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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】サンドイッチパネル
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/08 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
E04F10/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021028839
(22)【出願日】2021-02-25
(62)【分割の表示】P 2016184208の分割
【原出願日】2016-09-21
(65)【公開番号】P2021088923
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505066039
【氏名又は名称】装建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】原田 清一
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 光彦
(72)【発明者】
【氏名】香山 好雄
(72)【発明者】
【氏名】末永 芳範
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-166482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0127594(US,A1)
【文献】特開平11-131681(JP,A)
【文献】特開平08-252641(JP,A)
【文献】実開昭50-076623(JP,U)
【文献】実公昭52-033048(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/00-2/54
E04F 10/00-10/10
E06B 3/54-3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外側に設置される外装ルーバー、建物内に設置される内装ルーバー、又は非耐力 壁として用いられるサンドイッチパネルであって、
金属製の第一板材と、
前記第一板材に対向して位置する金属製の第二板材と、
前記第一板材と前記第二板材の間に位置する金属製の矩形枠状のスペーサーユニットと、
前記第一板材と前記第二板材の間のうち前記スペーサーユニットで囲まれる領域に位置する芯材と、を備え、
前記スペーサーユニットは、互いに接合されていない複数のスペーサーで構成され、
前記芯材の前記第一板材側を向く面に、前記第一板材が接着され、前記芯材の前記第二板材側を向く面に、前記第二板材が接着され、
前記複数のスペーサーのそれぞれの前記第一板材側を向く面に、前記第一板材が接着され、前記複数のスペーサーのそれぞれの前記第二板材側を向く面に、前記第二板材が接着されており、
前記複数のスペーサーは、直管状のスペーサーを含み、
前記直管状のスペーサーの長手方向の端部の開口は、開放されていることを特徴とするサンドイッチパネル。
【請求項3】
前記直管状のスペーサーは、前記矩形枠状の前記スペーサーユニットの一対の長辺部分 を構成する直管状の一対の長辺側スペーサーであり、
前記一対の長辺側スペーサーのそれぞれの長手方向の両端部の開口は、開放されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサンドイッチパネル。
【請求項4】
前記第一板材と前記第二板材のそれぞれは、その側端部に長手方向に亘って、前記長辺 側スペーサーに向けて突出する側面部を有し、
前記一対の長辺側スペーサーのそれぞれは、前記側面部が収まる溝部を有することを特徴とする請求項3に記載のサンドイッチパネル。
【請求項5】
前記複数のスペーサーは、前記矩形枠状の前記スペーサーユニットの一対の短辺部分を 構成する直管状の一対の短辺側スペーサーを含み、
前記一対の短辺側スペーサーのそれぞれの長手方向の両端部の開口は、前記一対の長辺 側スペーサーによって閉塞されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のサンドイ ッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中空の押出成形セメント板で形成された外装ルーバーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-57794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の外装ルーバーのように、中空の押出成形セメント板で形成されるパネルは、重くて施工しにくく、また、養生の必要があるため、製造に手間と時間がかかるといった問題がある。
