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特許7076040カテーテル用ハンドルおよび先端偏向操作可能カテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】カテーテル用ハンドルおよび先端偏向操作可能カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20220519BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A61M25/092 510
A61M25/092 500
A61M25/01
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021511048
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2019015121
(87)【国際公開番号】W WO2020202546
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴史
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3162588(JP,U)
【文献】特開2012-115679(JP,A)
【文献】特開2013-192670(JP,A)
【文献】特開2018-153460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルシャフトの基端側に装着されるハンドルであって、
長手方向に沿って二つ割りされた第1ハンドル部材と第2ハンドル部材とを組み合わせてなるハンドル本体と、
前記第1ハンドル部材と前記第2ハンドル部材との間に配置され、前記ハンドル本体に対して前記長手方向に垂直な回転軸の周りを回転自在に装着された円板状の回転板を有し、前記カテーテルシャフトの先端を第1方向および第2方向にそれぞれ偏向させるための第1操作用ワイヤおよび第2操作用ワイヤの各基端が連結される回転操作部とを備えてなり;
前記回転操作部は、前記回転板と、
前記回転板と前記第1ハンドル部材との間に配置されるとともに、前記ハンドル本体に対して回転不能に装着され、前記回転板の外周形状に合致する形状の外周壁を有する第1スペーサ部材と、
前記回転板と前記第2ハンドル部材との間に配置されるとともに、前記ハンドル本体に対して回転不能に装着され、前記回転板の外周形状に合致する形状の外周壁を有する第2スペーサ部材とを備えてなり;
前記回転板は、前記第1操作用ワイヤおよび前記第2操作用ワイヤの前記回転操作部における経路を、当該回転板の円周方向に沿って迂回させるように規定する案内機構を有し、
前記第1スペーサ部材および前記第2スペーサ部材には、それぞれ、前記カテーテルシャフトの基端から延出するチューブ部品を、前記回転板に接触させないように、前記ハンドル本体の内部に挿入させるための案内通路が形成されていることを特徴とするカテーテル用ハンドル。
【請求項2】
前記第1ハンドル部材に固定された基部と、前記回転板の回転軸に沿って当該回転板を貫通するよう配置される軸部と、前記軸部の先端側に形成された雄ねじ部とを有する調整ピンと、
前記調整ピンの前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、前記第2ハンドル部材に対して回転可能に装着された調整摘みと、
前記調整ピンの前記雄ねじ部と前記調整摘みの前記雌ねじ部との螺合深さに応じて前記回転板の操作力が変化するように、前記ハンドル本体と前記回転板との間に配置された弾性部材とを備えてなり;
前記調整ピンの前記軸部には、前記チューブ部品の各々が挿通可能な貫通孔または切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル用ハンドル。
【請求項3】
前記第1スペーサ部材および前記第2スペーサ部材にそれぞれ形成されている前記案内通路が、前記外周壁と一体的に形成された、前記回転板側に向かってくぼんでいる案内溝であることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル用ハンドル。
【請求項4】
前記チューブ部品が、流体を流通させるための流通チューブであることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のカテーテル用ハンドル。
【請求項5】
前記チューブ部品が、導線類を内包する保護チューブであることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のカテーテル用ハンドル。
【請求項6】
前記回転操作部は、前記第1操作用ワイヤの基端が連結される第1連結部と、前記第2操作用ワイヤの基端が連結される第2連結部とを有し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記ハンドル本体の長手方向の中心軸を挟んで対向する各々の基本位置から、前記回転板の円周方向に沿って基端側にスライド可能で
あることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のカテーテル用ハンドル。
【請求項7】
前記カテーテルシャフトと、請求項1~6の何れかに記載のカテーテル用ハンドルとを備えてなり、
前記第1ハンドル部材が位置する側の前記カテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメンの基端開口から延出する前記チューブ部品が、前記第1スペーサ部材に形成された前記案内通路を通って前記ハンドル本体の内部に挿入され、
