(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】ワークピース用の載置面上での位置マーキングを設定するためのマーキング装置及びマーキング装置を較正するための方法
(51)【国際特許分類】
D05B 35/12 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
D05B35/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017075844
(22)【出願日】2017-04-06
【審査請求日】2020-02-26
(31)【優先権主張番号】10 2016 206 815.6
(32)【優先日】2016-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595143159
【氏名又は名称】デュルコップ アドラー アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ペンナー
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ ハルダー
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-295962(JP,A)
【文献】特開平09-024172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0042497(US,A1)
【文献】特開2007-296073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース用の載置面(17)上での位置マーク(16)を設定するためのマーキング装置(1)にして、
-マーキングライト(4)を回動させるための駆動装置(3)、
-ライトマークをもたらすための、ホルダ(9)を備えたマーキングライト(4)、及び
-前記駆動装置(3)の回転運動を前記マーキングライト(4)の回動運動へ変換するためのギアユニット(5)
を備えている、
マーキング装置(1)において、
前記ギアユニット(5)が連結部材(8)を有していること、
前記マーキングライト(4)が、前記ギアユニット(5)の一部分の並進運動を案内するためのガイド領域(13)を有していること、
前記連結部材(8)が、その一方の端部にて前記駆動装置(3)と回転不能に接続されており、また、反対側の端部にて前記マーキングライト(4)の前記ガイド領域(13)で可動的に支持されていること、及び
前記駆動装置(3)が前記ギアユニット(5)を介して前記マーキングライト(4)と作用接続状態にあり、当該作用接続状態においては前記載置面(17)上に結果として生じる前記位置マーク(16)の移動が前記駆動装置(3)の前記回転運動の回転角に10%未満の偏差で線形従属すること、
を特徴とするマーキング装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のマーキング装置(1)において、
前記マーキングライト(4)の前記ガイド領域(13)内で前記連結部材(8)の端部を案内するための1つの突出ガイド部分(14)が、前記連結部材(8)に配設されていること、
を特徴とするマーキング装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマーキング装置(1)において、
位置マーク(16)の位置データ及び/又はマーキングライト(4)の位置データを検知するための位置センサ(18)を特徴とするマーキング装置(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のマーキング装置(1)において、
少なくとも1つのサポート位置(24、26、27)及び/又は位置マークを入力するための入力モジュール(20)を特徴とするマーキング装置(1)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のマーキング装置(1)において、
-回動軸を有する1つの回転ジョイント(11)を有しており、当該回転ジョイント(11)を介して、前記ホルダ(9)が、前記マーキング装置(1)のフレームに固定された構成要素(6)に回動連結されていること、
-駆動シャフト軸を有する更なる回転ジョイント(15)を有しており、当該更なる回転ジョイント(15)を介して、前記連結部材(8)が、フレームに固定された前記構成要素(6)に回動連結されていること、及び
その際、前記回動軸が垂直方向で同一面に並んで前記駆動シャフト軸の上方に配設されている