【0005】
また、中空の押出成形セメント板は、材料自体がひび割れや剥がれが生じやすいため、中空の押出成形セメント板で形成される外装ルーバーは、施工中や施工後に、その一部が落下するおそれがある。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明は、軽量化と製造の簡略化を図ることができるサンドイッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のサンドイッチパネルは、金属製の第一板材と、前記第一板材に対向して位置する金属製の第二板材と、金属製の矩形枠状のスペーサーユニットと、芯材と、を備える。
【0008】
前記スペーサーユニットは、前記第一板材と前記第二板材の間に位置する。前記芯材は、前記第一板材と前記第二板材の間のうち前記スペーサーユニットで囲まれる領域に位置する。前記スペーサーユニットは、互いに接合されていない複数のスペーサーで構成される。
【0009】
前記芯材の前記第一板材側を向く面に、前記第一板材が接着され、前記芯材の前記第二板材側を向く面に、前記第二板材が接着されている。
【0010】
前記複数のスペーサーのそれぞれの前記第一板材側を向く面に、前記第一板材が接着され、前記複数のスペーサーのそれぞれの前記第二板材側を向く面に、前記第二板材が接着されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、軽量化と製造の簡略化を図ることができるサンドイッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係る実施形態1のサンドイッチパネルを示す正面図である。
図2図2Aは、図1のA-A線における断面図であり、図2Bは、図2AのB部分の拡大断面図である。
図3図3Aは、同上のサンドイッチパネルの取付構造の一例を示す正面図であり、図3Bは、図3AのC-C線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、サンドイッチパネルに関し、詳しくは、一対の板材の間に、矩形枠状のスペーサーユニットと芯材を挟んだサンドイッチパネルに関する。
【0014】
(実施形態1)
図1図2A及び図2Bには、本発明に係る実施形態1のサンドイッチパネル1が示されている。サンドイッチパネル1は、建物の外側に設置される外装ルーバー、建物内に設置される内装ルーバー、間仕切り壁などの非耐力壁として好適に用いられる。
【0015】
サンドイッチパネル1は、略矩形板状である。サンドイッチパネル1は、例えば、自身の長手方向が鉛直方向に対して平行となる起立姿勢で建物に設置される。以下では、サンドイッチパネル1の厚み方向を前後方向とし、サンドイッチパネル1の長手方向を上下方向とし、サンドイッチパネル1の短手方向を左右方向として、各構成について説明する。各図において、矢印Xで示す方向が前方であり、矢印Yで示す方向が右方であり、矢印Zで示す方向が上方である。
【0016】
図1及び図2Aに示すように、サンドイッチパネル1は、金属製の第一板材2、金属製の第二板材3、金属製の矩形枠状のスペーサーユニット4、及び芯材5を備える。サンドイッチパネル1は、建物への取り付けに用いられる一対の第一取付部材6及び一対の第二取付部材7が、スペーサーユニット4に取り付け可能である。
【0017】
矩形枠状のスペーサーユニット4は、第一板材2と第二板材3の間のうちの外周部分に全周に亘って位置する。芯材5は、第一板材2と第二板材3の間のうちスペーサーユニット4によって囲まれる領域の全体に位置する。
【0018】
スペーサーユニット4は、互いに接合されていない複数のスペーサー40で構成される。複数のスペーサー40は、矩形枠状に配置されている。
【0019】
複数のスペーサー40は、スペーサーユニット4の一対の長辺部分を構成する一対の直管状の長辺側スペーサー41と、スペーサーユニット4の一対の短辺部分を構成する一対の短辺側スペーサー42を含む。
【0020】
一対の長辺側スペーサー41の長手方向の長さ(上下方向の長さ)は、互いに同じである。一対の短辺側スペーサー42の長手方向の長さ(左右方向の長さ)は、互いに同じである。スペーサー41,42は、前後方向の長さ(つまり厚み)が互いに同じである。上側の短辺側スペーサー42は、一対の長辺側スペーサー41の上端部間に介在し、下側の短辺側スペーサー42は、一対の長辺側スペーサー41の下端部間に介在する。
