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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】検査ユニットおよび検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20220519BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20220519BHJP
【FI】
G01R1/073 Z
G01R31/50
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018123503
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020003364
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細井 知和
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-034269(JP,A)
【文献】特開平11-183521(JP,A)
【文献】特開2005-025966(JP,A)
【文献】特開2004-069558(JP,A)
【文献】特開平09-251033(JP,A)
【文献】特開2019-174283(JP,A)
【文献】特開2019-215210(JP,A)
【文献】特開2001-221825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/50-31/74、
1/06-1/073、
27/00-27/32、
31/26、
31/00、
31/24-31/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に並んで配置され、検査体を有する複数の検査部品と、
前記検査部品間に配置され、前記検査部品同士を互いに離間させる方向に付勢する付勢部材と、
複数の前記検査部品を前記所定方向とは異なる方向に同時に移動させる回動機構と、を備える、
検査ユニット。
【請求項2】
前記検査部品は、前記所定方向に延在して軸が挿入される孔を有し、
前記付勢部材は、前記軸と前記孔との径方向隙間に設けられる、
請求項1に記載の検査ユニット。
【請求項3】
前記孔には、前記軸を軸支する軸受部材が設けられており、
前記付勢部材は、前記軸受部材の軸方向端面に当接している、
請求項2に記載の検査ユニット。
【請求項4】
前記孔は、前記軸を軸支する小径内周面と、大径内周面と、前記小径内周面と前記大径内周面とを接続する端面とを有し、
前記付勢部材は、前記端面に当接している、
請求項2に記載の検査ユニット。
【請求項5】
前記検査部品は、前記所定方向に等間隔で並んで設けられた複数の前記検査体を有する、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の検査ユニット。
【請求項6】
前記検査体は、柔軟性を有する、
請求項1ないし5に記載の検査ユニット。
【請求項7】
前記検査部品を貫通する互いに平行な第一および第二の軸を備え、
前記回動機構は、前記第一の軸に対する前記第二の軸の相対位置を一定に保った状態で、複数の前記検査部品を移動させる、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の検査ユニット。
【請求項8】
導電体と絶縁体とが積層されてなる積層体の導通状態を検査する検査装置であって、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の検査ユニットと、
前記検査ユニットが設けられ、前記積層体が収納されるケースに載置されるベース部材と、
前記検査部品を前記積層体から離れる方向へ付勢する第二の付勢部材と、を備える、
検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査ユニットおよび検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁体と導電体とを交互に重ねて形成された積層体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-058077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積層体は、複数の板状部品を積層して形成される。絶縁体と導電体とを交互に重ねて形成された積層体における導電体の導通検査を、積層体の積層方向に並べられた複数の検査部品を用いて行う場合、導通検査のリードタイムを短縮するために、積層体に対してこれら複数の検査部品を短時間で適切な位置に配置することが要求される。
