(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】ガスコンロ及びその気密漏れ検査方法
(51)【国際特許分類】
F24C 3/08 20060101AFI20220519BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20220519BHJP
F23D 14/06 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
F24C3/08 R
F24C3/08 Q
F24C3/12 K
F23D14/06 B
(21)【出願番号】P 2018122472
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
(72)【発明者】
【氏名】宮田 充
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0306055(US,A1)
【文献】特開2011-241995(JP,A)
【文献】特開2017-053608(JP,A)
【文献】特開2019-219153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/08
F24C 3/12
F23D 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロバーナと、
コンロバーナの上端部を臨ませるバーナ用開口が開設された天板と、を有するガスコンロにおいて、
コンロバーナは、天板のバーナ用開口の周縁部の上面に載置される上外周部を有する上バーナ本体と、天板のバーナ用開口の周縁部の下方に配置される下外周部を有し、且つ混合管が延設される下バーナ本体と、上バーナ本体の上端部に載置されて多数の炎孔を形成するバーナヘッドと、を備え、
上バーナ本体と下バーナ本体とは、上バーナ本体の下面と天板の上面との間または天板のバーナ用開口内で対向する上バーナ本体の下面と下バーナ本体の上面との間に設けられる空間形成具によって、上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間に所定高さの空間が形成されている状態でも、気密状態で連結されるように構成されているガスコンロ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスコンロにおいて、
上バーナ本体と下バーナ本体とは、嵌合によって連結されており、
上バーナ本体の嵌合面と下バーナ本体の嵌合面とは、同心同径に形成され、
各嵌合面は、略鉛直面に形成されているガスコンロ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスコンロにおいて、
空間形成具は、弾性を有するガスコンロ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のガスコンロの気密漏れ検査方法であって、
上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間に所定高さの空間が形成されている状態で、混合気を混合管に流入させて、上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間の空間からのガス漏れを検査するガスコンロの気密漏れ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に開設されたバーナ用開口からコンロバーナが露出するガスコンロ及びその気密漏れ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスコンロは、上方開放の矩形箱体であるケース体と、ケース体の上方開放部を被覆する天板とを備えており、ケース体内には1つまたは複数のコンロバーナが収容される。この種のガスコンロでは、天板に開設されたバーナ用開口からコンロバーナを構成するバーナ本体の上端部を露出させ、上端部にバーナヘッドを載置することにより、多数の炎孔が形成されている。また、バーナ用開口の周縁部の上面には、鍋やフライパン等の調理容器を支持するための五徳が位置決め状態で設置される。
【0003】
従来、コンロバーナの組み付け構造として、例えば、
図8に示すものが知られている(特許文献1)。このコンロバーナ(110)では、バーナリング部(26)をバーナ本体(16)に固定ネジ(46)により直接ネジ締結させ、バーナリング部(26)の上端部(26a)とその上に載置させるバーナヘッド(36)との間に多数の炎孔(56)を周方向に形成している。
【0004】
また、バーナヘッド(36)の内周面から垂設させたシール筒部(36a)を、バーナ本体(16)の内筒部(16a)の内周面に密嵌させることにより、バーナリング部(26)の内周面とバーナヘッド(36)の内周面との間に略環状の空間(S)を形成し、この空間(S)内にバーナ本体(16)から略水平に延設されているベンチュリ管状の混合管(図示せず)から混合気を流入させて、炎孔(56)から噴出させている。
【0005】
