(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】電動工具用集塵装置及び電動工具
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20220519BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20220519BHJP
B25D 17/18 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
B23Q11/00 M
B25F5/00 Z
B25D17/18
(21)【出願番号】P 2018054902
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】多田 祥朗
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-127923(JP,A)
【文献】特開2009-028897(JP,A)
【文献】特開2002-078652(JP,A)
【文献】特開平07-156136(JP,A)
【文献】特開2003-339591(JP,A)
【文献】特開2011-189485(JP,A)
【文献】特許第5475514(JP,B2)
【文献】特開2015-160071(JP,A)
【文献】特開2017-221987(JP,A)
【文献】特表2018-528869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279213(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/10-9/19
A47L 9/20
B01D 45/16
B01D 46/00
B01D 46/10
B23B 45/00
B23Q 11/00-13/00
B25D 1/00-17/32
B25F 1/00-5/02
B28D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具に装着可能なケーシングに、被加工面に当接させて前記電動工具の先端工具が貫通可能な筒状の吸込口が前方へ突設される一方、前記ケーシング内に、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記ケーシングに設けた集塵部に導く集塵経路が形成されて、前記集塵部に設けたフィルタによって前記空気と共に吸い込んだ粉塵を捕捉可能とした電動工具用集塵装置であって、
前記集塵部内で前記集塵経路上に、前記集塵部内で区画される集塵室を内部に有する第1のフィルタと、前記第1のフィルタと独立してその外部に配置される第2のフィルタとがそれぞれ設けられている
と共に、
前記第1のフィルタが前記第2のフィルタよりも前記集塵経路の上流側に設けられて、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとが上下に配置されていることを特徴とする電動工具用集塵装置。
【請求項2】
前記第2のフィルタの上下寸法は、前記集塵部の上下寸法の半分よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項3】
前記第1のフィルタは、前記第2のフィルタよりも目が粗いことを特徴とする請求項
1又は2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項4】
前記第1のフィルタは前記集塵部へ着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項5】
前記第1のフィルタは紙製であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項6】
前記集塵部は、前記ケーシングに別体で装着されるダストボックスであり、前記ダストボックスに、前記集塵経路の一部を形成し、袋状とした前記第1のフィルタの開口が接続されるダクトが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項7】