【0005】
本開示の目的は、検査対象に対して、検査部品を短時間で適切な位置に配置することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態は、所定方向に並んで配置され、検査体を有する複数の検査部品と、前記検査部品間に配置され、前記検査部品同士を互いに離間させる方向に付勢する付勢部材と、複数の前記検査部品を前記所定方向とは異なる方向に同時に移動させる回動機構と、を備える、検査ユニットである。
【0007】
また、本開示の他の一形態は、導電体と絶縁体とが積層されてなる積層体の導通状態を検査する検査装置であって、上記検査ユニットと、上記検査ユニットが設けられ、上記積層体が収納されるケースに載置されるベース部材と、上記検査部品を上記積層体から離れる方向へ付勢する第二の付勢部材と、を備える、検査装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、検査対象に対して、検査部品を短時間で適切な位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】第一実施形態に係る検査装置の一例を模式的に示す平面図
図1B】第一実施形態に係る検査装置の一例を模式的に示す正面図
図1C】第一実施形態に係る検査装置の一例を模式的に示す側面図
図2A】検査部品の一例を模式的に示す側面図
図2B図2Aの2B-2B断面図
図2C図2Aの2C-2C断面図
図2D図2Aの2D-2D断面図
図3図1Cの3-3断面図
図4A】軸方向の位置調整が行われた状態を示す正面図
図4B】軸方向の位置調整が行われた状態を示す側面図
図4C図4Bの4C-4C断面図
図5A】検査ユニットが下位置にある状態を示す正面図
図5B】検査ユニットが下位置にある状態を示す側面図
図6A】検査部品の他の一例を模式的に示す図
図6B図6Aの6B-6B断面図
図6C図6Aの6C-6C断面図
図7】第二実施形態に係る検査装置の動作の一例を模式的に示す図
図8A】第三実施形態に係る検査装置の一例を模式的に示す図
図8B】第三実施形態に係る検査装置の一例を模式的に示す図
図9A】第四実施形態に係る検査装置の一例を模式的に示す図
図9B】第四実施形態に係る検査装置の一例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本開示はこの実施形態により限定されるものではない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
なお、以下の説明において、同種の要素を区別して説明する場合には、数字からなる共通番号とアルファベットからなる追番号との組み合わせで構成される参照符号を用いて、例えば「検査部品21a」、「検査部品21b」と表現する。また、同種の要素を区別しないで包括的に説明する場合には、参照符号のうちの共通番号のみを用いて、例えば、「検査部品21」と表現する。
【0012】
(第一実施形態)
図1A図1B図1C図3図4A図4B図4C図5Aおよび図5Bには、説明の便宜上、X軸、Y軸およびZ軸からなる3次元直交座標系が描かれている。X軸の正方向を+X方向、Y軸の正方向を+Y方向、Z軸の正方向を+Z方向(上方向)とそれぞれ定義する。
【0013】
図1Aないし図1Cを参照して、検査装置1について説明する。図1Aは、第一実施形態に係る検査装置1の一例を模式的に示す平面図である。図1Bは、第一実施形態に係る検査装置1の一例を模式的に示す正面図である。図1Cは、第一実施形態に係る検査装置1の一例を模式的に示す側面図である。
【0014】
図1Aないし図1Cに示すように、検査装置1は、検査対象である積層体2が収納されたケース3の上に載置されるベース部10と、検査ユニット20とを備える。
【0015】
ベース部10は、XY平面に延在する例えばアルミ等の金属材料からなる板状部品である。ベース部10は、開口11を備える。開口11は、ベース部10の概略中央部に設けられている。開口11は、ベース部10をZ方向に貫通している。開口11には検査ユニット20の検査部品21(後述する。)が配置される。検査部品21は、開口11内を上下に移動する。
【0016】
検査ユニット20は、複数(本実施形態では5個)の検査部品21と、X方向に並んだ検査部品21をX方向に貫通する上側シャフト22および下側シャフト23と、複数(本実施形態では8個)の弾性体24(「付勢部材」の一例)とを備える。
【0017】
