(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】ソーラーパネル間を接続するターンオフ制御方法及びターンオフ制御構造
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20220519BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220519BHJP
H02S 40/36 20140101ALI20220519BHJP
【FI】
H02J1/00 301D
H02J13/00 B
H02S40/36
(21)【出願番号】P 2020514255
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2019118234
(87)【国際公開番号】W WO2020248496
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】201910513929.7
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520076185
【氏名又は名称】チャンシュ フレンズ コネクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGSHU FRIENDS CONNECTOR TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.2, Zhongtian Road, Area E, Changkun Industrial Park, Changshu City Suzhou, Jiangsu 215500 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジェンミン
(72)【発明者】
【氏名】シャ ヂョンミン
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/078303(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
H02J 13/00
H02S 40/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の電流搬送線を介して複数のソーラーパネルを直列接続し、隣接する2つのソーラーパネル間の電流搬送線上にコネクタが設けられて、ソーラーパネル間を接続するターンオフ制御方法であって、
前記コネクタ内に信号処理システム、電源供給システム、制御回路および電子スイッチ素子を設け、
信号発生器は、信号を前記電流搬送線に入力し、前記信号処理システムは、信号を分離し、一部の信号を、前記電流搬送線に沿って継続して前に搬送して、前記電流搬送線上の他のコネクタに伝達し、別の一部の信号を、制御信号と電源信号とに分け、前記制御信号が、前記制御回路を経て前記電子スイッチ素子のオン/オフを制御し、前記電源信号を、前記電源供給システムに搬送して、前記制御回路の電源とし、
前記電子スイッチ素子を、前記電流搬送線上に設け
、
前記信号処理システムは、LC共振アセンブリと、DCブロッキングキャパシタと、信号検出・増幅回路とを含み、
前記LC共振アセンブリは、前記電流搬送線上に設けられ、前記DCブロッキングキャパシタは、前記信号検出・増幅回路に直列接続され、さらに前記LC共振アセンブリに並列接続され、前記信号検出・増幅回路は、前記制御回路及び前記電源供給システムに接続されていることを特徴とするターンオフ制御方法。
【請求項2】
前記コネクタ内に、前記電子スイッチ素子に並列接続された高周波信号バイパス回路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のターンオフ制御方法。
【請求項3】
前記コネクタ内に、前記電子スイッチ素子に並列接続された過電圧保護回路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のターンオフ制御方法。
【請求項4】
前記コネクタの信号通信方式が、信号を前記電流搬送線にロードするクローズドループ単一バス通信方式であることを特徴とする請求項
1に記載のターンオフ制御方法。
【請求項5】
前記電子スイッチ素子がMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載のターンオフ制御方法。
【請求項6】
前記コネクタが、外部構造において、正1つ、負1つの2つのプラグのみを引き出すことを特徴とする請求項1に記載のターンオフ制御方法。
【請求項7】
