(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20220519BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20220519BHJP
F25D 27/00 20060101ALI20220519BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
F25D23/06 D
F25D23/00 305G
F25D27/00
F25D23/00 305K
F25D21/04 E
(21)【出願番号】P 2018028767
(22)【出願日】2018-02-21
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 将
(72)【発明者】
【氏名】渡部 守
(72)【発明者】
【氏名】藤原 徹
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】長澤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 公一
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-146490(JP,A)
【文献】実開昭55-162083(JP,U)
【文献】特開平08-054173(JP,A)
【文献】実開昭55-037470(JP,U)
【文献】特開2014-119175(JP,A)
【文献】実開昭62-112092(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/06
F25D 23/00
F25D 27/00
F25D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と前記外箱の内側に配された内箱とを有し、前記外箱と前記内箱の間に充填空間が形成された断熱箱体と、
第1配線を有し、前記断熱箱体に装着された第1電装品と、
前記充填空間とは隔離された配線空間を有する配線挿通部材と、を備え、
前記配線挿通部材が前記断熱箱体に装着された状態で前記充填空間に断熱材が充填される冷却貯蔵庫であって、
前記配線挿通部材は、前記内箱に接触した状態で前記第1配線を上下方向に挿通させる第1配線部と、上方に開口した上面開口を有し前記上面開口の開口縁が前記外箱に接触した状態で前記充填空間の前端まで延びる形態とされており、かつ前記第1配線を前後方向に挿通させる第2配線部と、を備え、
前記外箱は、前記配線挿通部材の前記上面開口と重複して設けられた穴開け部を備え
、
前記第1配線部は、前記内箱に貫通して設けられた第1貫通孔に上方から挿し込まれる第1挿し込み突部と、前記第1挿し込み突部が前記内箱を貫通して前記内箱の内部に挿し込まれた状態で前記第1貫通孔の開口縁部に外面側から接触する第1フランジ部と、を有し、
前記第2配線部における前記上面開口の前記開口縁には第2フランジ部が全周に亘って張り出す形態で設けられ、前記配線挿通部材が前記充填空間に収容された状態で、前記第2フランジ部が前記外箱のうち前記充填空間を上方から覆う上壁の内面に接触してなり、
前記第2配線部は、前記第1配線部の上端から前方に延びて、前記第1配線部とともにL字状をなすように形成されている冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前方に開口した前記外箱の開口部と前方に開口した前記内箱の開口部とを連結して前記充填空間を閉塞するジョイナと、
前記断熱箱体の開口部における前記ジョイナの下方に設けられたセンターフレームと、を備え、
前記第1電装品は、第2配線を有し前記センターフレームの内部に装着された第2電装品を含み、
前記配線挿通部材は、前記ジョイナに接触した状態で前記第2配線を上下方向に挿通させる第3配線部をさらに備えた請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記外箱は、前記充填空間を前方から覆う前壁と、前記充填空間を上方から覆う上壁と、前記前壁に固定された取付壁と、を有し、前記穴開け部は前記上壁に設けられており、
