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特許7076107触覚効果の生成方法及びそれを用いた装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】触覚効果の生成方法及びそれを用いた装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220520BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220520BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20220520BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/041 480
G06F3/02 F
H04M1/00 R
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019536076
(86)(22)【出願日】2017-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2017073923
(87)【国際公開番号】W WO2018121894
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】16207426.4
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(73)【特許権者】
【識別番号】519217777
【氏名又は名称】オジェイン ユニヴェルシテシ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キリスケン,バルバロス
(72)【発明者】
【氏名】ベベク,オズカン
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-079135(JP,A)
【文献】特開2009-187579(JP,A)
【文献】特開2016-177360(JP,A)
【文献】特表2014-509026(JP,A)
【文献】特開2002-149312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/02
G06F 3/041
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスクリーンまたは容量性ボタンに触覚効果を発生させる方法であって、
AC駆動信号を生成して、駆動期間中に線形共振アクチュエータを振動させ、前記触覚効果を生成すること、及び
前記駆動期間の間に周波数を変化させるために前記AC駆動信号を制御すること、を含み、
前記駆動期間は、前記AC駆動信号の周波数が、前記線形共振アクチュエータの共振周波数より低い第1周波数値に実質的に一定に保たれる第1時間セグメントと、
前記AC駆動信号の周波数が、前記共振周波数にほぼ等しい第2周波数値に実質的に一定に保たれる第2時間セグメントと、
前記AC駆動信号の周波数が、前記第1周波数値より低い第3周波数値から前記第3周波数値より低い第4周波数値に減少するように制御される第3時間セグメントと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1時間セグメントが前記第2時間セグメントに先行し、前記第2時間セグメントが前記第3時間セグメントに先行する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1周波数値は、前記第2周波数値の少なくとも85%、最大で98%に達する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記AC駆動信号は、前記駆動期間にわたってその振幅を変化させるようにさらに制御される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記AC駆動信号の振幅は、前記第1時間セグメントにおいて、前記第1時間セグメントの初期振幅値から極大振幅値まで増加し、前記第1時間セグメントの最終振幅値まで減少するように制御される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1時間セグメントの前記最終振幅値は、前記第1時間セグメントの前記初期振幅値よりも高い、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1時間セグメントの前記最終振幅値は、前記第3時間セグメントの最終振幅値よりも高い、