(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】天井用目地装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
(21)【出願番号】P 2020160334
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-214360(JP,A)
【文献】特開2010-222822(JP,A)
【文献】特開2021-110177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方と他方の躯体間の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置において、
前記一方の躯体に基端部が取り付けられ、自由端部が上下方向に位置変位可能な可動目地カバーと、一端部が他方の躯体に固定的に取り付けられ、他端部に前記可動目地カバーの自由端部に対して重なり合う受け部が設けられた固定目地カバーと、前記可動目地カバーの自由端部が略水平状態よりも下方へ位置変位することを防止する可動目地カバー保持手段と、前記一方の躯体と前記他方の躯体が接近した際に、前記可動目地カバーの自由端部を上方へ位置変位させる位置変位手段とで構成され、
前記可動目地カバーは、基端部が一方の躯体に取り付けられる可動目地カバー本体と、前記可動目地カバー本体の自由端部に回動可能に設けられたカバー部材とで構成され、前記カバー部材は、
略水平よりも下方へ回動せず、かつ、略水平より上方へは回動可能なように、保持機能を有し、通常状態において、少なくともその一部が前記受け部と略水平状態で重なり合う天井用目地装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、通常状態において、その左右方向の略中間部位に、前記受け部の先端部が位置するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の天井用目地装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、その先端部に地震によって前記一方の躯体と前記他方の躯体が接近した場合に、前記固定目地カバーに当接し、前記カバー部材が上方へ回動するようにガイドする傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の天井用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の躯体間に天井を設ける場合の天井用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井用目地装置としては「目地部を介して建てられた左右の建物の一方の建物の天井部位の躯体に取付けられていると共に、前記目地部側へ突出し、かつ先端部が順次低くなる傾斜面に形成された固定目地カバーと、この固定目地カバーの傾斜面の先端部に先端部が位置し、後端部が前記左右の建物の他方の建物の目地部側の躯体に位置して、前記目地部を覆う可動目地カバーと、この可動目地カバーの後端部の上部位置の、前記他方の建物の目地部側の躯体に固定あるいは前後方向にスライド移動可能に取付けられた複数個の係合ピンを有する支承レールと、前記可動目地カバーの後端部に下端部が固定あるいはヒンジ部材を介して取付けられ、上端部が前記支承レールの複数個の係合ピンと上下移動および回動できるように係合あるいは上下移動できるように取付けられた可動目地カバーを水平状態に支持し、かつ地震で目地部が狭くなると、前記固定目地カバーの傾斜面の先端部で前記可動目地カバーの先端部が上方へ押し上げられるように回動し、前記固定目地カバーの先端部に支持されている前記可動目地カバーの支持部が可動目地カバーの先端部側の重量が大きくなる位置になると水平となるように可動目地カバーを回動させるように支持させることができる可動目地カバー支持部材とからなることを特徴とする天井用目地カバー装置」(特許文献1)が知られている。
【0003】
しかし、アイソレーター等の免震装置を用いた建物では、地震による揺れ動きが終了した後、アイソレーターは略原点位置まで短時間で復帰するものの、僅かな位置ずれ、例えば50mm程度のずれが原点位置まで復帰するまでの間に比較的長時間有する場合がある。そのような場合、従来の天井用目地装置であっても躯体や目地装置が破損することなく地震による揺れ動きを吸収できるものの、可動目地カバーがやや斜めにせり上がった状態が長時間持続し、アイソレーターが完全に原点復帰するまでの間、美観が著しく損なわれるおそれや、固定目地カバーと可動目地カバーの先端が僅かに離間し、アイソレーターが原点位置まで戻るまでの間、隙間が生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、免震装置等が通常状態に戻るまでに長時間を要する場合であっても、美観が損なわれることなく、かつ、地震による揺れ動きを吸収することができる天井用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の天井用目地装置は、一方と他方の躯体間の天井部分の目地部を塞ぐ天井用目地装置において、前記一方の躯体に基端部が取り付けられ、自由端部が上下方向に位置変位可能な可動目地カバーと、一端部が他方の躯体に固定的に取り付