(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】地盤改良機
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
E02D3/12 102
(21)【出願番号】P 2022001305
(22)【出願日】2022-01-06
【審査請求日】2022-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591223404
【氏名又は名称】株式会社トラバース
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克彦
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-123444(JP,A)
【文献】特開2003-336474(JP,A)
【文献】特開平09-217577(JP,A)
【文献】特開2001-234684(JP,A)
【文献】特開2001-241034(JP,A)
【文献】特開2021-099009(JP,A)
【文献】特開2001-140575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンと、
前記ベースマシンに対して鉛直軸回りに回動可能に設けられている回動体と、
前記回動体に対して水平軸回りに回動可能に設けられていることで旋回可能であると共に起伏可能であり、かつ、伸縮可能であるブームと、
前記ブームの先端又はその付近に対して水平軸回りに回動可能に設けられ、前記ブームの先端又はその付近から下方に向けて鉛直に沿うように配置されて使用されるリーダと、
前記ブームに対する前記リーダの角度を鋭角の範囲、又は鋭角及び0度の範囲で変更するリーダ角度変更機構と、
前記ブームが起伏可能な範囲のうち、該ブームが略鉛直となる基準姿勢から一方の範囲であって、かつ、前記リーダと対向する面が下方を向く範囲で該ブームを起伏させる第1の起伏用油圧シリンダと、
前記ブームが起伏可能な範囲のうち、前記基準姿勢から他方の範囲であって、かつ、前記リーダと対向する面が上方を向く範囲で該ブームを起伏させる第2の起伏用油圧シリンダと、を備え
、
前記リーダは、前記第2の起伏用油圧シリンダによって倒された前記ブームの上方に該ブームと略並行となるように格納されることを特徴とする
地盤改良機。
【請求項2】
前記リーダ角度変更機構は、前記ブーム及び前記リーダの一方に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられているシリンダチューブと、前記ブーム及び前記リーダの他方に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられているピストンロッドと、を有している角度変更用油圧シリンダであることを特徴とする
請求項1に記載の地盤改良機。
【請求項3】
前記リーダの下端に対して鉛直に進退可能に設けられ、接地することで前記リーダを安定させるリーダ支持機構を備えていることを特徴とする
請求項1又は2に記載の地盤改良機。
【請求項4】
前記回動体は、前記ベースマシンに対して前後に移動可能に設けられていることを特徴とする
請求項1~
3のいずれかに記載の地盤改良機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、自走可能なベースマシンと、ベースマシンにおける前方に起伏可能に取り付けられているリーダと、等を備えている地盤改良機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5819562号公報
【文献】特許第5819563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような地盤改良機を用いた地盤改良は、一つの敷地内において複数の箇所に対して行う。このため、都度ベースマシンを自走させることで所望する箇所にリーダを移動させてから地盤改良を行う必要があり、作業の負担が大きかった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、作業の負担を軽減できる地盤改良機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、ベースマシンと、前記ベースマシンに対して鉛直軸回りに回動可能に設けられている回動体と、前記回動体に対して水平軸回りに回動可能に設けられていることで旋回可能であると共に起伏可能であり、かつ、伸縮可能であるブームと、前記ブームの先端又はその付近に対して水平軸回りに回動可能に設けられ、前記ブームの先端又はその付近から下方に向けて鉛直に沿うように配置されて使用されるリーダと、前記ブームに対する前記リーダの角度を鋭角の範囲、又は鋭角及び0度の範囲で変更するリーダ角度変更機構と、前記ブームが起伏可能な範囲のうち、該ブームが略鉛直となる基準姿勢から一方の範囲であって、かつ、前記リーダと対向する面が下方を向く範囲で該ブームを起伏させる第1の起伏用油圧シリンダと、前記ブームが起伏可能な範囲のうち、前記基準姿勢から他方の範囲であって、かつ、前記リーダと対向する面が上方を向く範囲で該ブームを起伏させる第2の起伏用油圧シリンダと、を備え、前記リーダは、前記第2の起伏用油圧シリンダによって倒された前記ブームの上方に該ブームと略並行となるように格納されることを特徴とする地盤改良機である。
