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特許7076071リール制御システム、リール制御回路、リール制御方法、及びリール制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】リール制御システム、リール制御回路、リール制御方法、及びリール制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
A63F5/04 614B
A63F5/04 652
A63F5/04 611A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019107988
(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公開番号】P2020199076
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-06-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】笹井 正行
【審査官】岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-296108(JP,A)
【文献】特開2016-054863(JP,A)
【文献】特開2014-090731(JP,A)
【文献】特開2007-195646(JP,A)
【文献】特開2002-165926(JP,A)
【文献】特開2015-039537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に複数種類の図柄が配列されたリールを有する遊技機を制御する主制御回路と、前記リールの回転を制御するリール制御回路とを備えるリール制御システムであって、
前記主制御回路は、
所定の停止信号の入力に応じて動作するモータの動力により回転する前記リールの回転を停止させる停止操作を受け付ける受付部と、
前記停止操作を受け付けたとき、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に停止させる図柄を選択する選択部と、
前記選択部により選択された選択図柄を識別する図柄識別情報と停止命令とを前記リール制御回路に出力する出力部と、
を備え、
前記リール制御回路は、
回転開始信号を前記モータに出力することにより、前記リールを回転させる回転部と、
前記図柄識別情報と前記停止命令とに応じて、前記選択図柄を前記表示領域に停止させる停止部と、
前記リールを回転させているとき、前記リールの回転位置を前記主制御回路に通知するとともに、所定の条件を満たすとエラーを通知するための情報を出力する通知部と、を備え、
前記主制御回路は、前記通知部から通知された前記リールの回転位置を前記リール制御回路から取得する取得部を備え、
前記停止部は、前記停止操作を受け付けた後前記リールが停止するまでの時間としての所定のタイミングで前記表示領域に選択した図柄が停止するために、前記リールに配列された図柄を識別するための情報及び/又は前記停止信号の発生タイミングを前記リールの回転を停止させるための所定の制御の情報に基づいて算出し、
前記停止部は、前記取得部が取得した前記リールの回転位置に応じて、特定の前記図柄を前記表示領域に停止させるための前記停止信号を前記算出された前記発生タイミングにおいて発生し、
前記通知部は、入力された回転位置検出情報に基づいて前記モータや前記リールの回転位置を検出し、現在の前記回転位置から前記特定の前記図柄でリールを停止させるまでの時間が規定の時間以内かどうかを演算し、前記図柄識別情報と前記停止命令とが入力されたとき、前記規定の時間以内に前記図柄が視認可能な前記表示領域に停止できない前記図柄が前記特定の前記図柄として指定されていた場合、前記リール制御回路を実行させるプログラム又は前記リール制御回路の回路構成にエラーがあることを示すインデックスエラーの情報を返すことにより、前記主制御回路にエラーを通知するための情報を出力する
ことを特徴とするリール制御システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記取得部が取得した前記リールの回転位置に応じて、前記所定のタイミングで前記表示領域に停止可能な前記図柄を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のリール制御システム。
【請求項3】
前記主制御回路において、
前記選択部は、
リールを特定のパターンで回転させる演出を選択し、
前記出力部は、
前記選択した選択演出を識別する演出識別情報を前記リール制御回路に出力し、
前記リール制御回路は、
前記演出を前記リールに表現させる演出制御情報を記憶する記憶部を備え、
前記回転部は、
前記主制御回路から入力された演出識別情報に対応する演出制御情報に応じて、前記リールの回転を制御する演出制御信号を前記モータに出力することにより、前記選択演出を前記リールに表現させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリール制御システム。
【請求項4】
前記主制御回路において、
前記出力部は、
前記演出を前記リールに表現させる演出制御情報を前記リール制御回路に出力し、
前記リール制御回路において、
前記記憶部は、
前記主制御回路から入力された演出制御情報を記憶し、
前記回転部は、
前記主制御回路から入力された演出識別情報が前記主制御回路から入力された演出制御情報に対応するとき、前記主制御回路から入力された演出制御情報に応じて、前記演出制御信号を前記モータに出力することにより、前記選択演出を前記リールに表現させる
ことを特徴とする請求項3に記載のリール制御システム。
【請求項5】
前記停止部が用いる前記図柄識別情報は、前記リールの回転位置を検出する基準となる情報としてのインデックスの情報、前記リールに配列された前記図柄の数の情報、前記リールが1回転する間の前記演出制御信号の変化の情報、前記リールの回転を停止させるための制御に関する情報、前記リールを回転させるための制御に関する情報、のうちの少なくとも何れか一つを備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のリール制御システム。
【請求項6】
周方向に複数種類の図柄が配列された、所定の回転開始信号の入力に応じて動作するモータの動力により回転するリールを、前記回転開始信号を前記モータに出力することにより回転させる回転部と、
前記リールを有する遊技機を制御する主制御回路から、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に、指定された停止期間内に停止可能な選択図柄を識別する図柄識別情報と、前記リールの停止命令とを取得し、前記図柄識別情報と前記停止命令とに応じて、前記選択図柄を前記表示領域に停止させる停止部と、
前記リールを回転させているとき、前記リールの回転位置を前記主制御回路に通知するとともに、所定の条件を満たすとエラーを通知するための情報を出力する通知部と、
前記通知部から通知された前記リールの回転位置を前記主制御回路に取得させる取得部と、
を備え、
前記停止部は、停止操作を受け付けた後前記リールが停止するまでの時間としての所定のタイミングで前記表示領域に選択した図柄が停止するために、前記リールに配列された図柄を識別するための情報及び/又は停止信号の発生タイミングを前記リールの回転を停止させるための所定の制御の情報に基づいて算出し、
前記停止部は、前記取得部が取得した前記リールの回転位置に応じて、特定の前記図柄を前記表示領域に停止させるための、前記停止信号を前記算出された前記発生タイミングにおいて発生し、
前記取得部が取得した前記リールの回転位置に応じて、前記所定のタイミングで前記表示領域に停止可能な前記図柄を選択する選択部を備え、
前記通知部は、入力された回転位置検出情報に基づいて前記モータや前記リールの回転位置を検出し、現在の前記回転位置から前記特定の前記図柄でリールを停止させるまでの時間が規定の時間以内かどうかを演算し、前記図柄識別情報と前記停止命令とが入力されたとき、前記規定の時間以内に前記図柄が視認可能な前記表示領域に停止できない前記図柄が前記特定の前記図柄として指定されていた場合、リール制御回路を実行させるプログラム又は前記リール制御回路の回路構成にエラーがあることを示すインデックスエラーの情報を返すことにより、前記主制御回路にエラーを通知するための情報を出力する
ことを特徴とするリール制御回路。
【請求項7】
リール制御回路により実行されるリール制御方法であって、
周方向に複数種類の図柄が配列、所定の回転開始信号の入力に応じて動作するモータの動力により回転するリールを、前記回転開始信号を前記モータに出力することにより回転させ、
