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特許7075883外傷治療デバイス圧力監視及び制御システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】外傷治療デバイス圧力監視及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
A61M27/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018503741
(86)(22)【出願日】2016-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 US2016044647
(87)【国際公開番号】W WO2017019939
(87)【国際公開日】2017-02-02
【審査請求日】2019-07-23
(31)【優先権主張番号】62/296,679
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/198,514
(32)【優先日】2015-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517020894
【氏名又は名称】イノベイティブ セラピーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】タミー、 デイビッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、 ティエンニン
(72)【発明者】
【氏名】マーチン、 アラン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バーチフィールド、 ブレント エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハーファム、 レイモンド アール.
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/068665(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276492(US,A1)
【文献】特表2014-533579(JP,A)
【文献】特表2013-517098(JP,A)
【文献】国際公開第2009/071926(WO,A1)
【文献】特表2015-511150(JP,A)
【文献】特表2011-505888(JP,A)
【文献】特開昭58-044025(JP,A)
【文献】特表2009-529971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷包帯と、
圧力センサと、
内部チャンバと第1の取り付け具及び第2の取り付け具を含む第1の容器ポートとを有する容器と、
前記容器の前記内部チャンバと空気的に関連付けられる真空源と、
流路を含む第1の管であって、前記創傷包帯に結合される第1の端部及び前記第1の容器ポートの前記第1の取り付け具に結合される第2の端部を有する第1の管と、
センサ路を含む第2の管であって、前記創傷包帯に結合される第1の端部及び前記第1の容器ポートの前記第2の取り付け具に結合される第2の端部を有する第2の管と、
前記第1の管の前記第2の端部を前記第1の容器ポートの前記第1の取り付け具に、及び前記第2の管の前記第2の端部を前記第1の容器ポートの前記第2の取り付け具に結合するように構成されるアダプタと
を備え、
前記創傷包帯は、記流路によって前記容器の前記内部チャンバと空気的に関連付けられ、
前記創傷包帯は、記センサ路によって前記圧力センサと空気的に関連付けられ傷治療システム。
【請求項2】
前記第2の管は、前記第1の管の内腔の中に配置され、前記第1の管と前記第2の管との間の空間が前記流路を形成する、請求項1に記載の創傷治療システム。
【請求項3】
前記第2の管は前記第1の管内に形成され、前記センサ路は前記第2の管の内腔であり、前記流路は前記第1の管と前記第2の管との間の空間である、請求項2に記載の創傷治療システム。
【請求項4】
前記流路を閉塞するために必要とされる破砕力は、前記第1の管の内腔の中に配置される第2の管を含まない比較管集合の流路を閉塞するために必要とされる破砕力よりも大きい、請求項2又は3に記載の創傷治療システム。
【請求項5】
前記容器は第2の容器ポート及びセンサ管を更に備え、前記センサ管の第1の端部は前記第1の容器ポートの前記第2の取り付け具に連結され、前記センサ管の前記第2の端部は前記第2の容器ポートに連結され、前記圧力センサは記第2の容器ポートと空気的に関連付けられる、請求項2又は3に記載の創傷治療システム。
【請求項6】
前記創傷包帯は第1の創傷包帯であり、前記創傷治療システムは第2の創傷包帯及びyコネクタを更に備え、前記yコネクタの第1のポートは記第1の容器ポートと空気的に関連付けられ、前記yコネクタの第2のポートは前記第1の創傷包帯と空気的に関連付けられ、前記yコネクタの第3のポートは前記第2の創傷包帯と空気的に関連付けられる、請求項の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項7】
前記流路及び前記センサ路は、前記創傷包帯において互いと空気的に関連付けられる、請求項1~の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項8】
前記真空源と空気的に関連付けられる圧力センサを更に備える、請求項1~の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項9】
記センサ路によって前記創傷包帯と空気的に関連付けられる制限器を更に備え、前記制限器は、前記創傷治療システム内に空気を漏出させるように構成され穴を有する、請求項1~の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項10】
前記制限器は、
第1のポート及び第2のポートを有する本体と、
前記本体の前記第1のポートに結合されるキャップであって、穴を有するキャップと、
前記キャップと前記本体の前記第1のポートとの間に配置される多孔質材と
を備え、
空気が前記キャップにおける前記穴からデバイスに入り、前記本体の前記第1のポートに侵入する前に前記多孔質材を通過するように構成される、請求項に記載の創傷治療システム。
【請求項11】
前記制限器は調節可能であり、前記キャップと前記本体との間の連結を締めることが前記多孔質材を圧縮して前記多孔質材を横断するエアフローの速度を減少させる、請求項10に記載の創傷治療システム。
【請求項12】
前記真空源が前記システムに真空を適用すると、前記制限器は、毎分約0.05~01リットルの速度で前記システム内に空気を漏出させる、請求項11の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項13】
真空源は、前記創傷包帯における圧力が実質的に変更されないように、前記システム内に漏出する空気を補償するように構成される、請求項12の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項14】
前記センサ路は、少なくとも0.75mmの断面積を有する、請求項1~13の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項15】
前記第1の管及び前記第2の管を含む管集合は、1つだけのセンサ路を備える、請求項に記載の創傷治療システム。
【請求項16】
前記第1の管及び前記第2の管を含む管集合は、複数のセンサ路を備える、請求項に記載の創傷治療システム。
【請求項17】
前記第1の管及び前記第2の管を含む管集合は第1の管集合であり、前記創傷治療システムは、流路及びセンサ路を有する第2の管集合、並びに前記第1の管集合と前記第2の管集合との間に直列に配置されるバルブを更に備える、請求項に記載の創傷治療システム。
【請求項18】
前記バルブは、開放位置及び閉鎖位置を有し、
前記開放位置において、前記バルブは、前記第1の管集合の前記流路と前記第2の管集合の前記流路との間の連通を許可し、前記第1の管集合の前記センサ路と前記第2の管集合の前記センサ路との間の連通も許可し、
前記閉鎖位置において、前記バルブは、前記第1の管集合の前記流路と前記第2の管集合の前記流路との間の連通を阻害し、前記第1の管集合の前記センサ路と前記第2の管集合の前記センサ路との間の連通も阻害する、請求項17に記載の創傷治療システム。
【請求項19】
前記真空源によって真空が適用されるときに、前記第1の管及び前記第2の管はそれらの形状を維持することができる、請求項1~18の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【請求項20】
前記流路は実質的に妨げられない、請求項1~19の何れか1項に記載の創傷治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、外傷治療デバイス圧力監視及び制御システムに関する。
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、2015年7月29日付で出願され、“WOUND THERAPY DEVICE PRESSURE MONITORING AND CONTROL SYSTEM”と題された米国仮特許出願第62/198,514号、及び2016年2月18日付で出願され、“WOUND THERAPY DEVICE PRESSURE MONITORING AND CONTROL SYSTEM”と題された米国仮特許出願第62/296,679号への優先権を主張する。こうした出願の各々の全体が参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
陰圧創傷治療は、創傷包袋に連結された真空源を含んでいる。ガーゼ、フェルト、フォーム、ビーズ及び/又は繊維を含む様々な多孔質包帯が、半透性カバー及び制御された真空源と併せて使用され得る。創傷滲出液及び創傷から流出する流体を収集するために収集容器が使用される場合が有る。
【0004】
陰圧創傷治療を用いることに加えて、多くのデバイスは付随する創傷の灌漑を利用する。例えば、既知の創傷治癒装置は、創傷に隣接して配置され、半透性且つ可撓性のプラスチックシートによって覆われたポリウレタンフォームから成る多孔質包帯を含んでいる。包帯は、カバー及びフォームによって形成された空洞と連通する流体供給及び流体排出連結部を含んでいる。流体供給は、例えば、創傷に治療を提供するのに使用するために、水性局所抗生物質溶液又は等張食塩水を含み得る流体源に連結されている。流体排出は真空源に連結される。ここで、空洞から流体が除去されて大気中の値より低い圧力が空洞の内側で維持され得る。
【0005】
他のデバイスは、創傷のサイズに切断されて創傷の周辺にホチキス留めされたポリビニル・アルコールフォームを含む創傷包帯の真空シーリング材を用いる。包帯は半透性膜によって覆われているが、吸引及び流体連結部は、フォーム及びカバーによって形成された空洞に皮下導入される小プラスチック管によって提供されている。
【0006】
このようなデバイスは、真空排出と創傷部位への水性薬剤の導入との間の期間を繰り返す。
【0007】
しかしながら、このようなデバイスは、創傷包帯を収集容器に連結する管における閉塞及び静止流体によって引き起こされる問題を解決することができない。
【発明の概要】
【0008】
創傷包帯と、圧力センサと、内部チャンバを有する容器と、内部チャンバと空気的に関連付けられる真空源と、第1の管及び第1の管の内腔の中に配置される第2の管を備える管集合とを備える、創傷治療システムが記載されている。第1の管と第2の管との間の空間は流路を形成し、第2の管の内腔は管集合におけるセンサ路を形成する。創傷包帯は、管集合の流路によって容器の内部チャンバと空気的に関連付けられてもよい。創傷包帯は、管集合のセンサ路によって圧力センサと空気的に関連付けられてもよい。流路を閉塞するために必要とされる破砕力は、第1の管の内腔の中に配置される第2の管を含まない比較管集合の流路を閉塞するために必要とされる破砕力よりも大きい。
【0009】
また、創傷治療の方法において、創傷に包帯を適用するステップであって、包帯は流路及びセンサ路を備える管集合に結合されるステップと、流路に真空を適用するステップであって、真空は創傷から流路に滲出液を引き込むステップと、センサ路によって創傷包帯と空気的に関連付けられる制限器を提供するステップであって、制限器は空気がセンサ路に漏出し得る穴を有するステップと含み、空気が創傷から管集合の流路に滲出液を押し込むことが記載されている。
【0010】
また、空気漏出を生み出すためのデバイスにおいて、第2のポートと連通する第1のポートを有する本体と、本体の第1のポートに結合されるキャップであって、穴を有するキャップと、キャップと本体の第1のポートとの間に配置される多孔質材とを備えるデバイスが記載されている。空気は、キャップにおける穴からデバイスに入り、第1のポートを介して本体に侵入する前に多孔質材を通過するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】陰圧創傷治療システムの様々な構成の概略図を示す。
図1B】陰圧創傷治療システムの様々な構成の概略図を示す。
図1C】陰圧創傷治療システムの様々な構成の概略図を示す。
図2A図1A-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される収集容器の第1の実施形態の斜視図を示す。
図2B図2Aに示された収集容器の上面図を示す。
図2C】線2Cに沿って取られた図2A-2Bに示された収集容器の断面図を示す。
図3A図1A-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される収集容器の第2の実施形態の斜視図を示す。
図3B図3Aに示された収集容器の第2の実施形態の蓋の斜視図を示す。
図3C図3Bに示された蓋の上面図を示す。
図3D】線3dに沿って取られた図3B-3Cに示された蓋の断面図を示す。
図3E】線3eに沿って取られた図3B-3Cに示された蓋の断面図を示す。簡潔のため、(図3Dに示された)患者ポートに連結されたセンサ管は図3Eに示されていない。