また、検査ユニット20は、支持ベース部31Aおよび31Bと、上側回動レバー32Aおよび32Bと、下側回動レバー33Aおよび33Bと、上側回動軸34Aおよび34Bと、下側回動軸35Aおよび35Bとを備える。
【0018】
図2Aないし図2Dを参照して、検査部品21について説明する。図2Aは、検査部品21を模式的に示す側面図である。図2Bは、図2Aの2B-2B断面図である。図2Cは、図2Aの2C-2C断面図である。図2Dは、図2Aの2D-2D断面図である。
【0019】
検査部品21は、本体211と、2個のブシュ212(「軸受部材」の一例)と、複数(本実施形態では9本)の検査ピン214(「検査体」の一例)とを備えて構成される。
【0020】
本体211は、上面211a、下面211b、側面211c、側面211d、前面211eおよび後面211fを有する略直方体形状の部材である。本体211は、例えば樹脂等の絶縁材料からなる中実の部品である。
【0021】
本体211には、側面211cから側面211dまで貫通する貫通孔41が設けられている。また、貫通孔41よりも下面211b側に、側面211cから側面211dまで貫通する貫通孔42が設けられている。貫通孔41および42の一端は、側面211cに開口している。貫通孔41および42の他端は、側面211dに開口している。
【0022】
また、本体211には、下面211bから上面211aまで貫通する複数(本実施形態では9個)の貫通孔43が設けられている。貫通孔43の一端は、上面211aに開口している。貫通孔43の他端は、下面211bに開口している。貫通孔43には、下面211bから、検査ピン214の一端側が挿入される。貫通孔43は、側面211c側から側面211d側まで、等間隔で設けられている。
【0023】
また、本体211には、下面211bから上面211aに向かって延在し、上面211aと下面211bとの間で行き止まりとなる複数(本実施形態では9個)の穴44が設けられている。穴44は、下面211bに開口している。穴44には、検査ピン214の他端側が挿入される。穴44は、側面211c側から側面211d側まで、上述の貫通孔43と同じ間隔で設けられている。なお、穴44は、下面211bから上面211aまで貫通していてもよい。
【0024】
ブシュ212は、貫通孔41および42の内部にそれぞれ配置されている。ブシュ212は、軸方向に貫通する孔を有する円筒状の部材である。ブシュ212の軸方向の長さは、貫通孔41および42の軸方向長さ(側面211cから側面211dまでの距離)より短い。
【0025】
ブシュ212は、例えば焼結金属等の金属材料からなる。ブシュ212には、例えば潤滑油が含浸されている。ブシュ212は、それぞれ、上側シャフト22および下側シャフト23を回転可能かつ軸方向移動可能に支持する。ブシュ212は、それぞれ、貫通孔41および貫通孔42に圧入されている。ブシュ212は、それぞれ、貫通孔41および42の軸方向中央部に設けられている。
【0026】
検査ピン214は、所定長さの銅線等の線材を折り曲げ加工して形成される。検査ピン214の一端側は、上述のとおり下面211bから貫通孔43に挿入されている。検査ピン214の一端側の先端は、不図示の信号線と接続されている。検査ピン214の他端側は、上述のとおり下面211bから穴44に挿入されている。
【0027】
検査ピン214の中間部214aは、下面211bから下方向(上面211aから下面211bに向かう方向)に突出している。中間部214aをそれぞれ積層体2の導電体2a(図1Bを参照)と接触させることで、積層体2の導電体2aの導通検査が行われる。導通検査の結果は、上述の信号線により、不図示の検査制御部に送られる。
【0028】
上述のとおり、貫通孔43および穴44は、側面211c側から側面211d側まで等間隔で設けられている。そのため、検査ピン214も、側面211c側から側面211d側まで、等間隔で設けられる。
【0029】
また、上述のとおり、検査ピン214の材料は、銅線等の線材である。また、中間部214aは、下面211bから下方向に突出している。このような構成を有する検査ピン214の中間部214aは、柔軟性を有し、側面211cから側面211dに向かう方向またはその逆方向に向かって撓むことができる。
【0030】
図3は、図1Cの3-3断面図である。なお、説明の便宜上、弾性体24は非切断状態で描かれている。図3に示すように、弾性体24は、検査部品21間にそれぞれ設けられている。弾性体24は、例えば、コイルばねであり、本実施形態では、上側シャフト22および下側シャフト23の外周に巻回されている。
【0031】
また、上述のとおり、ブシュ212の軸方向の長さは、貫通孔41および42の軸方向長さより短い。よって、弾性体24は、上側シャフト22の外周面と貫通孔41の内壁面との間、および、下側シャフト23の外周面と貫通孔42の内壁面との間に、それぞれ設けられている。