前記第2ハンドル部材が位置する側の前記カテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメンの基端開口から延出する前記チューブ部品が、前記第2スペーサ部材に形成された前記案内通路を通って前記ハンドル本体の内部に挿入されていることを特徴とする先端偏向操作可能カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル用ハンドルおよび先端偏向操作可能カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用カテーテルは、通常、カテーテルシャフトの基端(近位端)側にハンドルが装着されてなる。
カテーテル用ハンドルとしては、カテーテルの種類に応じて種々のものが提案されている。例えば、カテーテルの先端部分(遠位端)を、カテーテル用ハンドルを操作して曲げたり伸ばしたりしたい場合がある。このようにカテーテルの先端部分を手元側で操作して偏向させるための機構として、ハンドル本体に対して回転自在に装着された回転板に操作用ワイヤの基端を連結し、この回転板を回転操作することによりカテーテルの先端の向きを変化(偏向)させる機構が紹介されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
また、カテーテルシャフトのルーメンから延出させた電極の導線や各種チューブなどの長尺部品を、回転板と接触させることなく、ハンドル本体の内部に挿入させることのできるカテーテル用ハンドルが本出願人により提案されている(下記特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2に記載されたこのカテーテル用ハンドルは、カテーテルシャフトの基端側に装着されて電極カテーテルを構成するためのハンドルであって、図8図10に示すように、第1ハンドル部材211と第2ハンドル部材212とを組み合わせてなるハンドル本体210と、第1ハンドル部材211と第2ハンドル部材212との間に配置されて、ハンドル本体210に対して回転軸(P)の周りを回転自在に装着され、カテーテルシャフトの先端を偏向させるための操作用ワイヤの基端が連結される回転板220を有する回転操作部と、第1ハンドル部材211に対して、その基部231が固定されているとともに、その軸部232が回転軸(P)に沿って回転板220を貫通するよう配置され、その先端側に雄ねじ部233を有する調整ピン230と、この調整ピン230の雄ねじ部233と螺合する雌ねじ部243を有し、第2ハンドル部材212に対して回転可能に装着された調整摘み240と、調整ピン230の雄ねじ部233と調整摘み240の雌ねじ部243との螺合深さに応じて回転板220の操作力が変化するように、第1ハンドル部材211と回転板220との間に配置されたOリング250と、第2ハンドル部材212と回転板220との間に配置されたワッシャー255とを備えてなり、前記回転操作部は、第1回転部材221と第2回転部材222とを組み合わせてなる回転板220と、回転板220を構成する第1回転部材221と第2回転部材222との間に配置されるとともに、ハンドル本体210に対して回転不能に装着された中間部材225とを備えてなり、この中間部材225には、ハンドル本体210の内部に挿入されるチューブ270(長尺部品)をハンドル本体210の長手方向の中心軸(Z)に沿って延在させるための案内溝(先端側の案内溝2251および後端側の案内溝2252)と、回転板220の外周形状に合致する形状を有する、回転操作部の外周壁2253とが一体的に形成され、調整ピン230の軸部232には、中心軸(Z)に沿って延在するチューブ270を挿通可能な貫通孔235が形成されている。図8において、2200はカテーテルシャフト、2201は先端電極、2202はリング状電極であり、図9において、223は、回転板220の摘みである。
【0005】
このカテーテル用ハンドルによれば、回転板220を回転させて操作用ワイヤを引っ張ることにより、カテーテルシャフトの先端部分を曲げて、その先端を偏向させることができる。そして、回転板220を構成する第1回転部材221と第2回転部材222との間に中間部材225が配置されることにより、この中間部材225がスペーサとして作用し
、第1回転部材221と第2回転部材222との間にチューブ270(長尺部品)の挿通空間を確保することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されたカテーテル用ハンドルにおいては、回転板220を回転することによる操作用ワイヤの引張量を十分に確保することができないために、カテーテルシャフト2200の先端部分を十分に撓ませる(先端を偏向させる)ことができないという問題がある。
【0007】
他方、回転板を回転することによる操作用ワイヤの引張量を十分に確保するための機構を備えたカテーテル用ハンドルが本出願人により提案されている(下記特許文献3参照)。
【0008】
特許文献3に記載されたこのカテーテル用ハンドルは、カテーテルシャフトの基端側に装着されるハンドルであって、図11に示すように、ハンドル本体331と、このハンドル本体331に対して回転自在に装着された回転板3320を含む回転操作部332とを備えており、回転板3320は、回転操作の際に操作される本体部D1と、この本体部D1に対して着脱可能に構成され、回転操作に応じてカテーテルシャフトの先端部分を撓ませるための操作用ワイヤ341aおよび操作用ワイヤ341bにおける経路を規定する案内機構(ガイドレール3322)を有する取付部材D2とを備えている。図11において、3321aおよび3321bは、回転板3320の摘み、323aおよび323bは、それぞれ、操作用ワイヤ341aおよび操作用ワイヤ341bの各基端を、回転板3320に固定するための留め具であり、Arは、回転板3320の回転軸である。
