(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】微点灯防止機能付き照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/375 20200101AFI20220519BHJP
H05B 45/40 20200101ALI20220519BHJP
【FI】
H05B45/375
H05B45/40
(21)【出願番号】P 2018129487
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000126274
【氏名又は名称】株式会社アイ・ライティング・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】松本 稔
(72)【発明者】
【氏名】藤野 秀一
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243479(JP,A)
【文献】特開2010-272846(JP,A)
【文献】特開2016-149262(JP,A)
【文献】特開2008-130438(JP,A)
【文献】国際公開第2015/124520(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102325415(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を直列に接続して形成される該発光素子の直列回路部と、
前記発光素子を載せた基材部と、
前記発光素子の直列回路部の高電位側および低電位側の2つの端子を結んでいる高電位側のバイパスコンデンサーおよび低電位側のバイパスコンデンサーからなる直列回路部と、
を備える照明器具であって、
複数の前記発光素子は、該発光素子と前記基材部との間に浮遊容量をそれぞれ形成し、
前記発光素子の直列回路部は、一つの前記発光素子又は連続する複数の前記発光素子を含む複数のグループを有し、また、隣り合う前記グループ同士の接続部を漏れ電流バイパスポイントとして有し、
前記バイパスコンデンサーの直列回路部は、前記漏れ電流バイパスポイントの数だけ設けられ、
前記漏れ電流バイパスポイントは、対応する前記バイパスコンデンサーの直列回路部における高電位側および低電位側のバイパスコンデンサー同士の接続部に接続されており、
前記発光素子の直列回路部における高電位側の端子から、各々の前記グループに含まれる発光素子の前記浮遊容量に向けて流れる漏れ電流の値の総和が、該グループに含まれる発光素子を微点灯させる電流値よりも小さくなるように、前記グループに含まれる発光素子の数が定められていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
請求項1記載の照明器具において、
高電位側および低電位側の前記バイパスコンデンサーのうちの少なくとも一方には、該バイパスコンデンサーに対して並列に抵抗が接続されていることを特徴とする照明器具。
【請求項3】
請求項1または2記載の照明器具において、さらに、
前記発光素子の直列回路部へ点灯電流を供給可能な電源部を備え、
前記電源部は、外部の交流電源に接続可能に設けられていることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力オフ後の発光素子の微点灯を防止または抑制することができる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明用光源としてHIDランプに代えてLEDランプを用いるケースが増えている。HIDランプの点灯用に開発された電源装置(安定器)をLED照明器具の点灯用電源装置として用いる場合は、HIDランプの放電電圧よりもLEDの順方向電圧(Vf)が低いことから、多数のLEDを直列に接続した光源を用いて、点灯電圧がHIDランプの放電電圧と同レベルになるようにしている。動作電流が少なくなるので、電流の二乗に比例する回路損失も小さくなり、高効率のLED点灯用電源装置となる。
【0003】
しかし、LEDランプの場合、LEDランプと、接地された放熱器との間には、いわゆる浮遊容量が形成されることから、電源装置の出力をオフした場合に漏れ電流がLEDランプに流れて、LEDランプが微点灯してしまうという問題点があった。
【0004】
