(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/08 20060101AFI20220520BHJP
C22C 9/04 20060101ALI20220520BHJP
G01N 3/58 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
G01N3/08
C22C9/04
G01N3/58 D
(21)【出願番号】P 2020159474
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】201911097950.X
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(73)【特許権者】
【識別番号】520370647
【氏名又は名称】広東華藝衛浴実業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 超
(72)【発明者】
【氏名】李 元元
(72)【発明者】
【氏名】丁 言飛
(72)【発明者】
【氏名】梁 良
(72)【発明者】
【氏名】張 衛文
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-519678(JP,A)
【文献】特表2019-504209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/08
C22C 9/04
G01N 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含むことを特徴とする高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
1)準静的引張降伏応力σ
s及び伸びδ試験
亜鉛当量38%~49%のシリコン黄銅合金棒について準静的引張力学特性試験を行い、応力-ひずみ曲線を得て、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金について準静的引張降伏応力σ
s及び伸びδを決定する。
2)動的降伏応力σ
dの算出
亜鉛当量38%~49%のシリコン黄銅合金について切削試験を行い、チップを採取し、Mechantに基づく切削力モデルにより、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金を切削した場合の切削動的降伏応力σ
dを算出する。
3)シリコン黄銅合金の定量的同定
シリコン黄銅合金の亜鉛当量を横軸にとり、準静的引張降伏応力σ
s、伸びδ、切削動的降伏応力σ
dを縦軸にとり、亜鉛当量に対する準静的引張降伏応力σ
s、伸びδ、切削動的降伏応力σ
dの変化傾向図を作成し、前記変化傾向図に基づいて
、
準静的引張降伏応力σ
sが100MPa~250MPa、伸びδが40%~15%、かつ動的降伏応力σ
dが準静的引張降伏応力σ
sよりも小さい
シリコン黄銅合金を高強度高塑性快削性合金
として同定する。
【請求項2】
ステップ1)の異なる亜鉛当量の黄銅合金の製造方法が、Cu、Zn、Si、Al元素を、Cu:56~66wt.%、Zn:33~42wt.%、Si:0.4~1.5wt.%、Al:0.2~1.5wt.t%、及びB:0.003~0.01wt.%、Ti:0.03~0.06wt.%の質量%で配合し、かつ黄銅合金の全成分中の亜鉛当量X%が39~49%であり、ミクロ組織がα+β相であることを特徴とする請求項1に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項3】
亜鉛当量規制により相組成を設計し、式
【数1】
(ここで、X%:亜鉛当量、C
Zn:合金添加純亜鉛含有率、C
Cu:合金添加純銅含有率、ΣC
iK
i:合金でCu、Znを除く全ての合金元素の含有率C
iと亜鉛当量係数K
iとの積の総和)により亜鉛当量を算出することを特徴とする請求項2に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項4】
ステップ2)において、J.G.Williamが開発した試験スキームを用いて、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金を切削する際の切削動的降伏応力σ
dを算出し、具体的には、
せん断面の力バランスから方程式
【数2】
(ここで、σ
d:動的降伏応力、h
c/sinφ:せん断面の長さ、K
b:材料の破壊靭性、w
c:円筒旋削試験における切刃の逃げ量a
pに相当する切削幅、F
c:主切削力、F
t:送り抵抗)が得られ、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφと(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の変化関係を直線でフィッティングして得られた直線の傾きを切削動的降伏応力σ
dとすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項5】
ステップ2)における切削試験を、切削力測定装置を備えたCNC旋盤で行い、切削サンプルを円柱棒とし、切削工具材料を市販のWC-8Co工具とし、加工パラメータとして送り速度fの値を変更し、黄銅合金の通常の切削パラメータに基づき、送り速度fの値を0.05~0.3mm/rとすることを特徴とする請求項4に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項6】
力バランス方程式
【数3】
(ここで、h
c/sinφ:せん断面の長さ、h
c:切削層の厚み、φ:シリコン黄銅サンプルのせん断角、K
b:材料の破壊靭性、w
c:切削幅、F
c:主切削力、F
t:送り抵抗)から切削動的降伏応力σ
dを決定し、
前記の力バランス方程式を、
【数4】
に変換し、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφ及び(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の値を算出し、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφ及び(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の変化関係をプロットして線形フィッティングし、傾きを切削動的降伏応力σ
dとし、
シリコン黄銅サンプルのせん断角φを、式
【数5】
(ここで、γ
0:切削工具のすくい角、Λ
hは、
【数6】
から決定される切削変形係数、h
ch:平均チップ厚み)に従って算出することを特徴とする請求項5に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項7】
鋸歯状チップのチップ厚みh
ch等価値は、h
ch=H-(h
s/2)(ここで、H:鋸歯状チップの最大高さ、h
s:鋸歯の高さ)を簡単化することによって取得されることを特徴とする請求項6に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項8】
前記切削層の厚みh
cは、円筒旋削試験における送りf値に等しいことを特徴とする請求項6に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項9】
前記切削幅w
cは、円筒旋削試験における切刃の逃げ量a
pに等しいことを特徴とする請求項6に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【請求項10】
ステップ3)において、前記高強度高塑性快削性合金は、浴室設備、家庭用金物類、ヒートシンク、電子機器、低温管路の製造に使用されることを特徴とする請求項1に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無鉛シリコン黄銅に係り、具体的には高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法に係り、環境にやさしい無鉛黄銅合金及びその部品製造分野に属する。
【背景技術】
【0002】
黄銅は、重要な工学材料の1つとして、浴室設備、家庭用金物類、ヒートシンク、電子機器、低温管路などの様々な分野で広く利用されている。一般に、黄銅には、切削性を向上させるために1~3wt.%の鉛が添加されている。鉛単体は、合金切削加工時に軟化質点として作用することができ、黄銅のチップ切断性、耐凝着性の向上に寄与する。このため、鉛黄銅は、快削黄銅と呼ばれている。しかし、鉛黄銅は、鉛が環境や人間の健康に悪影響を及ぼすため、環境規制により次第に規制が厳しくなってきている。そこで、シリコン黄銅、黄銅ビスマス、黄銅マグネシウム、黄銅グラファイトなどの無鉛黄銅の開発が注目されている。これらの開発されている無鉛黄銅の中で、シリコン元素が世界的に豊富に存在し、環境に優しいので、シリコン黄銅は、経済的かつ環境的に実現可能な鉛黄銅の代替物であると考えられている。しかしながら、シリコン黄銅の切削性とその力学的性質との相関性は、不明である。
【0003】
シリコン黄銅のミクロ組織は、その主たる構成相がα相(面心立方)、β相(体心立方)、γ相(複雑立方)に大別される。それぞれの結晶学的特徴、サイズ及び含有量のため、シリコン黄銅の力学的特性に対する様々な相組成の効果が十分に認識されている。特に、室温では、α相は、β相よりも低いマイクロ硬度及び高い塑性を示す。このため、シリコン黄銅中のα相の含有量が増加するにつれて、硬さ及び引張強さが低下し、伸びが増加する。逆に、高温では、α相の方がβ相よりもマイクロ硬度が高い。また、γ相は、α相やβ相に比べて脆く、黄銅マトリックス中にγ相が存在すると伸びが低下する。上記の観点に基づいて、特定の高温変数を有し、他の変数を伴う複雑な極端な条件(例えば、金属切削プロセス)では、室温条件に対して異なる力学的特性をシリコン黄銅にもたらすと結論付けることができる。