図4図1A-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される患者管集合の第1の実施形態の斜視図を示す。
図5図1A-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される患者管集合の第2の実施形態の斜視図を示す。
図6図1A-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される収集容器、創傷包帯及び関連する管類の斜視図を示す
図7】線7に沿って取られた図6に示された収集容器、創傷包帯及び関連する管類の断面図を示す。
図8図1A-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される患者管集合の第1の実施形態の斜視図を示す。
図9】線9に沿って取られた図8に示された調節可能制限器の断面図を示す。
図10図1A-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される患者管集合の第2の実施形態の斜視図を示す。
図11】線11に沿って取られた図10に示された調節可能制限器の断面図を示す。
図12図1B-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用されるアダプタの第1の実施形態の斜視図を示す。
図13図12に示されたアダプタの上面図を示す。
図14】線14に沿って取られた図12-13に示されたアダプタの断面図を示す。
図15A図1B-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用されるガスケットの第1の実施形態の斜視図を示す。
図15B】線15bに沿って取られた図15Aに示されたガスケットの断面図を示す。
図16A図3Bに示された蓋に連結された図12に示されたアダプタの斜視図を示す。
図16B】線16bに沿って取られた図16Aに示された蓋及びアダプタの断面図を示し、(図16Aでは不可視の)図15Aに示されたガスケットを更に含む。
図16C図16Bに示された蓋、アダプタ及びガスケットの詳細断面図を示す。
図17図1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用されるyコネクタサの斜視図を示す。
図18図17に示されたyコネクタの上面図を示す。
図19】線19に沿って取られた図17-18に示されたyコネクタの断面図を示す。
図20】線20に沿って取られた図17に示されたyコネクタの断面図を示す。
図21図1B-1Cに示された陰圧創傷治療システムの構成に使用される(開放位置における)バルブの斜視図を示す。
図22図21に示された(開放位置における)バルブの側面図を示す。
図23】線23に沿って取られた図21に示された(開放位置における)バルブの断面図を示す。
図24】線24に沿って取られた図21に示された(開放位置における)バルブの断面図を示す。
図25】今度は閉鎖位置では示された図21-24のバルブの斜視図を示す。
図26図25に示された(閉鎖位置における)バルブの側面図を示す。
図27】線27に沿って取られた図25に示された(閉鎖位置における)バルブの断面図を示す。
図28】線28に沿って取られた図25に示された(閉鎖位置における)バルブの断面図を示す。
図29図21-28のバルブに使用される筐体の斜視図を示す。
図30】線30に沿って取られた図29に示された筐体の断面図を示す。
図31】線31に沿って取られた図29に示された筐体の断面図を示す。
図32図21-28のバルブに使用されるスライドスイッチの斜視図を示す。
図33図32に示されたスライドスイッチの側面図を示す。
図34図21-28のバルブに使用されるバルブ座の斜視図を示す。
図35】線35に沿って取られた図34に示されたバルブ座の断面図を示す。
図36】線36に沿って取られた図34に示されたバルブ座の断面図を示す。
図37】線37に沿って取られた図34に示されたバルブ座の断面図を示す。
図38図1B-1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用される創傷包帯サブアセンブリの斜視図を示す。
図39図1Cに示された陰圧創傷治療システムに使用されるyコネクタサブアセンブリの斜視図を示す。
図40】比較Aの管集合の側面図を示す。
図41】比較Bの管集合の側面図を示す。
図42】例1の管集合の側面図を示す。
図43】機械試験システム及びサンプル管集合を含む試験設定の側面図を示す。
図44図43の試験設定の正面図を示す。
図45】例示セクションにおけるサンプル管集合を試験するために使用される2つの試験構成を示す。
図46】例示セクションにおけるサンプル管集合を試験するために使用される2つの試験構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
貼付の図面に関連して以下に示された詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載された概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図していない。詳細な説明は、様々な概念の十分な理解を提供する目的で特定の詳細を含んでいる。しかしながら、当業者には、こうした概念がこうした特定の詳細無しで実施され得ることが理解されるであろう。
【0013】
陰圧創傷治療システムの様々な態様が、互いに結合され、取り付けられ、接続され、空気的に関連付けられ、及び/又は連結されるコンポーネントを記載することで示されてもよい。本明細書で用いられる場合、「結合」、「取り付け」、「接続」、「空気的関連」、「連通」、及び/又は「連結」の用語は、2つのコンポーネント間の直接的な接続、又は、適切な場合には、仲介又は中間コンポーネントを介する互いとの間接的な接続を示すために区別しないで用いられる。対照的に、コンポーネントが互いとの「直接結合」、「直接取り付け」、「直接接続」及び/又は「直接連結」されると見なされる場合、前述の例には仲介要素は示されない。
【0014】
図1A-1Cに示されるように、陰圧創傷治療システム100は、マイクロコントローラ101、膜キーパッド及びディスプレイ160、1つ以上の真空ポンプ105及び/又は107、収集容器165、1つ以上の流体バリア129及び/又は113、創傷包帯123、バッテリ127、マフラ128、患者管集合181、調節可能制限器200、ソレノイド177、選択的なオリフィス制限器178、ポンプ圧力センサ109、並びに創傷圧力センサ173を含んでもよい。こうしたコンポーネントは、一連のアダプタ、コネクタ、気送管及び電気ケーブルを介して接続されてもよい。システム100の様々な構成が考えられ、システム100の例示の構成は図1B及び1Cに示されている。また、システム100は、1つ以上のバルブ500、追加創傷包帯123、yコネクタ400及び様々なアダプタ300も含んでもよい。
【0015】
コンポーネントの多くは、ポンプユニット120の一部として設けられ、これは1つ以上のマイクロコントローラ101、膜キーパッド及びディスプレイ160、真空ポンプ105及び/又は107、流体バリア113、バッテリ127、マフラ128、調節可能制限器200、ソレノイド177、オリフィス制限器178、ポンプ圧力センサ109、創傷圧力センサ173、及び関連気送管及び電気ケーブルを含んでもよい。気送管176及び115は、収集容器165をポンプユニット120に接続するために使用される別個のコンポーネントであってもよく、又は、好ましくは、ポンプユニット120の内側に設けられてもよい。ポンプユニット120は、気送管115に連結する真空ポート及び気送管176に連結するセンサポートを有してもよい。気送管176及び115がポンプユニット120の内側に設けられる場合、ポンプユニット120は、キャニスタ165と結合する気送管115の端部に真空ポートと、キャニスタ165と結合する気送管176の端部にセンサポートとを有してもよい。
【0016】
(コントローラ)
図1A-1Cに示されるように、陰圧創傷治療システム100は、一般に、埋め込みマイクロプロセッサ102を有するマイクロコントローラ101、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)103、及びリード・オンリー・メモリ(ROM)104を含む。ROM104は、制御アルゴリズム150に関するプログラミング命令を保持する。ROM104は、不揮発性であってもよく、電源が切られたときにそのプログラミングを保持してもよい。RAM103は、例えば、圧力測定値、アラームカウント等の変数を記憶するために制御アルゴリズム150によって利用され、制御アルゴリズム150は真空を生成し且つ維持している間にこれを使用する。
【0017】
(真空源)
マイクロコントローラ101は、それぞれ電気ケーブル106及び108を介して第1の真空ポンプ105及び選択的な第2の真空ポンプ107に電気的に関連付けられ、その動作を制御する。また、システムのエアフローを増加させるために、追加の真空ポンプが含まれてもよい。システム100で使用される電気ケーブルは、多導体リボンケーブル又はフラット・フレキシブル・ケーブル(FFC)、又は2つ以上のシステムコンポーネント間の通信を可能にする任意のケーブルであってもよい。第1の真空ポンプ105及び選択的な第2の真空ポンプ107は、例えば、Hargraves(R)及びThomas(R)の商標で売られているポンプを含む多くのタイプの中の1つであってもよい。真空ポンプ105及び107は、例えば、往復式隔膜又はピストンを使用して真空を生成してもよく、典型的には、信頼性及び寿命を増加させるためにブラシレス整流子を選択的に使用し得るDCモータによって駆動される。また、真空ポンプ105及び107は、例えば、回転ポンプ及び隔膜ポンプのハイブリッドである回転隔膜ポンプであってもよい。一部の実施形態は真空源として1つ以上のポンプを含むが、システム100は、絞りバルブ、バネ荷重吸引デバイス、又は圧力調整器/コントローラを有する病院で供給される「壁面吸引」を含む任意のタイプの真空源を使用してもよい。
【0018】
真空ポンプ105及び/又は107は、周囲環境の気圧と比較して低い絶対値を有する圧力である真空圧力を生成することが可能であってもよい。真空ポンプ105及び/又は107は、大気圧より低い約70mmHgから大気圧より低い約150mmHgの範囲の真空圧力を生成することが可能であってもよい。ここで、大気圧より低い150mmHgの真空圧力は、大気圧より低い70mmHgの真空圧力と比較して強い真空である。例えば、標準大気圧の760mmHgで、真空ポンプ105及び/又は107は、約610mmHgから約690mmHgの範囲の絶対値を有する真空圧力を生成する。ここで、610mmHgの真空圧力は690mmHgの真空圧力と比較して強い真空である。更に、真空ポンプ105及び/又は107は、この範囲外の真空圧力を生成することが可能であってもよい。例えば、真空ポンプ105及び/又は107は、大気圧以下の約50mmHgから大気圧以下の約200mmHgの範囲の真空圧力を生成することが可能であってもよい。
【0019】
音響マフラ128が、空気排出管138を介して真空ポンプ105及び/又は107の排出ポートと空気的に関連付けられてもよく、ポンプの動作中に生成される排出ノイズを低減するように構成される。また、活性炭臭気トラップが、空気排出管138を介して真空ポンプ105及び/又は107の排出ポートに関連付けられてもよい。
【0020】
陰圧創傷治療システム100の通常動作において、第1の真空ポンプ105(及び選択的に1つ以上の追加の真空ポンプ、例えば、第2の真空ポンプ107)が、初期の又は「ドローダウン(draw-down)」真空を生成するために使用されてもよく、一方で選択的な第2の真空ポンプ107が、システム100内の所望の真空を維持して、漏出又は圧力変動を補償するために使用されてもよい。第2の真空ポンプ107は、第1の真空ポンプ105よりも小さく且つ静かであってもよく、患者を著しく不安にさせることなく所望の圧力を維持するための手段を提供する。
【0021】
(ディスプレイ)
膜キーパッド及びディスプレイ160が、電気ケーブル164を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連付けられてもよい。膜スイッチ161が電力制御を提供する一方で、膜スイッチ162は所望の真空レベルを事前設定するために使用されてもよい。発光ダイオード(LED)163が、収集容器165の流体レベル及び創傷包帯123の漏出に関連付けられるアラーム状態を示すために提供されてもよい。好ましくは、LCDディスプレイが、アラーム状態を示すためにLED163の代わりに使用され得る。
【0022】
(電力)
システム100は、外部電源によって駆動されてもよい。陰圧創傷治療システム100の携帯動作を可能にするためにバッテリ127が選択的に提供される。バッテリ127は、リチウムイオン、ニッケル水素(NiMH)、ニッケルカドミウム(NiCd)又は同等物であってもよく、電気ケーブル136及び137を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連付けられる。外部電源が利用可能である間、バッテリ127はマイクロコントローラ101と関連する回路によって充電され、典型的には、定電圧ACアダプタによって供給される。外部電源が利用可能ではなく、ユニットが携帯モードで動作することになる場合、バッテリ127が陰圧創傷治療システム100に電力を供給する。
【0023】
(収集容器)
陰圧創傷治療システム100は、収集容器165を含む。図2A-2Cには収集容器165の第1の実施形態が示されており、図3Aには収集容器165の第2の実施形態が示されている。収集容器165は、流体及び滲出液が流出する内部チャンバ166を含んでいる。収集容器165は、キャニスタ、インライン管、又は滲出液を収集可能な任意の容器であってもよい。収集容器165の容量は変化してもよい。収集容器165は、(図3Aに示される)シリンダ、(図2Aに示される)反転円錐台、又は任意の数の他の形状として形成されてもよい。好ましい実施形態では、収集容器165は、実質的にシリンダ状であってもよい。一部の実施形態では、収集容器165の容量は、約300mLから約1200mLの間であってもよい。創傷部位の止血がまだ成されていないときに、患者の偶発放血を防ぐために、収集容器165は約1500mLを超えない容量を有することが好ましい。
