(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】コイル構造の製造方法および磁気素子
(51)【国際特許分類】
H01F 41/04 20060101AFI20220519BHJP
H01F 41/00 20060101ALI20220519BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
H01F41/04 A
H01F41/00 C
H01F37/00 C
H01F37/00 J
(21)【出願番号】P 2020156111
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】202020331883.5
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010184973.0
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520361564
【氏名又は名称】台達電子(▲ちん▼州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】胡▲いぇん▼▲うぇー▼
(72)【発明者】
【氏名】何汪軍
(72)【発明者】
【氏名】▲ちぇん▼志勇
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-003125(JP,U)
【文献】特開2015-138817(JP,A)
【文献】特開2000-208341(JP,A)
【文献】特開平09-186021(JP,A)
【文献】特開2019-016739(JP,A)
【文献】特開2016-129188(JP,A)
【文献】特開平10-125545(JP,A)
【文献】特開平08-316059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
H01F 41/00
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル構造の製造方法であって、
絶縁板、右側治具を順に左側治具に套設するステップ1と、
治具と前記絶縁板との間の隙間に巻線を巻き付けてパンケーキコイルを形成するステップ2と、
前記パンケーキコイルを前記絶縁板、前記治具と共に加熱して成形するステップ3と、
前記治具を取り外し、前記パンケーキコイルが前記絶縁板に固定された状態でコイルアセンブリを取得するステップ4と、
前記絶縁板と位置決めブロックを固定して接続させ、かつ前記コイルアセンブリと前記位置決めブロックをそれに対応する充填空隙に設置するステップ5と、
前記充填空隙が満たされるように充填材を一括的に充填するステップ6と、
前記充填材を成形することにより、完全充填式のコイル構造を取得するステップ7と、を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記巻線は、自己接着層で覆われている、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ2は、前記パンケーキコイルに接着剤を加えることを更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ5は、前記絶縁板と前記位置決めブロックを固定して接続させ、かつ前記コイルアセンブリを磁気コアに套設した後、前記位置決めブロックと共にそれに対応する充填空隙に設置することを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記充填空隙は、充填型枠によって提供され、
前記ステップ7は、前記充填材を成形した後、前記充填型枠及び/又は前記位置決めブロックを取り
外すことを更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記充填空隙は、筺体によって提供され、
前記コイルアセンブリ、前記位置決めブロック及び前記磁気コアを前記筺体内に設置して充填する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記成形は、加熱成形であり、
前記加熱成形は、熱風成形、焼結成形および高周波加熱成形のうち任意の1つである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁板は、内部が空洞化した接続部、及び前記接続部の外側に沿って外部へ延出する幾つかのギア部を備える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ギア部は、位置決めギアを少なくとも1つ備え、前記位置決めブロックに前記位置決めギアに対応する位置決め穴、位置決め溝又は位置決め段階が設けられる、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ギア部は、ガイドギアを少なくとも1つ備え、前記ガイドギアにガイド穴が設けられる、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
