル(n-(2-decyl)dodecyl)、n-テトラコシル(n-tetracosyl)(C24)、n-ヘキサコシル(n-hexacosyl)(C26)、n-オクタコシル(n-octacosyl)(C28)及びn-トリアコンチル(n-triacontyl)(C30)である。C6-30-アルキルの一例は、n-ヘキシル(n-hexyl)、n-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-(2-エチル)ヘキシル(n-(2-ethyl)hexyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-トリデシル(n-tridecyl)、n-テトラデシル(n-tetradecyl)、n-(2-ブチル)デシル(n-(2-butyl)decyl)、n-ペンタデシル(n-pentadecyl)、n-ヘキサデシル(n-hexadecyl)、n-ヘプタデシル(n-heptadecyl)、n-オクタデシル(n-octadecyl)、n-ノナデシル(n-nonadecyl)、n-(2-ヘキシル)テトラデシル(n-(2-hexyl)tetradecyl)、n-イコシル(n-icosyl)、n-ドコシル(n-docosyl)(C22)、n-(2-デシル)ドデシル(n-(2-decyl)dodecyl)、n-テトラコシル(n-tetracosyl)(C24)、n-ヘキサコシル(n-hexacosyl)(C26)、n-オクタコシル(n-octacosyl)(C28)及びn-トリアコンチル(n-triacontyl)(C30)である。
【0052】
線形C6-14-アルキルの一例は、n-ヘキシル(n-hexyl)、n-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)、n-ドデシル(n-dodecyl)、n-トリデシル(n-tridecyl)及びn-テトラデシル(n-tetradecyl)である。
【0053】
線形C2-12-アルキルの一例は、エチル(ethyl)、n-プロピル(n-propyl)、イソプロピル(isopropyl)、n-ブチル(n-butyl)、n-ペンチル(n-pentyl)、n-ヘキシル(n-hexyl)、n-ヘプチル(n-heptyl)、n-オクチル(n-octyl)、n-ノニル(n-nonyl)、n-デシル(n-decyl)、n-ウンデシル(n-undecyl)及びn-ドデシル(n-dodecyl)である。
【0054】
2-30-アルケニルは、分岐状又は非分岐状であり得る。C2-30-アルケニルの一例は、ビニル(vinyl)、プロペニル(propenyl)、シス-2-ブテニル(cis-2-butenyl)、トランス-2-ブテニル(trans-2-butenyl)、3-ブテニル(3-butenyl)、シス-2-ペンテニル(cis-2-pentenyl)、トランス-2-ペンテニル(trans-2-pentenyl)、シス-3-ペンテニル(cis-3-pentenyl)、トランス-3-ペンテニル(trans-3-pentenyl)、4-ペンテニル(4-pentenyl)、2-メチル-3-ブテニル(2-methyl-3-butenyl)、ヘキセニル(hexenyl)、ヘプテニル(heptenyl)、オクテニル(octenyl)、ノネニル(nonenyl)、ドセニル(docenyl)、リノレイル(linoleyl)(C18)、リノレニル(linolenyl)(C18)、オレイル(oleyl)(C18)、及びアラキドニル(arachidonyl)(C20)及びエルシル(erucyl)(C22)である。
【0055】
2-30-アルキニルは、分岐状又は非分岐状であり得る。C2-30-アルキニルの一例は、エチニル(ethynyl)、2-プロピニル(2-propynyl)、2-ブチニル(2-butynyl)、3-ブチニル(3-butynyl)、ペンチニル(pentynyl)、ヘキシニル(hexynyl)、ヘプチニル(heptynyl)、オクチニル(octynyl)、ノニニル(nonynyl)、デシニル(decynyl)、ウンデシニル(undecynyl)、ドデシニル(dodecynyl)、ウンデシニル(undecynyl)、ドデシニル(dodecynyl)、トリデシニル(tridecynyl)、テトラデシニル(tetradecynyl)、ペンタデシニル(pentadecynyl)、ヘキサデシニル(hexadecynyl)、ヘプタデシニル(heptadecynyl)、オクタデシニル(octadecynyl)、ノナデシニル(nonadecynyl)及びイコシニル(icosynyl)(C20)である。
【0056】
アリーレンは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。好ましくは、アリーレンは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。
【0057】
【化8】
【化9】
【0058】
ヘテロアリーレンは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeよりなる群から選ばれた1つ以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、ヘテロアリーレンは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる2価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeよりなる群から選ばれた1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0059】
