(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】バイタルデータ表示装置及びバイタルデータ表示プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2020140861
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2022-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520057531
【氏名又は名称】Rehabilitation3.0株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩和
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-097977(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108114449(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者のバイタルデータの入力を受け付けるバイタルデータ受付部と、
前記バイタルデータ受付部が受け付けた前記バイタルデータを、表示画面に表示する表示データを、生成する表示データ生成部と、
生成された前記表示データを出力する表示データ出力部と、を備え、
前記表示データは、時間軸とバイタルデータ軸とを座標軸とする座標系の上に、所定の図形を配置することにより、前記バイタルデータを表示し、前記図形の前記座標系上の位置が、各時刻における前記バイタルデータの値を表示し、前記図形の大きさが、前記バイタルデータの傾向を示す代表値からの前記バイタルデータの変動を、強調して表示する、バイタルデータ表示装置。
【請求項2】
前記図形の面積が、前記代表値に対する前記バイタルデータの比または差の、2次以上の冪乗に比例する成分を含むように定められる、請求項1に記載のバイタルデータ表示装置。
【請求項3】
前記代表値は、所定の時間範囲にわたる前記バイタルデータの平均値又は中央値である、請求項1又は2に記載のバイタルデータ表示装置。
【請求項4】
前記バイタルデータは、心拍数、脈拍数、呼吸数、体温、血中酸素飽和度のうちのいずれかである、請求項1から3のいずれかに記載のバイタルデータ表示装置。
【請求項5】
前記バイタルデータ受付部は、複数の被検者のバイタルデータの入力を受け付け、
前記表示データ生成部は、前記表示データを前記複数の被検者毎に生成し、かつ前記図形の最大の大きさが大きい順に、前記表示データを並べて表示する形式とする、請求項1から4のいずれかに記載のバイタルデータ表示装置。
【請求項6】
出力された前記表示データを表示する表示画面を、さらに備える、請求項1から5のいずれかに記載のバイタルデータ表示装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から6のいずれかに記載のバイタルデータ表示装置として機能させる、バイタルデータ表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心拍数などのバイタルデータをグラフ表示するバイタルデータ表示装置及びバイタルデータ表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、心拍数などのバイタルデータをグラフ表示するバイタルデータ表示装置が知られている。「バイタルデータ」とは、人体から取得できる生体情報を意味する。特許文献1に開示される就寝モニター装置は、バイタルデータ表示装置の一種である。この従来装置は、被介護者の身体の下に配置した圧力センサにより、被介護者の体動を検出し、ノイズを除去し心拍数、呼吸数、寝返りの状態、咳や鼾、離床の状態などの信号に整理分割し、離れたところで監視する介護者にリアルタイムで、グラフ化して提供するように構成されている(特許文献1の要約書参照)。
【0003】
バイタルデータをグラフ表示するには、時間軸を横軸とし測定値軸を縦軸とする座標系の上に、測定値の変化を、点の集合、折れ線、あるいは曲線により表示するのが一般的である。特許文献1に開示されるグラフも、その一種である(特許文献1の
