(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】CO2高含有氷を利用した炭酸泡含有化粧料の調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20220519BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 9/02 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/19
A61Q1/00
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q9/02
A61Q11/00
A61Q19/00
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2017246644
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】591107034
【氏名又は名称】日本液炭株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 愛
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-244728(JP,A)
【文献】特開2015-036381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C01B 32/00-32/991
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料に、該化粧料の使用時に炭酸泡を付与するための発泡剤であって、CO
2含有率が3重量%以上
であり、ゲスト物質として二酸化炭素のみを含むCO
2
ハイドレートを含有することを特徴とする前記発泡剤。
【請求項2】
CO
2
ハイドレートが、最大長が3mm以上の大きさ
のCO
2
ハイドレートである請求項
1に記載の発泡剤。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の発泡剤と、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料とを備える炭酸泡含有化粧料調製用キット。
【請求項4】
化粧料が、肌用化粧料、頭髪用化粧料、洗浄料、シェービングフォーム、口中化粧料及び手指消毒液からなる群から選択される請求項
3に記載の炭酸泡含有化粧料調製用キット。
【請求項5】
25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料に、該化粧料の使用時に、請求項1
又は2に記載の発泡剤を含有させる工程を含むことを特徴とする炭酸泡含有化粧料の調製方法。
【請求項6】
化粧料へ発泡剤を含有させる量が
、CO
2ハイドレートに換算して、0.05~10g/mLの範囲内である請求項
5に記載の炭酸泡含有化粧料の調製方法。
【請求項7】
化粧料が、肌用化粧料、頭髪用化粧料、洗浄料、シェービングフォーム、口中化粧料及び手指消毒液からなる群から選択される請求項
6に記載の炭酸泡含有化粧料の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に炭酸泡を付与するための発泡剤や、該発泡剤と、化粧料とを備える炭酸泡含有化粧料調製用キットや、炭酸泡含有化粧料の調製方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美容分野では、炭酸ガスの血流促進効果、温熱効果及び洗浄効果が注目されており、炭酸ガスを配合した化粧料(美容液、洗顔料、パック、マスク材等)が実際に市販されている。
【0003】
例えば、特許文献1、2、3には炭酸ガスを配合した泡状の化粧料(すなわち、エアゾール化粧料)が開示されている。しかし、エアゾール化粧料は、耐圧容器と炭酸ガスの噴射剤が必須であり、消費者が手軽に取り扱える一方で、製品価格が高いという問題や、缶容器の耐圧性や安全面から充填量が制限される等の問題があった。また、きわめて多数の化粧料が市販されている中で、それぞれの消費者は、自分の肌に合い、かつ、自らが望む使用感、効能、コスト等の化粧料を選択し、比較的継続的に使用していることが多いが、エアゾール化粧料の市販品の種類は、エアゾールでない化粧料の市販品の種類よりも圧倒的に少ないため、消費者は、自分の肌に合い、かつ、自らが望む使用感、効能、コスト等のエアゾール化粧料を選択することが難しいという問題があった。
【0004】
また、例えば特許文献4には、ソーダ灰や重炭酸ナトリウム等の炭酸塩を含有する組成物と、クエン酸等の酸性成分を含有する組成物の少なくとも2種の独立した組成物とを構成要素とする化粧料が開示されており、実際の市場でも、炭酸塩と酸の組み合わせによって炭酸ガスを発生させる化粧料(パック等)が販売されている。しかし、炭酸塩と酸を用いる化粧料には、塩が発生して肌に負担をかけることや、十分な炭酸ガス量を得るには大量の炭酸塩を使用する必要があること等の問題があった。
【0005】
この他に、泡立てポンプ容器や、手動による撹拌や、ガスボンベを用いたバブリングにより、化粧料に炭酸ガスを含有させるという方法も知られている。これらのうち、泡立てポンプ容器による泡立ては、泡立てポンプ容器の入手が比較的容易であり、また、比較的簡便に化粧料に泡を含有させることができるというメリットもあるものの、得られる泡が荒いという問題や、泡中の炭酸ガス濃度が極めて低いという問題があった。また、手動による撹拌については、金銭的には低コストであるというメリットがあるものの、泡立てに必要な労力が大きいという問題や、泡中の炭酸ガス濃度が極めて低いという問題があった。また、ガスボンベを用いたバブリングについては、泡立てに手動による労力を必要としないというメリットがあるものの、ガスボンベが必要であるという問題や、得られる泡が荒く、持続しないという問題があった。
【0006】
以上のように、炭酸泡を含有する従来の化粧料にはそれぞれ問題があり、炭酸泡を含有する新たな態様の化粧料が求められていた。
【0007】
ところで、CO2含有率の高い氷の一種として、CO2ハイドレート(二酸化炭素ハイドレート)という物質が知られている。CO2ハイドレートとは、水分子の結晶体の空寸に二酸化炭素分子を閉じ込めた包接化合物をいう。結晶体を形成する水分子は「ホスト分子」、水分子の結晶体の空寸に閉じ込められている分子は「ゲスト分子」または「ゲスト物質」と呼ばれる。CO2ハイドレートは、融解するとCO2(二酸化炭素)と水に分解するため、融解時にCO2を発生させる。CO2ハイドレートは、CO2と水を、低温、かつ、高圧のCO2分圧という条件にすることにより製造することができ、例えば、ある温度であること、及び、その温度におけるCO2ハイドレートの平衡圧力よりもCO2分圧が高いことを含む条件(以下、「CO2ハイドレート生成条件」とも表示する。)において製造することができる。上記の「ある温度であること、及び、その温度におけるCO2ハイドレートの平衡圧力よりもCO2分圧が高い」条件は、非特許文献1のFigure 2.や、非特許文献2のFigure 7.やFigure 15.に開示されているCO2ハイドレートの平衡圧力曲線(例えば縦軸がCO2圧力、横軸が温度を表す)において、かかる曲線の高圧側(CO2ハイドレートの平衡圧力曲線において、例えば縦軸がCO2圧力、横軸が温度を表す場合は、該曲線の上方)の領域内の温度とCO2圧力の組合せの条件として表される。また、CO2ハイドレートは、水の代わりに微細な氷をCO2と、低温、かつ、低圧のCO2分圧という条件下で反応させて製造することもできる。CO2ハイドレートを製造する際のCO2の圧力が高くなるほど、また、CO2と水の温度が低くなるほど、CO2ハイドレートのCO2含有率が高くなる傾向がある。CO2ハイドレートのCO2含有率は、CO2ハイドレートの製法にもよるが、約3~28重量%程度とすることができ、炭酸水のCO2含有率(約0.5重量%程度)と比較して顕著に高い。
【0008】