【0004】
塑性黄銅の切削においては、連続する長い切屑が絡まったり巻き付いたりしやすいため、切削プロセスを円滑に行うには、チップ切断力が重要な役割を果たしている。特に、黄銅におけるα相とβ相は、黄銅のチップ形成特性に大きく影響する。例えば、β相は、黄銅加工におけるチップの破壊に有利であり、α相は、長尺な帯状チップの生成に有利である(非特許文献1)。α+β相を有する黄銅は、螺旋状のチップをもたらすが、完全なβ相を有する黄銅は、螺旋状のチップ及び管状のチップを生じやすい(非特許文献2)。α+β黄銅は、その不均一な微細構造及びα相とβ相との間の中程度のマイクロ硬度差に起因して、優れたチップ切断力を有する(非特許文献3)。これらの研究結果は、シリコン黄銅のチップ切断力を理解するための有用な指針を提供している。しかしながら、上記の研究では、微細構造解析及び静的力学的特性試験により、黄銅合金のチップ切断力をマクロなチップ形態に基づいて定性的に評価するしかない。
【0005】
しかし、異なる配合及び製造プロセスで得られたシリコン黄銅合金は、形状的に区別が難しく、例えば、低強度高塑性難切削合金、高強度低塑性難切削合金及び高強度高塑性快削性合金は、形状的に実質的に区別がないが、実用的には大きく異なる。高強度高塑性快削性合金は、極めて重要な価値を有する一方、低強度高塑性難切削合金、高強度低塑性難切削合金は、現在、実用的には未だ優れた価値を有していない。従って、高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅を定量的同定することは、重要な意味を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】J.Inst.Met.69(1940/41) 65-79
【文献】J.Mater.Process.Tech.170(2005) 441-447
【文献】Mater.Sci.Eng.A 723(2018) 296-305
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、シリコン黄銅合金のチップ切断力を単にマクロなチップ形態に基づいて定性的に評価するという従来の切削技術の不備から、高強度高塑性快削性の環境に優しい無鉛シリコン黄銅を効果的に同定することが困難であることに対し、シリコン黄銅合金のチップの幾何学的形態パラメータと切削動的力学的特性とを関連付けてチップ切断力を制御することにより、高強度高塑性快削性の無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法を確立し、高強度高塑性快削性合金を効果的に同定することである。
【0008】
金属切削は、高い非線形性の塑性変形プロセスであり、高温、高歪み速度及び瞬時性との特徴がある。この極端な動的条件下では、材料力学特性は、室温での静的力学特性とは明らかに異なる特性を有すると考えられる。従って、シリコン黄銅の切削性を調整するためには、切削条件における微細構造と動的特性との関係を確立することがより好適である。通常、動的力学的特性は、104/sまでの歪み率を有するSplit Hopkinson Pressure Bar技術を用いて測定される。更に、この技術によって測定された材料流動応力から、研究される材料の応力-歪みモデルを決定することができる。しかしながら、この操作プロセスは、比較的複雑であり、高い技術力を要し、費用対効果が低く、異なる材料に対して、対応する応力-歪みモデルを調整及び検証する必要がある。一方、Mechantの切削理論(Eng.Fract.Mech.76(2009) 2711-2730)に基づいて、加工又は切削それ自体は、材料の動的力学的特性試験の代替技術として使用することができ、ポリマー及びプラスチック金属材料の平均動的破壊塑性及び降伏強度の試験における有効性が実証されているが、シリコン黄銅合金の総合的な性能の同定には使用されていない。
【0009】
本発明は、黄銅チップの幾何学的形態パラメータと切削動的力学特性とを関連付けることによってチップ切断力を制御するものであり、具体的には、チップの幾何学的特徴量化パラメータから、切削理論定量化と組み合わせて、異なる合金成分(異なる亜鉛当量/異なるミクロ組織)のシリコン黄銅の動的降伏応力σdを算出し、合金亜鉛当量に応じて動的降伏応力σdが急激に低下する状態から、チップ切断のしやすいシリコン黄銅成分範囲を決定し、この成分範囲のシリコン黄銅が快削性、高強度及び塑性などの総合的特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下のステップを含む高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