【0021】
第一板材2は、サンドイッチパネル1の前面を構成する。第一板材2は、スペーサーユニット4及び芯材5の前方に位置する前面部20と、スペーサーユニット4の左右に位置する一対の側面部21を含む。さらに、板材2は、スペーサーユニット4の上方に位置する上面部22と、スペーサーユニット4の下方に位置する下面部23を含む。
【0022】
面部21,22,23のそれぞれは、前面部20の上下左右の各縁から後方に突出しており、前面部20に対して略垂直である。一対の側面部21は、前面部20の左右の縁に上下方向に亘って設けられている。言い換えると、第一板材2は、その側端部(本実施形態では両側端部)に長手方向に亘って、長辺側スペーサー41に向けて突出する側面部21を有する。上面部22は、前面部20の上縁のうち、上側の短辺側スペーサー42に対応する部分に、左右方向に亘って設けられている。下面部23は、前面部20の下縁のうち、下側の短辺側スペーサー42に対応する部分に、左右方向に亘って設けられている。
【0023】
第二板材3は、サンドイッチパネル1の後面を構成する。第二板材3は、スペーサーユニット4及び芯材5の後方に位置する後面部30と、スペーサーユニット4の左右に位置する側面部31を含む。言い換えると、第二板材3は、その側端部(本実施形態では両側端部)に長手方向に亘って、長辺側スペーサー41に向けて突出する側面部31を有する。さらに、第二板材3は、スペーサーユニット4の上方に位置する上面部32と、スペーサーユニット4の下方に位置する下面部33を含む。
【0024】
面部31,32,33のそれぞれは、後面部30の上下左右の各縁から前方に突出しており、後面部30に対して略垂直である。一対の側面部31は、後面部30の左右の縁に上下方向に亘って設けられている。上面部32は、後面部30の上縁のうち、上側の短辺側スペーサー42に対応する部分に、左右方向に亘って設けられている。下面部33は、後面部30の下縁のうち、下側の短辺側スペーサー42に対応する部分に、左右方向に亘って設けられている。
【0025】
板材2,3のそれぞれは、金属板を折り曲げて形成される。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板、チタン板等であるが、これらに限定されない。金属板の厚みは、例えば0.35mm~1.2mmである。
【0026】
図2Aに示すように、一対の長辺側スペーサー41のそれぞれは、第一板材2の前面部20と第二板材3の後面部30の間に位置するスペーサー本体43と、スペーサー本体43の左右方向外側に位置する化粧カバー44とを有する。一対の長辺側スペーサー41のそれぞれは、スペーサー本体43と化粧カバー44とが一体に設けられたアルミニウム製の押出成形品である。一対の長辺側スペーサー41のそれぞれは、長手方向に亘って断面形状が一定である。
【0027】
スペーサー本体43は、長手方向の両端(つまり上端と下端)が開口している。スペーサー本体43は、平断面略矩形枠状であり、左右方向外側の壁部分の前後方向の中央部に開口部430を有する。スペーサー本体43は、4つの角部分のうち左右方向外側の2つの角部分の内側にそれぞれ、挿入孔431が設けられている。これにより、スペーサー本体43の長手方向の両端面には、この両端面の開口を部分的に塞ぐカバー材45が、取り付け可能となっている。
【0028】
図2Bに示すように、化粧カバー44は、スペーサー本体43の開口部430の前縁と後縁からそれぞれ左右方向外側に突出した一対の突片部440と、一対の突片部440の先端部と一体の矩形板状のカバー本体441とを有する。カバー本体441の前後方向の長さは、スペーサー本体43の前後方向の長さと略同じである。カバー本体441は、スペーサー本体43との間に隙間をおいて位置する。
【0029】
化粧カバー44は、長手方向の両端(つまり上端と下端)が開口している。化粧カバー44の内側の領域(カバー本体441と一対の突片部440とで囲まれる領域)は、スペーサー本体43の内側の領域と開口部430を介して連通している。したがって、長辺側スペーサー41の長手方向の両端には、スペーサー本体43の内側の領域と化粧カバー44の内側の領域とで構成される、開口410が設けられている。開口410は、第一取付部材6または第二取付部材7が差し込まれるように設けられている。
【0030】
