(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】接眼レンズ光学システム及び頭部装着型ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20220520BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
G02B25/00 A
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2020541940
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2019098202
(87)【国際公開番号】W WO2021016810
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】517291003
【氏名又は名称】深▲ゼン▼納徳光学有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】曹鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】郭建飛
(72)【発明者】
【氏名】彭華軍
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/049616(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105739085(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107024766(CN,A)
【文献】国際公開第2019/079996(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106405818(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106707497(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される
正の屈折力を有する第1のレンズ、
負の屈折力を有する第2のレンズ、
正の屈折力を有する第3のレンズ、
正の屈折力を有する第4のレンズ及び
負の屈折力を有する第5のレンズ
からなる接眼レンズ光学システムであって、前記第2のレンズの焦点距離がf-
2であり、前記第3のレンズ及び前記第4のレンズで構成されるレンズ群の焦点距離がf
34であり、前記第5のレンズの焦点距離がf
5であり、前記接眼レンズ光学システムのディスプレイから前記第5のレンズの前記ディスプレイに近接する面までの距離である後焦点距離がf
dであり、システム全長がf
wであり、かつ以下の関係式(1)、(2)、(3)及び(4)を満たすことを特徴とする、接眼レンズ光学システム
であって、
前記第1のレンズが目に向けて突出する第1の光学面と目に向けて凹む第2の光学面とを有し、
前記第2のレンズが目に向けて突出する第3の光学面と目に向けて凹む第4の光学面とを有し、
前記第3のレンズが目に向けて突出する第5の光学面と像面に向けて突出する第6の光学面とを有し、
前記第4のレンズが目に向けて突出する第7の光学面と像面に向けて突出する第8の光学面とを有し、
前記第5のレンズが像面に向けて凹む第9の光学面と目に向けて凹む第10の光学面とを有することを特徴とする、接眼レンズ光学システム。
【数1】
【請求項2】
前記第1のレンズ、前記第3のレンズ及び前記第4のレンズが全て正レンズであり、前記第2のレンズ及び前記第5のレンズが全て負レンズであり、前記第1のレンズ、前記第2のレンズ、前記第3のレンズ、前記第4のレンズ及び前記第5のレンズがガラス材料又はプラスチック材料であることを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【請求項3】
前記第1のレンズ、前記第2のレンズ及び前記第3のレンズの材料が以下の関係式(5)、(6)及び(7)を満たし、
なかでも、Nd
1、Nd
2、Nd
3は、それぞれ、前記第1のレンズの材料の屈折率、前記第2のレンズの材料の屈折率及び前記第3のレンズの材料の屈折率であることを特徴とする、請求項2に記載の接眼レンズ光学システム。
【数2】
【請求項4】
前記第1のレンズ、前記第2のレンズ及び前記第3のレンズの材料が以下の関係式(8)、(9)及び(10)を満たし、
なかでも、Vd
1、Vd
2、Vd
3は、それぞれ、前記第1のレンズ、前記第2のレンズ、前記第3のレンズのアッベ数を示すことを特徴とする、請求項3に記載の接眼レンズ光学システム。
【数3】
【請求項5】
前記第1の光学面から前記第10の光学面まで、合計10個の光学面において、幾つかの光学面の表面形状が偶数次非球面の表面形状であり、その表面形状の公式が下記の式(11)の通りであることを特徴とする、請求項4に記載の接眼レンズ光学システム。
【数4】
【請求項6】
前記第1のレンズにおける前記第2の光学面、前記第3のレンズにおける前記第5の光学面及び前記第6の光学面、前記第4のレンズにおける前記第8の光学面が球面の表面形状であり、ほかの光学面が全て偶数次非球面の表面形状であることを特徴とする、請求項
1に記載の接眼レンズ光学システム。
【請求項7】
前記第5のレンズの人の目に近接する側の光学面の曲率半径がR