1本の電流搬送線を介して複数のソーラーパネルが直列接続され、隣接する2つのソーラーパネル間の電流搬送線上にコネクタが設けられて、ソーラーパネル間が接続されたターンオフ制御構造であって、
前記コネクタ内に信号処理システム、電源供給システム、制御回路および電子スイッチ素子が設けられ、
信号発生器は、信号を前記電流搬送線に入力し、前記信号処理システムは、信号を分離し、一部の信号を、前記電流搬送線に沿って継続して前に搬送して、前記電流搬送線上の他のコネクタに伝達し、別の一部の信号を、制御信号と電源信号とに分け、前記制御信号が、前記制御回路を経て前記電子スイッチ素子のオン/オフを制御し、前記電源信号を、前記電源供給システムに搬送して、前記制御回路の電源とし、
前記電子スイッチ素子が、前記電流搬送線上に設けられて
おり、
前記信号処理システムは、LC共振アセンブリと、DCブロッキングキャパシタと、信号検出・増幅回路とを含み、
前記LC共振アセンブリは、前記電流搬送線上に設けられ、前記DCブロッキングキャパシタは、前記信号検出・増幅回路に直列接続され、さらに前記LC共振アセンブリに並列接続され、前記信号検出・増幅回路は、前記制御回路及び前記電源供給システムに接続されていることを特徴とするターンオフ制御構造。
【請求項8】
前記コネクタ内に、前記電子スイッチ素子に並列接続された高周波信号バイパス回路が設けられていることを特徴とする請求項
7に記載のターンオフ制御構造。
【請求項9】
前記コネクタ内に、前記電子スイッチ素子に並列接続された過電圧保護回路が設けられていることを特徴とする請求項
7に記載のターンオフ制御構造。
【請求項10】
前記コネクタの信号通信方式が、信号を前記電流搬送線にロードするクローズドループ単一バス通信方式であることを特徴とする請求項
7に記載のターンオフ制御構造。
【請求項11】
前記電子スイッチ素子がMOSトランジスタであることを特徴とする請求項
7に記載のターンオフ制御構造。
【請求項12】
前記コネクタが、外部構造において、正1つ、負1つの2つのプラグのみを引き出すことを特徴とする請求項
7に記載のターンオフ制御構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、北米地区ですでに実施が始まっている国際電気標準会議が公布したNEC 2017.690.12の分散型太陽光発電ネットワークの新しい安全基準では、ストリングインバータの入力端バス区分開閉器を切断した後、その前端の太陽光発電ストリング間の各接続も自動的に切断する必要があり、太陽光発電ストリングのどの節点のグランド電圧も80Vを超えてはならないと規定している。
【0003】
そのため、多くの太陽光発電アセンブリまたは組付部材の生産企業は、この方面の適用製品を設計しているが、大部分の手法は、いずれもシャットダウン可能なジャンクションボックスの形式を採用している。
【0004】
この種の方式は、設計が容易であり、機能の実現が比較的便利であるが、ユーザの使い勝手はあまりよくなく、アセンブリの完成品の出力および品質を測定する際に、シャットダウン機能付きのジャンクションボックスには多くの不便さがある。
【0005】
今後の使用中にジャンクションボックスに障害が現れた場合、適切な技術および専用の工具がなければ、パネル全体を交換する必要がある。
【0006】
上述した技術的課題を解決するため、2つが光起電力搬送電流線プラグであり、他の2つが補助通信・機能線プラグである4つの接続プラグを有する構造である、シャットダウン可能なコネクタを開発している企業がある。
【0007】
この種の構造のシャットダウン可能なコネクタは、使用中に、取り付けがやや複雑で面倒なだけでなく、ストリング回路と同等の長さの補助ケーブルを配線する必要があるため、ユーザの人気があまり高くならないであろうことが予見される。
【発明の概要】
【0008】
発明が解決しようとする課題は、補助線を取り消した状況の下で、1本の太陽光発電ストリングの電流搬送線のみで、すべてのコネクタの同時スイッチ機能を実現することである。
【0009】
上述した技術的課題を解決するため、本発明は以下の技術手法を提供する。
【0010】
ソーラーパネル間を接続するターンオフ制御方法及びターンオフ制御構造は、1本の電流搬送線を介して複数のソーラーパネルを直列接続し、隣接する2つのソーラーパネル間の電流搬送線上にコネクタを設け、コネクタ内に信号処理システム、電源供給システム、制御回路および電子スイッチ素子を設けるものである。
【0011】
そして、信号発生器は、信号を前記電流搬送線に入力し、信号処理システムは、信号を分離し、一部の信号を、電流搬送線に沿って継続して前に搬送して、電流搬送線上の他のコネクタに伝達し、別の一部の信号を、制御信号と電源信号とに分け、前記制御信号が、前記制御回路を経て電子スイッチ素子のオン/オフを制御し、前記電源信号を、前記電源供給システムに搬送して、制御回路の電源とし、前記電子スイッチ素子を、電流搬送線上に設ける。