CO2ハイドレートの用途として、CO2ハイドレートを飲料に添加、混合することが知られている。例えば特許文献5には、CO2ハイドレートを飲料に混合することにより、その飲料に炭酸を付与して、炭酸飲料を製造することが、特許文献6には、CO2ハイドレートを氷で覆って形成した炭酸補充媒体を飲料に添加することによって、ぬるくなった飲料を冷却すると共に、気が抜けた飲料に炭酸ガスを補充することが開示されている。
【0009】
また、CO2ハイドレートの用途として、CO2ハイドレートを、カキ氷、アイスクリーム等の冷菓に混入することも知られている。例えば特許文献7には、CO2ハイドレートを、カキ氷、アイスクリーム等の冷菓に混入することにより、該冷菓を喫食した者の口腔内でCO2ハイドレートが融解することとなり、その結果、該冷菓において、炭酸特有のシュワシュワ感の他、口中で冷菓が弾けるような刺激的な食感を発生させられることが開示されている。
【0010】
しかしながら、CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)を、特定の粘度の化粧料に添加して炭酸泡を付与するために用いることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特表2005-506325号公報
【文献】特開2011-93877号公報
【文献】特開2017-114915号公報
【文献】特開2017-178884号公報
【文献】特開2005-224146号公報
【文献】特許4969683公報
【文献】特許4716921号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】”Hydrates of Carbon Dioxide and Methane Mixtures”, J. Chem. Eng. Data (1991) 36, 68-71
【文献】”Phase Equilibrium for Clathrate Hydrates Formed with Methane, Ethane, Propane, or Carbon Dioxide at Temperatures below the Freezing Point of Water”, J. Chem. Eng. Data (2008), 53, 2182-2188
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、耐圧容器や噴射剤、炭酸塩を必要とせずに、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料(以下、「特定の粘度の化粧料」とも表示する。)に、簡便かつ低コストで炭酸泡を付与するための発泡剤や、該発泡剤と、特定の粘度の化粧料とを備える炭酸泡含有化粧料調製用キットや、特定の粘度の化粧料にかかる発泡剤を含有させる工程を含む、炭酸泡含有化粧料の調製方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討する中で、CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)を、特定の粘度の化粧料に含有させると、耐圧容器や噴射剤、炭酸塩を必要とせずに、前述の化粧料に簡便かつ低コストで炭酸泡を付与することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、
(1)25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料に、該化粧料の使用時に炭酸泡を付与するための発泡剤であって、CO2含有率が3重量%以上の氷を含有することを特徴とする前記発泡剤;
(2)CO2含有率が3重量%以上の氷が、CO2ハイドレートである上記(1)に記載の発泡剤;
(3)CO2含有率が3重量%以上の氷が、最大長が3mm以上の大きさで、CO2含有率が3重量%以上の氷である上記(1)又は(2)に記載の発泡剤;
(4)上記(1)~(3)の発泡剤と、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料とを備える炭酸泡含有化粧料調製用キット;
(5)化粧料が、肌用化粧料、頭髪用化粧料、洗浄料、シェービングフォーム、口中化粧料及び手指消毒液からなる群から選択される上記(4)に記載の炭酸泡含有化粧料調製用キット;
(6)25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料に、該化粧料の使用時に、上記(1)~(3)の発泡剤を含有させる工程を含むことを特徴とする炭酸泡含有化粧料の調製方法;
(7)化粧料へ発泡剤を含有させる量が、CO2含有率が3重量%以上の氷に換算して、又は、CO2ハイドレートに換算して、0.05~10g/mLの範囲内である上記(6)に記載の炭酸泡含有化粧料の調製方法;
(8)化粧料が、肌用化粧料、頭髪用化粧料、洗浄料、シェービングフォーム、口中化粧料及び手指消毒液からなる群から選択される上記(7)に記載の炭酸泡含有化粧料の調製方法;
に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、耐圧容器や噴射剤、炭酸塩を必要とせずに、特定の粘度(25℃における粘度が5~6500mPa・s)の化粧料に、簡便かつ低コストで炭酸泡を付与するための発泡剤や、該発泡剤と、特定の粘度の化粧料とを備える炭酸泡含有化粧料調製用キットや、特定の粘度の化粧料にかかる発泡剤を含有させる工程を含む、炭酸泡含有化粧料の調製方法等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
[1]特定の粘度の化粧料に、該化粧料の使用時に炭酸泡を付与するための発泡剤であって、CO2含有率が3重量%以上の氷を含有することを特徴とする前記発泡剤(以下、「本発明の発泡剤」とも表示する。):や、
[2]本発明の発泡剤と、特定の粘度の化粧料とを備える炭酸泡含有化粧料調製用キット(以下、「本発明のキット」とも表示する。):や、
[3]特定の粘度の化粧料に、該化粧料の使用時に、本発明の発泡剤を含有させる工程を含むことを特徴とする炭酸泡含有化粧料の調製方法(以下、「本発明の調製方法」とも表示する。):などの実施態様を含んでいる。
なお、本明細書において、本発明の発泡剤は、本発明の発泡用組成物、又は、本発明の発泡用物質と言い換えることもできる。
【0018】
1.<本発明の発泡剤>
本発明の発泡剤は、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料に、該化粧料の使用時に炭酸泡を付与するための発泡剤であって、CO2含有率が3重量%以上の氷を含有することを特徴とする前記発泡剤である。
【0019】
本発明の発泡剤としては、CO2含有率が3重量%以上の氷(以下、「CO2高含有氷」とも表示する。)を含有する限り特に制限されない。かかるCO2高含有氷を特定の粘度の化粧料に含有させると、耐圧容器や噴射剤、炭酸塩を必要とせずに、かかる化粧料に、簡便かつ低コストで炭酸泡を付与することができ、その結果、本発明の炭酸泡含有化粧料を調製することができる。
【0020】
(CO2含有率が3重量%以上の氷)
本発明で使用する「CO2含有率が3重量%以上の氷」(CO2高含有氷)としては、CO2含有率が3重量%以上の氷である限り特に制限されない。かかるCO2高含有氷は、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷であってもよいが、より良好な気泡をより十分に得る観点から、CO2ハイドレートであることが好ましい。CO2ハイドレートは、水分子の結晶体の空寸に二酸化炭素分子を閉じ込めた固体の包接化合物である。CO2ハイドレートは、通常、氷状の結晶体であり、例えば標準気圧条件下で、かつ、氷が融解するような温度条件下に置くと、融解しながらCO2を放出する。また、本発明におけるCO2高含有氷として、CO2ハイドレートを用いずに、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷を用いてもよいし、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷を用いずに、CO2ハイドレートを用いてもよいし、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷と、CO2ハイドレートを併用してもよい。