1)準静的引張降伏応力σs及び伸びδ試験
亜鉛当量38%~49%のシリコン黄銅合金棒について準静的引張力学特性試験を行い、応力-ひずみ曲線を得て、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金について準静的引張降伏応力σs及び伸びδを決定する。
2)動的降伏応力σdの算出
亜鉛当量38%~49%のシリコン黄銅合金について切削試験を行い、チップを採取し、Mechantに基づく切削力モデルにより、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金を切削した場合の切削動的降伏応力σdを算出する。
3)シリコン黄銅合金の定量的同定
シリコン黄銅合金の亜鉛当量を横軸にとり、準静的引張降伏応力σs、伸びd、切削動的降伏応力σdを縦軸にとり、亜鉛当量に対する準静的引張降伏応力σs、伸びd、切削動的降伏応力σdの変化傾向図を作成し、前記変化傾向図に基づいてシリコン黄銅合金を、準静的引張降伏応力σsが100MPa未満、伸びdが40%超、かつ動的降伏応力σdが準静的引張降伏応力σsよりも大きい低強度高塑性難切削合金、準静的引張降伏応力σsが250MPa超、伸びδが15%未満、かつ動的降伏応力σdが準静的引張降伏応力σsよりも大きい高強度低塑性難切削合金、準静的引張降伏応力σsが100MPa~250MPa、伸びδが40%~15%、かつ動的降伏応力σdが準静的引張降伏応力σsよりも小さい高強度高塑性快削性合金の3種類に分類する。
【0011】
本発明の目的を更に実現するために、ステップ1)の異なる亜鉛当量の黄銅合金の製造方法が、Cu、Zn、Si、Al元素を、Cu:56~66wt.%、Zn:33~42wt.%、Si:0.4~1.5wt.%、Al:0.2~1.5wt.t%、及びB:0.003~0.01wt.%、Ti:0.03~0.06wt.%の質量%で配合し、かつ黄銅合金の全成分中の亜鉛当量X%が39~49%であり、ミクロ組織がα+β相であることが好ましい。
【0012】
亜鉛当量規制により相組成を設計し、式
【数1】
(ここで、X%:亜鉛当量、C
Zn:合金添加純亜鉛含有率、C
Cu:合金添加純銅含有率、ΣC
iK
i:合金でCu、Znを除く全ての合金元素の含有率C
iと亜鉛当量係数K
iとの積の総和)により亜鉛当量を算出することが好ましい。
【0013】
ステップ2)において、J.G.Williamが開発した試験スキームを用いて、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金を切削する際の切削動的降伏応力σdを算出することが好ましい。
【0014】
ステップ2)における切削試験を、切削力測定装置を備えたCNC旋盤で行い、切削サンプルを円柱棒とし、切削工具材料を市販のWC-8Co工具とし、加工パラメータとして送り速度fの値を変更し、黄銅合金の通常の切削パラメータに基づき、送り速度fの値を0.05~0.3mm/rとすることが好ましい。
【0015】
力バランス方程式
【数2】
(ここで、h
c/sinφ:せん断面の長さ、h
c:切削層の厚み、φ:シリコン黄銅サンプルのせん断角、K
b:材料の破壊靭性、w
c:切削幅、F
c:主切削力、F
t:送り抵抗)から切削動的降伏応力σ
dを決定し、
前記の力バランス方程式を
【数3】
に変換し、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφ及び(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の値を算出し、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφ及び(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の変化関係をプロットして線形フィッティングし、傾きを切削動的降伏応力σ
dとし、
シリコン黄銅サンプルのせん断角φを、式
【数4】
(ここで、γ
0:切削工具のすくい角、Λ
hは
【数5】
から決定される切削変形係数、h
ch:平均チップ厚み)に従って算出することが好ましい。
【0016】
鋸歯状チップのチップ厚みh
ch等価値は、
【数6】
(ここで、H:鋸歯状チップの最大高さ、h
s:鋸歯の高さ)を簡単化することによって取得されることが好ましい。
【0017】
前記切削層の厚みhcは、円筒旋削試験における送りf値に等しいことが好ましい。
【0018】
前記切削幅wcは、円筒旋削試験における切刃の逃げ量apに等しいことが好ましい。
【0019】