ことを特徴とするマーキング装置(1)。
【請求項6】
ワークピース用の載置面(17)上での位置マーク(16)を設定するためのマーキング装置(1)にして、
-マーキングライト(4)を回動させるための駆動装置(3)、
-ライトマークをもたらすための、ホルダ(9)を備えたマーキングライト(4)、及び
-前記駆動装置(3)の回転運動を前記マーキングライト(4)の回動運動へ変換するためのギアユニット(5)
を備えている、
マーキング装置(1)において、
前記ギアユニット(5)が連結部材(8)を有していること、
前記マーキングライト(4)が、前記ギアユニット(5)の一部分の並進運動を案内するためのガイド領域(13)を有していること、
前記連結部材(8)が、その一方の端部にて前記駆動装置(3)と回転不能に接続されており、また、反対側の端部にて前記マーキングライト(4)の前記ガイド領域(13)で可動的に支持されていること、
前記駆動装置(3)が前記ギアユニット(5)を介して前記マーキングライト(4)と作用接続状態にあり、当該作用接続状態においては前記載置面(17)上に結果として生じる前記位置マーク(16)の移動が前記駆動装置(3)の前記回転運動の回転角に10%未満の偏差で線形従属すること、
前記マーキングライト(4)の前記ガイド領域(13)内で前記連結部材(8)の端部を案内するための1つの突出ガイド部分(14)が、前記連結部材(8)に配設されていること、
-回動軸を有する1つの回転ジョイント(11)を有しており、当該回転ジョイント(11)を介して、前記ホルダ(9)が、前記マーキング装置(1)のフレームに固定された構成要素(6)に回動連結されていること、
-駆動シャフト軸を有する更なる回転ジョイント(15)を有しており、当該更なる回転ジョイント(15)を介して、前記連結部材(8)が、フレームに固定された前記構成要素(6)に回動連結されていること、その際、前記回動軸が垂直方向で同一面に並んで前記駆動シャフト軸の上方に配設されていること、及び
前記マーキングライト(4)の前記ホルダ(9)が、前記連結部材(8)に接触して、前記突出ガイド部分(14)の連結軸を介して、回動連結されており、その際、前記駆動シャフト軸及び前記連結軸の間の間隔が、前記連結軸及び前記回動軸の間の間隔よりも短
いこと
、
を特徴とするマーキング装置(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のマーキング装置(1)を備える縫製機械。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のマーキング装置(1)を較正するための方法において、以下の工程:
-第1のサポート位置(24)に向かって移動する工程、
-前記第1のサポート位置(24)の位置データを記憶する工程、
-第2のサポート位置(26)に向かって移動する工程、
-前記第2のサポート位置(26)の位置データを記憶する工程、
-第3のサポート位置(27)に向かって移動する工程、
-前記第3のサポート位置(27)の位置データを記憶する工程、及び、
-前記第1及び前記第3のサポート位置(24、27)の間の部分区間、及び、前記第2及び前記第3のサポート位置(26、27)の間の部分区間、を補完する工程
を有していること、を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記第1及び前記第2のサポート位置(24、26)が前記マーキングライト(4)の表示領域の外側縁にあり、また、前記第3のサポート位置(27)が前記第1及び前記第2のサポート位置(24、26)の中間にあること、
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング装置、マーキング装置を備える縫製機械、及び、マーキング装置を較正(キャリブレーション)するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のマーキング装置が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び、特許文献9から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】DE 10 2007 019 944 A1
【文献】DE 10 2007 019 945 A1
【文献】DE 10 2007 020 161 A1
【文献】DE 10 2007 041 085 A1
【文献】JP 2008 188 148 A
【文献】JP 2002 336 568 A
【文献】JP 09 024 172 A
【文献】US 3,766,870