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記極大振幅値は、前記第2時間セグメントにおけるAC駆動信号の振幅の最大値よりも低い、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第3時間セグメントの間に、前記AC駆動信号の振幅が減少するように制御される、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第3時間セグメントの最終振幅値は、前記第1時間セグメントの初期振幅値以上である、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2時間セグメントは、前記第1時間セグメントよりも長い、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第3時間セグメントは、前記第1時間セグメントよりも長い、又は前記第1時間セグメント及び前記第2時間セグメントよりも長い、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記AC駆動信号の振幅が、前記タッチスクリーン上で検出されたタッチと前記線形共振アクチュエータとの間の距離に応じてスケーリングされる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記タッチスクリーン及び/または前記容量性ボタン、前記線形共振アクチュエータ、及び前記AC駆動信号を制御するためのAC駆動信号コントローラを備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、装置。
【請求項15】
逆EMFフィードバック制御を含む、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚効果を生じさせる方法、及びそのような方法を使用するよう構成された装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーン操作は、携帯電話や他の家庭用電子機器などの多数のアプリケーションにとって一般的な技術となっている。触覚フィードバックを提供し、操作のやりやすさを改善するために、振動を発生させるための様々なハードウェア要素、特に偏心回転質量モータ、圧電アクチュエータ及び線形共振アクチュエータが一般的に使用される。
【0003】
線形共振アクチュエータは、ばねに接続された可動磁気質量を押圧するボイスコイルを含む。ボイスコイルは、電気駆動信号によって駆動され、該電気駆動信号の周波数及び振幅に応じて単一の軸に沿って振動力を発生させる。ボイスコイルアクチュエータ自体は当該技術分野において周知である(Bill Black, et al:1993年7月、PCIM Power Electronics Systems「ボイスコイルアクチュエータの基本」)。
【0004】
概して、線形共振アクチュエータは、偏心回転質量モータよりも短い起動時間を有し、消費電力量がより少なく、そして生成ノイズがより少ないため、ますます普及してきている。
【0005】
タッチスクリーンと同様に、静電容量式ボタンは、ばねまたはエラストマー要素などの弾性要素によって支持された変位可能なボタンの機械的アセンブリを含む従来の押しボタンに代わることが多い。したがって、従来の押しボタンの感触を模倣することは、触覚効果としてしばしば望まれる。しかしながら、従来のボタンのやや現実的な印象は、振動触覚手段だけを使用して達成するのは容易ではなく、通常、複数の振動のアクチュエータまたはサイズが大きなアクチュエータを必要とする。結果として、それぞれの装置の内部に必要なスペース及びそのような解決策を実装するためのコストはかなりのものである。更に、そのような取り組みにもかかわらず、従来技術から知られている駆動パターンを使用して達成される振動触覚効果は、従来の押しボタンに満足な程度まで似ているとはユーザに認められないことが多い。
【0006】
US2012/0200509A1は駆動パターン(「触覚プロファイル」)を受信し、該駆動パターンから所望の触覚効果に対応する正弦波を生成するようにコントローラに接続されたアクチュエータを開示している。駆動パターンに応じて、振幅、周波数と駆動期間の長さは、変化する。
【0007】
本発明に対する更なる背景先行技術は、US2016/0246376A1、US2016/0155305A1、US9,235,267、US2007/0152974A1、US8,860,562、及びUS2010/0097198A1で述べられている。
【発明の概要】
【0008】
[発明の目的]