ヘテロアリーレンの一例は、
【化10】
【化11】
である。
【0060】
前記Rは、H、C1-20-アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、C1-20-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-6-アルキル、O-C1-6-アルキル又はフェニルで置換され得る。
【0061】
隣接するArは、CR、SiR又はGeRリンカーを介して連結され、Rは、各出現において、H、C1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、bは、各出現において、1~8の整数である。隣接するArの一例は、
【化12】
である。
【0062】
隣接するArは、CR、SiR又はGeRリンカーを介して連結され、Rは、各出現において、H、C1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、cは、各出現において、1~8の整数である。隣接するArの一例は、
【化13】
である。
【0063】
アリールは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。好ましくは、アリールは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、全ての環は、炭素原子から形成される。
【0064】
アリールの一例は、
【化14】
【化15】
である。
【0065】
ヘテロアリールは、1つの芳香族環又は2~8個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeよりなる群から選ばれた1つ以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、ヘテロアリールは、1つの芳香族環又は2~4個の縮合芳香族環からなる1価芳香族環系であり、ここで、1つ以上の芳香族環は、S、O、N及びSeよりなる群から選ばれた1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0066】
ヘテロアリールの一例は、
【化16】
【化17】
【化18】
である。
【0067】
、L、L及びLの一例は、
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
である。
【0068】
より好ましくは、ジケトピロロピロール系材料は、前記定義されたように、式(1)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマーである。
【0069】
式(1)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマーは、他の共役単位(conjugated unit)を含むことができる。式(1)で表される単位を含むジケトピロロピロール系ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。コポリマーは、ランダム又はブロックであり得る。
【0070】
好ましくは、ジケトピロロピロール系ポリマーは、ポリマーの重量を基準として式(1)で表される単位を、50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含む。最も好ましくは、ジケトピロロピロール系ポリマーは、本質的に式(1)で表される単位から構成される。本質的に式(1)で表される単位から構成されるジケトピロロピロール系ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0071】
より好ましくは、ジケトピロロピロール系材料は、本質的に下記式(1)で表される単位から構成されるジケトピロロピロール系ポリマーである。
【化23】
【0072】
前記式(1)において、
は、C6-30-アルキルであり、
n及びmが共に0ではないという条件で、n及びmは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar及びArは、互いに独立して、
【化24】
であり、
及びLは、互いに独立して、
【化25】
【化26】
よりなる群から選ばれ、
Arは、各出現において、アリーレン又はヘテロアリーレンであり、前記アリーレン及びヘテロアリーレンは、1つ以上のC1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール又はヘテロアリールで置換され得て、ここで、C1-30-アルキル、C2-30-アルケニル、C2-30-アルキニル、O-C1-30-アルキル、アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、隣接するArは、CR、SiR又はGeRリンカーを介して連結され得て、前記Rは、各出現において、H、C1-30-アルキル又はアリールであり、ここで、C1-30-アルキル及びアリールは、1つ以上のC1-20-アルキル、O-C1-20-アルキル又はフェニルで置換され得て、
bは、各出現において、1~8の整数であり、
Arは、各出現において、アリール又はヘテロアリールであり、前記アリール及びヘテロアリールは、1つ以上のC1-30-アルキル、O-C1-30-アルキル又はフェニルで置換され得て、フェニルは、C1-20-アルキル又はO-C1-20-アルキルで置換され得る。
