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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】送風機のドラムポール
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/54 20060101AFI20220520BHJP
   F04D 29/36 20060101ALI20220520BHJP
   F04D 29/64 20060101ALI20220520BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
F04D29/54 C
F04D29/54 G
F04D29/36 E
F04D29/64 B
F04D29/66 N
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2016144455
(22)【出願日】2016-07-22
(65)【公開番号】P2018013108
(43)【公開日】2018-01-25
【審査請求日】2019-07-02
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】山口 一広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
(72)【発明者】
【氏名】日下部 圭介
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】関口 哲生
【審判官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-238069(JP,A)
【文献】特開平3-286200(JP,A)
【文献】実開昭57-158999(JP,U)
【文献】実開昭62-18398(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D1/00-13/16
F04D17/00-19/02
F04D21/00-25/16
F04D29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン、前記ファン用のモータ、前記ファンの回転軸に設けた第1のプーリ、及び前記モータの出力軸に設けた第2のプーリ、並びに前記第1のプーリと前記第2のプーリとに懸架されたベルトを備える送風機の、横断面はロ字型であって、かつ箱型の角柱でなるドラムポールにおいて、
前記ドラムポールの前記ファンの回転軸は、前記ドラムポールの上下方向の中心部位に備え、
前記ドラムポールの上下側には、前記ドラムポールの中間部位にある中間室を挟んで、上室・下室を備え、
前記中間室より上方に位置する前記上室には、風の送出側から受入側に向かって突出し、かつダクトの流れ方向の上流側に膨出形成したカーブ曲線となるひれ片(5)を備え、前記ひれ片(5)は、前記受入側の壁面(200b)より突出し、前記ひれ片(5)の下端部は有底かつ前記中間室に繋がる前記上室の下端部は無底とし、
前記中間室より下方に位置する前記下室には、風の送出側から受入側に向かって突出し、かつ前記ダクトの前記流れ方向の上流側に膨出形成したカーブ曲線となるひれ片(6)を備え、前記ひれ片(6)は、前記受入側の壁面(201b)より突出し、前記ひれ片(6)の上端部は有底かつ前記中間室に繋がる前記下室の上端部は無底とし、
たことを特徴とする送風機のドラムポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機のドラムポール(角柱、又はガード、ケーシングと称する)に関し、詳しくは、筐体の中心で、かつ上下方向(天地方向)に取付けた箱型を呈する送風機のドラムポールに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の角柱は、特開2007-232102号公報に開示されている発明がある(文献1.)。この文献1.の構造は、筐体(風胴)は、中心よりやや下側に横設した横棧と、筐体の天井(上部)を貫いた形状の角柱を付設した構造であり、横断端面視して方形状の箱型である。従って、風の流れ方向の送出側において、その奥面近傍で渦が発生し易く、この渦の発生は、風のスムーズな流れを阻害する。また、風の流れ方向の受入側において、その正面壁面と受入側壁面で、風との衝突が発生し、騒音の発生の要因となり、かつ風のスムーズな流れを阻害する。また、角柱が筐体の上下側に差渡しされた形態でないと、上下側の風の流れが、区々になり易く、渦発生、及び/又は、騒音が発生し易くなることが考えられる。また、特開2015-169132号公報に開示されている発明がある(文献2.)。この文献2.の構造は、前記文献1.の構造に、モータボス部に冷却手段を設けることで、熱を持つ、例えば、プーリ、ベルト、並びにボス部等の駆動部を空冷する構造である。従って、この文献2.においても、文献1.と同じような課題を抱えていると考えられる。
