(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】米の粉砕物が配合された家禽用飼料
(51)【国際特許分類】
A23K 10/30 20160101AFI20220520BHJP
A23K 40/00 20160101ALI20220520BHJP
A23K 50/75 20160101ALI20220520BHJP
A01K 39/012 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A23K10/30
A23K40/00
A23K50/75
A01K39/012 A
(21)【出願番号】P 2020118455
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2020-07-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開示日 令和2年1月31日 開示場所 JA全農たまご株式会社本社(開示当時の本社所在地は東京都千代田区内神田1-1-12) 〔刊行物等〕 開示日 令和2年2月27日 開示場所 株式会社岩手ファーム本社(岩手県盛岡市下田字生出731-7) 〔刊行物等〕 開示日 令和2年3月17日(初回販売日)販売場所株式会社岩手ファーム 第3農場(岩手県盛岡市下田字生出890-7) 〔刊行物等〕 開示日 令和2年4月5日(初回販売日)販売場所 株式会社ヤオコー(埼玉県川越市新宿町1丁目10番地1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000201641
【氏名又は名称】全国農業協同組合連合会
(73)【特許権者】
【識別番号】503011745
【氏名又は名称】JA全農北日本くみあい飼料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隼巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和明
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-057577(JP,A)
【文献】特開2014-057576(JP,A)
【文献】特開2000-253837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
A01K 39/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米
又は精白米
である米の粉砕物が配合された家禽用飼料であって、米の配合割合が
50%~70%であり、油脂の配合割合が3%以下であり、前記米の粉砕物は、粒径が1mm~2mmの粉砕物を米の総配合重量の3分の2以上の量で含む、家禽用飼料。
【請求項2】
米以外の穀物原料が配合されていない、請求項
1記載の飼料。
【請求項3】
米の配合割合が50%~65%である、請求項1
又は2記載の飼料。
【請求項4】
家禽が鶏である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の飼料。
【請求項5】
鶏が採卵鶏である、請求項
4記載の飼料。
【請求項6】
マッシュ飼料である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の飼料。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の飼料を家禽に給餌することを含む、家禽の飼育方法。
【請求項8】
請求項
5記載の飼料を採卵鶏に給餌することを含む、鶏卵の生産方法。
【請求項9】
自動給餌機械により家禽に給餌する飼料として、請求項1~
6のいずれか1項に記載の飼料を用いることを含む、自動給餌機械の詰まりを抑制する方法。
【請求項10】
玄米
又は精白米
である米の粉砕物であって、粒径が1mm~2mmの粉砕物を3分の2以上の割合で含む米の粉砕物を
50~70重量部と、3重量部以下の油脂を混合することを含む、家禽用飼料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米の粉砕物が配合された家禽用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内では米の消費量が年々減少し、遊休水田が耕作放棄地となる問題が発生している。国土の保全や農業振興、食料自給率向上といった観点から米の消費を促進するため、米を家畜の配合飼料の原料として活用する取り組みが行われている。配合飼料の輸入穀物を国産米に置き換えることで大量の米需要が生まれる。
【0003】
非特許文献1には、採卵鶏、肉用鶏のいずれも、栄養素の調整を行えば飼料中のトウモロコシを玄米や籾米で全量代替できるとの記載があるが、飼料の形状変化に伴う既存の給餌施設への適合に対する不安や飼料への油脂添加量の増加に伴う飼料のハンドリングに係る問題など、全量代替に対する生産者や飼料メーカーの懸念を払拭できず、半量代替が安全であろうとの提案がなされている。
【0004】
