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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】ワーク供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/08 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
B65G47/08 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021116522
(22)【出願日】2021-07-14
(62)【分割の表示】P 2017077062の分割
【原出願日】2017-04-07
(65)【公開番号】P2021165207
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 安里
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-151316(JP,A)
【文献】特開2003-38361(JP,A)
【文献】特開平10-15508(JP,A)
【文献】実開昭55-164994(JP,U)
【文献】実開昭57-161488(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/08
B65G 47/14
B65G 47/38
B07B 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動部及び角度調整部により回転駆動及び傾斜駆動されるドラムを備え、収容した複数のワークを前記ドラムの回転駆動及び傾斜駆動により前記ドラムの開口部から排出するワーク供給装置であって、
前記ドラムは、ドラムベース及び網状ドラムを備え、
前記ドラムベースは、前記回転駆動及び傾動駆動が行なわれ、
前記網状ドラムは、前記開口部を有し周壁部が網目で且つ底部を有する円筒状又はテーパ形状であり、
前記網状ドラムを前記ドラムベースに対し隙間を形成して底部側を内包させるように配置し、
前記ドラムベースの開口部に前記網状ドラムの開口部を係脱部により着脱自在に取り付け、
前記ドラムベースから取り外した前記網状ドラムを、複数のワークを収容して洗浄かごとして機能させ得る、
ワーク供給装置。
【請求項2】
請求項1記載のワーク供給装置であって、
前記洗浄かごとして機能させる網状ドラムは、前記開口部に被せる蓋を用い、
前記網状ドラムを洗浄枠のかご支持部に支持させると共に前記開口部に前記蓋を被せて超音波洗浄を行わせ、洗浄後は前記かご支持部から前記網状ドラムを外して前記ドラムベースに固定させ前記蓋を外した状態で前記排出を行わせる、
ワーク供給装置。
【請求項3】
請求項2記載のワーク供給装置であって、
前記網状ドラムの網目の大きさは、超音波洗浄との関係で設定する、
ワーク供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のワークを供給するワーク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の部品を組み立てる生産ラインでは、小片状部材の供給にパーツフィーダー(自動部品整列供給装置)を用いることが多い。
【0003】
例えば、ヘッドサスペンションの組立てでは、ベースプレートの供給にパーツフィーダーを用いている。
【0004】
ヘッドサスペンションは、近年の磁気ディスク装置の高密度、高容量化に伴って洗浄度が高く求められるようになっており、その生産ライン上で発生するパーティクルも無視できない状況となってきている。
【0005】
かかる状況に鑑み、例えば特許文献1、2のように、パーティクルを低減可能なパーツフィーダーも提案されている。
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載のものでも、振動ボウル内での部品相互の断続的な擦れや衝突を防止することは困難であった。
【0007】
これに対し、出願人が提案したパーツフィーダーとして特許文献3に示すワーク供給装置がある。
【0008】
このワーク供給装置によれば、複数のワークに対する連続微振動を行わないので、ワーク相互間の断続的な衝突や擦れを抑制することができた。
【0009】
しかし、かかるワーク供給装置の部品投入ボックスについては、特別な考慮がなされておらず、矩形箱型の部品投入ボックスからフィーダーステージへ排出されるワークの個数が安定しなかった。