【0012】
本発明で設計するシャットダウン方法に係るコネクタは、正負の2つの接続プラグしかなく、2枚の通常のソーラーパネルの間に直接挿入することにより、ターンオフ制御機能を実現することができる。
【0013】
本発明で設計するシャットダウン方法は、クローズドループ単一バスの通信方式を採用してコネクタのスイッチ動作実行信号とする。この種の通信は、1つのストリングループの中でのみ動作するため、同じインバータ負荷を別のストリングと共有しても、信号が隣のストリングに入り込み制御干渉をもたらすことがない。
【0014】
コネクタ内部において、損失なしに直流大電流を流すことが可能な信号処理システムを採用し、ローパスの電子スイッチ素子を用いており、コネクタは、オン状態で0.3W以下という極めて低い消費電力を実現することができる。
【0015】
コネクタ内部において、1セットの信号で周波数選択・共振昇圧する回路があり、電源供給システムを形成し、これを内部電子回路の動作電源とすることにより、外部給電のないブートストラップ電源動作環境を実現する。
【0016】
本方法に係るコネクタは、取り付け、デバッギング、保守、交換が便利なだけでなく、販売価格も先行技術におけるジャンクションボックスよりも優勢である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、図面と合わせて本発明についてさらに説明する。
【0018】
【
図1】本発明に記載のシャットダウン方法に係るコネクタの内部回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
このソーラーパネル間を接続するターンオフ制御方法では、1本の電流搬送線を介して複数のソーラーパネルを直列接続し、隣接する2つのソーラーパネル間の電流搬送線上にコネクタを設ける。
【0020】
図1に示すように、前記コネクタ内に信号処理システム、電源供給システム、制御回路および電子スイッチ素子が設けられている。
【0021】
そして、信号発生器は、信号を前記電流搬送線に入力し、信号処理システムは、信号を分離し、一部の信号を、電流搬送線に沿って継続して前に搬送して、電流搬送線上の他のコネクタに伝達し、別の一部の信号を、制御信号と電源信号とに分け、前記制御信号が、前記制御回路を経て電子スイッチ素子のオン/オフを制御し、前記電源信号を、前記電源供給システムに搬送して、制御回路の電源とし、前記電子スイッチ素子を、電流搬送線上に設ける。
【0022】
前記信号処理システムは、LC共振アセンブリ4と、DCブロッキングキャパシタ2と、信号検出・増幅回路3とを含む。
【0023】
LC共振アセンブリは、前記電流搬送線上に設けられ、DCブロッキングキャパシタは、前記信号検出・増幅回路に直列接続され、さらに共振アセンブリに並列接続されている。
【0024】
前記信号検出・増幅回路は、前記スイッチ制御回路6と、前記電源供給システムとに接続されている。
【0025】
前記信号検出・増幅回路は、先行技術における信号検出回路と信号増幅回路との結合であり、信号検出回路は、信号選別回路であり、信号増幅回路は、信号拡大回路である。
【0026】
前記信号検出・増幅回路は、公開番号CN1578123Aの特許文献に記載の信号検出機能を有する増幅回路を選択することができる。
【0027】
前記DCブロッキングキャパシタは、直流をブロックできるキャパシタである。前記スイッチ制御回路は、公開番号CN206349979Uの特許文献に記載の新型MOSトランジスタスイッチ制御回路、または、公開番号CN107967021Aの特許文献に記載のMOSトランジスタ駆動電圧の制御回路を選択することができる。
【0028】
前記電源供給システムは、前記信号検出・増幅回路に接続されたダイオードおよびエネルギー蓄積キャパシタ5を含む。ダイオードは、信号検出・増幅回路3からの信号を整流して電圧を安定化させ、ダイオードの信号を前記エネルギー蓄積キャパシタに入れ、後段の制御回路の動作を保証する。
【0029】
1つの選択として、電子スイッチ素子7は、MOSトランジスタ、すなわちMOS型パワースイッチトランジスタである。MOSトランジスタのゲートは、制御回路6に接続されている。
【0030】
コネクタ内には、電子スイッチ素子7に並列接続された高周波信号バイパス回路が設けられている。前記バイパス回路は、MOSトランジスタに並列接続され、キャパシタ10を有している。このバイパス回路は、MOSトランジスタが導通していないときの信号に対するバイパス通路となる。
【0031】