【文献】US2013/0139739
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ワークピース(被加工物)のための載置面上での位置マーキング(以下「位置マーク」と称する)の設定を改善及び簡潔化するマーキング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に従うマーキング装置を用いて解決される。
【0006】
本発明に従い、駆動装置の回転運動をマーキングライトの回動運動へ変換するためのギアユニットが設けられる。駆動装置はギアユニットを介してマーキングライトと以下のような作用接続状態にある、すなわち、結果的に生じるマーキングの移動が10%より僅かにだけ、特には8%より僅かにだけ、特には4%より僅かにだけ、特には1%分より僅かにだけずれて駆動装置の回転運動と線形従属するような作用接続状態にある。この装置は、特には2つの三角関数成分がほぼ完全に切り離れるものであってもよく、その結果、位置マークの結果的に生じる移動の直線成分が残る。その結果、位置マーク或いはライトマーキングの結果的に生じる運動と駆動装置の回転運動の間の線形な関係が良好な近似でもたらされる。これは、微小角度の近似が成り立たない回動角の場合、すなわちラジアンでの角度のサイン又はタンジェントが最早当該角度自体によって置き換えることが出来ない回動角の場合にも、成り立つ。載置面上での位置マークの結果として生じる移動の線形従属であって、すなわち駆動装置が回動する際に位置マークが進むルート(道程)の線形従属であって、駆動装置の回転運動の回転角の10%よりも僅かな偏差(ズレ)での線形従属は、特には、回転角が10°より大きい場合にも、また、マーキングライトの回動角が10°より大きい場合にもまた特には角度が15°よりも大きい場合、20°よりも大きい場合、25°よりも大きい場合又は30°よりも大きい場合にも成り立つ。駆動装置の回転運動及び結果として生じるライトマーキングの運動の間の線形的な関係に基づき、駆動装置の回転運動の与えられた位置分解能を用いて、位置マークの場所をプリセットする際の有利に高い位置分解能を、達成することが出来る。載置面へライトマーキングが傾斜して入射する場合においては、駆動装置の与えられた回転角が載置面へのライトマーキングの入射角の僅かな角度変化のみを導くように、ギアユニットの変換は行われる。反対に、載置面へライトマーキングが急傾斜で入射する場合また特には事実上垂直に入射する場合においては、駆動装置の同じ回転運動は、マーキングライトの回動角の大きな変化を導く。僅かな線形偏差の結果、使用者による位置マーク或いはライトマーキングの修正を省略することが出来る。特には、位置マーク或いはライトマーキングの予定位置及び実際位置の間の変位の程度を修正するために、変位キー(変位ボタン)を操作する必要はない。修正プログラムは不要である。
【0007】
有利な様態では、駆動装置は、同期電動機(シンクロナスモータ)として、特にはステッピングモータとして、例えばハーフステッピングモータとして、実施されている。
【0008】
有利な様態では、マーキングライトはレーザーとして実施されている。
【0009】
有利な様態では、マーキング装置は縫製機械において利用され、その際、ワークピースは縫製素材である。
【0010】
請求項1に係るマーキング装置においては、構造上簡潔なギアユニットが提供される。1つの連結部材が設けられていてもよく、当該連結部材は駆動装置の回転運動とマーキングライトの回動運動の間を仲介する。有利な様態では、連結部材はジョイントスライドアームとして実施されていてもよい。有利な実施形態においては、スライドアームは伸縮可能に設計されていてもよい。代替的又は追加的に、マーキングライトの取付部(担体)が、連結部材がマーキングライトに回動連結されている場所で、伸縮可能に設計されていてもよい。その種の伸縮的な構造は、ギアユニットの動作機構的な優決定(過剰決定)を回避する。
【0011】
請求項1に係るマーキング装置は、マーキングライトの構造上有利な実施形態を提供する。ガイド領域により、ギアユニットの動作機構的な優決定が避けられる。有利な様態では、ギアユニットの一部又はギアユニットの構成要素が、マーキングライトのガイド領域内で直線的に案内される。
【0012】
請求項1に係るマーキング装置は、駆動装置及びマーキングライトの間の構造上の有利な接続を提供する。有利な様態では、連結部材はその一方の端部で駆動ユニットの駆動シャフトと固定的に接続されており、また、反対側の端部でマーキングライトのガイド領域内で移動可能に支持されている、特には直線的に移動可能に支持されている。有利な様態では、連結部材の端部は、マーキングライトのガイド領域で直線的な移動を行う。