磁気コアおよび少なくとも1つのコイルアセンブリを備える磁気素子であって、
前記コイルアセンブリは、自己接着層を有する巻線、及び少なくとも1つの位置決め部を有する絶縁板を備え、前記絶縁板の少なくとも片側で前記巻線を巻き付けてパンケーキコイルを形成し、
前記絶縁板は、位置決めブロックと固定して接続され、前記位置決めブロックは、前記位置決め部に対応して設けられ、
前記磁気コアを係合した後、その内部に前記コイルアセンブリを収納する収容スペースが形成され、前記収容スペースにおいて前記巻線と前記絶縁板以外のスペースに充填材が充填されていることを特徴とする、磁気素子。
【請求項12】
前記絶縁板は、内部が空洞化した接続部、及び前記接続部の外側に沿って外部に延出する幾つかのギア部を備える、
請求項11に記載の磁気素子。
【請求項13】
前記ギア部は、位置決めギアを少なくとも1つ備え、位置決めブロックに前記位置決めギアに対応する位置決め穴、位置決め溝又は位置決め段階が設けられる、請求項12に記載の磁気素子。
【請求項14】
前記ギア部は、ガイドギアを少なくとも1つ備え、前記ガイドギアにガイド穴が設けられる、請求項
12に記載の磁気素子。
【請求項15】
前記ガイド穴の横断面は、円形、楕円形、Ω字形、又は180°を超える扇形である、請求項
14に記載の磁気素子。
【請求項16】
前記ギア部は、支持ギアを少なくとも1つ備え、前記支持ギアは、前記接続部の中央に設けられる、請求項
12に記載の磁気素子。
【請求項17】
前記巻線は、絶縁層付き銅線、より線又は多層絶縁線であり、前記絶縁板は、プラスチック又はガラス繊維板で構成され、前記充填材は、熱伝導性シリコーンである、請求項
11に記載の磁気素子。
【請求項18】
筺体を更に備え、前記筺体に固定部が設けられる、請求項
11に記載の磁気素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気素子の技術分野に属し、特に、コイル構造の製造方法及び磁気素子に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用充電システムのトランスやインダクタ等の一部の高出力磁気素子は、作業時に高効率の放熱経路を介して巻線および磁気コアの温度上昇を冷却システムへ導く必要がある。こうした放熱は、通常、熱伝導性絶縁材を充填することで完遂され、放熱をより効果的に行う目的で磁気コアと巻線の間に熱伝導性絶縁材をできるだけ多く充填する試みがなされている。しかしながら、電気特性からして巻線同士、並びに巻線が磁気コアに対して耐電圧能力が十分であり、かつ各巻線の間に安定したインダクタンス、相互インダクタンス、漏れインダクタンス等を有することが一般に求められる。
【0003】
従来の絶縁材およびバリアテープ型の絶縁トランスとしては、その構造が
図1に示された通り、磁気コア1’内のコイルアセンブリは、ボビン4’及び巻線を備え、導線5’を巻き付けて形成された巻線は、絶縁テープ3’によって覆われることにより電気的に隔離され、かつ絶縁材2’によって位置決められる。ところが、この構造では、(1)巻線がテープによって数層重ねて被覆され、テープの熱伝導性が悪く、(2)放熱効果が巻線とボビン胴体、巻線とテープの間隔によって影響されやすく、(3)絶縁材によって耐電圧性が担保される構成になっているが、絶縁材が自動化製造に適しないといった問題を抱えている。また、従来の平面巻線型トランスでは、その構造が
図2に示された通り、磁気コア6’内のコイルアセンブリは、ボビン8’、導線9’がボビン8’を巻き付いたパンケーキコイル及びカバー7’を備え、(1)導線がボビンによって完全に覆われる構成となり、ボビン(通常、プラスチック製である)の熱伝導性に限界があり、(2)放熱効果がコイルとボビンの間の空間間隔によって影響されやすく(空気の熱伝導率は、0.02~0.03W/m・Kの範囲である)、(3)コイルとボビンの間の微小間隔に充填材を充填できないといった問題を抱えている。
【0004】
一方、巻線同士のインダクタンス値、漏れインダクタンス値を確保するに当たって巻線の位置を精確に制御する必要があるが、充填材が未硬化の状態で液体であり、コイルを熱伝導性絶縁材で完全被覆し、且つ特性の精確さを確保するための複数のコイルを空中で浮いた状態で精確に位置決めする必要がある。現在、こうした作業に下記幾つかの手法が使われている。
【0005】
(1)従来の方法を利用し、プラスチック製のボビンに導線を巻き付いて巻線を形成する。このとき磁気コアを組み立てた後、
図4に示すように、組み立て品を空隙に設置して充填材を注入する。この方法では熱伝導性絶縁材が巻線に含浸しにくく、熱伝導性が著しく低下する。また、プラスチック製のボビンを大幅に刳り抜くと、支持体と充填材の界面で耐電圧性が約2KV/mmと大幅に低下し、長期間にわたって加温・冷却のサイクルを繰り返した場合に亀裂が生じる恐れがある。そのため、所定の耐電圧性と同等レベルの耐電圧性を確保する観点から絶縁層の肉厚をより厚くする必要があるが、この場合には製品寸法が大きく、コストが高くなり、引いては必要とされる電気性能が得られないという恐れがある。