【0009】
このカテーテル用ハンドルによれば、摘み3321aを操作して回転板3320を右回りに回転させることにより、カテーテルシャフトおよびハンドル本体331の内部で、操作用ワイヤ341aが基端側へ引っ張られ、カテーテルシャフトの先端部分が第1方向に撓む。このとき、回転操作部332における操作用ワイヤ341aは、ガイドレール3322に案内されて回転板3320の円周近傍を移動するので、操作用ワイヤ341aの引張量を十分に確保することができる。
【0010】
他方、摘み3321bを操作して回転板3320を左回りに回転させることにより、カテーテルシャフトおよびハンドル本体331の内部で、操作用ワイヤ341bが基端側へ引っ張られ、カテーテルシャフトの先端部分が第1方向とは反対側の第2方向に撓む。このとき、回転操作部332における操作用ワイヤ341bは、ガイドレール3322に案内されて回転板3320の円周近傍を移動するので、操作用ワイヤ341bの引張量を十分に確保することができる。
【0011】
特許文献3に記載されたカテーテル用ハンドルを備えた電極カテーテルにおいて、カテーテルシャフトに装着されている電極(先端電極および/またはリング状電極)の導線は、カテーテルシャフトのルーメンを通ってその基端開口から延出し、回転操作部332において、ハンドル本体331と回転板3320との間の僅かな隙間を通って、ハンドル本体331の内部に挿入される。
【0012】
しかしながら、特許文献3に記載されたカテーテル用ハンドルにおいては、カテーテルシャフトのルーメンの基端開口から延出するチューブ部品、例えば、カテーテルシャフトのルーメンに流体を供給するための流通チューブをハンドル本体の内部に挿入させることは実質的に不可能である。
【0013】
すなわち、操作用ワイヤの案内機構(ガイドレール3322)を有する回転板3320の構造上、特許文献2に記載されたカテーテル用ハンドルのように、当該回転板3320
の内部にチューブ部品を挿通させるための空間を確保できないため、カテーテルシャフトのルーメンの基端開口から延出するチューブ部品をハンドル本体331の内部に挿入させるためには、ハンドル本体331と回転板3320との前記隙間に当該チューブ部品を通さなければならない。
【0014】
しかし、特許文献3に記載されたカテーテル用ハンドルにおいて、ハンドル本体331と回転板3320との間には、チューブ部品を通すことのできる隙間は確保されていない。仮に、ハンドル本体331と回転板3320との間にチューブ部品を通すことのできる隙間が確保したとしても、回転板3320の一面側におけるハンドル本体331との前記隙間に、回転板3320の他面側で開口するルーメンから延出するチューブ部品を通す場合には、その高低差に起因してチューブ部品がキンクしてしまい、流体の流通性が損なわれたりチューブ部品が破損したりすることが考えられる。また、このような場合には、回転板3320の他面側から一面側に向けて延びる当該チューブ部品が、回転板3320や操作用ワイヤ341a,341bと接触して損傷することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2005-230471号公報
【文献】特許第5535260号号公報
【文献】特開2018-153460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものであって、その目的は、回転板を回転することによる操作用ワイヤの引張量を十分に長くすることができるとともに、カテーテルシャフトの基端から延出するチューブ部品を、回転板や操作用ワイヤと接触させることなくハンドル本体の内部に挿入させることができるカテーテル用ハンドルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)本発明のカテーテル用ハンドルは、カテーテルシャフトの基端側に装着されるハンドルであって、
長手方向に沿って二つ割りされた第1ハンドル部材と第2ハンドル部材とを組み合わせてなるハンドル本体と、
前記第1ハンドル部材と前記第2ハンドル部材との間に配置され、前記ハンドル本体に対して前記長手方向に垂直な回転軸の周りを回転自在に装着された円板状の回転板を有し、前記カテーテルシャフトの先端を第1方向および第2方向にそれぞれ偏向させるための第1操作用ワイヤおよび第2操作用ワイヤの各基端が連結される回転操作部とを備えてなり;
前記回転操作部は、前記回転板と、
前記回転板と前記第1ハンドル部材との間に配置されるとともに、前記ハンドル本体に対して回転不能に装着され、前記回転板の外周形状に合致する形状の外周壁を有する第1スペーサ部材と、
前記回転板と前記第2ハンドル部材との間に配置されるとともに、前記ハンドル本体に対して回転不能に装着され、前記回転板の外周形状に合致する形状の外周壁を有する第2スペーサ部材とを備えてなり;
前記回転板は、前記第1操作用ワイヤおよび前記第2操作用ワイヤの前記回転操作部における経路を、当該回転板の円周方向に沿って迂回させるように規定する案内機構を有し、
前記第1スペーサ部材および前記第2スペーサ部材には、それぞれ、前記カテーテルシ