【0013】
請求項2に係るマーキング装置は、構造上有利な連結部材を提供する。有利な様態では、突出ガイド部(突出しているガイド部)が、連結部材に回転可能に支持されており、また、マーキングライトのガイド領域内でスライド可能に、支持されている。
【0014】
図6に係るマーキング装置においては、載置面上での位置マークの格別に正確なプリセット(設定)が保証される。
【0015】
請求項4に係るマーキング装置においては、少なくとも1つのサポート位置及び/又はマーキングされるべき位置の、格別に有利な入力が提供される。有利な様態では、入力モジュールはタッチ操作部を有している。それにより、格別に有利な入力が保証される。
【0016】
有利な様態では、入力モジュールは、ディスプレイの形態の表示部、特にはタッチパネル式ディスプレイの形態の表示部を有している。それにより、少なくとも1つの制御命令を選ぶための複数の操作及び選択メニューが選択され得る。
【0017】
請求項5に係るマーキング装置においては、マーキング装置の特に好ましい実施形態が提供される。特には、回動軸及び駆動シャフト軸の間の間隔は、マーキングライトの回動移動の間、一定不変である。マーキングライトのホルダは、マーキング装置のギアユニットのレバーアームとして実施されていてもよい。連結部材は、ギアユニットの別のレバー部材として実施されていてもよい。
【0018】
好ましくは、駆動シャフト軸は、駆動装置によって、特には回転駆動装置によって、特にはステッピングモータによって、駆動される。
【0019】
請求項6に係るマーキング装置においては、マーキング装置の特に好ましい実施形態が更に改良される。回動軸、駆動シャフト軸、及び、連結軸が互いに垂直(鉛直)方向で同一面上で並ぶ瞬間位置においては、駆動シャフト軸及び連結軸の間の間隔は、連結軸及び回動軸の間の間隔のほぼ半分、特には、最大でも50%、最大でも45%、又は、最大でも40%である。
【0020】
本発明の更なる課題は、マーキング装置を備えた縫製機械(縫製装置)を提供することである。
【0021】
この課題は、請求項7に従う特徴により解決される。
【0022】
本発明に従い、縫製素材のための位置マークの設定を改善出来ることが明らかになった。
【0023】
有利な様態では、載置面上に位置マークを設定することが可能であってまた縫製素材上での視界(視野)を邪魔しないように、マーキング装置は縫製機械に配設されている。
【0024】
本発明の更なる課題は、マーキング装置を較正するための方法を提供することである。
【0025】
この課題は、請求項8に従う方法によって達成される。
【0026】
本発明に従い、マーキング装置の較正によってワークピース用の載置面上での位置マークの場所設定(位置設定)を改善出来ることが明らかになった。そのようにして、駆動装置の回転運動の程度(範囲)とその結果もたらされる載置面上での位置マークの場所移動の間の線形関係の残差は修正される。位置マークを是正するための使用者による更なる措置は必要ない。特には、移動範囲(移動の程度)を特定しまたその移動範囲に応じて駆動装置を制御する必要はない。
【0027】
請求項9に従う方法においては、サポート位置の格別に有利な配置が提供される。ワークピースのために載置面上での位置マークの位置設定を更に改善するために、3つより多くの、特には5つより多くの、特には10より多くのサポート位置が設けられていてもよい。
【0028】
本発明の実施例が図面1から図面7を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】
図1のマーキング装置の入力モジュールの概略図を示す。
【
図4】
図1と類似の図面であり、マーキング装置の瞬間位置は第1のサポート位置にある。
【
図5】
図1と類似の図面であり、マーキング装置の瞬間位置は第2のサポート位置にある。
【
図6】
図1と類似の図面であり、マーキング装置の瞬間位置は第3のサポート位置にある。
【
図7】
図1と類似の図面であり、マーキング装置の瞬間位置は、第1及び第3のサポート位置の間の位置マークにある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下においては、
図1及び
