(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/18 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
A01K85/18
(21)【出願番号】P 2021134556
(22)【出願日】2021-08-20
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-05-19
【審査請求日】2021-08-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521181574
【氏名又は名称】株式会社GRACE
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】酉抜 正嗣
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-167085(JP,A)
【文献】登録実用新案第3058863(JP,U)
【文献】特開2013-146238(JP,A)
【文献】実開平04-052467(JP,U)
【文献】特開2017-176155(JP,A)
【文献】特開平11-169024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00-85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と、この胴部の前方に形成される頭部と、前記胴部の後方に形成される尾部とからなるルアーであって、前記頭部あるいは前記尾部の少なくとも一方が前記胴部に着脱可能に
嵌着され、前記胴部の、前記頭部あるいは前記尾部が
嵌着される部位には、前記頭部あるいは前記尾部に嵌合させられる嵌合突起が設けられ、この嵌合突起に、釣り針あるいは釣り糸が取り付けられるカンが、前記嵌合突起から突出するように設けられ、着脱可能に装着される前記頭部あるいは前記尾部には、前記カンが貫通させられるとともに前記嵌合突起が嵌着される貫通孔が形成され、
前記頭部あるいは前記尾部と前記胴部のそれぞれに、これらの嵌合部を重畳状態に固定保持する磁石によって構成された固定手段が設けられていることを特徴とするルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに用いられるルアーに係わり、特に、例えば、水中での動きを変化させるために外形形状を変更するようにしたルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外形形状を変更可能な構成としたルアーが、たとえば、特許文献1において示されている。
【0003】
特許文献1に示されたルアーは、ルアーの胴部先端にキャップを着脱可能に装着するとともに、これらのキャップと胴部とを、これらを貫通して設けられる締結手段によって固定するようにしたもので、前記キャップを、形状を変えて複数用意しておき、これらのキャップを択一的に胴部に装着することにより、ルアーの形状を変更するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した文献1に示された技術によって、ルアーの一部形状を変化させることが可能となったが、なお、次のような改善すべき問題点が残されている。
【0006】
すなわち、文献1に示された技術では、キャップは胴部に単に被せた構成であることから、キャップの離脱を防止するために、キャップと胴部とを締結手段によって固定する必要がある。
【0007】
したがって、キャップを取り替える際には、締結手段を取り外し、キャップを取り替えた後に、再度締結手段を取り付ける操作が必要であることから、その操作が煩雑であるという問題点である。
【0008】
本発明は、前述した従来の技術において残されている問題点を解決せんとしてなされたもので、ルアーの形状変更を行なうための部材の着脱操作を極力簡素化して、その操作を容易に行なうことができるルアーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のルアーは、前述した課題を解決するために、胴部と、この胴部の前方に形成される頭部と、前記胴部の後方に形成される尾部とからなるルアーであって、前記頭部あるいは前記尾部の少なくとも一方が前記胴部に着脱可能に装着され、前記胴部の、前記頭部あるいは前記尾部が着脱可能に装着される部位には、前記頭部あるいは前記尾部に嵌合させられる嵌合突起が設けられ、この嵌合突起に、釣り針あるいは釣り糸が取り付けられるカンが、前記嵌合突起から突出するように設けられ、着脱可能に装着される前記頭部あるいは前記尾部には、前記カンが貫通させられるとともに前記嵌合突起が嵌着される貫通孔が形成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成とすることにより、着脱可能に装着される胴部あるいは尾部は、これらに形成されている貫通孔に胴部に形成された嵌合突起を嵌着させることによって胴部に装着することができる。