前記リールを有する遊技機を制御する主制御回路から、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に、指定された停止期間内に停止可能な選択図柄を識別する図柄識別情報と、前記リールの停止命令とを取得し、前記図柄識別情報と前記停止命令とに応じて、前記選択図柄を前記表示領域に停止させ
前記リールを回転させているとき、前記リールの回転位置を前記主制御回路に通知し、
通知された前記リールの回転位置を前記リール制御回路から前記主制御回路に取得させ、
停止操作を受け付けた後前記リールが停止するまでの時間としての所定のタイミングで前記表示領域に選択した図柄が停止するために、前記リールに配列された図柄を識別するための情報及び/又は停止信号の発生タイミングを前記リールの回転を停止させるための所定の制御の情報に基づいて算出し、
取得した前記リールの回転位置に応じて、特定の前記図柄を前記表示領域に停止させるための、前記停止信号を前記算出された前記発生タイミングにおいて発生し、
取得した前記リールの回転位置に応じて、前記所定のタイミングで前記表示領域に停止可能な前記図柄を選択し、
入力された回転位置検出情報に基づいて前記モータや前記リールの回転位置を検出し、現在の前記回転位置から前記特定の前記図柄でリールを停止させるまでの時間が規定の時間以内かどうかを演算し、前記図柄識別情報と前記停止命令とが入力されたとき、前記規定の時間以内に前記図柄が視認可能な前記表示領域に停止できない前記図柄が前記特定の前記図柄として指定されていた場合、前記リール制御回路を実行させるプログラム又は前記リール制御回路の回路構成にエラーがあることを示すインデックスエラーの情報を返すことにより、前記主制御回路にエラーを通知するための情報を出力する
ことを特徴とするリール制御方法。
【請求項8】
リール制御回路のプロセッサに実行させるリール制御プログラムであって、
周方向に複数種類の図柄が配列された、所定の回転開始信号の入力に応じて動作するモータの動力により回転するリールを、前記回転開始信号を前記モータに出力することにより回転させ、
前記リールを有する遊技機を制御する主制御回路から、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に、指定された停止期間内に停止可能な選択図柄を識別する図柄識別情報と、前記リールの停止命令とを取得し、前記図柄識別情報と前記停止命令とに応じて、前記選択図柄を前記表示領域に停止させ、
前記リールを回転させているとき、前記リールの回転位置を前記主制御回路に通知し、
通知された前記リールの回転位置を前記リール制御回路から前記主制御回路に取得させ、
停止操作を受け付けた後前記リールが停止するまでの時間としての所定のタイミングで前記表示領域に選択した図柄が停止するために、前記リールに配列された図柄を識別するための情報及び/又は停止信号の発生タイミングを前記リールの回転を停止させるための所定の制御の情報に基づいて算出し、
取得した前記リールの回転位置に応じて、特定の前記図柄を前記表示領域に停止させるための、前記停止信号を前記算出された前記発生タイミングにおいて発生し、
取得した前記リールの回転位置に応じて、前記所定のタイミングで前記表示領域に停止可能な前記図柄を選択し、
入力された回転位置検出情報に基づいて前記モータや前記リールの回転位置を検出し、現在の前記回転位置から前記特定の前記図柄でリールを停止させるまでの時間が規定の時間以内かどうかを演算し、前記図柄識別情報と前記停止命令とが入力されたとき、前記規定の時間以内に前記図柄が視認可能な前記表示領域に停止できない前記図柄が前記特定の前記図柄として指定されていた場合、前記リール制御プログラム又は前記リール制御回路の回路構成にエラーがあることを示すインデックスエラーの情報を返すことにより、前記主制御回路にエラーを通知するための情報を出力する
処理を前記リール制御回路のプロセッサに実行させることを特徴とするリール制御プログラム。
【請求項9】
周方向に複数種類の図柄が配列されたリールを有する遊技機を制御する主制御回路と、前記リールの回転を制御するリール制御回路とを備えるリール制御システムであって、
前記主制御回路は、
所定の停止信号の入力に応じて動作するステッピングモータの動力により回転する前記リールの回転を停止させる停止操作を受け付ける受付部と、
前記停止操作を受け付けたとき、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に停止させる図柄を選択する選択部と、
前記選択部により選択された選択図柄を識別する図柄識別情報と停止命令と、前記遊技機で使用するリールの励磁識別子とを前記リール制御回路に出力する出力部と、
を備え、
前記リール制御回路は、
リールを停止するときに前記ステッピングモータに入力する励磁信号の、リールの特性に応じた励磁時間を、複数の遊技機メーカの使用するリールについて、各リールの前記励磁識別子に関連付けてそれぞれ記憶する記憶部と、
回転開始信号を前記ステッピングモータに出力することにより、前記リールを回転させる回転部と、
前記図柄識別情報と前記停止命令と前記主制御回路から入力された前記励磁識別子に対応する前記励磁時間とに応じて、前記ステッピングモータに励磁信号を入力して前記リールを停止し、前記選択図柄を前記表示領域に停止させる停止部と、
入力された回転位置検出情報に基づいて前記ステッピングモータや前記リールの回転位置を検出し、現在の前記回転位置から特定の前記選択図柄でリールを停止させるまでの時間が規定の時間以内かどうかを演算し、前記図柄識別情報と前記停止命令とが入力されたとき、前記規定の時間以内に前記図柄が視認可能な前記表示領域に停止できない前記図柄が前記特定の前記選択図柄として指定されていた場合、前記リール制御回路を実行させるプログラム又は前記リール制御回路の回路構成にエラーがあることを示すインデックスエラーの情報を返すことにより、前記主制御回路にエラーを通知するための情報を出力する通知部と、
を備えることを特徴とするリール制御システム。
【請求項10】
周方向に複数種類の図柄が配列されたリールを有する遊技機を制御する主制御回路と、
前記リールの回転を制御するリール制御回路とを備えるリール制御システムであって、
前記主制御回路は、
所定の停止信号の入力に応じて動作するモータの動力により回転する前記リールの回転を停止させる停止操作を受け付ける受付部と、
前記停止操作を受け付けたとき、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に停止させる図柄を選択する選択部と、
前記選択部により選択された選択図柄を識別する図柄識別情報と停止命令とを前記リール制御回路に出力する出力部と、
を備え、
前記リール制御回路は、
回転開始信号を前記モータに出力することにより、前記リールを回転させる回転部と、
前記図柄識別情報と前記停止命令とに応じて、前記選択図柄を前記表示領域に停止させる停止部と、
入力された回転位置検出情報に基づいて前記モータや前記リールの回転位置を検出し、現在の前記回転位置から特定の前記選択図柄でリールを停止させるまでの時間が規定の時間以内かどうかを演算し、前記図柄識別情報と前記停止命令とが入力されたとき、前記規定の時間以内に前記図柄が視認可能な前記表示領域に停止できない前記図柄が前記特定の前記選択図柄として指定されていた場合、前記リール制御回路を実行させるプログラム又は前記リール制御回路の回路構成にエラーがあることを示すインデックスエラーの情報を返すことにより、前記主制御回路にエラーを通知するための情報を出力する通知部と、
を備えることを特徴とするリール制御システム。
【請求項11】
周方向に複数種類の図柄が配列されたリールを有する遊技機を制御する主制御回路と、前記リールの回転を制御するリール制御回路とを備えるリール制御システムであって、
前記主制御回路は、
ステッピングモータの動力により回転する前記リールの回転を、停止信号の入力に応じて停止させる停止操作を受け付ける受付部と、
前記停止操作を受け付けたとき、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に停止させる図柄を選択する選択部と、前記選択部により選択された選択図柄を識別する図柄識別情報と停止命令と、前記遊技機で使用するリールの励磁識別子とを前記リール制御回路に出力する出力部と、
を備え、
前記リール制御回路は、
複数の遊技機メーカの使用するリールについて、リールを停止するときに前記ステッピングモータに入力する励磁信号の、リールの特性に応じた励磁時間を、各リールの前記励磁識別子に関連付けてそれぞれ記憶する記憶部と、
回転開始信号を前記ステッピングモータに出力することにより、前記リールを回転させる回転部と、
前記図柄識別情報と前記停止命令と前記主制御回路から入力された前記励磁識別子に対応する前記励磁時間とに応じて、前記ステッピングモータに励磁信号を入力して前記リールを停止し、前記選択図柄を前記表示領域に停止させる停止部と、
を備えることを特徴とするリール制御システム。