【0073】
最も好ましくは、ジケトピロロピロール系材料は、本質的に下記式(1)で表される単位から構成されるジケトピロロピロール系ポリマーである。
【化27】
【0074】
前記式(1)において、
は、
【化28】
であり、
は、C6-14-アルキルであり、
は、C2-12-アルキルであり、
n及びmが共に0ではないという条件で、n及びmは、互いに独立して、0又は1であり、
Ar及びArは、
【化29】
であり、
及びLは、互いに独立して、
【化30】
よりなる群から選ばれ、
及びRは、互いに独立して、C6-30-アルキルであり、
d及びeは、互いに独立して、0又は1である。
【0075】
特に、ジケトピロロピロール系材料は、本質的に下記式(1a)で表される単位から構成されるジケトピロロピロール系ポリマーである。
【化31】
【0076】
好ましくは、第2層は、本質的に有機半導電性材料から構成される。
【0077】
第2層は、5~500nm、好ましくは10~100nm、より好ましくは20~50nmの厚さを有することができる。
【0078】
本発明の有機電界効果トランジスタは、通常、誘電体層(dielectric layer)、ゲート電極(gate electrode)、ソース電極(source electrodes)及びドレイン電極(drain electrodes)を含む。また、本発明の有機電界効果トランジスタは、自己組織化単分子膜(SAMs)又は接着層等の他の層を含むことができる。
【0079】
誘電体層は、当該技術分野にて公知の任意の誘電体材料又はこれらの混合物を含むことができる。誘電体材料は、二酸化ケイ素(silicon dioxide)又は酸化アルミニウム(aluminium oxide)、もしくは、ポリスチレン(PS)及びポリスチレン由来ポリマー(polystyrene derived polymers)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ-4-ビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ベンゾシクロブテン(BCB)又はポリイミド(PI)等の有機ポリマーであり得る。誘電体層は、10~2000nm、好ましくは50~1000nm、より好ましくは100~800nmの厚さを有することができる。
【0080】
自己組織化単分子膜は、有機シラン誘導体(organic silane derivates)又は有機リン酸誘導体(organic phosphoric acid derivatives)を含むことができる。有機シラン誘導体の一例は、オクチルトリクロロシラン(octyltrichlorosilane)である。有機リン酸誘導体の一例は、デシルホスホン酸(decylphosphonic acid)である。
【0081】
ソース/ドレイン電極は、任意の適した有機又は無機ソース/ドレイン材料で製造され得る。無機ソース/ドレイン材料の一例は、金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)及びこれらの金属のうち1つ以上を含む合金である。ソース/ドレイン電極は、1~100nm、好ましくは20~70nmの厚さを有することができる。
【0082】
ゲート電極は、高濃度でドーピングされたシリコン(silicon)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide)又は金(Au)、もしくはこれら金属のうち1つ以上を含む合金等の任意の適したゲート材料で製造され得る。ゲート電極は、1~200nm、好ましくは5~100nmの厚さを有することができる。
【0083】
基板は、ガラス、又はポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスルホン(polysulfone)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチック基板といった任意の適した基板であり得る。有機電界効果トランジスタの設計によって、ゲート電極、例えば高濃度でドーピングされたシリコンはまた、基板として機能をすることができる。
【0084】
本発明の有機電界効果トランジスタは、ボトムゲート(bottom-gate)有機電界効果トランジスタ又はトップゲート(top-gate)有機電界効果トランジスタであり得る。好ましくは、ボトムゲート有機電界効果トランジスタである。
【0085】
好ましくは、本発明の有機電界効果トランジスタは、ボトムゲート有機電界効果トランジスタであり、二重層の第2層は、第1層の上部にある。
【0086】
好ましくは、本発明の有機電界効果トランジスタは、ボトムゲート有機電界効果トランジスタであり、二重層の第2層は、第1層の上部にあり、二重層の第1層は、接着層の上部にある。
【0087】
接着層は、第1層の接着力を向上させるのに適した任意の材料を含むことができる。好ましくは、接着層は、1つ以上のポリアミノ酸(poly(amino acid))を含む。ポリアミノ酸は、カルボン酸基(carboxylic acid group)又はカルボン酸誘導体基(carboxylic acid derivative group)及びアミノ基(amino group)を含むモノマーの重合反応により形成されたポリマーである。好ましくは、ポリアミノ酸は、親水性である。より好ましくは、ポリアミノ酸は、ポリリジン(polylysine)、最も好ましくはポリ-L-リジン(poly-L-lysine)である。好ましくは、ポリアミノ酸層は、ポリアミノ酸溶液に適した水等の溶媒を使用した浸漬ディップコーティング(immersion dip coating)により形成される。水におけるポリアミノ酸の濃度は、0.001~10重量%、好ましくは0.01~1重量%の範囲であり得る。ポリアミノ酸は、カルボン酸基又はカルボン酸誘導体基及びアミノ基を含むモノマーの重合反応等の当該技術分野にて公知の方法により形成され得る。同時に、多くのポリアミノ酸は、Sigma Aldrichのポリ-L-リジン等の商品である。