【0011】
そして、嵌合突起の外面と貫通孔の内面との摩擦により、頭部あるいは尾部の胴部からの離脱が防止される。
【0012】
このように、頭部あるいは尾部の取り替え操作を、これらを胴部に嵌合させるといった簡便な操作によって行なうことができ、取り替え操作を容易なものとすることができる。
【0013】
また、着脱可能に装着される頭部あるいは尾部と胴部との間に、これらを固定状態に保持する固定手段を設けることも可能である。
【0014】
ここで、頭部あるいは尾部と胴部との固定は、主に、貫通孔と嵌合突起との摩擦によって行なわれていることから、固定手段は、前記摩擦による固定を補助する程度で済み、したがって、固定手段の構成も簡素なもので済む。
【0015】
前記固定手段は、磁石によって構成し、あるいは、着脱可能に装着される頭部あるいは尾部と胴部の一方に形成された係合突起と、他方に形成され前記係合突起に係合させられる係合溝によって構成することができる。
【0016】
このような何れの構成においても、頭部あるいは尾部を胴部に対して、嵌合突起の長さ方向に沿うように移動させる操作だけで胴部に着脱することができ、別途固定部材を設ける必要はない。
【発明の効果】
【0017】
本発明のルアーによれば、ルアーの形状変更を行なうための部材の着脱操作を極力簡素化して、その操作を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態を示すもので、使用方法を説明するための分解図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態を示すもので、使用手順を示す一部を断面した側面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態を示す一部を断面した側面図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施形態を
図1ないし
図3を参照して説明する。
これらの図において符号1は、本実施形態に係わるルアーを示す。
【0020】
本実施形態のルアー1は、胴部1aと、この胴部1aの前方に形成される頭部1bと、胴部1aの後方に形成される尾部1cとからなり、頭部1bが胴部1aに着脱可能に装着され、胴部1aの、頭部1bが着脱可能に装着される部位には、
図2に示すように、頭部1bに嵌合させられる嵌合突起2が設けられ、この嵌合突起2に、釣り針あるいは釣り糸が取り付けられるカン3が、嵌合突起2から突出するように設けられ、頭部1bには、
図3に示すように、カン3が貫通させられるとともに嵌合突起2が嵌着される貫通孔4が形成されている。
【0021】
前記嵌合突起2および貫通孔4は、ルアー1の長さ方向に沿って設けられており、頭部1bを胴部1aに、この胴部1aの前方から差し込むことにより、胴部1aの嵌合突起2を頭部1bの貫通孔4に嵌合させて、頭部1bを胴部1aに装着するようになっている。
【0022】
そして、前記嵌合突起2と貫通孔4は嵌合状態において適度な摩擦を生じさせるような寸法となされており、この摩擦により頭部1bを胴部1aに係止するようになっている。
【0023】
前記頭部1bと胴部1aとの重畳部分には、固定手段5としての磁石6が埋設されており、これらの磁力により、前述した摩擦による頭部1bと胴部1aとの固定力を補助するようになっている。
【0024】
本実施形態においては、胴部幅方向に1aと尾部1cが一体に形成されており、
図3に示すように、幅方向において2分割されているとともに、幅方向から付き合わされて接着されることによって一体化されている。
【0025】
図3において、符号7は、ルアー1の重心位置を変化させるための鉛等からなる球体であり、胴部1a内に形成されているガイド溝8内に配置されて、ルアー1の長さ方向に転動可能に装着されている。
【0026】
この球体7は、尾部1c側を前方へ向けて投げると慣性によって尾部1c側へ移動し、着水し巻き始めると頭部1b側へと移動するようになっている。
【0027】
また、前記ガイド溝8の前方には磁石9が設けられており、ルアー1の動き出しと同時に球体7が頭部1b側に戻って磁石で固定されるようになっている。
【0028】
さらに、前記カン3は、頭部1b、胴部1aの腹部や尾部1cのそれぞれに設けられており、頭部1bに設けられたカン3には釣り糸10が取り付けられ、腹部や尾部1cに設けられたカン3には釣り針11が取り付けられるようになっている。
【0029】
このように構成された本実施形態のルアー1は、
図2に示すように、複数の頭部1bとの組み合わせで用いられる。
【0030】