【請求項12】
周方向に複数種類の図柄が配列されたリールを有する遊技機を制御する主制御回路と、前記リールの回転を制御するリール制御回路とを備えるリール制御システムであって、
前記主制御回路は、
モータの動力により回転する前記リールの回転を、停止信号の入力に応じて停止させる停止操作を受け付ける受付部と、
前記停止操作を受け付けたとき、前記遊技機において図柄が視認可能な表示領域に停止させる図柄を選択する選択部と、
前記選択部により選択された選択図柄を識別する図柄識別情報と停止命令とを前記リール制御回路に出力する出力部と、
を備え、
前記リール制御回路は、
回転開始信号を前記モータに出力することにより、前記リールを回転させる回転部と、
前記図柄識別情報と前記停止命令とに応じて、前記選択図柄を前記表示領域に停止させ
る停止部と、
前記リール制御システムを製造する工程において、前記図柄識別情報と前記停止命令とが入力されたとき、規定の時間以内に図柄が視認可能な前記表示領域に停止できない図柄が指定されていた場合、前記主制御回路にエラーを通知する通知部と、
を備えることを特徴とするリール制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等を構成する回転式のリールの回転や停止を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン(回胴式遊技機)やパチスロ(パチンコ型スロットマシン)に代表される、回転式のリール(回胴)を有する各種の遊技機(以下単に「各種遊技機」と記載する。)は、リールを停止状態から回転させる制御や、回転状態から停止させる制御が必要となる。このため、各種遊技機には、リールを回転させる制御や停止させる制御を行うための構成が設けられる。
【0003】
従来、各種遊技機の主たる動作等を制御する構成としての、主基板(以下単に「主基板」と称する。)に設けられた制御回路は、リールの加速制御、リールの停止制御、及び停止図柄の選択制御などを含む各種のリール制御を実行している。
【0004】
主基板の制御回路は、例えば、遊技機に設けられたスタートレバーが遊技者によって操作されたとき、リールを回転させるステッピングモータにパルス信号を入力する。これにより、主基板の制御回路は、リールを加速しながら回転させて、リールを定常回転の状態にする。
【0005】
また、主基板の制御回路は、リールの停止処理に備えて、リールの回転位置を把握する。主基板の制御回路は、遊技機に設けられた、リールを停止させるストップボタンが遊技者によって押されたとき、リールの回転位置に応じて190ms以内(法定の許容停止時間)に表示領域に停止可能な図柄を選択する。そして、主基板の制御回路は、ステッピングモータにパルス信号を入力し、選択した図柄を表示領域に停止させる。
【0006】
関連する技術として、例えば、制御回路を構成する副制御回路72は、制御回路を構成する主制御回路71を構成する基板とは異なる基板上に構成されたものが知られている。そして、副制御回路72に含まれるマイクロコンピュータ80が、メインリールとは別に設けられている演出用のサブリール21L,21C,21Rを回転させるステッピングモータ114L,114C,114Rの動作を制御することが記載されている。さらに、副制御回路72は、主制御回路71から各種命令を受信し、受信した命令に応じてサブリール21L,21C,21Rを回転制御した演出を実行するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0007】
また、例えば、制御回路を構成するメイン制御基板61から入力されるコマンドに応じて、制御回路を構成するサブ制御基板62がメインリールの回転を制御するものが知られている(例えば、特許文献2)。
【0008】
また、例えば、制御回路を構成する副制御回路72が、制御回路を構成する主制御回路71からの制御信号に基づいて4thリール表示装置102の表示制御を行うものが知られている(例えば、特許文献3)。
【0009】
また、例えば、制御回路を構成する主制御回路100に含まれるCPU106は、制御回路を構成するリール制御回路152に対してリール26L、26C、26Rそれぞれを駆動すべき旨の信号を送信するものが知られている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2016-105969号公報
【文献】特開2008-80156号公報
【文献】特開2008-132253号公報
【文献】特開2004-275421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、遊技機のリールは、停止命令の入力からリールが停止するまでの時間が法定の非常な短時間に規定されていることもあり、複雑かつ制約の多い回転制御を強いられる。すなわち、リールの回転制御としての加速制御、停止制御、及び停止図柄の選択制御などは、制御回路の回路構成やプログラムを複雑化させる。そして、上記特許文献1乃至4に記載の発明は、遊技全体の制御やリール制御全体(たとえば、リールの回転開始命令、どの図柄で止める旨の停止命令等)に上述のリールの回転制御が加わる。そのため、上記特許文献1乃至4に記載の発明は、制御回路やリール制御プログラムを複雑なものとして作成しなければならず、開発や製造や運用時の修理等を煩雑になるという問題がある。
【0012】
本発明は、一側面として、このような問題に鑑みてなされたものであり、遊技機全体の制御やリール全体の制御のための回路構成やプログラムを簡素化し、製造や運用時の修理等を簡易に行えるリール制御システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書で開示するリール制御システムのひとつに、方向に複数種類の図柄が配列されたリールを有する遊技機を制御する主制御回路と、リールの回転を制御するリール制御回路とを備えるリール制御システムがある。主制御回路の受付部は、所定の停止信号の入力に応じて動作するモータの動力により回転するリールの回転を停止させる停止操作を受け付ける。主制御回路の選択部は、停止操作を受け付けたとき、遊技機において図柄が視認可能な表示領域において停止させる図柄を選択する。また、主制御回路の出力部は、選択した図柄としての選択図柄を識別する図柄識別情報と停止命令とをリール制御回路に出力する。リール制御回路の回転部は、回転開始信号をモータに出力することにより、リールを回転させる。リール制御回路の停止部は、図柄識別情報と停止命令とに応じて、選択図柄を表示領域に停止させる。
【発明の効果】
【0014】
1実施態様によれば、遊技機全体の制御やリール全体の制御のための回路構成やプログラムを簡素化し、製造や運用時の修理等を簡易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この実施の形態1に係る遊技機及びリール制御システムのブロック図及び概念図である。
図2】この実施の形態1の周回制御回路の機能ブロック図である。
図3】この実施の形態1の遊技機における周回制御回路の処理の概要を模式的に示す図である。
図4】この実施の形態2に係る遊技機及びリール制御システムの第1の変形例のブロック図及び概念図である。
図5】この実施の形態2に係る遊技機及びリール制御システムの第2の変形例のブロック図及び概念図である。
図6】この実施の形態2に係る遊技機及びリール制御システムの第3の変形例のブロック図及び概念図である。
図7】この実施の形態2に係る遊技機及びリール制御システムの第4の変形例のブロック図及び概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[発明の実施の形態1]
図1乃至図3はこの実施の形態1に係る遊技機及びリール制御システムを示す。
【0017】
[遊技機及びリール制御システムの構成]
まず、この実施の形態1の遊技機及びリール制御システム及び構成について説明する。
【0018】
図1に示す、この実施の形態1の遊技機及びリール制御システムのブロック図及び概念図である。
【0019】
同図に示す、この実施の形態1の遊技機1Aは、いわゆるパチスロ機やスロットマシン等、リールが設けられた遊技用の機器である。
【0020】
遊技機1Aには、複数たとえば3台のモータ3a,3b,3cと、複数たとえば3台のリール4a,4b,4cと、リール制御システム6とが設けられている。
【0021】
リール制御システム6は、遊技機1Aに配設された1の基板5上に設けられている。リール制御システム6は、主制御回路1と、周回制御回路2を備えている。周回制御回路2は、リール制御回路の一例である。
【0022】
この実施の形態1の主制御回路1も周回制御回路2も、主にハードウェアによって構成されている。しかし、主制御回路1や周回制御回路2のうちの少なくとも一部が、プログラム等のソフトウェアが実行されることで形成される機能手段として構成されていてもよい。
【0023】