前記第2配線部は、前記取付壁に前方から係止する前側係止片と、前記取付壁に後方から係止する後側係止片と、を有している請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記第3配線部は、前記ジョイナに貫通して設けられた第3貫通孔に上方から挿し込まれる第3挿し込み突部と、前記第3挿し込み突部が前記ジョイナを貫通して前記センターフレームの内部に挿し込まれた状態で前記第3貫通孔の開口縁部に接触する第3フランジ部と、を有している請求項2または請求項3に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫の断熱箱体を構成する内箱と外箱との間に断熱材を充填したものとして、下記特許文献1に記載されたものが知られている。断熱材にはドリルで穴が開けられており、この穴には配線が通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に断熱材としては発泡剤が用いられており、発泡剤に穴を開けると、穴の内壁が外部に露出することで発泡剤が水を吸収しやすくなるとともに、配線を穴に通す際に配線が発泡剤に引っ掛かって通しにくくなる。また、発泡剤を充填することで断熱材を形成した後にドリルで穴を開けるという作業が必要になるため、冷却貯蔵庫の組み立て作業が煩雑になる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、断熱材の穴開け作業を廃止するとともに断熱材による水の吸収を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外箱と前記外箱の内側に配された内箱とを有し、前記外箱と前記内箱の間に充填空間が形成された断熱箱体と、第1配線を有し、前記断熱箱体に装着された第1電装品と、前記充填空間とは隔離された配線空間を有する配線挿通部材と、を備え、前記配線挿通部材が前記断熱箱体に装着された状態で前記充填空間に断熱材が充填される冷却貯蔵庫であって、前記配線挿通部材は、前記内箱に接触した状態で前記第1配線を上下方向に挿通させる第1配線部と、上方に開口した上面開口を有し前記上面開口の開口縁が前記外箱に接触した状態で前記充填空間の前端まで延びる形態とされており、かつ前記第1配線を前後方向に挿通させる第2配線部と、を備え、前記外箱は、前記配線挿通部材の前記上面開口と一致して設けられた穴開け部を備えた構成とした。
【0007】
このような構成によると、配線挿通部材を断熱箱体に装着し、第1配線を第1配線部から第2配線部の上方に引き出す。このとき、第2配線部が上面開口を有し、外箱が穴開け部を有しているから、第1配線を外箱の上方に引き出すことが可能になり、配線作業が容易になる。次に、上面開口から一旦上方に引き出された第1配線を上面開口側に曲げて充填空間の前端よりも前方へ引き出す。また、配線挿通部材の配線空間は断熱箱体の充填空間とは隔離されているため、充填空間に断熱材を充填しても配線空間に断熱材が充填されることはない。すなわち、断熱材を形成した後に断熱材にドリル等で穴を開けるという作業が不要になり、冷却貯蔵庫の組み立て作業が容易になる。さらに、水を吸収しやすい発泡剤等を断熱材として使用した場合でも、断熱材が外箱および内箱に覆われて外部に露出しないことから、断熱材による水の吸収を防ぐことができる。
【0008】
また、前方に開口した前記外箱の開口部と前方に開口した前記内箱の開口部とを連結して前記充填空間を閉塞するジョイナと、前記断熱箱体の開口部における前記ジョイナの下方に設けられたセンターフレームと、を備え、前記第1電装品は、第2配線を有し前記センターフレームの内部に装着された第2電装品を含み、前記配線挿通部材は、前記センターフレームの内部から前記第2配線部へ前記第2配線を引き出す第3配線部をさらに備えた構成としてもよい。
このような構成によると、第2配線を第3配線部から第2配線部の上方に一旦引き出した後、上面開口側に曲げることで外箱の前方へ引き出すことができる。
【0009】
また、前記外箱は、前記充填空間を前方から覆う前壁と、前記充填空間を上方から覆う上壁と、前記前壁に固定された取付壁と、を有し、前記穴開け部は前記上壁に設けられており、前記第2配線部は、前記取付壁に前方から係止する前側係止片と、前記取付壁に後方から係止する後側係止片と、を有している構成としてもよい。
このような構成によると、配線挿通部材の第2配線部が穴開け部を通して外箱の上方に露出するから、配線挿通部材を外箱の上壁に装着した後に第1配線の配線作業を行うことができる。また、前側係止片が取付壁に前方から係止し、後側係止片が取付壁に後方から係止するから、配線挿通部材を外箱の取付壁に対して前後方向に位置決めできる。
【0010】
前記第1配線部は、前記内箱に貫通して設けられた第1貫通孔に上方から挿し込まれる第1挿し込み突部と、前記第1挿し込み突部が前記内箱を貫通して前記内箱の内部に挿し込まれた状態で前記第1貫通孔の開口縁部に接触する第1フランジ部と、を有している構成としてもよい。