したがって、本発明の目的は、先行技術の用途に関連する問題の少なくともいくつかを軽減する触覚効果を生み出すための方法及び装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、以前から知られている振動触覚効果とは異なる触覚印象を提供することである。
【0009】
[発明の説明]
上記の目的に鑑み、一態様によれば、本発明は、タッチスクリーンまたは静電容量式ボタン上に触覚効果を生じさせる方法を提供し、ここで、AC駆動信号は、触覚効果を生じさせるために駆動期間中に線形共振アクチュエータを振動させるために生成され、前記AC駆動信号は、前記駆動期間の間にその周波数を変えるように制御される。駆動期間は、AC駆動信号の周波数が線形共振アクチュエータの共振周波数よりも低い第1周波数値に実質的に一定に保たれる第1時間セグメントと、AC駆動信号の周波数が線形共振アクチュエータの共振周波数にほぼ等しい、好ましくは2%未満外れる第2周波数値に実質的に一定に保たれる第2時間セグメントと、AC駆動信号の周波数が第1周波数値よりも低い第3周波数値から第3周波数値よりも低い第4周波数値に減少するように制御される第3時間セグメントと、を含む。実質的に一定とは、経時的に好ましくは5%未満増減すること、特に好ましくは2%未満増減することを意味する。
【0010】
結果として生じる効果は、従来技術から一般に知られている振動触覚システムよりも、実際の機械式ボタンの感触を模倣することを可能にする。特に、第3時間セグメントにおいて周波数を徐々に減少させることは、柔らかさ知覚を与える。好ましくは、第1時間セグメントは第1時間セグメントに先行し、第2時間セグメントは第3時間セグメントに先行する。
【0011】
特に好ましい実施形態では、第1周波数値は、第2周波数値の少なくとも85%、最大で98%である。
【0012】
駆動期間の間にその振幅を変化させるようにAC駆動信号を制御することがさらに好ましい。そこでは、第3時間セグメント中にAC駆動信号の振幅が減少するように制御することが特に有利である。第3時間セグメントにおいて徐々に振幅を減少させることは、柔らかさ知覚が増す。
【0013】
有利な実施形態によれば、第1時間セグメントにおけるAC駆動信号の振幅は、第1時間セグメントの初期振幅値から極大振幅値まで増加し、好ましくは第1時間セグメントの初期振幅値よりも高く、好ましくは第3時間セグメントの最終振幅値よりも高い、第1時間セグメントの最終振幅値まで減少するように制御される。また、好ましくは、前記極大振幅値は、第2時間セグメントにおけるAC駆動信号の振幅の最大値より低い。更に、第3時間セグメントの最終値は、好ましくは第1時間セグメントの初期振幅値以上である。
【0014】
好ましくは、第2時間セグメントは、第1時間セグメントよりも長い。また好ましくは、第3時間セグメントは、前記第1時間セグメントよりも長く、好ましくは前記第2時間セグメントよりも長い。
【0015】
有利には、第1時間セグメントの長さの下限は0msであり、第1時間セグメントの長さの上限は10msと15msの間、最も好ましくは12msであり、第2時間セグメントの長さの下限は10msから15msの間、最も好ましくは12msであり、第2時間セグメントの長さの上限は20msから30msの間、最も好ましくは25msであり、第3時間セグメントの長さの下限は20msから30ms、最も好ましくは25msであり、第2時間セグメントの長さの上限は60msから80msの間、最も好ましくは70msから75msの間である。
【0016】
特に有利な実施形態によれば、AC駆動信号の振幅は、タッチスクリーン上で検出されたタッチと線形共振アクチュエータとの間の距離に応じて調整される。
【0017】
本発明は、(静電容量式または抵抗式)タッチスクリーン及び/または静電容量式ボタン、線形共振アクチュエータ、及びAC駆動信号を制御するためのAC駆動信号コントローラを備える装置で有利に実施されることができる。コントローラは、多くの方法で、例えば、カスタマイズされたIC、DSP、またはコントローラのソフトウェア実装を実行するCPUを使用して有利に実装されることができる。好ましくは、装置は、線形共振アクチュエータ(LRA)の閉ループ(逆EMFフィードバック制御)を含む。
【0018】
線形共振アクチュエータ(LRA)は、標準LRA、好ましくはコイン型(円筒形)LRA、最も好ましくはブラシレスLRAであることができる。したがって、本発明は、大部分の標準ハードウェア構成要素を使用して、低コストで実施することができる。
【0019】
