(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】ワークフレーム
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
E04H1/12 A
(21)【出願番号】P 2017143515
(22)【出願日】2017-07-25
【審査請求日】2020-06-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年5月27日、東京都中央区月島4-16-13 Daiwa月島ビル5F 株式会社イトーキDLT内にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】久保田 誠
(72)【発明者】
【氏名】小島 勇
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 雄二
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-037709(JP,U)
【文献】特開2013-181307(JP,A)
【文献】実用新案登録第2567849(JP,Y2)
【文献】特開2002-138693(JP,A)
【文献】特開昭61-078955(JP,A)
【文献】特開平01-174751(JP,A)
【文献】特開2005-105616(JP,A)
【文献】特公昭47-022865(JP,B1)
【文献】特開2006-183427(JP,A)
【文献】特開2006-063606(JP,A)
【文献】実開平07-035614(JP,U)
【文献】特開2009-170266(JP,A)
【文献】特開2004-183248(JP,A)
【文献】実開平05-078707(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 1/26,1/343
E04B 1/58
E04B 2/56
E04B 2/74,2/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系材により形成
され、床に立てられる平断面多角形乃至円形のポール部材であって、当該ポール部材の高さ方向に沿って多数の係止孔を上下方向で列状に並べて備える金属製係止孔列柱体の複数本を外周上に埋設したポール部材と、
離間して床に立てた少なくとも2本の前記ポール部材に結合して架設される木質系材で形成したビーム部材であって、
前記金属製係止孔列柱体における前記係止孔の数よりも少ない1以上の数の金属製爪部が当該ビーム部材の長さ方向両端
において設け
られたビーム部材と、
を備え
、
いずれかの前記金属製係止孔列柱体において選択されたいずれかの前記係止孔に対して、前記金属製爪部が係止されることで前記ビーム部材の端部が前記ポール部材に連結されていること
を特徴とするワークフレーム。
【請求項2】
ポール部材に埋設する金属製係止孔列柱体は、当該ポール部材の平面から見て90度間隔、又は45度間隔でポール部材の外周面に埋設した
請求項1のワークフレーム。
【請求項3】
ビーム部材は、長さ方向において垂直面で対面する2枚のビーム材を備え、
当該2枚のビーム材が、長さ方向両端部において支持金具と一体の前記金属製爪部とスペーサ部材を挟持して合着一体化されたものである
請求項1又は2のワークフレーム。
【請求項4】
ビーム部材は、その長さ方向両端側を平面視略テーパ状に形成した
請求項1~3のいずれかのワークフレーム。
【請求項5】
ポール部材とビーム部材は、前記ビーム部材が床に離間して立てた少なくとも2本の前記ポール部材の上端部に架設されているか、又は上端部と中間部に架設されているか、若しくは上端部と中間部と下端部に架設されてワークフレームを形成し、該ワークフレームにおいて、上,下で対面しているビーム部材同士における任意のビーム部材同士の間に、当該ビーム部材の上下方向の対向面において支持されるルーバー状の縦棧又はパネルを設ける
請求項1~4のいずれかのワームクレーム。
【請求項6】
金属製爪部と一体の支持金具を両端部に挟持してビーム部材を形成している2枚のビーム材が形成する隙間に、当該隙間を塞ぐか又は埋めるスペーサ部材を配置する
請求項1~5のいずれかのワークフレーム。
【請求項7】
ポール部材に架設して上下方向で対面する2本のビーム部材の対面部に、パネルを略帯面状の係着部材で支持するパネル保持部を設け、該パネル保持部に、パネルの上下部に前記係着部材に係着する係着部材を略帯面状に設けたパネルを保持させて取付ける
