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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
B65G1/04 535
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018018128
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019135185
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-126526(JP,A)
【文献】特開昭63-277106(JP,A)
【文献】実開昭63-024106(JP,U)
【文献】特開平07-061525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向、列方向および段方向に沿って設けられる荷を保管するための複数の保管部を有する棚部と、
第1台車を載置可能な載置部を有し、当該載置部を、前記棚部の出入口部に沿う前記行方向および前記段方向に移動させる第2台車と、
を備え、
前記第1台車は、前記列方向に移動して前記出入口部から前記棚部に進入可能であり、
前記載置部は、第1部材を有し、
前記棚部は、前記載置部が前記保管部に対して前記段方向において位置決めされるように、前記第1部材と前記段方向で当接する第2部材を有し、
前記第2台車は、前記載置部を前記段方向に移動させる昇降台を含み、
前記載置部は、前記昇降台に対して変位可能に前記昇降台に支持されることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
前記第1、第2部材は、前記載置部が前記保管部に対して前記行方向に位置決めされるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記第2部材は、前記段方向に対して斜めに交差する、下側ほど互いに近づく2つの斜面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記第1部材が前記第2部材の前記2つの斜面の両方と当接するとき、前記載置部が前記保管部対して前記段方向および前記行方向に位置決めされる請求項3に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記棚部は、前記複数の保管部のそれぞれに対応する複数の軌条を有し、
前記載置部は、前記軌条とは別の軌条を有し、
前記第1台車は、前記軌条および前記別の軌条を走行するための車輪を有し、
前記第1部材および前記第2部材は、前記第1部材と前記第2部材とが前記段方向で当接したとき、前記軌条の走行面と前記別の軌条の走行面との間に許容高さを超える段差が生じないように設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記第1部材は、前記保管部に進入して前記第2部材と当接可能な第1位置と、前記棚部を避けた第2位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な自動倉庫システムが知られている。自動倉庫システムも種々の構造が提供されているが、その一つとして、立体的に構成された保管棚に搬送装置を用いて荷の授受を行う自動倉庫システムが提供されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-88696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される自動倉庫システムでは、搬送装置と保管棚の保管部との間で荷の授受を行うために、それらの間の位置決めを、距離センサを用いて計測された昇降台の高さに基づいて行っている。このように距離センサを用いると、コストが増加したり、測定誤差等によって位置決めが正確でなくなってしまう等の問題がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送装置と保管部との間の位置決めを好適に実現できる自動倉庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を保管する保管部を高さ方向に複数有する保管棚と、第1方向に移動して荷を保管部に搬送する第1台車と、第1台車を載置可能に構成される載置部と、載置部を昇降させる昇降装置と、を備える。載置部は、第1部材を有する。保管棚は、載置部が保管部に対して高さ方向において位置決めされるように、第1部材と高さ方向で当接する第2部材を有する。