発明を実施するために、対称AC電圧源は必要ではなく、非対称AC電圧源(負または正のAC振幅)は適切なAC駆動信号を生成するのに十分である。例えば、駆動電圧は、バッテリ電圧を3.80V未満に保つためには最大2.80V~3.20V(駆動信号の最大振幅値)付近、又はバッテリ電圧を4.20V未満に保つためには最大3.90V(駆動信号の最大振幅値)まで維持される。駆動電圧を理論上無制限に、例えば実際の用途では15V~25Vまで増加させることができるように、DC-DCブースト(ステップアップ)コンバータを使用することも可能であり、特に好ましくはないが有利である。
【0020】
本発明は、多種多様な装置、例えば、携帯電話、特にスマートフォン、タブレット、その他の家電製品に適用可能である。
【0021】
本発明は、単一のLRAデバイスで特に有用であるが、2つ以上のLRAを有するデバイスでも実施されることができる。
【0022】
通常、本明細書に記載の任意の実施形態または選択肢は、実際の適用条件に応じて特に有利であり得る。更に、1つの実施形態の特徴は、技術的に可能な限り、そして他に示されない限り、他の実施形態の特徴、並びに先行技術からそれ自体公知の特徴と組み合わせることができる。
【0023】
以下に、本発明とその好ましい実施形態は、例としてさらに詳細に説明する。添付の図面は、単なる概略図であり、本発明の特徴をよりよく理解するために役に立つ。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を実施するスマートフォン装置のタッチスクリーン上の上面の概略図である。
図2】本発明を実施する他のスマートフォン装置の図1と同様の上面の概略図である。
図3図2に示したスマートフォン装置と同様に、本発明を実施するスマートフォン装置の断面の概略図である。
図4】本発明の一実施形態における例示的なアクチュエータ駆動回路のブロック図である。
図5】横軸に時間をとり、縦軸に電圧をとって、1駆動期間のAC駆動信号波形の一例を表す図である。
図6図5に示したAC駆動信号波形の包絡線を示す。
図7図6の包絡線における臨界振幅レベルを示す。
図8図5と同様であるが負の駆動電圧を有する例示的なAC駆動信号波形を示す図である。
図9】2つの異なるデューティサイクルを示す。
図10】メイン駆動信号の振幅をスケーリングするためのスケーリング制御の一例を示すブロック図である。
図11】時間経過に伴うピーク振幅における3つの異なる倍率の適用を示す。
図12】本発明によって生成された触覚効果によって模倣された機械的押しボタンの概略例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[詳細な説明]
図1は、本発明に係るタッチスクリーン装置101の概略上面図である。特に、図示されたタッチスクリーン装置101は、従来のスマートフォンと同様のスマートフォンであり、従来の静電容量式または抵抗式タッチスクリーン102と、ホームボタンなどの動かすことができない物理的な静電容量式ボタン106と、を備える。従来技術から一般に知られているように、タッチスクリーン102は、例えば、英数字及びグラフィックスクリーンの内容を表示するためのEPD(電子ペーパーディスプレイ)またはバックライトTFT(薄膜トランジスタ)又はOLED(有機発光ダイオード)タイプであることができ、標準GUI(グラフィカルユーザインタフェース)を操作するためのユーザのタッチ操作を検出するために使用される。例示的な3つの異なるタッチ領域103、104、及び105が破線で示されており、タッチ領域103、104、及び105は、GUIの下で実行されるアプリケーションにおけるプッシュボタン画像を表している。
【0026】
図1には示されていないが、下側スクリーン部分タッチ領域105及び駆動回路並びにその閉ループ制御の真下及びそのすぐ近くに位置するコイン型LRA(線形共振アクチュエータ)がある。円筒形のLRAの長手方向軸は、タッチスクリーン102の表面に対して垂直である。製造コスト、全体のサイズ、重量及び消費電力を低減するために、タッチスクリーン装置101は単一のLRAデバイスとして実施される。
【0027】
図2は、図1と同様のタッチスクリーン装置101を示し、例えば、戻るボタン201、ホームボタン202、機能ボタン203、音量アップボタン204、音量ダウンボタン205として使用される、第1の物理的な静電容量式ボタン201、第2の物理的な静電容量式ボタン202、第3の物理的な静電容量式ボタン203、第4の物理的な静電容量式ボタン204、及び第5の物理的な静電容量式ボタン205を有する。図1のタッチスクリーン装置101と同様に、図2のタッチスクリーン装置101は、GUIを使用して操作することができるスマートフォンである。
【0028】
