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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】スマートバッテリー装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20220519BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220519BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020199609
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2021190415
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-12-01
(31)【優先権主張番号】109117760
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
【住所又は居所原語表記】No.188,Wenhua 2nd Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】顏 維廷
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-185944(JP,A)
【文献】特開2016-207287(JP,A)
【文献】特開2016-225206(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0167706(US,A1)
【文献】中国特許第104678320(CN,B)
【文献】国際公開第2018/169029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 -10/48
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵ユニットと、
ッテリー装置の温度を検出する温度感知ユニットと、
前記バッテリー装置のサイクルカウントを記憶する記憶ユニットと、
前記エネルギー貯蔵ユニット、前記温度感知ユニット及び前記記憶ユニットに結合された処理ユニットと、を含み、
前記バッテリー装置が充電モードにある場合、前記処理ユニットは、
前記エネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を計算し、前記内部抵抗に従って前記内部抵抗に対応する第1の増分を取得して、前記第1の増分を前記記憶ユニットに記憶することと、
前記バッテリー装置を充電する充電電圧を検出し、前記充電電圧に従って前記充電電圧に対応する第2の増分を取得して、前記第2の増分を前記記憶ユニットに記憶することと、を少なくとも行い、
前記バッテリー装置が放電モードにある場合、前記処理ユニットは、
前記エネルギー貯蔵ユニットの放電電流を検出し、前記放電電流に従って前記放電電流に対応する第3の増分を取得して、前記第3の増分を記憶ユニットに記憶することを少なくとも行い、
前記充電モード又は前記放電モードでは、前記処理ユニットは、
前記バッテリー装置の前記サイクルカウントを読み出し、前記サイクルカウントに従って、前記サイクルカウントに対応する第4の増分を取得することと、
前記温度感知ユニットから前記温度を読み出し、前記温度に従って、前記温度に対応する第5の増分を取得して、前記第5の増分を前記記憶ユニットに記憶することと、をさらに行い、
充放電サイクルでは、前記処理ユニットは、前記記憶ユニットから前記第1、第2、第3、第4及び第5の増分を読み出し、前記第1、第2、第3、第4及び第5の増分の積値と膨張率との対応関係に従って前記バッテリー装置の膨張率を決定する、バッテリー装置。
【請求項2】
前記充電モードでは、前記処理ユニットは、前記記憶ユニットから前記第1、第2、第4及び第5の増分を読み出し、前記第1、第2、第4及び第5の増分の第1のサブ積値に従って前記バッテリー装置の膨張率を決定する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記放電モードでは、前記処理ユニットは、前記記憶ユニットから前記第3、第4及び第5の増分を読み出し、前記第3、第4及び第5の増分の第2のサブ積値に従って前記バッテリー装置の膨張率を決定する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記エネルギー貯蔵ユニットと前記処理ユニットとの間に結合された感知抵抗器をさらに含み、前記処理ユニットは、前記感知抵抗器の両端の電圧を測定することにより、前記充電モードでの充電電流又は前記放電モードでの放電電流を計算する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を計算する処理ユニットは、
第1の時点で前記エネルギー貯蔵ユニットの第1の電圧を測定し、
第2の時点で前記エネルギー貯蔵ユニットの第2の電圧を測定し、
前記第1の電圧と前記第2の電圧との間の電圧差及び前記充電モードでの前記充電電流に従って、前記エネルギー貯蔵ユニットの前記内部抵抗を計算する、請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵ユニットの前記内部抵抗が高いほど、前記第1の増分が大きくなり、前記バッテリー装置を充電する前記充電電圧が高いほど、前記第2の増分が大きくなり、前記バッテリー装置の前記放電電流が大きいほど、前記第3の増分が大きくなり、前記バッテリー装置の前記サイクルカウントが多いほど、前記第4の増分が大きくなり、前記バッテリー装置の温度が高いほど、前記第5の増分が大きくなる、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項7】