このような構成によると、第1挿し込み突部を第1貫通孔に上方から挿し込み第1フランジ部を第1貫通孔の開口縁部に接触させることで第1配線部を内箱に対して上下方向に位置決めできる。
【0011】
前記第3配線部は、前記ジョイナに貫通して設けられた第3貫通孔に上方から挿し込まれる第3挿し込み突部と、前記第3挿し込み突部が前記ジョイナを貫通して前記センターフレームの内部に挿し込まれた状態で前記第3貫通孔の開口縁部に接触する第3フランジ部と、を有している構成としてもよい。
このような構成によると、第3挿し込み突部を第3貫通孔に上方から挿し込み第3フランジ部を第3貫通孔の開口縁部に接触させることで第3配線部をジョイナに対して上下方向に位置決めできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、断熱材の穴開け作業を廃止することができ、断熱材による水の吸収を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却貯蔵庫を示す分解斜視図
【
図2】冷却貯蔵庫を縦方向に切断した状態を斜め前方から見た断面図
【
図10】第1配線と第2配線の配線状態を示した冷却貯蔵庫の平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態を
図1から
図14の図面を参照しながら説明する。本実施形態では、
図1に示すように、2ドア式の冷却貯蔵庫10を例示する。冷却貯蔵庫10は、
図1および
図12に示すように、貯蔵物が配される貯蔵室11を有する断熱箱体12と、断熱箱体12の図示左方に配された機械室20と、を備える。断熱箱体12は図示手前側に開口する形態とされ、断熱箱体12の開口部における中央部には、図示上下方向に延びるセンターフレーム13が取り付けられている。センターフレーム13の両側には、一対の扉14、14が回動可能に取り付けられており、貯蔵室11は一対の扉14、14によって開閉可能な構成となっている。なお、以下の説明では、扉14側が前側、扉14とは反対側が後側として説明する。また、正面視(冷却貯蔵庫10を前側から見た状態)における左右方向が冷却貯蔵庫10の左右方向である。
【0015】
機械室20は、
図1に示すように、冷却装置21と、電装箱22と、フロントパネル23と、サイドパネル24と、を備えて構成されている。冷却装置21および電装箱22は、フロントパネル23によって前方から覆われるとともに、サイドパネル24によって側方から覆われている。また、機械室20の上方には、断熱箱体12を構成する外箱30が配されており、外箱30の上面部分を構成する上壁31は天板15によって覆われるものとされている。冷却装置21は、詳細には説明しないものの、凝縮器と、凝縮器ファンと、圧縮機と、を備えて構成され、断熱箱体12の上部に配された冷却器とは冷媒管によって循環接続されている。これにより、冷却装置21が駆動することで冷却器が冷気を生成し、この冷気が庫内ファンによって貯蔵室11内に循環供給される。
【0016】
断熱箱体12は、外箱30と、外箱30の内側に配された内箱40と、を備え、外箱30と内箱40の間に充填空間16が形成されている。この充填空間16には、
図4に示すように、配線挿通部材50が装着されている。配線挿通部材50には、後述する庫内灯配線61とヒーター配線71が通されており、これらの配線61、71が通される配線空間57は、断熱箱体12の充填空間16とは隔離されている。したがって、断熱箱体12の充填空間16に、発泡剤からなる断熱材17を充填しても、配線空間57には断熱材17が充填されないようになっている。このため、充填空間16に断熱材17を充填した後に、この断熱材17にドリル等で穴を開ける作業が不要となっている。また、断熱材17に穴が形成されないため、断熱材17が外箱30および内箱40に覆われる結果、断熱材17が外部に露出することを防ぐとともに、断熱材17による水の吸収を防ぐことができるようになっている。
【0017】
外箱30は、
図4に示すように、充填空間16を前方から覆う前壁32と、充填空間16を上方から覆う上壁31と、を有している。上壁31は平板状をなすのに対して、前壁32は内側に折り返された形状とされ、前壁32の内部には各配線61、71を通すための配線空間32Eが形成されている。具体的には前壁32は、上壁31と面一をなして前方に延びる上面部分32Aと、上面部分32Aの前縁から斜め下方に延びる前面部分32Bと、前面部分32Bの下縁から後方に延びる下面部分32Cと、下面部分32Cの後縁から上方に延びる後面部分32Dと、を備えて構成されている。つまり、上面部分32Aと前面部分32Bと下面部分32Cと後面部分32Dとによって囲まれた部分が配線空間32Eである。
【0018】