そして、選択された頭部1bを、これらに形成されている貫通孔4に胴部1aに形成された嵌合突起2を嵌着させるとともに、この嵌合突起2から突出させられたカン3を頭部1bの前部から突出させて胴部1aに装着することによって使用状態とすることができる。
【0031】
一方、ルアー1の形状を変更する際には、装着されている頭部1bを取り外した後に、他の頭部1bを装着することによって行なうことができる。
【0032】
このような頭部1bの着脱操作は、頭部1bをルアー1の長さ方向に沿うように移動させて胴部1aに嵌合させることによって行なうことができる。
【0033】
そして、頭部1bを胴部1aに装着した状態において、これらが、固定手段5としての磁石6による磁力の補助を受けつつ、嵌合突起2の外面と貫通孔4の内面との摩擦により保持される。
これによって、頭部1bの胴部1aからの離脱が防止される。
【0034】
このように、頭部1bの装着操作や替え操作を、頭部1bを胴部1aに嵌合させるといった簡便な操作によって行なうことができるので、これらの操作を容易なものとすることができる。
【0035】
ここで、頭部1bと胴部1aとの固定は、主に、貫通孔4と嵌合突起2との摩擦によって行なわれていることから、固定手段5は、前述した摩擦による固定を補助する程度で済み、したがって、固定手段5の構成も簡素なもので済む。
【0036】
一方、巻き取りの際にルアー1にかかる力は、嵌合突起2の基部で、胴部1aとの連続部に作用する。
【0037】
また、頭部1bと胴部1aとの固定を貫通孔4と嵌合突起2との摩擦のみで行なう場合、製造精度等の関係でこの摩擦がばらつき、摩擦の大きさによっては、貫通孔4へ嵌合突起2を嵌合させる際に、これらの間に隙間が生じることも想定される。
【0038】
このように頭部1bと胴部1aとの間に隙間が生じると、この隙間により両者間に相対移動が生じることから、巻き取り時の外力が嵌合突起2の基部に集中して作用してしまうことが想定される。
【0039】
本実施形態では、頭部1bを胴部1aに取り付ける際に、磁石6の作用により頭部1bが胴部1a側に吸引されて、貫通孔4と嵌合突起2との摩擦力を補助することから、頭部1bを胴部1aに容易に密着させて前述した隙間の形成を抑制することができる。
【0040】
このように、頭部1bと胴部1aとの間の隙間をなくすと、これらの相対移動が拘束されて、巻き取り時に嵌合突起2に作用する外力が、頭部1bを経て胴部1aに分散して支持される。
【0041】
これによって、嵌合突起2の基部へ外力が集中することを防止して、嵌合突起2の折れと等の不具合を抑制することができる。
【0042】
図4および
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、固定手段5に変更を加えたものである。
【0043】
この固定手段5は、頭部1bの貫通孔4の内壁に形成された係合溝12と、胴部1aの嵌合突起2に形成され係合溝12に係合させられる係合突起13とによって構成されている。
【0044】
これらの係合溝12と係合突起13との係合により、
図5に示すように、頭部1bが胴部1aへ固定され、また、その係合の解除により取り外されるが、このような着脱操作も、前述した操作と同様に、頭部1bのルアー1の長さ方向に沿った移動のみによって行なうことができる。
【0045】
図6は、本発明の第3の実施形態を示す。
本実施形態は、尾部1cを胴部1aから分割して形成しておき、これらの尾部1cと胴部1aとの間に、前述した頭部1bと胴部1aとの間に形成された構成と同様の構成を形成したものである。
【0046】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0047】
たとえば、分割する部位、すなわち、形状変更を行なう部位は、頭部1bと尾部1cの何れか一方とするか、もしくは、両方とすることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 ルアー
1a 胴部
1b 頭部
1c 尾部
2 嵌合突起
3 カン
4 貫通孔
5 固定手段
6 磁石
7 球体
8 ガイド溝
9 磁石
10 釣り糸
11 釣り針
12 係合溝
13 係合突起
【要約】
【課題】ルアーの形状変更を行なうための部材の着脱操作を極力簡素化して、その操作を容易に行なうことができるルアーを提供することを課題とする。
【解決手段】胴部1aと、この胴部の前方に形成される頭部1bと、胴部の後方に形成される尾部1cとからなるルアー1であって、頭部あるいは尾部の少なくとも一方が胴部に着脱可能に装着され、胴部の、頭部あるいは尾部が着脱可能に装着される部位には、頭部あるいは尾部に嵌合させられる嵌合突起2が設けられ、この嵌合突起に、釣り針あるいは釣り糸が取り付けられるカン3が、嵌合突起から突出するように設けられ、着脱可能に装着される頭部あるいは尾部には、カンが貫通させられるとともに嵌合突起が嵌着される貫通孔4が形成されている。
【選択図】
図3