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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20220519BHJP
   F24C 15/24 20060101ALI20220519BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20220519BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
F24C1/00 330C
F24C15/24 Z
F24C7/04 A
A47J37/06 371
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018173932
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020046103
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】大矢 敏史
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓太
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036893(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038006(WO,A1)
【文献】実開昭58-016802(JP,U)
【文献】実開昭54-048085(JP,U)
【文献】実開昭53-098212(JP,U)
【文献】実開昭53-090085(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00
F24C 15/24
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理する調理庫と、
前記調理庫内の一方の側壁に取り付けられたヒータとを備え、
前記ヒータは熱源を内蔵した複数の加熱管と、前記複数の加熱管の長手方向の一方の端部と他方の端部に固定されて前記調理庫の側壁に取り付けるための取付板とを備え、前記複数の加熱管の前記一方の端部と他方の端部を前記調理庫の一方の側壁を貫通させた状態で前記取付板を前記調理庫の一方の側壁に固定することによって、前記複数の加熱管を前記調理庫の一方の側壁に取り付けるようにした加熱調理器であって、
前記取付板は少なくとも長手方向の一方の側部と他方の側部の両側が側部固定ねじによって前記調理庫の一方の側壁に固定されており、
前記調理庫の一方の側壁と前記取付板との間には前記加熱管の一方及び他方の端部を挿通させる複数の貫通孔を有したシート状のパッキンが設けられ、
前記シート状のパッキンを前記取付板の側部固定ねじが配置された位置を除くように設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記複数の加熱管の前記一方の端部は前記取付板の長手方向に前記他方の端部と分けて配置されており、
前記シート状のパッキンは前記複数の加熱管の前記一方の端部の周囲に設けた第1パッキン部と、前記複数の加熱管の前記他方の端部の周囲に設けた第2パッキン部とを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
前記第1パッキン部と前記第2パッキン部との少なくとも一方には前記複数の貫通孔の間にスリットを形成したことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理庫内の食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されており、この加熱調理器は、ハウジング内に設けた調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置とを備えている。また、この加熱調理器では、調理庫内はヒータと対流ファンの作動によって熱風が対流するようになっているとともに、調理庫内を対流する熱風には蒸気発生装置から供給される蒸気が供給され、調理庫内に収納した食材はヒータと対流ファンと蒸気発生装置とを作動させたときの蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-261690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の加熱調理器のヒータには管内に熱源を内蔵したシーズヒータが採用され、図12に示した加熱調理器では、3本のシーズヒータ102が環状に曲げられた状態で調理庫100の左側壁101に取り付けられている。3本のシーズヒータ102の長手方向の一方の端部102aと他方の端部102bには取付板102cが固定されており、3本のシーズヒータ102の両側の端部102a,102bを調理庫100の左側壁101を貫通させた状態で、3本のシーズヒータ102は取付板102cによって調理庫100の左側壁101に取り付けられている。取付板102cと調理庫100の左側壁101との間にはシート状のパッキン103が設けられており、調理庫100の左側壁101にてシーズヒータ102が貫通している部分をシールしている。この種の加熱調理器では、取付板102cは調理庫100の左側壁101にて前後に延び、取付板102bは前側部と前後の中央部と後側部の位置でねじ102dによって調理庫100の左側壁101に固定されている。シート状のパッキン103を取付板102bと同じ形状とすることで、取付板102bを調理庫100の左側壁101に密着させてシールしており、シート状のパッキン103は取付板102bの前側部と後側部とを含めてねじ102dが貫通している。