【0006】
(2)コイルを数回にわたり充填する位置決め方法を利用し、該方法は、(1)1次コイルを充填することにより、コイル構造の頂部と外側を充填するステップ、(2)1次コイルを充填することにより、コイル構造の底部と裏側を充填するステップ、(3)2次コイルを充填することにより、コイル構造の頂部と外側を充填するステップ、(4)2次コイル構造に対して充填を行うことにより、コイル構造の底部と裏側を充填するステップ、および(5)1次と2次コイルを積み重ねて充填するステップを含む。しかしながら、該方法を用いる場合には、(1)充填作業が特に煩雑であり、(2)数回に分けて硬化した充填材同士の間で耐電圧性が低下するという問題を抱える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされ、コイル構造の製造方法を提供することを目的とし、本発明の製造方法によれば、高い耐電圧領域で他の材質による支持がなくても充填材を1回充填して硬化することでコイル構造を形成できると同時に、コイルアセンブリにおける各巻線を高精度で位置決めすることができる。
【0008】
さらに、本発明は、上記製造方法で製造されるコイル構造を備える磁気素子を提供することを目的とし、該磁気素子は、製造コストが低く、製品の小型化が可能となり、熱伝導性に優れるといった利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成すべく、本発明は、コイル構造の製造方法を提供し、該製造方法は、絶縁板、右側治具を順に左側治具に套設するステップ1(S1)と、上記治具と絶縁板との間の隙間に導線を巻き付けてパンケーキコイルを形成するステップ2(S2)と、パンケーキコイルを絶縁板、上記治具と共に加熱して成形するステップ3(S3)と、上記治具を取り外し、パンケーキコイルが絶縁板に固定された状態でコイルアセンブリを取得するステップ4(S4)と、絶縁板と位置決めブロックを固定して接続させ、かつコイルアセンブリと位置決めブロックをそれに対応する充填空隙に設置するステップ5(S5)と、充填空隙が満たされるように充填材を一括的に充填するステップ6(S6)と、および充填材を成形することにより完全充填式のコイル構造を取得するステップ7(S7)と、を含む。
【0010】
上述の目的を達成すべく、本発明は、さらに磁気コア及び上記製造方法で製造されるコイル構造を備える磁気素子を提供する。
【0011】
上述の目的を達成すべく、本発明は、さらに磁気コア及び少なくとも1つのコイルアセンブリを備える磁気素子を提供し、そのうちコイルアセンブリは、巻線および絶縁板を備え、巻線は自己接着層を備え、絶縁板は少なくとも1つの位置決め部を備え、巻線は、前記絶縁板の少なくとも片側で巻回されてパンケーキコイルを形成する。磁気コアを係合すると、その内部にコイルアセンブリを収容可能な収容スペースが形成され、該収容スペース内において巻線と絶縁板以外のスペースに充填材が充填される。
【発明の効果】
【0012】
(1)パンケーキコイルは、1層又は2層以上を巻き付けることができ、実用性に優れている。パンケーキコイルの層同士は、絶縁板によって電気的に隔離され、層間絶縁性に優れている。
【0013】
(2)パンケーキコイルの寸法精度が高く、パンケーキコイルの硬化時に治具全体が覆われているため、パンケーキコイルの寸法精度(特に、厚さ方向で中柱関連の寸法)が0.1mmに達することができる。
【0014】
(3)コイルアセンブリで作られた磁気素子は、電気特性が精確であり、パンケーキコイルと絶縁板が互に位置決められ、絶縁材の充填時に絶縁板の位置を確定することでコイル位置を確定できるため、全てのパンケーキコイルの位置を精確に制御することができ、巻線同士のインダクタンス、相互インダクタンス、漏れインダクタンスの精確さを確保することができる。
【0015】
(4)本発明に係る製造方法によれば、1個又は2個以上のコイルを一括的に充填することができ、充填材は層間剥離することなく、さらに充填材硬化後の絶縁性が20KV/mmに達し、絶縁性と信頼性に優れている。したがって、充填材を薄肉に設計することが可能となり、コスト削減と共に放熱効果を高めることができる。また、本発明に係る製造方法によれば、コイルの充填を一括的に完成することができ、製造プロセスを簡素化して大量製造が可能となり、コスト削減も図られる。
【0016】
(5)巻線、絶縁板と磁気コアとの間のスペースは、充填材で満たされているため空間間隔や他の材質が存在せず、放熱効果が高く、より優れた放熱效率を実現可能である。充填材は巻線、絶縁板と磁気コアとを緊密に結合させ、外部環境の影響を最小限に抑えることができ、充填材が硬化して形成された表層部は微弱ながらも弾性があり、磁気素子が高温で作業するとき温度上昇に伴う熱膨張の応力を緩和でき、磁気コアが破裂するリスクを低減することができる。
【0017】