請求項1~6のいずれかのワークフレーム。
【請求項8】
ポール部材は、当該ポール部材の高さ方向に延びる筒状又は溝状のコード収容体を、該収容体の外面の上下方向に離間して設けた少なくとも2箇所の係止爪を当該ポール部材の係止孔に係止させて備える
請求項1~7のいずれかのワークフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内にポール部材(柱部材ともいう)とビーム部材やフレーム材(以下これらを梁部材ともいう)を結合して組み立て、分解自在にオフィスルームやパビリオン等の屋内空間を形成するワークフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属製のポール部材と金属製のビーム部材を結合して屋内にオフィスルーム等の空間を形成するワークフレームに関する技術については、特許文献1~5などにより提案されており、実用に供されているものもあって公知である。
【0003】
しかし、上記のワークフレームに関する公知技術は、いずれもアルミ押出材を始めとする成形した金属材の外周面にビーム部材の係止用溝を形成したポール部材を用いており、また前記ポール部材の係止用溝に結合されるビーム部材も、金属材のトラス構造のビーム部材やアルミ押出材によるビーム部材であった。
【0004】
一方、近年、森林整備支援の一環として、間伐材の利用拡大に向けた施策が採られ、また地球温暖化問題への対応策の一つとして、間伐材をエコロジー素材として活用することが推進されている。因みに、間伐材の利用現状は、割り箸、間伐材による再生紙のファイル等の文房具、机などの家具、道路標識の支柱などであるが、上記ワークフレームには未だ利用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許3954357号公報
【文献】特許3954359号公報
【文献】特許4332148号公報
【文献】特開2017-119992号公報
【文献】特開2017-89243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、従来提案されているワークフレームが、その主要構成部材のポール部材やビーム部材をほぼ全て金属材により形成して木質系材が全く使用されていない点、並びに、エコロジー素材としての間伐材の活用という観点から、間伐材を含む木質系材を主体にして、その木質系材の必要な部位に金属材を使用した木質系材と金属材の複合材により形成したポール部材とビーム部材を用いたワークフレームを提供することを課題とする。
【0007】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明ワークフレームの構成は、
木質系材により形成した床に立てられる平断面多角形乃至円形のポール部材であって、当該ポール部材の高さ方向に延びて係止孔を上下方向で列状に有する金属製係止孔列柱体の複数本を外周上に埋設したポール部材と、離間して床に立てた少なくとも2本の前記ポール部材に結合して架設される木質系材で形成したビーム部材であって、当該ビーム部材の長さ方向両端から前記ポール部材の係止孔に係止される金属製爪部を突出させて設けたビーム部材と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記ポール部材とビーム部材とは、少なくとも2本の前記ポール部材の少なくとも上端部の係止孔に、前記ビーム部材両端の爪部を係止して固定し、前記ポール部材にビーム部材が架設された本発明ワークフレームの一例に形成される。
【0009】
前記ビーム部材が、前記2本のポール部材の上端部と中間部の2箇所に架設されている場合、又は上端部と中間部と下端部の3箇所に架設されている場合において、上,下で対面する2本のビーム部材の間に、前記上,下のビーム部材の上下の対向面において支持させる縦棧、又はパネルを配置した形態の本発明ワームクレームの例に形成する。
【0010】
本発明において、ポール部材とビーム部材は、間伐材又は集成材や積層材により形成することができる。2本のポール部材と前記2本のポール部材の係止孔に爪部が係止して架説されるビーム部材とは、前記ポール部材の係止孔列柱体と前記ビーム部材の爪部の支持金具の間に、金属製方杖部材をネジ止めで架設したものがある。
【0011】