上記特許文献1におけるガスコンロの組み付けでは、まずケース体(17)の底部の所定位置にバーナ本体(16)を固定し、バーナ用開口(27a)からバーナ本体(16)の上端部が露出するように、ケース体(1)の上方開放部を天板(27)で被覆する。そして、バーナ用開口(27a)内にて、バーナリング部(26)の内側から部分的に突設させた固定片(26b)を、バーナ本体(16)の上端部に固定ネジ(46)でネジ止めすることによって、ガスコンロが組み付けられる。
【0006】
ところで、特許文献1のものでは、バーナ用開口が形成されている所定範囲を隆起させた成形可能な薄肉板が天板に使用されているが、所定の厚みを有するガラス製の天板では、バーナ用開口の周縁部のみを隆起させることができない。そのため、
図8に示すように、固定ネジ(46)の最終締付状態では、バーナリング部(26)が天板(27)の上面に当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、バーナリング部(26)を天板(27)の上面に当接させた状態で、バーナ本体(16)にバーナリング部(26)をネジ締結させているガスコンロでは、施工において組み付けが完了した後や、メンテナンスにおいて再組み付けが完了した後にコンロバーナ(110)の気密漏れ検査を実施するのが困難である。
【0009】
すなわち、バーナ本体(16)の内筒部(16a)の内周面とバーナヘッド(36)のシール筒部(36a)の外周面との間またはバーナ本体(16)の外周面(16b)とバーナリング部(26)の筒部の内周面との間にシール性の不備がある場合、空間(S)に流れ込んだ混合気の一部はバーナリング部(26)の下方のケース体内に漏れ出る。施工やメンテナンスでは天板を外した状態で作業が行われるが、バーナ本体(16)とバーナリング部(26)とのネジ止めを緩めてこれらを分解し、再度、これらをネジ止めした際には、最終締付状態でバーナリング部(26)の外周部が天板(27)の上面に当接する。そのため、組み付け完了後や再組み付け完了後(以下、これらを総称して「組み付け完了後等」という)に気密漏れ検査を行う必要があるにも関わらず、ケース体内へのガス漏れを容易に確認することができないという問題がある。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、施工やメンテナンスが行われるとき、容易にガス漏れを確認することができるガスコンロ及びその気密漏れ検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、
コンロバーナと、
コンロバーナの上端部を臨ませるバーナ用開口が開設された天板と、を有するガスコンロにおいて、
コンロバーナは、天板のバーナ用開口の周縁部の上面に載置される上外周部を有する上バーナ本体と、天板のバーナ用開口の周縁部の下方に配置される下外周部を有し、且つ混合管が延設される下バーナ本体と、上バーナ本体の上端部に載置されて多数の炎孔を形成するバーナヘッドと、を備え、
上バーナ本体と下バーナ本体とは、上バーナ本体の下面と天板の上面との間または天板のバーナ用開口内で対向する上バーナ本体の下面と下バーナ本体の上面との間に設けられる空間形成具によって、上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間に所定高さの空間が形成されている状態でも、気密状態で連結されるように構成されているガスコンロが提供される。
【0012】
上記ガスコンロによれば、コンロバーナは分割された上バーナ本体と下バーナ本体とを有しており、上バーナ本体は天板のバーナ用開口の周縁部の上面に載置される上外周部を有する一方、下バーナ本体は天板のバーナ用開口の周縁部の下方に配置される下外周部を有しているから、上バーナ本体と下バーナ本体とを連結させると、上バーナ本体と下バーナ本体とが天板のバーナ用開口の周縁部を上下から挟み込んだ状態で、コンロバーナが固定される。それゆえ、組み付け完了後等では、ガス漏れを判定することが難しい。
【0013】
しかしながら、上記ガスコンロでは、上バーナ本体の下面と天板の上面との間または天板のバーナ用開口内で対向する上バーナ本体の下面と下バーナ本体の上面との間に設けられる空間形成具によって、上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間に所定高さの空間が形成されている仮固定の状態でも、上バーナ本体と下バーナ本体とが気密状態で連結されるように構成されているから、上記空間に気密漏れ検査具を差し込むことにより、容易にガス漏れの有無を確認することができる。なお、本明細書において気密状態で連結されているとは、上バーナ本体と下バーナ本体とが隙間なく連結されて、ガス漏れが検知されない状態を意味する。
【0014】
好ましくは、上記ガスコンロにおいて、
上バーナ本体と下バーナ本体とは、嵌合によって連結されており、
上バーナ本体の嵌合面と下バーナ本体の嵌合面とは、同心同径に形成され、
各嵌合面は、略鉛直面に形成される。
【0015】
上記ガスコンロでは、上バーナ本体の嵌合面と下バーナ本体の嵌合面とは、同心同径に形成され、各嵌合面は、略鉛直面に形成されているから、これらを嵌合させることにより、上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間に所定高さの空間が形成されている仮固定の状態でも、確実に気密状態で上バーナ本体と下バーナ本体とを連結させることができる。