特許文献1には、漏れ電流によるLEDランプの点灯を防止する回路構成が示されているが、LED発光素子に並列接続させなければならないコンデンサーの数が多く、仮にコンデンサーの接続不良が一か所でも発生すると、再び微点灯が生じてしまうという問題点があった。
【0005】
特許文献2にも、漏れ電流によるLEDランプの点灯を防止する回路構成が示されているが、電源回路の出力端子(+側および-側)に対して、非対称な回路構成になっているため、入力交流電源の瞬時極性によっては、微点灯が発生し易くなってしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8および
図9に示すように、LED電源回路に交流電源が供給されている状態で、LED電源回路の出力をオフしたときに、LED照明器具の発光素子と、大地に接地された放熱器(基材部)との間の静電容量によって漏れ電流が発生し、発光素子が微点灯する現象がある。漏れ電流の流れを図中に矢印で示す。
図8と
図9との違いは、LED電源回路に電力を供給する交流電源の瞬時極性の違いである。
【0008】
図7に、LED照明器具の発光素子と、大地に接地された放熱器との間の静電容量C0によって漏れ電流が発生し、LED照明器具の発光素子が微点灯する原理を模式的に示す。ハイサイド側から1番目の発光素子(LED)と放熱器との間に形成される静電容量C0は、1番目の発光素子の隣りのコンデンサーの回路記号で示される。2番目以降の発光素子についての静電容量C0も同様である。個々の静電容量C0、すなわち浮遊容量への漏れ電流I0が発光素子の数だけ累積することにより、発光素子を微点灯させる電流レベルに到達して発光してしまうという問題点があった。
図7では、直列接続された6つの発光素子のうちのハイサイド側の1番目から4番目までの発光素子には、発光素子を微点灯させる電流レベル(I0の3倍)以上の蓄積された漏れ電流が流れるので、これらの発光素子は微点灯する。
【0009】
電源回路による点灯電流の供給が停止されると、漏れ電流I0が発生する。外部の交流電源の瞬時極性が正である期間は、漏れ電流I0は、
図8のように電源回路のハイサイド側の出力端から、各々の発光素子の浮遊容量C0に向けて流れる。外部の交流電源の瞬時極性が負である期間は、漏れ電流I0は、
図9のように各々の発光素子の浮遊容量C0から、電源回路のローサイド側の出力端に向けて流れる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電源回路に交流電源が供給されている状態で電源回路の出力をオフした場合に、LED照明器具の発光素子が微点灯することを防止または抑制することができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の動作原理を
図1の回路構成の一例を用いて説明する。
複数の発光素子からなる直列回路部の途中に、漏れ電流のバイパスポイントを適宜設けて、漏れ電流の一部がバイパスコンデンサーC11~C14を通ってバイパスポイントに流れるようにして、漏れ電流の一部が幾つかの発光素子をバイパスするように構成した。なお、
図1では、動作原理を分かり易くするために降圧コンバータ(電源回路)の代わりの抵抗Rを表示している。
【0012】
図1に示すように、交流電源の瞬時極性が正である期間は、電源回路のハイサイド側からの漏れ電流(I0×6)が生じる。漏れ電流の一部(I0×2)は、分岐点P1から高電位側のバイパスコンデンサーC11に向けて流れて、発光素子の直列回路部における2つ目のバイパスポイントBP2に達する。同様に、分岐点P3からも漏れ電流の一部(I0×2)が高電位側の別のバイパスコンデンサーC13に向けて流れて、発光素子の直列回路部における1つ目のバイパスポイントBP1に達する。それぞれのバイパスポイントに達した漏れ電流は、対応する発光素子についての浮遊容量COを通って基材部に流れることになる。
【0013】
また、交流電源の瞬時極性が負である期間は、交流電源からの漏れ電流(I0×6)が接地ルートを通って基材部に流れる。そして、各々の発光素子における浮遊容量COを逆向きに漏れ電流I0が流れることになる。漏れ電流の一部(I0×2)は、発光素子の直列回路部における2つ目のバイパスポイントBP2から低電位側のバイパスコンデンサーC12に向けて流れて、合流点P2を通って電源回路のローサイド側に達する。同様に、漏れ電流の他の一部(I0×2)は、発光素子の直列回路部における1つ目のバイパスポイントBP1から低電位側の別のバイパスコンデンサーC14に向けて流れて、合流点P4を通って電源回路のローサイド側に達する。