前記ビーム部材を形成している2枚のビーム材は、両端部の金属製瓜部の支持金具が配設された部位を除く中間部分の隙間に、その隙間を塞ぐか、又は埋めるスペーサ部材を配置することができる。隙間を塞ぐスペーサ部材は、当該隙間の蓋、又は/及び底として設け、前記蓋には着脱自在のものもある。また、隙間を埋めるスペーサ部材は、当該隙間の全長に亘り設けたり、部分的区間に設けたりする。
【0012】
2本のポール部材に架設したビーム部材の2枚のビーム材の隙間には、正面視断面が略T状のパネル支持部材を、当該支持部材の水平部を嵌め込んで取付けると共に、この支持部材の垂直部とその両面に配置した係着部材の一例として面ファスナの雌雄部材の一方の部材をパネル保持部として備えた構成とすることができる。
【0013】
前記上下位のビーム部材が備えたパネル保持部に支持させるパネルは、その上、下部に前記パネル保持部に係着する部材の一例として前記面ファスナの雌雄部材の他方の部材を備えたものである。
【0014】
前記ポール部材は、当該ポール部材の高さ方向に延びた筒状又は溝状のコード収容体を、該コード収容体の外面に上下方向で離間して設けた少なくとも2箇所の係止爪を当該ポール部材の係止孔に係止させて備えることができる。
【0015】
前記ビーム部材は、2枚のビーム材の隙間に電源部としてライン状の電源供給部材を配設し、該電源供給部材に照明器具等の電気機器やパソコン等の電子機器を接続できるように形成したものがある。
【0016】
本発明ワークフレームは、床に立てられる少なくとも2本のポール部材と隣り合うポール部材間に架設する上、下で対面するビーム部材と、上、下のビーム部材の間に設けるパネルやルーバー状の縦棧によって、屋内を垂直面で区画する間仕切状のワークフレームに形成することができる。
【0017】
床に立てるポール部材を3本以上使用する本発明ワークフレームでは、各ポール部材の上端部に架設されたビーム部材において平面内で対面するビーム部材同士を、連結ビーム部材で結合した形態とすることができる。
【0018】
以上に述べた本発明ワークフレームの構成は、次のように纏めることができる。すなわち、木質系材により形成した平断面八角形等の床に建てられるポール部材であって、このポール部材の外周上に平面視90度又は45度間隔で当該ポール部材の高さ方向に延び係止孔を上下方向で列状に備える金属製の係止孔列柱体を埋設した少なくとも2本のポール部材と、離間して立てた隣り合う前記ポール部材間に架設して結合される木質系材で形成したビーム部材であって、前記ポール部材の係止孔に係止される金属製爪部を当該ビーム部材の両端から突出して有するビーム部材を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、木質系材により形成した床に立てられる平断面多角形乃至円形のポール部材であって、当該ポール部材の高さ方向に延びて係止孔を上下方向で列状に有する金属製係止孔列柱体の複数本を外周上に埋設したポール部材と、離間して床に立てた少なくとも2本の前記ポール部材に結合して架設される木質系材で形成したビーム部材であって、当該ビーム部材の長さ方向両端から前記ポール部材の係止孔に係止される金属製爪部を突出させて設けたビーム部材とを備えてワークフレームとしたので、屋内設置型のオフィスルームやパビリオン等の屋内空間を、木質系材が全面的に現われたポール部材とビーム部材によって形成することができる。また、前記ポール部材とビーム部材は、木質系材の中でも特に間伐材を主体に形成することにより、間伐材の有効利用に資するところ大である。さらに、前記ポール部材とビーム部材は、間伐材などの木質系材で形成されているにもかかわらず、両部材の結合部は、金属製係止孔柱体に形成した係止孔とこの係止孔に係止される金属製爪部により形成されるから、前記両部材の強力な結合強度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明ワークフレームにより形成した屋内空間の一例の斜視図。
【
図2】
図1の屋内空間に使用されている最少ユニットの本発明ワークフレームの一例の正面図。
【
図9】
図8のアタッチメント部材32aの左側面図。
【
図10】
図8の金属製爪部3aと支持金具3d部分の平面図。
【
図13】
図2の本発明ワークフレームに設置するパネルの一例の正面図。
【
図15】
図1の屋内空間を形成したワークフレームに使用されている本発明ワークフレームの別例の正面図。
【
図18】
図15の本発明ワークフレームに縦棧によるルーバーを取付けた例の正面図。