けられ、他端部に前記可動目地カバーの自由端部に対して重なり合う受け部が設けられた固定目地カバーと、前記可動目地カバーの自由端部が略水平状態よりも下方へ位置変位することを防止する可動目地カバー保持手段と、前記一方の躯体と前記他方の躯体が接近した際に、前記可動目地カバーの自由端部を上方へ位置変位させる位置変位手段とで構成され、前記可動目地カバーは、基端部が一方の躯体に取り付けられる可動目地カバー本体と、前記可動目地カバー本体の自由端部に回動可能に設けられたカバー部材とで構成され、前記カバー部材は、略水平よりも下方へ回動せず、かつ、略水平より上方へは回動可能なように、保持機能を有し、通常状態において、少なくともその一部が前記受け部と略水平状態で重なり合うことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の天井用目地装置の前記カバー部材は、通常状態において、その左右方向の略中間部位に、前記受け部の先端部が位置するように設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の天井用目地装置の前記カバー部材は、その先端部に地震によって前記一方の躯体と前記他方の躯体が接近した場合に、前記固定目地カバーに当接し、前記カバー部材が上方へ回動するようにガイドする傾斜部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載された発明においては、可動目地カバーの自由端部に相当する他端部に上下方向に回動可能に設けられたカバー部材を設けているため、アイソレーターが原点復帰するまでの間、わずかに目地部が狭くなっている状態等が継続しても、このカバー部材のみが上方向に回動することで、可動目地カバー(可動目地カバー本体)が上方へ位置変位することを防止できる。
したがって、可動目地カバーと固定目地カバーが上下方向にずれた状態等が長時間続くことを確実に防止でき、美観を向上させることができる。
(2)請求項2に記載の発明も前記(1)と同様な効果が得られるとともに、わずかに目地部が広くなっている状態及び狭くなっている状態のいずれの場合にも効率よく対応することができる。
(3)請求項3に記載の発明も前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、可動目地カバーの上方への位置変位を少ない部品で実現することができ、製造コスト等を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至
図10は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図11乃至
図14は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図7】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
【
図8】地震による揺れ動き終了後、目地部が少し狭くなった状態の説明図。
【
図9】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
【
図10】地震による揺れ動き終了後、目地部が少し広くなった状態の説明図。
【
図11】第2の実施形態の天井用目地装置の平面図。
【
図13】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
【
図14】地震による揺れ動き終了後、目地部が少し狭くなった状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では
図1を基準として左右方向、前(図面上方)後(図面下方)方向という。また、
図3を基準として上(図面上方)下(図面下方)方向という。
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0013】
図1乃至
図10に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の一方と他方の躯体3、4間に設置された天井用目地装置である。なお、前記目地部2は、例えば
図7に示してある。
【0014】
図1乃至
図3に示すように、天井用目地装置1は、一方の躯体3の壁面3aに取付部材5(例えばヒンジ部材)を介して基端部に相当する一端部6aが取り付けられ、自由端部に相当する他端部6bが上下方向に位置変位可能な可動目地カバー6と、一端部9aが他方の躯体4に取付具7を介して固定的に取り付けられ、他端部9bに前記可動目地カバー6の他端部6bと上下方向に重なり合う受け部8が設けられた固定目地カバー9と、前記可動目地カバー6の他端部6bが略水平状態よりも下方へ位置変位することを防止する可動目地カバー保持手段10と、地震等により前記一方の躯体3と他方の躯体4が接近した際に、前記可動目地カバー6の他端部6bを上方へ位置変位させる位置変位手段11とで構成されている。
【0015】
なお、本実施形態では、免震装置(アイソレーター)等(図示せず)を有する躯体3、4を例に説明するが、本発明はこのような免震装置を有しない躯体に対しても設けることができる。
【0016】
一方の躯体3の壁面3aには取付部材5が固定されており、この取付部材5を介して可動目地カバー6が一方の躯体3に取り付けられる。取付部材5を介して可動目地カバー6を取り付けることにより、可動目地カバー6が上下方向に回動可能となり、可動目地カバー6の他端部6bを上下方向に位置変位可能としている。
