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  • 特許-温熱手袋を用いる前頭前野の賦活化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】温熱手袋を用いる前頭前野の賦活化方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20220520BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20220520BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20220520BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A41D19/015 130A
A41D19/00 A
A41D13/005 101
A41D13/08 101
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017188372
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2018109255
(43)【公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2016254563
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年12月28日富山新聞で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年11月9日富山大学ロコモ懇話会で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年11月30日とやま産学官金交流会で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年9月30日Toyama Science GALA 2016で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
(74)【代理人】
【識別番号】100148437
【弁理士】
【氏名又は名称】中出 朝夫
(73)【特許権者】
【識別番号】393023145
【氏名又は名称】株式会社ユメロン黒川
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】弁理士法人フェニックス特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100148437
【弁理士】
【氏名又は名称】中出 朝夫
(72)【発明者】
【氏名】四十竹 美千代
(72)【発明者】
【氏名】堀 悦郎
(72)【発明者】
【氏名】黒川 裕文
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3053100(JP,U)
【文献】特開平11-290371(JP,A)
【文献】実開平01-083014(JP,U)
【文献】特開2003-070822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/015
A41D 19/00
A41D 13/005
A41D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手袋の手掌側の表地と裏地の間に温度が制御されたヒータ部と遠赤外線を放出する鉱物を練り込んだ繊維より作製されたシート部を設け、かつ、折り畳み式の前記シート部で前記ヒータ部を挟持するようにした温熱手袋に、前記ヒータ部側が手掌側になるように手を入れて、手掌側を温熱することを特徴とする温熱手袋を用いる前頭前野の賦活化方法。
【請求項2】
制御される温度が35℃~45℃であることを特徴とする請求項1記載の温熱手袋を用いる前頭前野の賦活化方法。
【請求項3】
温度が制御されたヒータ部が遠赤外線を放出する鉱物を練り込んだゲルが収容されたパックであることを特徴とする請求項1または2記載の温熱手袋を用いる前頭前野の賦活化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前頭前野を賦活する温熱手袋および賦活化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化社会に伴い、大きな社会問題として認知症がメディア等で取り上げられ、平成22年では認知症有病者が約439万人いると報告されており、認知症予防及び高齢者の認知機能低下に関する研究が行われている。
【0003】
その結果、認知機能を上げる方法として、ランニング等の中等度の運動、調理等の生活介入、学習療法等が報告されている。また、前頭前野の賦活が高齢者の認知機能改善に繋がることが報告されている。
【0004】
ところが、運動や生活介入などは、高齢者にとっては負担であり、やる気に左右されることが多いことから、高齢者のやる気に左右されず、簡単にできる前頭前野の賦活方法として、お湯につけて手を温めるという極めて簡便な方法である「手浴」が知られている。
【0005】
発明者らは、手浴によって、爽快感・リラックス感が得られること、自律神経系を一定に保つためのバランスをとっていること及び前頭前野の脳血流が増加することを確認している(非特許文献1、2)。また、前頭前野の賦活は、高齢者の認知機能の向上だけではなく、就学者の学習機能の向上も期待される。
【0006】
一方、手を温める方法として、手袋が使用されており、特にヒータ等の発熱体を内蔵した温熱手袋が知られている(特許文献1~3)。
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に記載された温熱手袋は、手の保温、あるいは手の血行促進を目的としたものであり、手浴に代わるものではなく、それら公報には手浴を想定できるような記載もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平6-257004
【文献】特開2000-325382
【文献】特開2010-121243
【非特許文献】
【0009】
【文献】日本看護技術学会第10回学術集会講演抄録集,2011,p169.