【0003】
【文献】特開2007-232102号公報
【文献】特開2015-169132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の如く、従来の文献1.と文献2.とにおいては(従来技術とする)、前述の如く、風の流れ方向の送出側で、かつ奥面近傍において、渦が発生し易く、風のスムーズな流れを阻害する。また、風の流れ方向の受入側で、かつ正面壁面と受入側壁面において、風との衝突が発生し、騒音の発生の要因となり、かつ風のスムーズな流れを阻害される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明は、角柱の風の流れ方向の送出側で、この送出側の後側において、渦発生を軽減、又は無くし、風のスムーズな流れを確保する。また、風の流れ方向の受入側で、かつ正面壁面と受入側壁面において、風との衝突、即ち、騒音発生要因となることを回避し、かつ風のスムーズな流れを確保する。この目的達成を意図して、請求項1~9を提案する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、ファン、ファン用のモータ、ファンの回転軸に設けた第1のプーリ、及びモータの出力軸に設けた第2のプーリ、並びに第1のプーリと第2のプーリとに懸架されたベルトを備える送風機の、横断面はロ字型であって、かつ箱型の角柱でなるドラムポールにおいて、
ドラムポールのファンの回転軸は、ドラムポールの上下方向の中心部位に備え、
ドラムポールの上下側には、ドラムポールの中間部位にある中間室を挟んで、上室・下室を備え、
中間室より上方に位置する上室には、風の送出側から受入側に向かって突出し、かつダクトの流れ方向の上流側に膨出形成したカーブ曲線となるひれ片(5)を備え、ひれ片(5)は、受入側の壁面(200b)より突出し、ひれ片(5)の下端部は有底かつ中間室に繋がる上室の下端部は無底とし、
中間室より下方に位置する下室には、風の送出側から受入側に向かって突出し、かつダクトの流れ方向の上流側に膨出形成したカーブ曲線となるひれ片(6)を備え、ひれ片(6)は、受入側の壁面(201b)より突出し、ひれ片(6)の上端部は有底かつ中間室に繋がる下室の上端部は無底とし、
たことを特徴とする送風機のドラムポールである。
【0007】
請求項1では、角柱の上下室には、ファンの回転方向に対向して突出したひれ片を設け、ファンの風が、角柱前面に倣って流れる構造であり、角柱の風の流れ方向の送出側で、この送出側の後側において、渦の発生を軽減、又は無くし、風のスムーズな流れを確保できる。また、受入れ側に、風誘導用のひれ片を形成して、騒音発生を回避し、また、ダクトを介して、風の送風の効率化が図れる等の特徴がある。
【0008】
請求項2の発明は、ひれ片(5)及び(6)は、送風機が設けられたダクトの流れ方向の上流に形成されており、ひれ片(5)及び(6)は、角柱の薄幅(2-1)より上流に向かって膨出形成されるとともに、ファンの風の受入側が高く、送出側が低くなっており、かつひれ片(5)及び(6)の直交する端面(横断端面)形態を対称関係に形成する構成とした請求項1に記載の送風機のドラムポールである。
【0009】
請求項2では、送出側の後側において、渦の発生を軽減、又は皆無とする、優れた構造のドラムポールを提案できる。その他は、前述の請求項1に準ずる。
【0010】
請求項3の発明は、角柱の上下室の箱型の基端を構成するコ字形は、ダクトの流れ方向の下流に形成する送風機のドラムポールである。
【0011】
請求項4の発明は、ひれ片(5)及び(6)は、角柱の上下室の薄幅(2-1)の箱部の送出側から受入側に向かって延設されるとともに、ファンの回転方向の受入側に向かって収れんする送風機のドラムポールである。