【0021】
本発明におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)のCO2含有率としては、3重量%以上である限り特に制限されないが、より良好な気泡をより十分に得る観点から、5重量%以上であることが好ましく、7重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがさらに好ましい。また、上限値としては特に制限されないが、30重量%や20重量%や18重量%が挙げられる。
【0022】
本発明におけるCO2高含有氷のCO2含有率は、本発明におけるCO2高含有氷を製造する際の「CO2分圧の高低」などにより調整することができ、例えばCO2分圧を高くすると、CO2高含有氷のCO2含有率を高くすることができる。また、CO2高含有氷がCO2ハイドレートである場合は、CO2ハイドレートを製造する際の「CO2分圧の高低」、「脱水処理の程度」、「圧密成型処理を行うか否か」、「圧密成型処理する場合の圧密の圧力の高低」などにより調整することができる。例えば、CO2ハイドレートを製造する際の「CO2分圧を高くし」、「脱水処理の程度を上げ」、「圧密成型処理を行い」、「圧密成型処理する場合の圧密の圧力を高くする」と、CO2ハイドレートのCO2含有率を高くすることができる。なお、CO2ハイドレート等のCO2高含有氷が融解すると、該CO2ハイドレート等のCO2高含有氷に含まれていたCO2が放出され、その分の重量が減少するので、CO2ハイドレート等のCO2高含有氷のCO2含有率は、例えば、CO2ハイドレート等のCO2高含有氷を常温で融解させた際の重量変化から、下記式を用いて算出する事ができる。
(CO2含有率)=(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)/融解前のサンプル重量)
【0023】
また、本発明の発泡剤が含有するCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)は、そのすべてが、3重量%以上のCO2含有率であることが好ましいが、本発明の効果が得られる範囲において、CO2含有率が3重量%未満の氷やCO2ハイドレートも含有していてもよい。本発明の発泡剤が含有するCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)に対する、CO2含有率が3重量%未満の氷やCO2ハイドレートの割合(重量%)としては、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下が挙げられる。
【0024】
本発明におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の形状としては、適宜設定することができ、例えば、略球状;略楕円体状;略直方体形状等の略多面体形状;あるいは、これらの形状にさらに凹凸を備えた形状;などが挙げられる。また、本発明におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)は、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の塊を適宜破砕して得られる様々な形状の破砕片(塊)であってもよい。
【0025】
本発明におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の大きさとしては、適宜設定することができるが、よりきめ細く、持続時間がより長い炭酸泡を、より多く得る観点から、最大長の下限として、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上が挙げられ、最大長の上限として150mm以下、100mm以下、80mm以下、50mm以下が挙げられ、より具体的には3mm以上150mm以下、3mm以上100mm以下、3mm以上80mm以下、3mm以上50mm以下や、5mm以上150mm以下、5mm以上100mm以下、5mm以上80mm以下、5mm以上50mm以下、10mm以上150mm以下、10mm以上100mm以下、10mm以上80mm以下、10mm以上50mm以下などが挙げられる。CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の最大長が3mm未満の大きさであると、かかるCO2高含有氷を化粧料に含有させた際に、生じる泡沫部分(泡の部分)内にCO2高含有氷が取り込まれて、泡立ちが荒くなり、好ましい美観の化粧料が得られない場合がある。
【0026】
本明細書において「CO2高含有氷の最大長」とは、CO2高含有氷のその塊の表面の2点を結び、かつ、その塊の重心を通る線分のうち、最も長い線分の長さを意味する。なお、CO2高含有氷が例えば略楕円体状である場合は、前記最大長は長径(最も長い直径)を表し、略球状である場合は、前記最大長は直径を表し、略直方体形状である場合は、対角線の中で最も長い対角線の長さを表す。また、本明細書において「CO2高含有氷の最小長」とは、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)のその塊の表面の2点を結び、かつ、その塊の重心を通る線分のうち、最も短い線分の長さを意味する。かかる最大長や最小長は、市販の画像解析式粒度分布測定装置などを用いて測定することもできるし、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の塊に定規をあてて測定することもできる。
【0027】
本発明におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の好適な態様として、アスペクト比(最大長/最小長)が好ましくは1~5の範囲内、より好ましくは1~4の範囲内、さらに好ましくは1~3の範囲内であるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)が挙げられる。
【0028】
本発明において、特定の大きさ(例えば、最大長が3mm以上)のCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用いる場合、用いるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)のすべてが、特定の大きさであることが好ましいが、本発明の効果が得られる範囲において、特定の大きさ以外の大きさ(例えば、最大長が3mm未満)のCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)も含有していてもよい。本発明の発泡剤が含有するCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)のうち、最大長が3mm未満又は5mm未満の大きさのCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の割合(重量%)は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
【0029】
本発明において、特定の大きさ(例えば、最大長が3mm以上)のCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用いる場合、その大きさは以下の方法で調整することができる。例えば、CO2ハイドレートではないCO2高含有氷の最大長は、かかるCO2高含有氷を製造する際の型の最大長を調整したり、製造後のCO2高含有氷を破砕する際の破砕の程度を調整したりすることによって調整することができる。また、CO2ハイドレートの最大長は、CO2ハイドレートを圧縮成型する際に用いる型の最大長を調整したり、圧縮成型した後のCO2ハイドレートを破砕する際の破砕の程度を調整したりすることによって、調整することができる。また、最小長については、型の最小長を調整したり、製造後のCO2高含有氷を破砕する際の程度を調整したりすることによって調整することができる。