【0005】
調理庫100内をヒータによって加熱したときに、シート状のパッキン103は熱によって長手方向の中心に向かって収縮する。シート状のパッキン103の前側部及び後側部はねじ102dが貫通しているため、シート状のパッキン103は前側部及び後側部で引っ張られた状態で中央部に向けて収縮することで薄くなるだけでなく、シーズヒータ102の端部を貫通させている部分で変形し、シート状のパッキン103が十分なシール機能を発揮できないおそれがあった。本発明は加熱調理器において、ヒータを取り付ける取付板と調理庫の側壁との間に設けたシート状のパッキンのシール機能の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内の一方の側壁に取り付けられたヒータとを備え、ヒータは熱源を内蔵した複数の加熱管と、複数の加熱管の長手方向の一方の端部と他方の端部に設けた取付板とを備え、複数の加熱管の一方の端部と他方の端部を調理庫の一方の側壁を貫通させた状態で取付板を調理庫の一方の側壁に固定することにより、複数の加熱管を調理庫の一方の側壁に取り付けるようにした加熱調理器であって、取付板は少なくとも長手方向の一方の側部と他方の側部の両側が側部固定ねじによって調理庫の一方の側壁に固定されており、調理庫の一方の側壁と取付板との間には加熱管の一方及び他方の端部を挿通させる複数の貫通孔を有したシート状のパッキンが設けられ、シート状のパッキンを取付板の側部固定ねじが配置された位置を除くように設けたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した加熱調理器においては、取付板は少なくとも長手方向の一方の側部と他方の側部の両側が側部固定ねじによって調理庫の一方の側壁に固定されており、調理庫の一方の側壁と取付板との間には加熱管の一方及び他方の端部を挿通させる複数の貫通孔を有したシート状のパッキンが設けられ、シート状のパッキンを取付板の側部固定ねじが配置された位置を除くように設けた。調理庫内をヒータによって加熱したときに、シート状のパッキンが熱によって長手方向の中央部に収縮するが、パッキンの長手方向の両端部にはねじが貫通してないので、パッキンが長手方向の両側で引っ張られないようになり、パッキンが薄くなることによるシール機能の低下を防ぐことができた。また、パッキンが長手方向の両側で引っ張られないので、加熱管の端部が挿通されているパッキンの貫通孔が長手方向に引っ張られないようになり、パッキンの貫通孔と加熱管の端部との間に隙間が生じることによるシール機能を低下させにくくすることができた。
【0008】
上記のように構成した加熱調理器においては、複数の加熱管の一方の端部は取付板の長手方向に他方の端部と分けて配置されており、シート状のパッキンは複数の加熱管の長手方向の一方の端部の周囲に設けた第1パッキン部と、複数の加熱管の長手方向の他方の端部の周囲に設けた第2パッキン部とを備えるのが好ましい。このようにしたときには、パッキンは加熱管の一方の端部の周囲の第1パッキン部と加熱管の他方の端部の第2パッキン部とが分かれていることで互いに引っ張られないようになり、パッキンが薄くなるのをさらに防ぐとともに、パッキンの貫通孔と加熱管の端部との間に隙間が生じることによるシール機能をさらに低下させにくくすることができた。この場合において、第1パッキン部と第2パッキン部との少なくとも一方には複数の貫通孔の間にスリットを形成するのが好ましい。このようにしたときには、第1パッキン部と第2パッキン部との少なくとも一方は複数の加熱管の端部の周囲の間で引っ張られてもスリットが開くようになるため、第1パッキン部と第2パッキン部との少なくとも一方の貫通孔と複数の加熱管の端部との間に隙間が生じるのを一層防ぐことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の加熱調理器の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態とした正面図である。
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図4】A-A断面図である。
図5】B-B断面図である。
図6】調理庫からヒータを分解した状態の斜視図である。
図7】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
図8】制御装置のブロック図である。
図9】第2実施形態の図6に相当する斜視図である。
図10】第3実施形態の図6に相当する斜視図である。