【0007】
本発明の地盤改良機によれば、ブームを旋回させたり起伏させたり伸縮させたりすることでリーダを移動させることができる。このため、本発明の地盤改良機によれば、ベースマシンに対するリーダの可動域が広いので、ベースマシンを移動させずに複数の箇所に対して地盤改良を行うことができる。結果、本発明の地盤改良機によれば、作業の負担を軽減できる。
また、本発明の地盤改良機によれば、第1の起伏用油圧シリンダを動作させることで、ブームが起伏可能な範囲のうち、当該ブームにおけるリーダと対向する面が下方を向く範囲で当該ブームを起伏させることができ、また、第2の起伏用油圧シリンダを動作させることで、ブームが起伏可能な範囲のうち、当該ブームにおけるリーダと対向する面が上方を向く範囲で当該ブームを起伏させることができる。このため、本発明の地盤改良機によれば、ブームにおけるリーダと対向する面が下方を向く範囲で当該ブームを起伏させることができるだけでなく、ブームにおけるリーダと対向する面が上方を向く範囲で当該ブームを起伏させることができる。ひいては、本発明の地盤改良機によれば、第2の起伏用油圧シリンダによって倒されたブームの上方に当該ブームと略並行となるようにリーダを格納させることができ、リーダの取扱いが容易である。結果、本発明の地盤改良機によれば、作業の負担を軽減できる。
【0008】
(2)本発明はまた、前記リーダ角度変更機構は、前記ブーム及び前記リーダの一方に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられているシリンダチューブと、前記ブーム及びリーダの他方に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられているピストンロッドと、を有しているリーダ角度変更用油圧シリンダであることを特徴とする上記(1)に記載の地盤改良機である。
【0009】
本発明の地盤改良機によれば、リーダ角度変更用油圧シリンダを動作させることでリーダをロボットアームのように能動的に自由に動かすことができる。このため、本発明の地盤改良機によれば、リーダをクレーン等で吊り下げて動かす場合と比較して、リーダの取扱いが容易である。結果、本発明の地盤改良機によれば、作業の負担を軽減できる。
【0010】
(3)本発明はまた、前記リーダの下端に対して鉛直に進退可能に設けられ、接地することで前記リーダを安定させるリーダ支持機構を備えていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の地盤改良機である。
【0011】
本発明の地盤改良機によれば、リーダの下端を地面に近付けた後にリーダ支持機構を下方に伸長させることで接地させることができる。このため、本発明の地盤改良機によれば、リーダ支持機構を備えずリーダを直接接地させる場合と比較して、所望する箇所にリーダを容易に安定させることができる。結果、本発明の地盤改良機によれば、作業の負担を軽減できる。
【0014】
(4)本発明はまた、前記回動体は、前記ベースマシンに対して前後に移動可能に設けられていることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の地盤改良機である。
【0015】
本発明の地盤改良機によれば、ベースマシンに対して回動体を前後に移動させることでリーダを前後に移動させることができる。このため、本発明の地盤改良機によれば、ベースマシンに対するリーダの可動域がさらに広くなるので、重量バランスを考慮してリーダを移動させることが容易となる。結果、本発明の地盤改良機によれば、作業の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記(1)~(4)に記載の地盤改良機によれば、作業の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る地盤改良機の側面図であり、リーダを起立させた状態を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る地盤改良機の側面図であり、ブームを起立させた状態を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る地盤改良機の側面図であり、リーダを格納させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る地盤改良機について詳細に説明する。各図面において、矢印F1は地盤改良機の前方を示し、矢印B1は地盤改良機の後方を示し、矢印U1は上方を示し、矢印D1は下方を示す。また、以下の説明において、前後方向は地盤改良機の前後方向を意味し、左右方向は地盤改良機の前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0019】