主制御回路1は、CPU等、各種プログラムの実行等によって演算処理を行い、遊技機1A全体の制御やリール4a,4b,4cの制御を行う。リール4a,4b,4cの制御には、回転開始命令、停止命令、及び図柄番号の指定などのコマンドを周回制御回路2に送る制御などがある。
【0024】
周回制御回路2は、LSI(大規模集積回路)等の演算機能を備え、その一部又は全部がプロセッサとして機能するように構成されている。周回制御回路2は、各種プログラムの実行やハードウェアロジック等によって演算処理を行い、リール4a,4b,4cの回転制御を行う。
【0025】
周回制御回路2は、リール制御プログラムを記憶する。リール制御プログラムは、例えば、リール4a,4b,4cの加速制御や停止制御などを含む。そして、リール制御回路2は、主制御回路1から入力される、リールの回転開始命令と、リールの停止命令と、図柄番号とに応じてモータ3に駆動信号を出力し、リールの回転を制御する。
【0026】
なお、リール4a,4b,4cの加速制御とは、リール4a,4b,4cを駆動させるモータ3a,3b,3cのそれぞれに各層を順次励磁する駆動パルスを供給することにより、リール4a,4b,4cの回転速度を所定の速度にする制御をいう。所定の速度とは、例えば、定常回転の回転速度のことである。
【0027】
リール4a,4b,4cの停止制御とは、回転中のリール4a,4b,4cを駆動させるモータ3a,3b,3cのそれぞれに全相を励磁する停止パルスを供給することにより、リール4a,4b,4cの回転を停止させる制御をいう。
【0028】
周回制御回路2は、主制御回路1から供給された図柄番号に基づいて、リール4a,4b,4cを、指定された図柄番号の図柄を遊技機1A正面の表示領域(図示せず)に停止させる。これにより、指定された図柄番号の図柄は表示領域(図示せず)から遊技機1Aの正面側の外部に露出し、遊技者(図示せず)がこの図柄を視認できるようになる。
【0029】
モータ3a,3b,3cは、駆動信号の供給を受けて回転し、リール4a,4b,4cを回転させる。
【0030】
この実施の形態1のモータ3a,3b,3cは複数相たとえば4相のステッピングモータであり、周回制御回路2から供給されたパルス信号を用いて回転する。すなわち、モータ3a,3b,3cは、パルス信号の入力数や入力タイミングによって回転数や回転速度が変化する。そして、モータ3a,3b,3cは、停止用のパルス信号、例えば、全相を励磁する停止パルスにより回転が停止する。
【0031】
複数のモータ3a,3b,3cは、周回制御回路2の制御により、リール4a,4b,4cを別個に回転させる。ただし、遊技機1Aの遊技を適切に行わせるためには、モータ3a,3b,3cの駆動、およびリール4a,4b,4cの回転は、周回制御回路2の制御により、相互に関連する動作を行い得るように構成されることが望ましい。
【0032】
なお、モータ3a,3b,3cはステッピングモータ以外のモータによって構成されてもよい。たとえば、モータ3a,3b,3cがステッピングモータ以外の直流モータや交流モータとして構成されていてもよい。この場合、回転数や回転速度の変化、あるいは停止は、モータ3a,3b,3cに供給される電流の量や通電時間等によって制御される。
【0033】
リール4a,4b,4cは、軸(図示せず)を中心に回転する円筒形の部材であり、周方向に複数種類の図柄(例えば20図柄や21図柄)が配列されている。リール4a,4b,4cはモータ3a,3b,3cの駆動によってそれぞれ別個に回転する。リール4a,4b,4cは遊技機1Aの内部に設けられ、正面に設けられた表示領域(図示せず)から周方向の図柄が外部に表出するように配設されている。
【0034】
以下の説明では、モータ3a,3b,3cの動力で回転駆動される、リール4a,4b,4cを有する遊技機1Aを一例として説明する。なお、遊技機が有するリールの数及びモータの数は、それぞれ1以上であればよい。
【0035】
また、以下、この実施の形態1では、リール制御システム6を構成する主制御回路1と周回制御回路2とは1の基板上に設けられる。しかし、これに限定されず、リール制御システム6を構成する主制御回路1と周回制御回路2とは異なる別個の基板(図示せず)上に構成されてもよい。
【0036】
[主制御回路の構成]
図1に示すとおり、主制御回路1は、機能ブロックとして、受付部11、取得部12、選択部13、出力部14を備えている。これらの機能ブロック11~14は、ハードウェアによって構成されて相互に信号やデータの送受信可能な状態にバス接続されている。ただし、これらの機能ブロック11~14の一部又は全部がソフトウェアによる機能手段として実現されてもよい。
【0037】
受付部11は、リール4a,4b,4cの回転を停止させる停止操作を受け付ける。この停止操作は、例えば、遊技機1Aを使用する遊技者(図示せず)がリール4a,4b,4cの回転中にリールの回転を停止させる停止命令を出すために押す停止ボタン(図示せず)が押されることで行われる。
【0038】
取得部12は、回転中のリール4a,4b,4cの回転位置(リール4a,4b,4cの基準位置(後述の「インデックス」)の回転位置の情報や、どの図柄が遊技機1Aの表面側に位置しているか等の情報)の情報を周回制御回路2から取得する。この、周回制御回路2から主制御回路1に送られて取得部12が取得する情報については後述する。
【0039】
選択部13は、受付部11が停止操作を受け付けた際に、リール4a,4b,4cに配設された図柄のうち、遊技機1Aの遊技者(図示せず)が視認可能な表示領域において停止可能な図柄を選択する処理を行う。
【0040】
出力部14は、選択部13において選択された図柄である選択図柄を識別する図柄識別情報と、選択図柄を遊技機1Aの遊技者(図示せず)が視認可能な表示領域において停止させる停止命令とを出力する。
【0041】
[周回制御回路の構成]
図2は、この実施の形態1の周回制御回路2の機能ブロック図である。この図において、それぞれの機能ブロックはハードウェアによって構成されている。ただし、機能ブロックの一部又は全部がソフトウェアによる機能手段として実現されてもよい。
【0042】
図2に示す周回制御回路2は、設定レジスタ21、コマンド解析部22、回転制御部23、励磁信号生成部24、励磁制御用クロック生成部25、演出制御部26、インデックスタイプ変換部27を備えている。設定レジスタ21は、記憶部の一例である。回転制御部23は、回転部の一例である。
【0043】
また、図2に示す周回制御回路2は、回転位置・インデックスエラー検出部28、停止信号発生位置検出部29、制動位置比較部30、開始励磁相算出部31、定常回転制御部32を備えている。回転位置・インデックスエラー検出部28は、通知部の一例である。停止信号発生位置検出部29は、停止部の一例である。
【0044】
周回制御回路2においては、上述の構成21~32がバス接続されて信号やデータが相互に交信可能となっている。
【0045】
設定レジスタ21は、記憶媒体であって、リール動作制御に必要な各種のデータ等が記録される。設定レジスタ21に記録されるデータとしては、遊技機1Aのメーカ毎の設定や、機種毎の設定等のデータが考えられる。また、設定レジスタ21に記録されるデータには、後述する「図柄識別情報」が含まれることが考えられる。また、設定レジスタ21に記録される情報としては、後述する「演出制御情報」が含まれることが考えられる。
【0046】
コマンド解析部22は、主制御回路1から入力されたコマンド(例えば、それぞれのリール4a,4b,4cの停止させる図柄番号の命令など)を解析する。コマンド解析部22が解析したコマンドは、回転制御部23や演出制御部26における制御や、停止信号発生位置検出部29における算出に用いられる。
【0047】
回転制御部23は、コマンド解析部22が解析したコマンドを用いて、モータ3a,3b,3cそれぞれの回転制御を行う。回転制御部23は、データテーブル(図示せず)に記録されたモータ3a,3b,3cの加速データ及び加速時間、ならびに回転位置情報(ステップ数などの情報)等を用いてモータ3a,3b,3cの回転速度を算出する。
【0048】
励磁信号生成部24は、回転制御部23から出力された制御信号等に基づいてモータ3a,3b,3cのそれぞれに励磁信号を送信する。
【0049】
励磁制御用クロック生成部25は、システムクロック(図示せず)等から入力されたクロック信号に基づいて励磁制御用クロックを生成する。
【0050】
演出制御部26には、それぞれのリール4a,4b,4cの回転の演出に関する情報(例えば、特定のモードにおいてリール4a,4b,4cの回転速度を定常回転から変化させる演出など)が記録されている。また、演出制御部26は、コマンド解析部22が解析したコマンドを用いて、各種の演出を制御する。具体的には、演出制御部26は、コマンド解析部22が解析したコマンドにより、記録された演出の情報の中から特定の演出(例えばデフォルトの演出や選択された特定の演出)を行うための信号を回転制御部23に送る。