前記ケーシングに、前記電動工具への装着状態で前記電動工具から吸引力を得るための吸引路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着してなる電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドリルやハンマードリル等の電動工具に装着される電動工具用集塵装置と、その電動工具用集塵装置を装着した電動工具とに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ドリルやハンマードリル等の電動工具には、穿孔作業等の際に被加工材から発生する粉塵を集塵して回収する電動工具用集塵装置が装着されることがある。すなわち、電動工具用集塵装置のケーシング内部に粉塵を含む空気を吸い込んで、集塵部となるダストボックス内のフィルタを通過させることで、フィルタで粉塵を捕捉してダストボックスに貯留する構造である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電動工具用集塵装置においては、貯留した粉塵を廃棄する際、ダストボックスの蓋体を開いて粉塵を排出することになるが、このとき、蓋体を開いた際の姿勢等によって粉塵が飛散してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、廃棄時の粉塵の飛散を効果的に抑制できる電動工具用集塵装置及び電動工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電動工具に装着可能なケーシングに、被加工面に当接させて電動工具の先端工具が貫通可能な筒状の吸込口が前方へ突設される一方、ケーシング内に、吸込口から吸い込んだ空気をケーシングに設けた集塵部に導く集塵経路が形成されて、集塵部に設けたフィルタによって空気と共に吸い込んだ粉塵を捕捉可能とした電動工具用集塵装置であって、
集塵部内で集塵経路上に、集塵部内で区画される集塵室を内部に有する第1のフィルタと、第1のフィルタと独立してその外部に配置される第2のフィルタとがそれぞれ設けられていると共に、
第1のフィルタが第2のフィルタよりも集塵経路の上流側に設けられて、第1のフィルタと第2のフィルタとが上下に配置されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、第2のフィルタの上下寸法は、集塵部の上下寸法の半分よりも小さくなっていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、第1のフィルタは、第2のフィルタよりも目が粗いことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、第1のフィルタは集塵部へ着脱可能であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、第1のフィルタは紙製であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成において、集塵部は、ケーシングに別体で装着されるダストボックスであり、ダストボックスに、集塵経路の一部を形成し、袋状とした第1のフィルタの開口が接続されるダクトが設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかの構成において、ケーシングに、電動工具への装着状態で電動工具から吸引力を得るための吸引路が形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、電動工具であって、請求項1乃至7の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び8に記載の発明によれば、集塵部内で区画される集塵室を内部に有する第1のフィルタを備えるので、粉塵を第1のフィルタ内の集塵室にまとめて貯留することができる。よって、廃棄時の粉塵の飛散を効果的に抑制可能となる。
特に、第1のフィルタが第2のフィルタよりも集塵経路の上流側に設けられているので、粉塵の大部分を第1のフィルタ内に貯留でき、飛散防止により好適となる。
請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加えて、第1のフィルタは、第2のフィルタよりも目が粗いので、目詰まりを防止して第1のフィルタの通気性を維持することができる。
請求項4に記載の発明によれば、上記効果に加えて、第1のフィルタは集塵部へ着脱可能であるので、粉塵の廃棄が第1のフィルタごと容易に行える。
請求項5に記載の発明によれば、上記効果に加えて、第1のフィルタを紙製としたことで、使い捨てが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、上記効果に加えて、集塵部としたダストボックスに、集塵経路の一部を形成し、袋状とした第1のフィルタの開口が接続されるダクトを設けたことで、第1のフィルタの着脱が簡単に行える。