【0010】
これに対し、従来、特許文献4~9に示すドラム式のホッパーを含めて、傾斜をつけた供給路式、リニア振動式、ベルト搬送式等、種々のものが存在する。
【0011】
傾斜をつけた供給路式は、ホッパーの出口に滑りガイドを設け、滑りガイドを通して排出するものである。リニア振動式は、ホッパーの前進振動と若干の傾斜により排出するものである。ベルト搬送式は、ホッパーの底部にベルトを配置し、ベルト駆動により少しずつワークを排出するものである。
【0012】
小片部品を少量且つ定量でフィーダーステージへ排出するとき、リニア振動式が比較的優れている。しかし、リニア振動式は、振動が伴うためワークに細かな擦り傷を招き易いという問題があった。
【0013】
これに対し、ドラム式は、ドラム内面に螺旋の羽部を有し、ドラムを回転させながら羽部の押し出しガイドによりワークをフィーダーステージへ供給している。
【0014】
従って、音が静かで少量且つ定量でのワークの排出に優れ、しかも振動式などと異なりワークに細かな擦り傷を付けることも無い。
【0015】
しかし、ドラム回転中に発生した微小なごみ等がドラム内の底部や側面羽根部等に蓄積し、ワークの付着物になるという問題があった。
【0016】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2000-238912号公報
【文献】特開2003-095420号公報
【文献】特開2012-218930号公報
【文献】実開昭63-192323号公報
【文献】実開平02-075415号公報
【文献】特開2001-277051号公報
【文献】特開2002-154639号公報
【文献】特開2003-155112号公報
【文献】特開2007-269484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
解決しようとする問題点は、ドラム式は、音が静かで定量でのワークの排出に優れるなどの利点がある反面、ドラム回転中に発生した微小なごみ等が、ワークの付着物になっていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、ドラム式の利点を生かしながら、微小なごみ等がワークの付着物になり難くするために、回転駆動部及び角度調整部により回転駆動及び傾斜駆動されるドラムを備え、収容した複数のワークを前記ドラムの回転駆動及び傾斜駆動により前記ドラムの開口部から排出するワーク供給装置であって、前記ドラムは、ドラムベース及び網状ドラムを備え、前記ドラムベースは、前記回転駆動及び傾動駆動が行なわれ、前記網状ドラムは、前記開口部を有し周壁部が網目で且つ底部を有する円筒状又はテーパ形状であり、前記網状ドラムを前記ドラムベースに対し隙間を形成して底部側を内包させるように配置し、前記ドラムベースの開口部に前記網状ドラムの開口部を係脱部により着脱自在に取り付け、前記ドラムベースから取り外した前記網状ドラムを、複数のワークを収容して洗浄かごとして機能させ得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、網状ドラムを用いるため、ドラム式の利点を生かしながら、ドラムの回転及び傾斜によりワークが網状ドラムの開口部から排出させることができる。網状ドラムをドラムベースから取り外して洗浄かごとして用いることができる。このため、ワークの汚染を極力低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】パーツフィーダーを示す概略側面図である。(実施例1)
図2】パーツフィーダーを示す概略平面図である。(実施例1)
図3】ドラムの傾動支持を示す概略正面図である。(実施例1)
図4】網状ドラムの支持を示す要部斜視図である。(実施例1)
図5】網状ドラムを洗浄かごとするときの蓋と共に示す斜視図である。(実施例1)
図6】(A)~(D)は、各種のベースプレートの平面図である。(実施例1)
図7】網状ドラム内においてワークの滑りを示す展開図である。(実施例1)
図8】洗浄枠の斜視図である。(実施例1)
図9】洗浄枠に蓋を取り外した状態で網状ドラムを配置した平面方向の斜視図である。(実施例1)
図10】洗浄枠に蓋を取り付けた状態で網状ドラムを配置しハンガーを取り付けた斜視図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ドラム式の利点を生かしながら、微小なごみ等がワークの付着物になり難くするという目的を、以下の形態によって実現した。