【
図19】ポール部材に装着する配線ダクトの背面図。
【
図22】ポール部材の中間部を省略し下端部を断面にした拡大正面図。
【
図23】ポール部材にアジャスタを取付けた状態の断面図。
【
図24】ポール部材の下端部にアジャスタに代えて装着するアジャスタ機能を備えた安定板の正面図。
【
図25】本発明ワークフレームのビーム部材同士を直線状に接合する側の平断面図。
【
図27】
図25の直線接合したビーム部材に別のビーム部材を直交状態で結合する例の平断面図。
【
図31】本発明のビーム部材におけるライン状の電源供給部材の設置例の断面図。
【
図33】本発明のポール部材とビーム部材の架設状態の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図を参照しつつ本発明ワークフレームの実施の形態例について説明する。
【0022】
図1、
図2において、1は、間伐材、集成材、積層材のいずれかによる木質系材によって形成した本発明ワークフレームの床に立てる支柱として用いるポール部材である。
【0023】
図に例示したポール部材1(
図5~
図7、
図22参照)は、内接円の直径が100~120mm程度の平断面正八角形をなし、高さが約2500mmの木製角柱によって形成されている。この角柱の各辺(8つの辺)の中央部には、断面の中心に向かうか、又は断面の中心から放射状に拡がって配置される断面略凹状の溝1a(以下、凹溝1aという)が形成されている。前記凹溝1aには、この凹溝1aに嵌合される平断面略コ状の外形を有し、コ状部の底壁に縦長スリット状の係止孔2aを等ピッチで形成した金属製の係止孔列柱体2(以下、係止孔柱体2ともいう)が、前記係止孔2aを凹溝1aの縁側に位置付けて嵌合配置され、木ネジ2bによってこのポール部材1に埋設固定されている(
図22参照)。
ポール部材1の下端部中心に形成した穴部1fには、
図23、
図24に例示するアジャスタ1c、又はアジャスタ機能を備えた安定板1dのボルト部材1eを螺合するナット部材1bが配置されている。
【0024】
図示したポール部材1では、外周面に設けた8つの凹溝1aに対し、1つ置きの4つの凹溝1aにしか、係止孔柱体2は設けられていない。本発明においては、上記4つの凹溝1aに係止孔柱体2を設けるポール部材1と、8つの凹溝1aのすべてに係止孔柱体2を設けたポール部材1とがあるが、いずれのポール部材1を用いるかは任意である。因みに、係止孔柱体2を平面視90度ピッチで設ける場合には、ポール部材1の平面形状は、断面略正方形(四角形)であれば足りる。
【0025】
本発明のポール部材1は、上記例では平断面形状を正八角形としたが、その八角形に内接又は外接する円形断面の柱であってもよい。平断面形状が円形であっても、埋設する係止孔柱体2の配置パターンは、上記例と同じにできる。
【0026】
なお、ポール部材1の平断面形状は、上記の八角形や四角形、或いは、円形のほか、六角形など前記例以外の多角形とすることも可能である。ただし、この多角形であると、各辺の中央に設ける係止孔柱体2の配向角が90度にならないため、ワークフレームの展開に制約が多くなる。
【0027】
図1,
図2において、3は、離間して床に立てた2本のポール部材1,1に梁として架設され、本発明ワークフレームを構成するためのビーム部材である。このビーム部材3も前記ポール部材1と同様に、間伐材等の木質系材を主体に形成されている。
【0028】
本発明ビーム部材3は、2本のポール部材1,1の係止孔柱体2の係止孔2aに結合するため、長さ方向両端に金属製爪部3aを外向きに突出して具備している(
図5~
図9参照)
【0029】
上記の金属製爪部3aは、木質系材により形成されるビーム部材3にその両端から突出させて設けられている。金属製爪部3aには、当該爪部3aにおいてポール部材1の係止孔2aに係止させることによって、左右のポール部材1,1に架設されるビーム部材3に掛かる荷重を支える役割がある。
【0030】
本発明では、ビーム部材3に設ける金属製爪部3aに、上記役割を担保させるため、ビーム部材3に一例として次の構成を付与したので、以下に説明する。
【0031】
ビーム部材3は(
図6,
図7参照)、1本の断面縦長短形の角柱を垂直面内の長さ方向において2分割した形態の2枚の板状部材、或いは当初から2枚の板部材による2枚のビーム材3b,3cから成り、以下の構成を備えている。すなわち、
図5~