また、本発明に係るコイル構造としては、磁気素子の製造を簡素化することができ、製造コストが低く、製品の小型化が図られ、熱伝導性に優れるという利点がある。また、充填材は、巻線、絶縁板と磁気コアとを緊密に結合させ、磁気素子が外部環境の影響を受け難くし、コア素子の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来の絶縁材及バリアテープ型の絶縁トランス構造を示す断面図である。
【
図2】従来の平面巻線型トランス構造を示す断面図である。
【
図3A】本発明の製造方法でコイルアセンブリを製造する流れを示す図である。
【
図3B】本発明の製造方法でコイルアセンブリを製造する流れを示す図である。
【
図3C】本発明の製造方法でコイルアセンブリを製造する流れを示す図である。
【
図3D】本発明の製造方法でコイルアセンブリを製造する流れを示す図である。
【
図3E】本発明の製造方法でコイルアセンブリを製造する流れを示す図である。
【
図3F】本発明の製造方法でコイルアセンブリを製造する流れを示す図である。
【
図4】
図3Fに示すコイルアセンブリの分解図である。
【
図5A】本発明の製造方法でコイルアセンブリを用いてコイル構造を組み立てる流れを示す図である。
【
図5B】本発明の製造方法でコイルアセンブリを用いてコイル構造を組み立てる流れを示す図である。
【
図5C】本発明の製造方法でコイルアセンブリを用いてコイル構造を組み立てる流れを示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る磁気素子の分解図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る磁気素子の構造概略図である。
【
図8】接続部の最大幅方向に沿って本発明の磁気素子の断面を示す断面図である。
【
図9】接続部の最小幅方向に沿って本発明の磁気素子の断面を示す断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る位置決めブロックの構造概略図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る位置決めブロックの構造概略図である。
【
図12】本発明の第5実施形態に係る磁気素子を筺体に取り付けるときの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の目的、技術案および利点をより深く理解できるよう、図面と実施形態を参照しながら本発明をより詳しく説明する。以下の実施形態は、本発明を説明したに過ぎず、本発明はこれらの実施形態に制限されない点に留意されたい。各実施形態において、同じ構成要素については同じ符号を付与して重複する説明を省略するが、これらの符号は各実施形態及び/又は構成の関係を制限するものでない。
【0020】
なお、以下の実施形態において、図面に示す1つの構成要素や構成と、他の構成要素や構成との関係を説明するために「左側」、「右側」、「前端」、「末端」などの空間関係を表す用語が使われ、これらの空間関係を表す用語としては、図に示す方向や位置以外にも構成要素の使用中又は作業中の方向や位置を表す場合がある。本発明の空間関係を表す用語は、例えば、装置を90°回転し、若しくは他の方向や位置に置いた場合にも適用可能である。
【0021】
【0022】
図3Aは、左側治具1の構造概略図である。
図3Aに示すように、左側治具1は、左側から順に同軸に連結された左側軸部104、左側バリア部103、支持部102および右側軸部101を備える。
図3C示すように、右側治具2は、相互同軸に連結された右側バリア部201および右側スリーブ202を備え、右側バリア部201は、支持部102に対応してセンタ穴を備える。右側スリーブ202も支持部102に対応してセンタ穴を備え、右側治具2を左側治具1の支持部102に套設することができる。
【0023】
具体的には、
図3A~
図3Fを参照されたく、第1コイルアセンブリ4は、下記ステップ1~ステップ7の順に製造される。
【0024】
ステップ1では、順に絶縁板6、右側治具2を左側治具1の支持部102に套設する。具体的には、
図3Bに示すように、絶縁板を左側治具1の支持部102に套設し、そして
図3C、
図3Dに示すように、右側治具2を左側治具1の支持部102に套設する。左側バリア部103は、絶縁板6及び右側治具2を固定して位置決めする効果を奏する。また、左側治具1と右側治具2の関係は変更可能であり、例えば、別の実施形態では左側治具1、絶縁板6が右側治具2に套設される構成となり、本発明ではこれらについて特に制限がない。
【0025】
ステップ2では巻線3を提供し、巻線3を上記治具と絶縁板6との間の隙間に巻き付ける。本実施形態において、絶縁板6の両側で巻線を施してパンケーキコイル7を形成するが、他の実施形態では絶縁板6の片側で巻線を施してパンケーキコイルを形成することもできる。さらに、巻線の両端にリード端子を設けて引き出されるようにする。
【0026】