51であり、前記ディスプレイに近接する側の光学面の曲率半径がR
52であり、R
51とR
52との間が以下の関係式(12)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【数5】
【請求項8】
前記第2のレンズの人の目に近接する側の光学面の曲率半径がR
21であり、前記ディスプレイに近接する側の光学面の曲率半径がR
22であり、R
21とR
22との間が以下の関係式(13)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【数6】
【請求項9】
前記第2のレンズ、前記第3のレンズ、前記第4のレンズ及び前記第5のレンズの焦点距離がさらに以下の関係式(1a)、(2a)、(3a)及び(4a)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【数7】
【請求項10】
前記第1のレンズ、前記第2のレンズ及び前記第3のレンズの屈折率Nd
1、Nd
2、Nd
3がさらに以下の関係式(5a)、(6a)及び(7a)を満たすことを特徴とする、請求項3に記載の接眼レンズ光学システム。
【数8】
【請求項11】
前記第1のレンズ、前記第2のレンズ及び前記第3のレンズのアッベ数Vd
1、Vd
2、Vd
3がさらに以下の関係式(8a)、(9a)及び(10a)を満たすことを特徴とする、請求項4に記載の接眼レンズ光学システム。
【数9】
【請求項12】
前記第5のレンズの曲率半径R
51とR
52との間がさらに以下の関係式(12a)を満たすことを特徴とする、請求項
7に記載の接眼レンズ光学システム。
【数10】
【請求項13】
前記第2のレンズの曲率半径R
21とR
22との間がさらに以下の関係式(13a)を満たすことを特徴とする、請求項
8に記載の接眼レンズ光学システム。
【数11】
【請求項14】
小型画像表示ユニットと、人の目と前記小型画像表示ユニットとの間に位置する接眼レンズとを備える頭部装着型ディスプレイにおいて、前記接眼レンズが請求項1~
12のいずれか1項に記載の接眼レンズ光学システムを含むことを特徴とする、頭部装着型ディスプレイ。
【請求項15】
前記第5のレンズにおける前記第10の光学面と前記小型画像表示ユニットとの間の距離が調整可能であることを特徴とする、請求項
14に記載の頭部装着型ディスプレイ。
【請求項16】
前記頭部装着型ディスプレイは2つの同様な前記接眼レンズ光学システムを含む両眼頭部装着型ディスプレイであることを特徴とする、請求項
14に記載の頭部装着型ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接眼レンズ光学システム及び頭部装着型再生装置に関し、より詳しくは、接眼レンズ光学システム及び頭部装着型ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスが超小型化に発展しており、及び新規のコンピュータ、マイクロエレクトロニクス、光電デバイスや通信理論並びに技術が発展するとともに、ウェアラブルコンピューティングのような「人間本位」、「人機一体」に基づく新しいパターは可能となり、軍事、工業、医療、教育、消費等の分野に応用されてきている。典型的なウェアラブルコンピューティングのシステムアーキテクチャにおいて、頭部装着型表示装置は肝心な構成要素である。頭部装着型表示装置は光学技術を介して、小型画像表示装置(例えば透過型又は反射型液晶ディスプレイ、有機電界発光素子、DMDデバイス)から発されるビデオ画像の光をユーザの瞳孔に導き、ユーザの目に近い範囲において仮想の拡大画像を実現し、ユーザに直観的で目に見える画像、ビデオ、文字情報を提供する。接眼レンズ光学システムは頭部装着型表示装置の核であり、小型画像を人の目の前に表示して仮想の拡大画像を形成するという機能を実現するものである。
【0003】
頭部装着型表示装置は体積がコンパクトで、軽量で、頭部装着が容易になり、負荷が軽減される等の方向に進んでいる。同時に、広視野角及び快適な視覚体験も次第に頭部装着型表示装置の優劣を評価する肝心な要素となっている。広視野角は高臨場感の視覚体験効果を決めるものであり、高画質、低歪みは視覚体験の快適性を決めるものである。これらの要求を満たすために、光学システムは広視野角、高画像解像度、低歪み、小像面湾曲、小体積等の指標をできるだけ実現する必要があり、上記光学性能を同時に満たすことはシステムの設計及び収差の最適化に対して大きなチャレンジである。
【0004】
それぞれ、正の焦点距離、負の焦点距離、正の焦点距離、正の焦点距離及び負の焦点距離を有する5枚の同軸レンズが組合せられて通常の光学システムが構成される。特許文献1(米国特許第7978417号明細書)、特許文献2(中国特許第103988111号明細書)、特許文献3(中国特許第104730706号明細書)、特許文献4(中国特許公開番号CN103217782A)、特許文献5(中国特許第104685402号明細書)、特許文献6(米国特許第8345139号明細書)、特許文献7(中国特許第101887166号明細書)、特許文献8(中国特許第104603669号明細書)は、それぞれ同軸の正・負・正の3枚のレンズの形で構成された光学システムを提供し、低歪み(<3%)、高画質の効果を実現した。しかし、上記光学システムの有効視野角が小さく、それぞれ、16°~37°であり、広視野角効果が実現されていない。