カバー材45は、長辺側スペーサー41の長手方向の両端のそれぞれの開口に対応した形状の板体である。詳しくは、カバー材45は、スペーサー本体43の長手方向の両端のそれぞれの開口のうち左右方向外側の半部と、化粧カバー44の長手方向の両端のそれぞれの開口の全体とを閉塞する形状に設けられている。図1に示すように、カバー材45は、長辺側スペーサー41の長手方向の両端のそれぞれの開口のうち、取付部材6,7の挿通部分を除いた残りの部分を閉塞する。カバー材45は、ビス等の固定具によって、長辺側スペーサー41の長手方向の端面に取り付けられる。
【0031】
図2A及び図2Bに示すように、一対の長辺側スペーサー41のそれぞれは、スペーサー本体43の左右方向外側の壁部分と前側の突片部440とカバー本体441によって囲まれて形成される前溝部46と、スペーサー本体43の左右方向外側の壁部分と後側の突片部440とカバー本体441によって囲まれて形成される後溝部47を有する。
【0032】
図1に示すように、一対の短辺側スペーサー42のそれぞれは、直管状であり、長手方向の両端が開口している。一対の短辺側スペーサー42のそれぞれは、長手方向に直交する断面の形状が、略矩形枠状である。一対の短辺側スペーサー42のそれぞれは、例えば、角形鋼管である。なお、一対の短辺側スペーサー42のそれぞれは、アルミニウム製でもよい。
【0033】
一対の短辺側スペーサー42のそれぞれは、その左右両端が、一対の長辺側スペーサー41の上下の端部の左右方向内側の面に当たり、左右両端の開口が一対の長辺側スペーサー41によって閉塞される状態で、一対の長辺側スペーサー41間に介在する。ここで、上側の短辺側スペーサー42は、その上面が、一対の長辺側スペーサー41の上端に取り付けられたカバー材45の上面と面一となるように、一対の長辺側スペーサー41の上端よりも僅かに上方に位置するように配されている。下側の短辺側スペーサー42は、その下面が、一対の長辺側スペーサー41の下端に取り付けられたカバー材45の下面と面一となるように、一対の長辺側スペーサー41の下端よりも僅かに下方に位置するように配されている。
【0034】
図2Aに示すように、芯材5は、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等で固めて形成したブロック体を、左右方向に複数並べて1枚の板状に配置したものである。芯材5は、スペーサーユニット4で囲まれる領域の全体に配される。芯材5の厚みは、スペーサーユニット4の厚みと同じである。なお、芯材5は、スペーサーユニット4で囲まれる領域の全体に充填された、樹脂発砲材(ウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォーム等)でもよい。
【0035】
芯材5の前面(第一板材2側を向く面)の全体が、第一板材2の前面部20の外周部分を除いた残りの部分に接着され、芯材5の後面(第二板材3側を向く面)の全体が、第二板材3の後面部30の外周部分を除いた残りの部分に接着される。
【0036】
複数のスペーサー40のそれぞれの前面(第一板材2側を向く面)の全体が、第一板材2の前面部20の外周部分に接着され、複数のスペーサー40のそれぞれの後面(第二板材3側を向く面)の全体が、第二板材3の後面部30の外周部分に接着されている。
【0037】
詳しくは、一対の長辺側スペーサー41のそれぞれのスペーサー本体43の前面(第一板材2側を向く面)の全体が、第一板材2の前面部20の左右の端部に接着される。一対の長辺側スペーサー41のそれぞれのスペーサー本体43の後面(第二板材3側を向く面)の全体が、第二板材3の後面部30の左右の端部に接着される。
【0038】
そして、一対の短辺側スペーサー42のそれぞれの前面(第一板材2側を向く面)の全体が、第一板材2の前面部20の上下の端部に接着される。一対の短辺側スペーサー42のそれぞれの後面(第二板材3側を向く面)の全体が、第二板材3の後面部30の上下の端部に接着される。
【0039】
これにより、第一板材2の前面部20の全体と、第二板材3の後面部30の全体にそれぞれ、スペーサーユニット4と芯材5が接着されて固定される。第一板材2の左右の側面部21は、一対の長辺側スペーサー41のそれぞれの前溝部46に収容され、第二板材3の左右の側面部31は、一対の長辺側スペーサー41のそれぞれの後溝部47に収容される。
【0040】
第一板材2の上面部22は、上側の短辺側スペーサー42の上面の前半部を覆う。第一板材2の下面部23は、下側の短辺側スペーサー42の下面の前半部を覆う。第二板材3の上面部32は、上側の短辺側スペーサー42の上面の後半部を覆う。第二板材3の下面部33は、下側の短辺側スペーサー42の下面の後半部を覆う。
【0041】