図2を用いてマーキング装置の実施例がより詳細に説明される。マーキング装置1は、概略的に図示された固定ピン2を介して、不図示の機械、特には縫製機械に固定されている。マーキング装置1は駆動装置3、マーキングライト4及びギアユニット5を含んでいる。駆動装置3は固定ベース6に取り外し可能に接続されている。有利にはこの取り外し可能な接続は、締め付け接続部(ネジ接続部)として設計されている。駆動装置3は突出した駆動シャフト7を有している。駆動シャフト7はギアユニット5と接続されており、その際ギアユニット5は図示されている実施例においてはスライドアーム8の形態の連結部材として設計されている。スライドアーム8によって、駆動装置3はマーキングライド4と接続されている。
【0031】
マーキングライト4はホルダ(保持部)9及び発光ユニット10を含んでいる。ホルダ9は回転ジョイント11を介して固定ベース6に固定されている。当該回転ジョイント11を通り、以下においては回動軸と称される回転軸が延びており、当該回動軸の周りでマーキングライト4を回転させることが出来る。発光ユニット10は有利にはレーザー装置として実施されている。発光ユニット10はホルダ9の収容領域12内に配設されている。マーキング装置1の使用状態に応じて発光ユニット10は収容領域12内で、取り外し可能に固定されていてもよいし、取り外し不能に固定されていてもよい。
【0032】
収容領域12の近傍にはガイド領域13が設けられている。ガイド領域13にはスライドアーム8の端部が直線的に動けるように支持されている。そのために突出ガイド部14が設けられている。突出ガイド部14は、スライドアーム8の端部にて回転するように、また、ガイド領域でスライド(滑動)するように、支持されている。このため、ガイド領域13はガイドレール13aを含んでおり、当該ガイドレール13aはホルダ9のベースボディに固定的にねじ締めされている。レール13a及びそれに向かい合うホルダ9のベースボディの対向面の間には、突出ガイド部14用に、ガイド領域13が、片側で開放した直線ガイド部の形態で形成されている。
【0033】
図示されている実施例においては、スライドアーム8の端部は駆動シャフト7と固定的に接続されているので、この端部には回転ジョイント15が設けられる。回転ジョイント15を通って、以下駆動シャフト軸と称される更なる回転軸が延びており、当該駆動シャフト軸の周りでスライドアーム8は回転することが出来る。両方の回転ジョイント11、15の回転軸は互いに間隔を置かれている。回動軸は垂直方向の1つの面内で並んで駆動シャフト軸の上方に配設されている。スライドアーム8はその反対側の端部で突出ガイド部14によってガイド領域13内で直線的に移動可能に支持されている。突出ガイド部14を通って連結軸が延びている。回動軸は連結軸を介してホルダ9と回動連結されている。マーキングライト4の回動運動の間、回動軸及び駆動シャフト軸の間の間隔は一定を維持する。それに対し、回動軸に対する連結軸の間隔及び駆動シャフト軸に対する連結軸の間隔は変化する。基本的に、駆動シャウト軸及び連結軸の間の間隔は、連結軸及び回動軸の間の間隔よりも狭いことが成り立つ。回動軸、連結軸及び駆動シャフト軸が垂直方向の同一平面で互いに並ぶことになる瞬間位置では、駆動シャフト軸及び連結軸の間の間隔は、連結軸及び回動軸の間の間隔のほぼ半分となり(
図6参照)、特には、駆動シャフト軸及び連結軸の間の間隔は、最大で、連結軸及び回動軸の間の間隔の50%、45%又は40%となる。
【0034】
これにより、駆動装置3はスライドアーム8を介してマーキングライト4と、以下のように作用接続した状態にある、つまり、位置マーク16の載置面17上で結果的に生じる移動が、10%未満、特には5%未満、特には1%未満分だけ偏差して、駆動装置の回転運動に線形従属するように、作用接続した状態にある。位置マーク16の位置は、表示領域内で任意に選ぶことが出来る。
【0035】
更に、1つの位置センサ(ポジションセンサ)18が備えられており、当該位置センサ18は収容領域12の近傍で固定ベース6に固定されている(
図2参照)。位置センサ18は、位置マーク16の位置データ或いはマーキングライト4の位置データを検出するために利用される。位置センサは、従来技術から知られているインクリメンタルエンコーダとして設計されていてもよい。参照位置(リファレンス位置)を確定するために参照スイッチ(リファレンススイッチ)19が備えられている。参照スイッチ19は位置センサ18と協働することが出来る。参照スイッチ19はプリセットされる参照位置に応じてマーキングライト4の近傍に配設されている。当該参照位置をマーキング装置が参照し、これは作業機械における参照位置と比較可能である。参照位置は表示領域の外側にあってもよい。
【0036】