【0005】
特許文献9(中国特許第107024766号明細書)は、正レンズ、負レンズ、正レンズ、正レンズ及び負レンズで構成され、全体として正・負・正・正・負の光学システムと見なすことができる、頭部に装着して表示するための接眼レンズシステムを提供する。当該接眼レンズシステムは、広視野角の効果(>40°)を実現することができる。しかし、当該接眼レンズの第2の負レンズは、曲率により、光学システム全体の性能比をより効率的に向上し、前部レンズの外径値を大きくし、光学製品全体の加工難易度を増やした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7978417号明細書
【文献】中国特許第103988111号明細書
【文献】中国特許第104730706号明細書
【文献】中国特許公開番号CN103217782A
【文献】中国特許第104685402号明細書
【文献】米国特許第8345139号明細書
【文献】中国特許第101887166号明細書
【文献】中国特許第104603669号明細書
【文献】中国特許第107024766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の前記デメリットに対して、接眼レンズ光学システム及び頭部装着型ディスプレイを提供し、前記課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、その課題を解決するために用いられる技術的手段は以下の通りである。
【0009】
目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズを含む接眼レンズ光学システムであって、第2のレンズの焦点距離がf-2であり、第3のレンズ及び第4のレンズで構成されるレンズ群の焦点距離がf34であり、第5のレンズの焦点距離がf5であり、前記光学システムのディスプレイから第5のレンズの前記ディスプレイに近接する面までの距離である後焦点距離がfdであり、システム全長がfwであり、かつ以下の関係式(1)、(2)、(3)及び(4)を満たす接眼レンズ光学システム。
【0010】
【0011】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズ、第3のレンズ及び第4のレンズが全て正レンズであり、第2のレンズ及び第5のレンズが全て負レンズであり、前記第1のレンズ、前記第2のレンズ、前記第3のレンズ、前記第4のレンズ及び前記第5のレンズがガラス材料又はプラスチック材料である。
【0012】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズの材料が以下の関係式(5)、(6)及び(7)を満たす。
【0013】
【数2】
なかでも、Nd
1、Nd
2、Nd
3は、それぞれ、第1のレンズの材料の屈折率、第2のレンズの材料の屈折率及び第3のレンズの材料の屈折率である。
【0014】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズの材料が以下の関係式(8)、(9)及び(10)を満たす。
【0015】
【数3】
なかでも、Vd
1、Vd
2、Vd
3は、それぞれ、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズのアッベ数を示す。
【0016】
本発明のさらなる実施態様として、
前記第1のレンズが目に向けて突出する第1の光学面と目に向けて凹む第2の光学面とを有し、
前記第2のレンズが目に向けて突出する第3の光学面と目に向けて凹む第4の光学面とを有し、
前記第3のレンズが目に向けて突出する第5の光学面と像面に向けて突出する第6の光学面とを有し、
前記第4のレンズが目に向けて突出する第7の光学面と像面に向けて突出する第8の光学面とを有し、
前記第5のレンズが像面に向けて凹む第9の光学面と目に向けて凹む第10の光学面とを有する。
【0017】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1の光学面から第10の光学面まで、合計10個の光学面において、幾つかの光学面の表面形状が偶数次非球面の表面形状であり、その表面形状の公式が下記の式(11)の通りである。
【0018】
【0019】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズにおける第2の光学面、第3のレンズにおける第5の光学面及び第6の光学面、第4のレンズにおける第8の光学面が球面の表面形状であり、ほかの光学面が全て偶数次非球面の表面形状である。
【0020】
本発明のさらなる実施態様として、前記第5のレンズの人の目に近接する側の光学面の曲率半径がR51であり、ディスプレイに近接する側の光学面の曲率半径がR52であり、R51とR52との間が以下の関係式(12)を満たす。
【0021】
【0022】
本発明のさらなる実施態様として、前記第2のレンズの人の目に近接する側の光学面の曲率半径がR21であり、ディスプレイに近接する側の光学面の曲率半径がR22であり、R21とR22との間が以下の関係式(13)を満たす。
【0023】
【0024】
本発明のさらなる実施態様として、前記第2のレンズ、第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズの焦点距離がさらに以下の関係式(1a)、(2a)、(3a)及び(4a)を満たす。