ステップ3)において、前記高強度高塑性快削性合金は、浴室設備、家庭用金物類、ヒートシンク、電子機器、低温管路の製造に使用されることが好ましい。
【0020】
本発明の動的降伏応力σ
dは、J.G.Williamが開発した試験スキームを用いて、Mechantの切削力モデル、すなわち
図2のせん断面に作用する分力に基づいて算出する。チップは、旋盤に取り付けられたチップコレクタで収集した黄銅サンプルから発生するチップである。10~20個のチップをランダムに選択して、チップ厚みh
chなどの関連するチップ幾何学的形態パラメータを測定して、最終的に平均値をとって個々のチップの特性パラメータを決定する。
【0021】
本発明のステップ3)のシリコン黄銅合金の定量的同定に係る動的降伏応力σdが低下する領域は、準静的降伏応力σsよりも小さい値である。動的降伏応力σdが低下する領域において、対応するシリコン黄銅合金は、高強度高塑性快削性などの総合的な特性を有する。切削動的降伏応力σdが材料の準静的降伏応力σs未満に低下すると、快削性合金を得るのに有利である。高強度高塑性快削性領域に対応するシリコン黄銅合金は、高強度、高塑性及び快削性などの総合的な特性を有し、該領域に対応する亜鉛当量は、優れた総合的な特性の合金成分領域である。優れた総合的な特性のシリコン黄銅合金は、浴室設備、家庭用金物類、ヒートシンク、電子機器、低温管路の製造に使用されるが、他の領域の合金の用途は、大きく制限される。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、従来技術と比較して、以下の利点及び効果を有する。
1.本発明は、金属合金チップの幾何学的形態パラメータと切削動的力学特性とを関連付けることによって、シリコン黄銅合金材料のチップ切断力を定量的に評価し、実施しやすく低コストであるなどの特徴を有し、かつ材料切削工学の動的極端な条件を考慮する従来の同定方法が応力-歪みモデルを確立する必要があるという欠点を克服した。
2.本発明は、シリコン黄銅合金の総合的な特性(高強度高塑性快削性)の定量的同定方法を確立し、新規なシリコン黄銅合金の設計の強力な参照になるシリコン黄銅合金の総合的な特性の組成設計方法を提供することができる。
3.本発明に係る切削動的降伏応力σdが材料の準静的降伏応力σs未満に低下すると、快削性のシリコン黄銅合金を得るのに有利である。この試験方法は、他の金属合金材料の快削性能と総合性能の試験にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】鋸歯状チップの幾何学的特性パラメータの特徴を示す図である。
【
図2】金属合金を切削する場合のMechant切削力モデル図である。
【
図3】実施例における切削速度v
c=90m/minの際に、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金の準静的引張降伏応力σ
s、伸びδ、切削動的降伏応力σ
dの亜鉛当量に対する変化傾向図である。
【発明を実施するための最適な形態】
【0024】
本発明をよりよく理解するために、以下、実施例及び図面とともに本発明を更に記載するが、本発明の実施形態は、これに限られない。
【0025】
[実施例]
高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法は、以下のステップを含む。
【0026】
(1)シリコン黄銅合金の作製
Cu、Zn、Si、Al元素を表1に示すA、B、C、D、Eの5つの合金番号の質量%で配合し、金属間化合物改質剤及び結晶粒微細化剤として0.005質量%のBと0.05wt.%のTiを添加し、鋳造して筒状のシリコン黄銅合金を得る。亜鉛当量規則によって相組成を設計し、亜鉛当量(X%)は、式
【数7】
により算出される。ここで、C
Znは、合金添加純亜鉛含有率であり、C
Cuは、合金添加純銅含有率であり、ΣC
iK
iは、合金中のCu、Zn以外の全ての合金元素の含有率C
iと亜鉛当量係数K
iとの積の総和(iは、合金元素の番号を表す)である。各元素のK
iは、銅合金関連マニュアルにより調べることができ、Si元素及びAl元素のK
iは、それぞれ10及び6である。
【0027】
X線回折分析により、亜鉛当量が39.2%、42.7%、45.3%、46.9%から48.4%に増加するにつれて、シリコン黄銅合金の相組成がα+βの2相から純粋なβ相に変化する全成分の亜鉛当量は、39~49%にあり、そのミクロ組織がβ相をマトリックスとし、β相マトリックスの中に粒状又は小塊状のα相が埋め込まれることが示される。
【0028】
(2)準静的引張力学特性試験