【0007】
本発明の別の態様もまた、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管する保管部を高さ方向に複数有する保管棚と、第1方向に移動して荷を保管部に搬送する第1台車と、第1台車を載置可能に構成される載置部と、載置部を第2方向に移動する第2台車と、第2台車が移動するための走行路と、第2台車を昇降させる昇降装置と、を備える。載置部は、第1部材を有する。走行路は、載置部が走行路に対して高さ方向において位置決めされるように、第1部材と高さ方向で当接する第2部材を有する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送装置と保管部との間の位置決めを好適に実現できる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る自動倉庫システムの斜視図である。
図2】搬送台車の平面図である。
図3図2の搬送台車の側面図である。
図4】スタッカークレーンの側面図である。
図5図5のスタッカークレーンの平面図である。
図6】載置部とその周辺を拡大して示す拡大図である。
図7】載置部を保管棚に対して位置決めした様子を示す平面図である。
図8図7のA-A線断面図である。
図9】変形例に係る受け部とその周辺を示す図である。
図10】別の変形例に係る受け部とその周辺を示す図である。
図11】さらに別の変形例に係る受け部とその周辺を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態に係る自動倉庫システム10の斜視図である。説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向、X方向に直交する水平な方向をY方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定める。なお、以降の説明ではXYZ直交座標系を用いて説明するが、必ずしもX方向、Y方向、Z方向は互いに直交していなくとも、略90度で交差していればよい。本実施の形態では、荷12をパレット12pに載せた状態で扱うが、これに限られず、パレットを用いずに荷12を単独で扱うようにしてもよい。なお、荷12をパレット12pに載せた状態で搬送することを、単に荷12を搬送するという。
【0013】
自動倉庫システム10は、自動倉庫システム10の外部から搬入された荷12を受け入れる入庫部15と、自動倉庫システム10から外部に搬出される荷12を受け入れる出庫部16と、荷12を保管する保管棚20と、入庫部15および出庫部16と保管棚20との間で荷12の搬送を行う搬送装置40と、搬送装置40を制御する制御装置52と、を主に備える。自動倉庫システム10では、荷12を入庫する際、荷12は外部搬送装置であるフォークリフト(不図示)によって入庫部15に搬入される。入庫部15に搬入された荷12は、搬送装置40によって保管棚20の所定の保管部に搬送されて保管される。また自動倉庫システム10では、荷12を出庫する際、荷12は搬送装置40によって保管棚20の所定の保管部から出庫部16に搬送される。出庫部16に搬送された荷12は、フォークリフトによって搬出される。
【0014】
保管棚20は、多数の荷12を収容して保管する、いわば高密度保管型の保管スペースである。この例では、自動倉庫システム10は2つの保管棚20を備える。2つの保管棚20は、搬送装置40のスタッカークレーン47(後述)が走行するY方向に延びる走行路78を挟んで対となるように配置される。
【0015】
保管棚20は、複数の荷12を収容・保管可能であれば、構造に特別な制限はない。本実施の形態の2つの保管棚20はそれぞれ、X方向にM(Mは1以上の整数)列、Y方向にN(Nは1以上の整数)行、Z方向にK(Kは2以上の整数)段の保管部21を有する。このM、N、Kは適宜異なる値を設定できるが、これらの値が大きいほど高容量の自動倉庫システム10とすることができる。各保管部21は、荷12を保管可能に構成される。各行の保管部21は、列方向に接続され、列方向に伸びる保管部列22を構成する。各保管部列22の走行路78側の端部には、荷12を出し入れするための出入口部22b設けられる。荷12は、搬送装置40の搬送台車46(後述)により、保管部列22の中を列方向に搬送される。各保管部列22は、行方向に接続されて保管部配列23を構成する。各保管部配列23は、上下方向に層状に接続されて保管棚20を構成する。図示の例では、1つの保管棚20は、5列、6行、3段の保管部21有する。