【0032】
なお、弾性体24は、コイルばねに限定されず、板ばね、皿ばね等でもよい。また、弾性体24は、上側シャフト22または下側シャフト23のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0033】
弾性体24は、検査部品21同士を離間させる方向に付勢する機能を有する。弾性体24の端面は、貫通孔41および42に圧入されたブシュ212の軸方向端面に当接している。弾性体24の外周部は、貫通孔41および42の内周壁に案内される。
【0034】
図1Aないし図1Cの説明に戻る。図1Aないし図1Cに示すように、支持ベース部31Aおよび31Bは、ベース部10の上面(+Z側面)に固定される。支持ベース部31Aの-X側面から、上側回動軸34Aおよび下側回動軸35Aが、-X方向へ延在している。
【0035】
上側回動軸34Aの-X側端は、上側回動レバー32Aの一端に固定されている。下側回動軸35Aの-X側端は、下側回動レバー33Aの一端に固定されている。上側回動レバー32Aの他端は、上側シャフト22の-X側端に固定されている。下側回動レバー33Aの他端は、下側シャフト23の-X側端に固定されている。
【0036】
支持ベース部31Bの+X側面から、上側回動軸34Bおよび下側回動軸35Bが、+X方向へ延在している。
【0037】
上側回動軸34Bの+X側端は、上側回動レバー32Bの一端に固定されている。下側回動軸35Bの+X側端は、下側回動レバー33Bの一端に固定されている。上側回動レバー32Bの他端は、上側シャフト22の+X側端に固定されている。下側回動レバー33Bの他端は、下側シャフト23の+X側端に固定されている。
【0038】
図1Aないし図1Cは、検査ユニット20が上位置にある状態を示している。検査ユニット20は、上位置となるように付勢されている。具体的には、下側回動軸35Aが、ねじりばね36(「第二の付勢部材」の一例。図1B参照。)によって、自らの中心軸回りに、+Y方向から+Z方向へ向かうように付勢されている。
【0039】
この状態から、例えば、検査部品21に対して下方向への押圧力が付加されることで、検査部品21は、上述の上位置への付勢力に抗して下方向へ移動される。これにより、検査部品21の検査ピン214がそれぞれ略同時に積層体2の導電体2aと接触する。
【0040】
検査部品21に対して下方向への押圧力が付加されるのに先立って、検査ユニット20が上位置にある状態において、積層体2に対する検査部品21の位置調整が行われる。以下、積層体2に対する検査部品21の位置調整について詳細に説明する。
【0041】
まず、図1Aないし図1Cに示す状態で、最も+X側に位置する検査部品21aが基準位置に位置決めされる。次に、最も-X側に位置する検査部品21eが、+X方向に押圧され、移動させられる。なお、検査部品21eに対する押圧力は、不図示のアクチュエータによって付与されてもよいし、作業者によって付与されてもよい。
【0042】
上述のとおり、各検査部品21間には、それぞれ、弾性体24が配置されている(図3参照)。このため、検査部品21eの+X方向への移動に伴い、各検査部品21間の間隔が略均一となるように、他の検査部品21も移動する。すなわち、検査部品21aを除く検査部品21b、21c、21dおよび21eは、お互いの間隔を略一定に保ちながら、+X方向へ移動する。
【0043】
図4Aないし図4Cは、積層体2に対する検査部品21の位置調整が完了した状態を示している。各検査部品21間に配置された弾性体24は、上述のとおり、貫通孔41および42に圧入されたブシュ212の軸方向端面に当接するように、貫通孔41および42内に配置されている。
【0044】
そのため、弾性体24が縮むことで、各検査部品21は、互いの端面同士が当接するまで移動することができる。図4Aないし図4Cは、各検査部品21が、それぞれ僅かな隙間d1を空けた状態で整列している様子を示している。
【0045】
そして、この状態で、検査部品21に対して下方向への押圧力が付加されると、すべての検査部品21が同時に下方向へ移動する。複数の検査部品21を同時に下方向へ移動させることで、導電体2aに対して、検査ピン214のすべてを短時間で適切な位置に接触させることができる。
【0046】
以下、図4Aないし図5Bを参照して、検査部品21を上下動させる機構について詳細に説明する。
【0047】
上側回動軸34の中心軸O34と、下側回動軸35の中心軸O35との距離をd2、上側シャフト22の中心軸O22と、下側シャフト23の中心軸O23との距離をd3とすると、d2=d3である。