【0014】
このように、漏れ電流の一部が、バイパスポイントとバイパスコンデンサーとで形成されたバイパスルートを通ることで、発光素子をバイパスすることになる。この結果、漏れ電流の累積数が少なくなって、発光素子を流れる漏れ電流は、その発光素子が微点灯しない程度までしか累積されず、発光素子の微点灯を防止することができる。
バイパスコンデンサーに流れる電流は、発光素子を通常に発光させる際の点灯電流に比べて、無視できる大きさの電流値である。
【0015】
また、発光素子間のバイパスポイントに接続されたバイパスコンデンサーによる弊害として、電源回路の出力をオフ、または、外部の交流電源をオフした場合に、数秒間、発光素子が微点灯を継続してしまうが、これについては、バイパスコンデンサーに並列に抵抗を接続することによって解決することが可能である。
【0016】
すなわち、本発明に係る照明器具は、
複数の発光素子を直列に接続して形成される該発光素子の直列回路部と、
前記発光素子を載せた基材部と、
前記発光素子の直列回路部の高電位側および低電位側の2つの端子を結んでいる高電位側のバイパスコンデンサーおよび低電位側のバイパスコンデンサーからなる直列回路部と、を備え、
複数の前記発光素子は、該発光素子と前記基材部との間に浮遊容量をそれぞれ形成し、
前記発光素子の直列回路部は、一つの前記発光素子又は連続する複数の前記発光素子を含む複数のグループを有し、また、隣り合う前記グループ同士の接続部を漏れ電流バイパスポイントとして有し、
前記バイパスコンデンサーの直列回路部は、前記漏れ電流バイパスポイントの数だけ設けられ、
前記漏れ電流バイパスポイントは、対応する前記バイパスコンデンサーの直列回路部における高電位側および低電位側のバイパスコンデンサー同士の接続部に接続されており、
前記発光素子の直列回路部における高電位側の端子から、各々の前記グループに含まれる発光素子の前記浮遊容量に向けて流れる漏れ電流の値の総和が、該グループに含まれる発光素子を微点灯させる電流値よりも小さくなるように、前記グループに含まれる発光素子の数が定められていることを特徴とする。
【0017】
ここで、高電位側および低電位側の前記バイパスコンデンサーのうちの少なくとも一方には、該バイパスコンデンサーに対して並列に抵抗が接続されていることが好ましい。
さらに、前記発光素子の直列回路部へ点灯電流を供給可能な電源部を備え、前記電源部は、外部の交流電源に接続可能に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の照明器具に上記の内の点灯防止回路により、電源回路に交流電源が供給されている状態で電源回路の出力をオフしたときの、発光素子の微点灯を防止または抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る照明器具の一例である回路構成を用いてその動作原理を説明するための図である。
【
図2】第一実施形態に係る前記照明器具の微点灯防止対策の原理図である(入力交流電力が正の極性である場合)。
【
図3】前記照明器具の微点灯防止対策の原理図である(入力交流電力が負の極性である場合)。
【
図4】第二実施形態に係る照明器具の動作原理(瞬時消灯)を示す図である。
【
図5】第三実施形態に係る照明器具における並列接続による微点灯防止対策の原理図である。
【
図6】変形例に係る照明器具の動作原理を示す図である(単相三線式交流電源を使用した場合)。
【
図7】従来の照明器具における微点灯の動作原理を示す図である。
【
図8】従来の照明器具において微点灯が発生する原理を示す図(正の極性)。
【
図9】従来の照明器具において微点灯が発生する原理を示す図(負の極性)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明に係る照明器具の実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
図2は、三相交流電源30のR相およびS相(接地)に接続されたLED電源回路20、および、LED電源回路20に接続されたLED照明器具10のそれぞれの構成を示す。