【0024】
図2A-2C及び3A-3Eに示された実施形態は、収集容器165に3つの開口、即ち、患者ポート167、真空ポート168、及びセンサポート169を有する。しかしながら、より少ない又は追加の開口も考えられる。図2A-2C、6及び7では、患者ポート167、真空ポート168及びセンサポート169は、収集容器165上に直線的に配置されている。しかしながら、他のポート配置も可能である。例えば、患者ポート167、真空ポート168及びセンサポート169は、図3A-3Eに示されるように収集容器165上に三角形を形成してもよい。有益に、真空ポート168及びセンサポート169は、追加の空気管を使用せずにポンプユニット120上のポートに直接連結できるように、収集容器165上に配置されてもよい。真空ポート168及び/又はセンサポート169は、収集容器がポンプユニット120に連結することを可能にするロック機構168a(例えば、ポンプユニット120上のポートの1つにおけるラッチを受け入れる溝)を含んでもよい。しかしながら、(図1A-1Cに示された)ポンプユニット120外の空気管176、115は、収集容器165上の真空ポート168及びセンサポート169をポンプユニット120上のポートに連結するためにも使用されてもよい。
【0025】
収集容器165の内部チャンバ166は、収集容器165の真空ポート168に連結される管115を介して真空ポンプ105及び/又は107と空気的に関連付けられてもよい。管115は、“T”コネクタ111及び112を介して第1の真空ポンプ105及び選択的な第2の真空ポンプ107に連結されてもよい。
【0026】
流体バリア129が、収集容器165に提供されてもよい。流体バリア129は、真空ポート168に近接してもよく、収集容器165に収集された流体が真空ポート168を介して管115に流出して、潜在的に真空ポンプ105及び107に損傷を与えることを防ぐように構成されてもよい。流体バリア129は、Porex(R)の商標で利用可能なもの等の多孔質ポリマー疎水性フィルタであってもよい。代替的に、流体バリア129は、機械的フロート設計を有してもよく、又はGoreTexTMの商標で利用可能なもの等の疎水性材料の1つ以上の膜を有してもよい。第2のバリア113は、流体バリア129が意図したように動作しないときに、システム100への流体侵入を防ぐために管115のラインに提供され得る疎水性部材を含んでもよい。流体バリア129は、図1A-1Cに示された収集容器165の外側に含まれてもよく、又は収集容器165の内部チャンバ166の内側に配置されてもよい。好ましくは、流体バリア129は、図3Eに示されるように収集容器165の蓋165aに連結されてもよい。
【0027】
収集容器165の患者ポート167は、第1の取り付け具195及び第2の取り付け具194を含んでもよい。図2A-2C及び3A-3Eの例示的な実施形態に示されるように、第2の取り付け具194は第1の取り付け具195の内側に配置されてもよく、ウェブ196が第1の取り付け具195及び第2の取り付け具194を連結する。第2の取り付け具194の内壁はセンサ路171を形成し、第1の取り付け具195と第2の取り付け具194との間の空間が流路172を形成する。図7に示されるセンサ管190は、収集容器165に結合されてもよく、患者ポート167のセンサ路171を介するエアフローが内部チャンバ166における空気から分離されたままになるように、患者ポート167の第2の取り付け具194をセンサポート169に連結する。図7にはセンサ管190は別個の管として示されているが、センサ管は、1つ以上の収集容器165、管176、又は患者管集合181の第2の管182と一体形成され、又はその一部として設けられてもよい。
【0028】
収集容器165は、(第1の実施形態、図2A-2Cに示されるように)単一のコンポーネントとして形成されてもよく、又は好ましくは、収集容器165は、(第2の実施形態、図3Aに示されるように)蓋165a及びベース165bのアセンブリであってもよい。収集容器165が蓋165a及びベース165bのアセンブリである場合、蓋165a及びベース165bは合わせて内部チャンバ166を含んでもよい。収集容器165の第2の実施形態の蓋165aは図3B-3Eに示されている。蓋165aにはスナップ165cが含まれてもよく(図3Eを参照)、これは蓋165a及びベース165bが使用中に分離されることを防ぐために、ベース165bにおける溝とインターロックする(代替的に、ベース165bにおけるスナップは蓋165aにおける溝とインターロックしてもよい)。蓋165aとベース165bとの間にシーリングを提供するために、追加のリブ165d又はシーリングリング165eが蓋165a又はベース165bに含まれてもよい。患者ポート167、真空ポート168及び/又はセンサポート169は、収集容器165の蓋165a又はベース165bの何れかに設けられてもよい。好ましくは、患者ポート167、真空ポート168、センサポート169、センサ管190及び流体バリア129は、図3A-3Eに示されるように全て蓋165aに設けられてもよい。
【0029】
収集容器165は、患者管集合181が(第1の実施形態、図2A-2Cに示されるように)患者ポート167に直接連結されることを許可するように構成されてもよく、又は好ましくは、収集容器165は、患者管集合181が(第2の実施形態、図3A-3Eに示されるように)アダプタ300を介して患者ポート167に連結することを許可するように構成されてもよい。患者ポート167がアダプタ300を介して患者管集合181に連結するように構成され、1つ以上のピン167aが第1の取り付け具195の外面に含まれてもよい。ピン167aは、アダプタ300上の1つ以上のスロット329とインターロックすることが可能であってもよい。
【0030】
(創傷包帯)
創傷包帯123は、滅菌多孔質基体131、半透性接着カバー132、選択的な流入ポート134、及び吸気ポート135を含んでもよい。多孔質基体131は、ポリウレタンフォーム、ポリビニル・アルコールフォーム、ガーゼ、フェルト、又は任意の他の適切な材料であってもよい。半透性接着カバー132は、Avery Dennison(R)の商標で販売される材料から作られ、又はDermaMed(R)によって作られる接着フィルム製品であってもよい。半透性接着カバー132には2つの開口、即ち、流入ポート134及び吸気ポート135が有ってもよい。吸気は、吸気ポート135を介して創傷包帯123に適用されてもよい。灌漑流体は、全体が参照によって本明細書に援用される米国特許7,608,066において更に検討されるように、流入ポート134を介して創傷包帯123に適用されてもよい。灌漑流体が望ましくない場合、流入ポート134は、創傷包帯123から省略されてもよい。
【0031】
図7に示されるように、創傷包帯123が患者に適用される場合、半透性接着カバー132は、創傷包帯123の周辺の患者の皮膚とのシーリングを形成して、半透性接着カバー132及び創傷124によって囲まれる空洞を生成する。半透性接着カバー132の周辺は、創傷の周辺の患者の皮膚に対してシーリングされ得る。多孔質基体131は、創傷124と半透性接着カバー132との間に配置される。多孔質基体131は創傷124に接触してもよいが、創傷124の表面が平坦ではないかもしれないので、多孔質基体131は、創傷124の全表面積に接触しなくてもよい。
【0032】
吸気ポート135を介して創傷包帯123に真空が適用されると、空洞に真空が維持される。多孔質基体131は、創傷床の全体を通じて均等に真空圧力を分配させて、空洞の崩壊を防ぐように空洞内に設けられる。多孔質基体131は、粒状組織の形成を促進して、創縁を接近させるのに適した機械特性を有する。更に、創傷包帯123に真空が適用されると、多孔質基体131は、創傷の細胞レベルでのミクロ及びマイクロ変形を生成して、様々な成長因子及び他のサイトカインの生成を刺激し、細胞増殖を促進する。
【0033】
(患者管集合)
図6-7に示されるように、創傷包帯123の吸気ポート135は、収集容器165と空気的に関連付けられてもよい。更に、創傷圧力センサ173、ソレノイド177、オリフィス制限器178及び調節可能制限器200が、典型的には、収集容器165の患者ポート167及びセンサポート169を連結するセンサ管190並びにセンサポート169に連結される管176の1つ以上と併せて、患者管集合181によって創傷包帯123と空気的に関連付けられてもよい。患者管集合181は、創傷包帯123に吸引を適用するために収集容器165の内部チャンバ166と創傷包帯123を空気的に関連付けて、流体が創傷124から収集容器165に移動するための経路を提供する流路189を含んでもよい。患者管集合181は、創傷包帯123を1つ以上の創傷圧力センサ173、ソレノイド177、オリフィス制限器178、及び調節可能制限器200と空気的に関連付けるセンサ路188を含んでもよい。流路189及びセンサ路188は、複数の管から形成されてもよい。
【0034】
患者管集合181は、図4に示される管内管(tube-within-a-tube)設計を有してもよく、第1の管185及び第2の管182を含む。第2の管182は、第2の管182が内管になり且つ第1の管185が外管になるように第1の管185の内腔の中に配置されてもよい。第2の管182は、患者端部183及びデバイス端部184を有する。第1の管185は、患者端部186及びデバイス端部187を有する。
【0035】
第2の管182及び第1の管185は、円形、楕円形、長方形、方形、又は任意の他の形状を含む断面図形状を有してもよいが、実質的に円形の断面図形状が好ましくてもよい。好ましくは、第1の管185及び第2の管182は、同じ長さを有してもよい。患者管集合181の全長は変化してもよい。創傷包帯123に連結される患者管集合181は、他のコンポーネントを連結するのに使用される患者管集合181よりも長くてもよい。例えば、バルブ500と創傷包帯123を連結するために使用される患者管集合181は、アダプタ300とバルブ500を連結するために使用される患者管集合181よりも長くてもよい。
【0036】
従って、患者管集合181は、2つの経路を含んでもよい。第2の管182の内腔は、創傷包帯123を1つ以上の創傷圧力センサ173、ソレノイド177、オリフィス制限器178、及び調節可能制限器200と空気的に関連付けるセンサ路188を含んでもよい。第1の管185の内面と第2の管182の外面との間の空間は、流路189を形成してもよい。流路189は、収集容器165の内部チャンバ166と創傷包帯123を空気的に関連付ける。
【0037】
使用中、患者管集合181は、図6-7に示されるように、創傷包帯123の吸気ポート135及び収集容器165の患者ポート167に連結されてもよい。第2の管182の患者端183及び第1の管185の患者端186の一方又は両方が、創傷包帯123の吸気ポート135に連結されてもよい。第2の管182のデバイス端184は、患者ポート167の第2の取り付け具194に連結されてもよい。第1の管185のデバイス端187は、患者ポート167の第1の取り付け具195に連結されてもよい。患者管集合181の流路189は、患者ポート167の流路172を介して収集容器165の内部チャンバ166と連通してもよい。患者管集合181のセンサ路188は、患者ポート167のセンサ路171を介してセンサ管190と連通してもよい。センサ管190は、収集容器165のセンサポート169を介して管176と連通する。従って、患者管集合181のセンサ路188は管176と連通し、これは創傷圧力センサ173、ソレノイド177、オリフィス制限器178及び調節可能制限器200の1つ以上と連通する。図7に示された例示的な実施形態では、患者管集合181のセンサ路188は、収集容器165の内部チャンバ166に開口しておらず、患者管集合181のセンサ路188は、センサ管190を介して収集容器165のセンサポート169と連通してもよい。しかしながら、センサ路188が収集容器165の内部チャンバ166に開口する他の構成も可能である。
【0038】
患者管集合181は、標準製造技術を用いて製造されてもよい。好ましい実施形態では、第1の管185及び第2の管182は、第1の管185の内面と第2の管182の外面との間に延びるウェブ193によって共押出され且つ結合されてもよい。ウェブ193によって第2の管182と第1の管185とを連結することは、第2の管182と第1の管185とが連結されたままであることを確実にすることによりアセンブリ処理を容易にし得る。図4にはウェブ193が1つだけ示されているが、複数のウェブ193が使用されてもよい。代替的に、第1の管185及び第2の管182は別個に製造されてもよく、第2の管182は、第1の管185の内腔に挿入されてもよい。
【0039】
患者管集合181は、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコン、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリウレタンフォーム、又は患者管集合181が曲がることを許容するのに十分な可撓性及び管内に真空が適用された場合に第1の管185及び第2の管182が崩壊しない十分な剛性を有する任意の他の材料から作られてもよい。好ましくは、患者管集合181は、PVCから作られてもよい。同様に、第1の管185及び第2の管182の壁の厚みは、管が可撓性及び柔軟性を有しながら、更に管内に真空が適用された場合に管が崩壊しない十分な構造的完全性を提供するように選択されてもよい。好ましくは、第1の管185の厚みは、約0.035インチであってもよく、第2の管182の厚みは、約0.030インチであってもよい。ウェブ193の厚みは、約0.030インチであってもよい。
【0040】