図3は、LRAの配置のみを示した、図2のタッチスクリーン装置101の断面図であり、基本的に従来技術から知られているように実装することができる他の回路は示していない。ここで、第1のコイン型(円筒形)線形共振アクチュエータ301がタッチスクリーン装置101の右下(右側)の物理的な静電容量式ボタン203に近接して配置され、第2のコイン型線形共振アクチュエータ302が左の(第1の)物理的な静電容量式ボタン201に近接してタッチスクリーン装置101の左下側に配置され、タッチスクリーン装置101の中央に第3のコイン型線形共振アクチュエータ303が配置され、タッチスクリーン装置101の右上には第4のコイン型線形共振アクチュエータ304が配置され、タッチスクリーン装置101の左上には第5のコイン型線形共振アクチュエータ305が配置されている。参照番号306は、それ自体先行技術から知られている任意の他のタイプの線形共振アクチュエータ、または、例えば長方形の、タッチスクリーン102の中央下部付近に配置されたLRAの組み合わせを表す。
【0029】
図4は、図1のタッチスクリーン装置101のLRAの駆動に適した例示的なアクチュエータ駆動回路の概略ブロック図を示す。バッテリ401は、バッテリ管理回路402に接続され、バッテリ管理回路402は、CPU、マイクロコントローラ、メモリチップセット、及び入出力チップセットを含むメインシステムICセット403によって順に制御される。メインシステムICセットはさらに、バッテリ管理回路402に接続され、メインシステムICセット403によって制御されて、図5に示す波形などの所定の波形に従ってAC駆動信号をLRA407に提供する、アクチュエータ駆動ステージ404を制御する。従来技術の閉ループLRA制御設定からそれ自体知られているように、アクチュエータ駆動ステージ404はまた、閉ループ制御のための逆EMFフィードバック409を検出するように構成される。図4の一般的な設定はまた、図2の第1から第6のLRA301~306などの追加の線形共振アクチュエータ408を制御するためにも使用することができる。
【0030】
従来のスマートフォンと同様に、メインシステムICセット403は、(例えば静電容量式)タッチ検出406を用いて実際のディスプレイ(例えばTFTまたはOLED)405をさらに制御する。
【0031】
アクチュエータ駆動ステージ404によって供給される典型的なAC駆動信号波形は、図5に概略的に示されている。ここでは、電圧(縦座標501)は、参照番号507で示されるゼロ振幅レベルで経時的(横座標502)にプロットされている。変動する振幅は、図6及び図7に示されるそれぞれの包絡線512において最もよく見られ、図7は臨界振幅レベル701~705を示している。
【0032】
一般に、駆動期間の第1時間セグメント504において、図5に示されるAC駆動信号波形によって具現化される新規のLRA駆動パターンは、LRA407の共振周波数510のわずかに(例えば2~15%)下の第1周波数509で約300Hzの全て正(または図8に示すように全て負)の作動開始振動を有することができる。次に、周波数は、第1時間セグメント504よりも長い第2時間セグメント505において共振周波数510に増加する。次に、振幅と共に駆動周波数は、第2時間セグメントよりも長い第3時間セグメント506において徐々に減少する。
【0033】
包絡線512から分かるように、AC駆動信号の振幅は、駆動期間の第3時間セグメント506だけでなく、好ましくは、第1及び第2時間セグメント504、505においても変化する。そこでは、振幅は、第1時間セグメント504の初期振幅値705から極大振幅値702まで増加し、次に、第1時間セグメント504の初期振幅値705よりも大きな、第1時間セグメント504の最終振幅値703まで減少する。
【0034】
第1時間セグメント504の直後の第2時間セグメント505では、振幅は、全体のピーク振幅値503まで急速に増加され、第2時間セグメント505の直後の第3時間セグメント506の初期振幅値701に急速に降下する前に所定の時間一定に保たれる。第3時間セグメント506の最終振幅値704は、第1時間セグメント504の初期振幅値705より高いことが好ましい。
【0035】
例えば、第1時間セグメントの長さは0ミリ秒から10~15ミリ秒、最も好ましくは12ミリ秒の範囲であり、第2時間セグメントの長さは10~15ミリ秒、最も好ましくは12ミリ秒から20~30ミリ秒、好ましくは25ミリ秒の範囲であり、第3時間セグメントの長さは20~30ミリ秒、最も好ましくは25ミリ秒から60~80ミリ秒、最も好ましくは70~75ミリ秒の範囲であってもよい。
【0036】
上述のように、また図8に示されるように、励起は、包絡線512-及び負ピーク振幅503-の負電圧のAC駆動信号を用いても達成され得る。
【0037】
図9に示されるように、デューティサイクルは、ほぼ等しい長さのオンサイクル901及びオフサイクル903(図9の左側)、または、より長いオンサイクル903及びより短いオフサイクル904(図9の右側)でそれぞれ変化し得る。