前記バッテリー装置が前記充電モードにあるとき、前記処理ユニットは、
前記バッテリー装置が外部電源に結合されているかどうかを検出し、結合されている場合に、前記充電モードで請求項1において前記処理ユニットが行う動作を実行し、結合されていない場合に、前記放電モードに移行するタスクを実行する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項8】
前記放電モードにおいて、前記処理ユニットは、
前記エネルギー貯蔵ユニットからの放電電流があるかどうかを検出し、放電電流がある場合に、前記放電モードで請求項1において前記処理ユニットが行う動作を実行し、放電電流がない場合に、充電モードに移行するタスクをさらに実行する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項9】
前記処理ユニットは
前記充放電サイクルの後の第2の充放電サイクルにおいて、前記第1、第2、第3、第4及び第5の増分を乗算することによって第2の積値を取得し、
記積値が前記第2の積値よりも大きい場合に、前記積値を前記記憶ユニットに記憶し、
前記第2の積値が前記積値よりも大きい場合に、前記第2の積値を前記記憶ユニットに記憶するタスクを実行する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項10】
前記処理ユニットは、
前記バッテリー装置の相対的な充電状態が100%の場合に、前記充電モードを終了し、
前記バッテリー装置の相対的な充電状態が3%以下の場合に、前記放電モードを終了するタスクを実行する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年5月28日に出願された台湾特許出願第109117760号についての優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0002】
本発明は、バッテリー装置に関し、特に、バッテリー装置の充放電プロセスを介してバッテリー装置の膨張率を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
急成長する今日のモバイル通信の時代において、バッテリー(通常はリチウム電池)は、モバイル機器の最も重要な構成要素の1つになっている。モバイル機器の小型化が進むにつれて、バッテリーを収容できるモバイル機器の利用可能なスペースがますます制限されている。モバイル機器内のリチウム電池の(充放電)サイクルカウントの蓄積に伴い、バッテリーが膨張する可能性がますます高くなり、膨張の程度もますます大きくなる可能性がある。
【0004】
リチウム電池がモバイル機器に配置されるスペースには、業界では通常、リチウム電池の厚さの10%のスペースを確保しており、リチウム電池が膨張することによってモバイル機器のケースを圧迫するのを防いでいる。しかしながら、従来のモバイル機器では、リチウム電池の膨張度を監視することができない。リチウム電池の膨張率が10%に達すると、リチウム電池がモバイル機器のケースを圧迫して、ケースが変形したり、リチウム電池のバッテリーセルが短絡したりして爆発する可能性が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バッテリー装置の充放電プロセスを介してバッテリー装置の膨張率を検出する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するために、本発明の実施形態は、エネルギー貯蔵ユニットと、温度感知ユニットと、記憶ユニットと、処理ユニットと、を含むバッテリー装置を提供する。エネルギー貯蔵ユニットは、電気エネルギーを貯蔵する。温度感知ユニットは、バッテリー装置の温度を検出する。記憶ユニットは、バッテリー装置のサイクルカウントを記憶する。処理ユニットは、エネルギー貯蔵ユニットと、温度感知ユニットと、記憶ユニットと、に結合されている。充電モードでは、処理ユニットは、エネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を計算し、内部抵抗に従って内部抵抗に対応する第1の増分を取得して、第1の増分を記憶ユニットに記憶する。処理ユニットは、バッテリー装置を充電する充電電圧を検出し、充電電圧に従って充電電圧に対応する第2の増分を取得して、第2の増分を記憶ユニットに記憶する。放電モードでは、処理ユニットは、エネルギー貯蔵ユニットの放電電流を検出し、放電電流に従って放電電流に対応する第3の増分を取得して、第3の増分を記憶ユニットに記憶する。充電モード又は放電モードの何れかの場合に、処理ユニットは、記憶ユニット内のサイクルカウントを読み出し、サイクルカウントに対応する第4の増分を取得する。処理ユニットは、温度感知ユニットから温度を読み出し、温度に対応する第5の増分を取得して、第5の増分を記憶ユニットに記憶する。充放電サイクルでは、処理ユニットは、記憶ユニットから第1、第2、第3、第4及び第5の増分を読み出し、第1、第2、第3、第4及び第5の増分の積値に従ってバッテリー装置の膨張率を決定する。
【0007】
上記のバッテリー装置によれば、充電モードでは、処理ユニットは、記憶ユニットから第1、第2、第4及び第5の増分を読み出し、第1、第2、第4及び第5の増分の第1のサブ積値に従ってバッテリー装置の膨張率を決定する。
【0008】
上記のバッテリー装置によれば、放電モードでは、処理ユニットは、記憶ユニットから第3、第4及び第5の増分を読み出し、第3、第4及び第5の増分の第2のサブ積値に従ってバッテリー装置の膨張率を決定する。
【0009】