従来の設計と比較してセンサ路188の断面積を増加させることは、流体が毛管現象のためにセンサ路188に入って閉塞させる可能性を低減し得る。センサ路188の断面積は、第2の管182の内面の寸法に基づいて計算されてもよい。例えば、シリンダ管によって形成されるセンサ路の断面積は、管の内径によって形成される円の面積として計算されてもよい。一部の実施形態では、センサ路188は、少なくとも約0.75mmの断面積を有してもよい。一部の実施形態では、センサ路188は、約0.75mmから約7mmの間の範囲の断面積を有してもよい。一部の実施形態では、センサ路188は、少なくとも約1.75mmの断面積を有してもよい。一部の実施形態では、センサ路188は、約1.75mmから約7mmの間の範囲の断面積を有してもよい。一部の実施形態では、センサ路188は、少なくとも約2.5mmの断面積を有してもよい。一部の実施形態では、センサ路188は、約2.5mmから約7mmまでの範囲の断面積を有してもよい。一部の実施形態では、センサ路188は、約2.5mmから約5mmまでの範囲の断面積を有してもよい。好ましい実施形態では、センサ路188は、約3.25mmの断面積を有してもよい。しかしながら、センサ路188の断面積は、患者管集合181が大きくなりすぎて顧客が受忍できなくなるまで増加され得る。
【0041】
患者管集合181の流路189の断面積は、第1の管185の内面と第2の管182の外面との間の断面積を計算することにより決定されてもよい。例えば、シリンダ状の第1の管とシリンダ状の第2の管との間の空間によって形成される流路の断面積は、第1の管の内径によって形成される円の面積を計算して、第2の管の外径によって形成される円の面積を引くことにより決定されてもよい。一部の実施形態では、流路189は、少なくとも約10mmの断面積を有してもよい。一部の実施形態では、流路189は、約10mmから約30mmまでの範囲の断面積を有してもよい。一部の実施形態では、流路189は、少なくとも約15mmの断面積を有してもよい。一部の実施形態では、流路189は、約15mmから約20mmまでの範囲の断面積を有してもよい。好ましい実施形態では、流路189は、約17.75mmの断面積を有してもよい。
【0042】
一般に、第1の管185は、流路189を生成するために第1の管185と第2の管182との間に十分な空間を残しながら第2の管182が第1の管185の内腔の中に収まり得るように、第2の管182と比較して大きな断面積を有する。第2の管182及び第1の管185の両方がシリンダ状である場合、第1の管185の内径は、第2の管182の外径よりも大きくてもよい。一部の実施形態では、流路189の断面積とセンサ路188の断面積との比率は、約4:1から約7:1の範囲であってもよい。一部の実施形態では、流路189の断面積とセンサ路188の断面積との比率は、約5:1から約6:1の範囲であってもよい。好ましい実施形態では、流路189の断面積とセンサ路188の断面積との比率は、約5.5:1であってもよい。
【0043】
図5に示される患者管集合181’の代替実施形態では、第2の管182’及び第1の管185’は、第1の管185’の内腔の中に第2の管を配置する代わりに隣り合って配置されてもよい。患者管集合181’において、第2の管182’の内腔はセンサ路188’を形成し、第1の管185’の内腔は流路189’を形成する。この実施形態では、第2の管182’及び第1の管185’は共押出されてもよく、又は第2の管182’及び第1の管185’は別個に製造されてもよい。収集容器165及び創傷包帯123は、患者管集合181’の第1の管185’及び第2の管182’の異なる構成に適合するように修正されてもよい。収集容器165の患者ポート167及び創傷包帯123の吸気ポート135は、隣り合う管に適合するように修正されてもよい。収集容器165の中にセンサ管190を必要とせずにセンサ路188’を形成する第2の管182’が管176に連結され得るので、収集容器165の患者ポート167、センサ管190及びセンサポート169における第2の取り付け具194の1つ以上が省略されてもよい。
【0044】
第1の管及び第2の管は隣り合って配置されてもよいが、図4に示された患者管集合181の管内管設計は、第1の管185及び/又は第2の管182の捩れを低減し得るので好ましい場合が有る。患者管集合181が偶発的に曲げられ、破砕され又は他のやり方で変形された場合、第2の管182が変形し始める前にその力が第1の管185を変形させ、それによって第2の管182を阻害する変化を低減し得る。更に、患者管集合181が変形するときに、第2の管182は、第1の管185が捩れることを防いで、第1の管185が阻害されることを防ぐ支持構造として作用してもよい。従って、患者管集合181が偶発的に曲げられ、破砕され又は他のやり方で変形される場合であっても、空気が流路189の中を流れてもよく、創傷包帯123に真空が適用されてもよい。
【0045】
患者管集合の第1及び第2の管は、半剛性材料から作られ、真空ポンプ105及び107によって真空が適用されるときに形状を維持することができる。従って、流路189及びセンサ路188は、真空ポンプ105及び107によって真空が適用されるときに第1及び第2の管が崩壊に抵抗することができるので、実質的に妨げられなくてもよい。
【0046】
患者管集合181は、任意の数のセンサ路188を含んでもよい。一部の実施形態では、患者管集合181は、センサ路188を1つだけ含んでもよい。他の実施形態では、患者管集合181は、複数のセンサ路188を含んでもよい。複数のセンサ路188は、第1の管185の内腔の中に配置されてもよい。複数のセンサ路188は、複数の第2の管から形成されてもよく、又は複数の同軸内腔を有する単一の押出から形成されてもよい。しかしながら、複数のセンサ路188を設けることは、患者管集合181の断面の全体サイズを増加させ得る。代替的に、患者管集合181の断面の全体サイズが維持され且つ複数のセンサ路188が使用される場合、複数のセンサ路188の各々の断面積は減少して、毛管現象によってセンサ路188が閉塞する可能性を高める。従って、患者管集合181の全体サイズを最小化しつつ閉塞を防ぐために、単一のセンサ路188を有する患者管集合181を使用することが有利であり得る。複数のセンサ路188を使用することは、どのセンサ路188が閉塞しておらず正確なデータを提供しているか、及びどのセンサ路188が閉塞されており不正確なデータを提供しているかを決定するためにマイクロコントローラ101を必要とする。従って、複数のセンサ路188が使用される場合、マイクロコントローラ101は、全てのセンサ路188に適用された真空圧力の平均測定値を示してもよい。
【0047】
ポンプ105及び/又は107を創傷包帯123に連結する任意の管(例えば、患者管集合181の流路189)において停止した流体は、ポンプ105及び/又は107によって生成される圧力に比較して、創傷包帯123が受ける圧力(治癒圧力とも呼ばれる)の差を引き起こす静水圧力を生成してもよい。創傷に対するポンプ105及び/又は107の位置に応じて、治癒圧力は、ポンプ105及び/又は107で測定される圧力と比較して増加又は減少されてもよい。しかしながら、システム100は、静水圧力から生ずる治癒圧力のこうした変動を補償することが可能であってもよい。治癒圧力は創傷圧力センサ173によって監視されてもよく、ポンプ105及び/又は107の活動は任意の圧力変動に基づいて調節されてもよい。この監視はリアルタイムで行われてもよく、それによりポンプ105及び/又は107は、創傷の位置がポンプ105及び/又は107に対して変化するときに迅速に補償可能であってもよい。
【0048】
ポンプ105及び/又は107の垂直位置が創傷よりも高い場合、ポンプ105及び/又は107を創傷包帯123に連結する管の何れか(例えば、患者管集合181の流路189)における流体が、創傷に適用される治癒圧力の絶対値を高める可能性が有り、そのために、より弱い真空が創傷に適用されている。例えば、真空ポンプ105及び/又は107における圧力が大気圧よりも70mmHg低い場合、創傷包帯123における治癒圧力は、大気圧よりも60mmHg低いだけであってもよい。治癒圧力の絶対値の増加は、創傷圧力センサ173によって検出されて、マイクロプロセッサ102に伝達されてもよい。制御アルゴリズム150は、創傷における治癒圧力の絶対値の増加を補償するために、ポンプ105及び/又は107を動作させる又は動作させ続ける命令を保持する。
【0049】
逆に、ポンプ105及び/又は107の垂直位置が創傷よりも低い場合、ポンプ105及び/又は107を創傷包帯123に連結する管の何れか(例えば、患者管集合181の流路189)における流体が、創傷に適用される治癒圧力の絶対値を減少させる可能性が有り、そのため創傷により強い真空が適用されている。例えば、真空ポンプ105及び/又は107における圧力が大気圧よりも70mmHg低い場合、創傷包帯123における治癒圧力は、大気圧よりも80mmHg低いだけであってもよい。治癒圧力の絶対値の減少は、創傷圧力センサ173によって検出されてもよい。制御アルゴリズム150は、創傷における治癒圧力の絶対値の減少を補償するために、ポンプ105及び/又は107を止める又は動作頻度を少なくする命令を保持する。また、制御アルゴリズム150は、必要に応じて、創傷における治癒圧力の絶対値の減少を補償するために、ソレノイド177を開いて圧力を軽減する命令も保持してもよい。
【0050】
(アダプタ)
図12-14に示されたアダプタ300が、患者管集合181の一端又は両端に設けられてもよい。好ましくは、アダプタ300は、少なくとも患者管集合181のデバイス端部に設けられてもよい。アダプタ300は、第1の端部313及び第2の端部323を有してもよい。アダプタ300は、少なくとも2つのポートを有してもよく、患者管集合181に結合するように構成される第1の端部313における第1のポート310、及び収集容器165の患者ポート167に結合するように構成される第2の端部323における第2のポート320、及び/又は(以下に記載される)yコネクタ400の第2又は第3のポート420、430を有してもよい。第1のポート310及び第2のポート320は、インターフェース330で交わってもよい。以下に記載される第2のポート320は雌型継手を有するが、第2のポート320は雄型継手も有し得る。
【0051】
アダプタ300は、外壁301、及び1つ以上のウェブ303によって外壁301に連結される内壁302を有してもよい。外壁301は、外面306及び内面307を有してもよい。内壁302は、外面308及び内面309を有してもよい。外壁301は、第1のポート310及び第2のポート320に沿って延びており、第1のポート310における第1の端部311及び第2のポート320における第2の端部321を有する。外壁301の内面307は、第2のポート320におけるより大きな直径及び第1のポート310におけるより小さな直径を有してもよい。水平レッジ327が、第1のポート310と第2のポート320との間のインターフェース330における外壁301に形成されてもよく、外壁301の内面307は、第2のポート320におけるより大きな直径から第1のポート310におけるより小さな直径へと遷移している。内壁302は、第1のポート310に沿って延びてもよく、アダプタ300の第1の端部313に近接して第1の端部312を有し、第1のポート310と第2のポート320との間のインターフェース330に第2の端部322を有する。内壁302は、必ずしも第2のポート320内に延びておらず、好ましくは、第2のポート320内に延びなくてもよい。好ましくは、内壁302のレッジ327及び第2の端部322は同一平面上に有ってもよい。
【0052】
内壁302の内面309は、センサ路305を形成してもよい。センサ路305は、アダプタ300の第1の端部313において第1の開口315を有し、第1のポート310と第2のポート320との間のインターフェース330に第2の開口325を有してもよい。内壁302の外面308と外壁301の内面307との間の空間は、流路304を形成してもよい。流路304は、アダプタ300の第1の端部313における第1の開口314、及び第1のポート310と第2のポート320との間のインターフェース330に第2の開口324を有する。
【0053】
内壁302及び外壁301の断面は、円形、楕円形、又は様々な他の形状であってもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、内壁302及び外壁301の両方が、実質的に円形であってもよい。より詳細には、外壁301の内面307及び内壁302の外面308は、実質的に円形断面を有してもよい。外壁301の内面307及び内壁302の外面308は、実質的に同心であってもよい。
【0054】
患者ポート167の第1の取り付け具195におけるピン167aを受け入れるための1つ以上のスロット329が第2のポート320の外壁301に設けられてもよい。また、ガスケット380におけるピン390を受け入れるための1つ以上のノッチ328が外壁301に設けられてもよい。
【0055】
図15A-15Bに示されるガスケット380が、アダプタ300と共に設けられてもよい。ガスケット380は、外部シーリングリブ381及び1つ以上のウェブ383によって外部シーリングリブ381に連結される内部シーリングリブ382を含んでもよい。外部シーリングリブ381は、アダプタ300の外壁301におけるレッジ327の断面形状と類似の断面形状を有してもよい。内部シーリングリブ382は、アダプタ300の内壁302の第2の端部322の断面形状と類似の断面形状を有してもよい。内部シーリングリブ382の内径がセンサ路385を形成し、外部シーリングリブ381と内部シーリングリブ382との間の空間が流路384を形成してもよい。好ましくは、内部シーリングリブ382及び外部シーリングリブ381の断面は、実質的に、円形であり、更により好ましくは、実質的に、同心であってもよい。
【0056】
ガスケット380は、第1の表面及び第1の表面とは反対の第2の表面を有してもよく、それによって外部シーリングリブ381は第1の表面386及び第2の表面387を有し、内部シーリングリブ382は第1の表面388及び第2の表面389を有する。ガスケット380は、外部シーリングリブ381から外側に延びる1つ以上のピン390を有してもよい。好ましくは、同じ数のガスケット380におけるピン及びアダプタ300におけるノッチ328が有ってもよい。ガスケット380は、シリコン、熱可塑性エラストマ―、天然ゴム、又は任意の他のエラストマ-系圧縮性非多孔質材を含む、任意の数の材料から作られてもよい。好ましい実施形態では、ガスケット380は、シリコンから作られてもよい。