【0016】
好ましくは、上記ガスコンロにおいて、
空間形成具は、弾性を有する。
【0017】
上記ガスコンロによれば、空間形成具が弾性を有するから、上バーナ本体を下バーナ本体に仮固定させた状態で、上バーナ本体を空間形成具の弾性力によって天板から所定高さ浮き上がらせることができる。また、上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間に形成される所定高さの空間を利用して気密漏れ検査を行った後、空間形成具を取り外すことなく上バーナ本体と下バーナ本体とを連結させることができる。また、弾性を有する空間形成具を設けることにより、部材の寸法のバラツキによって生ずる隙間を隠蔽することもできる。
【0018】
本発明の他の局面によれば、
上記ガスコンロの気密漏れ検査方法であって、
上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間に所定高さの空間が形成されている状態で、混合気を混合管に流入させて、上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間の空間からのガス漏れを検査するガスコンロの気密漏れ検査方法が提供される。
【0019】
上記ガスコンロでは、上バーナ本体と下バーナ本体とが仮固定の状態にあるときに、コンロバーナに混合気を流入させると、上バーナ本体と下バーナ本体との間の気密状態が損なわれていれば、混合気の一部は所定高さの空間が形成されている上バーナ本体の上外周部の下面と天板の上面との間から漏れ出る。従って、上記空間に気密漏れ検査具を挿入させることにより、天板を取り外すことなく、容易にコンロバーナのガス漏れを確認することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係るガスコンロによれば、空間形成具によって上バーナ本体の外周部と天板の上面との間に所定高さの空間を形成した状態でも、上バーナ本体と下バーナ本体との間の気密状態が確保される。それゆえ、上バーナ本体と下バーナ本体との間の気密状態が損なわれていれば、コンロバーナに混合気を流入させたときに、混合気の一部が上記空間から漏れ出る。従って、コンロバーナが天板に組み付けられた状態で、空間からのガス漏れの有無を確認することにより、気密状態を判定することができる。これにより、施工やメンテナンスで天板を取り外す作業が行われた場合でも、組み付け完了後等に気密漏れ検査を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスコンロにおける仮固定の状態を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係るガスコンロにおけるコンロバーナの分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るガスコンロにおける仮固定の状態を示す要部拡大断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係るガスコンロにおける本固定の状態を示す縦断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係るガスコンロにおけるコンロバーナの分解斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態に係るガスコンロにおける仮固定の状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係るガスコンロにおける本固定の状態を示す要部拡大断面図である。
【
図8】従来のガスコンロのコンロバーナの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係るガスコンロを説明する。
【0023】
ガスコンロは、点火プラグ(31)や炎検知器(32)等とともに、コンロバーナ(100)を収容する上方開放の矩形箱体であるケース体(図示せず)と、ケース体の上方開放部を被覆する天板(4)とを備える。天板(4)には、コンロバーナ(100)の上端部を露出させるためのバーナ用開口(40)と、後方に排気口(図示せず)とが開設されている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、コンロバーナ(100)は、バーナヘッド(3)と、上端部にバーナヘッド(3)が載置される上バーナ本体(1)と、燃料ガスと一次空気とが混合されるベンチュリ管状の混合管(24)が略水平に延設された下バーナ本体(2)とを有する。バーナヘッド(3)の外周壁下端部に設けられた多数の歯形部(33)と、上バーナ本体(1)の環状筒部(11)の上端部との間には、多数の炎孔(30)が外側斜め上方に向くように、周方向に形成される。
【0025】