【0038】
特に単一のLRAの場合、スクリーン上の異なる位置を押すことは、LRAの位置とそれぞれのタッチ領域103~105との間の距離が異なっていても、本質的に同じ触覚印象を達成するために、AC駆動信号に対するいくらかの調整を必要とし得る。そこでは、駆動信号は、図10のようなスケーリング制御に従ってスケーリングされる。メイン駆動信号1001は、タッチが検出されたタッチ領域103~105に応じたタッチ入力検出信号に従って振幅スケーリング1002が施される。スケーリングは、基本的に倍率による振幅乗算を含む。スケーリングされた出力信号1004はLRAを駆動するために使用される。
【0039】
図11は、時間経過に伴うピーク振幅1101における3つの異なる倍率の適用を示す図である。グラフ1103は、左上のタッチ領域103のようなより離れたタッチ領域に適合するように適応された、例えば0.8~1の倍率による振幅スケーリングを示す。グラフ1105は、右上のタッチ領域104に適合するように適応された、例えば0.6~0.8の倍率による振幅スケーリングを示す。グラフ1107は、下部スクリーン部分タッチ領域105または物理的な静電容量式ボタン106のようなLRAの位置付近のタッチ領域に適合するように適応された、例えば0.4~0.6の倍率による振幅スケーリングを示す。参照番号1104、1106及び1108は、それぞれのフィルタリングを示す。
【0040】
本発明は、図12に示すような弾性エラストマー要素またはばねアセンブリ1203、1204によって支持された、変位可能な機械式ボタン1201で知覚されるものと同様の触覚効果を生み出すことを可能にする。
【0041】
本発明は、タッチスクリーンまたは静電容量式ボタン上に触覚効果を生成する方法を記載しており、前記方法は、駆動期間中に線形共振アクチュエータを振動させて前記触覚効果を生成させるAC駆動信号を生成すること、及び前記駆動期間中にその周波数を変化させるために前記AC駆動信号を制御することを含み、前記駆動期間は、前記AC駆動信号の周波数が前記線形共振アクチュエータの共振周波数より低い第1周波数値に実質的に一定に保たれる第1時間セグメントと、前記AC駆動信号の周波数が前記共振周波数にほぼ等しい第2周波数値に実質的に一定に保たれる第2時間セグメントと、前記AC駆動信号の周波数が前記第1周波数値より低い第3周波数値から前記第3周波数値より低い第4周波数値まで減少するように制御される第3時間セグメントとを含む。
【符号の説明】
【0042】
[参照番号]
101 タッチスクリーン装置
102 タッチスクリーン
103 左上のタッチ領域
104 右上のタッチ領域
105 画面下部のタッチ領域
106 物理的な静電容量式ボタン
201 第1の物理的な静電容量式ボタン
202 第2の物理的な静電容量式ボタン
203 第3の物理的な静電容量式ボタン
204 第4の物理的な静電容量式ボタン
205 第5の物理的な静電容量式ボタン
301 第1線形共振アクチュエータ
302 第2線形共振アクチュエータ
303 第3線形共振アクチュエータ
304 第4線形共振アクチュエータ
305 第5線形共振アクチュエータ
306 第6線形共振アクチュエータ
401 バッテリ
402 バッテリ管理
403 メインシステムIC
404 アクチュエータ駆動ステージ
405 ディスプレイ
406 タッチ検出
407 線形共振アクチュエータ
408 追加の線形共振アクチュエータ
409 EMFフィードバック
501 電圧軸
502 時間軸
503 ピーク振幅
504 第1時間セグメント
505 第2時間セグメント
506 第3時間セグメント
507 ゼロ振幅レベル
509 第1駆動信号周波数
510 共振周波数
511 周波数の低下
512 駆動信号エンベロープ
701 第3時間セグメントの初期振幅値
702 第1時間セグメントの極大振幅値
703 第1時間セグメントの最終振幅値
704 第3時間セグメントの最終振幅値
705 第1時間セグメントの初期振幅値
901 50%オンサイクル
902 50%オフサイクル
903 より長いオンサイクル
904 より短いオフサイクル
1001 メイン駆動信号
1002 振幅スケーリング
1003 タッチ入力検出信号
1004 出力信号
1101 ピーク振幅軸
1102 時間軸
1103 第1スケーリング
1104 第1フィルタリング
1105 第2スケーリング
1106 第2フィルタリング
1107 第3スケーリング
1108 第3フィルタリング
1201 プッシュボタン
1202 弾性エラストマー要素
1203 スプリング
1204 スプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12