本実施形態では、第一板材2の上面部22は、一対の長辺側スペーサー41の上端に取り付けられた一対のカバー材45の前半部を覆う部分をさらに有する。第一板材2の下面部23は、一対の長辺側スペーサー41の下端に取り付けられた一対のカバー材45の前半部を覆う部分をさらに有する。第二板材3の上面部32は、一対の長辺側スペーサー41の上端に取り付けられた一対のカバー材45の後半部を覆う部分をさらに有する。第二板材3の下面部33は、一対の長辺側スペーサー41の下端に取り付けられた一対のカバー材45の後半部を覆う部分をさらに有する。
【0042】
板材2,3とスペーサーユニット4及び芯材5の接着は、一対の長辺側スペーサー41のそれぞれの上下の端部の開口410に、取付部材6,7が挿入され、かつカバー材45が取り付けられた状態で行なわれる。
【0043】
以上説明した本実施形態のサンドイッチパネル1では、金属製の板材2,3の間に、金属製の矩形枠状のスペーサーユニット4と芯材5が挟み込まれ、板材2,3のそれぞれに対して、スペーサーユニット4と芯材5が接着されて一体化されている。
【0044】
したがって、本実施形態のサンドイッチパネル1は、押出成形セメント板で形成する場合のような養生の工程が不要であるため、短い時間で製造することができて、製造の簡略化を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態のサンドイッチパネル1では、板材2,3間の外周部分を構成する金属製の矩形枠状のスペーサーユニット4によって、パネルの強度の大部分を担うことができる。そして、本実施形態のサンドイッチパネル1では、板材2,3間のスペーサーユニット4で囲まれる領域に位置する芯材5によって、パネルの強度をさらに高めたうえで、板材2,3の面部20,30の熱伸びによる波打ちの抑制を図ることができる。ここで、本実施形態のサンドイッチパネル1では、芯材5が、ロックウール等を主材とする板状部材であり、かつ板材2,3間の領域の大部分を占めるため、パネル全体を押出成形セメント板で形成する場合に比べて、パネルの強度を確保したうえで、パネルの軽量化を図ることができる。
【0046】
本実施形態のサンドイッチパネル1は、例えば、図3A及び図3Bに示す取付構造の一例のように、一対の第一取付部材6及び一対の第二取付部材7を介して、建物が有する下側の支持部材11と上側の支持部材12の間に設置される。
【0047】
この取付構造では、地震時に支持部材11,12間で層間変位が生じた際に、サンドイッチパネル1が追従して揺動することができるように、サンドイッチパネル1が支持部材11,12に対して取り付けられている。
【0048】
詳しくは、一対の取付部材6,7のそれぞれは、長辺側スペーサー41の上下の端部の開口410に弾性的に嵌め込まれる嵌め込み部60,70と、長辺側スペーサー41の外側に位置し、建物に固定するための固定部61,71を有する。固定部61,71には、スペーサーユニット4の厚み方向(前方または後方)に向けて切り欠かれた切欠き部62,72が設けられている。さらに、一対の取付部材6,7のそれぞれは、嵌め込み部60,70と固定部61,71との間に位置する中間部66,76を有する。
【0049】
図2Bに示すように、嵌め込み部60は、平断面略U字状の挿入部63と、挿入部63に取り付けられた複数(本実施形態では3つ)の弾性部材64とで構成される。挿入部63と中間部66と固定部61とは、一体に連続している。
【0050】
図2B及び図3Bに示すように、固定部61は、矩形板状の本体部610と、本体部610の前端から下方に延びた第一固定片部611と、本体部610の後端から下方に延びた第二固定片部612とを含む。第一固定片部611と第二固定片部612は、互いに平行であり、本体部610に対して略垂直である。
【0051】
右側に位置する第一取付部材6では、第二固定片部612と本体部610の左右方向の中央部分に、前方に向けて切り欠かれた切欠き部62が設けられている。切り欠き部62は、開口側(つまり後側)ほど幅広となるように設けられている。切欠き部62は、本体部610の後縁から前後方向の中央部に亘って設けられ、かつ第二固定片部612に上下方向に亘って設けられている。
【0052】
図2Aに示すように、左側に位置する第一取付部材6では、切欠き部62は、前側の第一固定片部611と本体部610の左右方向の中央部分に、後方に向けて切り欠かれている。切欠き部62は、本体部610の前縁から前後方向の中央部に亘って設けられ、かつ第一固定片部611に上下方向に亘って設けられている。
【0053】