【0051】
インデックスタイプ変換部27には、インデックスタイプの識別子と、インデックス信号から検出信号への変換方法と、を関連付けたタイプ情報を記録している。インデックス信号とは、例えば、リールの取り付け台の所定の位置に設置されたインデックスセンサが、各リールのリールフレームに設けられた遮光片の通過を検出したときに出力する信号である。また、検出信号(変換されたインデックス)とは、インデックス信号をインデックスタイプに応じて変換することにより得られる、リールが基準位置を通過したことを示す信号である。インデックスタイプとは、例えば、インデックス信号を検出信号に変換する変換の方法の種別のことである。
【0052】
インデックスタイプ変換部27は、例えば、主制御回路1からインデックスタイプの識別子が入力されると、タイプ情報を参照する。そして、インデックスタイプ変換部27は、入力されたインデックスタイプの識別子に関連付けられている変換方法に応じて、インデックス信号を検出信号に変換する。また、インデックスタイプ変換部27は、回転位置・インデックスエラー検出部28に検出信号を出力する。
【0053】
インデックスタイプには、例えば、インデックス信号の立ち上がりに応じて、リールが基準位置を通過したことを検出する第1タイプがある。また、インデックスタイプには、例えば、インデックス信号の立ち下がりに応じて、リールが基準位置を通過したことを検出する第2タイプがある。さらに、インデックスタイプには、半月形状の遮光板を用いる半月タイプがある。半月タイプにおいて、インデックスセンサは、リールの回転に応じて、光の透過状態から遮光状態への変化の第1検出と、光の遮光状態から透過状態への変化の第2検出との2種類の検出をする。そして、半月タイプでは、第1検出に対応する第1インデックス信号と、第2検出に対応する第2インデックス信号とを用いて、リールが基準位置を通過したことを検出する。
【0054】
回転位置・インデックスエラー検出部28は、インデックスタイプ変換部27から入力された検出信号と、励磁信号生成部24の生成した励磁信号とを取得して、モータ3a,3b,3cの回転位置を検出する。そして、回転位置・インデックスエラー検出部28は、個々のリール4a,4b,4cの回転位置を示す回転位置情報を主制御回路1に出力する。また、回転位置・インデックスエラー検出部28は、制御回路1から図柄番号を指定された停止命令が入力されたとき、規定の時間以内に表示領域の指定の範囲内に停止できない図柄が指定されていた場合、エラーを主制御回路1に返す。
【0055】
停止信号発生位置検出部29は、コマンド解析部22が解析したコマンド(停止命令、及び図柄番号指定のコマンド)を用いて、停止信号の発生位置(指定された図柄番号でリール4a,4b,4cを停止させるために、停止信号を発生させるタイミング)を算出する。
【0056】
この算出を行うために、停止信号発生位置検出部29には、停止信号が発せられた後のモータ3a,3b,3cの慣性回転のステップ数の情報が、動作開始前に予め記録されていることが必要となる。
【0057】
このため、主制御回路1は、遊技機1Aの起動時に、遊技機1Aのリール4a,4b,4cやモータ3a,3b,3cの特性に応じた慣性回転のステップ数の情報を周回制御回路2に出力し、周回制御回路2の設定レジスタ21に設定情報として格納させてもよい。設定レジスタ21に設定情報を格納する処理は、例えば、[予備手順]及びステップS201にて後述する。
【0058】
また、リール制御回路2が、複数の遊技機1Aメーカの使用するリール4a,4b,4cやモータ3a,3b,3cに合わせた慣性回転のステップ数の情報を、識別子に関連付けて(設定レジスタ21等に)予め記憶しておいてもよい。そして、遊技機1Aの起動時に主制御回路1から入力される識別子に応じて、予め記憶した慣性回転のステップ数の情報を停止信号発生位置検出部29に供給する構成としてもよい。慣性回転のステップ数を供給する処理は、設定レジスタ21に設定情報を格納する処理は、例えば、[予備手順]及びステップS201にて後述する。
【0059】
制動位置比較部30は、回転位置・インデックスエラー検出部28から回転位置情報を取得する。そして、制動位置比較部30は、リール4a,4b,4cの位置が停止信号の発生位置にきたときに、リール4a,4b,4cを停止させる(すなわちモータ3a,3b,3cを停止させる)ためのパルス信号の停止信号を生成する。制動位置比較部30は、生成した停止信号をモータ3a,3b,3cに出力して励磁信号生成部24に供給する。
【0060】
制動位置比較部30の生成する停止信号は、例えば、リール4a,4b,4cの特性によって決められた時間(例えば、200ms)の間、全相励磁する波形パターンのパルス信号である。全相励磁する励磁時間は、リール4a,4b,4cの特性によって変える必要がある。
【0061】
このため、主制御回路1は、遊技機1Aの起動時に、遊技機1Aのリール4a,4b,4cの特性に応じた励磁時間をリール制御回路2に出力し、リール制御回路2のレジスタ1に設定情報として励磁時間を格納させてもよい。
【0062】
また、リール制御回路2が、複数の遊技機1Aメーカの使用するリール4a,4b,4cに合わせた励磁時間の情報を、識別子に関連付けて(レジスタ1等に)予め記憶しておいてもよい。そして、遊技機1Aの起動時に主制御回路1から入力される識別子に応じて、予め記憶した励磁時間の情報を制動位置比較部30に供給し、励磁時間を制御する構成としてもよい。
【0063】
なお、停止励磁の手法に関しては、全相励磁に限らず、例えば、3相励磁やその他の励磁方法であってもよい。そのため、制動位置比較部30の生成する停止信号は、3相励磁やその他の励磁方法を行うための信号であってもよい。
【0064】
開始励磁相算出部31は、リール4a,4b,4cを停止させた後再度モータ3a,3b,3cの回転を開始させるときのオフセットを用い、モータ3a,3b,3cの再回転時の回転開始励磁相を算出する。オフセットとは、例えば、モータ3a,3b,3cの回転位置を戻す量のことである。オフセットは、モータ3a,3b,3cのステップ数等の情報として、設定レジスタ21に記録されたり、開始励磁相算出部31に設定されたりしていることが望ましい。
【0065】
開始励磁相算出部31は、リール4a,4b,4cを停止させた際のモータ3a,3b,3cの慣性ステップのズレ数の値とオフセットの値の和の情報を必要とする。この、モータ3a,3b,3cの慣性ステップのズレ数の値は、モータ3a,3b,3cのメーカや機種によって相違する。そのため、開始励磁相算出部31には、このズレ数の値とオフセットの値の和の情報を記録させておくことが望ましい。開始励磁相算出部31が算出した値は、回転制御部23でのモータ3a,3b,3cの回転制御に用いられる。
【0066】
定常回転制御部32は、回転制御部23から出力された回転制御の情報や回転速度の情報を用いて、モータ3a,3b,3cを定常回転させるための制御信号を生成して回転制御部23に送信する。また、定常回転制御部32は、回転制御部23から出力された回転制御の情報や回転速度の情報に所定の演算処理等を行い、モータ3a,3b,3cが定常回転しているか否かを検出する。なお、定常回転制御部32は、上述のモータ3a,3b,3cの制御信号の生成やモータ3a,3b,3cが定常回転しているか否かの検出に、インデックスタイプ変換部27から出力された、インデックスによる基準位置の検出方法やインデックスの情報を用いることもできる。
【0067】
[「図柄識別情報」について]
ここで、設定レジスタ21に記録される「図柄識別情報」としては、下記(情報01)~(情報07)のようなものが考えられる。なお、この実施の形態1では、「図柄識別情報」は後述の[ステップS201]で設定レジスタ21に記録されるが、これに限定されず、例えば基板5を組み立てて最初に通電した際に設定レジスタ21に「図柄識別情報」が記録される構成としてもよい。
(情報01)インデックスの情報。なお、このインデックスの情報には、インデックスの種類の情報(例えば、永久磁石の磁力、LEDの光、等。)等、リール4a,4b,4cの回転位置を検出する基準の具体的な構成の情報が含まれてもよい。
(情報02)リール4a,4b,4cに配列された図柄の数の情報。例えば、遊技機1Aのメーカ毎や機種毎やリール4a,4b,4cの機種毎の図柄の数の情報が該当する。また、
(情報03)各図柄に設定された図柄番号の情報(各図柄を一意に特定するための通し番号等)。
(情報04)リール4a,4b,4cの回転する角度やリール4a,4b,4cを図柄1つ分回転させるステップ数の情報等。例えば、モータ3a,3b,3cがステッピングモータである場合は、リール4a,4b,4cを図柄1つ分回転させるためにモータ3a,3b,3cに供給されるパルスの数の情報が該当する。また、モータ3a,3b,3cが直流モータや交流モータである場合は、リール4a,4b,4cを図柄1つ分回転させるためにモータ3a,3b,3cに供給される電力量や通電時間等が該当する。