【0057】
ガスケット380は、アダプタ300の第2のポート320に挿入されてもよい。ガスケット380におけるピン390は、アダプタ300におけるノッチ328内に挿入されてもよい。ガスケット380の外部シーリングリブ381の第1の表面386は、アダプタ300の外壁301におけるレッジ327と接触してもよい。ガスケット380の内部シーリングリブ382の第1の表面388は、アダプタ300の内壁302における第2の端部322と接触してもよい。ガスケット380のセンサ路385は、アダプタ300のセンサ路305と整列させられてもよい。アダプタ300の流路304の第2の開口324の各々は、ガスケット380における流路384と整列させられてもよい。アダプタ300及びガスケット380の流路304、384を通過する流体に連続的経路を提供するために、ピン390は、ガスケット380におけるウェブ383がアダプタ300におけるウェブ303を実質的に覆うことができるようにガスケット380に配置されてもよい。
【0058】
患者管集合181は、アダプタ300の第1のポート310に連結されてもよい。第1の管185のデバイス端187は、アダプタ300の外壁301と嵌合してもよい。好ましくは、第1の管185の外面は、外壁301の内面307と接触してもよい。第2の管182のデバイス端184は、アダプタ300の内壁302と嵌合してもよい。好ましくは、第2の管182の内径は、内壁302の外面308と接触してもよい。従って、アダプタ300の流路304は、患者管集合181の流路189と連通してもよい。アダプタ380のセンサ路305及びガスケット380のセンサ路385は、患者管集合181のセンサ路188と連通してもよい。
【0059】
アダプタ300の第2のポート320は、図16A-16Cに示されるように、収集容器165の患者ポート167に連結されてもよい。患者ポート167は、アダプタ300の第2のポート320の外壁301に挿入されてもよい。患者ポート167におけるピン390は、アダプタ300の外壁301におけるスロット329内に挿入されてもよい。アダプタ300の第2のポート320に配置されるガスケット380は、アダプタ300の第2のポート320と収集容器165の患者ポート167との間にシーリング係合を提供してもよい。アダプタ300の外壁301におけるレッジ327は、ガスケット380における外部シーリングリブ381を介して患者ポート167の第1の取り付け具195とシーリング係合してもよい。アダプタ300の内壁302の第2の端部322は、ガスケット380における内部シーリングリブ382を介して患者ポート167の第2の取り付け具194とシーリング係合してもよい。
【0060】
従って、図16A-16Cに示されるように、アダプタ300は収集容器165における患者ポート167及び患者管集合181の両方に連結される場合、患者管集合181のセンサ路188は、患者ポート167のセンサ路171と連通してもよく、患者管集合181の流路189は、患者ポート167の流路172と連通してもよい。アダプタを使用することは、ユーザが、図7に示されるように、第1の管185及び第2の管182を患者ポート167に個別に連結する代わりに、図16A-16Cに示されるように、アダプタ300を収集容器165の患者ポート167に連結することを可能にすることによって、ユーザ設定処理を単純化し得るので好ましくてもよい。
【0061】
(ポンプ圧力センサ)
図1A-1Cに示されるように、ポンプ圧力センサ109が第1の真空ポンプ105及び選択的な第2の真空ポンプ107と空気的に関連付けられてもよい。ポンプ圧力センサ109は、電気ケーブル110を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連付けられてもよい。ポンプ圧力センサ109は、マイクロプロセッサ102に真空圧力信号を提供して、制御アルゴリズム150が真空ポンプ105及び/又は107の出口における真空圧力を監視できるようにする。
【0062】
(創傷圧力センサ)
図6-7に示されるように、創傷圧力センサ173が管176を介して収集容器165のセンサポート169と空気的に関連付けられてもよい。管176は、図7に示されるように単一内腔管であってもよい。管176は患者管集合181におけるセンサ路188及びセンサ管190の1つ以上を介して創傷包帯123と空気的に関連付けられるので、創傷圧力センサ173は、ポンプ圧力センサ109よりも正確に創傷包帯123における治癒圧力を監視することができる。創傷圧力センサ173は、電気ケーブル174を介してマイクロコントローラ101に電気的に関連付けられてもよく、マイクロプロセッサ102に真空圧力信号を提供して、制御アルゴリズム150が創傷部位における治癒圧力を監視できるようにする。
【0063】
(ソレノイド/バルブ)
図1A-1Cに示されるように、ソレノイド177及び選択的オリフィス制限器178が管176を介して収集容器165のセンサポート169と空気的に関連付けられてもよい。オリフィス制限器178が提供されない場合、ソレノイド177は、“T”コネクタ175によって管176に連結されてもよい。オリフィス制限器178が提供される場合、オリフィス制限器178は、“T”コネクタ175によって管176に連結されてもよく、真空圧力軽減ソレノイド177がオリフィス制限器178に連結されてもよい。ソレノイド177及び選択的オリフィス制限器178は合わせて、設定圧力が低下した場合(例えば、断続モードの間)、又は電源が切られた場合、アラーム状態のイベント時に創傷包帯123及び収集容器165における圧力を軽減するように作用する。ソレノイド177は、例えば、Pneutronics(R)又はAir Logic(R)の商標で利用可能なものであってもよい。ソレノイド177は、電気ケーブル130を介してマイクロプロセッサ102に電気的に関連付けられ且つ制御される。ソレノイド177は、例えば、電源が切られると真空を大気に放出するように構成されてもよい。オリフィス制限器178は、それが設けられる場合、ソレノイド177及び管176と直列に配置されて、ソレノイド177の電源が切られたときに真空が大気圧に軽減される速度を調節する。例えば、オリフィス制限器178は、Air Logic(R)の商標で利用可能である。
【0064】
(調節可能制限器)
図1A-1Cに示されるように、選択的な調節可能制限器200が管176と空気的に関連付けられてもよい。図8-11には調節可能制限器200の2つの実施形態がより詳細に示されており、キャップ210、本体220、及び多孔質材230を含んでいる。キャップ210は、ベース211及びフランジ213を有する。キャップ210のベース211及び/又はフランジ213は、空気が本体220に入ることを許容して、システム100において制御される空気漏出を生成するために大気に開いている少なくとも1つの穴212を有する。フランジ213は、本体220に係合するネジ部214を有する。本体220は、少なくとも1つの管ポート221及びネジポート223を含む。本体220におけるネジポート223は、キャップ210のネジ部214と係合することによって、キャップ210及び本体220を結合する。
【0065】
多孔質材230は、本体220におけるネジポート223とキャップ210のベース211との間に配置されてもよい。多孔質材230は圧縮可能であってもよい。多孔質材230は、最小吸水度(即ち、疎水性)を有してもよく、これは、制限器200が増加又は減少した湿気に晒されるときに、空気漏出の流量が変化することを防ぎ得る。タバコのフィルタに使用されるもの等の合成膜材料又はプラスチックフォームを含む多くの一般的なフィルタ材料が使用されてもよい。多孔質材230は、ディスク形状を有してもよく、キャップ210における穴212を覆ってもよい。
【0066】
空気漏出を生成するために、キャップ210における穴212から空気が調節可能制限器200に入る。その次に、空気は、ネジポート223を介して調節可能制限器200の本体220に入る前に、多孔質材230を通って移動する。空気漏出の流量は、多孔質材230を圧縮又は減圧することで制御されてもよい。本体220とキャップ210との間の連結を締めることで多孔質材230を圧縮することは、空気漏出の流量を低下させる。本体220とキャップ210との間の連結を緩めることで多孔質材230を減圧することは、空気漏出の流量を増加させる。
【0067】
図8-9に示される一実施形態では、調節可能制限器200は、2つの管ポート221を含んでもよい。2つの管ポート221が設けられる場合、調節可能制限器200は管176と直列に配置されてもよく、調節可能制限器200を管176に連結するために“T”コネクタが不要であってもよい。図10-11に示される別の実施形態では、調節可能制限器は、図1A-1Cに示される“T”コネクタ191によって管176に連結され得る1つだけの管ポート221を含んでもよい。
【0068】
調節可能制限器200は、空気が管176に流れ込むことを許容する空気漏出を生成するように設計されてもよい。患者管集合181のセンサ路188は管176と空気的に関連付けられるので、空気漏出は、創傷包帯123に向かってセンサ路188に空気が流れ込むことも許容し、それによってセンサ路188における閉塞を防ぐ。(例えば、毛管現象を通じて)センサ路188に侵入し得る任意の流体が創傷包帯123の方に押し込まれ、創傷包帯123からの流体は、圧力勾配のためにセンサ路188に流れ込むことができない。更に、センサ路188における空気漏出は、創傷包帯123の吸気ポート135において空気を流路189に流れ込ませてもよい。従って、空気漏出は、流体がセンサ路188に侵入しないこと又はセンサ路188から閉塞を除去することを確実にするために、ポンプ105及び/又は107によって供給されている吸引力に付加する力を提供するであろう。更に、空気漏出による空気は、第2の管182の患者端183から第1の管185の患者端186に流れ込んでもよく、それによって流路189における流体が収集容器165の方に追いやられることを確実にするためにポンプ105及び/又は107によって供給されている吸引力に付加する力を提供する。調節可能制限器200を使用することの利点は、真空が収集容器165及び/又は創傷包帯123に適用されるときに空気漏出が実質的に途切れないことであり、そのため空気漏出は、閉塞が形成された後で受動的にのみ作用するのではなく、連続的に閉塞を防いで、センサ路188及び/又は流路189からのさもなければ静止している流体を除去するのに役立つ。
【0069】
空気漏出の流量は、漏出アラームが引き起こされる創傷包帯123に適用されている治癒圧力に空気漏出が実質的に影響しないように十分に低くされるべきである。空気漏出の流量は、漏出から生じるシステム100における圧力の絶対値の微増をポンプ105及び/又は107が補償することができるように十分に低くされるべきである。従って、創傷包帯123に適用される治癒圧力は、空気漏出に関わらず、実質的に維持されてもよい。例えば、漏出は、毎分0.05-0.1リットルの範囲の流量を有してもよい。
【0070】
代替的に、調節可能制限器200を使用する代わりに、空気漏出はソレノイド177を散発的に開くことによって生成されてもよく、それによって、ソレノイド177から管176を介して、患者管集合181のセンサ路188及びセンサ管190の1つ以上を介して、空気が創傷包帯123の方に流れるように、管176を大気に放出する。患者管集合181のセンサ路188における任意の閉塞が創傷包帯123の方に追いやられてもよく、患者管集合181の流路189における任意の流体が収集容器165の方に追いやられてもよい。この場合、ソレノイド177は、時間変動制限器として機能してもよい。
【0071】
(Yコネクタ)
図17-20に示されるyコネクタ400は、2つの別個の創傷包帯123に連結される2つの患者管集合181が収集容器165の同じ患者ポート167に連結されることを可能にするように提供されてもよい。yコネクタ400は、第1の端部413、第2の端部423、及び第3の端部433を有してもよい。yコネクタ400は、少なくとも3つのポート、即ち、収集容器165に連結するように構成され第1の端部413における第1のポート410、2つの別個の創傷包帯123に連結するように構成され第2及び第3の端部423、433における第2及び第3のポート420、430を有してもよい。第2及び第3のポート420、430は、以下に記載されるように、雄型継手を有するが、雌型継手も有し得る。
【0072】
yコネクタ400は、外壁401、及び1つ以上のウェブ403によって外壁401に連結される内壁402を有してもよい。外壁401は、外面406及び内面407を有してもよい。内壁402は、外面408及び内面409を有してもよい。外壁401は、3つのポート全てに沿って延びてもよく、yコネクタ400の第1の端部413における第1の端部411、yコネクタ400の第2の端部423における第2の端部421、及びyコネクタ400の第3の端部433における第3の端部431を有する。内壁402は、2つのポートに沿って延びてもよく、図19に示されるように、yコネクタ400の第1の端部413における第1の端部412及びyコネクタ400の第2の端部423における第2の端部422を有する。
【0073】
内壁402の内面409は、第1のポート410における第1の開口415から第2のポート420における第2の開口425に延びるセンサ路405を形成してもよい。流路404は、3つのポート全ての中に延びてもよく、第1のポート410における第1の開口414、第2のポート420における第2の開口424、及び第3のポート430における第3の開口434を有する。第1のポート410及び第2のポート420における流路404は、内壁402の外面408と外壁401の内面407との間の空間によって形成されてもよい。第3のポート430における流路404は、外壁401の内面407によって形成されてもよい。
【0074】
内壁402及び外壁401の断面は、円形、楕円形、又は様々な他の形状であってもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、内壁402及び外壁401の両方が、実質的に円形であってもよい。より詳細には、外壁401の内面407及び内壁402の外面408は、実質的に円形断面を有してもよい。外壁401の内面407及び内壁402の外面408は、実質的に同心であってもよい。