【0088】
本発明はまた、
i)半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブを含む組成物を堆積させて、半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークからなる第1層を形成する段階と、
ii)有機半導電性材料を含む組成物を堆積させて、有機半導電性材料からなる第2層を形成する段階と
を含む、前記本発明の有機電界効果トランジスタの製造方法に関する。
【0089】
半導電性単層カーボンナノチューブの含量が95重量%以上である単層カーボンナノチューブを含む組成物は、通常、1つ以上の溶媒及び追加材料を含む。追加材料は、先に定義している。溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)、o-ジクロロベンゼン(o-dichlorobenzene)、クロロホルム(chloroform)、1-シクロヘキシル-2-ピロリジノン(1-cyclohexyl-2-pyrrolidinone)、水又はトルエン(toluene)等の任意の適した溶媒であり得る。好ましくは、溶媒は水である。
【0090】
組成物における単層カーボンナノチューブの濃度は、1~0.000001重量%、好ましくは0.01~0.0001重量%の範囲であり得る。単層カーボンナノチューブを含む組成物は、分散液又は溶液であり得て、好ましくは、組成物は溶液である。
【0091】
単層カーボンナノチューブを含む組成物は、当該技術分野において公知の任意の適した方法により堆積され得る。好ましくは、組成物は、ドロップキャスト(drop-casting)、ブレードコート(blade-coating)、インクジェットプリント(ink-jet printing)及びスピンコート(spincoating)等の溶液堆積技術(solution depositing techniques)により堆積される。堆積は、1回又は数回行われ得る。好ましくは、組成物は、数回、例えば3回堆積される。堆積後、堆積された単層カーボンナノチューブを、80~110℃の範囲の高温で乾燥し、堆積されていない単層カーボンナノチューブを除去するために、水で洗浄した後、120~180℃の範囲の高温でアニーリング(annealing)することができる。追加材料が組成物に存在する場合、追加材料を除去するために、堆積後に組成物を加熱することもできる。
【0092】
また、有機半導電性材料を含む組成物は、1つ以上の溶媒を含むことができる。組成物の溶媒は、トルエン又はo-キシレン(o-xylene)等の任意の適した溶媒であり得る。
【0093】
組成物における有機半導電性材料の濃度は、0.01~5重量%、好ましくは0.1~3重量%、より好ましくは0.5~1.5重量%の範囲であり得る。有機半導電性材料を含む組成物は、分散液又は溶液であり得て、好ましくは、組成物は溶液である。
【0094】
有機半導電性材料を含む組成物は、当該技術分野において公知の任意の適した方法により堆積され得る。好ましくは、組成物は、スピンコーティング(spin-coating)、ドロップコーティング(drop-coating)、ディップコーティング(dip-coating)、ブレードコーティング(blade-coating)及びインクジェットプリンティング(inkjet printing)等の溶液堆積技術により堆積される。
【0095】
例えば、ボトムゲート・トップコンタクト(bottom-gate,top-contact、BGTC)有機電界効果トランジスタは、図1に示されたように製造され得る。ゲート誘電体としても機能する高濃度でドーピングされたSiO基板(厚さ200nm)を、超音波処理(sonication)にて種々の溶媒で洗浄することができる(図1a)。次に、Oプラズマにて上面を親水性にして(図1b)、水溶性ポリ-L-リジン溶液等のポリアミノ酸溶液を、例えば浸漬ディップコーティングにより堆積させることができる(図1c)。上面を脱イオン水で濯ぎ、高温で乾燥させた後、半導電性単層カーボンナノチューブの含量が80重量%以上である単層半導電性カーボンナノチューブ(SWCNT)溶液を、例えばドロップキャスティングにより堆積させ、高温で乾燥させることができる。単層カーボンナノチューブ溶液の堆積は、2回繰り返され得る(図1d)。上面を脱イオン水で濯ぎ、高温で半導電性単層カーボンナノチューブ層をアニーリングした後、有機半導電性材料(OSC)溶液を、例えばブレードコーティングにより高温で堆積させることができる(図1e)。最後に、金(Au)等のソース(S)及びドレイン(D)電極を加熱蒸散(thermal evaporation)により堆積させることができる(図1f)。パッシベーション層(passivation layer)は、ソース及びドレイン電極上に任意に堆積され得る。
【0096】
本発明の有機電界効果トランジスタは、トランジスタとして高い移動度(mobilities)及び低いヒステリシス(hysteresis)を示すので、特に有利である。