【0016】
保管棚20は、保管部列22ごとに第1軌条42を含む。第1軌条42は、例えばレールの対であり、保管部列22の中をX方向に延在するように設けられる。第1軌条42は、後述の図3に示すように、延在方向であるX方向に垂直な断面が角張ったC字形状を有し、荷12が載置される載置面42aと、搬送台車46が走行する走行面42bと、を含む。
【0017】
搬送装置40は、荷12をX方向に搬送する搬送台車46と、荷12をY方向に搬送するスタッカークレーン47と、を有する。出庫の際、搬送台車46は保管部列22とスタッカークレーン47との間を行き来して、目的の保管部21の荷12をスタッカークレーン47に積み込む。スタッカークレーン47は、積み込まれた荷12を出庫部16に搬送する。入庫の際、スタッカークレーン47は入庫部15で積み込まれた荷12を目的の保管部列22に搬送する。搬送台車46は、スタッカークレーン47と保管部列22との間を行き来して、スタッカークレーン47が搬送してきた荷12を目的の保管部21に搬送する。
【0018】
図2は、搬送台車46の平面図である。図3は搬送台車46の側面図である。図3は、搬送台車46が第1軌条42を走行して荷12を搬送する様子を示している。搬送台車46は、第1軌条42を走行して保管部列22の中を移動できる。また搬送台車46は、保管部列22とスタッカークレーン47の載置部60(後述)との間を行き来できる。
【0019】
搬送台車46は、車体46bと、支持部46cと、リフト装置46dと、4つの車輪46eと、を主に含む。なお、ここでは搬送台車46が四隅に1つずつ、合計4つの車輪46eを有する例を示したが、これに限られない。例えば搬送台車46は、四隅に2つずつ、合計8つの車輪46eを有していてもよい。また例えば搬送台車46は、四隅のうちの一部が2つずつ、他部が1つずつの車輪46eを有していてもよい。車体46bは、Z方向に扁平な略直方体形状の輪郭を有する。車体46bは、4つの車輪46eを駆動するモータ(不図示)と、このモータを駆動するバッテリー(不図示)と、制御装置52からの制御指令にもとづいて、モータの駆動すなわち搬送台車46の走行を制御する走行装置(不図示)と、を搭載している。支持部46cは、荷12を保持する略矩形板状の部材である。
【0020】
リフト装置46dは、制御装置52からの制御指令にもとづいて、支持部46cを昇降させる。リフト装置46dは、支持部46cを上昇させて支持部46cに荷12持ち上げさせ、荷12を軌条(第1軌条42や後述の第3軌条68)から浮かせる。またリフト装置46dは、支持部46cを下降させて荷12を軌条に載置させる。図3では、支持部46cを上昇させて荷12を第1軌条42から持ち上げた状態を示している。搬送台車46は、荷12を載せた状態で走行する場合は、支持部46cを上昇させて荷12を軌条から持ち上げた状態で走行する。
【0021】
図4はスタッカークレーン47の側面図である。図5は、スタッカークレーン47の平面図である。スタッカークレーン47は、走行台車56と、昇降台58と、載置部60と、昇降装置62と、一対の支柱64と、を主に含む。
【0022】
走行台車56は、走行路78に敷設された第2軌条44に沿ってY方向に移動可能である。走行台車56は、走行装置(不図示)を搭載している。走行装置は、制御装置52からの制御指令にもとづいて、走行台車56の走行を制御する。一対の支柱64は、走行台車56上に設置されており、走行台車56とともに第2軌条44に沿って移動する。昇降台58は、支柱64に対して鉛直方向(Z方向)に移動可能に取り付けられる。載置部60は、昇降台58上に設けられている。載置部60は、搬送台車46を載置可能に構成される。昇降装置62は、制御装置52からの制御指令にもとづいて、昇降台58ひいては載置部60を昇降させる。具体的には昇降装置62は、昇降台58を吊っているワイヤーロープ(不図示)を巻取り/送出しすることで、昇降台58を上昇/下降させる。
【0023】
図6は、載置部60とその周辺を拡大して示す拡大図である。図6は、搬送台車46が荷12を乗せた状態で載置部60に載置されている様子を示している。載置部60は、Z方向に扁平な板状の基台66と、基台66上に設けられた第3軌条68と、基台66上の四隅に設けられた4つ(図6では2つのみ表示されている)の位置決めユニット70と、を主に含む。位置決めユニット70については後述する。
【0024】