図3参照)。しかし、このような一般的な表示の形態では、体調の急変に起因して測定値が瞬間的に変動する場合に、その変動を目視により捉えるのは容易でない、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、瞬間的な変動を目視により把握し易い形態で、バイタルデータをグラフ表示するバイタルデータ表示装置及びバイタルデータ表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、バイタルデータ表示装置であって、被検者のバイタルデータの入力を受け付けるバイタルデータ受付部と、前記バイタルデータ受付部が受け付けた前記バイタルデータを、表示画面に表示する表示データを、生成する表示データ生成部と、生成された前記表示データを出力する表示データ出力部と、を備えている。そして、前記表示データは、時間軸とバイタルデータ軸とを座標軸とする座標系の上に、所定の図形を配置することにより、前記バイタルデータを表示し、前記図形の前記座標系上の位置が、各時刻における前記バイタルデータの値を表示し、前記図形の大きさが、前記バイタルデータの傾向を示す代表値からの前記バイタルデータの変動を、強調して表示する。
【0007】
この構成によれば、出力された表示データを表示画面に表示することにより、バイタルデータを視認することができる。表示画面に表示された、所定の図形の座標系上の位置により、各時刻におけるバイタルデータの値を視認することができる。さらに、図形の大きさによって、各時刻におけるバイタルデータの、代表値からの変動を視認することができる。各時刻におけるバイタルデータについて、代表値からの変動が表されるので、バイタルデータに異変があるか否かを把握することができる。各時刻におけるバイタルデータの代表値からの変動が、図形の大きさに、強調されて表されるので、図形の位置だけでは捉え難い、バイタルデータの瞬時的な変動を、容易に把握することができる。図形は、例えば円形である。
【0008】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様によるバイタルデータ表示装置であって、前記図形の面積が、前記代表値に対する前記バイタルデータの比または差の、2次以上の冪乗に比例する成分を含むように定められる。
【0009】
この構成によれば、バイタルデータの代表値からの変動が、簡単な演算により、図形の大きさに強調して表される。
【0010】
本発明のうち第3の態様によるものは、第1又は第2の態様によるバイタルデータ表示装置であって、前記代表値は、所定の時間範囲にわたる前記バイタルデータの平均値又は中央値である。
【0011】
この構成によれば、バイタルデータの代表値か、簡単な演算により得られる。
【0012】
本発明のうち第4の態様によるものは、第1から第3のいずれかの態様によるバイタルデータ表示装置であって、前記バイタルデータは、心拍数、脈拍数、呼吸数、体温、血中酸素飽和度のうちのいずれかである。
【0013】
この構成によれば、バイタルデータのうち、被検者の身体状態の急変に関連して、瞬時の変動が起こり得るデータが、表示の対象とされるので、身体状態の急変によるリスク回避に特に有用である。
【0014】
本発明のうち第5の態様によるものは、第1から第4のいずれかの態様によるバイタルデータ表示装置であって、前記バイタルデータ受付部は、複数の被検者のバイタルデータの入力を受け付ける。そして、前記表示データ生成部は、前記表示データを前記複数の被検者毎に生成し、かつ前記図形の最大の大きさが大きい順に、前記表示データを並べて表示する形式とする。
【0015】
この構成によれば、バイタルデータの変動の大きい被検者の順にバイタルデータが表示されるので、変動の大きい被検者のバイタルデータに注目し易い。
【0016】
本発明のうち第6の態様によるものは、第1から第5のいずれかの態様によるバイタルデータ表示装置であって、出力された前記表示データを表示する表示画面を、さらに備えている。
この構成によれば、外部の表示画面を表示装置に接続することなく、表示画面に表示される表示データを目視することができる。
【0017】
本発明のうち第7の態様によるものは、バイタルデータ表示プログラムであって、コンピュータを第1から第6のいずれかの態様によるバイタルデータ表示装置として機能させる。
この構成によるバイタルデータ表示プログラムは、コンピュータを本発明の各態様によるバイタルデータ表示装置として機能させることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、瞬間的な変動を目視により把握し易い形態で、バイタルデータをグラフ表示するバイタルデータ表示装置及びバイタルデータ表示プログラムが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態によるバイタルデータ表示装置を含むバイタルデータ表示システムの構成を例示する図である。
【
図2】
図1のバイタルデータ表示装置の構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図1のバイタルデータ表示装置により表示されるバイタルデータを例示するグラフである。