【0030】
本発明において、2個以上のCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用いる場合、これらのCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)は、同じ若しくはほぼ同じ形状、及び/又は、同じ若しくはほぼ同じ大きさであってもよいし、異なる形状、及び/又は、異なる大きさであってもよい。ここで「ほぼ同じ大きさ」とは、最大長が最も長いCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の最大長を100としたときに、他のCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の最大長が80~100の範囲内(好ましくは90~100の範囲内)に入ることを意味する。
【0031】
本発明におけるCO2高含有氷の製造方法としては、CO2含有率が3重量%以上の氷を製造できる限り特に制限されない。CO2ハイドレートではないCO2高含有氷の製造方法としては、CO2ハイドレート生成条件を充たさない条件下で原料水中にCO2を吹き込みながら原料水を冷凍する方法が挙げられる。また、CO2ハイドレートの製造方法としては、CO2ハイドレート生成条件を充たす条件下で原料水中にCO2を吹き込みながら原料水を攪拌する気液攪拌方式や、CO2ハイドレート生成条件を充たす条件下でCO2中に原料水をスプレーする水スプレー方式等の常法を用いることができる。これらの方式で生成されるCO2ハイドレートは、通常、CO2ハイドレートの微粒子が、未反応の水と混合しているスラリー状であるため、CO2ハイドレートの濃度を高めるために、脱水処理を行うことが好ましい。脱水処理によって含水率が比較的低くなったCO2ハイドレート(すなわち、比較的高濃度のCO2ハイドレート)は、ペレット成型機で一定の形状(例えば球状や直方体状)に圧縮成型することが好ましい。圧縮成型したCO2ハイドレートは、そのまま本発明に用いてもよいし、必要に応じてさらに破砕等したものを用いてもよい。なお、CO2ハイドレートの製造方法としては、前述のように、原料水を用いる方法が比較的広く用いられているが、水(原料水)の代わりに微細な氷(原料氷)をCO2と、低温、かつ、低圧のCO2分圧という条件下で反応させてCO2ハイドレートを製造する方法を用いることもできる。
【0032】
上記の「CO2ハイドレート生成条件」は、前述したように、その温度におけるCO2ハイドレートの平衡圧力よりCO2分圧(CO2圧力)が高い条件である。上記の「CO2ハイドレートの平衡圧力よりもCO2分圧が高い条件」は、非特許文献1(J. Chem. Eng. Data (1991) 36, 68-71)のFigure 2.や、非特許文献2(J. Chem. Eng. Data (2008), 53, 2182-2188)のFigure 7.やFigure 15.に開示されているCO2ハイドレートの平衡圧力曲線(例えば縦軸がCO2圧力、横軸が温度を表す)において、かかる曲線の高圧側(CO2ハイドレートの平衡圧力曲線において、例えば縦軸がCO2圧力、横軸が温度を表す場合は、該曲線の上方)の領域内のCO2圧力と温度の組合せの条件として表される。CO2ハイドレート生成条件の具体例として、「-20~4℃の範囲内」と「二酸化炭素圧力1.8~4MPaの範囲内」の組合せの条件や、「-20~-4℃の範囲内」と「二酸化炭素圧力1.3~1.8MPaの範囲内」の組合せの条件が挙げられる。
【0033】
本発明の発泡剤におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の含有量としては、特に制限されないが、例えば5~100重量%の範囲内、好ましくは30~100重量%の範囲内、より好ましくは50~100重量%の範囲内、さらに好ましくは70~100重量%の範囲内を挙げることができる。
【0034】
本発明の発泡剤におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)は、CO2と氷のみからなるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)(以下、「任意成分を含有しないCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)」とも表示する。)であってもよいが、香料、色素等の任意成分をさらに含有するCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)であってもよい。また、本発明の発泡剤は、「任意成分を含有しないCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)」、又は、「任意成分を含有するCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)」のみからなる発泡剤であってもよいし、これらCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)以外の任意成分をさらに含有していてもよい。CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)以外の任意成分として、肌用化粧料、頭髪用化粧料、洗浄料等の化粧料、香料、色素、塩類等が挙げられる。
【0035】
本発明の発泡剤がCO2ハイドレート以外のCO2高含有氷を含有する場合、かかる本発明の発泡剤は、流通や保管の際に、氷が融解しない温度及び圧力で保持することが好ましい。かかる温度及び圧力として、例えば常圧(例えば1気圧)で0℃以下の条件が挙げられる。一方、CO2ハイドレートの製法等によっては、その保存性や安定性に優れているものもある。したがって、本発明の発泡剤がCO2高含有氷としてCO2ハイドレートを含有する場合、かかる本発明の発泡剤は、流通や保管の際に、常温(5~35℃)、常圧(例えば1気圧)で保持してもよいが、本発明の発泡剤をより長期間、より安定的に保つ観点から、本発明の発泡剤は、流通や保管等の際に、「低温条件下」、又は「高圧条件下」、又は「低温条件下かつ高圧条件下」で保持することが好ましい。保持の簡便性の観点から、これらの中でも、「低温条件下」で保持することが好ましく、常圧(例えば1気圧)で「低温条件下」で保持することがより好ましい。
【0036】
上記の「低温条件下」における上限温度としては、10℃以下、好ましくは5℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは-5℃以下、より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-15℃以下、より好ましくは-20℃、さらに好ましくは-25℃が挙げられ、上記の「低温条件下」における下限温度としては、-273℃以上、-80℃以上、-50℃以上、-40℃以上、-30℃以上などが挙げられる。
【0037】
上記の「高圧条件下」における下限圧力としては、1.036気圧以上、好ましくは1.135気圧以上、より好ましくは1.283気圧以上、さらに好ましくは1.480気圧以上が挙げられ、上記の「高圧条件下」における上限圧力としては、14.80気圧以下、11.84気圧以下、9.869気圧以下、7.895気圧以下、4.935気圧以下などが挙げられる。
【0038】
本発明の発泡剤が、気泡を付与する対象とする化粧料は、前述したように、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料(特定の粘度の化粧料)である。
【0039】