基台66は、支持ユニット65を介して、昇降台58に対してY方向およびZ方向に変位可能に昇降台58に支持される。第3軌条68は、例えばレールの対であり、X方向に延在するように設けられる。第3軌条68は、荷12が載置される載置面68aと、搬送台車46が走行する走行面68bと、を有する。第3軌条68は、本実施の形態では、保管棚20の第1軌条42と同様の断面形状を有する。
【0025】
図7は、搬送台車46を載置部60と保管棚20との間で行き来させるために、載置部60を保管棚20に対して位置決めした状態を示す平面図である。図8は、図7のA-A線断面図である。
【0026】
位置決めユニット70は、位置決めピン71と、駆動装置72と、を含む。位置決めピン71は、本実施の形態ではX方向に延在する棒状の部材(すなわち凸部)であり、駆動装置72を介して載置部60に固定される。位置決めピン71は、X方向に垂直な断面が矩形状を有するが、これに限定されるものではなく、断面が円形状やその他の形状を有してもよい。
【0027】
駆動装置72は、制御装置52からの制御指令にもとづいて、位置決めピン71をその延在方向であるX方向に移動させる。駆動装置72は特に、位置決めピン71を進入位置(第1位置)と退避位置(第2位置)との間を移動させる。つまり、位置決めピン71は駆動装置72によって位置決めユニット70の内部に対して出し入れ可能なように構成されている。進入位置は、位置決めピン71が保管棚20に進入する位置である。言い換えると、進入位置は、位置決めピン71が後述の受け部26の受け面26aに当接可能な位置、すなわち位置決めピン71の一部が位置決めユニット70の外部に突出した位置である。
【0028】
退避位置は、位置決めピン71が保管部列22に進入していない位置、すなわち保管棚20を避けた位置である。言い換えると、退避位置は、スタッカークレーン47の走行中に位置決めピン71が保管棚20の構成部材と接触しない位置である。退避位置は例えば、平面視で位置決めピン71が昇降台58の外側に突出しない位置、すなわち平面視で位置決めピン71の全体が昇降台58と重なる位置であってもよい。
【0029】
保管棚20は、保管部列22ごとに、一対の受け部26を有する。受け部26は、位置決めピン71を受ける部材である。受け部26は、本実施の形態ではX方向に垂直な断面が凹形状であり、位置決めピン71が当接する実質的に水平な受け面26aを有する。
【0030】
4つの位置決めピン71のうち、搬送台車46を行き来させる保管棚20側(図7ではX方向正方向側)の2つの位置決めピン71は進入位置にあり、受け部26の受け面26aに当接している。このとき、第3軌条68の走行面68bと第1軌条42の走行面42bとの間に段差が生じないように、あるいはそれらの間に搬送台車46が行き来可能な高さの段差、すなわち所定の許容高さ以下の段差しか生じないように、載置部60は保管棚20に対してZ方向に位置決めされる。つまり、第3軌条68の走行面68bに対する位置決めピン71の位置と、第1軌条42に対する受け面26aの位置は、位置決めピン71が受け面26aに当接したときに第3軌条68の走行面68bと第1軌条42の走行面42bとの間に許容高さ以下の段差しか生じないように、決められている。このように載置部60が保管棚20に対して位置決めされることで、搬送台車46が載置部60と保管棚20との間を自在に往来でき、また搬送台車46が許容高さを超える段差を越える場合のような騒音の発生を抑えられる。また、2つの部材を当接させて位置決めするシンプルな構成であり、自動倉庫システム10のコストを抑えられる。
【0031】
なお、2つの位置決めピン71を対応する受け面26aに確実に当接させるために、載置部の重量の一部が受け部26に掛かるように、昇降台58の昇降位置を調整してもよい。つまり、搬送台車46を行き来させる保管棚20側の載置部60の端部は位置決めピン71を介して受け部26に支持され、載置部60の反対側の端部は支持ユニット65を介して昇降台58に支持されるように、昇降台58の昇降位置を調整してもよい。この場合、第3軌条68は、搬送台車46を行き来させる保管棚20から離れるほど第3軌条68が下がるように僅かに傾斜する。
【0032】