上記のバッテリー装置によれば、エネルギー貯蔵ユニットと処理ユニットとの間に結合された感知抵抗器をさらに含み、処理ユニットは、感知抵抗器の両端の電圧を測定することにより、充電モードでの充電電流を計算するか、又は、放電モードでの放電電流を計算する。
【0010】
上記のバッテリー装置によれば、エネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を計算する処理ユニットは、第1の時点でエネルギー貯蔵ユニットの第1の電圧を測定し、第2の時点でエネルギー貯蔵ユニットの第2の電圧を測定し、第1の電圧と第2の電圧との間の電圧差及び充電モードでの充電電流に従って、エネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を計算する。
【0011】
上記のバッテリー装置によれば、エネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗が高いほど、第1の増分が大きくなり、バッテリー装置を充電する充電電圧が高いほど、第2の増分が大きくなり、バッテリー装置の放電電流が大きいほど、第3の増分が大きくなり、バッテリー装置のサイクルカウントが多いほど、第4の増分が大きくなり、バッテリー装置の温度が高いほど、第5の増分が大きくなる。
【0012】
上記のバッテリー装置によれば、充電モードでは、処理ユニットは、バッテリー装置が外部電源に結合されているかどうかを検出する。結合されている場合、実行中の動作は充電モードで実行される。結合されていない場合、バッテリー装置は放電モードに移行する。
【0013】
上記のバッテリー装置によれば、放電モードでは、処理ユニットは、エネルギー貯蔵ユニットからの放電電流の有無を検出する。放電電流がある場合、実行中の動作は放電モードで実行される。放電電流がない場合、バッテリー装置は充電モードに移行する。
【0014】
上記のバッテリー装置によれば、処理ユニットは、第1の充放電サイクルで第1の積値を取得し、第2の充放電サイクルで第2の積値を取得し、第1の積値が第2の積値よりも大きい場合に第1の積値を記憶ユニットに記憶し、第2の積値が第1の積値よりも大きい場合に第2の積値を記憶ユニットに記憶するタスクを実行する。
【0015】
上記のバッテリー装置によれば、処理ユニットは、バッテリー装置の相対的な充電状態が100%の場合に充電モードを終了し、バッテリー装置の相対的な充電状態が3%以下の場合に放電モードを終了するタスクを実行する。
【0016】
本発明は、添付の図面を参照しながら後続の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解することができる。これらの画面は、業界の標準的な慣行に従った縮尺通りに描かれているとは限らないことを理解されたい。実際には、わかりやすく説明するために、構成要素のサイズを任意に拡大又は縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による、バッテリー装置のブロック図である。
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態による、図1のバッテリー装置のエネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を測定するための等価概略図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態による、バッテリー装置の充放電サイクルのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、バッテリー装置のブロック図である。図1に示すように、バッテリー装置100は、処理ユニット102と、エネルギー貯蔵ユニット104と、温度感知ユニット106と、記憶ユニット108と、感知抵抗器110と、充電スイッチ112と、放電スイッチ114と、サブ処理ユニット116と、保護装置118と、正の電源p+と、負の電源p-と、通信バスSMBUS_CLOCK,SMBUS_DATAと、バッテリー識別インジケータBATTERY_ID,SYNTE_IDと、ノードA,B,C,D,Eと、を含む。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵ユニット104は、電気エネルギーを貯蔵する。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵ユニット104は、受け取った電気エネルギーを貯蔵用の化学エネルギーに変換するか、又は、貯蔵した化学エネルギーを出力用の電気エネルギーに変換するために用いられる少なくとも1つのバッテリーセルを有する。温度感知ユニット106は、バッテリー装置100の温度を検出する。いくつかの実施形態では、温度感知ユニット106は、温度センサー又は温度感知チップである。いくつかの実施形態では、温度感知ユニット106は、その抵抗が温度とともに変化するサーミスタを含む。温度感知ユニット106は、サーミスタに電力を供給し、サーミスタの両端の電圧を測定することにより、サーミスタの両端の電圧の変化が温度の変化に変換される。
【0019】