図10に示すように金属製爪部3aを先端側に備えた金属製爪部板31aと、該爪部板31aを溶接等で合着して一体化した略短形板状の支持金具3dと、前記2枚のビーム材3b,3cにおける長さ方向両端部(前記支持金具3dに対面する位置)の対向する内面に設けたスペーサブロック3e,3fと、前記支持金具3dをスペーサブロック3eを通して一方のビーム材3bにネジ止めする木ネジ31dと、前記スペーサブロック3eと3fを有する2枚のビーム材3bと3cを合着一枚化するための、図の例ではでは他方のビーム材3cの側に配する結合ボルト3gと、該ボルト3gがネジ込まれる一方のビーム材3bの側に配したナット3hを備えている。なお、前記ボルト3gとナット3hは、木工用のコネクタボルトとナット、或はスタッドボルトと両面袋ナットの何れを用いてもよい。上記スペーサブロック3eと3fは、係止ダボ31eと31fにより、ビーム材3b,3cの内面に固着されている。3iは、前記ビーム材3b,3cが形成する隙間においてビーム材の長さ方向の両端部近傍(金属製爪部3の支持金具3dの背後)や中間部分に配置する木質系材等によるスペーサ部材、3jは前記隙間の中間部分の底に設ける底部材である。隙間の上部を塞ぐため蓋部材として配置される部材もある。
【0032】
上記構成に加え、支持金具3dと一枚の金属製爪部3aの背後には、2枚のビーム材3b,3cの端部のスペーサとして作用する平断面略コ状のアタッチメント部材32aが設けられている。前記アタッチメント部材32aは、その底壁32aに設けたネジ孔34aから木ネジ35aをポール部材1にねじ込むことができ、これによって係止孔2aに金属製爪部3aが係止されたビーム部材3をポール部材1に固定することができる(
図5~
図8参照)。
【0033】
本発明ワーククレームにおいて、ビーム部材3の両端部は、平面視略テーパ状(テーパ部31b,31c)に形成されている(
図6,
図7参照)。テーパ部31b,31cを設けるのは、ポール部材1に45度ピッチで設けられた係止孔2aにおいて、隣り合う係止孔2aにビーム部材3が設けられると、ビーム部材3同士の端部が干渉して係止孔2aへの係止が不可能になることを回避するためである。前記ビーム部材3の模式的形態を、金属製爪部3aの側から見た斜視図として
図32に示す。
【0034】
上記のポール部材1とビーム部材3とは、一例として
図1に示した本発明ワークフレームによる屋内空間を形成し、この空間をオフィスルームやパビリオンなどとして利用することができる。
図1の屋内空間は、床に立てた2本の木質系材主体のポール部材1と、該ポール部材1,1が備えた金属製柱体の係止孔2aに金属製爪部3aを係止させて架設するビーム部材3により形成される本発明ワークフレームの一つを基本構造体とし、この構造体を連接した設置によって
図1を一例とする様々な平面パターンの屋内空間に形成することができる。
【0035】
【0036】
図2~
図4に示す本発明ワークフレームの一例は、2本のポール部材1,1と該ポール部材1,1の上、下端部と中間部に、夫々にビーム部材3を架設して固定し、かつ、中間部と下端部のビーム部材3,3の間には、
図11~
図14により説明するパネル4を2枚設けた本発明ワークフレームの例である。ここで前記ポール部材1に対するビーム部材3の架設状態の一例を
図33の斜視図に示す。
【0037】
図2のワークフレームにおけるパネル4は、このワークフレームの上,下のビーム部材3における2枚のビーム材3b,3cが形成する隙間に配置した、断面略T状のパネル支持部材5における垂直部の両面に配置した係着部材の例として設けた帯状面ファスナの一方の部材によるパネル保持部5aに保持される(
図12参照)。前記パネル支持部材5は木ねじ5bによってスペーサ部材3jに固定されている。
【0038】
前記パネル4は、ビーム部材3の平断面形状と略類似する平断面形状を有する2枚のパネル材4a,4bによって形成されている(
図11参照)。2枚のパネル材4a,4bは、
図14に示すように両パネル材4a,4bの対向する内面の上下端部に、前記パネル保持部5aに対応する帯状面ファスナの他方の部材による係着部材41a,41bを設けることにより、上下のビーム部材3に形成されたパネル保持部5aに、パネル材4a,4bの係着部材41a,41bで前記保持部5aを挟む態様で取付けられる(
図12,
図14参照)
本発明では、係着部材に帯状面ファスナを用いたが、面ファスナに代えて、或は併用して磁力が付与された磁力テープを用いることもできる。
【0039】