【0025】
【0026】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズの屈折率Nd1、Nd2、Nd3がさらに以下の関係式(5a)、(6a)及び(7a)を満たす。
【0027】
【0028】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズのアッベ数Vd1、Vd2、Vd3がさらに以下の関係式(8a)、(9a)及び(10a)を満たす。
【0029】
【0030】
本発明のさらなる実施態様として、前記第5のレンズの曲率半径R51とR52との間がさらに以下の関係式(12a)を満たす。
【0031】
【0032】
本発明のさらなる実施態様として、前記第2のレンズの曲率半径R21とR22との間がさらに以下の関係式(13a)を満たす。
【0033】
【0034】
小型画像表示ユニットと、人の目と前記小型画像表示ユニットとの間に位置する接眼レンズとを備える頭部装着型ディスプレイにおいて、前記接眼レンズが上記のいずれか1項に記載の接眼レンズ光学システムを含む頭部装着型ディスプレイ。
【0035】
本発明のさらなる実施態様として、前記第5のレンズにおける第10の光学面と前記小型画像表示ユニットとの間の距離が調整可能である。
【0036】
本発明のさらなる実施態様として、前記頭部装着型ディスプレイは2つの同様な前記接眼レンズ光学システムを含む両眼頭部装着型ディスプレイである。
【発明の効果】
【0037】
本発明の効果としては、5枚のレンズの組合せを用い、各レンズの焦点距離が所定の条件を満たす場合システム収差が大きく除去され、特に広視野角、低歪み、低色収差、低像面湾曲、低非点収差等の光学指標を同時に実現した。したがって、観察者は、本発明に開示される接眼レンズ光学システムにより、フルフレームで高精細度、無歪み、均一な画質の大画面を見、高臨場感の視覚体験を達成することができる。
【0038】
本発明の実施例又は従来技術中の技術的手段をより明確に説明するために、以下に添付図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。以下の説明中の添付図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的活動を行うことなく、さらにこれらの添付図面に応じて他の添付図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の第1の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのスポットダイアグラムの概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの横色収差の概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの像面湾曲カーブの概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのディストーションカープの概略図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの伝達関数MTFの概略図である。
【
図7】本発明の第2の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図8】本発明の第2の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのスポットダイアグラムの概略図である。
【
図9】本発明の第2の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのディストーションカープの概略図である。
【
図10】本発明の第2の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの伝達関数MTFの概略図である。
【
図11】本発明の第3の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図12】本発明の第3の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのスポットダイアグラムの概略図である。
【
図13】本発明の第3の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの像面湾曲カーブの概略図である。
【
図14】本発明の第3の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの伝達関数MTFの概略図である。
【
図15】本発明の第4の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図16】本発明の第4の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのスポットダイアグラムの概略図である。
【
図17】本発明の第4の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの像面湾曲カーブの概略図である。
【