【文献】第11回日本看護技術学会学術集会講演抄録集,2012,p128.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
認知機能を向上させる方法としてのランニング等の運動や学習療法においては、高齢者の日常生活動作の状態により、取り組むことが不可能となる場合があること、一方、お湯に手をつけることは簡単ではあるが、お湯の準備等に関して安全性の点や煩雑である等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、手浴の際の温度に着目し、手袋内の温度が制御された温熱手袋により、手浴と同等の効果、さらには効果の持続性が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
また、本発明の前頭前野の賦活化方法は、手袋の手掌側の表地と裏地の間に温度が制御されたヒータ部と遠赤外線を放出する鉱物を練り込んだ繊維より作製されたシート部を設け、かつ、折り畳み式の前記シート部で前記ヒータ部を挟持するようにした温熱手袋に、前記ヒータ部側が手掌側になるように手を入れて、シート部の輻射熱を介して手掌側を温熱するという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0014】
本発明の温熱手袋は、温度が制御されたヒータ部と遠赤外線を放出するシート部により、お湯を用いなくてもお湯を用いる手浴と同等以上の温熱効果があり、手浴に比して、中枢神経系への効果が持続する。従って、本発明の温熱手袋を使用することにより、手袋に手を入れるのみで、前頭前野を賦活することができ、高齢者などが日常生活の状態に左右されることなく、手浴と同様の処置を安全及び手軽に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の温熱手袋の内、右手用手袋の平面図である。
図2】本発明の温熱手袋の内、右手用手袋の断面図である。
図3】本発明の温熱手袋の変形例の断面図である。
図4】本発明の温熱手袋の変形例の断面図である。
図5】本発明の温熱手袋の変形例の断面図である。
図6】実験のプロトコールを示す図である。図中、VASは主観的気分、NIRSは近赤外分光法の略号である。
図7】手浴および温熱手袋による右背内側前頭前野の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)量の変化を示す図である。
図8】手浴および温熱手袋による左背内側前頭前野の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)量の変化を示す図である。
図9】手浴および温熱手袋による主観的温かさの変化を示す図である。
図10】手浴および温熱手袋による主観的落ち着きの変化を示す図である。
図11】手浴および温熱手袋による主観的心地よさの変化を示す図である。
図12】手浴および温熱手袋による主観的眠さの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面により本発明の温熱手袋について説明する。図1は、本発明の温熱手袋の内、右手用の外観を示す平面図であり、符号1は本発明の温熱手袋を、符号2は、温度が制御されたヒータ部、符号3はヒータ部の下に配置される遠赤外線を放出するシート部である。
【0017】
図2は、本発明の温熱手袋の断面図(図1中のA~A’)である。符号1aは、手袋の表地、符号1bは手袋の裏地であり、本実施形態では、表地、裏地共に木綿織布である。符号2は、ヒータ部分であり、ヒータはコードヒータで回路途中にサーモスタットが組み込まれている。符号3は、遠赤外線を放出する鉱物が練りこまれた繊維からなるシートである。符号4は、手が入る空間である。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、前頭前野の賦活とは、前頭前野の血流を緩やかに上昇させ、主観的気分(暖かさ、落着き、心地よさ、眠さ)に関して、手浴と同等またはそれ以上の効果を生じることをいう。
【0019】
本発明の温熱手袋は、手袋の(外側の)表地と(手側の)裏地の間に温度が制御されたヒータ部と遠赤外線を放出するシート部を設けたことを特徴とする。
【0020】
本発明の温熱手袋の形状は、特に限定されないが、ミトン形状のものが好ましい。
【0021】
本発明で使用される温度が制御されたヒータ部のヒータは、発熱体であれば特に限定されないが、例えば、コードヒータ(抵抗体)が挙げられる。このコードヒータの電源は、家庭用コンセントやUSBバスパワー、バッテリー等から供給することができる。温度制御は、例えば、サーモスタットにより行えばよく、サーモスタット自体も手袋の表地と裏地の間にあるものが好ましい。