【0048】
また、上側回動軸34の中心軸O34と、上側シャフト22の中心軸O22との距離をd4、下側回動軸35の中心軸O35と、下側シャフト23の中心軸O23との距離をd5とすると、d4=d5である。
【0049】
以上の関係から理解できるように、検査部品21を上下動させる機構は、平行リンク機構である。すなわち、検査部品21を上下動させる際、上側回動レバー32と、下側回動レバー33とは、平行を保つ。
【0050】
同様に、上側シャフト22の中心軸O22および下側シャフト23の中心軸O23を結ぶ仮想線L1と、上側回動軸34Aの中心軸O34および下側回動軸35Aの中心軸O35を結ぶ仮想線L2とは、平行を保つ。
【0051】
そのため、検査部品21を上下動させる際に、検査部品21がX軸回りに回転することがない。そのため、検査ピン214のすべてを、導電体2aに、適切な位置かつ適切な向きで接触させることができる。
【0052】
なお、上述のとおり、検査ピン214の中間部214aは、柔軟性を有しており、X方向に撓むことができる。そのため、検査部品21を下位置に移動させる際に、検査ピン214と導電体2aのX方向位置が完全に一致していなくとも、中間部214aがX方向に撓むことで、検査ピン214を導電体2aに対して適切に接触させることが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る検査ユニットは、所定方向に並んで配置され、検査体を有する複数の検査部品と、前記検査部品間に配置され、前記検査部品同士を互いに離間させる方向に付勢する付勢部材と、複数の前記検査部品を前記所定方向とは異なる方向に同時に移動させる回動機構と、を備える。
【0054】
これにより、検査ピン同士の隙間を調整した状態で、複数の検査ピンを同時に、積層体に対して適切な向きで当接させることができる。そのため、積層体の導電体に対して、複数の検査ピンを短時間で適切に当接させることができる。
【0055】
なお、上述の実施形態では、上側シャフト22および下側シャフト23がそれぞれ検査部品21に対して回動可能かつ上側回動レバー32および下側回動レバー33に対して回動しないものを例に説明を行ったが、これに限定されない。
【0056】
具体的には、例えば、上側シャフト22および下側シャフト23を検査部品21に対して回動しないものとすることができる。この場合、上側シャフト22および下側シャフト23は、上側回動レバー32および下側回動レバー33に対して回動可能とすればよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、上側回動軸34および下側回動軸35がそれぞれ支持ベース部31に対して回動可能かつ上側回動レバー32および下側回動レバー33に対して回動しないものを例に説明を行ったが、これに限定されない。
【0058】
具体的には、例えば、上側回動軸34および下側回動軸35を支持ベース部31に対して回動しないものとすることができる。この場合、上側回動軸34および下側回動軸35は、上側回動レバー32および下側回動レバー33に対して回動可能とすればよい。
【0059】
また、この場合、検査ユニット20を上位置に付勢する手段は、上側回動レバー32、下側回動レバー33または検査部品21を直接付勢するように設けられればよい。
【0060】
なお、上述の実施形態では、検査部品21の貫通孔41および42にブシュ212を圧入したものを例に説明を行ったが、これに限定されない。以下、検査部品の貫通孔の変形例について、図6Aないし図6Cを用いて説明する。
【0061】
図6Aは、変形例に係る検査部品51の側面図である。図6Bは、図6Aの6B-6B断面図である。図6Cは、図6Aの6C-6C断面図である。
【0062】
図6Bに示すように、検査部品51の本体511には、X方向に貫通する、段付きの貫通孔61および62が設けられている。検査部品51は、本体に設けられた貫通孔が段付きの貫通孔である点、および、当該貫通孔にブシュが配置されていない点を除き、上述の検査部品21と同様の構成である。
【0063】
貫通孔61および62は、大径内周面71と、小径内周面72と、大径内周面71および小径内周面72を連結する端面73と、を備える。弾性体24の端面は、端面73に当接する。
【0064】
検査部品51によれば、本体511に段付きの貫通孔61および62が設けられているため、ブシュを省略することができ、部品点数を削減することができる。
【0065】
(第二実施形態)
図7を参照して、第二実施形態について説明する。図7は、第二実施形態に係る検査装置101の動作を模式的に示す側面断面図である。図7における実線は、検査ユニット120が下位置にある状態を示しており、破線は、検査ユニット120が上位置にある状態を示している。