請求項7に記載の発明によれば、上記効果に加えて、ケーシングに、電動工具への装着状態で電動工具から吸引力を得るための吸引路が形成されているので、集塵用モータ等が不要となり、電動工具用集塵装置を低コストで製造することができ、軽量化も達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電動工具用集塵装置を装着したハンマードリルの斜視図である。
【
図2】電動工具用集塵装置を装着したハンマードリルの中央縦断面図である。
【
図7】ダストボックスを着脱する状態を示す電動工具用集塵装置の説明図である。
【
図8】蓋体を開いたダストボックスの説明図である。
【
図9】袋状フィルタを取り外したダストボックスの説明図である。
【
図10】袋状フィルタを取り外したダストボックスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具の一例であるハンマードリル1に電動工具用集塵装置(以下単に「集塵装置」という。)40を装着した状態の斜視図、
図2は中央縦断面図である。
まず、ハンマードリル1は、
図3にも示すように、出力軸4を前後方向に向けてモータ3を収容するモータハウジング2の前方に、中間ハウジング5を介して、出力部7を収容する筒状の本体ハウジング6を連結している。モータハウジング2の後端には、前方にスイッチレバー9を備えて図示しないスイッチを収容したハンドルハウジング8が下向きに連結されている。ハンドルハウジング8の下端には電源コード10が接続されている。
【0010】
出力軸4は、中間ハウジング5を貫通して本体ハウジング6内に突出し、前端にはピニオン11が形成されている。ピニオン11の後方で出力軸4には、モータハウジング2内に位置するモータ冷却用ファン12と、中間ハウジング5内に位置する集塵用ファン13とが前後に備えられている。モータハウジング2の側面には、モータ3の冷却用空気を吸気する吸気口14,14・・が、モータハウジング2の下面には排気口15が、それぞれ形成されている。中間ハウジング5の下面には、集塵装置40の後述する吸引路63と接続される接続口16が形成されて、接続口16の前側に、集塵用ファン13の外周側を後方から覆うバッフルプレート17が設けられている。よって、中間ハウジング5内には、集塵用ファン13の回転によって接続口16から外気を吸引して、中間ハウジング5の側面に設けた図示しない排気口から排出させる吸気室18が形成される。
【0011】
出力部7において、本体ハウジング6内には、出力軸4のピニオン11と噛合するギア21を介してトルク伝達される中間軸20が前後方向に支持されて、中間軸20に、前方から第1ギア22、クラッチ23、ボススリーブ24が備えられている。中間軸20の上方には、先端工具としてのビットBを先端に挿着可能なツールホルダ25が、中間軸20と平行に軸支されて、その後方にピストンシリンダ26が遊挿されている。ボススリーブ24には、軸線を傾けたスワッシュベアリング27を介してアーム28が外装されて、アーム28の上端がピストンシリンダ26の後端と連結されている。ピストンシリンダ26の内部には、空気室29を介してストライカ30が前後移動可能に収容されて、その前方に設けたインパクトボルト31を打撃可能としている。第1ギア22は、ツールホルダ25に装着された第2ギア32と噛合している。ツールホルダ25は、本体ハウジング6から前方に突出し、前端には、ビットBを着脱するための操作スリーブ33が設けられている。
一方、本体ハウジング6の下部で左右両側には、外向きに張り出す一対のレール34,34が前後方向に形成され、レール34,34の前方で左右方向の中央には、係止凹部35が形成されている。
【0012】
集塵装置40は、
図4,5にも示すように、左右の半割ケーシングを組み付けて前後方向に延びる箱状のケーシング41を有し、ケーシング41の下側に集塵部としてのダストボックス42が着脱可能に装着されている。ケーシング41の上部には、ハンマードリル1のレール34,34が後方から間に嵌合可能な左右一対のガイドレール43,43が形成され、その前方には、係止凹部35に係合可能なフック45を後端に備えた操作ボタン44が設けられている。この操作ボタン44は、下側に設けたコイルバネ46によって、フック45が上方へ突出する上限姿勢に付勢されている。
【0013】