特許文献1、2には、籾殻又は籾米の粉砕物を含有する飼料原料をペレットないしはペレットクランブルとした採卵鶏用飼料及び肉用鶏用飼料がそれぞれ記載されている。特許文献1、2では、籾殻又は籾米は繊維分の多い原料として飼料に添加されている。実施例で添加の効果が示されている籾米の配合割合は最大でも30%であり、穀類原料の大部分を代替する原料としては開示されていない。また、籾米をペレットクランブル化せず、籾米粉砕物の形態でペレットクランブル飼料に配合した場合には、発育成績を改善する等の効果が認められなかったというデータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-57576号公報
【文献】特開2014-57577号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】飼料用米の生産・給与技術マニュアル<2016年度版>、p.168-184、「7 鶏への飼料用米給与」、2017年3月31日発行、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1にも記載されるように、飼料中の穀類の全量を米で代替する全量代替に対しては生産者や飼料メーカーが懸念を抱いている。実際に、配合飼料の穀類を全て米に置き換えると、例えば養鶏においては大規模自動化された鶏舎の給餌機械の中で飼料が詰まって鶏が食べることができなくなったり、鶏が配合飼料の米粒を好んで食べ、他の配合原料を食べ残すことで摂取栄養素が偏り、産卵成績や卵の質に変化が生じて商品価値が低下する等の問題が発生する。養鶏用の配合飼料で米の活用を進めるにはこれらの解決が必要である。本発明は、米を利用した家禽用飼料における、給餌機械の詰まりや、米粒のえり食いによる弊害の問題を解決できる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、採卵鶏用の配合飼料に米を使用する際に、米粒を特定のサイズに粉砕したうえで、油脂の添加量を抑えることにより、給餌機械の中で詰まることや、米粒のえり食いによる弊害を起こすことを防止できることを見出し、本願発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、玄米又は精白米である米の粉砕物が配合された家禽用飼料であって、米の配合割合が50%~70%であり、油脂の配合割合が3%以下であり、前記米の粉砕物は、粒径が1mm~2mmの粉砕物を米の総配合重量の3分の2以上の量で含む、家禽用飼料を提供する。また、本発明は、上記本発明の飼料を家禽に給餌することを含む、家禽の飼育方法を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の飼料を採卵鶏に給餌することを含む、鶏卵の生産方法を提供する。さらに、本発明は、自動給餌機械により家禽に給餌する飼料として、上記本発明の飼料を用いることを含む、自動給餌機械の詰まりを抑制する方法を提供する。さらに、本発明は、玄米又は精白米である米の粉砕物であって、粒径が1mm~2mmの粉砕物を3分の2以上の割合で含む米の粉砕物を50~70重量部と、3重量部以下の油脂を混合することを含む、家禽用飼料の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の家禽用飼料によれば、穀類原料の大部分ないし全部を米で代替しても、給餌機械の詰まりや、米粒のえり食いによる卵の品質低下などの弊害を防止することができる。また、本発明によれば、穀類原料の大部分ないし全部を米で代替しても、マッシュ形状のままでえり食いを防止できるので、ペレットやペレットクランブルの形状への加工は不要であり、米を高配合した実用的な家禽用飼料を低コストで提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の家禽用飼料は、籾米、玄米及び精白米から選択される米の粉砕物が配合された飼料である。米の種類は特に限定されず、ジャポニカ米でもインディカ米でもよい。籾米、玄米及び精白米のうちのいずれを用いてもよく、これらのうちの1つのみを用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、玄米又は精白米を特に好ましく用いることができる。
【0012】
飼料中の米の配合割合は40%~70%であり、例えば50%~65%としてもよい。米以外の穀類原料は、配合してもよいし、配合しなくともよい。すなわち、穀類原料の全てを米としてもよいし、一部(例えば、穀類原料のうちの80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上)を米としてもよい。米として籾米を使用する場合、上記した米の配合割合は、籾部分も含んだ配合割合を意味する。なお、一般的な鶏用飼料では、トウモロコシなどの穀類原料の配合割合は概ね50~60%程度である。
【0013】
飼料中の油脂の配合割合は3%以下であり、例えば2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1.3%以下、又は1%以下としてもよい。油脂の種類は特に限定されず、鶏などの家禽用飼料において一般的に用いられる油脂や、家禽用飼料に使用可能な油脂のうちのいずれであってもよい。具体例として、イエローグリースやレンダリング油(飼料用動物性油脂)、使用済み食用油脂、食用植物油脂(大豆油、菜種油、コーン油、米油など)、食用動物油脂(豚脂など)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0014】