【0012】
請求項5の発明は、ひれ片(5)及び(6)の延設した長さ寸法は、上下室とも同じとする送風機のドラムポールである。
【0013】
請求項3~5では、ひれ片を形成するに最適なドラムポール(角柱)の構造を提案できる。その他は、前述の請求項1に準ずる。
【0014】
請求項6の発明は、角柱の中心は、上下室を区画する平坦形状の中間室を形成する送風機のドラムポールである。
【0015】
請求項6では、角柱としての強度と役割が果せるドラムポール(角柱)の構造を提案できる。その他は、前述の請求項1に準ずる。
【0016】
請求項7の発明は、角柱の中間室には、環状の孔を開設し、孔にファンのボスを設け、ボスに設けた多数の孔に、複数の羽根のスポークを取付ける送風機のドラムポールである。
【0017】
請求項7では、ファンを取付けるに最適なドラムポール(角柱)の構造を提案できる。その他は、前述の請求項6に準ずる。
【0018】
請求項8の発明は、ボスの多数の孔には、複数の羽根のスポークを、可動自在に取付ける送風機のドラムポールである。
【0019】
請求項8では、送風機に最適なファンと羽根の構造を提案できる。その他は、前述の請求項7に準ずる。
【0020】
請求項9の発明は、筐体の底部で、かつ下室を取付けた箇所に、外気取入れ用の開口部を形成した送風機のドラムポールである。
【0021】
請求項9では、送風機に最適な筐体の構造を提案できる。その他は、前述の請求項1に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】角柱の好ましい一例を示した正面図
図2図1の側面図
図3図1の背面図
図4図1の平面図
図5図1の底面図
図6-1】図1のA-A端面図
図6-2】図1のB-B端面図
図6-3】図1のC-C端面図
図6-4】図1のD-D端面図
図7】角柱を送風機に配備した状態の拡大側面図
図8】角柱を送風機に配備した状態の背面図
図9】送風機の底面視した図
図10-1】ファンの一部欠截の分解斜視図
図10-2】ファンのボスと羽根のスポークとの関係を示した斜視図
図10-3】ファンのボスと羽根のスポークとの関係を示した分解斜視図
図10-4】羽根のスポークを拡大して示した俯瞰図
図11】従来の角柱において、渦発生と、及び/又は、衝突が生ずる状態を模式的に示した図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する
図中1は、ダクト(ア1)、(ア2)間に設けられる送風機であり、この送風機1は、図7図8に詳細に示されており、筒状の筐体100と、この筐体100内に支持されたファン101と、筐体100の外周面天井部(上部100a)に設けたファン用のモータ102と、ファン101の回転軸(図示せず)に設けた、後述する角柱内の第1のプーリ(図示せず)と、前記モータ102の出力軸(図示せず)に設けた第2のプーリ(図示せず)と、この第2のプーリ(図示せず)を収める筐体100の上部100aに設けた外気導入のスリット103aを有する箱体103と、前記第1・前記第2のプーリ間に懸架されるベルト(図示せず)と、を備えている。筐体100の外周面底部(下部100b)で、かつ角柱を設ける箇所には、外気を導入するスリット、孔、又はパンチング孔等の開口部104を有する。この開口部104は、後述する角柱に繋がる。即ち、開口部104より角柱内に、外気を導入して、前記第1・前記第2のプーリ、ベルト、回転軸等を冷却する。
【0024】
従って、モータ102が駆動し、第2のプーリが回ることで、ベルトが動く構造となっている。このベルトの動きで、回転軸が回転し、ファン101が正面視して反時計方向Xに回転し、風がダクト(ア1)から(ア2)に向かって流れる。即ち、図7において、(イ1)から(イ2)の矢視方向に流れる。この場合において、図11に示した従来例では、方形状の角柱では、角柱の風の流れ方向の送出側で、この送出側(ウ1)壁面(ウ2)の奥面方向近傍(ウ3)に、図示した、渦発生(エ)が生じ易い(渦発生領域が生じ易い)、及び/又は、受入側正面(ウ4)/受入側壁面(ウ5)への衝突等により、前述した問題が発生する。
【0025】
本発明の手段は、前記渦発生(エ)を軽減、もしくは無くし、及び/又は、前記正面(ウ4)/壁面(ウ5)等への衝突等を軽減、もしくは無くし、風のスムーズな流れ(空気の流れ)を確保する。また、これにより、騒音防止を図りつつ、ダクト内等の風の送風の効率化が図れる。