特定の粘度の化粧料(以下、「本発明における化粧料」とも表示する。)としては、25℃における粘度が5~6500mPa・s、好ましくは10~6500mPa・s、より好ましくは50~6500mPa・s、より好ましくは155~6500mPa・s、さらに好ましくは155~4500mPa・sの化粧料である限り特に制限されない。化粧料の粘度は市販の粘度計を用いて測定することができ、好適な測定方法として、Brookfield社製の「DV-II+ viscometer」を使用し、少量サンプルアダプター、スピンドルNo.31、化粧料10mL溶液を用いて、3rpm、1分後に測定する方法を挙げることができる。
【0040】
本発明における化粧料の種類は、25℃における粘度が5~6500mPa・sである限り特に制限されず、肌用化粧料、頭髪用化粧料、洗浄料、シェービングフォーム、手指消毒液、口中化粧料等が挙げられる。上記肌用化粧料としては、化粧品、化粧水、乳液、美容液、クリーム、フェイスパック、ファンデーション、脱毛剤等が挙げられ、上記頭髪用化粧料としては、ヘアリンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアカラー、ヘアカラートリートメント、育毛剤、整髪料、ヘアローション等が挙げられ、上記洗浄料としては、洗顔料、クレンジング料、毛髪洗浄剤、身体洗浄剤等が挙げられ、上記口中化粧料としては、歯磨き剤、うがい薬、洗口剤等が挙げられる。
【0041】
本発明における化粧料の成分としては、かかる化粧料の25℃における粘度が5~6500mPa・sである限り特に制限されず、通常化粧料に用いられる成分が挙げられる。かかる成分としては、油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、界面活性剤、粘剤、樹脂、防腐剤、香料、紫外線吸収剤(有機系、無機系を含む。UV-A、Bのいずれに対応していても構わない)、溶媒(エタノール、多価アルコール等)、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分、アミノ酸類、保湿剤、美白剤、血行促進剤、抗炎症剤、殺菌剤、冷感剤、制汗剤、塩類、酸化防止剤、皮膚賦活剤、色素、ビタミン類、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤等の成分が挙げられる。なお、これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途として転用、例えば、ビタミン類を抗酸化防止剤として使用したり、他の用途との兼用、例えば、保湿剤と防腐剤としての効果を奏するものとして使用したりすることもできる。
【0042】
油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤、並びに樹脂等が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体のいずれであっても構わない。油剤の例としては、例えばセタノール等の高級アルコール;イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分岐の高級アルコール;イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、安息香酸アルキル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、スクワラン、スクワレン等の炭化水素;ラノリン、還元ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等のロウ;ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ホホバ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、アボガド油等の油脂;ポリエチレンワックス、エチレン・α-オレフィン・コオリゴマー、エチレンプロピレンポリマー等;が挙げられる。
【0043】
粉体の例としては、赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黒色401号等の色素、青色1号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素;ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子;黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料;タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料;雲母チタン等のパール顔料;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩;シリカ、アルミナ等の無機粉体;ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、またこれらを従来公知の表面処理、例えば、N-アシル化リジン処理、アミノ酸処理、親水性高分子処理、油剤処理、シリコーン処理、金属石鹸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等を施したものを使用することも可能である。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)に特に制限はない。粉体の大きさとしては、5nm~100μmの範囲に入るものが好ましく、さらに好ましくは10nm~25μmである。これらの粉体は単独で処理しても、混合物を形成し、それをまとめて処理しても構わない。また、混合物の色を肌色等に調整したものを処理することも可能である。さらに、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の紫外線散乱成分を使用することで紫外線防御機能を有する処理粉体とすることも可能である。
【0044】
界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。より詳しくは脂肪酸石鹸、α-アシルスルホン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルエーテル、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルリン酸、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、スルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸、パーフルオロアルキルリン酸エステル、アルキル硫酸エステル、アルキルエーテル硫酸エステル、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、アシルサルコシン、アシルサルコシン塩、等のアニオン性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリン酸アルカノールアミド、POE脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POEソルビトール脂肪酸エステル、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、POEコレスタノールエーテル、POEフィトスタノールエーテル、POEフィトステロースエーテル、POEコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン等のノニオン性界面活性剤、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等の両性界面活性剤;が挙げられる。また、サポニン、糖系界面活性剤等の天然系界面活性剤を用いることもできる。
【0045】