まず、
図1~
図3を用いて、地盤改良機1の構成について説明する。
図1は、地盤改良機1の側面図であり、リーダ70を起立させた状態を示す。
図2は、地盤改良機1の側面図であり、ブーム4を起立させた状態を示す。
図3は、地盤改良機1の側面図であり、リーダ70を格納させた状態を示す。
【0020】
図1~
図3に示す地盤改良機1は、ソイルセメントコラム工法(柱状改良工法)や鋼管ソイルセメント杭工法等に用いる建設機械、そのうちの杭打機である。ソイルセメントコラム工法とは、地盤に対して柱状に掘削した穴に、セメント系固化材を水と混ぜてスラリー状にした地盤改良材(セメントミルク等)を注入し、地盤改良材を掘削土と撹拌することで、化学的に固化させたソイルセメントコラムを造成する工法のことである。鋼管ソイルセメント杭工法とは、ソイルセメントコラム工法と鋼管杭を合体させた工法であり、化学的に固化する前のソイルセメントの芯部に鋼管杭を埋設させる工法のことである。
【0021】
具体的に、地盤改良機1は、ベースマシン2と、ブラケット(回動体)3と、ブーム4と、第1の起伏用油圧シリンダ5と、第2の起伏用油圧シリンダ6と、地盤改良ユニット7と、リーダ角度変更用油圧シリンダ8と、等を備えている。
【0022】
ベースマシン2は、下部走行体20と、車体21と、エンジンルーム22と、前後左右のアウトリガ23と、等を備えている。
【0023】
下部走行体20は、当該下部走行体20の上方に、旋回可能にすなわち鉛直軸回りに回動可能に車体21を支持している。この下部走行体20は、左右一対のキャタピラ20a等を備えている。左右のキャタピラ20aは、ベースマシン2の自走を可能にする。
【0024】
車体21は、下部走行体20の上方に、旋回可能にすなわち鉛直軸回りに回動可能に支持されている。すなわち、車体21は、下部走行体20に対して360度旋回可能である。車体21の前後左右にはそれぞれ、アウトリガ23が設けられている。車体21の後方寄りの上方には、エンジンルーム22が設けられている。車体21におけるエンジンルーム22の前方には、ブラケット3が、旋回可能にすなわち鉛直軸回りに回動可能に、かつ、前後に移動可能に設けられている。
【0025】
エンジンルーム22は、車体21における後方寄りの上方に設けられている。このエンジンルーム22は、カウンターウェイトを兼ねる。アウトリガ23は、油圧シリンダ等から構成されており、油圧によって伸縮可能である。このアウトリガ23は、作業に先立って下方に伸長して接地することで、地盤改良機1の転倒を防止する。
【0026】
ブラケット3は、車体21におけるエンジンルーム22の前方に、旋回可能にすなわち鉛直軸回りに回動可能に、かつ、前後に移動可能に設けられている。すなわち、ブラケット3は、車体21に対して360度旋回可能であり、かつ、車体21に対して所定のストロークの範囲で前後に移動可能である。ブラケット3には、ブーム4の基端が、水平軸回りに回動可能に設けられている。ブラケット3におけるブーム4の前方には、第1の起伏用油圧シリンダ5の基端が、水平軸回りに回動可能に、かつ、着脱可能に取り付けられる。ブラケット3におけるブーム4の後方には、第2の起伏用油圧シリンダ6の基端が、水平軸回りに回動可能に、かつ、着脱可能に取り付けられる。
【0027】
ブーム4は、当該ブーム4の基端が、ブラケット3に対して水平軸回りに回動可能に設けられている。このブーム4は、互いに径が異なる角材であるブーム材40,41等を備え、基端側のブーム材40に先端側のブーム材41が摺動可能に挿入されていることで伸縮可能に構成されている。これにより、ブーム4は、所定のストロークの範囲で伸縮可能である。
【0028】
基端側のブーム材40は、リーダ70と対向して当該リーダ70と鋭角をなす面40aにおける中間部分にブラケット42を有し、また、リーダ70と対向する面40aの反対側の面40bにおける中間部分にブラケット43を有している。ブラケット42には、第1の起伏用シリンダ5の先端が、水平軸回りに回動可能に取り付けられている。ブラケット43には、第2の起伏用油圧シリンダ6の先端が、水平軸回りに回動可能に取り付けられている。これにより、ブーム4は、車体21に対して360度旋回可能であると共に上方180度の範囲で起伏可能である。また、基端側のブーム材40は、リーダ70と対向する面40aにおける中間部分にスペーサ44を有している。スペーサ44は、ブーム4と略並行となるようにリーダ70が折り畳まれた場合に、当該ブーム4と当該リーダ70との間に介在することで、当該リーダ70を支持する。