上記パネル材4a,4bも、先端側(ビーム部材1に対面する側)がテーパ面42a,42bに形成されている(
図11参照)。テーパ面42a,42bにする理由は、ビーム部材3のテーパ部31b,31cの場合と同じである。なお、
図2の本発明ワークフレームでは、中間部と下端部のビーム部材3,3に支持させるパネル4を左右2枚タイプのものを用いているが、パネル4は1枚で形成したものであってもよい。
【0040】
図2の本発明ワークフレームでは、左右のポール部材1,1と上端部のビーム部材3には、断面略U状の方杖部材6を配置している。方杖部材6の上端部6aは、爪部3aの支持金具3dの後部に縦向きに設けたナット部32dに螺合するネジ61aにより止められ、この方杖部材6の下端部6bは、ポール部材1の係止孔2a係止させて設けた爪ボルト2cに止めナット61bによって止められ、ポール部材1とビーム部材3との結合度を補強する。6cは前記方杖部材6の凹部の内部に嵌めた略逆U状のキャップである。
【0041】
図15~
図17は、本発明ワークフレームの別例で、本発明により形成した
図1の屋内空間における左側に配置されているワークフレームの例である。
図15~
図17に示す本発明ワークフレームの別例は、4本のポール部材1と、隣り合うポール部材1の上,下端部と中間部に架設した短いビーム部材3とにより形成されている。
【0042】
図15~
図17に示したワークフレームでは、全ての中間のビーム部材1と全ての下端のビーム部材1の間には、先に
図11~
図14で説明したパネル4と同じように2枚のパネル材7a,7bから成り、従って取付態様も前記パネル4と同じにしたパネル7が設けられている。
図17におけるパネル支持部材5は、
図12のパネル支持部材5と同じものである。71aはパネル側に設けた係着部材の一例としての帯状面ファスナである。
図15~
図17のワークフレームにおいて、中央の2本のポール部材1,1の上部に配置されるパネル7は、一方(片面)のパネル材7bに液晶モニタLMなどの重量物を取付ける関係で、当該一方のパネル材7bがMDFを主体に形成されてパネル支持部材5に木ねじ7dによって固着されている(
図7参照)。なお、
図15におけるBaは、前記モニタLMを前記パネル材7bに取付けるための支持ベースである。
本発明において、重量が掛からないパネル材7a、及び先に述べたパネル4のパネル材4a,4bは、軽量な例えばファブリック材によって形成されたものである。
図15の各ポール部材1の下方に配置されたパネル7もそのパネル材7a,7bは軽量な材料で形成されている。
【0043】
図18は、
図15~
図17によって説明した本発明ワークフレームにおいて、左、右側の上部ビーム部材3と中間のビーム部材3の間に、縦桟によるルーバー材8を設けた例を示した図である。
ルーバー材8は、一例として、上、下のビーム部材3の間隔より少し大きい長さを有すると共に、平面から見たビーム部材3の幅より少し大きい幅の木質系の縦桟により形成している。この縦桟の上,下端部に、ビーム部材3をその幅方向の前後から挟める幅を有する略凹状の取付溝を形成し、上,下の取付溝において当該縦桟が対面するビーム部材1にルーバー材8として嵌められている。
上記例のルーバー材8は、中間のビーム部材1と下端のビーム部材1の間に、先に述べたパネル4,7に代えて設けることもある。
図18において、下方の3枚のパネル7の夫々の上下端部には、配線取出し口7cを設けている。2枚のビーム材3b,3cの隙間に配される電源コード等の配線の取出しのためである。配線取出し口は図示しないが
図2のパネル4にも設けられる。
【0044】
図19~
図21は、本発明ワークフレームのポール部材1の係止孔2aを利用して当該ポール部材1に設置する配線ダクト12の一例を示したものである。配線ダクト12は、ポール部材1の直径の略1/2以下の左右幅を有する略凹状でポール部材1の高さに見合う長さを有するダクト体121と、このダクト体121の凹部の略中心上において立ち上げ、先端の爪部をダクト体121の凹部から突出させた係止爪部122を備えている。前記係止爪部122は一例としてダクト体121の長さ方向の両端近傍と中間部に設けられている。配線ダクト12は、下部又は上部のビーム部材3から上部又は下部のビーム部材3に配線を通すために用いる。因みにビーム部材3,9,10は、2枚のビーム材に挟まれた隙間に配線が収容されるので底側にはスペーサ部材3j等による塞ぎ部材が隙間の底として設けられる。
【0045】