(情報05)リール4a,4b,4cが1回転する間のモータ3a,3b,3cを駆動させる信号の変化の情報。例えば、モータ3a,3b,3cがステッピングモータである場合は、リール4a,4b,4cを1回転させるためにモータ3a,3b,3cに供給されるパルスの数の情報が該当する。また、モータ3a,3b,3cが直流モータや交流モータである場合は、リール4a,4b,4cを1回転させるためにモータ3a,3b,3cに供給される電力量や通電時間等が該当する。
(情報06)リール4a,4b,4cの回転を停止させるための制御に関する情報。具体的には、例えば、主制御回路1から周回制御回路2がモータ3a,3b,3cの停止命令を受けてからモータ3a,3b,3cが停止するまでの時間の情報や、モータ3a,3b,3cがステッピングモータである場合のステップ数の情報等が該当する。また、モータ3a,3b,3cを停止させる際の制動方法(例えば全相に制動用の信号を供給する方法や、特定相のみに制動用の信号を供給する方法、等)の情報等が該当する。
(情報07)リール4a,4b,4cを回転させるための制御に関する情報。例えば、主制御回路1から周回制御回路2がモータ3a,3b,3cの回転命令を受けてからモータ3a,3b,3cが定常回転するまでの各種情報が該当する。この各種情報としては、例えば、周回制御回路2がモータ3a,3b,3cの回転命令を受けてからモータ3a,3b,3cが定常回転するまでの時間の情報や、モータ3a,3b,3cがステッピングモータである場合のステップ数の情報や、モータ3a,3b,3cが直流モータや交流モータである場合の供給される電力量の情報等が該当する。
【0068】
[「演出制御情報」について]
ここで、設定レジスタ21に記録される「演出制御情報」としては、下記(情報11)~(情報12)のようなものが考えられる。なお、この実施の形態1では、「演出制御情報」は後述の[ステップS201]で設定レジスタ21に記録されるが、これに限定されず、例えば基板5を組み立てて最初に通電した際に設定レジスタ21に「演出制御情報」が記録される構成としてもよい。
(情報11)リール4a,4b,4cの回転開始時に一旦逆回転してから回転を開始する、777をそろえながら回転する、などのリール4a,4b,4cを用いた演出の制御情報。
(情報12)リール4a,4b,4cの回転開始時に遊技機1Aに配設されたLED等の照明装置(図示せず)の点灯や、音声の出力と連動させる演出の制御情報。
【0069】
[処理手順1:リールの回転制御]
図3は、この実施の形態1の遊技機1Aにおける周回制御回路2の処理の概要を模式的に示す図である。以下、同図に基づいてこの実施の形態1の周回制御回路2の処理手順を説明する。
【0070】
なお、図3のステップS201は図2の設定レジスタ21を用いた処理に対応する。同様に、ステップS202はコマンド解析部22による処理に対応し、ステップS203は回転制御部23での処理に、ステップS204は励磁信号生成部24の処理に、ステップS205は励磁制御用クロック生成部25での処理に対応する。同様に、ステップS206は演出制御部26での処理に、ステップS207はインデックスタイプ変換部27に対応する。同様に、ステップS208は回転位置・インデックスエラー検出部28での処理に、ステップS209は停止信号発生位置検出部29での処理に、ステップS210は制動位置比較部30での処理に対応する。同様に、ステップS211は開始励磁相算出部31での処理に、ステップS212は定常回転制御部32での処理にそれぞれ対応する。
【0071】
[予備手順:システム起動時]
この実施の形態1の遊技機1Aの電源が投入されると、基板5上の主制御回路1や周回制御回路2も通電し、主制御回路1や周回制御回路2が起動する。そして、主制御回路1と周回制御回路2との間で所定の信号やデータが送受信される。
【0072】
この実施の形態1では、遊技機1Aの電源投入後、主制御回路1から周回制御回路2に、遊技機1Aの機器情報(メーカ情報や型番情報)と共に、前述の「図柄識別情報」や「演出制御情報」等の情報が供給される。
【0073】
上述した、[予備手順]で主制御回路1から周回制御回路2に入力される「図柄識別情報」や「演出制御情報」は、メーカ毎や遊技機1A毎やモータ3a,3b,3c毎やリール4a,4b,4cに異なる情報として構成される場合が多い。そのため、[予備手順]でこれらの情報が主制御回路1から周回制御回路2に入力されて周回制御回路2に記録されることにより、周回制御回路2は遊技機1Aのメーカや機種に適合した回転制御を行うことが可能となる。
【0074】
[ステップS201]
上記[予備手順]で主制御回路1から周回制御回路2に送信された「図柄識別情報」や「演出制御情報」等の情報は、周回制御回路2の設定レジスタ21に記録される。これらの情報は、周回制御回路2の以下の処理手順で用いられる(ステップS201)。
【0075】
[ステップS202]
ステップS201の後、主制御回路1から命令(コマンド)が入力されると、コマンド解析部22が命令を解析する(ステップS202)。
【0076】
[ステップS203]
ステップS202のコマンド解析部22による解析の結果、主制御回路1から入力されたコマンドが回転開始命令である場合、回転制御部23はモータ3a,3b,3cの回転制御を開始する。まず、回転制御部23は、開始励磁相算出部31にモータ3a,3b,3cの開始励磁相を算出させ、算出結果を受領する。また、回転制御部23は、定常回転制御部32からモータ3a,3b,3cの定常回転値の情報を取得する。また、回転制御部23は、データテーブル(図示せず)からモータ3a,3b,3cの加速データ及び加速時間の情報を取得する。回転制御部23は、取得した情報を用い、モータ3a,3b,3cを回転励磁相から回転開始させ、回転速度を算出しつつ回転を加速させながら定常回転に至らせる。これにより、回転制御部23はモータ3a,3b,3cを回転させる。
【0077】
なお、モータ3a,3b,3cを回転励磁相から回転開始させる制御は、後述のステップS211で説明する。また、ステップS203でモータ3a,3b,3cの回転を加速させながら定常回転に至らせる制御や、ステップS203以降でモータ3a,3b,3cを定常回転させる制御は、後述のステップS212で説明する。
【0078】
[ステップS204]
ステップS203で回転制御部23がモータ3a,3b,3cの回転制御の信号を出力すると、この信号に基づき、励磁信号生成部24は励磁信号を生成して出力する。この励磁信号はモータ3a,3b,3cにそれぞれ供給され、モータ3a,3b,3cのそれぞれを回転させる。
【0079】
[ステップS205]
ステップS204の励磁制御等は、システムクロック(図示せず)からクロック入力を受けた、励磁制御用クロック生成部25の励磁制御用クロックに基づいて行われる。
【0080】
[ステップS206]
ステップS202のコマンド解析部22による解析の結果、主制御回路1から入力されたコマンドが演出命令である場合、演出制御部26は所定の演出制御を行う。例えば、ステップS201で、リール4a,4b,4cの回転開始時に一旦777をそろえてから回転を開始する演出が設定レジスタ21に記録され、演出命令のコマンドが入力された場合、演出制御部26は設定レジスタ21に記録された演出の制御を行う。演出制御部26は、この演出を行うための制御を回転制御部23に行わせ、回転制御部23はこの演出を行うためのモータ3a,3b,3cの回転制御を行う。
【0081】
[ステップS207]
モータ3a,3b,3cのそれぞれが回転すると、モータ3a,3b,3cにそれぞれ設けられたインデックス出力部(図示せず)からインデックスが出力されて周回制御回路2に供給される。このインデックスはインデックスタイプ変換部27に供給される。インデックスタイプ変換部27は、予め設定された情報(例えば[予備手順]で主制御回路1から供給されてステップS201で設定レジスタ21に記録された情報)に基づいて、インデックスタイプを変換する(ステップS207)。
【0082】
[ステップS208]
ステップS207で変換されたインデックスと、ステップS204で出力された励磁信号は回転位置・インデックスエラー検出部28に供給される。回転位置・インデックスエラー検出部28は、入力された情報に基づいて、モータ3a,3b,3cやリール4a,4b,4cの回転位置を検出する(ステップS208)。具体的には、回転位置・インデックスエラー検出部28は、モータ3a,3b,3cのステップ数の情報を検出することで、リール4a,4b,4cの回転位置を検出する。
【0083】
また、回転位置・インデックスエラー検出部28は、リール4a,4b,4cの現在の回転位置から図柄番号指定のされた図柄でリール4a,4b,4cを停止させるまでの時間が予め決められた時間(例えば、200ms)以内かどうかを演算する。
【0084】