また、ケーシング41の前側上部には、前端が開口する筒状のガイド部47が前向きに形成され、ガイド部47には、スライド筒48が、前後方向へスライド可能に挿入されている。このスライド筒48は、ガイド部47の側面に設けられたロックボタン49によって抜け止めされ、側面に設けたスライドレール50,50がガイド部47に嵌合して回り止めされた状態で保持されている。スライド筒48の側面前端には、スライド筒48の押し込み位置を規制するストッパ51が、スライドレール50,50に沿って前後位置を調整可能に設けられている。さらに、スライド筒48の前端には、先端が上向きとなるL字状のノズル52が連結されている。このノズル52の先端に、ビットBが同軸で貫通する筒状の吸込口53が形成されている。
【0014】
そして、ガイド部47及びスライド筒48の内部には、前端がノズル52の下端と接続される前フレキシブルホース54が収容されて、前フレキシブルホース54の後端は、L字筒であるエルボ55の前向きの上端に接続されている。エルボ55の下端は、ケーシング41の下面を閉塞する仕切壁56を貫通し、仕切壁56の下側に形成されるダストボックス42の結合部57内に突出している。
また、エルボ55の後方でケーシング41内には、仕切壁56に形成した凹部58を貫通して下端を凹部58内に突出させた下筒59と、ケーシング41の上板部60を貫通して上端を突出させた上筒61とが互いに同軸となるように結合されている。さらに、下筒59と上筒61との間には、両端がそれぞれ下筒59と上筒61とに外装させた後フレキシブルホース62が上下方向に配置されて、下筒59及び上筒61と後フレキシブルホース62とによって、ケーシング41を上下方向に貫通する吸引路63を形成している。
【0015】
ダストボックス42の結合部57は、エルボ55の下端よりも前方で下向きに突出する前壁部64と、前壁部64の左右の端縁と仕切壁56の左右の端縁とに跨がって一体形成され、後方へ行くに従って徐々に下端が短くなる左右一対の横壁部65,65と、仕切壁56の後端から下向きに突出し、前壁部64よりも短い後壁部66とで囲まれて形成されている。前壁部64の下端には、ダストボックス42の後述する突起75と係止可能な係止突部67が後ろ向きに突設され、後壁部66の下端前側には、左右方向の受け軸68が形成されている。
【0016】
そして、ダストボックス42は、
図6にも示すように、上面が開口する深底箱状のボックス本体70と、そのボックス本体70の開口側で且つ後側にヒンジ軸72によって回転可能に結合される縦長四角形状の蓋体71とを備えてなる。なお、ダストボックス42単体においても、ハンマードリル1に装着された状態と同じ前後左右及び上下方向で説明する。
まず、ボックス本体70の後面でヒンジ軸72よりも下方には、後壁部66の受け軸68が嵌合可能な溝70aが左右方向に凹設されて、ボックス本体70の前面上側には、係止突起73が形成されると共に、操作片74の上端が接続されている。この操作片74は、ボックス本体70の前面に沿って下降した後、後側へ折曲されるL字状の弾性片で、操作片74の前面には、前壁部64の係止突部67に係止可能な突起75が形成されている。
【0017】
次に、蓋体71において、前側端部には、ボックス本体70の開口の閉塞状態でボックス本体70の前面の係止突起73に係合して閉塞状態を維持するループ状の係止部76が設けられている。また、蓋体71の後寄りには、結合部57への結合状態で下筒59と連通する出口77が形成され、その出口77を下方から覆う格好で、蓋体71の下面には、前後方向を折り目として左右方向に折り畳まれた第2のフィルタとしての紙製のフィルタ79を保持する枠状のフィルタ収容部78が取り付けられている。このフィルタ収容部78は、下端がボックス本体70の深さの半分位置よりも上方に位置するように上下方向に短く形成されている。
また、蓋体71におけるフィルタ収容部78の前側には、ダクト80が設けられている。このダクト80は、係止部76とフィルタ収容部78との間で保持されて上端が蓋体71から上方へ突出し、結合部57への装着状態でエルボ55の下端に外装される。エルボ55の下端外周には、
図5,7に示すように、ダクト80の上端をスポンジ等のシール材82を介して受けるフランジ81が形成されている。
【0018】
一方、ダクト80の中間部は、フィルタ収容部78の下方へ向けて斜め後方に延び、ダクト80の下端80aは、フィルタ収容部78の下方で後ろ向きに開口して、この下端80aに、第1のフィルタとしての袋状フィルタ83が着脱可能に接続されている。この袋状フィルタ83は、フィルタ79よりも目の粗い紙で形成されて、開口に設けた段ボール等の紙製の接続筒84をダクト80の下端80aに後方から外装することで、フィルタ収容部78の下方で前後方向に延びる姿勢で接続される。よって、ダストボックス42内には、ダクト80と連通して袋状フィルタ83内に区画される第1の集塵室85と、フィルタ収容部78を含んでボックス本体70と蓋体71とで区画される第2の集塵室86とがそれぞれ独立して形成されることになる。