また、本実施の形態では、搬送台車46を行き来させる保管棚20側の位置決めピン71のみを進入位置に位置させて受け面26aに当接させることにより、載置部60を保管棚部20に対して位置決めしている。つまり、搬送台車46を行き来させない保管棚20側(図7ではX方向負方向側)の位置決めピン71は退避位置にあり、受け面26aとは当接していない。ここで、2つの保管棚20の受け部26の位置(高さ位置およびY方向の位置)は、同じ段の同じ行の受け部26であっても、保管棚20の据え付け誤差等により、ずれてしまう虞がある。このような場合、搬送台車46が行き来する保管棚20側(図7ではX方向正方向側)の位置決めピン71に加えて、搬送台車46が行き来しない保管棚20側(図7ではX方向負方向側)の位置決めピン71も進入位置に位置させて受け面26aに当接させると、すなわち4つの位置決めピン71を用いて位置決めすると、保管棚20間でのZ方向のずれを反映してしまい、X方向正方向側への搬送台車の行き来においてはかえって理想的な位置からずれる虞がある。そこで本実施の形態では、上述したように、搬送台車46を行き来させる保管棚20側の位置決めピン71のみを用いて位置決めしている。
【0033】
以上のように構成された自動倉庫システム10の動作を説明する。
【0034】
まず自動倉庫システム10の出庫時の動作を説明する。なお、以下の各処理は、制御装置52からの制御指令にもとづいて実行される。
(1)搬送台車46は、搬送元の保管部21に移動する。具体的には搬送台車46は、出庫対象の荷12の下に進入する。
(2)搬送台車46は、支持部46cを上昇させて荷12を持ち上げ、荷12を第1軌条42から浮かせる。これにより、荷12は移動可能な状態になる。
(3)荷12を載せた搬送台車46は、出入口部22bに向かって移動する。
(4)スタッカークレーン47は、搬送元の保管部21の高さまで昇降台58を昇降させる。このときスタッカークレーン47は、搬送元の保管部21の保管部列22に対応する受け部26よりも位置決めピン71が上側に位置するように、昇降台58を昇降させる。なおスタッカークレーン47は、位置決めピン71と保管棚20の構成部材とが接触してそれらが損傷しないように、すべての位置決めピン71を退避位置に移動させた状態で昇降台58を昇降させる。
(5)スタッカークレーン47は、搬送元の保管部21のY方向位置まで走行する。このときスタッカークレーン47は、位置決めピン71と保管棚20の構成部材とが接触してそれらが損傷しないように、すべての位置決めピン71を退避位置に移動させた状態で走行する。
【0035】
(6)スタッカークレーン47が搬送元の保管部21の保管部列22の出入口部22bに到着したら、当該保管部列22側の2つの位置決めピン71を進入位置に移動させる。このとき、反対側の2つの位置決めピン71は退避位置のままとする。
(7)スタッカークレーン47の昇降台58を下げて2つの位置決めピン71を受け部26の受け面26aに当接させる。これにより、載置部60が位置決めされる。このとき、第1軌条42の走行面42bと第3軌条68の走行面68bとの段差は許容高さ以下となる。
(8)荷12を載せた搬送台車46は、第1軌条42と第3軌条68とを走行して、保管部列22から載置部60に移動する。第1軌条42の走行面42bと第3軌条68の走行面68bとの段差が許容高さ以下であるため、搬送台車46は軌条間の段差に引っ掛かることなく載置部60に乗り移ることができ、またそのときの騒音も抑えられる。
(9)搬送台車46は、支持部46cを下降させて荷12を第3軌条68の載置面68aに載置する。
(10)スタッカークレーン47は、昇降台58を上昇させて位置決めピン71を受け部26から離間させる。
【0036】
(11)スタッカークレーン47は、搬送元の保管部21の保管部列22側の2つの位置決めピン71を退避位置に戻す。
(12)スタッカークレーン47は、出庫部16のY方向位置まで走行する。
(13)スタッカークレーン47は、昇降台58を出庫部16の高さまで下降させる。
(14)搬送台車46は、支持部46cを上昇させて荷12を持ち上げ、荷12を載置面68aから浮かせる。これにより、荷12は移動可能な状態になる。
(15)搬送台車46が第3軌条68と出庫部16上の軌条(不図示)を走行することにより、スタッカークレーン47から出庫部16に荷12を移す。出庫部16に置かれた荷12は、フォークリフトによって搬出される。
【0037】
以上が出庫時の動作である。上述の処理はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えたり、一部のステップを実質的に同時に実行してもよい。
【0038】
次に、自動倉庫システム10の入庫時の動作を説明する。入庫する荷12は、外部搬送装置により事前に入庫部15に搬入されているものとする。なお、以下の各処理は、制御装置52からの制御指令にもとづいて実行される。
(1)スタッカークレーン47は、搬送台車46を乗せた状態で、入庫部15のY方向位置まで走行する。
(2)スタッカークレーン47は、入庫部15の高さまで昇降台58を昇降させる。