【0066】
第二実施形態において、検査部品121をX方向に貫通するシャフトは、シャフト122のみである。また、検査部品121は、シャフト122に対してシャフト122の軸回りに相対回転しない。一方、検査部品121は、シャフト122に対してX方向に相対移動可能である。
【0067】
回動レバー132の一端は回動軸134に固着されており、他端はシャフト122に固着されている。回動軸134が自らの中心軸回りに回転することで、検査部品121が図7に示すように回動軸134の軸回りに回動しながら上位置と下位置の間を移動する。
【0068】
第二実施形態に係る検査装置101によれば、検査部品121を上下動させる際に、検査部品121がシャフト122に対してシャフト122の軸回りに相対回転しない。そのため、検査部品121同士の隙間を調整した状態で、複数の検査ピンを同時に、積層体2に対して適切な向きで当接させることができる。
【0069】
(第三実施形態)
図8Aおよび図8Bを参照して、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、第一実施形態と共通する構成を有している。共通する構成については説明を省略する。図8Aおよび図8Bは、第三実施形態に係る検査装置301を模式的に示す断面図である。図8Aは、位置調整が行われる前の状態を示しており、図8Bは、位置調整が行われた後の状態を示している。検査ユニット320は、検査部品をX方向に貫通するシャフトを有していない。
【0070】
検査ユニット320は、複数の第1検査部品321と、第2検査部品421とを備えて構成される。第1検査部品321は、本体331と、2個のブシュ332と、複数の検査ピン333とを備えて構成される。第2検査部品421は、本体431と、複数の検査ピン433とを備えて構成される。
【0071】
第1検査部品321の本体331は、略直方体形状の部材であり、-X側の側面331cから-X方向に延びる上側シャフト部341および下側シャフト部342を有する。また、本体331の+X側の側面331dには、-X方向に凹む上側凹部351および下側凹部352が設けられている。上側凹部351および下側凹部352には、ブシュ332がそれぞれ配置されている。
【0072】
第2検査部品421の本体431は、略直方体形状の部材であり、-X側の側面431cから-X方向に延びる上側シャフト部441および下側シャフト部442を有する。また、本体431は、+X側の側面431dから+X方向に延びる上側シャフト部451および下側シャフト部452を有する。
【0073】
図8Aに示すように、第1検査部品321aの上側シャフト部341および下側シャフト部342には、それぞれ、延長シャフトが継ぎ足され、上側回動レバー532aおよび下側回動レバー533aの他端に対して回動可能かつ軸方向移動可能に支持されている。
【0074】
第1検査部品321aの上側凹部351および下側凹部352には、それぞれ、第1検査部品321bの上側シャフト部341および下側シャフト部342が挿入される。第1検査部品321bの上側凹部351および下側凹部352には、それぞれ、第1検査部品321cの上側シャフト部341および下側シャフト部342が挿入される。
【0075】
第1検査部品321cの上側凹部351および下側凹部352には、それぞれ、第1検査部品321dの上側シャフト部341および下側シャフト部342が挿入される。第1検査部品321dの上側凹部351および下側凹部352には、それぞれ、第2検査部品421の上側シャフト部441および下側シャフト部442が挿入される。
【0076】
第2検査部品421の上側シャフト部451および下側シャフト部452は、それぞれ、上側回動レバー532bおよび下側回動レバー533bの他端に対して回動可能に支持されている。
【0077】
以上のように構成された検査装置301によれば、第2検査部品421が基準位置に位置決めされた状態で、第1検査部品321aが+X方向に押圧され、移動させられる。これに伴い、第1検査部品321および第2検査部品421がX方向に略均等な隙間を開けて整列する。
【0078】
そして、この状態で、第1検査部品321または第2検査部品421に対して下方向の押圧力が負荷されると、すべての第1検査部品321および第2検査部品421が同時に下方向へ移動する。
【0079】
これにより、すべての検査ピンを同時に、積層体に対して適切な向きで当接させることができる。
【0080】
(第四実施形態)