【0029】
先端側のブーム材41は、リーダ70と対向して当該リーダ70と鋭角をなす面41aにおける先端寄りの部分にブラケット45を有し、また、リーダ70と対向する面41aの反対側の面41bにおける先端寄りの部分にブラケット46を有している。ブラケット45には、リーダ70に設けられているブラケット71が水平軸回りに回動可能に取り付けられている。ブラケット46には、リーダ角度変更用油圧シリンダ8が備えているシリンダチューブ80が水平軸回りに回動可能に取り付けられている。
【0030】
第1の起伏用油圧シリンダ5は、当該第1の起伏用油圧シリンダ5の基端が、ブラケット3におけるブーム4の前方に、水平軸回りに回動可能に、かつ、着脱可能に取り付けられる。この第1の起伏用油圧シリンダ5は、当該第1の起伏用油圧シリンダ5の先端が、基端側のブーム材40に設けられているブラケット42に、水平軸回りに回動可能に取り付けられている。このような第1の起伏用油圧シリンダ5は、伸縮することで、ブーム4が起伏可能な範囲のうち、当該ブーム4が略鉛直となる基準姿勢から一方の範囲であって、かつ、リーダ70と対向する面40a,41aが下方を向く範囲で当該ブーム4を起伏させる。なお、ブラケット3から取り外された第1の起伏用油圧シリンダ5は、固定具(図示省略)等によって基端側のブーム材40に固定される。
【0031】
第2の起伏用油圧シリンダ6は、当該第2の起伏用油圧シリンダ6の基端が、ブラケット3におけるブーム4の後方に、水平軸回りに回動可能に、かつ、着脱可能に取り付けられる。この第2の起伏用油圧シリンダ6は、当該第2の起伏用油圧シリンダ6の先端が、基端側のブーム材40に設けられているブラケット43に、水平軸回りに回動可能に取り付けられている。このような第2の起伏用油圧シリンダ6は、伸縮することで、ブーム4が起伏可能な範囲のうち、当該ブーム4が略鉛直となる基準姿勢から他方の範囲であって、かつ、リーダ70と対向する面40a,41aが上方を向く範囲で当該ブーム4を起伏させる。なお、ブラケット3から取り外された第2の起伏用油圧シリンダ6は、固定具(図示省略)等によって基端側のブーム材40に固定される。
【0032】
地盤改良ユニット7は、土木業界等においてフロントと呼ばれるものであり、先端側のブーム材41に設けられているブラケット45、及びリーダ70に設けられているブラケット71を介して、ブーム4の先端又はその付近に対して水平軸回りに回動可能に設けられ、ブーム4の先端又はその付近から下方に向けて鉛直に沿うように配置されて使用される。
【0033】
具体的に、地盤改良ユニット7は、リーダ70と、ブラケット71と、フィードギアケース72と、ブラケット73と、リーダ支持用油圧シリンダ(リーダ支持機構)74と、ロッドガイド75と、レール76と、ロッドチャック77と、ロッド78と、スイベルジョイント79と、等を備えている。なお、説明を簡略化するために、地盤改良ユニット7については、当該地盤改良ユニット7が鉛直に沿うように配置されていることを前提に説明する。
【0034】
リーダ70は、所定の長さを有している角材から構成されている。このリーダ70は、ブーム4と対向して当該ブーム4と鋭角をなす面70aにおける上端寄りの部分にブラケット71を有している。ブラケット71には、先端側のブーム材41に設けられているブラケット45が水平軸回りに回動可能に取り付けられている。これにより、リーダ70は、ブーム4の先端又はその付近に対して水平軸回りに回動可能に設けられ、ブーム4の先端又はその付近から下方に向けて鉛直に沿うように配置されて使用される。
【0035】
リーダ70は、当該リーダ70の上端にフィードギアケース72を有している。フィードギアケース72は、ロッドチャック77をレール76に沿って昇降させる昇降機構(符号省略)を構成している。このフィードギアケース72は、当該フィードギアケース72における後方の面72aにブラケット73を有している。ブラケット73には、リーダ角度変更用油圧シリンダ8が備えているピストンロッド81が水平軸回りに回動可能に取り付けられている。
【0036】
リーダ70は、当該リーダ70の下端にリーダ支持用油圧シリンダ74を有している。リーダ支持用油圧シリンダ74は、リーダ70の下端に対して鉛直に進退可能に設けられ、接地することでリーダ70を安定させる。
【0037】
リーダ70は、ブーム4と対向する面70aの反対側の面70bにおける下端寄りの部分にロッドガイド75を有している。ロッドガイド75は、ロッド78を回転可能に支持している。リーダ70は、ブーム4と対向する面70aの反対側の面70bにおけるロッドガイド75よりも上方にレール76を有している。レール76は、フィードギアケース72からリーダ70の下方にわたって、当該フィードギアケース72及びリーダ70に沿うように設けられ、ロッドチャック77及びスイベルジョイント79を昇降可能に案内する。
【0038】