【0023】
つまり、回転駆動部のステッピングモーター及び角度調整部のステッピングモーターにより回転駆動及び傾斜駆動されるドラムを備え、複数のワークを分離してドラムから排出するパーツフィーダーである。ドラムは、周壁部が網目を有する網状ドラムを備えている。
【0024】
そして、網状ドラムの網目のサイズは、前記分離を行わせるためにワークに応じて設定された形態とした。
【0025】
網状ドラムは、回転駆動部及び角度調整部側に対して着脱可能に取り付けられる。つまり、回転駆動及び傾動駆動が行なわれるドラムベースを備えている。網状ドラムの着脱可能の取り付けは、ドラムベースに対し隙間を形成して網状ドラムを内包させるように配置して行う。
【0026】
そして、ドラムベースの開口部に網状ドラムの開口部を係脱部により固定する形態とした。
【実施例
【0027】
[パーツフィーダー]
図1は、パーツフィーダーを示す概略側面図である。図2は、パーツフィーダーを示す概略平面図である。図3は、ドラムの傾動支持を示す概略正面図、図4は、網状ドラムを取り付けた状態の要部斜視図である。
【0028】
図1図4のパーツフィーダー1は、複数のワークを分離して供給するワーク供給装置
である。本実施例では、磁気ディスク装置に取り付けられるヘッドサスペンションのベースプレートをワーク(部品)とする。ただし、パーツフィーダー1は、他の小片状部品をワークとすることも可能である。
【0029】
パーツフィーダー1は、ドラム3とステージとしてのフィーダーステージ5とを備えている。
【0030】
ドラム3は、複数のワークをフィーダーステージ5へ少量を定量的に排出する構造になっている。つまり、ドラム3は、回転駆動部7及び傾斜駆動部9による回転駆動及び傾斜駆動の制御により複数のワークを分離して排出する。
【0031】
このドラム3は、ドラムベース11と網状ドラム13とを備えている。
【0032】
ドラムベース11は、後述のように回転駆動部7及び傾斜駆動部9により回転駆動及び傾動駆動が行なわれる。このドラムベース11は、ステンレスなどで有底円筒状に形成され、開口部15及び底部17を有している。
【0033】
網状ドラム13は、ドラムベース11よりも小径のストレートな円筒状に形成され、ドラムベース11に底部側が内包されている。なお、網状ドラム13は、径の変化によって、テーパ形状にしたり、或は段付き形状等とすることも可能である。
【0034】
網状ドラム13は、回転駆動部7及び角度調整部9側に対して着脱可能に取り付けられている。
【0035】
網状ドラム13は、ドラムベース11に対し周囲に隙間を形成した状態で保持されている。この保持は、ドラムベース11の開口部15に設けられた係脱部21によって行われている。これにより、網状ドラム13の開口部19をドラムベース11の開口部15に係脱部21により固定している。
【0036】
係脱部21は、ドラムベース11の開口部15に対して周方向に複数設けられている。各係脱部21は、ドラムベース11に基端が固定された板バネからなり、ドラムベース11の開口部15から回転軸心方向に突出している。係脱部21の先端は、フック形状に折り返した形状となっており、網状ドラム13の開口部19の外周に弾接する。
【0037】
かかる構成により、網状ドラム13は、複数の係脱部21の先端に弾性力に抗して押し込まれることによって、ドラムベース11に着脱自在に取り付けられる構成となっている。
【0038】
この取付状態で網状ドラム13の底部は、ドラムベース11の底部に対し隙間を有している。但し、網状ドラム13の底部をドラムベース11の底部に接触させて支持することもできる。
【0039】
このドラムベース11に対する網状ドラム13の内包支持により網状ドラム13がドラムベース11と共に回転駆動され、且つ傾斜駆動されることになる。
【0040】
ドラムベース11の底部側は、回転駆動軸23に取り付けられている。回転駆動軸23は、可動ブラケット22に支持されている。
【0041】
可動ブラケット22は、左右板25、27とベースブロック29とで形成されている。左右板25、27の端部は、ベースブロック29の左右両端に固定されている。ベースブ
ロック29には、ガイド軸30が固定されている。
【0042】
回転駆動軸23は、ベースブロック29に軸受28により回転自在に支持されている。回転駆動軸23の外端部には従動プーリー31が取り付けられている。ベースブロック29に固定されている取付プレート33に回転駆動部7のステッピングモーター35が支持されている。