ステップ3ではパンケーキコイル7を絶縁板6、上記治具と共に加熱して成形する。本実施形態において、巻線3を巻き付けてパンケーキコイル7を形成した後、そこに接着剤を添加して加熱成形することによりパンケーキコイル7を絶縁板6に固定する。そのため、絶縁板6は、パンケーキコイル7を固定して位置決めすると同時に電気的に隔離する効果を奏する。他の実施形態では自己接着層が被覆されている巻線3を用いることができ、この場合、加熱成形する前にパンケーキコイル7に接着剤を添加することなく、巻線3の自己接着層を加熱成形することでパンケーキコイル7を絶縁板6に固定することができる。
【0027】
ステップ4では上記治具を取り外し、パンケーキコイル7が絶縁板6に固定された状態で第1コイルアセンブリ4を取得する。
図3Fおよび
図4を参照されたく、以上のようにして得られた第1コイルアセンブリ4は巻線3および絶縁板6を備え、絶縁板6の両側で巻線3を巻き付けてパンケーキコイル7を形成し、接着剤又は自己接着層を加熱成形することでパンケーキコイル7を絶縁板6に固定する。そのため、絶縁板6はパンケーキコイル7を固定すると同時に電気的に隔離する効果を奏する。また、巻線3を1層に巻き付けて絶縁板6の片側に設置することができる。本発明において、パンケーキコイルおよび絶縁板などを1組又は2組以上設けてもよく、これらについて特に制限がない。
【0028】
引続き
図4を参照されたく、絶縁板6は、内部が空洞化した接続部61及び接続部61の外側に沿って外部に延出する幾つかのギア部62を備える。本実施形態において、接続部61は、首尾が一体化され連結された環状を呈する。他の実施形態において、接続部61は首尾が一体化され連結された環状に限らず、楕円形、レーストラック形、又は短冊形などであってもよい。
【0029】
なお、本実施形態に係るギア部は、接続部61の前端に設けられるガイドギア621、接続部61の末端に設けられる位置決めギア622、および接続部61の中央に設けられる支持ギア623を備える。本実施形態では、2つのガイドギア621、2つの位置決めギア622および6つの支持ギア623を備え、支持ギア623は、それぞれ接続部61の中央両側に設けられる。別の実施形態ではガイドギア621、位置決めギア622、支持ギア623の個数が定められず、本発明ではこれらについて特に制限がない。また、別の実施形態ではガイドギア621及び/又は支持ギア623を設けず、さらに、各ギア部の形状や位置関係についても特に制限がない。
【0030】
本実施形態では、2つのガイドギア621に何れもΩ字形のガイド穴6211が1つ設けられ、パンケーキコイル7を巻き付けるとき巻線両端に形成されたリード端子8を導くことにより、リード端子8の設置や外部との接続が容易に行われるようにする。また、一部の実施形
態において、ガイド穴6211の横断面は円形であるが、別の実施形態中ではガイド穴6211の形状を楕円形、Ω字形、又は180°を越える扇形にすることができ、そのうちリード端子8の設置を容易にする観点からΩ字形又は180°を越える扇形が好ましい。
【0031】
引き続き
図5A~
図9を参照されたく、
図5A~
図5Cは、本発明の製造方法でコイルアセンブリを用いてコイル構造を組み立てる流れを示す図であり、
図6は、本発明の第2実施形態に係る磁気素子の分解図であり、
図7は、本発明の第2実施形態に係る磁気素子の構造概略図であり、
図8は、接続部の最大幅方向に沿って本発明の磁気素子の断面を示す断面図であり、
図9は、接続部の最小幅方向に沿って本発明の磁気素子の断面を示す断面図である。本実施形態では、例えば第1コイルアセンブリ4および第2コイルアセンブリ5と2つのコイルアセンブリを備え、2つのコイルアセンブリは、上記実施形態における第1コイルアセンブリ4とほぼ同様にして製造され、ここでは重複する説明を省略する。さらに、上記第1コイルアセンブリ4および第2コイルアセンブリ5を用いてコイル構造13を組み立て、具体的に、組み立ては以下のようにして遂行される。
【0032】
ステップ5では、絶縁板6と位置決めブロックを固定して接続し、かつ第1コイルアセンブリ4、第2コイルアセンブリ5および位置決めブロックをそれに対応する充填空隙901に設置する。
【0033】
具体的には、
図5Aに示すように、本実施形態に係る絶縁板6は、4つのガイドギア621を備え、各ガイドギア621に何れも1つの円形のガイド穴6211を設けることにより、パンケーキコイル7を巻き付けるとき形成されたリード端子8を導く。上側の絶縁板6に4つのガイドギア部621が設けられ、そのうち2つのガイドギア部621は、第1コイルアセンブリ4におけるパンケーキコイル両端のリード端子8を導くために用いられ、他の2つのガイドギア部621は、下側の第2コイルアセンブリ5におけるパンケーキコイル両端のリード端子8を導くために用いられるが、本発明はこれらに制限されない。さらに、最外側にある2つのガイドギア621は、外側に延出して突起を形成し、該2つのガイドギア621は前端位置決めギアとも称される。第1コイルアセンブリ4と第2コイルアセンブリ5それぞれの絶縁板6に設けられた前端位置決めギアの突起は、前端位置決めブロック10の位置決め溝1002内に挿入される。一方、2つの絶縁板6に設けられた末端位置決めギア622は、末端位置決めブロック11の位置決め穴1101内に挿入される。さらに、絶縁板6と位置決めブロック10、11を固定した後、