【0075】
第1のポート410、第2のポート420及び第3のポート430の何れかが、アダプタ300を使用して直接的又は間接的に患者管集合181に連結されるように設計されてもよい。好ましい実施形態では、yコネクタ400は、第1のポート410が直接患者管集合181に連結しつつ、第2のポート420及び第3のポート430がそれぞれアダプタ300を介して患者管集合181に連結するように設計されてもよい。
【0076】
患者管集合181は、yコネクタ400の第1のポート410に連結されてもよい。第1の管185の患者端186は、yコネクタ400の外壁401と嵌合してもよい。好ましくは、第1の管185の外面は、外壁401の内面407と接触してもよい。第2の管182の患者端183は、yコネクタ400の内壁402と嵌合してもよい。好ましくは、第2の管182の内面は、内壁402の外面408と接触してもよい。従って、yコネクタ400の流路404は、患者管集合181の流路189と連通してもよい。yコネクタ400のセンサ路405は、患者管集合181のセンサ路188と連通してもよい。
【0077】
一部の実施形態では、yコネクタ400の第2のポート420及び第3のポート430は、患者管集合181に連結されるアダプタ300と結合する。アダプタ300の第2のポート320は、yコネクタ400の第2のポート420又は第3のポート430に連結されてもよい。yコネクタ400の第2又は第3のポート420、430は、アダプタ300の第2のポート320の外壁301に挿入されてもよい。yコネクタ400の第2及び第3のポート420、430は、それぞれアダプタ300におけるスロット329内に挿入され得る外壁401における1つ以上のピン429、439を有してもよい。アダプタ300の第2のポート320に配置されるガスケット380は、アダプタ300の第2のポート320とyコネクタ400の第2又は第3のポート420、430との間にシーリング係合を提供してもよい。
【0078】
アダプタ300が(外壁401及び内壁402を含む)yコネクタ400の第2のポート420に連結されている場合、アダプタ300の外壁301におけるレッジ327は、ガスケット380における外部シーリングリブ381を介してyコネクタ400の外壁401の第2の端部421とシーリング係合してもよい。アダプタ300の内壁302の第2の端部322は、ガスケット380における内部シーリングリブ382を介してyコネクタ400の内壁402の第2の端部422とシーリング係合してもよい。
【0079】
アダプタ300が(外壁401を含むが内壁402を含まなくてもよい)yコネクタ400の第3のポート430に連結されている場合、アダプタ300の外壁301におけるレッジ327は、ガスケット380における外部シーリングリブ381を介してyコネクタ400の外壁401の第2の端部431とシーリング係合してもよい。アダプタ300の内壁302の第2の端部322は、yコネクタ400とシーリング係合していなくてもよい。
【0080】
患者管集合181が第1、第2、及び第3のポート410、420、430の各々に連結される場合、第2及び第3のポート420、430に連結される患者管集合181の流路189は、yコネクタ400の流路404と連通する。(内壁402が中に延びる)yコネクタ400の第2のポート420に連結される患者管集合181のセンサ路188は、yコネクタ400のセンサ路405と連通する。しかしながら、(内壁402が中に延びない)yコネクタ400の第3のポート430に連結される患者管集合181のセンサ路188は、yコネクタ400の流路404と連通する。
【0081】
yコネクタ400を使用する場合、センサ路405が第1のポート410から第2のポート420又は第3のポート430の一方にのみ延びることが好ましい。先に記載され且つ図17-20に示されるように、センサ路405は、第1のポート410から第2のポート420に延びるが、第3のポート430には延びなくてもよい。yコネクタ400のセンサ路405が第3のポート430内に延長される場合、創傷圧力センサ173は、yコネクタ400の第2及び第3のポート420、430に連結される患者管集合181が両方とも閉塞されるときにのみ阻害を検出してもよい。yコネクタ400の第2及び第3のポート420、430に連結される患者管集合181の一方にのみ阻害又は閉塞が生じた場合、創傷圧力センサ173は、まだ閉塞されていない患者管集合181からの真空を検出し、阻害アラームは引き起こされないであろう。従って、yコネクタ400が第1のポート410と第2のポート420との間にのみ延びるセンサ路405を有することが有利であってもよい。この構成では、yコネクタ400の第2のポート420に連結される患者管集合181が閉塞され、yコネクタ400の第3のポート430に連結される患者管集合181が閉塞されていない場合、又はyコネクタ400の第2及び第3のポート420、430に連結される患者管集合181が両方とも閉塞されている場合に、創傷圧力センサ173は阻害を検出してもよい。
【0082】
代替的に、yコネクタ400及びアダプタ300を別個のコンポーネントとして設ける代わりに、これらは単一のコンポーネントとして形成されてもよい。この場合、患者管集合181は、第2及び第3のポート420、430に連結されてもよく、第1のポート410は、アダプタ300の第2のポート320と統合されてもよい。アダプタ300の第2のポート320の外壁301は、yコネクタ400の第1のポート410の外壁401と連続していてもよく、アダプタ300の第2のポート320の内壁302は、yコネクタ400の第1のポート410の内壁402と連続していてもよい。結合されたyコネクタ400及びアダプタ300を製造する潜在的な方法は、3D印刷又は成形を含んでもよい。
【0083】
(バルブ)
使用中の所定の時点で、患者管集合181の流路189及び/又はセンサ路188を閉じることが望ましい場合が有り、それによって真空圧力が経路に沿って送られることを防ぐ。例えば、創傷上に創傷包帯123を維持しながら収集容器165を取り替えるとき、又はシステム100における漏出及び閉鎖のトラブルシューティングをしているときに、流路189及びセンサ路188を閉じることが望ましいかもしれない。上記のように、患者管集合181は捩れに耐性が有ってもよく、これは患者管集合181が偶発的に曲げられ、破砕され又は他のやり方で変形した場合に流路189が閉塞されることを有利に防ぎ得る。しかしながら、結果的に、ユーザは、クランプ等の従来の手段を用いて流路189を閉じることができないかもしれない。
【0084】
従って、流路189及び/又はセンサ路188を閉じるために、バルブ500は、必要に応じてユーザが流路189及び/又はセンサ路188を閉塞することができるように患者管集合181と直列に連結されてもよい。バルブ500は、バルブ筐体510、スライドスイッチ550、バルブ座570、第1の指示バンド501、及び第2の指示バンド502を含んでもよい。
【0085】
バルブ筐体510は、縦軸516及び縦軸516に実質的に垂直な横軸515を有してもよい。バルブ筐体510は、第1の縦端512、第2の縦端513、第1の横端517、及び第2の横端518を有してもよい。経路514は、縦軸516に沿って第1の縦端512から第2の縦端513に延びてもよい。経路514の内面に沿って、第2の縦端513から始まる1つ以上の溝519が縦に延びてもよい。好ましくは、1つ以上の溝519は、筐体510の第1の縦端512までずっと延びていなくてもよい。
【0086】
第1のポート520及び第2のポート530は、バルブ筐体510に含まれてもよい。第1のポート520及び第2のポート530は、それぞれバルブ筐体510の第1の横端517及び第2の横端518に提供されてもよい。第1及び第2のポート520、530は、それぞれ外壁521、531と、ウェブ523、533によって外壁521、531に連結される内壁522、532とを含んでもよい。ウェブ523、533は、バルブ筐体510の縦軸516と実質的に平行な線に沿って内壁522、532と外壁521、531との間に延びてもよい。内壁522、532の内面は、センサ路525、535を形成してもよい。内壁522、532の外面と外壁521、531の内面との間の空間によって流路524、534が形成されてもよい。好ましくは、第1及び第2のポート520、530は共に、横軸515と実質的に平行であってもよい。
【0087】
第1及び第2のポート520、530は、外壁521、531を第1の管185と、そして内壁522、532を第2の管182と嵌合させることにより患者管集合181に連結されてもよい。
【0088】
バルブ筐体510は、代替的に、単一のコンポーネントを形成するためにアダプタ300と一緒に形成されてもよい。この場合、患者管集合181は第1のポート520に連結されてもよく、バルブ筐体510の第2のポート530はアダプタ300の第2のポート320と統合されてもよい。アダプタ300の第2のポート320の外壁301は、バルブ筐体510の第2のポート530の外壁531と連続していてもよく、アダプタ300の第2のポート320の内壁302は、バルブ筐体510の第2のポート530の内壁532と連続していてもよい。潜在的な製造技術は、3D印刷又は成形を含んでもよい。
【0089】
バルブ500は、図32-33に示されるように、スライドスイッチ550を含んでもよい。スライドスイッチ550は、縦軸556及び縦軸556に実質的に垂直な横軸555を有してもよい。スライドスイッチ550は、縦軸556に沿って伸長し、第1の端部552及び第2の端部553を有してもよい。経路554は、横軸555に沿ってスライドスイッチ550の中に延びてもよい。第1の環状溝557は第1の端部552に近接してスライドスイッチ550上に含まれてもよく、第2の環状溝558は第2の端部553に近接してスライドスイッチ550上に含まれてもよい。1つ以上のピン559が、スライドスイッチ550の第2の端部553に近接して含まれてもよい。
【0090】
また、バルブ500は、図34-37に示されるように、バルブ座570を含んでもよい。バルブ座570は、縦軸576及び縦軸576に実質的に垂直な横軸575を有してもよい。バルブ座570は、縦軸576に沿って伸長し、第1の縦端572及び第2の縦端573を有してもよい。また、バルブ座570は、横軸575に沿って伸長し、第1の横端577及び第2の横端578を有してもよい。バルブ座570は、シリコン、熱可塑性エラストマ―、天然ゴム、又は任意の他のエラストマ-系圧縮性非多孔質材を含む、任意の数の材料から作られてもよい。好ましい実施形態では、バルブ座570は、シリコンから作られてもよい。更に、バルブ座570及びスライドスイッチ550は別個のコンポーネントとして記載されているが、これらは(例えば、スライドスイッチ550上にバルブ座570をオーバーモールドすることにより)単一の部品として製造されてもよい。
【0091】
センサ路585は、バルブ座570を介して第1の横端577から第2の横端578に延びてもよい。好ましくは、センサ路585は、横軸575に実質的に平行な方向にバルブ座570を介して延びてもよい。センサ路585は、バルブ座570の第1の横端577における第1の開口586と、バルブ座570の第2の横端578における第2の開口587とを有してもよい。バルブ座570の好ましい実施形態が図34-37に示されており、1つのセンサ路585を含んでいる。しかしながら、1つ以上のセンサ路585が含まれてもよい。
【0092】
1つ以上の流路584は、バルブ座570を介して第1の横端577から第2の横端578に延びてもよい。好ましくは、1つ以上の流路584は、横軸575に実質的に平行な方向にバルブ座570を介して延びてもよい。流路584は、バルブ座570の第1の横端577における第1の開口581と、バルブ座570の第2の横端578における第2の開口582とを有してもよい。バルブ座570の好ましい実施形態が図34-37に示されており、2つの流路584を含んでいる。しかしながら、2つ以上の流路584が含まれてもよい。
【0093】
2つの指示バンド501、502がバルブ500に含まれてもよい。こうした指示バンド501、502は、バルブ500が開いている場合及びバルブ500が閉じている場合の視覚的指示を提供する。図21-23及び25-27に示されるように、指示バンド501、502は、スライドスイッチ550上で環状溝557、558に挿入される別個のコンポーネント(例えば、oリング)であってもよい。しかしながら、指示バンドは、スライドスイッチ550から分離したコンポーネントである必要はない。例えば、指示バンド501、502は、スライドスイッチ550の適切な部分に塗られるストリップであり得る。図21-23に示されるように、バルブ500は開放位置に有る場合、第2の指示バンド502がユーザに見えてもよい。選択的に、第2の指示バンド502は、バルブ500が開いていることを示すように緑の色であってもよい。図25-27に示されるように、バルブ500は閉鎖位置に有る場合、第1の指示バンド501がユーザに見えてもよい。選択的に、第1の指示バンド501は、バルブ500が閉じていることを示すように赤の色であってもよい。
【0094】
バルブ500をアセンブリするために、バルブ座570は、スライドスイッチ550の経路554に挿入されてもよい。バルブ座570の横軸575は、スライドスイッチ550の横軸555と実質的に平行であってもよい。第1の指示バンド501が第1の環状溝557に配置されてもよく、第2の指示バンド502が第2の環状溝558に配置されてもよい。次に、スライドスイッチ550は、バルブ筐体510の経路514に挿入されてもよい。バルブ筐体510の縦軸516は、スライドスイッチ550の縦軸556及びバルブ座570の縦軸576と実質的に平行であってもよい。バルブ筐体510の横軸515は、スライドスイッチ550の横軸555及びバルブ座570の横軸575と実質的に平行であってもよい。
【0095】