作製した亜鉛当量39.2%、42.7%、45.3%、46.9%及び48.4%のシリコン黄銅合金棒について、それぞれ、国の標準GB/T288-2002に準拠して準静的引張力学特性試験を行い、その応力-ひずみ曲線を得て、その応力-ひずみ曲線から、対応する準静的引張降伏応力σs及び伸びδが、それぞれ、66MPa及び42.1%、95MPa及び48.8%、147MPa及び29.5%、213MPa及び13.1%、257MPa及び9.5%である。表1に示すように、表1は、実施例における異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金の元素組成、相含有量、準静的引張降伏応力σs、伸びδの表である。ここで、成分データは、金属分光分析によるものであり、相組成は、XRD試験によるものである。
【0029】
【0030】
(3)切削試験
作製した亜鉛当量39.2%、42.7%、45.3%、46.9%及び48.4%のシリコン黄銅合金について、切削力測定装置(9265-A1,Kistler Group,Swizerland)を備えたCNC旋盤(CA6150i,DMTG Co.,China)にて切削試験を行い、切削サンプルがφ35×120m円柱棒である。切削工具材料は、すくい角γ0=4°、逃げ角α0=3°、傾斜角λs=0°、側切削刃角Kr=90°、刃先半径Rn=1mmなどの幾何学的特性パラメータを有する市販のWC-8Co(株洲金剛石刀具有限会社、中国)である。切削試験における切削パラメータは、切削速度vc=90m/min、送り速度f=0.1mm/r、切削深さap=0.5mmとする。旋盤に取り付けたチップコレクタで20個のチップを捕集し、亜鉛当量の異なるシリコン黄銅合金の平均チップ厚みhch、鋸歯状チップの最大高さH、鋸歯の高さhsなどのチップの幾何学的特性パラメータを走査型電子顕微鏡により測定する。表2に示すように、上記CNC旋盤、切削力測定装置、WC-8Co工具、切削パラメータを用いて、送り速度fを0.15mm/rに変えて、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金について切削試験を行い、チップを採取し、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金の平均チップ厚みhch、鋸歯状チップ最大高さH、鋸歯の高さhsなどのチップの幾何学的特性パラメータを測定し、表2に示す。表2は、実施例1~5における亜鉛当量の異なるシリコン黄銅合金の切削動的降伏応力σdの算出に必要な特性パラメータ及びその算出結果を示す。
【0031】
【0032】
(4)切削動的降伏応力の算出
Mechantの切削力モデルに基づき、Williams切削プロセス材料動的降伏応力試験方法を用いて、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金を切削する際のF
c/w
c-(F
t/w
c)tanφ及び(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の値を算出し、具体的には、以下のように算出し、必要な関連特性パラメータは、以下である。
チップの幾何学的特性に基づいて、シリコン黄銅サンプルのせん断角φは、式
【数8】
に従って算出される。ここでγ
0は、切削工具のすくい角であり、Λ
hは、
【数9】
で決定される切削変形係数であり、h
chは、チップ厚みであり、チップのトポグラフィ特性を観察することによって直接測定される。h
cは、切削層の厚みであり、円筒旋削試験における送りfの値に等しい。鋸歯状チップが発生する場合、鋸歯状チップの厚みh
chの等価値は、
【数10】
を簡単化することによって取得される。ここで、
図1に示すように、Hは、鋸歯状チップの最大高さであり、h
sは、鋸歯の高さである。以上の計算から、ある切削速度におけるある亜鉛当量のシリコン黄銅合金のせん断角φを求める。
【0033】
Mechantの切削力モデルに基づき、J.G.Williamが開発した試験スキームを用いて、シリコン黄銅を切削する際の動的降伏応力σ
dを算出する。具体的には、
図2のせん断面に作用する分力であるMechantの切削力モデルを解析し、せん断面の力バランスから方程式
【数11】
が得られる。ここで、σ
dは、動的降伏応力であり、h
c/sinφは、せん断面の長さであり、K
bは、材料の破壊靭性であり、w
cは、円筒旋削試験における切刃の逃げ量a
pに相当する切削幅であり、F
cは、主切削力であり、F
tは、送り抵抗である(B.Wang et al.Int.J.Mach.Tool.Manu.73(2013) 1-8)。更に、上記式を以下の式、即ち切削力とせん断とワークの動的力学性能との相関関係に変換する。
【数12】
各々の切削層の厚みh
cについて、切削試験により、対応するチップ厚みhch、主切削力F
c及び送り抵抗F
tを求め、対応する主切削力F
c及び送り抵抗F
tを表2に示す。これにより、更にF
c/w
c-(F
t/w