ャフトの基端から延出するチューブ部品を、前記回転板に接触させないように(回転板の両面からチューブ部品を離間させるように)、前記ハンドル本体の内部に挿入させるための案内通路が形成されていることを特徴とする。
なお、前記回転板は、完全な円板状でなくてもよく、例えば、楕円板状であってもよい。
【0018】
このような構成のカテーテル用ハンドルによれば、これを構成する回転板が、回転操作部における第1操作用ワイヤおよび第2操作用ワイヤの経路を、当該回転板の円周方向に沿って迂回させるように規定する案内機構を有しているので、当該回転板を回転することによる第1操作用ワイヤおよび第2操作用ワイヤの引張量を十分に長くすることができる。
【0019】
また、第1スペーサ部材によって、回転板と第1ハンドル部材との間にチューブ部品の挿通空間を確保することができ、第2スペーサ部材によって、回転板と第2ハンドル部材との間にチューブ部品の挿通空間を確保することができ、カテーテルシャフトの基端から延出するチューブ部品を、第1スペーサ部材または第2スペーサ部材に形成された案内通路に通すことにより、当該チューブ部品を、回転板と接触させることなく、ハンドル本体の内部に挿入させることができる。そして、チューブ部品と回転板との接触を回避することができるので、回転板の操作時における異音の発生やチューブ部品の損傷(擦過傷)などを確実に防止することができる。
【0020】
さらに、カテーテルシャフトがマルチルーメン構造を有している場合に、第1ハンドル部材が位置する側のカテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメンの基端開口から延出しているチューブ部品を、第1スペーサ部材に形成された案内通路に通し、第2ハンドル部材が位置する側のカテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメンの基端開口から延出しているチューブ部品を、第2スペーサ部材に形成された案内通路に通すことにより、当該チューブ部品を、操作用ワイヤと接触させることなく、ハンドル本体の内部に挿入させることができる。
【0021】
(2)本発明のカテーテル用ハンドルにおいて、前記第1ハンドル部材に固定された基部と、前記回転板の回転軸に沿って当該回転板を貫通するよう配置される軸部と、前記軸部の先端側に形成された雄ねじ部とを有する調整ピンと、
前記調整ピンの前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、前記第2ハンドル部材に対して回転可能に装着された調整摘みと、
前記調整ピンの前記雄ねじ部と前記調整摘みの前記雌ねじ部との螺合深さに応じて前記回転板の操作力が変化するように、前記ハンドル本体と前記回転板との間に配置された弾性部材とを備えてなり;
前記調整ピンの前記軸部には、前記チューブ部品の各々が挿通可能な貫通孔または切欠きが形成されていることが好ましい。
【0022】
このような構成のカテーテル用ハンドルによれば、カテーテルシャフトの基端から延出するチューブ部品を、調整ピンの軸部を避けて迂回させることなく、ハンドル本体の長手方向に沿って、当該ハンドル本体の内部に延在させることができる。
【0023】
(3)本発明のカテーテル用ハンドルにおいて、前記第1スペーサ部材および前記第2スペーサ部材にそれぞれ形成されている前記案内通路が、前記外周壁と一体的に形成された、前記回転板側に向かってくぼんでいる案内溝であることが好ましい。
【0024】
(4)本発明のカテーテル用ハンドルにおいて、前記チューブ部品が、流体を流通させるための流通チューブであることが好ましい。
【0025】
(5)本発明のカテーテル用ハンドルにおいて、前記チューブ部品が、導線類を内包する保護チューブであることが好ましい。
【0026】
(6)本発明のカテーテル用ハンドルにおいて、前記回転操作部は、前記第1操作用ワイヤの基端が連結される第1連結部と、前記第2操作用ワイヤの基端が連結される第2連結部とを有し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記ハンドル本体の長手方向の中心軸を挟んで対向する各々の基本位置から、前記回転板の円周方向に沿って基端側にスライド可能であることが好ましい。
【0027】
従来のバイデレクション型のカテーテル用ハンドルにおいては、回転板を回転して一方の操作用ワイヤを基端側に引っ張ったときには、回転操作部における他方の操作用ワイヤに弛みが生じることがあり、これに起因して、操作用ワイヤのキンクや断線のおそれがあった。
これに対して、上記のような構成のカテーテル用ハンドルによれば、回転板を回転して一方の操作用ワイヤ(第1操作用ワイヤまたは第2操作用ワイヤ)を基端側に引っ張ったときに、他方の操作用ワイヤ(第2操作用ワイヤまたは第1操作用ワイヤ)の基端が連結されている連結部(第2連結部または第1連結部)が、その基本位置から、回転板の円周方向に沿って基端側にスライドすることで、他方の操作用ワイヤが基端方向に引っ張られ、これにより、回転操作部における他方の操作用ワイヤの弛みを防止することができる。この結果、操作用ワイヤの弛みに起因するキンクや断線を防止することができる。
【0028】
(7)本発明の先端偏向操作可能カテーテルは、前記カテーテルシャフトと、本発明のカテーテル用ハンドルとを備えてなり、
前記第1ハンドル部材が位置する側の前記カテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメンの基端開口から延出する前記チューブ部品が、前記第1スペーサ部材に形成された前記案内通路を通って前記ハンドル本体の内部に挿入され、