(3)搬送台車46は、第3軌条68と入庫部15上の軌条(不図示)を走行し、入庫部に移動する。
(4)搬送台車46は、支持部46cを上昇させて荷12を持ち上げ、荷12を入庫部15上の載置面(不図示)から浮かせる。これにより、荷12は移動可能な状態になる。
(5)搬送台車46は、入庫部15上の軌条(不図示)と第3軌条を走行し、入庫部15からスタッカークレーン47に荷12を移す。その後、支持部46cを下降させて荷12を載置面68aに載置する。
【0039】
(6)スタッカークレーン47は、搬送先の保管部21のY方向位置まで走行する。このときスタッカークレーン47は、位置決めピン71と保管棚20の構成部材とが接触してそれらが損傷しないように、すべての位置決めピン71を退避位置に位置させる。
(7)スタッカークレーン47は、搬送先の保管部21がある高さまで昇降台58を昇降させる。このときスタッカークレーン47は、搬送先の保管部21の保管部列22に対応する受け部26よりも位置決めピン71が上側に位置するように、昇降台58を昇降させる。なおスタッカークレーン47は、位置決めピン71と保管棚20の構成部材とが接触してそれらが損傷しないように、すべての位置決めピン71を退避位置に移動させた状態で昇降台58を昇降させる。
(8)スタッカークレーン47は、搬送先の保管部21側の2つの位置決めピン71を進入位置に移動させる。このとき、反対側の2つの位置決めピン71は退避位置のままとする。
(9)スタッカークレーン47は、昇降台58を下げて2つの位置決めピン71を受け部26の受け面26aに当接させる。これにより、載置部60が位置決めされる。このとき、第1軌条42の走行面42bと第3軌条68の走行面68bとの段差は許容高さ以下となる。
(10)搬送台車46は、支持部46cを上昇させて荷12を持ち上げ、荷12を第3軌条68から浮かせる。これにより、荷12は移動可能な状態になる。
【0040】
(11)荷12を載せた搬送台車46は、第3軌条68と第1軌条42とを走行して、載置部60から保管部列22に移動する。
(12)搬送台車46は、入庫対象の保管部21に到着したら、支持部46cを下降させて荷12を第1軌条42の載置面42aに載置する。
(13)スタッカークレーン47は、昇降台58を上昇させて位置決めピン71を受け部26から離間させる。
(14)スタッカークレーン47は、搬送先の保管部21の保管部列22側の2つの位置決めピン71を退避位置に戻す。
【0041】
以上が入庫時の動作である。上述の処理はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えたり、一部のステップを実質的に同時に実行してもよい。
【0042】
以上、実施の形態に係る自動倉庫システムの構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0043】
(変形例1)
実施の形態では、受け部26の受け面26aが水平面であり、位置決めピン71がX方向に垂直な断面が矩形状である場合について説明したが、これに限られず、様々な変形例が考えられる。
【0044】
図9は、変形例に係る受け部26および位置決めピン71とそれらの周辺を示す図である。図9図8に対応する。本変形例の受け面26aは、X方向に垂直な断面が略V字状なす。受け面26aは、下側ほど互いに近づく2つの斜面であって、それぞれZ方向に対して交差する2つの斜面を有する。2つの斜面はいずれも平面である。また、本変形例の位置決めピン71は、X方向に垂直な断面が円形状となっている。本変形例では、載置部60の重量の一部を一対の受け部26に預けると、各位置決めピン71は対応する受け面26aの2つの斜面に当接する。
【0045】
本変形例によれば、実施の形態と同様にZ方向(高さ方向)について載置部60を保管棚20に対して好適に位置決めすることができる。さらに、スタッカークレーン47が走行・停止する際にY方向にずれた位置となってしまった場合において、本変形例ではそのY方向へのずれの影響を低減することができる。例えばスタッカークレーン47による搬送がY方向正方向側に多少ずれた場合、2つの位置決めピン71は図9に示すよりもY方向正方向側にずれることになる。このような場合であっても、本変形例では受け面26aが斜面、位置決めピン71の断面が円形状となっているので、位置決めピン71が受け面26aに当接すると載置部60の自重によって載置部60がY方向負方向側に移動することになる。これにより、位置決めピン71が受け部26のY方向中央部近傍となる位置まで載置部60が移動し、載置部60を保管棚20に対してY方向において適正な位置に位置決めすることが可能となる。このように、本変形例によれば、Z方向だけではなくY方向についても載置部60を保管棚20に対して好適に位置決めすることができる。