バーナヘッド(3)の上面には、環状のバーナキャップ(44)が載置される。バーナキャップ(44)の中央孔(44a)からは、鍋底温度センサ(41)が上方に突出している。これら上バーナ本体(1)、下バーナ本体(2)、バーナヘッド(3)、及びバーナキャップ(44)は、例えば、高い熱伝導性を有するアルミダイキャスト製の部材からなる。
【0026】
なお、ケース体内の所定位置には、固定台(図示せず)が設置されており、固定台には、下バーナ本体(2)の底部にネジ止め等により接続させたバーナ支持板(29)が架設されている。これにより、コンロバーナ(100)は、ケース体内の所定箇所に位置決めされた状態で収容される。
【0027】
下バーナ本体(2)は、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の下方に配設させるフランジ部(21)が外方に向かって張り出す外筒(22)と、バーナヘッド(3)の中央孔(3a)に続く内筒(23)とを備える。点火プラグ(31)及び炎検知器(32)は、フランジ部(21)を下方から貫通して周方向に並設されている(
図2参照)。このため、外筒(22)からバーナ用開口(40)の周縁部に至るまでのフランジ部(21)の幅は、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)が設置される側で広く、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)が設置されない側で狭くなっている。従って、外筒(22)は、バーナ用開口(40)及びこれと略同心に位置する内筒(23)に対して、偏心して位置する。
【0028】
フランジ部(21)と略同一高さに位置する外筒(22)の内周面には、3つの下突出片部(20a)(20b)(20c)が周方向に等間隔で、内方に向かって略水平に突設されている。各下突出片部(20a)(20b)(20c)は、外筒(22)の内周面から内筒(23)の外周面までの距離に関わらず、突出端が内筒(23)に到達する突出長さを有する。各下突出片部(20a)(20b)(20c)の突出端近傍には、ネジ孔(28)が穿設されている。
【0029】
上バーナ本体(1)は、バーナヘッド(3)の歯形部(33)が載置される上端部を有する環状筒部(11)と、環状筒部(11)の外周面から外方へ一体的に延設されている環状のバーナリング部(12)とを備える。上バーナ本体(1)は、バーナリング部(12)の下面が天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に当接するように、天板(4)上に載置される。
【0030】
バーナリング部(12)のバーナ用開口(40)よりも内周側の下面には、バーナリング部(12)が天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に載置されたときに、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放端部を嵌め込み可能な下方開放の環状溝(12a)が形成されている。また、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)に対応するバーナリング部(12)の各位置には、これらを挿通させるための透孔(13a)(13b)が穿設されている。さらに、バーナリング部(12)の外周縁の対向する位置には、一対の切欠(14a)(14b)が形成されている。
【0031】
環状筒部(11)の内周面下端部には、3つの上突出片部(10a)(10b)(10c)が周方向に等間隔で、内方に向かって略水平に突設されている。各上突出片部(10a)(10b)(10c)は、透孔(13a)(13b)に点火プラグ(31)及び炎検知器(32)がそれぞれ挿通され、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放端部が環状溝(12a)に嵌め込まれた状態で、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)を天板(4)の上面に載置させたときに、下突出片部(20a)(20b)(20c)に対応する位置に設けられている。各上突出片部(10a)(10b)(10c)の先端には、先端に向かって開放する略U字状の切欠(18)が形成されている。
【0032】
天板(4)は、例えば、ガラス製のものが用いられる。天板(4)の下面のうち、バーナ用開口(42)及び後方の排気口の形成域に対応する領域を除いた略全域には、高い熱伝導性を有するアルミ製のヒートオフ材からなる放熱板(42)が添設されている。放熱板(42)には、バーナ用開口(40)が対応する位置に、バーナ用開口(42)と略同一径の開口が開設されている。
【0033】
次に、本実施の形態におけるガスコンロを施工するときのコンロバーナ(100)の天板(4)への組み付け及び気密漏れ検査方法について説明する。
まず、下バーナ本体(2)を接続させたバーナ支持板(29)を、ケース体内に固定されている固定台に架設させてネジ止めする。これにより、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)を一体的に具備させた下バーナ本体(2)が、ケース体内の所定箇所に位置決め状態で固定される。
【0034】