c)tanφと(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の値を算出する。最終的に、F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφと(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の変化関係をプロットして線形フィッティングして得られた直線の傾きを切削動的降伏応力σ
dとする。
【0034】
(5)高強度高塑性快削性合金の同定
図3に示すように、シリコン黄銅合金の亜鉛当量を横軸にとり、準静的引張降伏応力σ
s、伸びδ、算出した切削動的降伏応力σ
dを縦軸にとり、各性能指標の亜鉛当量に対する変化傾向図をプロットする。図から、亜鉛当量が大きくなるに従い、準静的引張降伏応力σ
sも大きくなり、伸びδが小さくなり、切削動的降伏応力σ
dが一旦小さくなった後に大きくなることがわかる。動的降伏応力σ
dの低下領域では、その値が準静的降伏応力σ
sよりも小さく、熱可塑性の不安定化や鋸歯状チップの発生に有利となり、快削性を有する。これにより、シリコン黄銅合金を、準静的引張降伏応力σ
sが100MPa未満、伸びδが40%超、かつ動的降伏応力σ
dが準静的引張降伏応力σ
sよりも大きい低強度高塑性難切削合金、準静的引張降伏応力σ
sが100MPa~250MPa、伸びδが40%~15%、かつ動的降伏応力σ
dが準静的引張降伏応力σ
sよりも小さい高強度高塑性快削性合金、準静的引張降伏応力σ
sが250MPa超、伸びδが15%未満、かつ動的降伏応力σ
dが準静的引張降伏応力σ
sよりも大きい高強度低塑性難切削合金の3種類に分類する。また、高強度高塑性快削性領域に対応するシリコン黄銅合金は、高強度、高塑性、快削性などの総合的な性能を有し、該領域に対応する亜鉛当量は、総合的に優れた合金成分領域である。他の領域の合金は、その用途が大きく制限されている。従って、高強度高塑性快削性の合金を効果的に同定することは、重要な意味を持つ。
【0035】
従来技術に比較し、本発明は、金属合金チップの幾何学的形態パラメータと切削動的力学特性とを関連付けることによってシリコン黄銅合金材料のチップ切断能力を定量的に評価し、実施しやすく低コストであるなどの特徴を有し、かつ材料切削工学の動的極端な条件を考慮する従来の同定方法が応力-歪みモデルを確立する必要があるという欠点を克服した。同時に、本発明は、高性能のシリコン黄銅合金成分設計に有利な高強度高塑性快削性の定量的同定方法を確立し、新規なシリコン黄銅合金の設計の強力な参照になる。また、本発明の切削動的降伏応力σdが材料の準静的降伏応力σs未満に低下すると、熱可塑性の不安定化や鋸歯状チップの発生に有利であり、快削性のシリコン黄銅合金が得られる。この試験方法は、他の金属合金材料の快削性能と総合性能の試験にも適用できる。
【0036】
上記実施形態は、本発明の保護範囲を制限するものではなく、当業者であれば、本発明により開示されている範囲内で、本発明の技術手段及びその発明の特許の思想に基づいて行われた均等な置換又は変更は、全て本発明の特許の保護範囲に属するものである。
【0037】
(付記)
(付記1)
以下のステップを含むことを特徴とする高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
1)準静的引張降伏応力σs及び伸びδ試験
亜鉛当量38%~49%のシリコン黄銅合金棒について準静的引張力学特性試験を行い、応力-ひずみ曲線を得て、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金について準静的引張降伏応力σs及び伸びδを決定する。
2)動的降伏応力σdの算出
亜鉛当量38%~49%のシリコン黄銅合金について切削試験を行い、チップを採取し、Mechantに基づく切削力モデルにより、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金を切削した場合の切削動的降伏応力σdを算出する。
3)シリコン黄銅合金の定量的同定
シリコン黄銅合金の亜鉛当量を横軸にとり、準静的引張降伏応力σs、伸びδ、切削動的降伏応力σdを縦軸にとり、亜鉛当量に対する準静的引張降伏応力σs、伸びδ、切削動的降伏応力σdの変化傾向図を作成し、前記変化傾向図に基づいてシリコン黄銅合金を、準静的引張降伏応力σsが100MPa未満、伸びδが40%超、かつ動的降伏応力σdが準静的引張降伏応力σsよりも大きい低強度高塑性難切削合金、準静的引張降伏応力σsが250MPa超、伸びδが15%未満、かつ動的降伏応力σdが準静的引張降伏応力σsよりも大きい高強度低塑性難切削合金、準静的引張降伏応力σsが100MPa~250MPa、伸びδが40%~15%、かつ動的降伏応力σdが準静的引張降伏応力σsよりも小さい高強度高塑性快削性合金の3種類に分類する。