【0017】
付言すると、ここでの「位置変位」は、例えば一方の躯体3の垂直の壁面3aに対して略水平状態に位置する可動目地カバー6の角度が取付部材5を介して変わることを意味する。したがって、取付部材5としての一例であるヒンジ部材の一方の端板部は躯体3の垂直の壁面3aに固定され、他方の端板部は可動目地カバー6の基端部6aの上面に固定されている。
【0018】
可動目地カバー6は、
図4に示すように、本実施形態では板状で一端部6aが一方の躯体3に取り付けられる可動目地カバー本体12と、前記可動目地カバー本体12の他端部6bに上下方向に回動可能に設けられたカバー部材13とで構成されている。
【0019】
このカバー部材13は、
図5に示すように可動目地カバー本体12に固定される固定部14と、この固定部14に連結手段としてのヒンジ部15を介して連結されたカバー板16とで構成されており、固定部14及びカバー板16の底面は略面一になるように構成されている。また、これらカバー板16等の底面と可動目地カバー本体12の底面も略面一となるように構成されることが望ましい。なお、ヒンジ部15とカバー板は、本実施形態では、溶接、接着等により一体的に固定されているが、その他の方法でヒンジ部15とカバー板16を固定してもよく、ヒンジ部とカバー板16を一体成形してもよい。
【0020】
本実施形態では、固定部は正面視略コ字状に形成され、可動目地カバー本体12の他端部を上下から挟持するように取り付け、可動目地カバー本体12の他端部に固定されているが、例えばクランク状の金具を用いて、可動目地カバー本体12の他端部の上面に一端部を固定し、底面を可動目地カバー本体12の底面と略面一となるように構成してもよい。
【0021】
前記ヒンジ部15はカバー板16が略水平よりも下方へ回動せず、かつ、略水平より上方へは回動可能なように、保持機能を有するように形成されている。本実施形態では、ヒンジ部15が前記固定部14に形成された円形凹所状の被係合部15aと、この被係合部15aに挿入され、前記カバー板16に固定された、又は一体的に形成された丸棒状の係合部15bとで構成され、この係合部15bとカバー板16の段差が被係合部15aの縁部に当接する事により、カバー板16が略水平より下方へ位置変位することを防止している。
【0022】
なお、このような保持機能としては、公知の手段を用いてもよく、ねじりバネをヒンジ部15に設けて下方への位置変位を防止しても良いし、ワイヤー等でカバー板16を吊ってもよい。
【0023】
ところで、本実施形態では、カバー板16は所定の角度よりも上方へ回動しないようにカバー板16の上面と被係合部15aの上部側の縁部が当接するように形成されており、カバー板16が上方へ回動しても自重により原点(略水平位置)へ復帰するが、前述のようなねじりバネ等を用いて速やかに原点位置へ復帰できるようにしてもよい。
【0024】
このカバー部材13(カバー板16)の先端部には、上方に傾斜する傾斜部17が形成されており、地震によって左右の躯体3、4が接近した場合に、この傾斜部17が固定目地カバー9に当接し、カバー部材13が緩やかに上方へ回動するようにガイドする。
可動目地カバー本体12は単なる板状の部材を用いているが、例えばフレームの内側が格子状に形成されたフレーム材と、このフレーム材の底面に一体的に設けられた化粧部材と可動目地カバー本体を構成してもよい。
【0025】
可動目地カバー6は、本実施形態では、その他端部側の上面が可動目地カバー保持手段10としてのワイヤー10により保持されており、略水平状態よりも下方へ位置変位することを防止している。このワイヤー10は、その材質自体により弛むように変位可能であり(例えば
図7)、一方の躯体3の壁面3aと可動目地カバー6の他端部6b側を傾斜状に接続して保持している。
【0026】
なお、ワイヤー10の固定位置は、可動目地カバー6が略水平状態を維持できる位置であればよく、他端部付近以外に架け渡すように取付けてもよい。
【0027】
固定目地カバー9は、
図6に示すように、本実施形態では矩形板状に形成され、その一端部9aは、他方の躯体4の壁面4aに取付具7を介して固定されており、他端部9bには固定目地カバー9よりも薄板状に形成された受け部8が設けられている。そして、受け部8を含んだ固定目地カバー9の底面は略水平状態で、可動目地カバー6の底面と略面一となるように取り付けられている。
【0028】
この受け部8は、本実施形態では、固定目地カバー9に一体的に形成されているが、薄板状の受け部8を固定目地カバー9の他端部に固定してもよい。
この受け部8の基端部には位置変位手段11としての傾斜面11が形成されており、この傾斜面11に可動目地カバー6が乗り上げることにより、可動目地カバー6が上方へ位置変位する。
【0029】
この受け部8には、通常状態(
図1等に示す状態、左右の躯体3、4等が原点に位置する状態)において、カバー部材13(可動目地カバー6の他端部)が正面視(
図3)において上方に位置するように上下方向に重なり合っており、より好ましくは、受け部8の先端部がカバー部材13(カバー板16)の左右方向の略中間部位に位置するような寸法に形成されていることが望ましい。
【0030】
ところで、可動目地カバー6(可動目地カバー本体12)や固定目地カバー9の底面に化粧部材を設けてもよく、この化粧部材は板状のものでもよいし、シート状のものを可動目地カバー6や固定目地カバー9の底面に貼り付けてもよい。