次いで、上記ケース体の上方開放部を、天板(4)で被覆する。なお、ケース体の上方開放部が天板(4)で被覆されたとき、バーナ用開口(40)の周縁部の下方に下バーナ本体(2)におけるフランジ部(21)が配設され、且つバーナ用開口(40)内で下バーナ本体(2)の内筒(23)がバーナ用開口(40)と略同心に位置するように、ケース体内における下バーナ本体(2)の設置位置、フランジ部(21)の大きさ、及び天板(4)におけるバーナ用開口(40)の開設位置が設定されている。
【0035】
次いで、
図2に示すように、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に一対の円弧状のスペーサ(空間形成具)(6)を配置させる。スペーサ(6)は、天板(4)に載置されたとき、スペーサ(6)の下面と天板(4)の上面との間に複数の通気路(60)を形成する凹部を下面に有し、例えば、弾性を有する樹脂製またはゴム製のものが用いられる。なお、スペーサ(6)は、施工やメンテナンス用の冶具としてガスコンロに同梱させてもよい。
【0036】
次いで、バーナ用開口(40)内にバーナ用開口(40)と略同心状に内筒(23)が露出している状態で、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを連結させる。バーナ用開口(40)内には、ケース体内から内筒(23)とともに、点火プラグ(31)や炎検知器(32)が上方に突出しているため、点火プラグ(31)及び炎検知器(32)に上バーナ本体(1)に設けられている透孔(13a)(13b)が対応するように、上バーナ本体(1)を下バーナ本体(2)上に配置させる。このとき、
図3に示すように、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面にスペーサ(6)が載置された状態で、スペーサ(6)上に上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)が設置されると、下バーナ本体(2)の外筒(22)の略鉛直面を有する上方開放端部が上バーナ本体(1)の下面に開放している略鉛直面を有する環状溝(12a)に嵌まり込み、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放部の内周面(22a)と、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の環状溝(12a)の内側周面(12b)とが上下方向で密に重なり合って、上バーナ本体(1)が下バーナ本体(2)に仮固定の状態で連結されたときにも、第1シール部(A)が気密状態で保持されるように、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放部の内径と高さ、及び上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の環状溝(12a)の内側周面(12b)の径と高さが設定されている。従って、同心同径に形成されている上バーナ本体(1)の環状筒部(11)の嵌合面と下バーナ本体(2)の外筒(22)の嵌合面とが嵌合した仮固定の状態において、上バーナ本体(1)は、スペーサ(6)の高さ分だけ、天板(4)の上面から浮き上がった状態となる。
【0037】
また、
図1に示すように、上バーナ本体(1)が下バーナ本体(2)上に設置されると、下バーナ本体(2)の下突出片部(20a)(20b)(20c)のネジ孔(28)上に上バーナ本体(1)の上突出片部(10a)(10b)(10c)の切欠(18)が位置する。
【0038】
従って、上突出片部(10a)(10b)(10c)の各切欠(18)に、上方から固定ネジ(15)を挿通させるとともに、さらにその下方の下突出片部(20a)(20b)(20c)のネジ孔(28)に固定ネジ(15)を軽く螺合させていくと、
図3に示す仮固定の状態が形成される。このとき、天板(4)上には一対のスペーサ(6)が所定の間隔で配置されているとともに、天板(4)の上面と各スペーサ(6)の下面との間には複数の通気路(60)が形成されているから、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の下面と天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面との間には、複数の通気路(60)及びスペーサ(6)相互間の隙間からなる所定高さ(例えば、3~7mm)の空間(S1)が形成される。
【0039】
次いで、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とが仮固定で連結されている状態で、上バーナ本体(1)の環状筒部(11)の上端部に、バーナヘッド(3)の歯形部(33)を載置する。すると、バーナヘッド(3)の中央孔(3a)を構成する垂下筒部(34)の外周面(34a)が、内筒(23)の内周面(23a)に密に摺動しながら下バーナ本体(2)内に差し込まれていく。このとき、下バーナ本体(2)の内筒(23)の内周面(23a)と、バーナヘッド(3)の垂下筒部(34)の外周面(34a)とからなる第2シール部(B)が気密状態に保持されるように、バーナヘッド(3)の垂下筒部(34)の外径と長さ、及び下バーナ本体(2)の内筒(23)の内径と長さが設定されている。