記憶ユニット108は、バッテリー装置のサイクルカウント(又は充放電サイクル)のデータを記憶する。いくつかの実施形態では、記憶ユニット108は、不揮発性メモリであり、その中に記憶されたデータは、電源がオフになっても失われない。いくつかの実施形態では、サブ処理ユニット116は、処理ユニット102のバックアッププロセッサである。処理ユニット102が動作できない場合、サブ処理ユニット116は、処理ユニット102の動作を実行する。いくつかの実施形態では、保護装置118は、エネルギー貯蔵ユニット104を保護するために、ノードAとノードBとの間に大きな電流が流れている場合に、ノードAとノードBとの間の接続を自動的に遮断するように用いられる。充電スイッチ112は、制御線122を介して処理ユニット102から送信された制御信号に応じて、その状態を変化させる。例えば、制御線122の制御信号が「0」である場合、充電スイッチ112は、電流がノードBからノードAにのみ流れることを許可し、電流がノードAからノードBに流れることを禁止する。制御線122の制御信号が「1」である場合、充電スイッチ112は、完全にオンの状態にある。いくつかの実施形態では、放電スイッチ114は、制御線124を介して処理ユニット102から送信された制御信号に応じて、その状態を変化させる。例えば、制御線124の制御信号が「0」である場合、放電スイッチ114は、電流がノードAからノードBにのみ流れることを許可し、電流がノードBからノードAに流れることを禁止する。制御線124の制御信号が「1」である場合、放電スイッチ114は、完全にオンの状態にある。
【0020】
いくつかの実施形態では、バッテリー装置100の正の電源p+及び負の電源p-は、バッテリー装置100が設置されているモバイル機器に電力を供給する。いくつかの実施形態では、バッテリー装置100の処理ユニット102は、通信バスSMBUS_CLOCK,SMBUS_DATAを介してモバイル機器のプロセッサと通信する。いくつかの実施形態では、モバイル機器のプロセッサは、バッテリー装置100のバッテリー識別インジケータBATTERY_ID,SYTER_IDによって、バッテリー装置100がモバイル機器に設定されていることを検出する。
【0021】
処理ユニット102は、エネルギー貯蔵ユニット104と、温度感知ユニット106と、記憶ユニット108と、に結合されている。バッテリー装置100が充電モードにある場合、処理ユニット102は、エネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を計算し、内部抵抗に従って内部抵抗に対応する第1の増分を取得して、第1の増分を記憶ユニット108に記憶する。その例を以下の表1に示す。
【表1】
【0022】
内部抵抗が83.33ミリオーム(mOhm)より大きく、121.67ミリオーム以下の場合、処理ユニット102は、第1の増分として1を得る。内部抵抗が121.67ミリオームより大きく、129.67ミリオーム以下の場合、処理ユニット102は、第1の増分として2を得る。内部抵抗が129.67ミリオームより大きく、139.00ミリオーム以下の場合、処理ユニット102は、第1の増分として4を得る。内部抵抗が139.00ミリオームより大きく、152.33ミリオーム以下の場合、処理ユニット102は、第1の増分として6を得る。内部抵抗が152.33ミリオームより大きく、160.67ミリオーム以下の場合、処理ユニット102は、第1の増分8を得る。内部抵抗が160.67ミリオーム以上の場合、処理ユニット102は、第1の増分10を得る。言い換えれば、エネルギー貯蔵ユニット104の内部抵抗が高いほど、処理ユニット102が得る第1の増分が大きくなる。
【0023】
いくつかの実施形態では、処理ユニット102によって測定されるエネルギー貯蔵ユニット104の内部抵抗は、直流内部抵抗(DCIR)である。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、第1の時点でエネルギー貯蔵ユニット104の第1の電圧を測定し、第2の時点でエネルギー貯蔵ユニット104の第2の電圧を測定する。処理ユニット102は、感知抵抗器110の両端の電圧を測定することにより、充電モードでの充電電流を計算する。処理ユニット102は、第1の電圧と第2の電圧との間の電圧差及び充電モードでの充電電流に従って、エネルギー貯蔵ユニット104の内部抵抗を計算する。第1の時点と第2の時点との間の時間間隔は、例えば、10秒とすることができる。充電モードでの充電電流は、0.1Cの充電レートでの電流であるが、本開示はこれに限定されない。処理ユニット102は、第1の電圧と第2の電圧間の電圧差を充電モードの充電電流で分圧して、エネルギー貯蔵ユニット104の内部抵抗を取得する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、第1の増分を記憶ユニット108の内部抵抗レジスタに記憶する。
【0024】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、図1のバッテリー装置のエネルギー貯蔵ユニットの内部抵抗を測定する等価概略図である。図2に示すように、図2のノードA,B,C,D,Eは、図1のノードA,B,C,D,Eに対応することができる。従って、抵抗(resistor)R1(ノードBとDとの間)は、図1のエネルギー貯蔵ユニット104の内部抵抗と同等である。抵抗R2(ノードDとEとの間)は、図1の感知抵抗器110の抵抗と同等である。抵抗R3(ノードAとBとの間)は、図1の充電スイッチ112、放電スイッチ114及び保護装置118の直列抵抗と同等である。コンデンサ(capacitor)C1(ノードCとEとの間)は、処理ユニット102と負の電源p-との間の寄生容量と同等である。ノードCは、処理ユニット102の内部ノードである。ノードBも、電圧検出のために処理ユニット102(図1には示されていない)に接続することができるので、実際には、ノードBとノードCとは、(図2に示すように)共通接続しているようにみえる。処理ユニット102は、ノードDの電圧(VD)を測定し、ノードCの電圧(VC)(即ち、ノードDの電圧)を次の式により計算する。
【数1】
【0025】