図1の本発明ワークフレームにより形成された屋内空間では、2本のポール部材1に架設したビーム部材3同士を、連結ビーム部材9,10を用いて連結しているので、前記ビーム部材3と連結ビーム部材9,10の連結形態の例について、
図25~
図30により説明する。
【0046】
図25~
図30の連結ビーム部材9の断面構造は、
図6,
図7で説明したビーム部材3の金属製爪部3aを取付けた部位の構造に類似している。
すなわち、
図25,
図26において、9a,9bは2枚の板状のビーム材で、ビーム材9a,9bの間に、スペーサブロック9c,9dによって挟まれる金属製の連結板9eが配置されている。
2本の連結ビーム部材9,9は、共通した一枚の連結板9eを共有し、この連結板9eが、止めネジ9fによってスペーサブロック9c,9cを通して一方側に直列した2枚のビーム材9a,9aの内面に固着される。
【0047】
1枚の連結板9eをスペーサブロック9c,9cを介して固着した一方側の前記2枚のビーム材9a,9bに対し、スペーサブロック9d,9dを内面に備えた他方側で直列する2枚のビーム材9b,9bが固定ボルト9gによって一方側のビーム材9a,9aの側に設けられているナット9hに締め込まれることにより、2本の連結ビーム部材9,9が直線状に連結される。なお、9iは2枚のビーム材9,9bの間におかれるスペーサ部材、9jはビーム材9a,9bとスペーサブロック9c,9d、スペーサ部材9iを結合している係止ダボである。2本のビーム部材9,9の結合態様は、前記ビーム部材3同士の連結にも採用できる。この場合、ビーム部材3同士の連結するため対向した端部の金属製爪部3aを支持金具3dごとスペーサブロック3e,3fと一緒に取り外し、これらに代えて連結板9とスペーサブロック9c,9dを用いる。
【0048】
図27~
図30は、
図25,
図26により説明した連結ビーム部材9に直交して別の連結ビーム部材10を連結する例を示したものである。この直交連結に使用する連結ビーム部材10は、先端に、横向きの連結金具10aを有する平面板大略横長T状の連結板10bを、この連結ビーム部材10の側端部において、2枚のビーム材10c,10dの間に、スペーサブロック10e,10fを介して固定ボルト10hにより固定して備えている。10kは、ビーム材10cとスペーサブロック10eを結合している係止ダボである。この連結ビーム部材10は、連結板9eと連結板10bの形態において前記連結ビーム部材9と異なっている。
【0049】
上記連結ビーム部材10を用いる直交連結では、
図27,
図28に示すように、まず連結部板10bと一体の連結金具10aを、相手側の連結ビーム部材9に、止めビス11aで取付けると共に、当該連結ビーム部材9に対し固定ボルト12aを受けナット13aに締め込むことによって、連結金具10aを連結板10bと一緒に連結ビーム部材9に固定する。
【0050】
そして、上記の連結板10bに対し、
図27に示すようにスペーサブロック10eを備えた一方のビーム材10cを止めネジ10gによって連結板10bに固着する。この状態で他方のビーム材10dをそのスペーサブロック10fを介して連結板10bに当接させ、固定ボルト10hをナット10iにネジ込むことにより、
図27に示す直交状態でのビーム部材同士の結合を実現できる。
【0051】
図30は、本発明ワークフレームのビーム部材3(9,10)の2枚のビーム材3b,3cの隙間の上下部に、断面凹溝状のライン状をなす電源供給部材11を配置した例の断面図である。
図30の下位の電源供給部材11には
図1に示す照明器具13のプラグ部材を支持させて導通する照明器具13をビーム部材3から吊下げて設けることができる。前記電源供給部材11には
図1の屋内空間で使用する液晶モニタやパソコン、複合複写機等の電子,電気機器類の電源を接続することができる。
【0052】
本発明は以上の通りであるから、間伐材等の木質系材を用い、その木質系材を主体に形成されたポール部材とビーム部材の結合に、これらの両部材に組み込んだ金属製の結合用や係止用の部材を用いてワークフレームを形成するようにしたから、木材の
温かくて柔らかい質感に溢れた屋内空間形成用のワークフレームを提供できる。
【符号の説明】
【0053】
1 木質系材によるポール部材
1a 凹溝
2 金属製係止孔列柱体(係止孔柱体)
2a 係止孔
3 木質系材によるビーム部材
3a 金属製爪部
3b,3c 木質系のビーム材
3d 支持金具
3e,3f スペーサブロック
4 パネル
4a,4b パネル材
5 パネル支持部材
6 方杖部材