前記第2ハンドル部材が位置する側の前記カテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメンの基端開口から延出する前記チューブ部品が、前記第2スペーサ部材に形成された前記案内通路を通って前記ハンドル本体の内部に挿入されていることを特徴とする。
【0029】
このような構成の先端偏向操作可能カテーテルによれば、第1ハンドル部材が位置する側のカテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメン、すなわち、回転板の一面側で開口するルーメンから延出するチューブ部品が、回転板の一面側に配置された第1スペーサ部材に形成された案内通路を通ってハンドル本体の内部に挿入され、第2ハンドル部材が位置する側のカテーテルシャフトの半周部分に形成されたルーメン、すなわち、回転板の他面側で開口するルーメンから延出するチューブ部品が、回転板の他面側に配置された第2スペーサ部材に形成された案内通路を通ってハンドル本体の内部に挿入されるので、ルーメン開口と案内通路との高低差(回転板の回転軸方向の距離)を小さくすることができ、これにより、チューブ部品のキンク(これに伴って、流通性が損なわれたりチューブ部品が破損したりすること)を防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のカテーテル用ハンドルによれば、回転板を回転することによる操作用ワイヤの引張量を十分に長くすることができるとともに、カテーテルシャフトの基端から延出するチューブ部品を、回転板や操作用ワイヤと接触させることなくハンドル本体の内部に挿入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態のハンドルを備えた電極カテーテルを示す平面図である。
図2図1に示したハンドルの要部を示す横断面図(II-II断面図)である。
図3図1に示したハンドルの要部を示す縦断面図(III-III断面図)である。
図4図1に示したハンドルの要部を示す断面図(図2のIV-IV断面図)である。
図5図1に示したハンドルの要部を示す断面図(図2のV-V断面図)である。
図6図1に示した電極カテーテルの断面図(VI-VI断面図)である。
図7図1に示したハンドルの構成部品を示す斜視図である。
図8】従来のハンドルを備えたカテーテルを示す平面図である。
図9図8に示したハンドルの要部を示す横断面図(IX-IX断面図)である。
図10図8に示したハンドルの要部を示す断面図(X-X断面図)である。
図11】従来のハンドルの内部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1図7に示すこの実施形態のハンドル100は、マルチルーメン構造のカテーテルシャフト200の基端側に装着されて電極カテーテル(先端偏向操作可能カテーテル)を構成するハンドルであって、第1ハンドル部材11と第2ハンドル部材12とを組み合わせてなるハンドル本体10と、第1ハンドル部材11と第2ハンドル部材12との間に配置され、ハンドル本体10に対して回転軸(P)の周りを回転自在に装着された円板状の回転板25を有し、カテーテルシャフト200の先端を、第1方向および第2方向にそれぞれ偏向させるための第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502の各基端が連結される回転操作部20と、第1ハンドル部材11に対して固定された基部31と、回転軸(P)に沿って回転板25を貫通するよう配置される軸部32と、軸部32の先端側に形成された雄ねじ部33とを有する調整ピン30と、この調整ピン30の雄ねじ部33と螺合する雌ねじ部43を有し、第2ハンドル部材12に対して回転可能に装着された調整摘み40と、調整ピン30の雄ねじ部33と調整摘み40の雌ねじ部43との螺合深さに応じて回転板25の操作力が変化するように、第2ハンドル部材12と回転板25との間に配置されたOリング55(弾性部材)と、第1ハンドル部材11と回転板25との間に配置されたワッシャー50とを備えてなり;
回転操作部20は、前記回転板25と、回転板25と第1ハンドル部材11との間に配置されるとともに、ハンドル本体10に対して回転不能に装着され、回転板25の外周形状に合致する円形の外周壁213を有する第1スペーサ部材21と、回転板25と第2ハンドル部材12との間に配置されるとともに、ハンドル本体10に対して回転不能に装着され、回転板25の外周形状に合致する円形の外周壁223を有する第2スペーサ部材22と、第1操作用ワイヤ501の基端が連結される第1連結部261と、第2操作用ワイヤ502の基端が連結される第2連結部262とを備えてなり;
回転板25は、第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502の回転操作部20における経路を、当該回転板25の円周方向に沿って迂回させるように規定するガイドレール251(案内機構)を有し、第1スペーサ部材21には、カテーテルシャフト200の第1ルーメン201および第2ルーメン202の各基端開口から延出するチューブ部品(流通チューブ701および保護チューブ702)を、回転板25に接触させないように、ハンドル本体10の内部に挿入させるための案内溝211(案内通路)が形成され、第2スペーサ部材22には、カテーテルシャフト200の第3ルーメン203および第4ルーメン204の各基端開口から延出するチューブ部品(流通チューブ703および保護チューブ704)を、回転板25に接触させないように、ハンドル本体10の内部に挿入させるための案内溝221(案内通路)が形成され、調整ピン30の軸部32には、チューブ部品(流通チューブ701および703、保護チューブ702および704)の各々が挿通可能な切欠き34が形成されている。