ロッドチャック77は、当該ロッドチャック77がレール76に沿って昇降可能となるように、当該レール76におけるスイベルジョイント79よりも下方の位置に設けられている。このロッドチャック77は、リーダ70の内部に配置されているエンドレスチェーン(図示省略)に固定されており、当該エンドレスチェーンの走行に伴って、レール76に沿って昇降する。また、ロッドチャック77は、チャック機構(図示省略)及び回転機構(図示省略)を内蔵している。チャック機構は、ロッド78における中間の任意の一部分の保持及びその解除を行う。回転機構は、モータ(図示省略)等から構成されており、チャック機構が保持したロッド78を回転させる。
【0039】
ロッド78は、地盤改良材の流路(図示省略)となる円管状で、所定の長さを有しているものであり、リーダ70よりも前方に鉛直に配置される。ロッド78の下部には、地盤改良材を注入する穴を掘削する掘削具78aが取り付けられている。ロッド78の上端には、地盤改良材を供給するホース(図示省略)の先端が接続されるスイベルジョイント79の下端が、相対回転可能に取り付けられている。ロッド78の上端は、地盤改良材を導入する口(図示省略)を構成している。ロッド78の内部は、ホースから供給された地盤改良材の流路を構成している。ロッド78の下端又はその周辺は、地盤改良材を吐出する口(図示省略)を構成している。
【0040】
ロッド78における中間の任意の一部分は、ロッドチャック77が内蔵しているチャック機構(図示省略)によって保持及びその解除が行われる。チャック機構に保持されたロッド78は、ロッドチャック77が内蔵している回転機構(図示省略)によって回転させられると共に、ロッドチャック77と一体となって所定のストロークの範囲で昇降する。
【0041】
掘削具78aは、ロッド78の下部に取り付けられており、ロッド78と一体となって回転すると共に昇降する。この掘削具78aは、地盤改良材を注入する穴を掘削すると共に、掘削した穴の中で地盤改良材を掘削土と撹拌するなお、掘削具78aの具体的な構造等は、例えば、特許第5597232号公報を参照されたい。
【0042】
スイベルジョイント79は、当該スイベルジョイント79がレール76に沿って昇降可能となるように、当該レール76におけるロッドチャック77よりも上方の位置に設けられている。スイベルジョイント79の下端には、ロッド78の上端が回転可能に取り付けられており、ロッド78の昇降に伴って、レール76に沿って昇降する。スイベルジョイント79における側方又は上方には、地盤改良材を供給するホース(図示省略)の先端が接続される。すなわち、スイベルジョイント79は、回転するロッド78における上端の口(図示省略)にホースの先端を接続する回り継手として機能している。
【0043】
リーダ角度変更用油圧シリンダ8は、ブーム4に対するリーダ70の角度を鋭角及び0度の範囲で変更するリーダ角度変更機構として機能する。具体的に、リーダ角度変更用油圧シリンダ8は、シリンダチューブ80と、ピストンロッド81と、を有している。
【0044】
シリンダチューブ80は、先端側のブーム材41に設けられているブラケット46に水平軸回りに回動可能に取り付けられている。ピストンロッド81は、フィードギアケース72に設けられているブラケット73に水平軸回りに回動可能に取り付けられていると共に、シリンダチューブ80に対して進退可能になっている。このようなリーダ角度変更用油圧シリンダ8は、ピストンロッド81がシリンダチューブ80に対して進退することで、ブーム4に対するリーダ70の角度を鋭角及び0度の範囲で変更する。
【0045】
次に、
図1~
図3を用いて、ブーム4及び地盤改良ユニット7の格納時の地盤改良機1の動作について説明する。
【0046】
まず、リーダ支持用油圧シリンダ74を収縮させることで当該リーダ支持用油圧シリンダ74による接地を解除してから、第1の起伏用油圧シリンダ5を伸長させることで、略鉛直となる基準姿勢となるようにブーム4を起立させると共に、リーダ角度変更用油圧シリンダ8を伸長させることでリーダ70をブーム4と略並行となるように折り畳み、さらに、ブラケット3を前方に移動させる(
図1→
図2参照)。その後、手動で、ブラケット3に第2の起伏用油圧シリンダ6を水平軸回りに回動可能に取り付けると共に、ブラケット3から第1の起伏用油圧シリンダ5を取り外す(
図2参照)。その後、ブーム4を収縮させると共に、第2の起伏用油圧シリンダ6を収縮させることでブーム4及びリーダ70を横に倒す(
図2→
図3参照)。
【0047】
次に、
図1~
図3を用いて、ブーム4及び地盤改良ユニット7の使用時の地盤改良機1の動作について説明する。
【0048】
まず、ブーム4を伸長させると共に、第2の起伏用油圧シリンダ6を伸長させることで、略鉛直となる基準姿勢となるようにブーム4を起立させる(
図3→
図2参照)。その後、手動で、ブラケット3に第1の起伏用油圧シリンダ5を水平軸回りに回動可能に取り付けると共に、ブラケット3から第2の起伏用油圧シリンダ6を取り外す(