その後、処理ユニット102は、ノードCの電圧及び充電モードでの充電電流に従って、抵抗R1の抵抗、すなわちエネルギー貯蔵ユニット104の内部抵抗を計算する。いくつかの実施形態では、充電スイッチ112の抵抗は4.5ミリオームであり、放電スイッチ114の抵抗は4.5ミリオームであり、保護装置118の抵抗は1ミリオームであるため、抵抗R2は10ミリオームである。いくつかの実施形態では、感知抵抗器110は10ミリオームである。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、ノードDの電圧(VD)を測定するための少なくとも1つの比較器を含む。すなわち、処理ユニット102は、図1のノードDに接続する点線として省略されている少なくとも1つの比較器を介してノードDの電圧(VD)を測定する。いくつかの実施形態では、ノードDの電圧(VD)は、1.25Vであり、これは、処理ユニット102によって提供されるビルトイン基準電圧である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示は、図1のバッテリー装置100のエネルギー貯蔵ユニット104と同じである複数の(例えば、数万の)バッテリー装置の内部抵抗試験データを収集し、内部抵抗試験データをデータベースに格納する。ビッグデータ分析(例えば、人工知能(AI)分析)により、エネルギー貯蔵ユニット104の内部抵抗とバッテリー装置100の膨張率との関係が得られる。例えば、本開示では、バッテリー装置100のエネルギー貯蔵ユニット104と同じである複数のバッテリー装置の内部抵抗試験が完了した後、これに対応して、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の実際の膨張率を直接測定することができ、内部抵抗試験データ、実際の膨張率、及び、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の数に応じて、ビッグデータ分析により、表1に示す仕様を決定する。
【0027】
次に、充電モードでは、処理ユニット102は、バッテリー装置100を充電する充電電圧を検出し、その充電電圧に従って充電電圧に対応する第2の増分を取得して、第2の増分を記憶ユニット108に記憶する。その例を以下の表2に示す。
【表2】
【0028】
充電電圧が4.20Vの場合、処理ユニット102は、第2の増分として1を得る。充電電圧が4.25Vの場合、処理ユニット102は、第2の増分として2を得る。充電電圧が4.30Vの場合、処理ユニット102は、第2の増分として4を得る。充電電圧が4.35Vの場合、処理ユニット102は、第2の増分として8を得る。充電電圧が4.40Vの場合、処理ユニット102は、第2の増分として16を得る。いくつかの実施形態では、図1に示すように、処理ユニット102は、制御線122を介して充電スイッチ112をオン又はオフにし、制御線124を介して放電スイッチ114をオン又はオフにし、ライン120を介して充電電圧を検出する。例えば、外部電源がバッテリー装置100に結合されている場合、ノードAの電圧は外部電圧(VEXT)となる。処理ユニット102は、制御線124を介して制御信号(例えば、信号「0」)を放電スイッチ114に出力して、放電スイッチ114をオフにし、これにより、放電スイッチ114は、電流がノードAからノードBにのみ流れることを許可し、電流がノードBからノードAに流れることを禁止する。従って、処理ユニット102は、ライン120を介してノードAの電圧を測定する。即ち、外部電圧(VEXT)を、ノードAで測定することができ、即ち、表2の充電電圧を測定することができる。換言すれば、バッテリー装置100を充電する充電電圧(例えば、外部電圧(VEXT))が高いほど、処理ユニット102が取得する第2の増分が大きくなる。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、記憶ユニット108の充電電圧レジスタに第2の増分を記憶する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、バッテリー装置100が外部電源に結合されているかどうかを検出する。結合されている場合、処理ユニット102は、充電モードで実行される動作を実行する。結合されていない場合、処理ユニット102は、放電モードに移行する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示は、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の充電電圧試験データを収集し、充電電圧試験データをデータベースに格納する。ビッグデータ分析により、充電電圧とバッテリー装置100の膨張率との関係が得られる。例えば、本開示では、バッテリー装置100と同じ複数のバッテリー装置の充電電圧試験が完了した後、これに対応して、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の実際の膨張率を直接測定することができ、充電電圧試験データ、実際の膨張率及びバッテリー装置100と同じ複数のバッテリー装置の数に応じて、ビッグデータ分析により、表2に示す仕様が決定される。
【0030】
次に、充電モードでは、処理ユニット102は、記憶ユニット108内のサイクルカウントのデータを読み出し、サイクルカウントに従って、サイクルカウントに対応する第4の増分を取得する。その例を以下の表3に示す。
【表3】
【0031】