一対の第一取付部材6のそれぞれは、挿入部63、中間部66、及び固定部61が、金属製であり、弾性部材64が、エチレン・プロピレン・ジエンゴム等のゴム製である。なお、弾性部材64は、ゴム製に限らず、その他の弾性を有する材料で形成されてもよい。
【0054】
一対の第二取付部材7のそれぞれは、第一取付部材6を鉛直面上で180度回転させた部材と略同じ構造である。
【0055】
以下では、第二取付部材7の各構成について、第一取付部材6の各構成と共通する構成については、同一の名称を付して、詳しい説明を省略する。
【0056】
図3A及び図3Bに示すように、一対の第二取付部材7のそれぞれは、嵌め込み部70、固定部71、切欠き部72、挿入部73、弾性部材74、及び中間部76を備える。固定部71は、本体部710、第一固定片部711、及び第二固定片部712を含む。
【0057】
左側に位置する第二取付部材7では、切欠き部72は、固定部71の前側の第一固定片部711と本体部710の左右方向の中央部分に、後方に向けて切り欠かれている。右側に位置する第二取付部材7では、切欠き部72は、固定部71の後側の第二固定片部712と本体部710の左右方向の中央部分に、前方に向けて切り欠かれている。
【0058】
一対の第一取付部材6のそれぞれは、長辺側スペーサー41の下端部の内周面に、3つの弾性部材64がそれぞれ押し当たることで、長辺側スペーサー41に嵌め込まれる。一対の第一取付部材6のそれぞれは、長辺側スペーサー41に沿って上下方向にスライド移動可能であり、固定部61の上下位置の調整が可能である。ここで、長辺側スペーサー41の下端の開口の一部をカバー材45及び板材2,3の下面部23,33が閉塞することによって、嵌め込み部60が長辺側スペーサー41から抜け出すことが抑制されている。
【0059】
同様に、一対の第二取付部材7のそれぞれは、長辺側スペーサー41の上端部の内周面に、3つの弾性部材64がそれぞれ押し当たることで、長辺側スペーサー41に嵌め込まれている。一対の第二取付部材7のそれぞれは、長辺側スペーサー41に沿って上下方向にスライド移動可能であり、固定部71の上下位置の調整が可能である。ここで、長辺側スペーサー41の上端の開口の一部をカバー材45及び板材2,3の上面部22,32が閉塞することによって、嵌め込み部70が長辺側スペーサー41から抜け出すことが抑制されている。
【0060】
本実施形態の取付構造は、上下の支持部材11,12とサンドイッチパネル1との間に位置し、サンドイッチパネル1を回転自在に支持するための一対の回転支持部材8をさらに備える。
【0061】
本実施形態では、下側の回転支持部材8は、下側の短辺側スペーサー42の下面から下方に突出するように設けられ、上側の回転支持部材8は、上側の短辺側スペーサー42の上面から上方に突出するように設けられている。一対の回転支持部材8のそれぞれは、上下の短辺側スペーサー42の各面のうち左右方向及び前後方向の中央部に設けられており、すなわち、サンドイッチパネル1の重心と上下方向に重なる位置に設けられている。一対の回転支持部材8のそれぞれは、上下方向の長さが調整自在である。
【0062】
本実施形態の取付構造は、上下の支持部材11,12にねじ固定される一対の固定板13,16と、一対の固定板13,16にそれぞれ設けられる一対の固定具14,17を含む。一対の固定板13,16のそれぞれは、側断面略U字状である(図3B参照)。固定具14,17は、固定板13,16に固定されたボルト部分と、このボルト部分に取り付けられたナット部分とを有する。
【0063】
続いて、サンドイッチパネル1の取付構造の施工方法の一例について説明する。
【0064】
サンドイッチパネル1としては、一対の板材2,3間にスペーサーユニット4及び芯材5が固定され、かつスペーサーユニット4に一対の取付部材6,7、カバー材45、及び一対の回転支持部材8が取り付けられたものを用いる。一対の取付部材6,7のそれぞれは、長辺側スペーサー41の長手方向の内側(つまり奥側)へ差し込んでおく。
【0065】
まず、固定板13,16を上下の支持部材11,12にねじ固定する。固定板13,16は、上下方向に対向して位置するように、支持部材11,12に固定する。
【0066】
次いで、上下の固定板13,16の間に、サンドイッチパネル1を配置し、上下の回転支持部材8のうちの少なくとも一方の長さを長くして、固定板13,16間に、サンドイッチパネル1を回転自在に支持する。
【0067】
次いで、サンドイッチパネル1を一対の回転支持部材8を中心に回転させて、取付部材6,7の各切欠き部62,72内に、固定板13,16に設けられた固定具14,17のボルト部分を差し込む。
【0068】
