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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】リング型ウェアラブル端末
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220519BHJP
   A44C 9/02 20060101ALI20220519BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
G06K19/077 228
A44C9/02
G06K19/077 108
G06K19/077 112
G06K19/077 120
G06K19/07 040
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017072298
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2018173873
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/153803(WO,A1)
【文献】特開2015-093004(JP,A)
【文献】特開2008-295526(JP,A)
【文献】登録実用新案第3058861(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0134737(US,A1)
【文献】特開2015-109939(JP,A)
【文献】特開2004-157873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
A44C 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の機器と通信する通信部が設けられているリングと、
前記リングの内側に取り付けられる内径補正部材と、
を備え、
前記内径補正部材は、前記リングに設けられている負荷に給電する電池を備えることを特徴とするリング型ウェアラブル端末。
【請求項2】
前記電池は、非接触充電装置により充電される二次電池であることを特徴とする請求項1に記載のリング型ウェアラブル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング型ウェアラブル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、リーダライタに接近すると無線通信して各種データを送受信する。取り扱いが容易であり、入退出管理カードや、社員カード、交通機関の乗車カード、クレジットカードなどとして普及している。
【0003】
ICカードと同様の機能を備える指輪も知られている。特許文献1に開示されているRFID組込リングを用いれば、カバンや衣服のポケットからICカードを取り出すことなく、鉄道の自動改札機を通ったり、買い物の代金を支払ったりできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-93004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リング型として身に付けることで、その機能をより簡単に使えるようになるが、サイズが指に合わなければ抜け落ちて紛失する可能性がある。ICチップやアンテナなどが搭載された指輪のサイズ調整は容易ではなく、男女問わず広く使用してもらうには多様なサイズを用意する必要がある。しかしその場合、当然、製造コストは増す。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイズを使用者により合わせやすいリング型ウェアラブル端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、リング型ウェアラブル端末である。このリング型ウェアラブル端末は、外部の機器と通信する通信部が設けられているリングと、リングの内側に取り付けられる内径補正部材とを備える。
【0008】
この態様によれば、使用者がリングに内径補正部材を取り付けることで、リング型ウェアラブル端末の内径を自分の指に合わせられる。内径が異なる複数の内径補正部材を用意すれば、一つのリングで多様なサイズに対応できる。
【0009】
本発明の別の態様もまた、リング型ウェアラブル端末である。このリング型ウェアラブル端末は、第1および第2リング型ウェアラブル端末を含む。第1リング型ウェアラブル端末は、外部の機器と通信する第1通信部が設けられている第1リングと、第1リングの内側に取り付けられる内径補正部材とを備える。第2リング型ウェアラブル端末は、外部の機器と通信する第2通信部が設けられている第2リングを備える。第1リングに内径補正部材を取り付けた状態における内径は、第2リングの内径以上とする。したがって、当然、第1リングの内径は第2リングのそれよりも大きい。
【0010】
この態様によれば、第1リングに内径補正部材をつけることにより、第1リングから第2リングまで、一気にリングの内径が下がる事態を回避できる。したがって、第1リングは大きすぎる一方、第2リングは小さすぎる使用者の指により合いやすいリング型ウェアラブル端末を提供できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サイズを使用者により合わせやすいリング型ウェアラブル端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末の斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末の分解図である。
図3】第1の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末の上面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】第2の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末を示す図である。
図6】第3の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末の斜視図である。
図7】第3の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0014】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末は、外部の機器と通信する通信部が設けられているリングと、リングの内側に取り付けられる内径補正部材とを備える。通信部は、既知の技術によりリーダライタなどの外部機器と無線通信してデータを送受信する。内径補正部材は、外径がリングの内径にほぼ等しい環状部材である。リングの内側に内径補正部材を取り付けて、リング型ウェアラブル端末の内径サイズを使用者の指に合わせることができる。内径が異なる内径補正部材を複数用意すれば、リングの内径を最も大きいサイズとして多様なサイズに対応できる。
【0015】
図1は第1の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末10の斜視図、図2はその分解図である。図3はリング型ウェアラブル端末10の上面図、図4図3のA-A断面図である。
【0016】