図18】本発明の第4の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのディストーションカープの概略図である。
【
図19】本発明の第4の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの伝達関数MTFの概略図である。
【
図20】本発明の第5の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図21】本発明の第5の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのスポットダイアグラムの概略図である。
【
図22】本発明の第5の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの像面湾曲カーブの概略図である。
【
図23】本発明の第5の実施例に提供される接眼レンズ光学システムのディストーションカープの概略図である。
【
図24】本発明の第5の実施例に提供される接眼レンズ光学システムの伝達関数MTFの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施例の目的、技術的手段及びメリットがより分かりやすいように、以下に本発明の実施例中の技術的手段及び添付図面を参照しながら明確で完全に説明を行う。明らかに、説明される実施例は本発明の全部の実施例ではなく、一部の実施例である。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的活動を行うことなく、得られた全ての他の実施例は、何れも本発明の保護範囲に属する。
【0041】
図1に示すように、さらに、
図7、
図11、
図15及び
図20を参照し、目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5を含む接眼レンズ光学システムであって、第2のレンズL2の焦点距離がf-
2であり、第3のレンズL3及び第4のレンズL4で構成されるレンズ組合せの焦点距離がf
34であり、第5のレンズL5の焦点距離がf
5であり、光学システムのディスプレイから第5のレンズL5のディスプレイに近接する光学面までの距離がf
dであり、システム全長がf
wであり、かつ以下の関係式(1)~(4)を満たす接眼レンズ光学システム。
【0042】
【0043】
第1のレンズL1、第3のレンズL3及び第4のレンズL4は全て正レンズであり、第2のレンズL2及び第5のレンズL5は全て負レンズであり、第1のレンズL1、第3のレンズL3及び第4のレンズL4は全て正レンズであり、第2のレンズL2及び第5のレンズL5は全て負レンズであり、第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5はガラス材料又はプラスチック材料である。
【0044】
第1のレンズL1、第2のレンズL2及び第3のレンズL3の材料は以下の関係式(5)~(10)を満たす。
【0045】
【数13】
Nd
1、Nd
2、Nd
3は、それぞれ、第1のレンズの材料の屈折率、第2のレンズの材料の屈折率及び第3のレンズの材料の屈折率であり、Vd
1、Vd
2、Vd
3は、それぞれ、第1のレンズ、第2のレンズ、第3のレンズのアッベ数を示す。
【0046】
なかでも、上記Nd1の値は1.40、1.90、1.50、1.45、1.61、1.66、1.57、1.70、1.73、1.82、1.49、1.83であってもよい。
Nd2の値は1.40、1.80、1.44、1.49、1.77、1.55、1.62、1.65、1.68、1.70、1.73、1.50、1.74であってもよい。
Nd3の値は1.60、1.90、1.62、1.69、1.77、1.86、1.88、1.65、1.70、1.73、1.80、1.71、1.82であってもよい。
Vd1の値は40、95、42、90、50.6、42.9、89.3、87、44.4、46.8、57.4、60、75.5、80であってもよい。
Vd2の値は20.4、55、19、60、20、57.6、55.4、49.8、19.5、21、26.2、28.5、30.3、45.5であってもよい。
Vd3の値は30、55.6、28、57、28.3、29.1、29.9、55.8、56.6、35、37.4、38.1、40.3、46.8、55であってもよい。
【0047】
第1のレンズL1は目に向けて突出する第1の光学面1と目に向けて凹む第2の光学面2とを有し、
第2のレンズL2は目に向けて突出する第3の光学面3と目に向けて凹む第4の光学面4とを有し、
第3のレンズL3は目に向けて突出する第5の光学面5と像面に向けて突出する第6の光学面6とを有し、
第4のレンズL4は目に向けて突出する第7の光学面7と像面に向けて突出する第8の光学面8とを有し、
第5のレンズL5は像面に向けて凹む第9の光学面9と目に向けて凹む第10の光学面10とを有する。
【0048】
本発明の5枚のレンズの合計10個の光学面において、幾つかの光学面は非球面の表面形状であり、好ましくは、第1のレンズL1における第1の光学面1、第2のレンズL2における第3の光学面3及び第4の光学面4、第4のレンズL4における第7の光学面7、第5のレンズL5における第9の光学面9及び第10の光学面10は偶数次非球面の表面形状であり、その表面形状の公式は下記の式(11)の通りである。
【0049】
【数14】