図2参照)。その後、ブラケットを後方に移動させてから、第1の起伏用油圧シリンダ5を収縮させることでブーム4を斜めに倒すと共に、リーダ角度変更用油圧シリンダ8を収縮させることでリーダ70を鉛直に沿うように配置させ、さらに、リーダ支持用油圧シリンダ74を伸長させることで当該リーダ支持用油圧シリンダ74による接地を行う(
図2→
図1参照)。
【0049】
このように、本発明の実施形態に係る地盤改良機1は、ベースマシン2と、ベースマシン2に対して鉛直軸回りに回動可能に設けられているブラケット3と、ブラケット3に対して水平軸回りに回動可能に設けられていることで旋回可能であると共に起伏可能であり、かつ、伸縮可能であるブーム4と、ブーム4の先端又はその付近に対して水平軸回りに回動可能に設けられ、ブーム4の先端又はその付近から下方に向けて鉛直に沿うように配置されて使用されるリーダ70と、ブームに対するリーダ70の角度を鋭角及び0度の範囲で変更するリーダ角度変更用油圧シリンダ8と、を備えている。
【0050】
このような本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、ブーム4を旋回させたり起伏させたり伸縮させたりすることでリーダ70を移動させることができる。このため、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、ベースマシン2に対するリーダ70の可動域が広いので、ベースマシン2を移動させずに複数の箇所に対して地盤改良を行うことができる。結果、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、作業の負担を軽減できる。
【0051】
また、本発明の実施形態に係る地盤改良機1において、リーダ角度変更用油圧シリンダ8は、ブーム4に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられているシリンダチューブ80と、リーダ70に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられているピストンロッド81と、を有している。
【0052】
このような本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、リーダ角度変更用油圧シリンダ8を動作させることでリーダ70をロボットアームのように能動的に自由に動かすことができる。このため、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、リーダ70をクレーン等で吊り下げて動かす場合と比較して、リーダ70の取扱いが容易である。結果、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、作業の負担を軽減できる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係る地盤改良機1は、リーダ70の下端に対して鉛直に進退可能に設けられ、接地することでリーダ70を安定させるリーダ支持用油圧シリンダ74を備えている。
【0054】
このような本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、リーダ70の下端を地面に近付けた後にリーダ支持用油圧シリンダ74を下方に伸長させることで接地させることができる。このため、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、リーダ支持用油圧シリンダ74を備えずリーダ70を直接接地させる場合と比較して、所望する箇所にリーダ70を容易に安定させることができる。結果、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、作業の負担を軽減できる。
【0055】
また、本発明の実施形態に係る地盤改良機1は、ブーム4が起伏可能な範囲のうち、当該ブーム4が略鉛直となる基本姿勢から一方の範囲であって、かつ、リーダ70と対向する面が下方を向く範囲で当該ブーム4を起伏させる第1の起伏用油圧シリンダ5と、ブーム4が起伏可能な範囲のうち、基準姿勢から他方の範囲であって、かつ、リーダ70と対向する面が上方を向く範囲で当該ブーム4を起伏させる第2の起伏用油圧シリンダ6と、を備え、リーダ70は、第2の起伏用油圧シリンダ6によって倒されたブーム4の上方に当該ブーム4と略並行となるように格納される。
【0056】