リング型ウェアラブル端末10は、通信部14が設けられているリング12、内径補正部材16を備える。リング12は、酸化イットリウムを添加したジルコニアからなる高強度セラミックで形成されている。通信部14は、ICチップおよびアンテナを含むICタグであり、リング12に内蔵されている。通信部14は、リーダライタに接近したときに無線通信してデータを送受信する。内径補正部材16は、シリコン樹脂によりリング状に形成されている。内径補正部材16の外径は、リング12の内径にほぼ等しい。また、内径は使用者がリング型ウェアラブル端末10を付ける指に合った大きさとする。内径補正部材16は、変形させながらリング12の内側に嵌め込むことができるように、少なくとも一部を弾性材料で形成する。
【0017】
図2および図4に示すように、リング12の内周面を、内側に向かって緩やかに突出する凸面18とする。また、内径補正部材16の外周面を、リング12の凸面18に対応して窪む凹面20とする。内径補正部材16をリング12の内側に取り付けると、凹面20に凸面18が嵌って密着し、リング12が内径補正部材16から外れにくくなる。凸面18と凹面20との間に滑り止め材を塗布してもよい。一人の使用者が同じ指で使い続ける場合、内径補正部材16を交換しなくてもよいので、接着材を用いて内径補正部材16をリング12に取り付けてもよい。リング12を内径補正部材16に固定し、リング12が内径補正部材16から外れて落下および紛失しにくくなる。
【0018】
以上の構成による実際の使用方法と効果は以下の通りである。使用者は内径補正部材16をリング12に取り付けて、リング型ウェアラブル端末10の内径を自分の指に合わせる。リング型ウェアラブル端末10を指に付けた手をリーダライタに近づけるだけで、自動改札機の読み取りや、買い物代金の支払いなどを簡単に実行できる。リング型ウェアラブル端末10の製造者は、内径が異なる複数の内径補正部材16を用意すれば、一つのリング12で多様なサイズに対応できる。
【0019】
[第2の実施の形態]
図5は、第2の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末30を示す図である。リング型ウェアラブル端末30は、第1リング型ウェアラブル端末32、第2リング型ウェアラブル端末40を含む。第1リング型ウェアラブル端末32は、第1通信部36が設けられている第1リング34、第1リング34の内側に取り付けられる内径補正部材38を備える。第2リング型ウェアラブル端末40は、第2通信部44が設けられている第2リング42を備える。第1リング34および第2リング42や、内径補正部材38の構成は、第1の実施の形態に係るリング12および内径補正部材16と同様である。
【0020】
第1リング34の内径をR1、内径補正部材38の内径をR2とする。第2リング42の内径R3は、内径補正部材38の内径R2より小さい。この構成により、内径R1、R2、R3の3つのサイズのリング型ウェアラブル端末を提供できる。
【0021】
以上の構成によれば、製造するリングの種類が増えるのを抑えつつ、使用者の指に合ったサイズのリング型ウェアラブル端末を提供しやすくなる。なお、第2リング42自体があるため、第1リング34に内径補正部材を取り付けて内径R3以下の小さいサイズまで対応する必要はない。そのため、内径補正部材が厚すぎることで美観が損なわれたり、扱いにくくなったりすることもない。
【0022】
なお、R1より小さくR3より大きい範囲で内径が異なる複数の内径補正部材を備えてもよい。その場合、より多くのサイズに対応できる。また、第2リング型ウェアラブル端末40は、第2リング42の内側に取り付けられる内径補正部材を備えてもよい。そうすれば、より小さいサイズにも対応できる。
【0023】
[第3の実施の形態]
図6は第3の実施の形態に係るリング型ウェアラブル端末50の斜視図、図7はその上面図である。リング型ウェアラブル端末50は、リング52、内径補正部材66を備える。リング52は、ディスプレイ54、ランプ56、ボタン58、バイブレータ60、制御部62、通信部64を備える。ディスプレイ54、ランプ56、およびバイブレータ60は、通信部64の通信内容を使用者に通知する通知部である。制御部62は、通信部64の通信内容やボタン58の操作に応じて各部を制御する。制御部62は、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置といったハードウェア、コンピュータプログラムなどのソフトウェアの組み合わせなどにより実現される。通信部64は、ICチップおよびアンテナを含むICタグであり、既知の技術によりリーダライタや使用者が保有する携帯電話などと通信してデータを送受信する。
【0024】
通信部64は、携帯電話がメールやSNS(social networking service)のメッセージを受信した場合、そのメールやメッセージに関するデータを携帯電話から受信する。制御部62は、通信部64が携帯電話からメールなどに関するデータを受信した場合、ランプ56を点灯させるとともにバイブレータ60を振動させる。また、点灯や振動に気付いた使用者によりボタン58が押された場合、受信したメールの件名および差出人や、メッセージを受信したアプリケーションの種類やメッセージの冒頭部分をディスプレイ54に表示させる。使用者は、必要に応じて携帯電話を取り出してメールなどの内容を確認し、返信などを行う。指につけたリング型ウェアラブル端末50を見ればメールなどの受信の有無を確認できるので、その確認のためだけに携帯電話を取り出す必要がなくなる。
【0025】
内径補正部材66は、リング52に設けられているディスプレイ54などの負荷に電力を供給する電池68を備える。電池68は、既知の手法で非接触充電装置(図示せず)により充電される二次電池である。使用者は、リング型ウェアラブル端末50を指から外して充電装置に置くだけで、簡単に電池68を充電できる。電池68の充電が切れた場合、充電された電池68を備える予備の内径補正部材66と交換すれば、リング型ウェアラブル端末50を継続して使用できる。電池68を一次電池としてもよい。この場合、電池68とともに内径補正部材66も使い捨ての部材としてもよい。逆に、電池68を交換可能な構成としてもよい。その場合は一つの内径補正部材66を長く使うことができる。
【0026】
以上、第3の実施の形態によれば、他の実施の形態と同様に各種決済などを簡単に実行可能であり、さらに携帯電話のメール受信の有無などを容易に確認できる。
【0027】
以上、本発明について、実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0028】
例えば、指輪として使用するリング型ウェアラブル端末について説明したが、これに限らない。リングおよび内径補正部材の径を大きくしてブレスレットとしてもよい。
リングも環状に限らず、「C」の文字のように一部が切れた形でもよい。内径補正部材も同様である。
リングと内径補正部材の色は当然何でもよいが、ファッション性の観点から、両者を同色にしたり、逆に補色関係のように大きく異なる色の組合せとしてもよい。
電池は太陽電池でもよく、その場合はリング外面にパネルを設ければよい。
内径補正部材は、エアバックのように空気が入れられて膨らむ部材であってもよい。これにより、使用者の指のサイズにより合わせやすくなる。
【符号の説明】
【0029】
10、30、50 リング型ウェアラブル端末、 12、52 リング、 14、64 通信部、 16、38、66 内径補正部材、 32 第1リング型ウェアラブル端末、 34 第1リング、 36 第1通信部、40 第2リング型ウェアラブル端末、 42 第2リング、 44 第2通信部、 54 ディスプレイ、 56 ランプ、 60 バイブレータ、 68 電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7