サイクルカウントが0~10の場合、処理ユニット102は、第4の増分として1を得る。サイクルカウントが10~100の場合、処理ユニット102は、第4の増分として2を得る。サイクルカウントが100~200の場合、処理ユニット102は、第4の増分として4を得る。サイクルカウントが200~300の場合、処理ユニット102は、第4の増分として8を得る。サイクルカウントが300~400の場合、処理ユニット102は、第4の増分として16を得る。サイクルカウントが400~500の場合、処理ユニット102は、第4の増分として32を得る。サイクルカウントが500~600の場合、処理ユニット102は、第4の増分として64を得る。サイクルカウントが600~700の場合、処理ユニット102は、第4の増分として128を得る。サイクルカウントが700~800の場合、処理ユニット102は、第4の増分として256を得る。サイクルカウントが800以上の場合、処理ユニット102は、第4の増分として512を得る。換言すれば、バッテリー装置100のサイクルカウントが多いほど、第4の増分が大きくなる。いくつかの実施形態では、バッテリー装置100が完全な充放電プロセスを完了する毎に、例えば、バッテリー装置100の相対的な充電状態が0%から100%に充電されてから100%から0%に放電されるか、又は、50%から100%に充電され、100%から0%に放電されてから0%から50%に充電される毎に、処理ユニット102は、記憶ユニット108に記憶されたサイクルカウントに1カウントを加える。言い換えれば、バッテリー装置100のサイクルカウントは、充放電サイクルの増加に伴って累積的に増加するだけの不可逆的なものである。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、サイクルカウントのデータを、記憶ユニット108のサイクルカウントレジスタに記憶する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本開示は、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置のサイクルカウント試験データを収集し、サイクルカウント試験データをデータベースに格納する。ビッグデータ分析により、サイクルカウントとバッテリー装置100の膨張率との関係が得られる。例えば、本開示では、バッテリー装置100と同じ複数のバッテリー装置のサイクルカウント試験が完了した後、これに対応して、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の実際の膨張率を直接測定することができ、サイクルカウント試験データ、実際の膨張率及びバッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の数に応じて、ビッグデータ分析により、表3に示す仕様が決定される。
【0033】
次に、充電モードでは、処理ユニット102は、温度感知ユニット106から温度を読み出し、その温度に従ってその温度に対応する第5の増分を取得して、第5の増分を記憶ユニット108に記憶する。その例を以下の表4に示す。
【表4】
【0034】
温度が0℃以下の場合、処理ユニット102は、第5の増分として1を得る。温度が0℃~20℃の場合、処理ユニット102は、第5の増分として2を得る。温度が20℃~30℃の場合、処理ユニット102は、第5の増分として3を得る。温度が30℃~40℃の場合、処理ユニット102は、第5の増分として4を得る。温度が40℃~50℃の場合、処理ユニット102は、第5の増分として5を得る。温度が50℃~60℃の場合、処理ユニット102は、第5の増分として6を得る。温度が60℃以上の場合、処理ユニット102は、第5の増分として7を得る。換言すれば、バッテリー装置の温度が高いほど、第5の増分が大きくなる。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、第5の増分を記憶ユニット108の温度レジスタに記憶する。バッテリー装置100の相対的な充電状態が100%まで充電された場合、処理ユニット102は、充電モードを終了し、放電モードに移行する準備をする。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示は、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の温度試験データを収集し、温度試験データをデータベースに格納する。ビッグデータ分析により、温度とバッテリー装置100の膨張率との関係が得られる。例えば、本開示では、バッテリー装置100と同じ複数のバッテリー装置の温度試験が完了した後、これに対応して、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の実際の膨張率を直接測定することができ、温度試験データ、実際の膨張率及びバッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の数に応じて、ビッグデータ分析により、表4に示す仕様が決定される。
【0036】
放電モードでは、処理ユニット102は、エネルギー貯蔵ユニット104の放電電流を検出し、放電電流に従って放電電流に対応する第3の増分を取得して、第3の増分を記憶ユニット108に記憶する。その例を以下の表5に示す。
【表5】
【0037】
放電電流が0.3Cの放電レートの電流以下の場合、処理ユニット102は、第3の増分として1を得る。放電電流が0.3C~0.4Cの放電レートの電流の場合、処理ユニット102は、第3の増分として2を得る。放電電流が0.4C~0.5Cの放電レートの電流の場合、処理ユニット102は、第3の増分として3を得る。放電電流が0.5C~0.6Cの放電レートの電流の場合、処理ユニット102は、第3の増分として4を得る。放電電流が0.6C~0.7Cの放電レートの電流の場合、処理ユニット102は、第3の増分として5を得る。放電電流が0.7C~0.8Cの放電レートの電流の場合、処理ユニット102は、第3の増分として6を得る。放電電流が0.8C~0.9Cの放電レートの電流の場合、処理ユニット102は、第3の増分として7を得る。放電電流が0.9C~1.0Cの放電レートの電流の場合、処理ユニット102は、第3の増分として8を得る。放電電流が1.0Cの放電レートの電流以上の場合、処理ユニット102は、第3の増分として9を得る。