前壁32の後面部分32Dの後面部分には、取付壁33がボルト止めによって固定されている。取付壁33は、後面部分32Dにボルト止めされた前面部分33Aと、前面部分33Aの下縁から後方に延びる下面部分33Bと、下面部分33Bの後縁から上方に延びる後面部分33Cと、を備えて構成されている。下面部分33Bには、センターフレーム13がボルト止めによって固定されている。なお、センターフレーム13は、ヒーター70が装着された前面部分13Aと、取付壁33の下面部分33Bにボルト止めされた上面部分13Bと、を備えて構成されている。ヒーター70は、センターフレーム13の前面部分13Aの外面で結露することを防止するためのものであり、前面部分13Aの内面に装着されている。ヒーター70にはヒーター配線71が上方に引き出されている。
【0019】
内箱40は外箱30の内側に配されており、
図4に示すように、庫内灯60が装着された上壁41と、上壁41の前縁から下方に延びる前壁42と、前壁42の下縁から前方に延びる下壁43と、を備えて構成されている。内箱40の上壁41と下壁43は、いずれも外箱30の上壁31と対向する配置とされている。内箱40の下壁43と外箱30の取付壁33の下面部分33Bとは、隙間34を介して同じ高さに配されており、隙間34にはジョイナ80が装着されている。ジョイナ80によって充填空間16が閉塞されている。言い換えると、外箱30の開口部と内箱40の開口部とはジョイナ80によって連結されている。
【0020】
ジョイナ80は、隙間34を塞ぐジョイナ本体81と、外箱30の開口部(取付壁33の後面部分33Cの上端部)に嵌合する前側取付部82と、内箱40の開口部(下壁43の前端部)に嵌合する後側取付部83と、を備えて構成されている。前側取付部82によってジョイナ80が前後方向に位置決めされ、後側取付部83によってジョイナ80が上下方向に位置決めされている。
【0021】
ジョイナ本体81には、第3貫通孔84が上下方向に貫通して設けられている。第3貫通孔84は、ヒーター70のヒーター配線71を通す孔である。一方、内箱40の上壁41には、第1貫通孔44が上下方向に貫通して設けられている。第1貫通孔44は、内箱40の上壁41の内面に装着された庫内灯60の庫内灯配線61を通す孔である。
【0022】
配線挿通部材50は、
図5に示すように、円筒状をなす第1配線部51と、第1配線部51とともにL字状をなすように形成された第2配線部52と、円筒状をなして第2配線部52に連結された第3配線部53と、を備えて構成されている。第1配線部51は、第2配線部52の一端側に位置し、庫内灯配線61を上下方向に挿通させる。第2配線部52は、庫内灯配線61を前後方向に挿通させる。第3配線部53は、第2配線部52の他端側に位置し、ヒーター配線71を上下方向に挿通させる。
図8に示すように、配線挿通部材50は、側面視において略門形とされ、第3配線部53の方が第1配線部51よりも長い。
【0023】
第1配線部51は、第1挿し込み突部51Aと、第1フランジ部51Bと、を有している。第1挿し込み突部51Aは、第1配線部51の下端部に位置しており、第1フランジ部51Bは、第1挿し込み突部51Aの基端部(上端部)において全周に亘って径方向に張り出す形態とされている。同様に、第3配線部53は、第3挿し込み突部53Aと、第3フランジ部53Bと、を有している。第3挿し込み突部53Aは、第3配線部53の下端部に位置しており、第3フランジ部53Bは、第3挿し込み突部53Aの基端部(上端部)において全周に亘って径方向に張り出す形態とされている。第3挿し込み突部53Aは、第1挿し込み突部51Aよりも長くなっている。
【0024】
配線挿通部材50が充填空間16に収容された状態では、
図4に示すように、第1挿し込み突部51Aは、内箱40の第1貫通孔44に上方から挿し込まれて上壁41を貫通するとともに、第1フランジ部51Bは、内箱40の上壁41の外面に接触するようになっている。一方、第3挿し込み突部53Aは、ジョイナ80の第3貫通孔84に上方から挿し込まれてジョイナ本体81を貫通するとともに、第3フランジ部53Bは、ジョイナ80のジョイナ本体81の上面(充填空間16側の面)に接触するようになっている。これにより、配線挿通部材50は内箱40に対して上下方向に位置決めされる。
【0025】
第2配線部52は、
図5に示すように、上方に開口した上面開口54と、前方に開口した前面開口55と、を有している。上面開口54は、上方に開口するとともに前方に開口している。上面開口54の開口縁には第2フランジ部54Aが全周に亘って張り出す形態で設けられている。一方、前面開口55は、