【
図4】
図1のバイタルデータ表示装置により表示されるバイタルデータを例示する別のグラフである。
【
図5】比較例としてのバイタルデータの表示例を示すグラフである。
【
図6】比較例としてのバイタルデータの表示例を示す別のグラフである。
【
図7】
図1のバイタルデータ表示装置により表示されるバイタルデータを例示する、さらに別のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態によるバイタルデータ表示装置を含むバイタルデータ表示システムの構成を例示する図である。このバイタルデータ表示システム100には、バイタルデータ表示装置101のほかに、睡眠センサ1、ユーザ通信端末3、及びネットワーク5が含まれている。睡眠センサ1、ユーザ通信端末3、及びネットワーク5は、バイタルデータ表示装置101に直接又は間接に接続され、バイタルデータ表示装置101と協働する装置である。
【0021】
バイタルデータ表示装置101は、被検者11のバイタルデータの入力を受け付け、入力を受け付けたバイタルデータをグラフの形式で表示する表示データを生成し、生成した表示データを出力する装置である。それにより、バイタルデータ表示装置101は、被検者11の健康管理、作業療法、理学療法、医学的診断、医学的治療などに、役立てることができる。バイタルデータ表示装置101は、図示の例では、コンピュータ10に組み込まれている。すなわち、コンピュータ10に特定のアプリケーションをインストールし、起動することにより、コンピュータ10の中央演算処理装置(CPU)等の処理装置(プロセッサ)は、バイタルデータ表示装置101として機能する。
【0022】
睡眠センサ1は、被検者11の睡眠データを、自動的に取得するセンサであり、一例として、ユーザ通信端末3又はバイタルデータ表示装置101に、取得したデータを無線等で送信する通信機能を有する。睡眠データは、寝ているときの心拍数、呼吸数等の被検者11の睡眠に関するデータである。図示の例では、睡眠センサ1は、被検者11が横臥する寝具の下に敷いて使用されるマット状のセンサである。かかる形態の睡眠センサ1も、すでに市販されており周知である。
【0023】
ユーザ通信端末3は、図示の例ではユーザが所有するスマートフォンである。ユーザは、被検者11自身、あるいは被検者11を世話する身内の者などである。ユーザ通信端末3に、あらかじめ特定のアプリケーションをインストールすることにより、ユーザ通信端末3は睡眠センサ1との通信が可能となる。通信は、例えば、識別符号(ID)、パスワードの入力を要件とすることにより、情報漏洩を防止することができる。ユーザ通信端末3が睡眠センサ1から受信した計測データは、ネットワーク5を通じて、バイタルデータ表示装置101へ送信される。ユーザ通信端末3とバイタルデータ表示装置101との間の通信においても、例えば、識別符号(ID)、パスワードの入力を要件とすることにより、情報漏洩を防止することができる。ネットワーク5は、図示の例ではインターネットである。
【0024】
図1には、心拍数、呼吸数等の被検者のバイタルデータが、睡眠センサ1により睡眠データとして計測される例を示している。これに対して、睡眠センサ1以外の計測器により、心拍数、脈拍数、呼吸数、体温、血中酸素飽和度などのバイタルデータが、被検者11について計測され、かかるバイタルデータがバイタルデータ表示装置101に入力されても良い。
【0025】
図1に例示するように、バイタルデータ表示システム100は、ネットワーク5に接続されるサーバ9を有していても良い。それにより、例えば、多数の被検者11のバイタルデータが、例えばそれぞれのユーザ通信端末3を通じて、サーバ9に蓄積され、バイタルデータ表示装置101により選択される1名あるいは複数名の特定の被検者11のバイタルデータが、サーバ9を通じてバイタルデータ表示装置101に入力されても良い。なお、コンピュータ10とサーバ9との間の通信においても、例えば、識別符号(ID)、パスワードの入力を要件とすることにより、情報漏洩を防止することができる。
【0026】
図2は、バイタルデータ表示装置101の構成を例示するブロック図である。バイタルデータ表示装置101は、インターフェイス13、バイタルデータ受付部15、表示データ生成部16、及び表示データ出力部17を有している。インターフェイス13は、外部装置毎の所定のプロトコルに従って、バイタルデータ表示装置101自身と外部装置との通信を可能にする装置部分である。睡眠センサ1、ユーザ通信端末3、サーバ9、キーボード等の入力装置27、プリンタ29あるいはディスプレイ(表示画面)33等の出力装置29,33、USBメモリーあるいはCDROM等の記憶媒体31と、バイタルデータ表示装置101との間の通信は、インターフェイス13を通じて行われる。