【0019】
こうして形成されるダストボックス42を結合部57に装着する場合、係止部76を係止突起73に係止して蓋体71を閉塞した状態で、係止部76を前、蓋体71を上にして前方下側から溝70aを、結合部57の受け軸68に嵌合させる(
図7)。この斜め姿勢から、ダストボックス42を上方へ起こすようにして結合部57に押し込むと、操作片74の突起75が係止突部67に係止して結合部57に装着される。この装着状態で、エルボ55の下端にダクト80の上端が嵌合して両者が接続され、出口77が下筒59の下端に当接して吸引路63と連通する。こうして集塵装置40内には、吸込口53からノズル52、前フレキシブルホース54、エルボ55を通ってダストボックス42内に至り、ダクト80、袋状フィルタ83(第1の集塵室85)、第2の集塵室86、フィルタ79を順に通過して吸引路63に達する集塵経路Rが形成される。
【0020】
以上の如く構成されたハンマードリル1及び集塵装置40において、ハンマードリル1に集塵装置40を装着する際には、ハンマードリル1のレール34,34の前方にケーシング41のガイドレール43,43が位置する状態で、レール34,34がガイドレール43,43の間に嵌合するように何れか一方を前後方向へスライドさせる。すると、ガイドレール43,43間にレール34,34が嵌合して結合されると共に、操作ボタン44のフック45が係止凹部35に係止して装着が完了する。このとき、ケーシング41の上筒61は、中間ハウジング5の接続口16と密着して吸引路63を吸気室18に連通させる。
【0021】
そして、吸込口53を被加工材の被加工面に押し当ててセットした状態でハンマードリル1のスイッチレバー9を押し込み操作してスイッチをONさせると、モータ3が駆動して出力軸4が回転し、中間軸20を回転させる。このとき、本体ハウジング6の側面に設けた切替ツマミ36(
図1,3)を操作することでクラッチ23をスライドさせて、第1ギア22のみと係合する前進位置、ボススリーブ24のみと係合する後退位置、第1ギア22及びボススリーブ24と同時に係合する中間位置の何れかを選択することで、第2ギア32を介してツールホルダ25が回転してビットBを回転させるドリルモード、アーム28の揺動によってピストンシリンダ26を往復動させ、連動するストライカ30によってインパクトボルト31を介してビットBを打撃するハンマーモード、ツールホルダ25の回転とインパクトボルト31の打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能となる。吸込口53をセットした状態でハンマードリル1を前進させると、ノズル52と共にスライド筒48が後退し、ビットBが吸込口53を貫通して被加工材の加工が可能となる。
【0022】
また、出力軸4の回転により、モータ冷却用ファン12と共に集塵用ファン13が回転するため、吸気室18と連通する集塵経路Rが負圧となって吸込口53から外気が吸引される。吸引された外気は、ノズル52から前フレキシブルホース54及びエルボ55を通り、ダクト80からダストボックス42内に入り、袋状フィルタ83、フィルタ79の順に通過して、出口77から吸引路63を介して吸気室18に至り、排気口から外部へ排出される。従って、被加工材から生じた粉塵は、吸込口53に吸い込まれてノズル52及び前フレキシブルホース54、エルボ55を介してダストボックス42内に進入し、ダクト80から袋状フィルタ83を通過する際に袋状フィルタ83に捕捉されて第1の集塵室85内に貯留する。また、袋状フィルタ83を通過した細かい粉塵は、目の細かいフィルタ79に捕捉されて第2の集塵室86内に貯留する。
【0023】
そして、集塵装置40の取り外しは、操作ボタン44を押し込んで係止凹部35へのフック45の係止を解除した状態で、装着時と逆にハンマードリル1と集塵装置40との何れか一方を他方からの離反方向へスライドさせると、レール34,34がガイドレール43,43から外れて取り外しが完了する。
一方、ダストボックス42内に貯留した粉塵を廃棄する際には、操作片74を押し下げて突起75と係止突部67との係止を解除させ、そのまま
図7に示すように、受け軸68を中心に上側を下方へ押し下げるようにすれば、ダストボックス42を結合部57から取り外すことができる。
【0024】
次に、蓋体71の係止部76をボックス本体70から外して蓋体71を開ければ、
図8に示すように、袋状フィルタ83が露出する。よって、