【0033】
図1に示したカテーテルは、不整脈の診断または治療に用いる電極カテーテルであって、この電極カテーテルは、カテーテルシャフト200と、その基端側に装着された本実施形態のハンドル100とにより構成されている。
カテーテルシャフト200の遠位端部には、先端電極301と、3個のリング状電極302とが装着されている。
【0034】
カテーテルシャフト200は、マルチルーメン構造を有している。
カテーテルシャフト200の外径は、通常0.6~3.0mmであり、その内径は通常0.5~2.5mmである。
先端電極301およびリング状電極302は、例えばアルミニウム、銅、ステンレス、金、白金など、電気伝導性の良好な金属により構成される。先端電極301およびリング状電極302の外径は、特に限定されないが、カテーテルシャフト200の外径と同程度であることが好ましい。
【0035】
図6に示すように、カテーテルシャフト200には、第1ハンドル部材11が位置する側のカテーテルシャフト200の半周部分(同図に示したシャフト200の断面における下側部分)に形成された第1ルーメン201および第2ルーメン202、並びに、第2ハンドル部材12が位置する側のカテーテルシャフト200の半周部分(同図に示したシャフト200の断面における上側部分)に形成された第3ルーメン203および第4ルーメン204を含む8つのルーメン201~208が形成されている。
【0036】
第1ルーメン201および第3ルーメン203には、それぞれ、灌注用の生理食塩水を流通させるための流通チューブ701および流通チューブ703が延在している。
【0037】
第2ルーメン202には、リング状電極302の各々に接続された導線402を内包する保護チューブ702が延在している。
【0038】
第4ルーメン204には、先端電極301に接続された導線401および熱電対403を内包する保護チューブ704が延在している。
【0039】
第5ルーメン205には、カテーテルシャフト200の先端を第1方向に偏向させるための第1操作用ワイヤ501が延在している。
第1操作用ワイヤ501は、カテーテルシャフト200の先端部分では、第7ルーメン207に延在している。第1操作用ワイヤ501の先端は、先端電極301の内部空間に充填されたはんだによって先端電極301に接続固定されている。
他方、第1操作用ワイヤ501の基端は、これを回転操作部20に連結するための、後述する第1連結部261に固定されている。
【0040】
第6ルーメン206には、カテーテルシャフト200の先端を、第1方向とは反対方向である第2方向に偏向させるための第2操作用ワイヤ502が延在している。
第2操作用ワイヤ502は、カテーテルシャフト200の先端部分では、第8ルーメン208に延在している。第2操作用ワイヤ502の先端は、先端電極301の内部空間に充填されたはんだによって先端電極301に接続固定されている。
他方、第2操作用ワイヤ502の基端は、これを回転操作部20に連結するための、後述する第2連結部262に固定されている。
【0041】
図2図3および図7に示すように、本実施形態のハンドル100を構成するハンドル本体10は、分割形成された第1ハンドル部材11と第2ハンドル部材12とが組み合わされて構成されている。
【0042】
本実施形態のハンドル100を構成する回転操作部20は、回転板25(可動部材)と、第1スペーサ部材21と、第2スペーサ部材22と、第1連結部261と、第2連結部262とを備えている。
【0043】
回転操作部20を構成する回転板25は、ハンドル本体10に対して、回転軸(P)の周りを回転自在に装着されている。
この回転板25は、回転操作部20における第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502の経路を当該回転板25の円周方向に沿って迂回させるように規定するガイドレール251(案内機構)を有している。また、この回転板25には、摘み23,23が設けられている。
【0044】
回転板25を、図1に示す矢印A1方向に回転させると、第1操作用ワイヤ501が引っ張られることにより、カテーテルシャフト200の先端部分が矢印A方向に曲がって、先端が偏向する。
一方、回転板25を、同図に示す矢印B1方向に回転させると、第2操作用ワイヤ502が引っ張られることにより、カテーテルシャフト200の先端部分が矢印B方向に曲がって先端が偏向する。
【0045】
回転板25の一面側には第1スペーサ部材21が配置されており、回転板25の他面側には第2スペーサ部材22が配置されている。ここに、第1スペーサ部材21と第2スペーサ部材22とは、同一形状の部材である。
【0046】
回転操作部20を構成する第1スペーサ部材21は、回転板25と第1ハンドル部材11との間において、ハンドル本体10に対して回転不能に装着されている。
第1スペーサ部材21は、ハンドル本体10に対して回転不能であるため、ハンドル本体10に対して回転板25を回転させても、これに連動して回転することはない。
【0047】
第1スペーサ部材21は、回転板25の外周形状に合致する形状を有する外周壁213と、ハンドル本体10の長手方向に延びる案内溝211とが一体的に形成されてなる。
【0048】
第1スペーサ部材21の外周壁213は、回転板25の外周形状に合致する形状、すなわち、回転板25と実質的同一の外径を有する略円環状(部分円環状)を有している。
【0049】