【0040】
これにより、上記仮固定の状態で、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とバーナヘッド(3)とで囲まれる略環状の空間(S2)が形成される。
【0041】
上記のように、上バーナ本体(1)が下バーナ本体(2)に仮固定の状態で連結されている場合でも、シール性に問題がなければ、第1シール部(A)及び第2シール部(B)は気密状態が保持され、空間(S2)に流入する混合気は全て炎孔(30)から噴出する。しかしながら、第1シール部(A)の気密状態が損なわれていると、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放部の内周面(22a)と、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の環状溝(12a)の内側周面(12b)との隙間から、空間(S1)を介して混合気が外部へ漏洩する。
【0042】
従って、混合管(24)に混合気を流入させた状態で、空間(S1)に棒状の気密漏れ検査具を差し込むことにより、第1シール部(A)からのガス漏れを判定することができる。また、第2シール部(B)の気密状態が損なわれていると、上方の炎孔(30)への混合気の流れが不安定になる。従って、炎孔(30)に形成される火炎の形状から、第2シール部(B)からのガス漏れを判定することができる。
【0043】
第1シール部(A)及び第2シール部(B)の気密状態が保持されている場合、スペーサ(6)を外方へ取り外した後、固定ネジ(15)をさらに螺合させていく。すると、固定ネジ(15)がネジ孔(28)へ螺合されていくに従って、固定台に架設させたバーナ支持板(29)が上方へ撓み、それに伴って下バーナ本体(2)が上昇するため、上バーナ本体(1)に対して下バーナ本体(2)が近接していく。このため、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放部の内周面(22a)と、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の環状溝(12a)の内側周面(12b)との重なり、及び下バーナ本体(2)の内筒(23)の内周面(23a)と、バーナヘッド(3)の垂下筒部(34)の外周面(34a)との重なりがさらに深くなって、第1シール部(A)及び第2シール部(B)における気密状態がさらに高くなる。そして、固定ネジ(15)の最終締付状態では、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)と下バーナ本体(2)のフランジ部(21)とによって、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部は、放熱板(42)とともに、上下から挟み込まれた
図4に示す本固定の状態となる。また、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とは、密着状態で一体的に連結される。これにより、コンロバーナ(100)が、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部に回り止め状態に固定される。
【0044】
従って、本実施の形態では、天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面に配置される上バーナ本体(1)におけるバーナリング部(12)の外周部が上外周部を形成し、放熱板(42)を介して天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の下方に配置される下バーナ本体(2)におけるフランジ部(21)の外周部が下外周部を形成する。
【0045】
図示しないが、天板(4)上に設置された上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の周囲には、五徳が回り止め状態で載置される。
【0046】
ガスコンロをメンテナンスする場合、五徳、バーナキャップ(44)、バーナヘッド(3)を順に取り外し、さらに固定ネジ(15)を緩めて取外せば、上バーナ本体(1)を下バーナ本体(2)から取り外すことができるとともに、天板(4)を取り外すことができる。また、メンテナンスの終了後は、上記と同様にして、コンロバーナ(100)の天板(4)への再組み付け及び気密漏れ検査が行われる。
【0047】
なお、上記実施の形態では、上バーナ本体(1)を下バーナ本体(2)に本固定する場合、天板(4)上からスペーサ(6)が取り外されているが、弾性のスペーサ(6)が用いられる場合、天板(4)上からスペーサ(6)を取り外すことなく、スペーサ(6)を圧縮させて上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを本固定させてもよい。このように上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)と天板(4)との間に弾性のスペーサ(6)を圧縮状態で介在させれば、バーナリング部(12)の寸法ばらつきによって天板(4)の上面との間に隙間が生じても、スペーサ(6)で隙間が隠蔽されるため、ガスコンロの外観も向上させることができる。