【0021】
LED照明器具10は、複数のLED素子を直列に接続して形成された直列回路部14と、複数のLED素子を載せた放熱器12と、LED素子の直列回路部14の高電位側および低電位側の2つの端子を結んでいる高電位側のバイパスコンデンサーおよび低電位側のバイパスコンデンサーからなる直列回路部16と、を備えている。なお、
図2の放熱器12は1枚であるが、複数個の放熱器にLED素子を分配して載せてもよい。また、基板上に複数のLED素子を載せて形成された、いわゆるCOB型やSMD型の発光モジュールを、本発明に係る個々の発光素子とみなして、本発明の照明器具を構成してもよい。
【0022】
複数のLED素子は、該LED素子と放熱器12との間に浮遊容量をそれぞれ形成している。LED素子の直列回路部14は、連続する複数のLED素子を含む複数のグループ(
図2のグループ数は5である。)を有し、また、隣り合うグループ同士の接続部を漏れ電流バイパスポイント(BP1~BP4)として有する。なお、一つのLED素子からなるグループを設ける場合もある。
【0023】
バイパスコンデンサーの直列回路部16は、漏れ電流バイパスポイント(BP1~BP4)の数だけ設けられている。つまり、高電位側のバイパスコンデンサー(C11,C13,C15,C17)および低電位側のバイパスコンデンサー(C12,C14,C16,C18)からなるコンデンサーの直列回路が4組あって、それぞれの直列回路がLED素子の直列回路部14に対して並列に接続されている。
【0024】
漏れ電流バイパスポイント(BP1~BP4)は、高電位側のバイパスコンデンサー(C11,C13,C15,C17)および低電位側のバイパスコンデンサー(C12,C14,C16,C18)の接続部に接続されている。例えば、バイパスポイントBP1は、高電位側バイパスコンデンサーC17と低電位側のバイパスコンデンサーC18の接続部に接続されている。
【0025】
図2中の矢印は、三相交流電源30のR相がS相(接地)に対してプラス電位状態である場合の漏れ電流の流れを示す。つまり、LED電源回路20に交流電源が供給されている状態でLED電源回路20の出力をオフ、つまりFETをオフした時の電流の流れである。FETがオフ状態にあるので、漏れ電流は、R相からブリッジ・ダイオード21を通り、二つの平滑用の電解コンデンサー22,23、LED素子間のバイパスポイント(BP1~BP4)に接続されたパイパスコンデンサー(C11,C13,C15,C17)を通り、それぞれのLED素子の配線パターンと放熱器12間の浮遊容量を通り、放熱器12から大地(アース)を通り、三相交流電源30のS相(接地)に到達する。
【0026】
図3は、
図2と同じ回路構成において、三相交流電源30のR相がS相(接地)に対してマイナス電位状態である場合の漏れ電流の流れを示す。電流はS相(接地)から大地(アース)を通って放熱器12に到達する。それぞれのLED素子の配線パターンと放熱器12間の浮遊容量を通り、LED素子間のバイパスポイント(BP1~BP4)に接続されたバイパスコンデンサー(C12,C14,C16,C18)を通り、LED電源回路20のローサイド(グランドライン)に到達する。さらに、ブリッジ・ダイオード21を通り、三相交流電源30のR相に到達する。
【0027】
LED素子の直列回路部14における各グループに含めるLED素子の数については、次のように定めている。すなわち、LED素子の各グループにおける高電位側のバイパスポイントから、そのグループに含まれるLED素子のそれぞれの浮遊容量に向けて流れる漏れ電流の値の総和が、該グループに含まれるLED素子(例えば、グループ内で最も高電位側にあるLED素子)を微点灯させる電流値よりも小さくなるように、該グループに含まれるLED素子の数を定める。
【0028】
例えば、
図2中のグループ3については、電源回路20のハイサイド側からバイパスコンデンサーC15を通ってバイパスポイントBP2に至る漏れ電流の大きさに着目する。バイパスコンデンサーC15からの漏れ電流の大きさが「I0×2」であるとすれば、その内の「I0×1」の大きさの漏れ電流は、グループ3の高電位側のLED素子と放熱器12との間の浮遊容量を介して放熱器12へと流れる。残りの「I0×1」の大きさの漏れ電流は、高電位側のLED素子を通過して、次のLED素子に向かって流れる。この場合に、高電位側のLED素子を通過する漏れ電流の値が、LED素子を微点灯させる電流値に達していれば、そのLED素子が微点灯してしまうので、LED素子を微点灯させる電流値よりも小さくする必要がある。