粘剤、樹脂の例としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、セルロースエーテル、アルギン酸カルシウム、エチレン/アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン系ポリマー、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体、窒素置換アクリルアミド系ポリマー、カチオン化グァーガム等のカチオン系ポリマー、ジメチルアクリルアンモニウム系ポリマー、POE/POP共重合体、ポリビニルアルコール、プルラン、デオキシリボ核酸及びその塩、コンドロイチン硫酸等の酸性ムコ多糖類及びその塩、タマリンド種子多糖類、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、ヒアルロン酸及びその塩、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、合成ラテックス、カードラン、カルボキシメチルキチン、キトサン等が挙げられる。上記のナノ化された素材も挙げられる。
【0046】
防腐剤としては、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等の有機酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルエチルアルコール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム、フェノキシエタノール、フェノキシジグリコール、フェノール、ベンジルアルコール等のフェノール類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルイソキノリウム、臭化ドミフェノン等の4級アンモニウム塩、茶エキス、ヒノキチオール、リンゴエキス等の植物抽出液、また、クロラミンT、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン等を挙げることができる。
【0047】
有機系紫外線吸収剤の例としては、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、p-メトキシハイドロケイ皮酸 ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、サリチル酸ホモメンチル、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、2,4-ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシ ベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0048】
溶媒の例としては、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン類、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、次世代フロン等が挙げられる。
【0049】
天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分の例としては、アシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ライチエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0050】
アミノ酸類の例としては、グリシン、アラニン、バリン、グルタミン酸等を挙げることができる。
【0051】
本発明の発泡剤は、容器に収容されていてもよい。容器の形状や材質は特に制限されず、例えばプラスチック製のボトル容器を挙げることができる。かかる容器は、本発明の化粧料を入れる区画をさらに有していることが好ましい。
【0052】
本発明の発泡剤の使用方法は、後述の「本発明の炭酸泡含有化粧料の調製方法」の項目において詳細に説明するが、特定の粘度の化粧料に、該化粧料の使用時に、該特定の粘度の化粧料に本発明の発泡剤を含有させる工程を含んでいる限り特に制限されない。当業者であれば、本願明細書を参照することにより、本発明の発泡剤におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の含有量や、該CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)のCO2含有率や、どの程度の量の泡を求めるか等に応じて、本発明の発泡剤の使用量を調整することができる。
【0053】
2.<本発明の炭酸泡含有化粧料調製用キット>
本発明の炭酸泡含有化粧料調製用キットは、本発明の発泡剤と、25℃における粘度が
5~6500mPa・sの化粧料とを備えている。かかるキットは本発明の発泡剤と、特定の粘度の化粧料を両方備えているので、本発明の炭酸泡含有化粧料を手軽に調製することができる。
【0054】
本発明の炭酸泡含有化粧料調製用キットとしては、本発明の発泡剤と、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料とを備えている限り特に制限されず、例えば、本発明の発泡剤と、本発明における化粧料は、1つの容器の別の区画にそれぞれ収容されていてもよいし、別々の容器にそれぞれ収容されていてもよい。
【0055】
容器の形状や材質は特に制限されず、例えばプラスチック製のボトル容器を挙げることができる。かかる容器は、本発明の発泡剤を本発明における化粧料に添加することができる区画を有していることが好ましい。
【0056】
本発明のキットは、本発明の発泡剤と、本発明における化粧料を備えていればよいが、任意成分として、増粘剤等の粘度調整剤をさらに備えていてもよい。
【0057】
3.<本発明の炭酸泡含有化粧料の調製方法>
本発明の炭酸泡含有化粧料の調製方法としては、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料(特定の粘度の化粧料)に、該化粧料の使用時に、本発明の発泡剤を含有させる工程を含んでいる限り特に制限されない。本発明における化粧料の使用時に、本発明における化粧料に本発明の発泡剤を含有させることにより、該化粧料に簡便かつ低コストで炭酸泡を付与して、炭酸泡含有化粧料を調製することができる。なお、本発明の炭酸泡含有化粧料の調製方法は、本発明の炭酸泡含有化粧料の提供方法としても用いることができる。
【0058】
本発明の炭酸泡含有化粧料の調製方法の好適な態様として、以下の工程P~Rを含む、炭酸泡含有化粧料の調製方法が挙げられる。
(P)25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料を用意する工程P;
(Q)CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)を含有する発泡剤を用意する工程Q;
(R)工程Pで用意した化粧料に、該化粧料の使用時に、工程Qの発泡剤を含有させる工程R;
【0059】
本明細書において、「特定の粘度の化粧料に、該化粧料の使用時に、本発明の発泡剤を含有させる」とは、その特定の粘度の化粧料がそれを使用する者(使用者)に提供される前後を含めた時期に、該化粧料に本発明の発泡剤を含有させることを意味し、かかる時期としては、例えば、該化粧料が使用者に提供される7分間前~提供されてから7分間後の範囲内の時期を挙げることができ、該化粧料が使用者に提供される5分間前~提供されてから5分間後の範囲内の時期を好ましく挙げることができ、該化粧料が使用者に提供される3分間前~提供されてから3分間後の範囲内の時期をより好ましく挙げることができ、該化粧料が使用者に提供される1分間前~提供されてから1分間後の範囲内の時期をさらに好ましく挙げることができる。「特定の粘度の化粧料に、該特定の粘度の化粧料の使用時に、本発明の発泡剤を含有させること」としては、該化粧料の提供者又は使用者が本発明の発泡剤を該化粧料に含有させることが挙げられ、中でも、その特定の粘度の化粧料の使用者が視認できる場所で、該化粧料の提供者又は使用者が本発明の発泡剤を該化粧料に含有させることが好適な態様として挙げられる。なお、本発明の発泡剤を含有させる際の「特定の粘度の化粧料」は、本発明の発泡剤を含有させることができるように、密閉されていない容器内に入れられていることが好ましい。