コネクタ内には、電子スイッチ素子7に並列接続された過電圧保護回路が設けられている。具体的には、MOSトランジスタのドレイン・ソース間に、高耐圧、大電流の双方向サイリスタ8が並列接続されている。選択可能な改善として、MOSトランジスタのドレイン・ソース間に、さらに、過電圧で自動的に導通をトリガする素子9、例えば、双方向トリガダイオードが設けられており、MOSトランジスタがシャットダウンプロセスにおいて絶縁破壊されるリスクを防止する。
【0032】
実際の操作において、複数のソーラーパネルが1つの電流搬送線によって1つの太陽光発電ストリングを構成し、隣接する2つのソーラーパネル間の電流搬送線上にコネクタが設けられている。ソーラーパネル間のコネクタを切断する必要があるとき、電流搬送線に接続された信号発生器が電流搬送線に信号を送り、信号がコネクタの負極1から入り、LC共振アセンブリ4に流れる。LC共振アセンブリを通過するときに、高周波信号に対するLC共振アセンブリの阻害作用により、一部の信号が分流し、DCブロッキングキャパシタ2を経て、信号検出・増幅回路3に入る。信号検出・増幅回路が信号を選別し増幅した後、一部の信号が後段の制御回路6に送られ、別の一部の信号が整流され電圧が安定化され、エネルギー蓄積キャパシタ5に入り、制御回路に給電される。制御回路は、適合する導通コマンドを受け取った後、MOSトランジスタのゲートに導通電圧を出力し、この電子スイッチ素子7を導通させる。太陽光発電ストリングのすべてのコネクタが導通したとき、太陽光発電ストリングが外部の負荷に給電することができる。
【0033】
そうでない場合、例えば、制御回路が受け取ったものがシャットダウンコマンドである場合、または、適合する導通コマンドを受け取っていない場合、MOSトランジスタがシャットダウンし、太陽光発電ストリングの電流搬送線が切断される。
【0034】
電子スイッチ素子7のシャットダウンプロセスにおいて、両端に危険な高圧が現れた場合、シリコン制御整流子(双方向サイリスタ8)が速やかに導通して過電圧をバイパス保護することができ、このストリング回路が完全に閉じた後、シリコン制御整流子が維持電流を失い、開回路状態を自動的に回復する。
【0035】
本発明は、設計上、いくつかの大きな技術的難題を克服している。
【0036】
第1に、補助線がない状況の下で、コネクタ内部の電子素子をシャットダウンすることができる動作電源はどこから来るのかである。そして、電子スイッチ素子に必要な制御を達成することができるかどうかである。
【0037】
第2に、補助線がない状況の下で、1本の太陽光発電ストリングの電流搬送線のみで、スイッチ制御の通信信号はどのように進むかである。そして、1本の導線から制御信号を抽出し、直流電流の電圧降下を最小限に保証することをどのように実現するかである。
【0038】
第3に、各コネクタ内部の電子スイッチ素子がシャットダウン動作を行う際に、切断時間が完全に一致することは不可能であり、最初に切断されるコネクタ内部で高いシャットダウン電圧を受けることにより、スイッチ素子が絶縁破壊される。この種のシャットダウン可能なコネクタを設計するには、電子スイッチ素子の過電圧自動保護機能を解決する必要がある。
【0039】
本発明の設計において、単一回路バスという通信技術を採用しており、この種の通信は、1つのストリングループの中でのみ動作するため、同じインバータ負荷を別のストリングと共有しても、信号が隣のストリングに入り込むことがない。
【0040】
上記説明は、図面および先行技術を組み合わせ、本特許出願に記載の技術手法を実現することができ、信号発生器は、単独で制御することができ、異なるスイッチ制御信号を送り、電子スイッチ素子のオン/オフを制御する。
【0041】
本特許出願の応用または想定として、シャットダウンが可能なコネクタを採用した太陽光発電ストリング回路に、すべてのシャットダウン可能なコネクタに対してスマート管理を行い、スイッチ制御コマンド信号を送信するメインコントロールモジュールを取り付け、このモジュールは、ストリング回路がクローズドループであるか開回路であるか、交流ネットワークの電圧の有無を自動的に検出することができ、さらに、現場のパネルの手作業での干渉制御またはリモート通信制御を実現することができる。
【0042】
以上の内容は、本発明の好ましい実施形態でしかなく、当業者にとって、本発明の構想により、具体的な実施形態および適用範囲の上でいずれも変更可能な箇所があり、本明細書の内容は、本発明に対する制限として理解すべきではない。
【符号の説明】
【0043】
1、コネクタ負極
2、DCブロッキングキャパシタ
3、信号検出・増幅回路
4、LC共振アセンブリ
5、エネルギー蓄積キャパシタ
6、スイッチ制御回路
7、電子スイッチ素子
8、双方向サイリスタ
9、過電圧トリガ導通素子
10、高周波信号バイパスキャパシタ
11、コネクタ正極