【0031】
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が狭くなると、
図7に示すように、傾斜面11によってカバー板16、可動目地カバー本体12が上方へ押し上げられ、可動目地カバー6の他端部側が上方へ位置変位(回動)するとともに、左右方向にスライド移動し地震による揺れ動きを吸収する。
【0032】
地震による揺れ動き終了後、アイソレーター等が瞬時に原点に復帰しきれず、やや目地部2が狭い状態になった場合には、
図8に示すように、可動目地カバー6のカバー部材13(カバー板16)のみが、傾斜面11に当接して上方へ回動し、可動目地カバー本体12は上下方向に位置変位することがない。そのため、可動目地カバー本体12が水平状態を維持することができ、固定目地カバー9の底面と略面一の状態となるため、天井部分の美観を損なうことがない。
【0033】
地震によって左右の躯体3、4の間の目地部2が広くなるように揺れ動いた場合には、
図9に示すように、可動目地カバー6と固定目地カバー9が離間するように移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0034】
なお、可動目地カバー6はワイヤー10により支持されているので、水平状態から下方へ回動することなく、水平状態を保ったまま左右方向にスライド移動できる。
【0035】
地震による揺れ動き終了後、アイソレーター等が瞬時に原点に復帰しきれず、やや目地部2が広い状態になった場合には、
図10に示すように、可動目地カバー6のカバー部材13(カバー板16)の先端部が、受け部8の先端部と重なり合い、可動目地カバー6と固定目地カバー9の間に隙間が生じることを防止する。そのため、天井部分の美観を損なうことがない。
【0036】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図11乃至
図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0037】
図11乃至
図14に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、可動目地カバー6Aの上面に設けられた略コ字状の被支持部材18と、他方の躯体の壁面に固定され上面が傾斜するとともに、地震によって目地部2が狭くなった際に、その傾斜した上面で前記被支持部材18を支持し、可動目地カバー6Aを上方へ位置変位させるバー状の支持部材19とで位置変位手段11Aを構成するとともに、別体に形成した板状の部材を他端部の底面に固定して受け部8とした固定目地カバー9Aにした点で、このような位置変位手段11Aを用いた天井用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、目地部2が少し狭くなった状態(カバー板16のみが上方へ回動する状態)においては支持部材19が被支持部材18を支持する状態とはならず、かつ、それよりも更に目地部2が狭くなり、可動目地カバー本体12の他端部と固定目地カバー9の他端部が接近した際には可動目地カバー6Aが上方へせり上げられるような位置に被支持部材18及び支持部材19を設けるとよい。
【0038】
本実施形態においても固定目地カバー9Aの他端部には傾斜面が形成されているが、この傾斜面は可動目地カバー6Aを位置変位させるものではなく、可動目地カバー6Aが上方へ回動する際に衝突を防止する逃げ部とカバー板16を上方へスムーズに回動させるものであり、逃げ部が不要な場合や、傾斜部17のみカバー板がスムーズに回動できる場合等にはこのような傾斜面を形成しなくてもよい。
【0039】
なお、本発明の実施形態では、可動目地カバーがせり上がるように位置変位するものについて説明したが、例えば可動目地カバー本体の先端部が回動せず水平状態のまま上方へ位置変位するものであってもよい。
【0040】
また、可動目地カバーが前後方向にスライド移動可能に取り付けても良い。このような場合、取付部材としては、公知のものを用いることができ、可動目地カバーを支持する可動目地カバー保持手段や位置変位手段についても公知の構成を用いることができる。
さらに、本発明の実施形態では、免震装置が原点復帰するまでの間に長時間を要するものについて説明したが、免震装置を有しない躯体に設けることにより、例えば地震によって左右の躯体間の目地部がわずかに接近又は離間した状態となってしまい、修繕までに長時間を要する場合や安全上問題なく修繕が行われない場合に、目地カバーのせり上がりや隙間が生じることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は天井用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0042】
1、1A:天井用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:取付部材、 6、6A:可動目地カバー、
6a:基端部、 6b:自由端部、
7:取付具、 8:受け部、
9、9A:固定目地カバー、 10:可動目地カバー保持手段、
11、11A:位置変位手段、 12:可動目地カバー本体、
13:カバー部材、 14:固定部、
15:ヒンジ部、 16:カバー板、
17:傾斜部、 18:被支持部材、
19:支持部材。