図11】第3実施形態のパッキンを示す図である。
図12】従来の実施形態で調理庫からヒータを分解した状態の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の加熱調理器の実施形態を添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。
【0011】
図2及び図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する収容室21とし、調理庫20の左側部を収容室21に熱風を送り出す加熱室22としている。図3及び図4に示したように、調理庫20の左右方向の中央部より左側にはファンカバー23が設けられており、ファンカバー23は調理庫20内を収容室21と加熱室22とに通風可能に仕切っている。ファンカバー23には多数の孔よりなる吸込口23aが設けられており、収容室21内の空気は吸込口23aを通って加熱室22に送られる。また、ファンカバー23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に通風空間23bが形成されるように調理庫20に取り付けられており、加熱室22の空気は通風空間23bを通って収容室21に送られる。
【0012】
図3及び図4に示したように、調理庫20の収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。各支持フレーム24は前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部と支持するレール24bとを備えている。
【0013】
図3及び図5に示したように、調理庫20の左側部(一方の側部)にはヒータ25と対流ファン27が設けられている。図3図5及び図6に示したように、ヒータ25は調理庫20を加熱するものである。ヒータ25にはシーズヒータが採用され、熱源を内蔵した3本(複数)の加熱管25aと、3本の加熱管25aの長手方向の端部25a1,25a2に固定された取付板25bとを備えている。3本の加熱管25aは調理庫20の左側部にて対流ファン27の外側で環状に曲げられている。3本の加熱管25aの長手方向の一方の端部25a1と他方の端部25a2には熱源が収容されてなく、加熱管25aの長手方向の一方の端部25a1と他方の端部25a2は調理庫20の上部に配置されている。加熱管25aの一方の端部25a1と他方の端部25a2は調理庫20の左側壁を貫通して機械室12内に延び、加熱管25aは機械室12内で電源から供給される配線に接続されている。
【0014】
図6に示したように、加熱管25aの長手方向の一方の端部25a1と他方の端部25a2には取付板25bが溶接によって固着されており、取付板25bは加熱管25aを調理庫20の左側壁に固定するものである。取付板25bは調理庫20の左側壁にて前後方向(水平方向、図6では斜め横方向で示されている)に延び、取付板25bの長手方向となる前側及び後側の側部が側部固定ねじ25cによって固定され、取付板25bの前後方向の中央部が中央部固定ねじ25dによって固定されている。取付板25bは前側の側部、前後方向の中央部及び後側の側部で側部固定ねじ25c及び中央部固定ねじ25dによって固定されており、取付板25bは長手方向の全体で調理庫20の左側壁に密着して取り付けられている。
【0015】
図3及び図6に示したように、調理庫20の左側壁と取付板25bとの間には耐熱性のテフロン(登録商標)樹脂材よりなるシート状のパッキン26が設けられており、パッキン26は調理庫20の左側壁にて加熱管25aの各端部25a1,25a2が貫通している部分をシールする機能を有している。パッキン26は取付板25bと同様に前後方向(水平方向、図6では斜め横方向で示されている)に延び、取付板25bの長手方向の長さより短くなっている。具体的には、パッキン26の前後方向の長さd2は取付板25bの前後方向の長さd1よりも前後の各々でd3,d3の長さで短くなっている。取付板25bの前側及び後側の側部固定ねじ25cが挿通される位置は取付板25bの前後の各端縁からd3よりも短い位置に配置され、パッキン26の前側及び後側の各側部には前側及び後側の側部固定ねじ25cが挿通されないようになっている。パッキン26の前後方向の中央部には上下に丸孔よりなる2つの貫通孔26aが形成され、これらの2つの貫通孔26aには中央部固定ねじ25dが挿通されている。また、パッキン26の前半部(図6で示した状態では左半部)には丸孔よりなる3つの貫通孔26bが形成され、これらの3つの貫通孔26bには加熱管25aの一方の端部25a1が挿通されている。また、パッキン26の後半部(図6で示した状態では右半部)には丸孔よりなる3つの貫通孔26cが形成され、これらの3つの貫通孔26cには加熱管25aの他方の端部25a2が挿通されている。
【0016】
図3及び図5に示したように、対流ファン27は調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20内の空気は対流ファン27の作動によってファンカバー23の吸込口23aを通って収容室21から加熱室22に吸い込まれ、ファンカバー23と調理庫20の各壁との間の通風空間23bを通って加熱室22から収容室21に吹き出される。また、対流ファン27とヒータ25とを同時に作動させると、調理庫20の空気はヒータ25によって加熱された熱風となって対流する。図5に示したように、調理庫20の左側壁には温度センサ28が設けられており、温度センサ28は調理庫20内の温度を検出している。