図3はマーキング装置1の入力モジュール20を示している。入力モジュール20は、複数の操作及び選択メニューを表示するため、ディスプレイの形態の表示部21、特にはタッチセンサ式のディスプレイの形態の表示部21を有している。入力モジュール20は、マーキング装置1の選出された構成要素と、双方向性の信号接続状態にあり、当該構成要素は例えば、駆動装置3、マーキングライト4、位置センサ18、及び/又は、参照スイッチ19である。信号接続は、マーキング装置1の使用状態に応じて、有線接続(ケーブル接続)で実施しても、又は、無線接続(ワイヤレス)で実施してもよい。
【0037】
操作及び選択メニュー22を介して、サポート位置の位置データ及び/又はマーキングされるべき位置の位置データを入力することが出来る。入力されるデータは、概略的に図示されている制御及び調整ユニット23によって処理される。それに続き、オン信号が駆動装置3へ伝達される。位置センサ18の検出データは、制御及び調整ユニット23へ伝達され、入力された目標位置(基準位置、予定位置)と比較対照される。目標位置に至ると、オフ信号が駆動装置3へ伝達される。
【0038】
以下においては、
図4から
図7を用いて、マーキング装置1を較正(キャリブレーション)するための方法がより詳細に説明される。
【0039】
実際の較正の前に、マーキング装置1のスイッチを入れた後、参照位置へ向かい移動する。これはマーキング装置1の調整及びチェックに利用される。この参照により、サポート位置或いはサポート部分が正確に再現され得てまたそれらへ向かい移動出来ることが、保障される。それに続き、後述のようにサポート位置24、26、27へ向かう移動が行われる。サポート位置24、26、27は、中間域を直線的に補完するための基準を形成し、またサポート位置24、26、27はマーキングライト4の任意に表示されるそれぞれの位置にとっての基礎である。
【0040】
マーキング装置1を較正するため、第1のサポート位置24へ向う移動が行われる。サポート位置24は入力モジュール20によって設定することが出来る。第1のサポート位置24の位置データはメモリユニット25内に保存され、当該メモリユニット25は制御及び調整ユニット23と信号接続状態にある。それに続き、操作及び選択メニュー22を介して、第2のサポート位置26が選択される。その後駆動装置がマーキングライト4が回動されるように駆動シャフト7の回転角を変更し、その結果、位置マーク16が第2のサポート位置26上に表される。複数の位置データが位置センサ18を介して検出され、また、メモリユニット25内に保存される。それに続き、操作及び選択メニューを介して、第3のサポート位置27が入力され、その結果、マーキングライト4は既に記載した様に第3のサポート位置27を制御しまたその位置データをメモリユニット25に保存する。それに続き、第1のサポート位置24及び第3のサポート位置27の間の部分区間、並びに、第2のサポート位置26及び第3のサポート位置27の間の部分区間が、それぞれ補完される。
【0041】
較正の完了後、表示領域内で、つまり第1及び第2のサポート位置24、26の内側で、任意の複数の値に向かう移動を行うことが出来る。
【0042】
1つのサポート位置24、26、27又は1つの位置マーク16に向かって移動するために、開始信号が駆動装置3へ送信され、その結果、駆動シャフト7は予め設定された回転角φだけ回転する。これにより、スライドアーム8は回転ジョイント15の周りで同じ回転角φだけ回転される。その結果、突出ガイド部14はその中心軸の周りで回転され、また同時に、ガイド領域13にて直線的に移動される。突出ガイド部14を介して、マーキングライト4は回転ジョイント11の周りで回転角φ‘だけ回動され、当該回転角φ‘はギアユニット5の作用に基づいて回転角φに非線形的に従属しておりまたそれは載置面17上での位置マーク16の、回転角φに線形的に従属する平行移動(並進運動)を導く。
【0043】
言い換えれば、載置面17上での位置マーク16の並進運動が駆動シャフト7の回転角φに良好な近似で線形従属(1次従属)するように、ギアユニット5は作用する。これよって、回転角φの変化が表示領域全体に渡って近似的に一定を維持する位置マーク16の並進運動をもたらすことが、達成される。従って、例えば回転角φを39°から40°へ変更する場合に結果的に生じる位置マーク16の並進運動は、例えば回転角φを69°から70°へ変更する場合と近似的に同等である。
【符号の説明】
【0044】
1 マーキング装置
3 駆動装置
4 マーキングライト
5 ギアユニット
6 フレームに固定された構成要素(固定ベース)
8 連結部材
9 ホルダ
13 ガイド領域
14 ガイド部分
15 回転ジョイント
16 ポジションマーキング
17 載置面
18 ポジションセンサ
20 入力モジュール
24 第1のサポート位置
26 第2のサポート位置
27 第3のサポート位置