本発明における「油脂」という語は、飼料原料のうち油脂として配合される原料をいう。飼料中の油脂の配合割合といった場合、油脂として配合される原料の配合割合を意味しており、他の原料に微量に含有され得る油脂分は包含されない。本発明の飼料は、油脂以外の原料に含有される油脂分も含めた油脂の含有割合が3%以下、例えば2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1.3%以下、又は1%以下であってもよい。
【0015】
なお、本発明において、「%」は重量パーセントである。
【0016】
本発明において、飼料に配合する米の粉砕物は、粒径が1mm~2mmの粉砕物を米の総配合重量の3分の2以上の量で含む。上記粒径の粉砕物の含量は、米の総配合重量の10分の7以上、10分の7.5以上、10分の8以上、10分の8.5以上、10分の9以上、10分の9.5以上、又は10分の9.7以上としてもよく、飼料に配合する米の粉砕物の全量が上記粒径であってもよい。本発明において、粒径が1mm~2mmとは、目開き1mmのふるいを通過せず、かつ、目開き2mmのふるいを通過するサイズを意味する。
【0017】
本発明の飼料の製造においては、籾米、玄米及び精白米から選択される米を粉砕して、粒径が1mm~2mmの粉砕物を3分の2以上の割合で含む米の粉砕物を調製し、かかる米の粉砕物を40~70重量部と、3重量部以下の油脂を、その他の原料と混合すればよい。米の粉砕物及び油脂以外で本発明の飼料に配合するその他の原料及びその配合量は特に限定されない。その他の原料については、給餌する家禽の種類及び齢に応じた一般的な飼料組成を採用することができる。所望により、日本標準飼料成分表の値などを参考にして養分要求量を充足しているかどうかを確認し、栄養素を調整してもよい。本発明の飼料においては、米の粉砕物を40%~70%(40~70重量部)、油脂を3%以下(3重量部以下)の割合で配合するので、他の原料の配合割合は27%~60%(27~60重量部)である。
【0018】
本発明の飼料の形状としては、マッシュが好ましい。米の粉砕物の粒径を上記の通りとすることで、粉末~粒状の原料及び液状の原料を混ぜ合わせたマッシュ飼料の形態でも、米のえり食いを防止することができ、卵黄色のばらつきや卵の質の変化による商品価値の低下などの、米のえり食いによる弊害を防止することができる。成型してペレット状にしたり、ペレットを粉砕してクランブル状にするなどの加工は不要である。
【0019】
家禽は特に限定されず、鶏の他、アヒル、ウズラ、シチメンチョウ等の種々の家禽が包含される。家禽の好ましい例として、鶏、特に採卵鶏を挙げることができるが、肉用鶏に本発明の飼料を給餌してもよい。また、別の好ましい例として、卵を商品として利用する家禽(例えば鶏、アヒル、ウズラなど)を挙げることができる。本発明の飼料を給餌する家禽の齢も特に限定されず、幼鳥期でも成鳥期でもよい。鶏の場合、初生雛、幼雛、中雛、大雛、成鶏のいずれでもよく、例えば育成期用飼料、成鶏期用飼料、肥育期(肥育前期、肥育後期)用飼料(肉用鶏の場合)、又は成鶏期ないし産卵期用(採卵鶏の場合)として本発明の飼料を利用することができる。例えば、本発明の飼料を採卵鶏に給餌することで、米を配合した飼料において問題となる卵黄色のばらつきや卵の質の変化による商品価値の低下が防止され、一定の品質の鶏卵を生産することができる。
【0020】
米を配合した飼料は自動給餌機械のパイプやライン等の中で詰まりを生じやすいという問題があるが、本発明の飼料は流動性が改善されて詰まりを生じにくいため、自動給餌機械により家禽に給餌する飼料として本発明の飼料を用いることで、自動給餌機械の詰まりを抑制することができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0022】
実証試験1
(1) 試験内容
一般的な採卵養鶏用飼料に、粉砕していない丸粒の玄米を20%配合し、鶏(採卵用鶏の雌成鶏)に24時間自由に食べさせた後、飼料を構成する粒子の直径についてその分布を篩別法により調査したほか、食べる前後の飼料の栄養価を比較した。
【0023】
(2) 試験結果
試験飼料の原料組成を表1-1に示す。試験の結果を表1-2及び表1-3に示す。丸粒米の粒径は2.36mmのポイントに表れている。給与前と給与後の飼料を構成する粒子の割合を比較すると2.36mmの部分が12%減少する一方で、1.00mm~微粉が増加している。この結果から、鶏は丸粒米を好んで摂食する一方、1.00mm以下の細かい粒子は食べ残すことが分かった。また給与前と給与後の飼料の栄養価について比較(給与前と給与後の飼料を化学分析して評価)すると、タンパク質やカルシウムが増加した。これは、エネルギーに富む一方でタンパク質やカルシウムが少ない丸粒米を鶏が好んで摂食した結果、これらの成分が高い飼料が食べ残されたためと考えられた。このような傾向は、鶏が摂取する栄養素のバランスを崩し、卵の質に変化をきたして商品価値を下げるため、飼料米は鶏が好んだり嫌ったりしないおおむね1mm~2mmに粉砕することが望ましいと考えられた。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