【0017】
図7に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、調理庫20から排水を流すための排水タンク14の上側に立設している。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は図5に示した調理庫20の蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0018】
図8に示したように、加熱調理器10は制御装置40を備えており、制御装置40は、ヒータ25、対流ファン27、温度センサ28及び蒸気発生装置30に接続されている。制御装置40はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置40は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理する調理プログラムと、調理庫20内を洗浄する洗浄プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン27を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン27と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン27と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、食材の調理に応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間を記憶させた上記の各調理プログラムがROMに予め設定されているとともに、ユーザのニーズに応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間とした各調理プログラムを設定可能となっている。
【0019】
調理プログラムの例えばコンビモード調理プログラムを実行したときには、制御装置40は温度センサ28の検出温度に基づいてヒータ25と対流ファン27と蒸気発生装置30の作動を制御する。調理庫20内の空気はヒータ25と対流ファン27の作動によって熱風となって循環するとともに、循環する熱風には蒸気発生装置30から供給される蒸気が含まれるようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0020】
上記のように構成した加熱調理器10においては、ヒータ25は熱源を内蔵した3本の(複数の)加熱管25aと、3本の加熱管25aの長手方向の一方の端部25a1と他方の端部25a2に固定されて調理庫20の左側壁(一方の側壁)に取り付けるための取付板25bとを備えている。3本の加熱管25aの一方の端部25a1と他方の端部25a2を調理庫20の左側壁(一方の側壁)に貫通させた状態で取付板25bを調理庫20の左側壁に固定することで、3本の加熱管25aは調理庫20の左側壁に取り付けられている。取付板25bは前後方向(水平方向)を長手方向として延びる板金部材よりなり、前後方向の少なくとも前側の側部と後側の側部の両側が側部固定ねじ25cによって調理庫20の左側壁に固定されている。
【0021】
調理庫20の左側壁と取付板25bとの間には加熱管25aの一方及び他方の端部25a1,25a2を挿通させる貫通孔26b,26cを有したシート状のパッキン26が設けられ、シート状のパッキン26は取付板25bの前後の側部を固定する固定ねじ25cが配置された位置を除くように設けられている。具体的には、パッキン26の長手方向となる前後方向の長さd2は取付板25bの前後方向の長さd1よりも前後の各々でd3,d3の長さで短くなっている。取付板25bの前側及び後側の側部固定ねじ25cが挿通される位置は取付板25bの前後の各端縁からd3よりも短い位置に配置され、パッキン26の前側及び後側の各側部には前側及び後側の側部固定ねじ25cが挿通されないようになっている。これによって、調理庫20内をヒータ25によって加熱したときに、シート状のパッキン26が熱によって長手方向となる前後方向の中央部に収縮するが、パッキン26の長手方向となる前後方向の両端部には固定ねじ25cが貫通してないので、パッキン26が前後方向の両側で引っ張られないようになり、パッキン26が薄くなることによるシール機能の低下を防ぐことができた。また、パッキン26が前後方向の両側で引っ張られないので、加熱管25aの各端部25a1,25a2が挿通されているパッキン26の貫通孔26b,26cが長手方向となる前後方向に引っ張られないようになり、パッキン26の貫通孔26b,26cと加熱管25aの各端部25a1,25a2との間に隙間が生じることによるシール機能を低下させにくくすることができた。