そして、回転位置・インデックスエラー検出部28は、主制御回路1に、モータ3a,3b,3cやリール4a,4b,4cの回転位置の情報を返す。
【0085】
[ステップS209]
ステップS202のコマンド解析部22による解析の結果、主制御回路1から入力されたコマンドが停止命令や、図柄番号指定(特定の図柄でリール4a,4b,4cを停止させる命令)である場合、停止信号発生位置検出部29は、リール4a,4b,4cを停止させる(特に、特定の図柄で停止させる)ための停止信号の発生タイミングを算出する(ステップS209)。[予備手順]やステップS201で停止信号が発せられた後のモータ3a,3b,3cの慣性回転のステップ数の情報等が記録されている場合、停止信号発生位置検出部29は、この情報を用いて停止信号の発生タイミングを算出する。停止信号発生位置検出部29は、停止信号の発生タイミングを、モータ3a,3b,3cのステップ数として算出する。
【0086】
[ステップS210]
ステップS209で停止信号の発生タイミングが算出されると、制動位置比較部30は、モータ3a,3b,3cの回転位置の情報(ステップ数の情報)を取得して、停止信号の発生タイミングの情報との対比を行う。対比の結果、リール4a,4b,4cの回転位置が図柄番号指定で指定された位置と一致した場合には、制動位置比較部30は、励磁信号生成部24にリールを停止させる停止信号を生成させてモータ3a,3b,3cに出力させる(ステップS210)。これにより、モータ3a,3b,3cを所望の位置で停止させてリール4a,4b,4cを図柄番号指定のされた特定の図柄で停止させる。
【0087】
なお、制動位置比較部30が励磁信号生成部24に生成させる停止信号は、例えば予め決められた時間(例えば、200ms)、全相励磁する波形パターンのパルス信号として生成される。ただし、前述したとおり、停止励磁の手法に関しては、全相励磁に限らず、例えば、3相励磁やその他の励磁方法であってもよい。
【0088】
[ステップS211]
前述のステップS203での、モータ3a,3b,3cを回転励磁相から回転開始させる制御は、開始励磁相算出部31の演算による算出結果を用いて行われる。開始励磁相算出部31は、にモータ3a,3b,3cの開始励磁相を算出させ、算出結果を受領する。開始励磁相算出部31は、前述のオフセットを用いた演算により、モータ3a,3b,3cの回転励磁相を算出する。算出された回転励磁相の情報は回転制御部23に送られる。
【0089】
[ステップS212]
前述のステップS203での、モータ3a,3b,3cを定常回転まで回転速度を上げる制御は、定常回転制御部32での制御に基づいて行われる。定常回転制御部32は、回転制御部23から出力された回転制御の情報や回転速度の情報を用いて、モータ3a,3b,3cを定常回転させるための制御信号を生成して回転制御部23に送信する。
【0090】
また、前述のステップS203以降における、モータ3a,3b,3cを定常回転で回転させる制御も、定常回転制御部32での制御に基づいて行われる。定常回転制御部32は、モータ3a,3b,3cの定常回転値の情報を回転制御部23に送る。
【0091】
[処理手順2:回転位置情報とインデックスエラーの送信]
上記ステップS208での演算により、リール4a,4b,4cの現在の回転位置から図柄番号指定のされた図柄でリール4a,4b,4cを停止させるまでの時間が予め決められた時間(例えば、200ms)以内で停止できないことが判明した場合を考える。この場合、回転位置・インデックスエラー検出部28は、主制御回路1に、インデックスエラーの情報を返す。
【0092】
主制御回路1は、インデックスエラーの情報が返されることにより、図柄番号指定のされた図柄が、予め決められた時間(例えば、200ms)以内で停止できない位置に設けられていることを認識できる。これは、停止命令や図柄番号指定が、予め決められた時間以内に停止可能な図柄を指定してリール4a,4b,4cを停止させる命令である場合、回転位置・インデックスエラー検出部28や周回制御回路2を実行させるプログラムにエラーがあることを示す。あるいは、回転位置・インデックスエラー検出部28や周回制御回路2の回路構成にエラーがあることを示す。ゆえに、周回制御回路2を製造する工程や、基板5を遊技機1Aに組み込む工程において、エラーの検出を容易に行うことができる。
【0093】
[発明の実施の形態1の効果]
以上示したとおり、この実施の形態1の遊技機1Aのリール制御システム6においては、リール4a,4b,4cを有する遊技機を制御する主制御回路1と、リール4a,4b,4cの回転を制御するリール制御回路2とを備えている。そして、主制御回路1は、所定の信号の入力に応じて動作するモータ3a,3b,3cの動力により回転するリール4a,4b,4cの回転を停止させる停止操作を受け付ける受付部11を備える。さらに、主制御回路1は、停止操作を受け付けたとき、遊技機1Aにおいて図柄が視認可能な表示領域において停止させる図柄を選択する選択部13を備える。また、主制御回路1は、「図柄識別情報」と停止命令とを周回制御回路2に出力する出力部14を備える。さらに、周回制御回路2は、信号をモータに出力することにより、リールを回転させる回転制御部23と、「図柄識別情報」と停止命令とに応じて、選択図柄を表示領域に停止させる停止信号発生位置検出部29を備える。
【0094】
このような構成としたことにより、リール4a,4b,4cを備えた遊技機1Aの遊技に際し、主制御回路1はリール4a,4b,4cの回転を開始させる命令と、特定の図柄でリール4a,4b,4cの回転を停止させる命令のみを出す制御を行えば足りる。そのため、主制御回路1の回路やプログラムを簡易な構成とすることができる。また、リール4a,4b,4cの回転制御を回転制御部23で行い、図柄識別情報と停止命令とに応じて、選択図柄を表示領域に停止させる制御を周回制御回路2において行わせるため、リール4a,4b,4cを用いた遊技の複雑な制御を周回制御回路2に周約できる。
【0095】
そして、主制御回路1の回路構成やプログラムを簡素化し、製造や運用時の修理等を簡易に行うことが可能になる。また、周回制御回路2をリール4a,4b,4cの回転や停止を実際に制御する目的に特化した構成とすることにより、周回制御回路2がいたずらに複雑化することを抑止できて、周回制御回路2の製造や運用時の修理等の簡易化も図ることができる。これにより、遊技機1A全体の制御やリール4a,4b,4c全体の制御のための回路構成やプログラムを簡素化し、製造や運用時の修理等を簡易に行うことが可能になる。
【0096】
この実施の形態1においては、周回制御回路2は、リール4a,4b,4cを回転させているとき、リール4a,4b,4cの回転位置を主制御回路1に通知する回転位置・インデックスエラー検出部28を備える。また、主制御回路1は、回転位置・インデックスエラー検出部28から通知されたリール4a,4b,4cの回転位置を周回制御回路2から取得する取得部12を備える。また、選択部13は、取得部12が取得したリール4a,4b,4cの回転位置に応じて、予め設定された所定の期間内に表示領域(図示せず)に停止可能な図柄を選択する。そのため、主制御回路1が回転中のリール4a,4b,4cを特定の図柄で停止させる命令を出すと、リール4a,4b,4cを回転させる周回制御回路2の情報に基づいて、停止命令から所定時間内に停止可能な図柄の停止命令を出すことができる。これにより、主制御回路1の回路構成やプログラムを簡素化しつつ、停止命令から所定時間内に図柄で停止させるという機能的な要求を満たすことができる。
【0097】
この実施の形態1においては、主制御回路1において、選択部13は、リール4a,4b,4cを特定のパターンで回転させる演出を選択し、出力部14は、選択した選択演出を識別する演出識別情報を周回制御回路2に出力する。また、周回制御回路2は、設定レジスタ21に演出をリール4a,4b,4cに表現させる演出制御情報を記憶する。また、回転制御部23は、主制御回路1から入力された演出識別情報に対応する演出制御情報に応じて、信号をモータ3a,3b,3cに出力することにより、選択演出をリール4a,4b,4cに表現させる。そして、周回制御回路2に演出制御情報を記憶しておくことで、主制御回路1は、演出を選択するだけで、周回制御回路2にリール演出を実行させることができる。これにより、主制御回路1の命令でリール4a,4b,4cの回転制御を行う周回制御回路2において、多様な演出が求められる遊技機1の制御を行うことが可能になる。
【0098】
この実施の形態1においては、主制御回路1において、出力部14は、演出を前記リールに表現させる演出制御情報を周回制御回路2に出力する。また、周回制御回路2において、設定レジスタ21は、主制御回路1から入力された演出制御情報を記憶する。また、回転制御部23は、主制御回路1から入力された演出識別情報が主制御回路1から入力された演出制御情報に対応するとき、主制御回路1から入力された演出制御情報に応じて、信号をモータ3a,3b,3cに出力する。そして、選択演出をリール4a,4b,4cに表現させる。これにより、主制御回路1の命令でリール4a,4b,4cの回転制御を行う周回制御回路2において、メーカ毎や遊技機1A毎やモータ3a,3b,3c毎やリール4a,4b,4cに異なる演出等にも適合した回転制御を行わせることが可能となる。