【0046】
図10は、別の変形例に係る受け部26とその周辺を示す図である。図10図8に対応する。本変形例の受け面26aは、X方向に垂直な断面が略U字状なす。受け面26aは、下側ほど互いに近づく2つの斜面であって、それぞれZ方向に対して交差する2つの斜面を有する。2つの斜面はいずれも曲面である。本変形例では、図9の変形例の場合と同様に、載置部60の重量の一部を一対の受け部26に預けると、各位置決めピン71は対応する受け面26aの2つの斜面に当接する。このような場合であっても、図9と同じように、載置部60は保管棚20に対してZ方向およびY方向に位置決めされる。
【0047】
図11は、さらに別の変形例に係る受け部26とその周辺を示す図である。図11図8に対応する。本変形例の一対の受け面26aは、Z方向に対して交差する斜面である。一対の受け面26aは特に、Z方向に対して互いに逆向きに傾斜している。図示の例では、一対の受け面26aは、下側ほど互いに近づくように傾斜しているが、下側ほど互いに遠ざかるように傾斜していてもよい。本変形例では、載置部60の重量の一部を一対の受け部26に預けると、各位置決めピン71は対応する受け面26a(斜面)に当接する。このような場合であっても、図9図10と同じように、載置部60は保管棚20に対してZ方向およびY方向に位置決めされる。
【0048】
これらの変形例によれば、載置部60は保管棚部20に対してY方向にも位置決めされるため、第3軌条68の走行面68bと第1軌条42の走行面42bとのY方向のずれを所定の許容範囲内に抑えることができる。
【0049】
(変形例2)
実施の形態および上述の変形例では、載置部60に位置決めユニット70が設けられ、保管棚20の各保管部列22に受け部26が設けられる場合について説明したが、これに限られず、載置部60に受け部26が設けられ、保管棚20の各保管部列22に位置決めユニット70が設けられてもよい。
【0050】
(変形例3)
実施の形態では、搬送台車46を行き来させる保管棚20側の位置決めピン71のみを用いて載置部60を保管棚20に対して位置決めする場合について説明したが、これに限られず、両側の位置決めピン71を用いて位置決めしてもよい。つまり、4つの位置決めピン71を進入位置に移動させて位置決めしてもよい。この場合、載置部60の重量の全部を受け部26に預けるように、昇降台58の昇降位置を調整してもよい。
【0051】
(変形例4)
実施の形態では、自動倉庫システム10が、Y方向に移動し、かつ、昇降機能を有するスタッカークレーン47を備える場合について説明したが、これに限られない。Y方向に移動する機構と昇降させる機構が別々のものであってもよい。例えば、搬送台車46を載置してY方向に移動可能な走行台車と、走行台車を載置可能に構成される載置部と、載置部を昇降可能な昇降装置と、を備える自動倉庫システム10にも、本実施の形態の技術思想を適用できる。載置部は、基本的に、実施の形態の載置部60と同様に構成され、支持ユニット65を介して、昇降装置に対してX方向およびZ方向に変位可能に昇降装置に支持される。各段には、走行台車がY方向に走行するための走行路と、各走行路に設けられたY方向に延在する第4軌条が設けられる。例えば入庫時には、搬送台車46を搭載した走行台車を昇降装置に導入し、入庫部から走行台車上の載置部に荷を乗せ、入庫する高さまで昇降装置で昇降を行う。その後、走行台車をY方向における入庫位置まで走行させ、到着後、搬送台車46をX方向における入庫位置まで走行させて荷の入庫を完了させる。この場合、昇降装置に昇降される載置部と、走行路と、に実施の形態に記載した位置決めユニット70と受け部26が設けられていれば、実施の形態と同様の効果を得ることができる。また例えば、外部搬送装置であるフォークリフトに載置部60が設置されてもよい。この場合、入庫部15や出庫部16を介さずに、外部搬送装置と保管棚20との間で荷12が直接、搬入・搬出される。
【0052】
上述した実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0053】
20 保管棚、 26 受け部、 26a 受け面、 46 搬送台車、 47 スタッカークレーン、 60 載置部、 62 昇降装置、 70 位置決めユニット、 71 位置決めピン。
図1
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図11