換言すれば、エネルギー貯蔵ユニット104の放電電流が大きいほど、第3の増分が大きくなる。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、感知抵抗器110の両端の電圧を測定して、放電モードでの電流を計算する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、記憶ユニット108の放電電流レジスタに第3の増分を記憶する。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示は、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の放電電流試験データを収集し、放電電流試験データをデータベースに格納する。ビッグデータ分析により、放電電流とバッテリー装置100の膨張率との関係が得られる。例えば、本開示では、バッテリー装置100と同じ複数のバッテリー装置の放電電流試験が完了した後、これに対応して、バッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の実際の膨張率を直接測定することができ、放電電流試験データ、実際の膨張率及びバッテリー装置100と同じである複数のバッテリー装置の数に応じて、ビッグデータ分析により、表5に示す仕様が決定される。
【0039】
次に、放電モードでは、処理ユニット102は、記憶ユニット108内のサイクルカウントのデータを再度読み出し、表3に従って、サイクルカウントに対応する第4の増分を取得する。放電モードでは、処理ユニット102は、温度感知ユニット106から温度を読み出し、表4に従ってその温度に対応する第5の増分を取得して、第5の増分を記憶ユニット108に記憶する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、充電モードで得られた第4の増分を放電モードで得られた第4の増分と比較して、より大きい方の第4の増分を記憶ユニット108のサイクルカウントレジスタに記憶する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、感知抵抗器110の両端の電圧を測定して、エネルギー貯蔵ユニット104からの放電電流があるかどうかを検出する。放電電流がある場合、処理ユニット102は、放電モードで実行された動作を実行する。放電電流がない場合、処理ユニット102は、充電モードに移行する。いくつかの実施形態では、バッテリー装置100の相対的な充電状態が3%以下に放電された場合、処理ユニット102は、放電モードを終了し、充電モードに移行する準備をする。
【0040】
最後に、処理ユニット102は、記憶ユニット108の内部抵抗レジスタから第1の増分を読み出し、記憶ユニット108の充電電圧レジスタから第2の増分を読み出し、記憶ユニット108の放電電流レジスタから第3の増分を読み出し、記憶ユニット108のサイクルカウントレジスタから第4の増分を読み出し、記憶ユニット108の温度レジスタから第5の増分を読み出す。処理ユニット102は、第1、第2、第3、第4及び第5の増分を乗算して積値を取得し、積値に従ってバッテリー装置100の膨張率を決定する。その例を以下の表5に示す。
【表6】
【0041】
積値が50000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が1%であると判定する。積値が50000より大きく、100000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が2%であると判定する。積値が100000より大きく、200000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が3%であると判定する。積値が200000より大きく、250000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が4%であると判定する。積値が250000より大きく、300000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が5%であると判定する。積値が300000より大きく、350000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が6%であると判定する。積値が350000より大きく、400000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が7%であると判定する。積値が400000より大きく、450000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が8%であると判定する。積値が450000より大きく、550000以下の場合、処理ユニット102は、バッテリー装置100の膨張率が9%であると判定する。積値が550000より大きい場合、処理ユニットは、バッテリー装置100の膨張率が10%であると判定する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、人工知能アルゴリズムを実行して、充放電サイクル毎に測定された内部抵抗、充電電圧、放電電流を収集し、充放電サイクル毎にサイクルカウント及び温度を読み出し、表1~表6に記載されているように、クラス間隔(class intervals)と各増分との間の対応関係を調整する。
【0042】