【0027】
バイタルデータ受付部15は、被検者11のバイタルデータを含む入力データの入力を受け付ける。表示データ生成部16は、入力データ受付部15が入力を受け付けた入力データを表示画面に表示する表示データを、生成する。表示データ出力部17は、表示データ生成部16が生成した表示データを出力する。表示データ出力部17が出力する表示データは、インターフェイス13を通じて、例えば、ユーザ通信端末3あるいはディスプレイ33に送信される。これにより、被検者11の介護者・介護士・看護士・作業療法士・理学療法士・医師など、バイタルデータ表示装置101のユーザは、被検者11のバイタルデータを視認することができ、視認したバイタルデータの内容に基づいて、被検者11に適切な措置を施すことができる。
【0028】
表示データ生成部16は、心拍数などのバイタルデータの時間変化を、グラフの形式で表示するデータを生成する。生成される表示データは、被検者11の代表的なバイタルデータの値、例えば過去に遡る平均値あるいは中央値、からのバイタルデータの変動があると、変動の大きさを強調して表示する。その詳細は、グラフを例示しつつ後述する。
【0029】
バイタルデータ受付部15は、複数の被検者11のバイタルデータを含む入力データの入力を受け付けることも可能である。表示データ生成部16は、複数の被検者11のバイタルデータの時間変化を表すグラフを、並べて表示するデータを生成することもできる。また、表示データ生成部16は、表示データソート部21を有しており、この表示データソート部21によって、複数の被検者11のグラフを並べ替えることができる。並べ替えは、バイタルデータの代表値からの変動が最も大きい被検者11の順に、グラフが並ぶように行われる。並べ替えは、自動により、あるいは、ユーザが入力装置27を通じて指令を入力することにより、行われる。並べ替えの詳細についても、グラフを例示しつつ後述する。
【0030】
バイタルデータ表示装置101が組み込まれるコンピュータ10(
図1参照)は、例えば、作業療法士・理学療法士の施設、病院等に備えられるものであってもよく、あるいは作業療法士等が、被検者11の自宅へ持ち運ぶことが可能なモバイル型のコンピュータ、例えばスマートフォンであってもよい。被検者11が施設、病院等に入院していて、コンピュータ10がそれらの施設、病院等の備品である場合などには、バイタルデータ表示装置101と睡眠センサ1との間の通信は、ユーザ通信端末3を介することなく、直接に行うことも可能である。
【0031】
バイタルデータ表示装置101は、被検者11のバイタルデータをリアルタイムで取得し、取得したバイタルデータをグラフ表示するデータをリアルタイムで出力するだけでなく、例えば、記憶媒体31あるいはサーバ9に蓄積されている被検者11のバイタルデータを取得して、取得したバイタルデータをグラフ表示するデータを出力してもよい。それにより、作業療法士等のバイタルデータ表示装置101のユーザは、被検者11の過去のバイタルデータを静的に視認することができ、視認したバイタルデータの内容に基づいて、被検者11に適切な措置を施すことができる
【0032】
図3は、バイタルデータ表示装置101により表示されるバイタルデータを例示するグラフである。バイタルデータとして、被検者11の心拍数が例示されている。グラフの横軸は分単位の時間を表し、縦軸は計測された1分間の心拍数を表している。計測された心拍数のデータは、円形のバブルによって分毎に表示されている。すなわち、バブルの横軸上の位置は、計測された時刻を表し、縦軸上の位置はその時刻に計測された心拍数を表している。バブルは、さらにその大きさによって、被検者11の心拍数の代表値からの変動の大きさをも表現しており、しかも変動の大きさを強調して表現している。代表値は、瞬間の値ではなく、ある期間にわたるバイタルデータの傾向を表す値を意味する。ある期間は、例えば、測定時刻から過去に遡る時間範囲に設定することができる。ある期間の長さは、バイタルデータの種類、代表値の推移の速さに応じて定めることができる。
【0033】
代表値は、例えば、各測定時刻を基準として過去に遡る所定の時間範囲における平均値として、算出することができる。平均値に代えて中央値を採用することも可能である。
図3は、バイタルデータである心拍数をリアルタイムで取得し、リアルタイムでグラフ表示する例ではなく、被検者11の現在から過去に遡る、約1400分間のデータを一括して取得し、これを表示した例を示している。このため、代表値は、各測定時刻を基準とするのではなく、最終の測定時刻を基準として、測定開始時刻まで遡る時間範囲における心拍数の平均値として算出されている。測定が行われない期間では、測定値はゼロとなるが、測定が行われない期間の測定値は、代表値の計算には反映されない。