図6に示すように、前方視において略U字状をなして上方に開口している。前面開口55の開口縁には前側係止片55Aが全周に亘って張り出す形態で設けられている。第2フランジ部54Aの前縁には、後側係止片54Bが下方に突出して設けられている。
図9に示すように、後側係止片54Bは第2配線部52の外面に連結され、前側係止片55Aと後側係止片54Bの間には切り欠き56が形成されている。
【0026】
配線挿通部材50が充填空間16に収容された状態では、
図4に示すように、第2フランジ部54Aが外箱30の上壁31の内面(充填空間16側の面)に接触する。これにより、配線挿通部材50が外箱30に対して上下方向に位置決めされる。また、切り欠き56には取付壁33の前面部分33Aが嵌合しており、前側係止片55Aが前面部分33Aに前方から係止するとともに、後側係止片54Bが前面部分33Aに後方から係止する。これにより、配線挿通部材50が外箱30に対して前後方向に位置決めされる。
【0027】
図3に示すように、外箱30の上壁31は、配線挿通部材50の上面開口54に一致して設けられた穴開け部35を有している。穴開け部35は、上壁31を上下方向に貫通するとともに前方に開口している。よって、庫内灯60の庫内灯配線61は、
図3の二点鎖線で示すように、第1配線部51の内部から上面開口54および穴開け部35を通過して外箱30の上方に一旦引き出される。外箱30の上方に引き出された庫内灯配線61は上面開口54側に曲げられて第2配線部52の内部に収容され、前面開口55から配線挿通部材50の前方に引き出される。配線挿通部材50の前方に引き出された庫内灯配線61は、
図2に示すように、機械室20側に曲げられて外箱30の前壁32の配線空間32Eを通って機械室20側に案内され、フロントパネル23の後方に回り込んで電装箱22に接続されている。
【0028】
図3に示すように、ヒーター70の2本のヒーター配線71は、
図3における二点鎖線で示すように、第3配線部53の内部から上面開口54および穴開け部35を通過して外箱30の上方に一旦引き出される。外箱30の上方に引き出されたヒーター配線71は上面開口54側に曲げられて第2配線部52の内部に収容され、前面開口55から配線挿通部材50の前方に引き出される。配線挿通部材50の前方に引き出されたヒーター配線71は、
図2に示すように、機械室20側に曲げられて外箱30の前壁32の配線空間32Eを通って機械室20側に案内され、フロントパネル23の背面側を通って電装箱22に接続されている。このようにして庫内灯配線61およびヒーター配線71の配線作業が完了したら、天板15が外箱30の上壁31および前壁32に被せられ、穴開け部35が閉塞される。
【0029】
以上のように本実施形態では、配線挿通部材50を断熱箱体12に装着し、第1配線(庫内灯配線61)を第1配線部51から第2配線部52の上方に引き出す。このとき、第2配線部52が上面開口54を有し、外箱30が穴開け部35を有しているから、第1配線を外箱30の上方に引き出すことが可能になり、配線作業が容易になる。次に、上面開口54から一旦上方に引き出された第1配線を上面開口54側に曲げて充填空間16の前端よりも前方へ引き出す。また、配線挿通部材50の配線空間57は断熱箱体12の充填空間16とは隔離されているため、充填空間16に断熱材17を充填しても配線空間57に断熱材17が充填されることはない。すなわち、断熱材17を形成した後に断熱材17にドリル等で穴を開けるという作業が不要になり、冷却貯蔵庫10の組み立て作業が容易になる。さらに、水を吸収しやすい発泡剤等を断熱材17として使用した場合でも、断熱材17が外箱30および内箱40に覆われて外部に露出しないことから、断熱材17による水の吸収を防ぐことができる。
【0030】
また、前方に開口した外箱30の開口部と前方に開口した内箱40の開口部とを連結して充填空間16を閉塞するジョイナ80と、断熱箱体12の開口部におけるジョイナ80の下方に設けられたセンターフレーム13と、を備え、第1電装品は、第2配線(ヒーター配線71)を有しセンターフレーム13の内部に装着された第2電装品(ヒーター70)を含み、配線挿通部材50は、センターフレーム13の内部から第2配線部52へ第2配線を引き出す第3配線部53をさらに備えた構成としてもよい。
このような構成によると、第2配線を第3配線部53から第2配線部52の上方に一旦引き出した後、上面開口54側に曲げることで外箱30の前方へ引き出すことができる。
【0031】
また、外箱30は、充填空間16を前方から覆う前壁32と、充填空間16を上方から覆う上壁31と、前壁32に固定された取付壁33と、を有し、穴開け部35は上壁31に設けられており、第2配線部52は、取付壁33に前方から係止する前側係止片55Aと、取付壁33に後方から係止する後側係止片54Bと、を有している構成としてもよい。