図9に示すように、ダクト80の下端80aから袋状フィルタ83の接続筒84を取り外せば、第1の集塵室85内の粉塵を接続筒84から廃棄することができる。また、袋状フィルタ83ごと粉塵を廃棄して新しい袋状フィルタ83と交換することもできる。さらに、ボックス本体70の第2の集塵室86内に粉塵が貯留している場合は、ボックス本体70の開口から粉塵を廃棄することができる。
【0025】
このように、上記形態の集塵装置40及びハンマードリル1によれば、ダストボックス42内で集塵経路R上に、ダストボックス42内で区画される第1の集塵室85を内部に有する袋状フィルタ83と、袋状フィルタ83と独立してその外部に配置されるフィルタ79とがそれぞれ設けられているので、粉塵を袋状フィルタ83内の第1の集塵室85にまとめて貯留することができる。よって、廃棄時の粉塵の飛散を効果的に抑制可能となる。
特にここでは、袋状フィルタ83がフィルタ79よりも集塵経路Rの上流側に設けられているので、粉塵の大部分を袋状フィルタ83内に貯留でき、飛散防止により好適となる。
【0026】
また、袋状フィルタ83を、フィルタ79よりも目が粗いものとしているので、目詰まりを防止して袋状フィルタ83の通気性を維持することができる。
さらに、袋状フィルタ83をダストボックス42へ着脱可能としているので、粉塵の廃棄が袋状フィルタ83ごと容易に行える。
加えて、袋状フィルタ83は紙製であるので、使い捨てが可能となる。
【0027】
一方、集塵部を、ケーシング41に別体で装着されるダストボックス42とし、ダストボックス42に、集塵経路Rの一部を形成し、袋状フィルタ83の開口(接続筒84)が接続されるダクト80を設けているので、袋状フィルタ83の着脱が簡単に行える。
また、ケーシング41に、ハンマードリル1への装着状態でハンマードリル1から吸引力を得るための吸引路63が形成されているので、集塵用モータ等が不要となり、集塵装置40を低コストで製造することができ、軽量化も達成できる。
【0028】
なお、上記形態では、第1のフィルタ(袋状フィルタ83)を第2のフィルタ(フィルタ79)の下側に配置しているが、ダストボックスの形状等によっては、第1のフィルタを前側に配置し、第2のフィルタを後側に配置してもよい。この場合、ダクトは短くしたり、省略して直接エルボに接続したりしても差し支えない。
また、第1のフィルタとダクト又はエルボとの接続構造は上記形態に限らず、バイヨネット等の係止構造を採用したり、クリップ等の結合部材を採用したりすることもできる。第1のフィルタを着脱可能とすれば、
図10に示すように第1のフィルタを装着しない使い方も選択できる。
さらに、上記形態では第1のフィルタを集塵経路の上流側に、第2のフィルタを下流側にそれぞれ配置しているが、これと逆に、第2のフィルタを集塵経路の上流側に、第1のフィルタを下流側にそれぞれ配置することも可能である。
【0029】
一方、集塵装置も、上記形態のように吸引路をハンマードリルの吸気室と連通させる構造に限らず、例えば吸引路に代えてケーシング内に、集塵用ファンを備えた集塵用モータを設けると共に、ハンマードリルと集塵装置とに、両者の結合状態で互いに電気的に接続される端子をそれぞれ設けて、電動工具側からの電源供給で集塵用モータを駆動させて吸引力を得るようにしても差し支えない。
また、上記形態では集塵部としてケーシングと別体のダストボックスを採用しているが、ケーシング自体に蓋付きの集塵室を一体に形成して、内部に第1、第2のフィルタを設けるようにしてもよい。
【0030】
その他、ハンマードリルの形態も、モータの向きや種類、出力部の構造等を適宜変更できる。電源コードでなくバッテリーパックを備えたDC機であってもよい。
そして、ハンマードリルに限らず、電動ドリル等の他の電動工具であっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1・・ハンマードリル、2・・モータハウジング、3・・モータ、4・・出力軸、6・・本体ハウジング、7・・出力部、13・・集塵用ファン、16・・接続口、18・・吸気室、20・・中間軸、25・・ツールホルダ、34・・レール、35・・係止凹部、40・・電動工具用集塵装置、41・・ケーシング、42・・ダストボックス、43・・ガイドレール、47・・ガイド部、48・・スライド筒、50・・スライドレール、53・・吸込口、57・・結合部、63・・吸引路、70・・ボックス本体、71・・蓋体、78・・フィルタ収容部、79・・フィルタ、80・・ダクト、83・・袋状フィルタ、84・・接続筒、85・・第1の集塵室、86・・第2の集塵室、B・・ビット、R・・集塵経路。