【0043】
ステッピングモーター35の出力軸には駆動プーリー37が取り付けられている。駆動プーリー37と従動プーリー31との間には、ベルト39が掛け回されている。
【0044】
可動ブラケット22の左右板25、27は、先端に支持軸25a、27aが取り付けられている。支持軸25a、27aは、機台フレーム41の左右支持壁41a、41bに回転自在に支持されている。
【0045】
右支持壁41bには、ガイド孔42が形成されている。ガイド孔42には、前記ベースブロック29のガイド軸30が嵌合し、ガイドされるようになっている。
【0046】
一方の支持軸27aには、従動ギヤ43が取り付けられている。機台フレーム41の右支持部41bには、外面に角度調整部9のステッピングモーター45が取り付けられている。
【0047】
ステッピングモーター45の出力軸45aは、右支持壁41bを貫通し、従動ギヤ43側に突出している。出力軸45aには、出力ギヤ47が取り付けられている。出力ギヤ47は、従動ギヤ43に噛合っている。
【0048】
従って、回転駆動部7のステッピングモーター35が駆動されると駆動プーリー37、丸ベルト39、従動プーリー31の順に回転駆動力が伝達される。
【0049】
この回転駆動力の伝達により回転駆動軸23が回転し、ドラムベース11が回転駆動される。
【0050】
ドラムベース11が回転すると、網状ドラム13がドラムベース11と共に同軸に一体に回転する。
【0051】
角度調整部9のステッピングモーター45が駆動されると出力軸45a、出力ギヤ47、従動ギヤ43、支持軸27aの順に回転駆動力が伝達される。
【0052】
この回転駆動力の伝達により支持軸27aが回転し、可動ブラケット22が左右の支持軸25a、27aを中心に傾動するように回転駆動される。
【0053】
可動ブラケット22が傾動回転すると、網状ドラム13がドラムベース11と共に可動ブラケット22と一体に傾動回転する。
【0054】
このように、ステッピングモーター35、45の回転駆動により網状ドラム13を軸回転させながら傾動させることができる。
【0055】
網状ドラム13が軸回転しながら徐々に傾動することで、網状ドラム13からフィーダーステージ5上に少量且つ定量数のワークが排出される。
【0056】
[網状ドラム]
図5は、網状ドラムを洗浄かごとするときの蓋と共に示す斜視図である。
【0057】
図5の網状ドラム13は、開口部19がステンレス製等の口金49により形成されている。この口金49には、ドラムベース11の係脱部21の先端部が弾接する。網状ドラム13の底部51は、平坦に形成されている。網状ドラム13の周壁部53は、径が一定の円筒状に形成されている。底部51及び周壁部53は、ステンレス製等の網で形成され、ワークの分離を行わせるためにワークの大きさに応じたサイズの網目を備えている。
【0058】
網目のサイズは、ワークの一部が網目に入り込まない程度である。網状ドラム13の網目は、内周面の摩擦係数を単なる平坦なドラムよりも高める意義がある。網目であればその摩擦抵抗は、平坦なドラムよりも高いと考えられるが、蓋網部の面的摩擦試験法(KIP T 0903)と同様に測定し、確認することができる。測定には、ワークと同一の試験片を用いて測定する。基本的には、この測定した摩擦係数が、試験片相互の摩擦係数よりも高ければよい。つまり、網状ドラム13とワークとの間の摩擦係数は、ワーク相互間の摩擦係数よりも高い。
【0059】
網状ドラム13をワークであるベースプレートの洗浄かごとして共用する場合は、網目のサイズは#40程度、或いはこれよりも多少目の細かい網目がよい。網目を#40程度よりも細かく設定するときは、超音波洗浄との関係で設定する。網目を細かくしすぎると超音波が通らないこともある。
【0060】
なお、網状ドラム13を洗浄かごとして用いない場合は、超音波が通る、通らないは、網目の大きさの選択において考慮外となる。
【0061】
網目を大きくすることもできるが、ワークの一部が入り込まないことが条件となる。一般的には、ワークのサイズの5~10%の大きさの開口を有する網目とするのがよい。ワークの洗浄を考慮すると下限は、ワークのサイズの2%の大きさの開口を有する網目となる。
【0062】
このように、本実施例において、網状ドラム13は、回転及び傾斜によりワークをフィーダーステージ5へ排出するとき、ワークが網目に詰まらず、滑りすぎず、丁度よく掛かるように設定する。
【0063】