【0026】
以下で、その手段の一例を説明する。
【0027】
2は角柱(ドラムポール)で、この角柱2は、図1図3に詳細に示されており、筐体100の端部100c(空気の流れ方向の端部であり、一例である)の上下部100a、100b方向に設けた横断端面視して長方形状をした箱型であり、かつ筐体100の内輪と同形の上下面2a、2bを有し、かつ角柱2の基端は、横断端面視してコ字型である。また、中間室202は、横断端面視して略ロ字型を呈する。そして、角柱2には、当該角柱2の中心に、前記回転軸が配備されるとともに、この回転軸、及び薄幅で平坦形状の中間室202を挟んで、厚幅で一部(薄幅2-1と厚幅2-2との境)有底200a、201aの上下室200、201が区画形成されている。上下室200、201は(後述する対のひれ片も同じ)、対称関係となっている。この有底200a、201a(有底201aは、下室201の天井面と云える)とは、対峙関係である。
【0028】
また、この上下室200、201には、ファンの回転方向Xに対向して突出し、かつダクトの流れ方向の上流側に膨出形成したカーブ曲線となる(図6-1と図6-4参照)ひれ片5、6を有する。ひれ片5、6は、図4図6-4に詳細な形状が示されており、ひれ片5、6(同じ構造の例では、一方側で説明する)の構造を説明すると、ひれ片5は、ダクト(ア1)、(ア2)の流れ方向(イ1)→(イ2)の上流に形成されており、ひれ片5は、角柱2の薄幅2-1より上流に向かって、角柱2の上下室200、201の箱部より膨出形成されるとともに、後述するファンの回転方向の受入側2cが高く、送出側2dが低くなっており、かつひれ片5の直交する(横断方向の同じ位置における)端面形態を対称関係に形成する。また、ひれ片5、6の端面5a、6a(嘴型)は、角柱2の上下室200、201の壁面200b、201bより、受入側に突出する。突出箇所が端面視して嘴型を呈している。従って、受入れる風の流れが、図6-1と図6-4に示すように、壁面200b、201bが邪魔することなく、端面5a、6aに誘導されるように流れて、矢視E、E1で示すようになだらかな流れとなり、渦発生(エ)は、極めて少なくなる(渦発生領域はないと云える)。上下室200、201と中間室202の空間には、ベルト(図示せず)が配備される。また、中間室202内には、第1のプーリと回転軸が、その外側には後述するボスがそれぞれ設けられる。尚、ひれ片5、6の延設した長さ寸法Lは、上下室200、201とも同じとすることで、本発明の特徴を発揮できる。
【0029】
ファン101は、図10-1~図10-4に詳細な形状が示されており、回転軸に固定される取付孔101-1aを有する対のボス101-1と、この各ボス101-1に設けたスポーク用の複数個の凹部101-2と、この各凹部101-2に差込まれる複数本のスポーク101-3を備えた複数本の羽根101-4とで構成されている。従って、本発明では、羽根101-4の角度を自由に変更できるので、風の流れスピード調整とか、騒音調整ができる。凹部101-2と凹部101-2との合致で、スポーク用の孔101-2aとなる(図10-1参照)。また、ファン101は、図示しないが、従来の一体構造等の各構造を採用できる。
【0030】
前述した各実施例は、本発明の好ましい一例の説明である。従って、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0031】
1 送風機
100 筐体
100a 上部
100b 下部
100c 端部
102 モータ
103 箱体
103a スリット
104 開口部
2 角柱
2a 上面
2b 下面
2c 受入側
2d 送出側
200 上室
200a 有底
200b 壁面
201 下室
201a 有底
201b 壁面
202 中間室
2-1 薄幅
2-2 厚幅
5 ひれ片
5a 端面
6 ひれ片
6a 端面
101 ファン
101-1 ボス
101-1a 孔
101-2 凹部
101-2a 孔
101-3 スポーク
101-4 羽根
(ア1) ダクト
(ア2) ダクト
(イ1) 矢視
(イ2) 矢視
(ウ1) 送出側
(ウ2) 壁面
(ウ3) 奥面方向近傍
(ウ4)受入側正面
(ウ5)受入側壁面
(エ) 渦発生領域
E 矢視
E1 矢視
L 長さ寸法
X 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図10-4】
図11