第1スペーサ部材21の案内溝211は、カテーテルシャフト200の第1ルーメン201の基端開口から延出する流通チューブ701と、第2ルーメン202の基端開口から延出する保護チューブ702とを、ハンドル本体10の内部に挿入させるための案内通路である。
案内溝211は、回転板25が位置する側にくぼみ(底)を有している。
但し、案内溝211の底面は、回転板25の一面から回転軸(P)方向に離間しており、案内溝211に通された流通チューブ701および保護チューブ702が、回転板25と接触することはない。
【0050】
この第1スペーサ部材21により、回転板25と第1ハンドル部材11との間に、流通チューブ701および保護チューブ702を挿通するための空間を確保することができ、流通チューブ701および保護チューブ702を第1スペーサ部材21の案内溝211に通すことによって、これらのチューブ部品を、回転板25や操作用ワイヤ(第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502)と接触させることなく、ハンドル本体10の内部に挿入させることができ、これにより、回転板25の操作時における異音の発生や流通チューブ701および保護チューブ702の損傷(擦過傷)を確実に防止することがで
きる。
【0051】
回転操作部20を構成する第2スペーサ部材22は、回転板25と第2ハンドル部材12との間において、ハンドル本体10に対して回転不能に装着されている。
第1スペーサ部材22は、ハンドル本体10に対して回転不能であるため、ハンドル本体10に対して回転板25を回転させても、これに連動して回転することはない。
【0052】
第2スペーサ部材22は、回転板25の外周形状に合致する形状を有する外周壁223と、ハンドル本体10の長手方向に延びる案内溝221とが一体的に形成されてなる。
【0053】
第2スペーサ部材22の外周壁223は、回転板25の外周形状に合致する形状、すなわち、回転板25と実質的同一の外径を有する略円環状(部分円環状)を有している。
【0054】
第2スペーサ部材22の案内溝221は、カテーテルシャフト200の第3ルーメン203の基端開口から延出する流通チューブ703と、第4ルーメン204の基端開口から延出する保護チューブ704とを、ハンドル本体10の内部に挿入させるための案内通路である。
案内溝221は、回転板25が位置する側にくぼみ(底)を有している。
但し、案内溝221の底面は、回転板25の一面から回転軸(P)方向に離間しており、案内溝221に通された流通チューブ703および保護チューブ704が、回転板25と接触することはない。
【0055】
この第2スペーサ部材22により、回転板25と第2ハンドル部材12との間に、流通チューブ703および保護チューブ704を挿通するための空間を確保することができ、流通チューブ703および保護チューブ704を第2スペーサ部材22の案内溝221に通すことによって、これらのチューブ部品を、回転板25や操作用ワイヤ(第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502)と接触させることなく、ハンドル本体10の内部に挿入させることができ、これにより、回転板25の操作時における異音の発生や流通チューブ703および保護チューブ704の損傷(擦過傷)を確実に防止することができる。
【0056】
回転操作部20を構成する第1連結部261には、第1操作用ワイヤ501の基端が固定されている。
この第1連結部261は、その基本位置(カテーテルシャフトの先端部分を撓ませていないときの第1連結部261の位置。図4および図5に示した第1連結部261の位置)から、回転板25の円周方向に沿って形成された走行路271に沿って、基端側にスライドさせることができる。
【0057】
このような構成によれば、回転板25を回転させて第2操作用ワイヤ502を引張操作したときに、第1操作用ワイヤ501の基端が連結されている第1連結部261が、回転板25の円周方向に沿って基端方向にスライドし、第1操作用ワイヤ501が基端方向に引っ張られることにより、回転操作部20における第1操作用ワイヤ501に弛みが発生するのを防止することができる。
【0058】
回転操作部20を構成する第2連結部262には、第2操作用ワイヤ502の基端が固定されている。
この第2連結部262は、その基本位置(カテーテルシャフトの先端部分を撓ませていないときの第2連結部262の位置。図4および図5に示した第2連結部262の位置)から、回転板25の円周方向に沿って形成された走行路272に沿って、基端側にスライドさせることができる。
【0059】
このような構成によれば、回転板25を回転させて第1操作用ワイヤ501を引張操作したときに、第2操作用ワイヤ502の基端が連結されている第2連結部262が、回転板25の円周方向に沿って基端方向にスライドし、第2操作用ワイヤ502が基端方向に引っ張られることにより、回転操作部20における第2操作用ワイヤ502に弛みが発生するのを防止することができる。
【0060】
図2図3および図7に示すように、本実施形態のハンドル100を構成する調整ピン30は、基部31と軸部32と雄ねじ部33(先端部)とが一体的に形成されてなる。
調整ピン30は、その基部31が第1ハンドル部材11に対して固定されるとともに、回転軸(P)に沿って回転板25を貫通するように配置されている。
【0061】
また、本実施形態のハンドル100を構成する調整摘み40は、摘み部41と円板部42と雌ねじ部43とが一体的に形成されてなる。