この設定により、網状ドラム13の回転と共にワークが内周面上で散らばり、フィーダーステージ5へ少量且つ定量の排出が可能となる。
【0064】
図5の網状ドラム13を洗浄かごとして使用するとき、蓋55を用いる。蓋55は、上下リング部57a、57bと上下リング部57a、57b間を結合する連結部57cとをステンレス製等の骨格部として備えている。上リング部57aの上壁部58aと上下リング部57a、57b間の周壁部58bとは、ステンレス製等の網で形成されている。
【0065】
この蓋55を網状ドラム13の口金49に嵌合させて網状ドラム13の開口部19を閉止することができる。
【0066】
なお、蓋55はワークの排出には関係しないので、蓋55の上壁部58a及び周壁部58bの網の網目の大きさを、網状ドラム13の網の網目に対して異ならせることができる。
【0067】
[ワーク]
図6(A)~(D)は、各種のベースプレートの平面図である。
【0068】
図6(A)のように、ベースプレート59Aは、板状の本体部61にボス部63を備えている。ボス部63は、本体部61の一側面から突出している。ボス部63は、キャリッジのアームに形成された孔に挿入固定されるものである。この挿入固定によりベースプレート59Aが、アームに固定され、ヘッドサスペンションの取り付けが行なわれる。
【0069】
ベースプレートは、ヘッドサスペンションの大きさや機能等に応じたバリエーションがあり、本実施例のワークとしては、図6(B)~(D)等の形状もある。
【0070】
図6(B)~(D)のベースプレート59B、59C、59Dも板状の本体部61にボス部63を備えている。
【0071】
図6(A)、(B)、(C)のベースプレート59A、59B、59Cは、アールを持った角部61aを有している。
【0072】
図6(B)、(C)のベースプレート59B、59Cは、軽量化のための穴61bを有している。
【0073】
図6(B)のベースプレート59Bは、突部61cを有している。
【0074】
図6(B)、(C)のベースプレート59B、59Cは、アール部61d、61eを有している。
【0075】
従って、網状ドラム13の網目の大きさは、角部61a、突部61c等を考慮して設定されることになる。
【0076】
[排出]
例えば図6のようなベースプレート59A、59B、59C、59Dの何れか一種類が複数網状ドラム13に投入され、ステッピングモーター35、45の回転駆動により網状ドラム13を軸回転させながら傾動させる。なお、網状ドラム13には、複数種類のベースプレートを投入してもよい。
【0077】
網状ドラム13の動作は、次の設定で行なわれる。
【0078】
動作開始角度:80deg、動作終了角度:100deg、回転速度:2.3deg/s、傾斜戻し速度:0.1deg/s
動作設定は、排出量やワークの種類に応じて適宜変更することが可能である。なお、動作開始角度及び終了角度は、垂直方向を基準としている。
【0079】
この設定で、5~30pcsほどの個数がフィーダーステージ5へ排出されたらステッピングモーター35、45を停止させるように制御している。
【0080】
かかる制御は、カメラによる監視で行なわれる。
【0081】
網状ドラム13の回転速度や傾きから残量の関係を算出し、その結果でステッピングモーター35、45の停止制御を行わせることもできる。
【0082】
図7は、網状ドラム内においてワークの滑りを示す展開図である。
【0083】
図7では、図6で示すベースプレート59Cをワークとしている。
【0084】
図7のように、ベースプレート59Cが網状ドラム13の網目に直接接していると、網状ドラム13から適度な摩擦力を受けることになる。
【0085】
これに対し、ベースプレート59Cに重なっている他のベースプレート59Cは、網状ドラム13の軸回転により網状ドラム13内で矢印のように下方へ滑り落ちる。なお、図7の上側が網状ドラム13の回転方向となる。
【0086】
同時に網状ドラム13の傾斜により滑り落ちる他のベースプレート59Cが網状ドラム13の開口部19側へ移動する。
【0087】
従って、網状ドラム13の軸回転と傾斜角度との調節によりベースプレート59Cをフィーダーステージ5へ少量且つ定量の排出ができる。
【0088】
網状ドラム13の網目に直接に接しているベースプレート59Cは、網状ドラム13の傾斜角度を次第に大きくすることでフィーダーステージ5へ排出させることができる。
【0089】
網状ドラム13の回転中に発生した微小のゴミ等は、網状ドラム13の網目から網状ドラム13外へ排出される。
【0090】