【0060】
本明細書において「特定の粘度の化粧料に本発明の発泡剤を含有させること」には、特定の粘度の化粧料に本発明の発泡剤を投入(すなわち、添加)することの他、特定の粘度の化粧料と本発明の発泡剤が接触するような状態にする限り、本発明の発泡剤に特定の粘度の化粧料を投入すること等も便宜上含まれるが、より良好な気泡をより十分に得る観点から、特定の粘度の化粧料に本発明の発泡剤を投入することが好ましく含まれる。
【0061】
また、特定の粘度の化粧料が、使用時に2種又は3種以上の液を混合してなる化粧料である場合、本明細書において「特定の粘度の化粧料に本発明の発泡剤を含有させること」には、かかる2種又は3種の液を混合した化粧料に本発明の発泡剤を含有させることの他、かかる2種又は3種の液のうち、一部の種類の液に本発明の発泡剤を含有させた後、残りの種類の液を含有させることも含まれるが、より良好な気泡をより十分に得る観点から、前述の2種又は3種の液を混合した化粧料に本発明の発泡剤を含有させることが好ましく含まれる。
【0062】
本発明の発泡剤を含有させる際の特定の粘度の化粧料の液温としては特に制限されず、例えば0~50℃の範囲内が挙げられる。
【0063】
特定の粘度の化粧料へ本発明の発泡剤を含有させる量は、該化粧料に炭酸泡を付与して、炭酸泡含有化粧料を調製することができる限り特に制限されず、当業者であれば、本願明細書を参照することにより、本発明の発泡剤におけるCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の含有量や、該CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)のCO2含有率や、どの程度の量の泡を求めるか等に応じて、本発明の発泡剤の使用量を調整することができる。
【0064】
特定の粘度の化粧料へ本発明の発泡剤を含有させる量の具体例として、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)換算で、例えば0.05~10g/mLの範囲内、好ましくは0.1~10g/mLの範囲内、より好ましくは0.1~3.0g/mLの範囲内、さらに好ましくは0.1~2.0g/mLの範囲内、より好ましくは0.1~1.0g/mLの範囲内、さらに好ましくは0.1~0.33g/mLの範囲内が挙げられる。なお、これらの投与量の範囲は、CO2高含有氷がCO2ハイドレートであり、しかもそのCO2ハイドレートのCO2含有率が3~25重量%の範囲内、好ましくは5~20重量%の範囲内、より好ましくは7~18重量%の範囲内である場合に特に好ましく用いることができる。
【0065】
本発明の炭酸泡含有化粧料の調製方法における上記工程Pとしては、25℃における粘度が5~6500mPa・sの化粧料を用意するである限り特に制限されない。
【0066】
かかる特定の粘度の化粧料を用意する方法としては、25℃における粘度が5~6500mPa・sである市販の化粧料を用意する方法や、特定の粘度である化粧料を例えば公知の製造方法で製造することによって用意する方法等が挙げられるが、簡便性の観点から、特定の粘度である市販の化粧料を購入すること等により用意する方法が好ましく挙げられる。また、特定の粘度の化粧料を用意する方法には、25℃における粘度が5~6500mPa・sではない化粧料を、増粘剤を添加し、又は、水で希釈するなどの方法で粘度を5~6500mPa・sに調整することも含まれる。
【0067】
本発明の炭酸泡含有化粧料の好適な調製方法における上記工程Qとしては、CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)を含有する発泡剤を用意する工程である限り特に制限されない。かかる発泡剤を用意する方法としては、例えば本願明細書に記載の方法にしたがって、CO2含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCO2ハイドレート)を製造することによって、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用意する方法であってもよいし、あらかじめ製造されたCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用意する方法等であってもよいが、簡便性の観点から、あらかじめ製造されたかかる氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用意する方法が好ましく挙げられる。
【0068】
上記工程Pと上記工程Qはどちらを先に行ってもよく、あるいは同時に行ってもよい。
【0069】
本発明の炭酸泡含有化粧料の好適な調製方法における上記工程Rとしては、工程Pで用意した特定の粘度の化粧料に、該化粧料の使用時に、工程Qの発泡剤を含有させる工程である限り特に制限されない。工程Pで用意した化粧料に、該化粧料の使用時に、工程Qの発泡剤を含有させる方法や、その好適な態様は、前述した、特定の粘度の化粧料に、該特定の粘度の化粧料の使用時に、本発明の発泡剤を含有させる方法や、その好適な態様と同様である。
【0070】
「本発明の炭酸泡含有化粧料」とは、特定の粘度の化粧料に本発明の発泡剤を含有させることにより調製される化粧料を意味する。本発明の炭酸泡含有化粧料における炭酸泡としては、特定の粘度の化粧料に本発明の発泡剤を含有させることにより生じる気泡である限り特に制限されないが、良好な炭酸泡として、以下の性質1~4のうちいずれか1つ、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上、最も好ましくは4つすべての性質を有する炭酸泡が好適に挙げられる。
(性質1)本発明の発泡剤を含有させた際の、特定の粘度の化粧料の膨張率が3倍以上(好ましくは4倍以上)であること:
(性質2)泡の持続時間が10分間以上(好ましくは14分間以上)であること:
(性質3)調製した直後の炭酸泡含有化粧料の泡のキメを以下の評価基準で評価した評価が3以上(好ましくは3.5以上)であること:
化粧料の泡形状の評価基準
1:泡が粗く、気泡径が10mm以上である。
2:気泡径が2mm以上10m以下である。
3:気泡径が2mm以下であるが、目視で気泡が確認できる。
4:気泡径が2mm以下であり、目視確認が困難なほど泡が細かい。
なお、以上の評価基準は、泡相の半分より多い部分を占める泡について適用した。また、例えば、泡相の半分程度が2の泡であり、残りの半分程度が3の泡であるならば、2.5と評価した。
(性質4)本発明の発泡剤のCO2ハイドレートが泡の中に残存しないこと:
【0071】
上記性質1に関して、膨張率の上限は、必要に応じて適宜設定することができ、例えば、30倍未満、25倍未満、20倍未満とすることができる。本明細書において「化粧料の膨張率」とは、「発泡剤を含有させる(又は発泡手段を適用する)前の化粧料の体積」に対する「発泡剤を含有させた後の化粧料の体積(化粧料の泡も含む)の最大値」の比率(倍)を意味する。また、特定の粘度の化粧料が2種又は3種以上の液を混合してなる化粧料である場合の膨張率は、これらすべての液を混合した後の化粧料に発泡剤を含有させて算出した膨張率を表す。膨張率は、下部から上部まで断面積が等しい円筒状等の容器を用いれば、「CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を含有させた後の化粧料の泡の上面の最大高さ」を「CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を含有させる前の化粧料の液面の高さ」で除すことにより、簡便に求めることができる。また、膨張率は、化粧料に含有させる本発明の発泡剤の量を調整することにより調整することができる。膨張率は化粧料の物性等にも左右されるが、一般に、化粧料に含有させる本発明の発泡剤の量を増やすと、膨張率は高くなる傾向があり、化粧料に含有させる本発明の発泡剤の量を減らすと、膨張率は低くなる傾向がある。
【0072】