【0048】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るガスコンロにおけるコンロバーナの分解斜視図である。本実施の形態におけるガスコンロの構成は、空間形成具として外筒(22)の外周面に巻回されたコイルバネ(61)が使用されている以外は、第1の実施の形態のそれと同様である。このため、同一の構成については、同一の引用番号を使用して、説明を省略する。
【0049】
図5に示すように、コイルバネ(61)は、外筒(22)の外径に略一致する内径を有し、且つ外筒(22)よりも高い自由状態の高さを有する。また、コイルバネ(61)は、コイルバネ(61)が自由状態で上バーナ本体(1)、バーナヘッド(3)、及びバーナキャップ(44)の重量を下方から保持できる弾性力を有する。なお、コイルバネ(61)は、上バーナ本体(1)の環状溝(12a)に配設されていてもよい。
【0050】
本実施の形態におけるコンロバーナ(100)を天板(4)へ組み付ける場合、上記した第1の実施の形態と同様に、コイルバネ(61)を外筒(22)に巻回させた下バーナ本体(2)上に上バーナ本体(1)を配置させる。すると、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の下面に形成されている環状溝(12a)に、下バーナ本体(2)の外筒(22)の上方開放部及びコイルバネ(61)が挿入される。自由状態でのコイルバネ(61)の高さは、外筒(22)の高さよりも高く設定されているとともに、コイルバネ(61)は、上方から上バーナ本体(1)、バーナヘッド(3)、及びバーナキャップ(44)の重量が加えられても自由状態が保持できる弾性力を有するため、下バーナ本体(2)と仮固定の状態にある上バーナ本体(1)は、
図6に示すように、天板(4)の上面から浮き上がった状態となり、上バーナ本体(1)のバーナリング部(12)の下面と天板(4)のバーナ用開口(40)の周縁部の上面との間には所定高さ(例えば、3~7mm)の空間(S3)が形成される。従って、第1の実施の形態と同様に、空間(S3)から気密漏れ検査具を挿入させることによって、上バーナ本体(1)と上バーナ本体(2)とが仮固定の状態で連結されている場合でもガス漏れを判定することができる。
【0051】
気密漏れ検査で気密状態が保持されている場合、下バーナ本体(2)にコイルバネ(61)が装着されている状態で、固定ネジ(15)を最終締付状態まで締め付ける。すると、
図7に示すように、コイルバネ(61)は、上バーナ本体(1)の環状溝(12a)内に圧縮されて収容される。従って、第2の実施の形態に係るガスコンロでは、コイルバネ(61)を取り外すことなく、上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)とを天板(4)に組み付けることができるから、組み付け工程を削減でき、気密漏れ検査も一層、容易に行うことできる。
【0052】
また、本実施の形態におけるガスコンロをメンテナンスする場合、五徳、バーナキャップ(44)、バーナヘッド(3)を順に取り外し、さらに固定ネジ(15)を緩めて取り外せば、コイルバネ(61)の弾性力によって、上バーナ本体(1)が持ち上げられ、上バーナ本体(1)を下バーナ本体(2)から取り外すことができるとともに、天板(4)を取り外すことができる。また、メンテナンスの終了後は、上記と同様にして、コンロバーナ(100)の天板(4)への再組み付け及び気密漏れ検査が行われる。
【0053】
なお、上記実施の形態ではいずれも上バーナ本体(1)と下バーナ本体(2)との間にスペーサ(6)やバネ(61)の空間形成具を設けることにより所定高さの空間が形成されているが、上記所定高さが高過ぎると第1シール部(A)が形成されず気密状態が保持されなくなり、低過ぎると気密漏れ検査具が空間(S1)(S3)に差し込めなくなるため、スペーサ(6)の高さやバネ(61)の弾性力を適切に設定することが好ましい。
【0054】
また、下バーナ本体(2)を固定するバーナ支持板(29)を上下に可動式とし、上バーナ本体(1)が下バーナ本体(2)に仮固定された状態で、上バーナ本体(1)と天板(4)との間に所定高さの空間が形成されるようにバーナ支持板(29)の高さを設定してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、気密漏れ検査は、施工やメンテナンス時に行われているが、工場での組み付け完了後の出荷前検査で行ってもよい。
【符号の説明】
【0056】
(100) ・・・・・・・・コンロバーナ
(1) ・・・・・・・・・上バーナ本体
(2) ・・・・・・・・・下バーナ本体
(24)・・・・・・・・・混合管
(3) ・・・・・・・・・バーナヘッド
(30)・・・・・・・・・炎孔
(4) ・・・・・・・・・天板
(40)・・・・・・・・・バーナ用開口
(6) ・・・・・・・・・スペーサ(空間形成具)
(S1)・・・・・・・・・空間