【0022】
また、電源を確保できない場合のために、遠赤外線を放出する鉱物を練り込んだゲルが収容されたパックを採用し、加熱して使用することもできる。この加熱されたゲル(蓄熱剤)は、所定の温熱時間内(例えば3分間)ではほとんど温度が下降しない。このパックは手袋の表地または裏地にポケットを設けて中に収容することもできる。
【0023】
本発明で使用される遠赤外線を放出するシート部としては、例えば、遠赤外線を放出する繊維で織られたシートまたは遠赤外線を放出する繊維で作られた不織布や編物等が挙げられる。なお、シート部からの輻射熱が減衰しない範囲で、適宜、シート部を袋体に収容して使用しても良いし、反射シート等を併用しても良い。
【0024】
遠赤外線を放出する繊維としては、例えば、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、酸化第二鉄、酸化カルシウム等のミネラル物質を含んだ鉱物が練り込まれた繊維(アクリル、ポリエステル、レーヨン等の合成繊維)が挙げられる。
【0025】
本発明の温熱手袋において、温度が制御されたヒータは、手掌部側に配置され、ヒータ部分に重ねて遠赤外線を放出するシート部が配置されている(図2参照)。
【0026】
本発明の温熱手袋において、制御される温度は、35℃~45℃であることが好ましい。35℃より低いと十分な温熱効果が得られず、逆に45℃よりも高いと低温火傷のおそれがあるからである。
【0027】
本発明の温熱手袋に使用される表地及び裏地は、木綿織布、ナイロン織布、ポリエステル織布、不織布等のいずれも使用することができる。また、洗濯が可能な素材や、蒸れないメッシュ加工素材、高齢者が好む暖色系の素材などを使用することができる。
【0028】
本実施形態の温熱手袋の変形例を図3から図5に示す。図3に示すものは、手袋の表地と裏地とを手入れ部4を挟んで二組設け、ヒータ部2およびシート部3を両側に配置したものである。こうすることによって、手掌部側と手甲部側とを短時間で全体的に温熱でき、温熱効果を高めることができる。
【0029】
また、図4に示すものは、ヒータ部2およびシート部3を手入れ部4の開口部と直交方向(図中矢印方向)から出し入れできるように構成したものである。こうすることによって、ヒータ部2およびシート部3の落下を防止できるとともに、使用時における電源コードの使用者への接触や干渉を防止して快適に使用することができる。
【0030】
また、図5に示すものは、折り畳み式のシート部でヒータ部を挟持するように構成したものである。こうすることによって、外側(表地側)に放熱してしまうヒータ部の熱もシート部に伝導させることができるとともに、ヒータ部がズレにくく、しかも、ヒータ部の熱履歴による手袋の生地の劣化を防止することができる。
【実施例
【0031】
以下、実施例により本発明の温熱手袋を用いる前頭前野の賦活化方法の効果をさらに詳細に説明する。木綿織布を縫製し、図1に示す右手用温熱手袋及び同じ構造を持つ左手用温熱手袋を作製した。
【0032】
健康成人24名(男性1名、女性23名、平均年齢:21±2歳)に、35℃でオンとなり、45℃でオフとなるように設定されたサーモスタットにより温度制御されたヒータ部側が手掌側になるように両手を温熱手袋に入れ、図6のプロトコールに従い実施した。前頭前野の賦活は、近赤外線分光法(NIRS:Near Infra-Red Spectoroscopy) (Optical Encephalography Spectratech OEG-16:スペクトラテック社製)を用いた脳血流量の測定及び10cmスケールを使用した主観的気分(VAS:Visual Analogue Scale)の変化を調べることにより行った。
【0033】
対照として、40℃のお湯を用い、手浴を行った。なお、上記の実験は、富山大学臨床・疫学研究等に関する倫理審査委員会の承認下に実施した。
【0034】
<脳血流>
(1)手浴および温熱手袋による右背内側前頭前野の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)量の変化を図7に示した。酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)量が多いことは、脳血流量が多く、前頭前野が賦活していることを表す。図中、縦軸は、Oxy-Hb量(mMol/cm)、横軸は時間経過を示し、◇は手浴、○は温熱手袋、*はp<0.05、**はp<0.01をそれぞれ意味する。
【0035】
処置中は手浴および温熱手袋のOxy-Hb量に有意な差は認められないが、処置終了後(150秒)から90秒間は手浴と比べて温熱手袋に有意に高いOxy-Hb量が認められた。
【0036】