動作時に、バルブ500は、2つの位置、即ち、開放位置及び閉鎖位置を有してもよい。バルブ500は、バルブ筐体510に対してバルブ座570を長手方向に移動させることにより、開放位置と閉鎖位置との間で移動してもよい。バルブ500は、バルブ筐体510の第1の縦端512の方にバルブ座570を長手方向に移動させることにより開放位置に移動させられてもよい。バルブ500が開放位置に有る場合、第2の指示バンド502は、ユーザに見えるようにバルブ筐体510における経路514の外側に位置付けられてもよい。バルブ500は、バルブ筐体510の第1の縦端513の方にバルブ座570を長手方向に移動させることにより開放位置に移動させられてもよい。バルブ500が閉鎖位置に有る場合、第1の指示バンド501は、ユーザに見えるようにバルブ筐体510における経路514の外側に位置付けられてもよい。
【0096】
バルブ500が開放位置に有る場合、図21-24に示されるように、バルブ座570のセンサ路585は、バルブ筐体510の第1のポート520のセンサ路525及び第2のポート530のセンサ路535と連通してもよい。従って、第1のポート520のセンサ路525に適用される真空は、第2のポート530のセンサ路535に送られてもよく、その逆も同様である。同様に、バルブ座570の流路584は、第1のポート520の流路524及び第2のポート530の流路534と連通してもよい。従って、第1のポート520の流路524に適用される真空は、第2のポート530の流路534に送られてもよく、その逆も同様である。
【0097】
バルブ500が閉鎖位置に有る場合、図25-28に示されるように、バルブ座570のセンサ路585は、バルブ筐体510の第1のポート520のセンサ路525及び第2のポート530のセンサ路535と連通していなくてもよい。従って、バルブ座570は、第1のポート520のセンサ路525に適用される真空が第2のポート530のセンサ路535に送られることを阻害してもよく、その逆も同様である。同様に、バルブ座570の流路584は、第1のポート520の流路524及び第2のポート530の流路534の少なくとも1つと連通していなくてもよい。従って、バルブ座570は、第1のポート520の流路524に適用される真空が第2のポート530の流路534に送られることを阻害してもよく、その逆も同様である。
【0098】
好ましくは、バルブ500は、流路524、534とセンサ路525、535との間の相互連通を防ぎながら、流路524、534が互いと連通すること、及びセンサ路525、535が互いと連通することを可能にするように設計されてもよい。相互連通を防ぐために、センサ路585の開口586、587及び流路584の開口581、582は、入念にバルブ座570に配置されてもよい。センサ路585の第1の開口586における任意の地点で開始して縦軸576に実質的に平行に延びる線が流路584の第1の開口581を貫通又は通過するべきではなく、流路584の第1の開口581における任意の地点で開始して縦軸576に実質的に平行に延びる線がセンサ路585の第1の開口586を貫通又は通過するべきではない。同様に、センサ路585の第2の開口587における任意の地点で開始して縦軸576に実質的に平行に延びる線が流路584の第2の開口582を貫通又は通過するべきではなく、流路584の第2の開口582における任意の地点で開始して縦軸576に実質的に平行に延びる線がセンサ路585の第2の開口587を貫通又は通過するべきではない。バルブ筐体510に対して縦軸576に沿ってバルブ座570を移動させることによりバルブ500が開放位置と閉鎖位置との間で移動する場合、流路524、534及びセンサ路525、535は相互連通を妨げられてもよい。
【0099】
バルブ500は、バルブ座570及びスライドスイッチ550が筐体の経路514から不注意に除去されることを防ぐと共に、ユーザに触覚フィードバックを提供する機能を有するように設計されてもよい。スライドスイッチ550の第1の端部552は、筐体510の第1の縦端512における経路514の開口よりも大きくてもよい。スライドスイッチ550及びバルブ座570が筐体510の第2の縦端513の方に移動すると、スライドスイッチ550の第1の端部552が筐体510の第1の縦端512にぶつかり、これがバルブ座570及びスライドスイッチ550が筐体510の第2の縦端513から除去されることを防ぐ。更に、スライドスイッチ550における各ピン559が、筐体510の経路514における溝519に挿入される。スライドスイッチ550及びバルブ座570が筐体510の第1の縦端512の方に移動すると、ピン559が溝519の端部にぶつかり、これがスライドスイッチ550及びバルブ座570が筐体510の第1の縦端512から除去されることを防ぐ。
【0100】
(アセンブリ)
図38に示される創傷包帯サブアセンブリ601が設けられてもよい。創傷包帯サブアセンブリ601が、創傷包帯123、バルブ500、アダプタ300、及び2つの患者管集合181を含んでもよい。一方の患者管集合181の一端が創傷包帯123の流体ポート135に連結され、他端がバルブ500の筐体510の第1のポート520に連結されてもよい。もう1つの患者管集合181の一端がバルブ500の筐体510の第2のポート530に連結され、他端がアダプタ300の第1のポート520に連結されてもよい。必要に応じて、バルブ500及び一方の患者管集合181が創傷包帯サブアセンブリ601から省略されてもよく、その場合、単一の患者管集合181が創傷包帯123の流体ポート135をアダプタ300の第1のポート310に連結してもよい。アダプタ300における流路304、患者管集合181における流路189、及び選択的にバルブ500における流路524、534、584が、(バルブ500が含まれる場合であって開放位置に有る場合に)1つの連続的な流路を形成してもよい。アダプタ300におけるセンサ路305、患者管集合181におけるセンサ路188、及び選択的にバルブ500におけるセンサ路525、535、585が、(バルブ500が含まれる場合であって開放位置に有る場合に)1つの連続的な流路を形成してもよい。1つの創傷包帯123のみが収集容器165の患者ポート167に連結されている場合、創傷包帯サブアセンブリ601のアダプタ300の第2のポート320は、収集容器165の患者ポート167に連結されてもよい。
【0101】
代替的に、複数の創傷包帯123が収集容器165の患者ポート167に連結されている場合、図39に示されるyコネクタサブアセンブリ602が設けられてもよい。yコネクタサブアセンブリ602は、yコネクタ400、アダプタ300、及び患者管集合181を含んでもよい。患者管集合181の一端が、yコネクタ400の第1のポート410に連結されてもよい。患者管集合181の他端が、アダプタ300の第1のポート310に連結されてもよい。アダプタ300における流路304、患者管集合181における流路189、及びyコネクタ400における流路404が、1つの連続的な流路を形成してもよい。アダプタ300におけるセンサ路305、患者管集合181におけるセンサ路188、及びyコネクタ400におけるセンサ路405が、1つの連続的なセンサ路を形成してもよい。選択的に、バルブ500は患者管集合181と直列に配置され得る。しかしながら、その代わりに創傷包帯サブアセンブリ601上にバルブ500を配置することが好ましくてもよい。
【0102】
yコネクタサブアセンブリ602は、使用中に2つの創傷包帯サブアセンブリに連結されてもよい。yコネクタ400の第2及び/又は第3のポート420、430の各々は、各創傷包帯サブアセンブリ601におけるアダプタ300の第2のポート320に連結されてもよい。yコネクタサブアセンブリ602におけるアダプタ300の第2のポート320は、収集容器165における患者ポート167に連結されてもよい。yコネクタ400の第2のポート420に連結される創傷包帯サブアセンブリ601のセンサ路は、収集容器165の患者ポート167におけるセンサ路171と連通してもよく、流路は、収集容器165の患者ポート167における流路172と連通してもよい。yコネクタ400の第3のポート430に連結される創傷包帯アセンブリ601の流路及びセンサ路は共に、収集容器165の患者ポート167における流路172と連通してもよい。
【0103】
創傷包帯123から遠ざかる2つの空気的経路が有ってもよい。第1の空気的経路は、一連の管(例えば、患者管集合181の第2の管182、センサ管190、及び管176)を介して創傷圧力センサ173、調節可能制限器200、ソレノイド177及び選択的なオリフィス制限器178の1つ以上を創傷包帯123と空気的に関連付けてもよい。例示的な実施形態では、創傷包帯123は、患者管集合181のセンサ路188を介して収集容器165の患者ポート167におけるセンサ路171と流体連通してもよい。患者ポート167におけるセンサ路171は、センサ管190を介してセンサポート169と流体連通してもよい。収集容器165のセンサポート169は、管176を介して創傷圧力センサ173、調節可能制限器200、ソレノイド177、及び選択的なオリフィス制限器178の1つ以上と流体連通してもよい。患者管集合181、センサ管190及び管176の第2の管182は別個のコンポーネントとして記載されているが、こうした管の1つ以上が単一の管として形成されてもよい。例示的な実施形態では、患者管集合181のセンサ路188を介して創傷包帯123の空洞に真空が適用されず、流体が創傷包帯123からセンサ路188に流れない。
【0104】
第2の空気的経路が、創傷包帯123を収集容器165の内部チャンバ166と、最終的には真空ポンプ105及び/又は107並びにポンプ圧力センサ109と空気的に関連付けることにより、真空が創傷包帯に適用されることを可能にする。創傷包帯123は、患者管集合181の流路189及び収集容器165の患者ポート167の流路172を介して収集容器165の内部チャンバ166と流体連通してもよい。収集容器165の内部チャンバ166は、収集容器165の真空ポート168に連結される管115を介して真空ポンプ105及び/又は107と流体連通してもよい。
【0105】
第1の空気的経路及び第2の空気的経路は、創傷包帯123の吸気ポート135と流体連通してもよい。従って、創傷包帯123の吸気ポート135におけるセンサ路188に吸引力が適用されてもよく、これは創傷包帯123の方に、そして最終的には流路189を介してセンサ路188における任意の流体を引き戻すのに役立つ。このため、患者管集合181の流路189を介して創傷包帯123の空洞に真空が適用され、これによりセンサ路188に流れ込む代わりに創傷包帯123における流体を優先的に流路189に流れ込ませる。選択的に調節可能制限器200によって引き起こされる空気漏出が、真空に付加する力を提供する。患者管集合181の流路189における真空によって創傷包帯123から流体が引き離されている一方で、センサ路188における空気漏出は、流体がセンサ路188に入ることを妨げ、センサ路188に入るかもしれない任意の流体を創傷包帯123の方に押し戻し、創傷包帯123における流体を流路189に押し込む。空気漏出によって生成される付加力及び真空は、センサ路188から流体を離しておくことに役立ち、これは創傷圧力センサ173によって測定される圧力が、創傷包帯123に適用される治癒圧力を正確に反映することを確実にする。また、付加力は、創傷包帯123に提供される治癒圧力に影響を与え得る静止流体及び閉塞が流路189に発生することを有利に防ぐ。
【0106】
(動作)
ユーザがシステム100を使用する準備ができると、創傷包帯123が創傷部位に適用されてもよい。創傷包帯123は、患者管集合181を介して収集容器165に連結されてもよい。収集容器165の内部チャンバ166は、管115を介して真空ポンプ105及び/又は107と空気的に関連付けられてもよい。真空圧力は、真空ポンプ105及び/又は107によって生成されてもよい。この真空圧力は、管115を介して収集容器165の内部チャンバ166に適用されてもよい。患者管集合181の流路189は、収集容器165の内部チャンバ166を創傷包帯123の吸気ポート135と空気的に関連付けてもよい。従って、患者管集合181の流路189は、真空ポンプ105及び/又は107と空気的に関連付けられてもよく、それによって真空ポンプ105及び/又は107によって生成された真空圧力が創傷包帯123の空洞に適用されることを可能にする。
【0107】
使用中に、様々な点でシステムに適用される圧力を監視することが望ましい場合が有る。ポンプ圧力センサ109は、真空ポンプ105及び/又は107によって生成された真空圧力を測定してもよい。しかしながら、ポンプ圧力センサ109によって測定された圧力は、様々な理由で創傷包帯123の空洞に適用される治癒圧力と等しくない場合が有る。患者管集合181の流路189における静止流体は、真空ポンプ105及び/又は107に対する創傷の位置に応じて、創傷包帯123の空洞に適用されている真空の治癒圧力を増加又は減少させる静水圧力を生成してもよい。患者管集合181は、捩れ、破砕され、又は他のやり方で変形されてしまう場合が有り、これは治癒圧力を減少させ得る。患者管集合181は、粘性の有る流体及び/又は創傷滲出液で完全に阻害されてしまう場合が有り、これは治癒圧力を減少させ得る。従って、ポンプ圧力センサ109は、創傷包帯123に適用される治癒圧力の必ずしも正確な指示ではない場合が有る。収集容器165の内部チャンバ166の圧力が創傷包帯123の空洞に適用される治癒圧力と等しくない場合が有るので、収集容器165の内部チャンバ166と空気的に関連付けられる圧力センサは同じ欠点を有し得る。
【0108】
しかしながら、システム100は、管176、センサ管190、患者管集合181のセンサ路188の少なくとも1つを介して創傷包帯123の空洞と空気的に関連付けられる創傷圧力センサ173を使用して創傷包帯123に適用される治癒圧力を測定してもよい。流体はセンサ路188の内側に移動することが意図されておらず、従って、静水圧力を生成するセンサ路188における静止流体が無い(又は最小量の静止流体しか無い)ので、創傷圧力センサ173と創傷包帯123の空洞との間の圧力差が回避され得る。
【0109】
システム100の1つの利点は、マイクロコントローラ101が患者管集合181における静止流体及び閉塞を検出することが可能になるということである。マイクロコントローラ101は、創傷圧力センサ173及びポンプ圧力センサ109によって測定される圧力を比較してもよい。2つの測定値間に相違がある場合、制御アルゴリズム150は、意図された治癒圧力が創傷包帯123に適用されていることを確実にするように、ユーザに警告する及び/又はシステム100に調節させる指示を保持してもよい。