図5B~
図5Cに示すように、第1コイルアセンブリ4および第2コイルアセンブリ5と、前端位置決めブロック10および末端位置決めブロック11とを同時に、それに対応する充填型枠9の充填空隙901に設置する。パンケーキコイルと絶縁板が固定され、絶縁板と位置決めブロックも互いに固定されていることから、全てのコイルの位置決めを精確に制御可能であり、巻線同士のインダクタンス、相互インダクタンス、漏れインダクタンスの精確さを確保することができる。
【0034】
本実施形態では、第1コイルアセンブリ4と第2コイルアセンブリ5を上下に積み重ねて固定し、かつ2つの絶縁板6と位置決めブロックを固定することにより、第1コイルアセンブリ4と第2コイルアセンブリ5を精確に位置決めする。このとき、
図5Aに示すように、2つの絶縁板6を同一方向に積み重ねて設けることにより各絶縁板のガイドギア621が同じ向きとなり、リード端子8が絶縁板13の同じ向きとなるようにする。言うまでもないが、2つの絶縁板6を互いに反対方向に向けて積み重ねて設けることにより、各コイルアセンブリのガイドギア部621が互いに逆向きとなるようにすることができ、若しくは絶縁板6の前端と末端にガイドギア621を設けることにより、絶縁板13の両側にリード端子8を設けてもよく、本発明ではこれらについて特に制限がない。また、本発明では各ギア部62の形状についても特に制限がない。
【0035】
ステップ6では、充填空隙901が満たされるように充填材を一括的に注入する。具体的には、
図5Cに示すように、充填型枠9が満たされるよう充填材を一括的に注入すると、充填空隙901において巻線3、絶縁板6及び位置決めブロック以外のスペースは全て充填材で満たされ、すなわち巻線3同士の間のスペース、巻線9と絶縁板6との間のスペース、巻線9と充填空隙901との間のスペースは、全て充填材で満たされる。つまり、本発明によれば、充填操作を1回施すことで1個又は2個以上のコイルアセンブリを一括的に充填することができ、製造の簡素化を実現して大量製造が容易となり、コスト削減が図られる。また、本発明によれば、充填材を注入し、固定した後に層間剥離が起こることなく、絶縁性および信頼性に優れ、コスト削減と共に放熱効果を高めることができる。
【0036】
ステップ7では、充填材を成形することにより完全充填式のコイル構造を取得する。具体的には、本実施形態において充填材を成形することにより、
図6に示すようなコイル構造13が得られ、コイル構造13は成形した充填材12で覆われ、リード端子8は成形した充填材12から延び出される。本実施形態において、充填空隙901は充填型枠9によって提供され、充填型枠9と位置決めブロック10、11を取り外すことにより完全充填式のコイル構造13が得られる。別の実施形態では、充填型枠9のみを取り外して位置決めブロックを保留してもよく、すなわち位置決めブロックをコイル構造の一部としてもよく、具体的には実際状況に合わせて適宜決めることができ、本発明ではこれらについて特に制限がない。別の実施形態では、充填空隙901は筺体(図示せず)によって提供され、充填作業が終了した後に筺体を取り外すことなく、筺体を備える完全充填式のコイル構造が得られ、該コイル構造を磁気コアに形成された磁気素子に套設する。例えば、一部の機種に限っては製品の筺体に設置したまま充填を行い、このとき製品の筺体が充填空隙となる。
【0037】
さらに、本実施形態の完全充填式のコイル構造13を磁気コア14の収容スペース1401に設置する。ステップ6における充填空隙901と収容スペース1401が対応するため、
図6および
図7示すようなトランスといったコイル構造13を備える磁気素子が得られる。別の実施形態では、磁気素子がインダクタであってもよい。
【0038】
言うまでもないが、上述の実施形態では完全充填式のコイル構造を得て磁気コアに套設することで磁気素子を製造する流れになっているが、本発明ではこれらについて特に制限がない。他の実施形態では、ステップ5において絶縁板と位置決めブロックを固定して接続し、コイルアセンブリを磁気コアに套設した後、磁気コアとコイルアセンブリを同時にそれに対応する充填空隙に設置し、充填材を充填して成形することで磁気素子を製造することができる。
【0039】
ステップ6で充填材を一括的に充填する際、充填材をより円滑に絶縁板6とパンケーキコイル7の間の隙間及び巻線3同士の隙間に浸透させる観点から、絶縁板6の接続部61の中央空洞を大きくし、接続部61(空洞化部分を含まず)を狭くすることが好ましい。しかしながら、絶縁板6の中央空洞が大きくなるにつれて接続部61が狭くなり、絶縁板6によるパンケーキコイル7の支持や位置決めが難しくなる。そのため、本実施形態では、上下層のコイル同士の絶縁と放熱をより効率的に行う観点から、図に示すように絶縁板6の接続部61中央において支持ギア623を更に備える。また、充填材5を充填する際、接続部61に幾つかのギア部62が設けられているため、絶縁板6の幅を適宜調整することができ、充填材5が狭い箇所から容易に巻線3と接続部61の隙間に浸透し、かつ両側の隙間に流れるようになる。