【0022】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態の加熱調理器10のパッキン26は、1枚のシート状のパッキン26で調理庫20の左側壁にて3本の加熱管25aの一方の端部25a1と他方の端部25a2の両方の周囲をシールするようにしたものである。図9に示したように、第2実施形態の加熱調理器10においては、パッキン26は、3本の加熱管25aの一方の端部25a1の周囲に設けた第1パッキン部26Aと、3本の加熱管25aの他方の端部25a2の周囲に設けた第2パッキン部26Bとを備えている。第1パッキン部26Aは3本の加熱管25aの一方の端部25a1が並ぶ配置方向に沿って延び、第1パッキン部26Aには一方の端部25a1を挿通させる3つの貫通孔26Abが形成されている。また、第2パッキン部26Bは3本の加熱管25aの他方の端部25a2が並ぶ配置方向に沿って延び、第2パッキン部26Bには他方の端部25a2を挿通させる3つの貫通孔26Acが形成されている。第1及び第2パッキン部26A,26Bは側部固定ねじ25cだけでなく、中央部固定ねじ25dが配置された位置を除くように設けられている。
【0023】
この第2実施形態のパッキン26は、3本の加熱管25aの長手方向の一方の端部25a1の周囲と他方の端部25a2の周囲とで第1及び第2パッキン部26A,26Bに分かれているため、パッキン26は加熱管25aの一方の端部25a1の周囲の第1パッキン部26Aと他方の端部25a2の周囲の第2パッキン部26Bとで引っ張られないようになり、パッキン26が薄くなるのをさらに防ぐとともに、第1及び第2パッキン部26A,26Bの各貫通孔26Ab,26Bbと加熱管25aの端部25a1,25a2との間に隙間が生じることによるシール機能をさらに低下させにくくすることができた
【0024】
(第3実施形態)
図10に示したように、第3実施形態の加熱調理器10のパッキン26は、第2実施形態のパッキン26と同様に、3本の加熱管25aの一方の端部25a1の周囲に設けた第1パッキン部26Aと、3本の加熱管25aの他方の端部25a2の周囲に設けた第2パッキン部26Bとを備えている。図10及び図11に示したように、この第3実施形態の加熱調理器10のパッキン26においては、第1パッキン部26Aには3つの貫通孔26Abの間にスリット26Adが形成され、第2パッキン部26Bには3つの貫通孔26Bcの間にスリット26Bdが形成されている。
【0025】
第1パッキン部26Aの各貫通孔26Abの間にスリット26Adが形成され、第2パッキン部26Bの各貫通孔26Bbの間にスリット26Bdが形成されているので、第2実施形態のように、パッキン26は加熱管25aの一方の端部25a1の周囲の第1パッキン部26Aと他方の端部25a2の周囲の第2パッキン部26Bとで引っ張られるのを防止できるだけでなく、第1パッキン部26Aは3本の加熱管25aの各端部25a1の周囲の間で引っ張られても、スリット26Adが開くようになるため、第1パッキン部26Aは3つの貫通孔26Abが変形するのを防ぐことができ、第2パッキン部26Bは3本の加熱管25aの各端部25a2の周囲の間で引っ張られても、スリット26Bdが開くようになるため、第2パッキン部26Bは3つの貫通孔26Bbが変形するのを防ぐことができた。なお、この実施形態では、第1及び第2パッキン部26A,26Bの両方にスリット26Ad,26Bdを形成したが、本発明はこれに限られるものでなく、第1または第2パッキン部26A,26Bにスリット26Ad,26Bdを形成したものであってもよい。
【0026】
これらの実施形態の加熱調理器10のヒータ25は3つの加熱管25aを備えたものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、ヒータ25は2つ以上(複数)の加熱管25aを備えたものであればよい。
【0027】
これらの実施形態の加熱調理器10のヒータ25は、調理庫20の一方の側壁として、調理庫20の左側壁に取り付けられているが、本発明はこれに限られるものでなく、調理庫20の右側壁または後側壁に取り付けたものであってもよい。
【0028】
これらの実施形態の加熱調理器10のヒータ25の取付板25b及びパッキン26は長手方向として前後方向に延出したものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、ヒータ25の取付板25b及びパッキン26は長手方向として上下方向に延出したものであってもよい。また、ヒータ25を調理庫20の一方の側壁として後側壁に取り付けたときには、ヒータ25の取付板25b及びパッキン26は長手方向として左右方向または上下方向に延出したものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
10…加熱調理器、20…調理庫、25…ヒータ、25a…加熱管、25a1…一方の端部、25a2…他方の端部、25b…取付板、25c…側部固定ねじ、26…パッキン、26A…第1パッキン部、26B…第2パッキン部、26b,26c,26Ab,26Bc…貫通孔、26Ad、26Bd…スリット。
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