【0110】
創傷圧力センサ173によって測定される絶対圧力がポンプ圧力センサ109によって測定される絶対圧力よりも大きい場合、制御アルゴリズム150は、創傷における治癒圧力の絶対値の増加を補償するために、ポンプ105及び/又は107を動作させる又は動作させ続けるように指示する命令を保持してもよい。
【0111】
創傷圧力センサ173によって測定される絶対圧力がポンプ圧力センサ109によって測定される絶対圧力よりも小さい場合、制御アルゴリズム150は、創傷における治癒圧力の絶対値の減少を補償するために、ポンプ105及び/又は107を止める又は動作頻度を少なくするように指示する命令を保持してもよい。また、制御アルゴリズム150は、必要に応じて、創傷における治癒圧力の絶対値の減少を補償するために、ソレノイド177を開いて圧力を軽減する命令も保持してもよい。
【0112】
システム100は、上記のステップを用いて、創傷圧力センサ173によって測定される圧力とポンプ圧力センサ109によって測定される圧力との間の差を解消しようしてもよい。しかしながら、こうしたステップが差異を解消することができない場合、制御アルゴリズム150は、(選択的に、ディスプレイ160を介して)阻害アラームを起動するための命令を保持してもよい。次に、ユーザは、捩れ、破砕、静止流体又は他の阻害に関して患者管集合181を検査するべきことを知るであろう。
【0113】
閉塞及び静止流体を検出して、創傷包帯123における治癒圧力を修正するために応答措置を取ることができることに加えて、システム100は、患者管集合181の捩れ及び破砕も防いで、第1の場所において患者管集合181に阻害及び静止流体が発生することを防ぐ。上記のように、患者管集合181の管内管設計は、患者管集合181を破砕すること又は曲げることが管を捩れさせて閉塞させる可能性を低減し得る。更に、調節可能制限器200及び/又はソレノイド177によって選択的に生成される空気漏出が、真空圧力に付加する力を提供してもよく、患者管集合181の流路189に沿って流体を移動させるのに役立つ。患者管集合181における静止流体及び閉塞は、単に見苦しいだけでなく、システムが作動していないとユーザに考えさせ得る。
【0114】
一般的に言えば、収集容器165の患者ポート167、アダプタ300の第2のポート320、及びyコネクタ400の第2及び第3のポート420、430は、それぞれが雄型継手又は雌型継手を有してもよい。好ましくは、収集容器165の患者ポート167、並びにyコネクタ400の第2及び第3のポート420、430が雄型継手を有してもよく、アダプタ300の第2のポート320が雌型継手を有してもよい。代替的に、収集容器165の患者ポート167、並びにyコネクタ400の第2及び第3のポート420、430が雌型継手を有してもよく、アダプタ300の第2のポート320が雄型継手を有してもよい。
【0115】
(例示)
サンプル:3つのタイプの管集合(例1、比較A,及び比較B)が試験され、各管集合の流路を閉塞するのに必要とされる破砕力を決定した。図42に示されるように、管集合710cは、本開示に記載された所定の実施形態による管内管設計を有する二重内腔管集合であった。例1の管集合は、第1の管713c及び第2の管714cを有しており、第2の管は、第1の管の内腔に配置された。第2の管の内腔がセンサ路712cを形成しており、第1の管の内面と第2の管の外面との間の空間が流路711cを形成した。
【0116】
例1とは異なり、比較Aの管集合又は比較Bの管集合の何れも、第1の管及び第2の管を含んでおらず、ここで第2の管は第1の管の内腔に配置された。図40に示されるように、比較Aの管集合710aは、KCI(R)によって製造された多内腔管集合であった。比較Aの管集合は、1つの流路711aと、流路に平行であるが完全にその外側に設けられている4つのセンサ路712aとを有していた。比較Aの管集合は1つの管715aを含んでおり、流路は管の内腔であり、センサ路は管の長さに沿って管壁内に延びていた。図41に示されるように、比較Bの管集合710bは、Cardinal Health(R)によって製造された単内腔管集合であった。比較Bの管集合は単一の管716bを有しており、管の内腔が流路711bを形成した。比較Bの管集合は、センサ路を含んでいなかった。
【0117】
試験設定:各サンプル管集合の流路を閉塞するのに必要とされる破砕力を決定するために、試験設備は、a)サンプル管集合に破砕力を適用して測定し、b)任意の所与の時間点において流路が閉塞されたかどうかを客観的に決定するように構成された。以下に記載され且つ図43-46に示された試験構成がこうした例に使用された。しかしながら、同じ結果を得るために追加の、より少ない又は異なるコンポーネントを有する様々な試験構成が使用されてもよい。
【0118】
図43-44に示されるようにサンプル管集合710に破砕力を適用して測定するために、機械的試験機740が使用された。こうした実験に使用された機械的試験機はZwick2005試験機であったが、圧縮力を適用して測定することが可能な任意のデバイスが代わりに使用され得る。図43-44は、試験されるサンプルに応じて、比較Aの管集合710a、比較Bの管集合710b、又は例1の管集合710cの何れか1つを表し得るサンプル管集合710を参照する。
【0119】
図43-44に示されるように、機械的試験機740は、サンプルプラットフォーム741と(図43-44には示されていない)支持構造によってサンプルプラットフォーム741に可動式に連結された2つの顎部742を有していた。(同様に図43-44に示されていない)駆動機構が、サンプルプラットフォーム741に対して垂直方向に顎部742を移動させる。1.27mmの厚みを有する薄板743が顎部742の間にクランプ留めされている。薄板743は、機械的試験機のサンプルプラットフォーム741に対して実質的に垂直である。図43-44に示されるように、薄板743がサンプル管集合710の長さに対して実質的に垂直になるように、サンプル管集合710がサンプルプラットフォーム741上に配置された。機械的試験機上の(図43-44に示されていない)荷重セルが、顎部742がサンプルプラットフォーム741の方に移動して、薄板743にサンプル管集合710を破砕させたときに生成された破砕力を測定した。
【0120】
図45-46に示された試験構成700、700’’は、サンプル管集合内の流路が閉塞されたかどうかをユーザが客観的に決定することを可能にした。各試験構成700、700’において、ポンプユニット120720が、サンプル管集合の流路のデバイス端に真空を適用し、流路の患者端は大気に開放された。圧力センサ730が、流路内の圧力を監視するために使用された。流路が閉塞されなかった場合、全流路に沿った圧力は大気圧に等しかった。しかしながら、流路が閉塞する程度に破砕された場合、流路のデバイス端における絶対圧力が低下して、流路が閉塞されたことをユーザに知らせた。
【0121】
図45に示された)試験構成700は、例1の管集合を試験するために使用されており、ポンプユニット720、圧力センサ730、収集容器165、サンプル管集合710c、Tコネクタ725、及び空気管701を含んでいる。ポンプユニット720は、Cardinal HealthTM NPWT PROポンプユニット120であったが、試験構成は任意の真空源を使用するように修正され得る。圧力センサ730はデジタル圧力計であったが、真空圧力を測定可能な任意のデバイスが代わりに使用され得る。収集容器165は、先に検討され且つ図3A-3Eに示されている。
【0122】
試験構成700において、サンプル管集合710cが収集容器165の患者ポート167に連結されており、サンプル管集合710cの流路711cが収集容器165の内部チャンバ166と連通することを可能にした。収集容器165のセンサポート169は、ポンプユニット720におけるセンサポート722に連結された。収集容器165の真空ポート168はTコネクタ725に連結され、Tコネクタ725はポンプユニット720における真空ポート721及び圧力センサ730に連結された。従って、圧力センサ730は、収集容器165の内部チャンバ166及びサンプル管集合710cの流路と空気的に連通していた。
【0123】
図46に示された)試験構成700’は、(図46において710’として集合的に示されている)比較Aの管集合及び比較Bの管集合を試験するために使用された。試験構成700’は、ポンプユニット720、圧力センサ730、収集容器765、サンプル管集合710’、Tコネクタ725、及び空気管701を含んでいた。ポンプユニット720及び圧力センサ730は、試験構成700で使用されたものと同じであった。試験構成700’で使用された収集容器765は、収集容器165と同様であった。また、収集容器765は、患者ポート767、真空ポート768及びセンサポート769も含んでいた。収集容器765の真空ポート768及びセンサポート769は、収集容器165の真空ポート168及びセンサポート169と同様であった。しかしながら、収集容器165と収集容器765との間には2つの相違が有った。1)収集容器165の患者ポート167は、流路及びセンサ路を有する二重内腔ポートであるが、収集容器765の患者ポート767は、流路のみを有する単一内腔ポートであった。また、2)収集容器165は、患者ポート167のセンサ路にセンサポート169を連結しているセンサ管190を含んでいるが、収集容器765は、センサ管を含んでおらず、センサポート769は、代わりに収集容器765の内部チャンバに開口していた。
【0124】
試験構成700’において、サンプル管集合710’の流路が収集容器765の患者ポート767に連結されており、サンプル管集合710’の流路が収集容器765の内部チャンバと連通することを可能にした。収集容器765のセンサポート769は、ポンプユニット720におけるセンサポート722に連結された。収集容器765の真空ポート768はTコネクタ725に連結され、Tコネクタ725はポンプユニット720における真空ポート721及び圧力センサ730に連結された。従って、圧力センサ730は、収集容器765の内部チャンバ及びサンプル管集合710’の流路と空気的に連通していた。
【0125】
上記の設定に基づいて、比較Aの管集合及び例1の管集合を試験したとき、真空源及び圧力センサが流路と空気的に関連付けられ、センサ路とは空気的に関連付けられなかった。比較Bの管集合を試験したとき、真空源及び圧力センサは流路と空気的に関連付けられた。従って、圧力センサ730は、全てのサンプルに関してサンプル管集合710a、710b、710cの流路711a、711b、711c内の圧力を測定した。
【0126】
試験手順:圧力センサは、(760mmHgの絶対圧力に対応する)標準大気圧に晒されると0mmHgの測定値をもたらすように調整された。(760mmHgよりも低い絶対圧力を有する)真空圧力は、圧力センサにおいて負の測定値をもたらした。例えば、610mmHgの絶対圧力に晒されると、圧力センサは、-150mmHgの測定値をもたらすであろう。ここでの検討のために、圧力は絶対圧力として記載される。
【0127】
真空源は、電源が入れられて、610mmHgの絶対圧力を有する真空を生成するように設定された。真空源が動作しているが管集合に付加が配置されていない場合(破砕力=0N)、管集合の患者端が大気に開口していたので、圧力センサは、大気圧(760mmHg)にほぼ等しい絶対圧力を流路において測定するであろう。
【0128】
薄板が0.03 mm/秒の速度でサンプルプラットフォーム741の方に移動し、それによって破砕力を管集合に適用した。破砕力が増加すると、流路が閉じ始めて、流路における絶対圧力が大気圧から大気圧よりも低い値まで低下した。試験は、流路における絶対圧力が625mmHgと等しいか又はそれより低くなったときに停止され(流路が閉塞されたことを示している)、最大破砕力が記録された。比較A、比較B、及び例示1の各々の3つのサンプル管集合が試験され、各サンプルは管集合の長さに沿った3つの場所で試験された。表1に結果が示されている。
【0129】
【表1】
【0130】
表1に示されるように、例1の管集合の流路を閉塞するために必要とされる平均破砕力(123.61N)は、比較Aの管集合の流路を閉塞するために必要とされる平均破砕力(42.95N)及び比較Bの管集合の流路を閉塞するために必要とされる平均破砕力(25.07N)よりも著しく大きかった。95%の信頼レベル(a=0.05)で2サンプル独立スチューデントt検定(two sample unpaired student’s t-test)が用いられて、例1の管集合を比較Aの管集合と、及び例1の管集合を比較Bの管集合と別個に比較した。同じサンプルに対して3つの場所で測定された力測定値が平均化され、このサンプル平均が1データ点として処理された(比較A、比較B、及び例1のそれぞれに対してn=3)。こうしたt検定は、例1の管集合の流路を閉塞するために必要とされる破砕力が比較Aの管集合及び比較Bの管集合の流路を閉塞するために必要とされる破砕力よりも著しく大きかったことを示した(各比較に対するp値は0.0001より低かった)。
【0131】
先の記載は、当業者が上記の様々な例の実装を実施することを可能にするために提供されている。こうした変形への様々な修正が当業者には容易に明らかとなり、本明細書に定義された一般原理は他の実装に適用されてもよい。当業者には周知である又は後に知られるようになる本開示を通じて記載された様々な例示の要素の全ての構造的及び機能的均等物が、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
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図32
図33
図34
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図36
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図40
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図42
図43
図44
図45
図46