図9Aおよび図9Bを参照して、第四実施形態について説明する。第四実施形態は、第二実施形態と共通する構成を有している。共通する構成については説明を省略する。図9Aおよび図9Bは、第四実施形態に係る検査装置601を模式的に示す断面図である。図9Aは、位置調整が行われる前の状態を示しており、図9Bは、位置調整が行われた後の状態を示している。
【0081】
検査ユニット620は、複数の検査部品621と、シャフト622とを備えて構成される。検査部品621は、本体631と、ブシュ632と、複数の検査ピン633とを備えて構成される。
【0082】
検査部品621の本体631は、略直方体形状の部材であり、-X側の側面631cから-X方向に延びるシャフト部641を有する。また、本体631の+X側の側面631dには、-X方向に凹む凹部651が設けられている。凹部651には、ブシュ632が配置されている。
【0083】
検査部品621aのシャフト部641には、シャフト622が継ぎ足され、回動レバー732aの他端に対して軸方向移動可能に支持されている。回動レバー732aは、シャフト622に対してシャフト622の軸回りに相対回転しない。
【0084】
検査部品621a、621b、621cおよび621dの凹部651には、それぞれ、検査部品621b、621c、621dおよび621eのシャフト部641が挿入される。検査部品621a、621b、621c、621dおよび621eは、シャフト部641回りに相対回転しない。
【0085】
検査部品621eの凹部651には、シャフト622が挿入され、回動レバー732bの他端に対して軸方向移動可能に支持されている。回動レバー732bは、シャフト622に対してシャフト622の軸回りに相対回転しない。
【0086】
以上のように構成された検査装置601によれば、検査部品621eが基準位置に位置決めされた状態で、検査部品621aが+X方向に押圧され、移動させられる。これに伴い、検査部品621がお互いに略均等な隙間を開けて整列する。
【0087】
そして、この状態で、検査部品621に対して下方向の押圧力が負荷されると、すべての検査部品621が、お互いの位置関係を保ったまま、同時に下方向へ移動する。これにより、すべての検査ピンを同時に、積層体に対して適切な向きで当接させることができる。また、検査部品として、共通部品を用いることで、部品点数の削減が可能となる。
【0088】
なお、上述の第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態および第四実施形態は、必要に応じて適宜組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示に係る検査ユニットおよび検査装置によれば、検査対象に対して、検査部品を短時間で適切な位置に配置することができ、産業上の利用可能性は多大である。
【符号の説明】
【0090】
1 検査装置
2 積層体
2a 導電体
3 ケース
10 ベース部
11 開口
20 検査ユニット
21、21a、21b、21c、21d、21e 検査部品
211 本体
211a 上面
211b 下面
211c、211d 側面
211e 前面
211f 後面
212 ブシュ
214 検査ピン(検査体)
214a 中間部
22 上側シャフト
23 下側シャフト
24 弾性体(付勢部材)
31、31A、31B 支持ベース部
32、32A、32B 上側回動レバー
33、33A、33B 下側回動レバー
34、34A、34B 上側回動軸
35、35A、35B 下側回動軸
36 ねじりばね
41、42、43 貫通孔
44 穴
51 検査部品
511 本体
61、62 貫通孔
71 大径内周面
72 小径内周面
73 端面
101 検査装置
120 検査ユニット
121 検査部品
122 シャフト
132 回動レバー
134 回動軸
301 検査装置
320 検査ユニット
321、321a、321b、321c、321d 第1検査部品
331 本体
331c、331d 側面
332 ブシュ
333 検査ピン
341 上側シャフト部
342 下側シャフト部
351 上側凹部
352 下側凹部
421 第2検査部品
431 本体
431c、431d 側面
441、451 上側シャフト部
442、452 下側シャフト部
433 検査ピン
532a、532b 上側回動レバー
533a、533b 下側回動レバー
601 検査装置
620 検査ユニット
621、621a、621b、621c、621d、621e 検査部品
622 シャフト
631 本体
631c、631d 側面
632 ブシュ
633 検査ピン
641 シャフト部
651 凹部
732a、732b 回動レバー
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9A
図9B