なかでも、Zは光学面の矢高であり、cは非球面の頂点における曲率であり、kは非球面係数であり、α2、4、6…は各階の係数であり、rは曲面における点からレンズシステムの光軸までの距離の座標である。
【0050】
第1のレンズL1における第2の光学面2、第3のレンズL3における第5の光学面5及び第6の光学面6、第4のレンズL4における第8の光学面8は球面の表面形状である。
【0051】
第5のレンズL5の人の目に近接する側の第9の光学面9の曲率半径はR51であり、ディスプレイに近接する側の第10の光学面10の曲率半径はR52であり、R51とR52との間は以下の関係式を満たす。
【0052】
【数15】
当該式の下限値が0.5よりも大きいことで、第5のレンズL5は十分な負の屈折率を提供でき、より良く補正システムの収差のバランスをとり、良い光学効果を実現させることができる。その上限値が4.0よりも小さいことで、球面収差の補正難易度を低減し、大きな光学アパーチャを実現しやすくなる。前記式の値は0.5、4.0、0.52、3.5、3.8、3.91、3.66、3.58、0.55、0.8、1.2、1.8、2.2、2.9、3.15、2.51、2.63、2.93、1.51、1.33、1.71、1.69、0.77、0.51、3.39であってもよい。
【0053】
第2のレンズL2の人の目に近接する側の第3の表面3の曲率半径はR21であり、ディスプレイに近接する側の第4の表面4の曲率半径はR22であり、R21とR22との間は以下の関係式を満たす。
【0054】
【数16】
前記式の下限値が0.8よりも大きいことで、第2のレンズL2は十分な負の屈折率を提供でき、より良く補正システムの収差のバランスをとり、良い光学効果を実現させることができる。その上限値が6.0よりも小さいことで、球面収差の補正難易度を低減し、大きな光学アパーチャを実現しやすくなる。前記式の値は0.8、6.0、1.0、5.2、0.9、5.5、0.85、5.3、0.93、0.97、1.47、1.68、1.96、2.31、2.5、2.66、2.79、3.01、3.2、3.48、3.61、3.89、4.12、4.41、4.52、4.67、4.81、4.98、5.11であってもよい。
【0055】
以下に添付図面の説明及び具体的な実施の態様を参照しながら、本発明をさらに説明する。下記の各実施例の光路図において、表示デバイスから発される光は、順に第5のレンズL5、第4のレンズL4、第3のレンズL3、第2のレンズL2及び第1のレンズL1を経由して、最後に人の目に入る。絞りは本光学システムの結像の射出瞳であってもよく、バーチャルの光出射アパーチャである。人の目の瞳孔が絞り位置にある場合、最も好ましい結像効果を観察することができる。
【0056】
以下の各実施例が提供するスポットダイアグラムは光学システム結像の幾何学的構造を反映し、回折効果を無視し、所定の視野、所定の波長の光線が像平面の断面に焦点を合わせて形成したスペックルにより示され、複数の視野及び複数の波長の光線を同時に含んでもよい。このため、スポットダイアグラムにおけるスペックルの密集度、形状サイズにより、光学システムの結像品質の優劣を直観的に評価し、スポットダイアグラムにおける異なる波長スペックルのずれの度合により、光学システムの色収差を直観的に評価することができる。スポットダイアグラムのRMS(Root Mean Square)半径(二乗平均平方根)が小さくなるほど、光学システムの結像品質が高くなる。
【実施例1】
【0057】
接眼レンズ光学システムの概略構成図は、
図1に示すように、目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5を含む。絞り側に近接する光学面の番号を1として、以下同様にして、絞りから像面方向の光学面まで順番に2、3、4、5、6、7、8、9、10と番号をつける。本実施例は、光学システムの歪み、色収差及び像面湾曲等の収差を十分に補正し、体積が小さい場合広視野角の効果の達成を確保することができる。
【0058】
【0059】
図2に示すように、本実施例の各視野の光線は像平面(表示デバイス)におけるスペックルの半径が小さくて均一であり、異なる波長の光線は同一の視野に焦点を合わせて形成したスペックルのずれの度合が低く、光学システムの収差が良く補正された。接眼レンズ光学システムにより、全体が均一であり、光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【0060】
図3に示すように、光学システムの横色収差の変化曲線は、所定の視野、所定の色収差の大きさで、二次元平面の方式により各視野の色収差変化の大きさを示す。
【0061】
図4~
図6に示すように、本実施例の光学システムの像面湾曲及びディストーションカープは、本実施例の光学システムの超大の視野及び高い結像品質等の特徴を示している。
【実施例2】
【0062】
接眼レンズ光学システムの概略構成図は、
図7に示すように、目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5を含む。絞り側に近接する光学面の番号を1として、以下同様にして、絞りから像面方向の光学面まで順番に2、3、4、5、6、7、8、9、10と番号をつける。本実施例は、光学システムの歪み、色収差及び像面湾曲等の収差を十分に補正し、体積が小さい場合広視野角の効果の達成を確保することができる。
【0063】