上記性質2に関して、泡の持続時間(泡持続時間)とは、本発明の発泡剤を化粧料に含有させた時点から、化粧料の泡が消失するまでの時間を意味し、化粧料の泡が消失したときとは、泡の隙間から化粧料の液面が少しでも見えた時点を意味する。泡の持続時間は、本発明の発泡剤を化粧料に含有させた時点から、化粧料の泡が消失するまでの時間を計測することにより、容易に計測することができる。泡の持続時間は、化粧料の物性等にも左右されるが、化粧料に含有させる本発明の発泡剤の量を増やすと、泡の持続時間も長くなる場合が比較的多い。
【0073】
上記性質3に関して、調製した直後の炭酸泡含有化粧料の泡としては、本発明の発泡剤を化粧料に含有させた後、化粧料の体積(化粧料の泡も含む)の最大となったときの炭酸泡含有化粧料の泡が好ましく挙げられる。性質3における泡のキメは目視で評価を行ってもよいし、測定機器によって評価を行ってもよいが、ある程度の評価経験があれば、目視により十分明確、かつ、簡便に泡のキメを評価することができる。化粧料の泡のキメの評価は、例えば、最大長が3mm以上、好ましくは5mm以上のCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用いることにより、向上させることができる。
【0074】
上記性質4に関して、本発明の発泡剤のCO2ハイドレートが泡の中に残存していると、泡のキメが荒くなる傾向があるため、本発明の発泡剤のCO2ハイドレートが泡の中に残存していないことが好ましい。本発明の発泡剤のCO2ハイドレートが泡の中に残存しているか否かは、泡を手に取ってからその泡を押しつぶすこと等により、泡の中にCO2ハイドレートが残存しているか否かを触覚により確認することができる。例えば、最大長が3mm以上、好ましくは5mm以上のCO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)を用いると、本発明の発泡剤のCO2ハイドレートを泡の中に残存しないようにすることができる。
【0075】
<本発明のその他の態様>
本発明の態様には、「炭酸泡含有化粧料を調製するための、CO2高含有氷(好ましくはCO2ハイドレート)の使用」や、「本発明の炭酸泡含有化粧料の調製方法に調整された炭酸泡含有化粧料」等も含まれる。
【0076】
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0077】
[CO2ハイドレートの調製]
(1)粒径3mm以上の大きさのCO2ハイドレートの調製
4Lの水にCO2ガスを3MPaとなるように吹き込み、撹拌をしながら1℃でCO2ハイドレート生成反応を進行させた。その後、-20℃まで冷却して、最大長が3mm以上60mm以下の多面体形状のCO2ハイドレートを選択して回収し、以降の実験で用いた。かかるCO2ハイドレートのアスペクト比(最大長/最小長)は、おおよそ1~4であった。なお、これらのCO2ハイドレートのCO2含有率は12~18%であった。また、このようにして調製した最大長が3mm以上60mm以下のCO2ハイドレートから、粒径10mmのCO2ハイドレートを選択し、後述の実験で粒径10mmのCO2ハイドレートとして用いた。
【0078】
(2)粉状のCO2ハイドレートの調製
4Lの水にCO2ガスを3MPaとなるように吹き込み、撹拌をしながら1℃でCO2ハイドレート生成反応を進行させた。その後、-20℃まで冷却して、CO2ハイドレートを回収した後、かかるCO2ハイドレートを破砕した。最大長が3mm未満のCO2ハイドレートを選択して回収し、以降の実験で用いた。なお、これらのCO2ハイドレートのCO2含有率は12~18%であった。
【実施例2】
【0079】
[化粧料にCO2ハイドレートを含有させた際の泡の形状、泡持続時間や、その際の化粧料の膨張率に対する、CO2ハイドレートの大きさや添加量の影響]
化粧料にCO2ハイドレートを投入した際にどのような気泡が生じるか(気泡形状)や、その際の化粧料の膨張率に対して、CO2ハイドレートの添加量や大きさ等がどのように影響するかを調べるために、以下の実験を行った。
【0080】
(1)化粧料の粘度の測定
後述の表1に記載の各種化粧料の粘度は、Brookfield社製の「DV-II+ viscometer」を使用し、少量サンプルアダプター、スピンドルNo.31、化粧料10mL溶液を用いて、3rpm、1分後に測定した。その結果を表1の「粘度」の項目に示す。なお、測定温度は25℃であった。
【0081】
(2)化粧料の膨張率
表1に記載の各種化粧料を、直径85mmの500mL容のビーカーに30mLずつ入れた後、表1に記載の泡立て方法(CO2ハイドレートの添加など)をそれぞれ実施し、化粧料の液と泡を合わせた最大容量を測定した。最大容量の数値を初期容量(泡立て前の化粧料の液の容量)の数値で除すことにより、化粧料の膨張率を算出した。その結果を表1の「膨張率」の項目に示す。なお、表1に記載の泡立て方法において、「泡立てポンプ容器」とは、化粧料を市販の泡立てポンプ容器内に入れ、ポンプのノズルをプッシュして化粧料及びその泡をビーカー内に注ぐ方法を表し、「撹拌(電動泡立て器)」とは、ビーカー内の化粧料を市販の電動泡立て器で泡立てる方法を表し、「泡立てカップ」とは、市販の泡立てカップの泡立て棒で化粧料を泡立てる方法を表し、「バブリング」とは、ガスボンベのガスを用いてビーカー内の化粧料を泡立てる方法を表す。
【0082】
(3)化粧料の泡持続時間
実施例2の上記(2)で作製した化粧料の泡について、泡持続時間、すなわち、化粧料の泡立て作業の終了時から、化粧料の泡が消失するまでの時間を計測した。その結果を表1の「泡持続時間」の項目に示す。なお、「泡持続時間」の計測において、泡の隙間から化粧料の液面が少しでも見えた時点を、化粧料の泡が消失したときと評価した。
【0083】
(4)化粧料の泡形状
実施例2の上記(2)で作製した直後の、化粧料の泡のキメを目視により、以下の評価基準で評価した。その結果を表1の「泡形状」の項目に示す。
化粧料の泡形状の評価基準
1:泡が粗く、気泡径が10mm以上である。
2:気泡径が2mm以上10m以下である。
3:気泡径が2mm以下であるが、目視で気泡が確認できる。
4:気泡径が2mm以下であり、目視確認が困難なほど泡が細かい。
なお、以上の評価基準は、泡相の半分より多い部分を占める泡について適用した。また、例えば、泡相の半分程度が2の泡であり、残りの半分程度が3の泡であるならば、2.5と評価した。
【0084】
【0085】
表1の結果から、化粧料の25℃における粘度がおよそ6500mPa・s以下である場合は、CO2ハイドレートを添加することにより、簡便に炭酸泡を付与することができることが示された。また、CO2ハイドレートをより多く添加すると、膨張率がより高くなり、より多くの炭酸泡が得られる傾向があることが示された。また、粒径10mmの粒状のCO2ハイドレートを用いた場合は、同量の粉状(最大長が3mm未満)のCO2ハイドレートを用いた場合と比較して、よりきめ細く、持続時間がより長い炭酸泡が、より多く得られることが示された。このことから、最大長3mm以上、好ましくは5mm以上のCO2ハイドレートを用いると、最大長3mm未満のCO2ハイドレートを用いた場合と比較して、よりきめ細く、持続時間がより長い炭酸泡が、より多く得られると考えられた。また、粒径10mmの粒状のCO2ハイドレートは、泡立てポンプ容器、電動泡立て器による撹拌、泡立てカップ又はバブリングを用いた場合よりも、きめ細かい泡が得られる等の点で好適であることが示された。なお、持続時間が長く、十分な泡が得られることに加えて、きめ細かい泡を得る観点からは、化粧料の25℃における粘度はおよそ4500mPa・s以下であることが好ましいことも示された。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、耐圧容器や噴射剤、炭酸塩を必要とせずに、特定の粘度(25℃における粘度が5~6500mPa・s)の化粧料に、簡便かつ低コストで炭酸泡を付与するための発泡剤や、該発泡剤と、特定の粘度の化粧料とを備える炭酸泡含有化粧料調製用キットや、特定の粘度の化粧料にかかる発泡剤を含有させる工程を含む、炭酸泡含有化粧料の調製方法等を提供することができる。