【0099】
この実施の形態1においては、「図柄識別情報」は、下記(情報01)~(情報07)のうちの少なくとも何れか一つを備える。
(情報01)インデックスの情報。
(情報02)リール4a,4b,4cに配列された図柄の数の情報。
(情報03)各図柄に設定された図柄番号の情報。
(情報04)リール4a,4b,4cの回転する角度やリール4a,4b,4cを図柄1つ分回転させるステップ数の情報等。
(情報05)リール4a,4b,4cが1回転する間のモータ3a,3b,3cを駆動させる信号の変化の情報。
(情報06)リール4a,4b,4cの回転を停止させるための制御に関する情報。
(情報07)リール4a,4b,4cを回転させるための制御に関する情報。
【0100】
これにより、主制御回路1の命令により、周回制御回路2がリール4a,4b,4cを特定の図柄で停止させる制御を具体的な構成によって実現できる。
【0101】
この実施の形態1においては、モータ3a,3b,3cはステッピングモータであり、信号はステッピングモータの回転ステップを制御するパルス信号であり、出力部14は、パルス信号のパルス数に依存して停止命令を出力する。これにより、モータ3a,3b,3cを特定の位置で停止させる制御を簡易かつ確実に行うことができ、主制御回路1から周回制御回路2への停止命令により、特定の図柄でリール4a,4b,4cを停止させる制御を簡易かつ確実に行うことができる。
【0102】
この実施の形態1においては、回転位置・インデックスエラー検出部28が、選択図柄を表示領域(図示せず)に停止させる停止命令に基づいて、指定された停止期間内に選択された図柄を表示領域(図示せず)に停止できなかった場合、エラーを通知する。これにより、周回制御回路2を製造する工程や、基板5を遊技機1Aに組み込む工程において、周回制御回路2の回路構成やプログラムのエラーを容易に検出できる。
【0103】
この実施の形態1においては、周回制御回路2は、周方向に複数種類の図柄が配列された、所定の信号の入力に応じて動作するモータ3a,3b,3cの動力により回転する前記リール4a,4b,4cを、信号をモータ3a,3b,3cに出力することにより回転させる回転制御部23を備える。また、周回制御回路2は、リール4a,4b,4cを有する遊技機1Aを制御する主制御回路1から、「図柄識別情報」とリール4a,4b,4cの停止命令とを取得し、「図柄識別情報」と停止命令とに応じて、選択図柄を表示領域(図示せず)に停止させる停止信号発生位置検出部29を備える。これにより、周回制御回路2をリール4a,4b,4cの回転や停止を実際に制御する目的に特化した構成とすることにより、周回制御回路2がいたずらに複雑化することを抑止できて、周回制御回路2の製造や運用時の修理等の簡易化も図ることができる。したがって、周回制御回路2の回路構成やプログラムを簡素化し、製造や運用時の修理等を簡易に行うことが可能になる。
【0104】
[発明の実施の形態2:変形例、応用例]
図4乃至7に、この発明の実施の形態2を示す。
【0105】
図4乃至図7に示す遊技機1B,1C,1D,1Eは、図1に示す、この実施の形態1の遊技機1Aの第1乃至第4の変形例である。基本的な構成は図1に示す遊技機1Aの構成と同じである。しかし、これらの遊技機1B,1C,1D,1Eは、基板5の主制御回路1と周回制御回路2の組み合わせや、周回制御回路2に接続されて周回制御回路2で制御されるモータ3a,3b,3c等の構成が遊技機1Aと一部相違する。
【0106】
図4に示す遊技機1Bは、第1の変形例であり、1つの主制御回路1に複数たとえば3つの周回制御回路2a,2b,2cが接続され、それぞれの周回制御回路2a,2b,2cに1つずつ、モータ3a,3b,3cが接続されている。周回制御回路2a,2b,2cの構成は遊技機1Aの周回制御回路2と同じ構成である。それ以外の構成は遊技機1Aと同じである。
【0107】
このように構成することで、それぞれのモータ3a,3b,3cの制御を別個の周回制御回路2a,2b,2cが行うこととなり、個々のモータ3a,3b,3cの回転を別個の周回制御回路2a,2b,2cによって別個に制御することができる。そのため、モータ3a,3b,3cの特性や性能に応じた設定や調整を容易に行うことができる。
【0108】
図5に示す遊技機1Cは、第2の変形例であり、1つの主制御回路1、1つの周回制御回路2に、複数たとえば4つのモータ3a,3b,3c,3dが接続されている。そして、モータ3a,3b,3c,3dのうち一部例えば3つのモータ3a,3b,3cにメインリール4a,4b,4cが接続され、別の一部例えば1つのモータ3dにサブリール4dが接続されている。モータ3dの構成はモータ3a,3b,3cと同じである。メインリール4a,4b,4cは、実施の形態1のリール4a,4b,4cと同様に停止ボタン(図示せず)の停止命令により停止される。サブリール4dは、回転制御部23の演出制御等により、遊技機1Cの演出に基づく回転や停止が行われる。サブリール4dの大きさや図柄の数は、メインリール4a,4b,4cと同一でも相違してもよい。それ以外の構成は遊技機1A,1Bと同じである。
【0109】
このように構成することで、リールとしての主たる機能を果たすメインリール4a,4b,4cと、副次的な機能を果たすサブリール4dとの回転制御を簡易な構成で確実に行うことができる。
【0110】
図6に示す遊技機1Dは、第3の変形例であり、複数たとえば3つの主制御回路1a,1b,1cに、それぞれ1つの周回制御回路2a,2b,2cが接続されている。また、1の周回制御回路2aには複数たとえば3つのモータ3a,3b,3cが接続され、それぞれのモータ3a,3b,3cには1つのメインリール4a,4b,4cが接続されている。また、1の周回制御回路2bには複数たとえば2つのモータ3d,3eが接続され、それぞれのモータ3d,3eには2つのサブリール4d,4eが接続されている。また、1の周回制御回路2cには1つのモータ3fが接続され、モータ3fには1つのサブリール4fが接続されている。モータ3e,3fの構成はモータ3a,3b,3c,3dと同じである。サブリール4e,4fの構成はサブリール4dと同じである。それ以外の構成は遊技機1A,1B,1Cと同じである。
【0111】
このように構成することで、リールとしての主たる機能を果たすメインリール4a,4b,4cと、副次的な機能を果たす複数のサブリール4d,4e,4fとの回転制御を簡易な構成で確実に行うことができる。
【0112】
図7に示す遊技機1Eは、第4の変形例であり、複数たとえば3つの主制御回路1a,1b,1cに、それぞれ1つの周回制御回路2a,2b,2cが接続されている。また、1の周回制御回路2aには複数たとえば3つのモータ3a,3b,3cが接続され、それぞれのモータ3a,3b,3cには1つのメインリール4a,4b,4cが接続されている。また、1の周回制御回路2bには複数たとえば1つのモータ3dが接続され、モータ3dには1つのサブリール4dが接続されている。また、1の周回制御回路2cには1つのモータ3eが接続され、モータ3eには1つのサブリール4eが接続されている。それ以外の構成は遊技機1A,1B,1C,1Dと同じである。
【0113】
このように構成することで、リールとしての主たる機能を果たすメインリール4a,4b,4cと、副次的な機能を果たす複数のサブリール4d,4eとの回転制御を簡易な構成で確実に行うことができる。
【0114】
この実施の形態2の遊技機1B,1C,1D,1Eは、リールがメインリールとサブリールとに区分されたものを含む多様な構成の遊技機1B,1C,1D,1Eで、実施の形態1の遊技機1Aと同様の作用効果を奏することができる。
【0115】
なお、上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されるものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0116】
1A,1B,1C,1D,1E・・・遊技機
1,1a,1b,1c・・・主制御回路
2,2a,2b,2c・・・周回制御回路(リール制御回路)
3a,3b,3c,3d,3e,3f・・・モータ
4a,4b,4c,4d,4e,4f・・・リール、メインリール(リール)、サブリール(リール)
5・・・基板
6・・・リール制御システム
11・・・受付部
12・・・取得部
13・・・選択部
14・・・出力部
21・・・設定レジスタ(記憶部)
23・・・回転制御部(回転部)
28・・・回転位置・インデックスエラー検出部(通知部)
29・・・停止信号発生位置検出部(停止部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7