【0040】
図8は、接続部の最大幅方向に沿って本発明の磁気素子の断面を示す断面図であり、
図9は、接続部の最小幅方向に沿って本発明の磁気素子の断面を示す断面図である。本発明の実施形態において、
図4に示すように、絶縁板6の接続部61の中央両側にそれぞれ3つの支持ギア623が設けられ、そのうち最も中央側の2つの支持ギア623によって該中央部分の接続部61の幅が大きくなり、充填材が直接に巻線3と接続部61の隙間に浸透しにくくする。一方、支持ギア近傍の凹みによって接続部61の幅が大きく低下し、充填材が該箇所から容易に巻線3と接続部61の隙間に浸透し、かつ両側の隙間に流れるようになる。そのため、支持ギア623の配置によって巻線9と接続部61の隙間へ充填材が浸透し且つ収容スペース3を満たすことが影響されることなく、パンケーキコイル7に対する接続部61の支持、位置決め及び絶縁耐電圧性を高めることができる。また、別の実施形態では支持ギア部623の数が1個又は2個以上であってもよく、或いは支持ギア部623が設けられていなくてもよく、本発明では支持ギア部623の数について特に制限がない。
【0041】
以上のことから、本発明の磁気素子は、以下の利点がある。つまり、(1)巻線が熱伝導性絶縁材及び/又は充填材と直接接触し、最上層にあるパンケーキコイルから磁気コアの最底部に至るまで隙間なく熱伝導性絶縁材と直接連通される。(2)巻線、絶縁板と磁気コアの間のスペースに充填材以外の空間間隔が存在せず、或いは他の材質が存在しないため、放熱効果に優れて熱伝導率が高い。また、充填材によって巻線、絶縁板と磁気コアが緊密に接着し、外部環境の影響を最小限に抑えることができる。(3)充填材が特に高い絶縁性を有するため、充填材を薄肉に設計することが可能となり、磁気素子の小型化が図られる。一方、充填材の用量を減らして製品コストを削減することができ、かつ充填材が硬化した後にはゴム状であり、微弱ながらも弾性があるため、温度上昇に伴う熱膨張の応力を緩和でき、磁気コアが破裂するリスクを低減することができる。(4)充填材を一括的に充填することができ、他の充填方法に比べて効率が高くなり、製造の自動化が図られる。
【0042】
さらに、
図10を参照されたく、
図10は、本発明の第3実施形態に係る位置決めブロックの構造概略図である。本実施形態において、上記と同様にしてコイルアセンブリを巻き付いて組み立てる。第1コイルアセンブリ4の絶縁板6の接続部61前端にガイドギア621が設けられ、接続部61末端に位置決めギア622が設けられる。第2コイルアセンブリ5の構造は、第1コイルアセンブリ4の構造に似ているため、重複説明を省略する。上述の第2実施形態とは異なり、本発明の第3実施形態では前端位置決めブロック10内に上記ガイドギア621に対応する位置決め溝1002が設けられ、該ガイドギア621は前端位置決めギアとも称され、末端位置決めブロック11にも位置決めギア622に対応して位置決め溝1102が設けられる。2つの絶縁板を順に前端位置決めブロック10および末端位置決めブロック11に固定し、ガイドギア621および位置決めギア622をそれぞれ位置決め溝1002、1102に対応して挿入する。さらに、ステップ7では充填型枠9及び位置決めブロック10、11を取り外してコイル構造を取得するが、充填型枠9のみを取り外して前端位置決めブロック10及び/又は末端位置決めブロック11を保留してもよく、位置決めブロックをコイルアセンブリの一部としてもよく、本発明はこれらに制限されない。
【0043】
ここで、
図5Aおよび
図10に示す位置決めブロック10、11の構造は、本発明の1例を例示したに過ぎず、本発明はこれらの構造に制限さらない点に留意されたい。位置決めブロックの構造については、本発明の技術範囲から逸脱しない前提で変更や変換を適宜加えることができる。
【0044】
さらに、
図11を参照されたく、
図11は、本発明の第4実施形態に係る位置決めブロックの構造概略図である。上述の第2実施形態と異なり、本発明の第4実施形態では充填型枠9に位置決め穴(図示せず)を設けず、ガイドギア621を充填型枠9の位置決め穴に挿入することができる。本実施形態によれば、末端位置決めブロック11を更に備え、充填型枠9に末端位置決めブロック11に対応する末端位置決め部902を設け、末端位置決め部902に位置決めギア622に対応する位置決め段階9021を設ける。このとき、第2コイルアセンブリ5及び第1コイルアセンブリ4の位置決めギア622をそれぞれ位置決め段階9021に対応して設置し、末端位置決めブロック11を末端位置決め部902の上方に設置することにより、2つの絶縁板を固定し、第2コイルアセンブリ5及び第1コイルアセンブリ4を精確に位置決めする。本実施形態では、位置決め段階9021を充填型枠9の末端位置決め部902に設置する構成であるが、別の実施形態によれば、位置決め段階9021を末端位置決めブロック11に設置することができる。本発明では末端位置決め部902と充填型枠9を一体化に成形することができるが、一部の実施形態によれば、末端位置決め部902と末端位置決めブロック11を一体化に成形することができる。