調整摘み40の雌ねじ部43は、調整ピン30の雄ねじ部33と螺合可能であり、調整摘み40の雌ねじ部43と調整ピン30の雄ねじ部33との螺合深さ(ねじ込み深さ)に応じて、第1ハンドル部材11と第2ハンドル部材12との距離が変化する。
【0062】
この距離が変化することにより、第2スペーサ部材22と回転板25との間に配置されたOリング55に対する圧縮力が変化し、Oリング55による回転板25への締付力(回転板の操作力)が変化する。ここに、Oリング55による締付力を大きくすると回転板25の操作が重くなり、締付力を小さくすると回転板25の操作が軽くなる。
【0063】
ここに、Oリング55は、弾力性に優れた材質、例えばシリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴムなどから構成される。
また、第1スペーサ部材21と回転板25との間に配置されているワッシャ50は、滑り特性に優れた材質からなることが好ましく、例えばフッ素樹脂によって構成される。
【0064】
調整ピン30の軸部32には、チューブ部品(流通チューブ701および703、保護チューブ702および704)の各々が挿通可能な切欠き34が形成されている。
これにより、これらチューブ部品の各々を、調整ピン30の軸部32を避けて迂回させる必要はなく、ハンドル本体10の長手方向に沿って、当該ハンドル本体10の内部に延在させることができる。
【0065】
本実施形態のハンドル100によれば、カテーテルシャフト200の第1ルーメン201、第2ルーメン202、第3ルーメン203および第4ルーメン204の基端開口からそれぞれ延出するチューブ部品(流通チューブ701、保護チューブ702、流通チューブ703および保護チューブ704)をハンドル本体10の長手方向に沿って延在させることができる。
【0066】
また、ハンドル100を構成する回転板25が、回転操作部20における第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502の経路を、当該回転板25の円周方向に沿って迂回させるように規定するガイドレール251(案内機構)を有しているので、当該回転板25を回転することによる第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502の引張量を十分に長くすることができる。
【0067】
また、流通チューブ701および保護チューブ702を第1スペーサ部材21に形成された案内溝211に通すことにより、これらのチューブ部品を、回転板25と接触させることなく、ハンドル本体10の内部に挿入させることができ、流通チューブ703および保護チューブ704を第2スペーサ部材22に形成された案内溝221路に通すことによ
り、これらのチューブ部品を、回転板25と接触させることなく、ハンドル本体10の内部に挿入させることができる。
そして、チューブ部品と回転板25との接触を回避することができるので、回転板25の操作時における異音の発生やチューブ部品の損傷(擦過傷)などを確実に防止することができる。
【0068】
更に、カテーテルシャフト200のルーメン201および202の基端開口から、それぞれ延出するチューブ部品(流通チューブ701および保護チューブ702)を第1スペーサ部材21の案内溝211に通し、ルーメン203および204の基端開口から、それぞれ延出するチューブ部品(流通チューブ703および保護チューブ704)を第2スペーサ部材22の案内溝221に通すことにより、これらのチューブ部品を、操作用ワイヤ(第1操作用ワイヤ501および第2操作用ワイヤ502)と接触させることなくハンドル本体の内部に挿入させることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明のカテーテル用ハンドルはこれらに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、案内溝211および案内溝221にそれぞれ通されるチューブ部品は、2本に限定されるものでなく、1本であっても、3本以上であってもよい。
また、上述の実施例においては、本発明のカテーテル用ハンドルを電極カテーテルに適用した例を記載したが、本発明のカテーテル用ハンドルは、ガイドカテーテル(ガイディングカテーテル)、血管造影用カテーテル、シースカテーテル(シースイントロデューサー)、マイクロカテーテルなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
100 ハンドル
10 ハンドル本体
11 第1ハンドル部材
12 第2ハンドル部材
20 回転操作部
21 第1スペーサ部材
211 案内溝(案内通路)
213 外周壁
22 第2スペーサ部材
221 案内溝(案内通路)
223 外周壁
23 摘み
25 回転板
251 ガイドレール(案内機構)
261 第1連結部
262 第2連結部
30 調整ピン
31 基部
32 軸部
33 雄ねじ部
34 切欠き
40 調整摘み
41 摘み部
42 円板部
43 雌ねじ部
50 ワッシャー
55 Oリング
200 カテーテルシャフト
201 第1ルーメン
202 第2ルーメン
203 第3ルーメン
204 第4ルーメン
205 第5ルーメン
206 第6ルーメン
207 第7ルーメン
208 第8ルーメン
301 先端電極
302 リング状電極
401 先端電極の導線
402 リング状電極の導線
403 熱電対
501 第1操作用ワイヤ
502 第2操作用ワイヤ
701,703 流通チューブ(チューブ部品)
702,704 保護チューブ(チューブ部品)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11