手浴において処置中と処置終了後のそれぞれの時間のOxy-Hb量を比較すると、処置終了後において有意に低いOxy-Hb量が認められた。
【0037】
温熱手袋では、処置終了直前(120秒)と処置終了直後(150秒)にのみ有意差が認められた。
【0038】
二元配置分散分析、Tukey検定により処置終了後、温熱手袋が手浴と比較して有意に高かった。手浴は処置中と比較して処置終了後に有意に低下した。温熱手袋では処置中の120秒時点と処置終了後の150秒時点にのみ有意差が認められた。
【0039】
(2)手浴および温熱手袋による左背内側前頭前野のOxy-Hb量の変化を図8に示した。図中、縦軸はOxy-Hb量(mMol/cm)、横軸は時間経過を示し、◇は手浴、○は温熱手袋、*はp<0.05、**はp<0.01を、それぞれ意味する。
【0040】
処置中は手浴および温熱手袋中のOxy-Hb量に有意な差は認められないが、処置終了後(150秒)から90秒間は手浴と比べて温熱手袋に有意に高いOxy-Hb量が認められた。
【0041】
手浴において処置中と処置終了後のそれぞれの時間のOxy-Hb量を比較すると、処置終了後において有意に低いOxy-Hb量が認められた。
【0042】
温熱手袋では、処置終了直前(120秒)と処置終了直後(150秒)にのみ有意差が認められた。
【0043】
二元配置分散分析後、一元配置分散分析、Tukey検定により処置終了後、温熱手袋が手浴と比較して有意に高かった。手浴は処置中と比較して処置終了後に有意に低下した。温熱手袋では処置中の120秒時点と処置終了後の150秒時点にのみ有意差が認められた。
【0044】
このことは、本発明が、ヒーター部の熱を手に直接的に照射するのではなく、遠赤外線を放出する鉱物を練り込んだシート部の輻射熱を介して手の全体を温熱することによって、表面的な温熱ではなく、手の内部の中枢(神経系)にまで熱が伝導することによって得られた効果であると考えられる。
【0045】
<主観的気分>
長さ10cmスケール(左端が「温かくない」、右端が「温かい」)を用いて、対象者に線を付けてもらい、温かさの変化を調べた。図9に結果を示した。図中、縦軸はVASスケール(cm)(1)を示し、*はp<0.01を意味する。
【0046】
手浴および温熱手袋の後では有意に主観的温かさが上昇(p<0.01、二元配置分散分析)。手浴と温熱手袋の間に有意な差は認められなかった。
【0047】
二元配置分散分析を行った後、一元配置分散分析を行い、手浴前と比較して手浴後に有意に高い値が認められ、温熱手袋前と比較して温熱手袋後に有意に高い値が認められた。
【0048】
(2)長さ10cmのスケール(左端が「落ち着かない」、右端が「落ち着く」)を用いて、対象者に線を付けてもらい、落ち着きの変化を調べた。図10に結果を示した。図中、縦軸はVASスケール(cm)を示し、**はp<0.01を意味する。
【0049】
処置(手浴・温熱手袋)後では処置前(手浴・温熱手袋)と比較して、主観的落ち着きにおいて有意に高い値が認められた(p<0.01、二元配置分散分析)。
【0050】
(3)長さ10cmのスケール(左端が「心地よくない」、右端が「心地よい」)を用いて、対象者に線を付けてもらい、心地よさの変化を調べた。図11に結果を示した。図中、縦軸はVASスケール(cm)を示し、*はp<0.05、**はp<0.01を意味する。
【0051】
手浴前と比較して手浴後に有意に高い値が認められた(p<0.01)。手浴前と温熱手袋前を比較すると温熱手袋前が有意に高い値が認められた(p<0.05)
【0052】
(4)長さ10cmスケール(左端が「眠くない」、右端が「眠い」)を用いて、対象者に線を付けてもらい、眠さの変化を調べた。図12に結果を示した。図中、縦軸はVASスケール(cm)を示し、*はp<0.05を意味する。
【0053】
処置(手浴・温熱手袋)後では処置(手浴・温熱手袋)前と比較して、主観的眠気において有意に高い値が認められた(p<0.05、二元配置分散分析)。手浴と温熱手袋の間に有意な差は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の温熱手袋は、手浴と同等以上の温熱効果があり、手浴に比して、中枢神経系への効果が持続する。従って、本発明の温熱手袋を使用することにより、手袋に手を入れるのみで、前頭前野を賦活することができ、高齢者などが日常生活の状態に左右されることなく、手浴と同様の処置を安全かつ手軽に実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 温熱手袋
1a 手袋の表地
1b 手袋の裏地
2 温度制御されたヒータ部
3 遠赤外線を放出するシート部
4 手が入る空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12