【0038】
(付記2)
ステップ1)の異なる亜鉛当量の黄銅合金の製造方法が、Cu、Zn、Si、Al元素を、Cu:56~66wt.%、Zn:33~42wt.%、Si:0.4~1.5wt.%、Al:0.2~1.5wt.t%、及びB:0.003~0.01wt.%、Ti:0.03~0.06wt.%の質量%で配合し、かつ黄銅合金の全成分中の亜鉛当量X%が39~49%であり、ミクロ組織がα+β相であることを特徴とする付記1に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0039】
(付記3)
亜鉛当量規制により相組成を設計し、式
【数13】
(ここで、X%:亜鉛当量、C
Zn:合金添加純亜鉛含有率、C
Cu:合金添加純銅含有率、ΣC
iK
i:合金でCu、Znを除く全ての合金元素の含有率C
iと亜鉛当量係数K
iとの積の総和)により亜鉛当量を算出することを特徴とする付記2に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0040】
(付記4)
ステップ2)において、J.G.Williamが開発した試験スキームを用いて、異なる亜鉛当量のシリコン黄銅合金を切削する際の切削動的降伏応力σ
dを算出し、具体的には、
せん断面の力バランスから方程式
【数14】
(ここで、σ
d:動的降伏応力、h
c/sinφ:せん断面の長さ、K
b:材料の破壊靭性、w
c:円筒旋削試験における切刃の逃げ量a
pに相当する切削幅、F
c:主切削力、F
t:送り抵抗)が得られ、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφと(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の変化関係を直線でフィッティングして得られた直線の傾きを切削動的降伏応力σ
dとすることを含むことを特徴とする付記1に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0041】
(付記5)
ステップ2)における切削試験を、切削力測定装置を備えたCNC旋盤で行い、切削サンプルを円柱棒とし、切削工具材料を市販のWC-8Co工具とし、加工パラメータとして送り速度fの値を変更し、黄銅合金の通常の切削パラメータに基づき、送り速度fの値を0.05~0.3mm/rとすることを特徴とする付記4に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0042】
(付記6)
力バランス方程式
【数15】
(ここで、h
c/sinφ:せん断面の長さ、h
c:切削層の厚み、φ:シリコン黄銅サンプルのせん断角、K
b:材料の破壊靭性、w
c:切削幅、F
c:主切削力、F
t:送り抵抗)から切削動的降伏応力σ
dを決定し、
前記の力バランス方程式を、
【数16】
に変換し、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφ及び(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の値を算出し、
F
c/w
c-(F
t/w
c)tanφ及び(h
c/2)(tanφ+1/tanφ)の変化関係をプロットして線形フィッティングし、傾きを切削動的降伏応力σ
dとし、
シリコン黄銅サンプルのせん断角φを、式
【数17】
(ここで、γ
0:切削工具のすくい角、Λ
hは、
【数18】
から決定される切削変形係数、h
ch:平均チップ厚み)に従って算出することを特徴とする付記5に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0043】
(付記7)
鋸歯状チップのチップ厚みhch等価値は、hch=H-(hs/2)(ここで、H:鋸歯状チップの最大高さ、hs:鋸歯の高さ)を簡単化することによって取得されることを特徴とする付記6に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0044】
(付記8)
前記切削層の厚みhcは、円筒旋削試験における送りf値に等しいことを特徴とする付記6に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0045】
(付記9)
前記切削幅wcは、円筒旋削試験における切刃の逃げ量apに等しいことを特徴とする付記6に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。
【0046】
(付記10)
ステップ3)において、前記高強度高塑性快削性合金は、浴室設備、家庭用金物類、ヒートシンク、電子機器、低温管路の製造に使用されることを特徴とする付記1に記載の高強度・高塑性・快削性を有し環境に優しい無鉛シリコン黄銅の定量的同定方法。