次いで、各取付部材6,7を、長辺側スペーサー41から引き出して、各取付部材6,7の固定部61,71を、固定板13,16に当てる。このとき、各取付部材6,7の固定部61,71の第一固定片部611,711と第二固定片部612,712との間に固定板13,16が位置することで、サンドイッチパネル1の回転が規制される。
【0069】
次いで、固定具14,17のナット部分を締めて、取付部材6,7の固定部61,71を、固定板13,16に固定する。
【0070】
次いで、下側の支持部材11とサンドイッチパネル1の隙間と、上側の支持部材12とサンドイッチパネル1の隙間にそれぞれ、弾性変形可能なシーリング剤24を充填して、各隙間をシーリング剤24で埋める。これにより、一対の取付部材6,7、一対の回転支持部材8、固定板13,16、及び固定具14,17が、シーリング剤24によって覆い隠される。
【0071】
以上のようにして施工された本実施形態のサンドイッチパネル1の取付構造では、サンドイッチパネル1が、上下の支持部材11,12に対して揺動可能に取り付けられている。そのため、本実施形態のサンドイッチパネル1の取付構造では、地震が起こった場合などに、層間変位に追従してサンドイッチパネル1が揺動することができ、サンドイッチパネル1の脱落や破壊を抑制することができる。
【0072】
ここで、本実施形態のサンドイッチパネル1の取付構造では、略金属製の取付部材6,7が、金属製の長辺側スペーサー41に挿入されているため、地震の際に強い力がかかった際に、長辺側スペーサー41の破壊が生じにくく、その結果、サンドイッチパネル1の破壊が生じにくい。
【0073】
また、本実施形態のサンドイッチパネル1の取付構造を屋外に設けた場合には、板材2,3間のスペーサーユニット4で囲まれる領域に芯材5が位置することで、雨が板材2,3に当たって雨音が響くこと(つまり太鼓現象の発生)を抑制することができる。
【0074】
(変更例)
続いて、本実施形態のサンドイッチパネル1、及びその取付構造の変更例について説明する。
【0075】
スペーサーユニット4は、互いに接合されていない複数のスペーサー40で構成されればよく、一対の長辺側スペーサー41と一対の短辺側スペーサー42以外の組み合わせで構成されてもよい。例えば、スペーサーユニット4は、L字状の2つのスペーサー40で構成されてもよく、取付部材6,7が挿入される開口410を有さなくてもよい。
【0076】
化粧カバー44のカバー本体441は、矩形板状に限らず、例えば、左右方向外側の面が、平断面円弧状の凸曲面であるアール面となるように成形されてもよい。この場合、サンドイッチパネル1を外装ルーバーとして用いたときに、カバー本体441から風切り音が生じることを抑制することができる。また、カバー本体441は、矩形板状、アール面を有する形状以外も、適宜選択可能である。
【0077】
一対の長辺側スペーサー41のそれぞれは、化粧カバー44を備えず、スペーサー本体43のみで構成されてもよく、この場合、長手方向に直交する断面形状は、例えば、開口部430を有さない矩形枠状である。またこの場合、板材2,3は、一対の側面部21,31を有さなくてもよい。
【0078】
また、化粧カバー44の有無に関わらず、第一板材2は、一対の側面部21のうちの一方だけを有してもよいし、一対の側面部21の両方を有さなくてもよい。同様に、化粧カバー44の有無に関わらず、第二板材3は、一対の側面部31のうちの一方だけを有してもよいし、一対の側面部31の両方を有さなくてもよい。
【0079】
サンドイッチパネル1の取付構造は、地震時に支持部材11,12間で層間変位が生じた際に、サンドイッチパネル1が追従して揺動することができるように、サンドイッチパネル1が支持部材11,12に対して取り付ける構造であればよく、上記の構造に限定されない。つまり、取付部材6,7は、上記の構造に限定されず、サンドイッチパネル1に対してスライド移動不可に固定されるものであってもよい。この場合、固定板13,16や固定具14,17に、サンドイッチパネル1を揺動可能とする機能を持たせてもよい。
【0080】
板材2,3は、スペーサーユニット4に対して面部20,30のそれぞれが接着されるだけでなく、上面部22,32が、上側の短辺側スペーサー42に対してビス固定されてもよい。この場合、板材2,3とスペーサーユニット4とを接着だけで一体化する場合に比べて、安全性が向上する。
【0081】
サンドイッチパネル1は、自身の長手方向が水平方向に対して平行となり、自身の厚み方向が鉛直方向に対して略平行となる倒伏姿勢で、建物に設置されてもよい。また、サンドイッチパネル1は、上記の起立姿勢や倒伏姿勢に限らず、自身の長手方向が鉛直方向に対して傾いた傾斜姿勢で、建物に設置されてもよい。