【0029】
言換えると、グループ内のLED素子が多数ある場合には、それぞれのLED素子に累積された大きさの漏れ電流が通過することになる。従って、それぞれのLED素子を通過する漏れ電流の大きさが、そのLED素子を微点灯させる電流値よりも小さくなるように、グループ内のLED素子の数を決定すればよい。
【0030】
微点灯防止対策のためにバイパスポイントに接続する漏れ電流バイパスコンデンサーの容量Cは、以下のように算出される。条件として、「コンデンサーのインピーダンス」が「ハイサイドまたはローサイドからバイパスポイントまでのLED素子のインピーダンスの合計」より小さいとする。
1/(ωC)< Vf/If
C >If/(ωVf)
C >If/(2×π×f×Vf)
【0031】
具体例として、次の数値を代入すると、コンデンサー容量Cは下記のようになる。
微点灯電流(If): 1mA、
LED素子(COB型の発光モジュール)の端子間電圧: 30V、
直列LED素子の数: 2個、
電源周波数(f): 60Hz、
とすると、
C > 0.001/(2×3.14×60×30×2)
C > 4.421×10-8
C >≒ 0.05μF
となる。
なお、漏れ電流バイパスコンデンサーの容量Cは、1000pFから1.0μFまでの範囲から選定することが好ましい。容量Cが少な過ぎると微点灯を防止することができなくなる。容量が大き過ぎると高価になるとともに配置スペースが大きくなり過ぎて好ましくない。
【0032】
<第二実施形態>
図4に示す本実施形態のLED照明器具110では、漏れ電流バイパスポイント(BP1~BP4)に設けられたバイパスコンデンサーC(C11~C18)に対してそれぞれ並列に抵抗R(R11~R18)が接続されている。その他の構成は、
図2の構成に共通する。
【0033】
動作方式は前述の実施形態と同じであるが、漏れ電流バイパスコンデンサーCに抵抗Rを加えたことにより、LED電源回路20の出力をオフした時の「消灯するまでの時間」を著しく短縮することができる。
【0034】
消灯するまでの時間を短縮するためにバイパスコンデンサーCに並列に接続する抵抗の数値Rは、次のように算出される。
t = CR(時定数)
R = t / C
【0035】
具体例として、次の数値を代入すると、抵抗値Rは下記のようになる。
消灯時間(t): 1.0秒以下、
容量(C): 0.05μF、
とすると、
R = 1.0 /(0.05×10-6)
= 2.0 × 107
= 20 × 106
= 20 MΩ
となる。なお、抵抗Rは、1MΩから20MΩまでの範囲から選定することが好ましい。
【0036】
このように、バイパスコンデンサーに抵抗Rを並列に接続することにより、バイパスコンデンサーに充電された電荷によって、消灯後も微点灯が続くことを防止または抑制することができる。抵抗Rを並列接続する代わりに、セラミック・コンデンサーの絶縁抵抗を利用することも可能である。
【0037】
<第三実施形態>
図5に本実施形態のLED照明器具210を示す。動作方式は前述の実施形態と同じであり、三相交流電源30およびLED電源回路20については、
図2の構成に共通する。
図5のLED照明器具210では、LED素子の直列接続数を減らし、その分を並列接続に割り振ることによって、漏れ電流ができるだけ累積しないように構成されている。従って、LED電源回路20に交流電源が供給されている状態でLED電源回路20の出力をオフした時に、LED素子が微点灯することを回避することができる。
【0038】
変形例として、単相三線式交流電源130を用いた場合のLED電源回路20との接続方法について
図6に示す。LED照明器具110については
図4の構成と同じである。
【符号の説明】
【0039】
10:LED照明器具(照明器具)
12:放熱器(基材部)
14:LED素子の直列回路部(発光素子の直列回路部)
16:バイパスコンデンサーの直列回路部
20:LED電源回路(電源装置照明器具)
BP:漏れ電流バイパスポイント
C0:LED素子の配線パターンと放熱器との間の浮遊容量
C1(C11~C18):漏れ電流バイパスコンデンサー
R(R11~R18):漏れ電流バイパスコンデンサーに平行に接続された抵抗