いくつかの実施形態では、バッテリー装置100が充電モードでのみ動作する場合、処理ユニット102は、記憶ユニット108から第1、第2、第4及び第5の増分を読み出し、第1、第2、第4及び第5の増分の第1のサブ積値(sub-product value)に従ってバッテリー装置100の膨張率を判定する。いくつかの実施形態では、バッテリー装置100が放電モードでのみ動作する場合、処理ユニット102は、記憶ユニット108から第3、第4及び第5の増分を読み出し、第3、第4及び第5の第2のサブ積値に従ってバッテリー装置100の膨張率を判定する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102が、積値(又は、第1のサブ積値若しくは第2のサブ積値)に従ってバッテリー装置100の膨張率が10%に達したと判定した場合、処理ユニット102は、外部プロセッサ(例えば、バッテリー装置100が配置されているモバイルデバイスのプロセッサ)にアラーム信号を送信することができる。外部プロセッサは、バッテリー装置100の寿命が近づいていることをユーザにリマインドするために、アラーム信号に従って、モバイルデバイスのディスプレイを介して画像又は音声の警報をユーザに提供する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、第1の充放電サイクルで第1の積値を取得し、第2の充放電サイクルで第2の積値を取得し、第1の積値と第2の積値とを比較する。第1の積値が第2の積値よりも大きい場合、処理ユニット102は、第1の積値を記憶ユニット108に記憶する。第2の積値が第1の積値よりも大きい場合、処理ユニット102は、第2の積値を記憶ユニット108に記憶する。換言すれば、記憶ユニット108は、充放電サイクル毎に得られた最大積値を常に記憶することができる。
【0043】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、バッテリー装置の充放電サイクルのフローチャートである。図3に示すように、充電モードでは、バッテリー装置100の処理ユニット102は、内部値を計算し、内部抵抗に従って内部抵抗に対応する第1の増分を取得して、第1の増分を記憶ユニット108に記憶する(ステップS300)。次に、処理ユニット102は、バッテリー装置100を充電する充電電圧を検出し、その充電電圧に従って充電電圧に対応する第2の増分を取得して、第2の増分を記憶ユニット108に記憶する(ステップS302)。次に、処理ユニット102は、記憶ユニット108内のサイクルカウントを読み出し、サイクルカウントに従って、サイクルカウントに対応する第4の増分を取得する(ステップS304)。次に、処理ユニット102は、温度感知ユニット106から温度を読み出し、その温度に従ってその温度に対応する第5の増分を取得して、第5の増分を記憶ユニット108に記憶する(ステップS306)。次いで、放電モードでは、処理ユニット102は、エネルギー貯蔵ユニット104から放電電流を検出し、放電電流に従って放電電流に対応する第3の増分を取得して、第3の増分を記憶ユニット108に記憶する(ステップS308)。次に、処理ユニット102は、記憶ユニット108内のサイクルカウントを読み取し、サイクルカウントに従って、サイクルカウントに対応する第4の増分を取得する(ステップS310)。処理ユニット102は、温度感知ユニット106から温度を読み出し、温度に従って温度に対応する第5の増分を取得して、第5の増分を記憶ユニット108に記憶する(ステップS312)。充放電サイクルでは、処理ユニット102は、第1、第2、第3、第4及び第5の増分を読み出し、第1、第2、第3、第4及び第5の増分の積値に従ってバッテリー装置100の膨張率を判定する(ステップS314)。
【0044】
いくつかの実施形態では、図1のバッテリー装置100の処理ユニット102は、ステップS300~S314を実行する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、ステップS304で得られた第4の増分をステップS310で得られた第4の増分と比較して、より大きい方の第4の増分を記憶ユニット108のサイクルカウントレジスタに格納する。いくつかの実施形態では、処理ユニット102は、ステップS306で得られた第5の増分を放電モードで得られた第5の増分と比較して、より大きい方の第5の増分を記憶ユニット108の温度レジスタに格納する。本開示で開示された図1のバッテリー装置100の処理ユニット102によって実行される他の詳細なステップは、前の段落で説明したため、ここでは繰り返さない。
【0045】
「第1」、「第2」、「第3」等のように、本発明の明細書及び特許請求の範囲における序数は、連続した関係を持たず、同じ名前の2つの異なる構成要素を区別するためだけのものである。本発明の明細書において、「結合(couple)」という用語は、あらゆるタイプの直接的又は間接的な電子的接続を意味する。本発明は、上記の好適な実施形態で開示されているが、本発明の幅及び範囲は、上記の実施形態の何れによっても限定されるべきではない。当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、小さな変更及び修正を行うことができる。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
100…バッテリー装置
102…処理ユニット
104…エネルギー貯蔵ユニット
106…温度感知ユニット
108…記憶ユニット
110…感知抵抗器
112…充電スイッチ
114…放電スイッチ
116…サブ処理ユニット
118…保護装置
120…ライン
122,124…制御線
p+…正の電源
p-…負の電源
SMBUS_CLOCK,SMBUS_DATA…通信バス
BATTERY_ID,SYNTE_ID…バッテリー識別インジケータ
A,B,C,D,E…ノード
R1,R2,R3…抵抗
C1…コンデンサ
S300,S302,S304,S306…ステップ
S308,S310,S312,S314…ステップ
図1
図2
図3