【0082】
(効果)
以上説明した実施形態1のサンドイッチパネル1のように、本発明に係る第一の態様のサンドイッチパネル1は、以下の第一の構成を備えることを特徴とする。
【0083】
すなわち、第一の態様のサンドイッチパネル1は、金属製の第一板材2と、第一板材2に対向して位置する金属製の第二板材3と、金属製の矩形枠状のスペーサーユニット4と、芯材5を備える。スペーサーユニット4は、第一板材2と第二板材3の間に位置する。芯材5は、第一板材2と第二板材3の間のうちスペーサーユニット4で囲まれる領域に位置する。
【0084】
スペーサーユニット4は、互いに接合されていない複数のスペーサー40で構成される。
【0085】
芯材5の第一板材2側を向く面に、第一板材2が接着され、芯材5の第二板材3側を向く面に、第二板材3が接着されている。
【0086】
複数のスペーサー40のそれぞれの第一板材2側を向く面に、第一板材2が接着され、複数のスペーサー40のそれぞれの第二板材3側を向く面に、第二板材3が接着されている。
【0087】
上記の第一の構成を備えることで、第一の態様のサンドイッチパネル1では、板材2,3間の外周部分を構成する金属製の矩形枠状のスペーサーユニット4によってパネルの強度の大部分を担い、かつこの内側の領域に位置する芯材5によって、パネルの強度をさらに高めるとともに、金属製の板材2,3の熱伸びによる波打ちの抑制を図ることができる。第一の態様のサンドイッチパネル1では、芯材5として軽量なもの(例えば、ロックウールを主材とする板状部材)を用いることができ、その結果、パネルの強度を確保したうえで、全体としてパネルの軽量化を図ることができる。
【0088】
また、第一の態様のサンドイッチパネル1では、複数のスペーサー40のそれぞれと芯材5に、板材2,3を接着するといった簡単な方法で、サンドイッチパネル1を形成することができる。したがって、第一の態様のサンドイッチパネル1では、押出成形セメント板でパネルを形成する場合のような養生の工程が不要であり、短い時間で製造することができて、製造の簡略化を図ることができる。
【0089】
また、実施形態1のサンドイッチパネル1のように、本発明に係る第二の態様のサンドイッチパネル1は、上記の第一の構成に加えて、下記の第二の構成を備える。
【0090】
すなわち、第二の態様のサンドイッチパネル1では、複数のスペーサー40は、矩形枠状のスペーサーユニット4の一対の長辺部分を構成する一対の直管状の長辺側スペーサー41を含む。一対の長辺側スペーサー41のそれぞれの長手方向の端部には、建物への取り付けに用いられる取付部材(第一取付部材6または第二取付部材7)が差し込まれるように、開口410が設けられている。
【0091】
上記の第二の構成を備えることで、第二の態様のサンドイッチパネル1は、一対の長辺側スペーサー41の長手方向の端部の開口410に差し込んだ取付部材を介して、建物に取り付けることができる。このとき、第二の態様のサンドイッチパネル1では、取付部材が金属製の長辺側スペーサー41に差し込まれるため、地震の際に強い力がかかった際でも、長辺側スペーサー41に破損が生じにくく、その結果、サンドイッチパネル1の破損が生じにくい。
【0092】
また、実施形態1のサンドイッチパネル1のように、本発明に係る第三の態様のサンドイッチパネル1は、上記の第一及び第二の構成に加えて、下記の第三の構成を備える。
【0093】
すなわち、第三の態様のサンドイッチパネル1では、第一板材2と第二板材3のそれぞれは、その側端部に長手方向に亘って、長辺側スペーサー41に向けて突出する側面部21,31を有する。一対の長辺側スペーサー41のそれぞれは、側面部21,31が収まる溝部(前溝部46及び後溝部47)を有する。
【0094】
上記の第三の構成を備えることで、第三の態様のサンドイッチパネル1では、板材2,3のそれぞれは、側端部が折れ曲がった形状となるため、強度の向上を図ることができ、板材2,3の表面(前面部20及び後面部30)にしわができにくい。第三の態様のサンドイッチパネル1では、側面部21,31が溝部に収まるため、側面部21,31を設けることによる外観の低下を抑えられる。
【0095】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 サンドイッチパネル
2 第一板材
21 側面部
3 第二板材
31 側面部
4 スペーサーユニット
40 スペーサー
41 長辺側スペーサー
46 溝部(前溝部)
47 溝部(後溝部)
5 芯材
6 取付部材(第一取付部材)
7 取付部材(第二取付部材)
図1
図2
図3