【0045】
本発明に係る一部の実施形態において、加熱成形する際に高周波成形法を採用することができるが、別の実施形態では、熱風成形又は焼結成形法を採用することもできる。高周波成形や焼結成形によって加熱成形する際に処理温度域をより高く設定することができるため、硬化温度の範囲がより広い自己接着層又は接着剤が使用可能となる。
【0046】
本発明に係る一部の実施形態において、絶縁板6の両側で巻線3を巻き付いてパンケーキコイル7を形成するが、別の実施形態では、絶縁板6の片側で巻線3を巻き付いてパンケーキコイル7を形成することもできる。
【0047】
本発明に係る一部の実施形態において、巻線3はより線で構成され、より線が比較的柔軟であるため、より線でパンケーキコイル7を形成して絶縁板6に固定する際には困難性を伴う。しかしながら、別の実施形態では、巻線3として絶縁層付き銅線又は多層絶縁線を使用することができる。
【0048】
本発明に係る一部の実施形態において、絶縁板6はガラス繊維板で構成されるが、別の実施形態では、絶縁板6がプラスチック製である。また、上述の実施形態において充填材5が熱伝導性シリコーンであり、熱伝導性シリコーンの利点は、以下の通りである。つまり、(1)熱伝導性シリコーン製のコイル構造は、より優れた放熱効果を有する。(2)熱伝導性シリコーンの機械強度および絶縁性能が高く、充填材をより薄肉に設計可能となり、磁気素子の小型化を実現すると同時に充填材の用量を減らして製品コストを削減することができる。(3)熱伝導性シリコーン製のコイル構造は、外部環境の影響を最小限に抑えることができる。
【0049】
図12は、本発明の第5実施形態に係る磁気素子の構造概略図である。
図12に示すように、本発明の磁気素子は、筺体15を更に備える。具体的には、筺体15は上記磁気素子を収納する空胴部を備え、磁気素子を該空胴部に設置する。本実施形態では、筺体15の空胴壁151が上方に延び出して蓋体152を形成し、蓋体152は下方に折り返して磁気素子を該空胴部に固定する。また、位置決めブロックを磁気素子の一部とし、すなわち製造時に位置決めブロックを保留したまま筺体15に設置することができる。リード端子8は、位置決めブロックから引き出されて外部設備と接続する導電端子16を形成することができる。筺体15に固定部153を更に設けてもよく、本発明び実施形態において、例えばネジ等の係止部材を介して、磁気素子と回路基板や他のモジュールを係止して固定することができる。
【0050】
以上を纏めると、本発明に係るコイルアセンブリの製造方法によれば、パンケーキコイルの層同士を絶縁板によって電気的に隔離し、より優れた層間絶縁性が得られる。また、位置決めブロックとの組合わせによって位置決め精度を高め、後の充填作業を気軽く遂行することができる。また、パンケーキコイルの位置決めを精確に制御可能であり、巻線同士のインダクタンス、相互インダクタンス、漏れインダクタンスの精確性を確保することができる。さらに、本本発明に係るコイルアセンブリの製造方法によれば、1個又は2個以上のパンケーキコイルを一括的に充填することができ、充填後に層間剥離が起こることなく、より優れた絶縁性と耐久性が得られ、かつ巻線と絶縁板の間のスペースが充填材によって隙間なく満たされ、より優れた熱伝導性性が得られる。また、本発明に係るコイルアセンブリを備える磁気素子は、製造の簡素化が図られ、コスト削減や製品の小型化を実現可能であり、熱伝導性に優れるといった利点がある。また、巻線、絶縁板と磁気コアとを充填材によって緊密に接着することができ、磁気素子が外部環境の影響から免れるようにすることができる。
【0051】
また、以上の実施形態は本発明を例示するものであり、本発明はこれらに制限されず、本発明の要旨から逸脱しない範囲で当業者が本発明に対して変更や変化を適宜施してもよく、これらの変更や変化も本発明の範囲内である点に留意されたい。
【符号の説明】
【0052】
1 左側冶具
101 右側軸部
102 支持部
103 左側バリア部
104 左側軸部
2 右側冶具
201 右側バリア部
202 右側スリーブ
3 巻線
4 第1コイルアセンブリ
5 第2コイルアセンブリ
6 絶縁板
61 接続部
62 ギア部
621 ガイドギア
6211 ガイド穴
622 位置決めギア
623 支持ギア
7 パンケーキコイル
8 リード端子
9 充填型枠
901 充填空隙
902 末端位置決め部
9021 位置決め段階
10 前端位置決めブロック
1002、1102 位置決め溝
11 末端位置決めブロック
1101 位置決め穴
12 充填材
13 コイル構造
14 磁気コア
1401 収容スペース
15 筺体
151 空胴壁
152 蓋体
153 固定部
16 導電端子