【0097】
本発明の有機電界効果トランジスタは、広面積の生産が可能な溶液堆積技術により製造され得るという点から有利である。
【0098】
また、本発明の有機電界効果トランジスタは、空気及び湿度と関連して大気条件下での製造の際に、再現可能な性能を示すという点から有利であり、また、空気及び湿度と関連して大気条件下での貯蔵の際に、長時間に亘って安定した性能を示すという点からも有利である。
【実施例
【0099】
<実施例1>
式(1a)で表される半導電性ポリマーの製造
【化32】
【0100】
化合物4 733mg(2.181mmol)、化合物5 1972mg(2.181mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))78.30mg及びトリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((tert-Bu)P×HBF)48.15mgを共に、アルゴン下でテトラヒドロフラン50mLに入れる。この反応混合物を加熱して還流させた後、リン酸カリウム1600mgが含まれた脱気水(degassed water)5mLを添加する。この反応混合物を一晩中還流させる。次に、この反応混合物を水に注ぎ、沈殿物を濾過し、水及びメタノールで洗浄する。次に、この沈殿物を、ヘプタン、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム及びクロロベンゼンで、ソックスレー法(Soxhlet)にて分画する。触媒残留物を除去するために、選択された分画物を蒸発させ、残留物をクロロベンゼン150mLに溶解させる。次に、1%NaCN水溶液50mLを添加し、この混合物を加熱して、一晩中還流して撹拌する。相を分離させ、有機相を、脱イオン水10mLで3時間に亘って還流で3回洗浄する。次に、メタノールを添加してポリマー1aを有機相から沈殿させる。沈殿したポリマー1aを濾過し、メタノールで洗浄して乾燥させる。
UV-VIS-吸収スペクトル(λmax):
840nm(フィルム)及び840nm(10-5Mトルエン溶液)
【0101】
<実施例2>
半導電性単層カーボンナノチューブの含量が99.9重量%である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークから本質的に構成される第1層と、実施例1のジケトピロロピロール系ポリマー1aから本質的に構成される第2層とで構成された二重層を含む、ボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)有機電界効果トランジスタの製造
チャネル長さ50μm及びチャネル幅500μmのボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)薄膜トランジスタ(TFT)を準備した。高濃度でドーピングされたSi基板(SiOの厚さ200nm)を、毎回1分間に亘る超音波処理にて、アセトン、イソプロパノール及び脱イオン水で清浄した。次に、Oプラズマ(100sccm、50Wで60秒間)にて表面を親水性にした。単層カーボンナノチューブに対する表面の接着性を向上させるために、ポリ-L-リジン溶液(0.1w/v%水溶液、Sigma Aldrich)を、浸漬技術により5分間堆積させた。次に、表面を脱イオン水で完全に濯ぎ、95℃のホットプレート上で1分間乾燥させた。市販の精製水溶性単層カーボンナノチューブ(SWCNT)溶液(IsoNanotubes-STM、Nanointegris社製、半導電性単層カーボンナノチューブの含量:99.9重量%、溶液中のSWCNTの濃度:0.001重量%、直径範囲:1.2~1.7nm、長さ範囲:300nm~5μm)を、ドロップキャスティングにより表面上に堆積させ、95℃のホットプレート上で3分間焼成させた。SWCNT溶液のドロップキャスティング堆積を2回繰り返した。SWCNTが堆積された基板を空気中で10分間放置した後、基板を95℃のホットプレート上で3分間乾燥させ、水で濯ぎ、Nガスで注意深く乾燥させ、150℃のホットプレート上で1時間に亘ってアニーリングした。0.75重量%の実施例1で得られた式(1a)で表される半導電性ポリマーのトルエン溶液を、SWCNT層上に120℃でブレードコーティングした。ブレードコーターのギャップ及び速度は、それぞれ100μm及び30mm/secであった。最後に、金(Au)のソース及びドレイン電極(厚さ50nm)を加熱蒸散により堆積させた。
【0102】
図2に、ポリ-L-リジン接着層上に半導電性単層カーボンナノチューブの含量が99.9重量%である単層カーボンナノチューブの浸透ネットワークから本質的に構成される第1層の電界放出形走査電子顕微鏡(FESEM)イメージが示されている。
【0103】
<実施例3>
実施例2のボトムゲート・トップコンタクト(BGTC)有機電界効果トランジスタの電気的特性
実施例2のBGTC有機電界効果トランジスタの電気的特性を、Keithley 4200-SCSを使用して、室温で大気条件下にて調べた。
【0104】
図3に、ゲート電圧のスキャンが10~-30Vでの飽和領域における、実施例2のBGTC有機電界効果トランジスタの、ゲート-ソース電圧(Vg)に対するドレイン電流(Id)の転移特性を示す。
【0105】
活性層において、二重層構造の飽和電界効果移動度(saturation field effect mobility)は、58cm/Vsである。オン-オフ(on/off)は、10である。
図1
図2
図3