【0034】
バイタルデータの代表値からの変動を強調して表示するために、例えば、バブルの面積を、各測定値と代表値との比の2次以上の冪乗に比例するように算出することができる。図示例では、バブルの面積は、各測定値と代表値との比の7次の冪乗に比例するように算出されている。冪乗計算を用いることにより、バブルの面積により、バイタルデータの代表値からの変動を、容易に強調して表示することができる。冪乗の次数は、例えばバイタルデータの種類毎に、適切な値に定めることができる。
【0035】
バブルの面積を表すのに、各測定値と代表値との比の冪乗に代えて、差の冪乗を採用することも可能である。この場合、差は、負の値にならないように、大きい方の値から小さい方の値を差し引いた値を意味する。差がゼロである場合、すなわち測定値が代表値と一致するときには、バブルの大きさがゼロとなり、グラフ上に測定値が表示されないことになる。このことを避けるために、バブルの面積として、差の冪乗に比例する成分に、測定点を表示し得る小さい点を表示する一定の大きさを加算した値とすることができる。あるいは、差の冪乗に比例する成分が、一定の大きさ未満であるときには、一定の大きさをバブルの面積とし、一定の大きさ以上であるときには、差の冪乗に比例する成分をバブルの面積とすることもできる。
【0036】
図3では、測定点の変化をより分かり易くするために、時刻に沿った測定点の変化を、折れ線により表示している。これに対して、
図4に例示するグラフでは、折れ線無しで心拍数の時間に沿った変化を表している。
図4は、
図3と同一の測定データをグラフ表示したもので、折れ線が表示されない点においてのみ、
図3と異なっている。いずれの表示形式であれ、バイタルデータの代表値からの変動が、バブルの大きさにより、強調して表示されている。このため、グラフを目視するユーザは、バブルの位置だけでは捉え難い、バイタルデータの代表値からの瞬間的な変動を、容易に把握することができる。それにより、バイタルデータに現れる被検者11の異変を、容易に把握することができる。
【0037】
図5及び
図6は、比較例としてのバイタルデータの表示例を示すグラフである。
図5は、バイタルデータである心拍数の時刻に沿った変化を、一般的な曲線のみにより表現している。
図6は、同じく心拍数の時刻に沿った変化を、一般的な測定点のみにより表現している。いずれも、測定データは、
図3及び
図4の測定データと同一である。これらの比較例では、心拍数の代表値からの瞬間的な変動が、視認し難いことが理解されるであろう。
【0038】
図7は、バイタルデータ表示装置101により表示されるバイタルデータを例示する、さらに別のグラフである。図示の例は、複数の被検者11のバイタルデータの時間変化を表すグラフを、並べて表示している。ある時刻までは、
図7(a)に例示する順序により、複数の被検者11のグラフが並列表示されている。ある時刻に、バイタルデータ表示装置101のユーザが、入力装置27を通じて指令を入力することにより、表示される複数の被検者11のグラフが、
図7(b)に例示する順序に並べ替えられる。図示例では、表示されている測定時間範囲内で、代表値からの変動の最大値、すなわちバブルの最大の大きさを、複数の被検者11の間で比較し、変動の最大値が大きい順に、グラフが並べ替えられる。並べ替えは、ユーザの指令を待たずに、自動で行われても良い。
【0039】
バイタルデータ表示装置101が、複数の被検者11のバイタルデータをリアルタイムに取得し、取得したバイタルデータをリアルタイムでグラフ表示する場合には、現在の時刻を基準としてそれよりも以前のバイタルデータの変動の最大値、すなわちバブルの最大の大きさを、複数の被検者11の間で比較し、変動の最大値が大きい順に、グラフを並べ替えてもよい。並べ替えは、変動の最大値の順序が変動する度に、自動で行われても良く、ユーザの指令に応答して行われても良い。なお、
図7では、バブルの大きさの変化については、図示を略している。
【符号の説明】
【0040】
1 睡眠センサ、 3 ユーザ通信端末、 5 ネットワーク、 9 サーバ、 10 コンピュータ、 11 被検者、 13 インターフェイス、 15 バイタルデータ受付部、 16 表示データ生成部、 17 表示データ出力部、 21 表示データソート部、 27 入力装置、 29 プリンタ(出力装置)、 31 記憶媒体、 33 ディスプレイ(表示画面、出力装置)、 100 バイタルデータ表示システム、 101 バイタルデータ表示装置。