このような構成によると、配線挿通部材50の第2配線部52が穴開け部35を通して外箱30の上方に露出するから、配線挿通部材50を外箱30の上壁31に装着した後に第1配線の配線作業を行うことができる。また、前側係止片55Aが取付壁33に前方から係止し、後側係止片54Bが取付壁33に後方から係止するから、配線挿通部材50を外箱30の取付壁33に対して前後方向に位置決めできる。
【0032】
第1配線部51は、内箱40に貫通して設けられた第1貫通孔44に上方から挿し込まれる第1挿し込み突部51Aと、第1挿し込み突部51Aが内箱40を貫通して内箱40の内部に挿し込まれた状態で第1貫通孔44の開口縁部に接触する第1フランジ部51Bと、を有している構成としてもよい。
このような構成によると、第1挿し込み突部51Aを第1貫通孔44に上方から挿し込み第1フランジ部51Bを第1貫通孔44の開口縁部に接触させることで第1配線部51を内箱40に対して上下方向に位置決めできる。
【0033】
第3配線部53は、ジョイナ80に貫通して設けられた第3貫通孔84に上方から挿し込まれる第3挿し込み突部53Aと、第3挿し込み突部53Aがジョイナ80を貫通してセンターフレーム13の内部に挿し込まれた状態で第3貫通孔84の開口縁部に接触する第3フランジ部53Bと、を有している構成としてもよい。
このような構成によると、第3挿し込み突部53Aを第3貫通孔84に上方から挿し込み第3フランジ部53Bを第3貫通孔84の開口縁部に接触させることで第3配線部53をジョイナ80に対して上下方向に位置決めできる。
【0034】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態ではセンターフレーム13の内部にヒーター70が設けられた冷却貯蔵庫10を例示しているものの、センターフレーム13の内部にヒーター70が設けられていない冷却貯蔵庫としてもよい。その場合、配線挿通部材50に第3配線部53を設けなくてもよい。また、上記実施形態では庫内灯60とヒーター70の双方が設けられた冷却貯蔵庫10を例示しているものの、庫内灯60とヒーター70のいずれか一方のみが設けられた冷却貯蔵庫としてもよい。
(2)上記実施形態では前側係止片55Aと後側係止片54Bの間に形成された切り欠き56に取付壁33の前面部分33Aが嵌合しているものの、切り欠き56に前壁32の後面部分32Dが嵌合するものとしてもよい。
(3)上記実施形態では第1配線部51が第1挿し込み突部51Aを有しているものの、庫内灯に第1挿し込み突部を設け、この第1挿し込み突部を第1配線部の内部に挿し込んでもよい。
(4)上記実施形態では第3配線部53が第3挿し込み突部53Aを有しているものの、ジョイナに第3挿し込み突部を設け、この第3挿し込み突部を第3配線部の内部に挿し込んでもよい。
(5)上記実施形態では第1配線部51の第1フランジ部51Bが内箱40の上壁41に直接的に接触しているものの、第1フランジ部51Bがシールなどの別部材を介在させて上壁41に間接的に接触しているものとしてもよい。また、上記実施形態では第3配線部53の第3フランジ部53Bがジョイナ80を介在させて内箱40の下壁43に間接的に接触しているものの、第3フランジ部53Bが下壁43に直接的に接触しているものとしてもよい。すなわち、請求項1の「前記内箱に接触した状態で」における「接触」とは、別部材を介在させて間接的に接触していても実質的に対応する位置関係にあれば「接触」に含まれるものとする。請求項2以降の「接触」についても同様に解釈するものとする。
(6)上記実施形態では上面開口54の第2フランジ部54Aが外箱30の上壁31に直接的に接触しているものの、第2フランジ部54Aがシールなどの別部材を介在させて上壁31に間接的に接触しているものとしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10…冷却貯蔵庫 12…断熱箱体 13…センターフレーム 16…充填空間 17…断熱材 30…外箱 31…上壁 32…前壁 33…取付壁 35…穴開け部 40…内箱 50…配線挿通部材 51…第1配線部 51A…第1挿し込み突部 51B…第1フランジ部 52…第2配線部 53…第3配線部 53A…第3挿し込み突部 53B…第3フランジ部 54…上面開口 54A…第2フランジ部(上面開口54の開口縁) 54B…後側係止片 55A…前側係止片 57…配線空間 60…庫内灯(第1電装品) 61…庫内灯配線(第1配線) 70…ヒーター(第1電装品、第2電装品) 71…ヒーター配線(第2配線) 80…ジョイナ 84…第3貫通孔