確証試験2
(1) 試験内容
採卵用の飼料には一般的に、卵黄を美しい橙色とするために赤系の卵黄着色色素が添加される。しかし飼料に丸粒米を配合すると、個々の卵の卵黄色が揃わずばらつき鶏卵の商品価値が下がる現象が認められる。これは鶏が色素を含まない丸粒米を優先的に食べ、色素が含まれる細かい粒子を食べ残すことが原因と仮定し、一般的な採卵養鶏用飼料に丸粒玄米を60%配合し、一般的に使用される粉砕トウモロコシを60%配合したときと卵黄色の比較を行った。また同時に、鶏が米を優先的に食べられないよう、粉砕した玄米を配合する試験も行った。卵黄の色は色彩色差計により赤み(a*値)を機械測定した数値を指標とした。
【0028】
(2) 試験結果
試験飼料の原料組成を表2-1に示す。試験の結果を表2-2に示す。丸粒玄米を飼料中に60%配合すると、粉砕トウモロコシを飼料中に60%配合した場合と比較して、卵黄の赤みは最大値が高く、最小値が低くなり、ばらつきが大きくなったため、鶏が色素を含まない丸粒米を優先的に食べ、色素が含まれる細かい粒子を食べ残すことによって卵黄の色がばらつくことが確認された。また米を粉砕すると鶏が米の粒が見えなくなり、優先的に食べなくなるので卵黄色のばらつきが抑えられることが分かった。また丸粒米を全て完全に粉砕できず、米全体の3分の1が丸粒米として残っていても卵黄色のばらつきが抑えられることが分かった。
【0029】
【0030】
【0031】
確証試験3
(1) 試験内容
飼料に米を多く配合すると自動給餌機械の中で飼料が詰まりやすくなる。これはエネルギー源として飼料に添加される油脂によって飼料がべたつくことが原因である。米はほかの飼料穀物と比較して油脂を吸収しにくいと仮定し、玄米とトウモロコシを粉砕して、それぞれの粒子の直径別に油脂の吸収率を調査した。油脂として食用大豆油を使用した。
【0032】
(2) 試験結果
結果を表3に示す。丸粒米は、粉砕米やトウモロコシと比較して油脂を非常に吸収しにくいことが分かった。また、米もトウモロコシも粉砕して細かい粒子にするほど油脂を吸収しやすくすることが分かった。また、粒径を揃えて粉砕した場合、米はトウモロコシと比較して油脂を吸収しにくいことが分かった。
【0033】
【0034】
確証試験4
(1) 試験内容
飼料に米を多く配合する場合、自動給餌機械の中で飼料が詰まりにくくするためには米を粉砕することと、油脂の添加量を減らすことが有効と考えられる。そこで飼料に添加する米を丸粒のまま使用せず、粉砕することで飼料が詰まりにくくなるかを検証した。飼料の詰まりやすさは排出安息角で計測した(排出安息角:飼料を自由落下した山の傾斜角度であり、角度が急=値が高いほど流動性が悪く飼料が詰まりやすい)。
【0035】
(2) 試験結果
試験飼料は表2-1と同じ組成とした。結果を表4に示す。飼料に米を多く配合する場合、米を粉砕することで排出安息角が下がり、飼料が詰まりにくくなることが分かった。
【0036】
【0037】
確証試験5
(1) 試験内容
飼料に米を多く配合する場合、自動給餌機械の中で飼料が詰まりにくくするためには米を粉砕することと、油脂の添加量を減らすことが有効と考えられる。そこで飼料に添加する油脂の量を減らすことで飼料が詰まりにくくなるかを検証した。飼料の詰まりやすさは排出安息角で計測した。油脂としてイエローグリースを用いた。
【0038】
(2) 試験結果
試験飼料の原料組成を表5-1に示す。試験の結果を表5-2に示す。飼料に米を多く配合する場合、油脂添加量は3%以下、可能であれば1%程度まで減らすことで排出安息角が下がり、飼料が詰まりにくくなることが分かった。
【0039】
【0040】
【0041】
確証試験6
(1) 試験内容
本発明の技術を活用した飼料を野外の大規模養鶏場で採卵メス成鶏に給与し、産卵成績や卵質に実用上の問題がないか検証した。一般的な飼料を使用している農場にて、粉砕した玄米を62.0%使用した試験飼料に切り替えて産卵成績や卵質を記録し、一定期間後に再び一般的な飼料に切り替えて産卵成績や卵質を記録した。
【0042】
(2) 試験結果
試験飼料の原料組成を表6-1に示す。試験の結果を表6-2に示す。産卵成績として産卵率と卵重を測定し、卵質としてハウユニットと卵殻強度を測定した。一般的に鶏の日齢とともに産卵率は低下し、卵重は大きくなり、ハウユニットと卵殻強度は低下する傾向がある。試験飼料給与中の産卵成績や卵質は、試験飼料の給与前後と比較して同等であり本発明の技術を活用した試験飼料給与中の産卵成績や卵質に問題がないことが確認された。
【0043】
【0044】
【0045】
まとめ
鶏の飼料に米を配合する場合は、次の特長を付加することによって給餌機械での詰まりや卵の質のばらつきによる商品価値の低下を起こさず実用的な飼料製品を作ることができる。
・配合飼料中の米全体の3分の2以上~全量が粉砕されていること。
・粉砕した米の粒径がおおむね1mm~2mmを主としていること。
・飼料への油脂の配合割合が3%以下であること。