このような本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、第1の起伏用油圧シリンダ5を動作させることで、ブーム4が起伏可能な範囲のうち、当該ブーム4におけるリーダ70と対向する面が下方に向く範囲で当該ブーム4を起伏させることができ、また、第2の起伏用油圧シリンダ6を動作させることで、ブーム4が起伏可能な範囲のうち、当該ブーム4におけるリーダ70と対向する面が上方を向く範囲で当該ブーム4を起伏させることができる。このため、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、ブーム4におけるリーダ70と対向する面が下方を向く範囲で当該ブーム4を起伏させることができるだけでなく、ブーム4におけるリーダ70と対向する面が上方を向く範囲で当該ブーム4を起伏させることができる。ひいては、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、第2の起伏用油圧シリンダ6によって倒されたブーム4の上方に当該ブーム4と略並行となるようにリーダ70を格納させることができ、リーダ70の取扱いが容易である。結果、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、作業の負担を軽減できる。
【0057】
また、本発明の実施形態に係る地盤改良機1において、ブラケット3は、ベースマシン2に対して前後に移動可能に設けられている。
【0058】
このような本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、ベースマシン2に対してブラケット3を前後に移動させることでリーダ70を前後に移動させることができる。このため、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、ベースマシン2に対するリーダ70の可動域がさらに広くなるので、重量バランスを考慮してリーダ70を移動させることが容易となる。結果、本発明の実施形態に係る地盤改良機1によれば、作業の負担を軽減できる。
【0059】
本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置・大きさ・長さ・数量・形状・材質、動作の順番などは適宜変更できる。
【0060】
すなわち、上記実施形態では、リーダ角度変更用油圧シリンダ8が、ブーム4に対するリーダ70の角度を鋭角及び0度の範囲で変更する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記実施形態において、リーダ角度変更用油圧シリンダ8が、ブームに対するリーダ70の角度を鋭角の範囲で変更するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、シリンダチューブ80が、ブラケット46を介してブーム4に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられていると共に、ピストンロッド81が、ブラケット73を介してリーダ70に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられている場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記実施形態において、シリンダチューブ80が、ブラケット73を介してリーダ70に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられていると共に、ピストンロッド81が、ブラケット46を介してブーム4に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 地盤改良機
2 ベースマシン
20 下部走行体
20a キャタピラ
21 車体
22 エンジンルーム
23 アウトリガ
3 ブラケット(回動体)
4 ブーム
40 基端側のブーム材
40a,40b 面
41 先端側のブーム材
41a,41b 面
42,43 ブラケット
44 スペーサ
45,46 ブラケット
5 第1の起伏用油圧シリンダ
6 第2の起伏用油圧シリンダ
7 地盤改良ユニット
70 リーダ
70a,70b 面
71 ブラケット
72 フィードギアケース
72a 面
73 ブラケット
74 リーダ支持用油圧シリンダ(リーダ支持機構)
75 ロッドガイド
76 レール
77 ロッドチャック
78 ロッド
78a 掘削具
79 スイベルジョイント
8 リーダ角度変更用油圧シリンダ(リーダ角度変更機構)
80 シリンダチューブ
81 ピストンロッド
F1 前方
B1 後方
U1 上方
D1 下方
【要約】
【課題】作業の負担を軽減できる地盤改良機を提供する。
【解決手段】地盤改良機1は、ベースマシン2と、ベースマシン2に対して鉛直軸回りに回動可能に設けられているブラケット3と、ブラケット3に対して水平軸回りに回動可能に設けられていることで旋回可能であると共に起伏可能であり、かつ、伸縮可能であるブーム4と、ブーム4の先端又はその付近に対して水平軸回りに回動可能に設けられ、ブーム4の先端又はその付近から下方に向けて鉛直に沿うように配置されて使用されるリーダ70と、ブーム4に対するリーダ70の角度を鋭角及び0度の範囲で変更するリーダ角度変更用油圧シリンダ8と、を備えている。
【選択図】
図1