【0064】
図8に示すように、本実施例の光学システムのスポットダイアグラムの概略図である。図面から分かるように、本実施例の各視野の光線は像平面(表示デバイス)におけるスペックルの半径が小さくて均一であり、異なる波長の光線は同一の視野に焦点を合わせて形成したスペックルのずれの度合が低く、光学システムの収差が良く補正された。光学システムにより、全体が均一であり、光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【0065】
図9~
図10を同時に参照する。本実施例の光学システムのディストーションカープは、本実施例の光学システムの超大の視野及び高い結像品質等の特徴を示している。
【実施例3】
【0066】
接眼レンズ光学システムの概略構成図は、
図11に示すように、目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5を含む。絞り側に近接する光学面の番号を1として、以下同様にして、絞りから像面方向の光学面まで順番に2、3、4、5、6、7、8、9、10と番号をつける。本実施例は、光学システムの歪み、色収差及び像面湾曲等の収差を十分に補正し、体積が小さい場合広視野角の効果の達成を確保することができる。
【0067】
【0068】
図11~
図14に示すように、本実施例の各視野の光線は像平面(表示デバイス)におけるスペックルの半径が小さくて均一であり、異なる波長の光線は同一の視野に焦点を合わせて形成したスペックルのずれの度合が低く、光学システムの収差が良く補正された。光学システムにより、全体が均一であり、光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【実施例4】
【0069】
接眼レンズ光学システムの概略構成図は、
図15に示すように、目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5を含む。絞り側に近接する光学面の番号を1として、以下同様にして、絞りから像面方向の光学面まで順番に2、3、4、5、6、7、8、9、10と番号をつける。本実施例は、光学システムの歪み、色収差及び像面湾曲等の収差を十分に補正し、体積が小さい場合広視野角の効果の達成を確保することができる。
【0070】
【0071】
図16~
図19に示すように、添付図面は光学システム結像の幾何学的構造を反映するものである。本発明の第4の実施例の光学伝達関数MTF及びスポットダイアグラムから分かるように、本実施例の各視野の光線は像平面(表示デバイスI)におけるスペックルの半径が小さくて均一であり、異なる波長の光線は同一の視野に焦点を合わせて形成したスペックルのずれの度合が低く、光学システムの収差が良く補正された。光学システムにより、全体が均一であり、光学性能が高い表示画像を観察することができる。なかでも、
図18によれば、本発明の第1実施例の光学システムの像面湾曲及びディストーションカープは、本実施例の光学システムの超大の視野及び高い結像品質等の特徴を示している。
【実施例5】
【0072】
接眼レンズ光学システムの概略構成図は、
図20に示すように、目視観察側から表示デバイス側まで光軸方向に同軸で順に配列される第1のレンズL1、第2のレンズL2、第3のレンズL3、第4のレンズL4及び第5のレンズL5を含む。絞り側に近接する光学面の番号を1として、以下同様にして、絞りから像面方向の光学面まで順番に2、3、4、5、6、7、8、9、10と番号をつける。本実施例は、光学システムの歪み、色収差及び像面湾曲等の収差を十分に補正し、体積が小さい場合広視野角の効果の達成を確保することができる。
【0073】
【0074】
図21~
図24に示すように、本実施例の各視野の光線の像平面(表示デバイス)における結像は、周波数が5lpの位置に90%以上を達成した。異なる波長の光線は各視野における結像品質が良く、光学システムの全体の収差が良く補正された。光学システムにより、全体が均一であり、光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【0075】
以上の5つの実施例はいずれも有効焦点距離が16.9mmであり、視野角2ω=44°であり、かつ上記の実施例の各データは、表6に示すように、すべて明細書に記載されるパラメータの要求を満たすものである。
【0076】
【0077】
以下に本発明に係る頭部装着型ディスプレイをさらに説明する。
【0078】
小型画像表示ユニットと、人の目と小型画像表示ユニットとの間に位置する接眼レンズとを備える頭部装着型ディスプレイにおいて、接眼レンズが上記のいずれか1項の接眼レンズ光学システムを含む頭部装着型ディスプレイ。
【0079】
好ましくは、第5のレンズL5における第10の光学面10と小型画像表示ユニットとの間の距離が調整可能である。
【0080】
好ましくは、頭部装着型ディスプレイは2つの同様な前記接眼レンズ光学システムを含む両眼頭部装着型ディスプレイである。2つの光学システムはそれぞれ観察者の左右の目に対応し、観察者は光学システムにより、広視野角、低歪み、低色収差、低像面湾曲、低非点収差等の性能による頭部装着表示効果を得ることができる。
【0081】
なお、当業者であれば、前記説明に応じて改善又は変形することができる。これらの改善及び変換の全ては、本発明に添付される特許請求の範囲の保護範囲に属すべきである。