[洗浄かご]
図8は、洗浄枠の斜視図である。図9は、洗浄枠に蓋を取り外した状態で網状ドラムを配置した平面方向の斜視図である。図10は、洗浄枠に蓋を取り付けた状態で網状ドラムを配置しハンガーを取り付けた斜視図である。なお、図9では、理解を容易にするために、網状ドラム13に対するベースプレート59Cのサイズを大きくしてある。
【0091】
図8の洗浄枠65は、金属製などの線材で形成され、かご支持部67を複数備えている。
【0092】
網状ドラム13は、ドラムベース11から取り外し、洗浄枠65を用いて洗浄かごとして機能させることができる。
【0093】
洗浄に際しては、機械加工されたベースプレート59A、59B、59C、59Dの何れかを収容した網状ドラム13の複数個を図8のかご支持部67のそれぞれに図9のように支持させる。
【0094】
図10のように蓋55を網状ドラム13に被せ、洗浄枠65にハンガー69を取り付ける。
【0095】
従って、前記排出工程の前にワークの洗浄工程にて網状ドラム13を洗浄かごとして超音波洗浄を行わせることができる。
【0096】
洗浄後は、かご支持部67から順次外してドラムベース11に固定させ、前記のように排出工程を行わせることができる。
【0097】
[実施例の効果]
本発明実施例のパーツフィーダー1は、周壁部53が網目を有する網状ドラム13を備えている。
【0098】
このため、網状ドラム13の周壁部53がワークに適度な摩擦力を与えて滑りを抑制す
るから網状ドラム13の軸回転と傾斜角度との調節によりフィーダーステージ5へワークを少量且つ定量で排出することができる。
【0099】
つまり、ベースプレート59Cが網状ドラム13の網目に直接接していると、網状ドラム13から適度な摩擦力を受け、ベースプレート59Cに重なっている他のベースプレート59Cは、網状ドラム13の軸回転により網状ドラム13内で下方へ優先的に滑り落ちる。
【0100】
網状ドラム13内周面には、この種のドラムに見られる羽部が無いので、羽の上にワークが重なることも無い。
【0101】
このため、網状ドラム13内でワークの重なりを効率よくバラけさせることができ、フィーダーステージ5へワークの少量且つ定量の排出を的確に行わせることができる。
【0102】
網状ドラム13の回転中に発生した微小のゴミ等は、網状ドラム13の網目から網状ドラム13外へ排出される。
【0103】
このため、網状ドラム13の動作中に発生したゴミ等が網状ドラム13内のワークに再付着することが抑制され、ワークへの付着物を規制することができる。
【0104】
網状ドラム13は、回転駆動部及び角度調整部側に対し着脱可能に取り付けられた。
【0105】
つまり、ドラム3は、回転駆動及び傾動駆動が行なわれるドラムベース11を備え、網状ドラム13をドラムベース11に対し隙間を形成して内包させるように配置し、ドラムベース11の開口部15に前記網状ドラム13の開口部19を係脱部21により固定した。
【0106】
このため、網状ドラム13をドラムベース11から取り外して洗浄かごとして用いることができる。つまり、洗浄から排出までにワークが汚染される可能性が無いか、汚染を極力低減させることができる。
【0107】
[その他]
網状ドラム13は、網以外で代替させることができる。例えば、多孔の薄板材を用いて円筒形状のドラムを形成し、内周面を網状ドラムと同様の摩擦係数に設定したものも均等の範囲となる。
【0108】
回転駆動部は、ドラムベースの周面をローラー等で支持し、ローラーを支持するベース側を傾動させるように構成することもできる。
【0109】
ドラムベースの回転駆動軸にモーターを直接組み付けることもできる。
【0110】
網状ドラムの材質は、特に限定されないが、内周面の網状の摩擦係数がワークの摩擦係数よりも高いことが条件となる。
【0111】
網状ドラムのドラムベースに対する着脱は、ドラムベースの内側で行わせることもできる。
【0112】
網状ドラムは、ドラムベースに固定して取り付けることもできる。
【0113】
ドラムは、ドラムベースを用いず、網状ドラムのみで構成することもできる。
【符号の説明】
【0114】
1 パーツフィーダー(ワーク供給装置)
3 ドラム
7 回転駆動部
9 傾斜駆動部
11 ドラムベース
13、13A 網状ドラム
15 ドラムベースの開口部
19 網状ドラムの開口部
21 係脱部
59A、59B、59C、59D ベースプレート(ワーク)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10