(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】止め輪装着装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/02 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
B23P19/02 D
(21)【出願番号】P 2018083552
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 努
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-076423(JP,U)
【文献】実開昭55-120433(JP,U)
【文献】特開平10-138054(JP,A)
【文献】米国特許第04689865(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
B25B 25/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
割口の両側に係合孔を有するC型の止め輪を、ワークの孔内周面に形成された装着溝に装着する止め輪装着装置であって、割口に回り止め部材を挿入して止め輪を回り止めして規定位置に位置決めする位置決め機構と、規定位置に位置決めした止め輪を係合してワークの孔より小径に縮径する縮径機構と、縮径機構で縮径した止め輪をワークの孔を挿通して装着溝に搬送する搬送機構とを備え、
位置決め機構は回り止め部材で回り止めした止め輪を挟持して規定位置に位置決めする一対の腕部材を備え、縮径機構は止め輪の係合孔に係合する係合部を先端に有する一対の把持部材を回動操作自在に設け、両把持部材は回動操作により係合部を相互に接近して止め輪を縮径すると共に、係合部を相互に離間して止め輪を拡径
し、搬送機構は縮径機構を水平方向へ移動自在にする水平移動部と縮径機構を鉛直方向へ移動自在にする鉛直移動部とから構成し、水平移動部は縮径機構をワーク上と位置決め機構で規定位置に位置決めした止め輪上とに移動自在に設け、鉛直移動部は縮径機構の把持部材の係合部をワークの装着溝と略同位置とワークより鉛直方向で上方の位置とに移動自在に設けたことを特徴とする止め輪装着装置。
【請求項2】
前記一対の把持部材は、棒状に形成して対向配置し、前記係合部を有する先端と対向する根元にカム部材を当接する当接部を有し、先端と根元との間にある中間部を中心に回動自在に設け、カム部材を移動自在に設け、カム部材の移動に応じて当接部を相互に接近、離間して設け、当接部の接近により前記係合部を離間すると共に、当接部の離間により前記係合部を接近することを特徴とする請求項1に記載の止め輪装着装置。
【請求項3】
前記当接部を相互に離間する方向に移動する前記カム部材の移動最大値を設定する設定部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の止め輪装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割口を有するC型の止め輪をワークの孔内周面に形成された装着溝に対して装着する止め輪装着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の止め輪装着装置は、マガジンから切出した止め輪(スナップリング)を搬送路に沿って搬送し、水平方向から鉛直方向への姿勢変換を行なわせ、自由落下により縮径案内路の縮径開始位置に導く。この縮径開始位置に導いた止め輪を、押圧シャフトにより押圧して縮径案内路の下方に移動させて縮径を行い、挿入筒内に縮径状態で保持する。この縮径状態で保持した止め輪を、挿入シャフトにより押し出してワーク(ピストン)の孔を挿通して装着溝に挿入し、止め輪自体の弾性復帰により装着を完了する。そして、縮径案内路を止め輪が移動する際に、回転規制ピンを止め輪の割口に挿入し、割口の位置がずれないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来の止め輪装着装置では、止め輪がワークの孔を挿通する際に、止め輪自体の拡径方向への弾性復帰力により、止め輪がワークの孔の内周面に摺接するため、ワークの孔内周面が傷つく恐れがあった。
【0005】
本発明の課題は、ワークの孔内周面を傷つけることなく、止め輪をワークの孔内周面に形成された装着溝に装着し得る止め輪装着装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
割口の両側に係合孔を有するC型の止め輪を、ワークの孔内周面に形成された装着溝に装着する止め輪装着装置であって、割口に回り止め部材を挿入して止め輪を回り止めして規定位置に位置決めする位置決め機構と、規定位置に位置決めした止め輪を係合してワークの孔より小径に縮径する縮径機構と、縮径機構で縮径した止め輪をワークの孔を挿通して装着溝に搬送する搬送機構とを備え、位置決め機構は回り止め部材で回り止めした止め輪を挟持して規定位置に位置決めする一対の腕部材を備え、縮径機構は止め輪の係合孔に係合する係合部を先端に有する一対の把持部材を回動操作自在に設け、両把持部材は回動操作により係合部を相互に接近して止め輪を縮径すると共に、係合部を相互に離間して止め輪を拡径し、搬送機構は縮径機構を水平方向へ移動自在にする水平移動部と縮径機構を鉛直方向へ移動自在にする鉛直移動部とから構成し、水平移動部は縮径機構をワーク上と位置決め機構で規定位置に位置決めした止め輪上とに移動自在に設け、鉛直移動部は縮径機構の把持部材の係合部をワークの装着溝と略同位置とワークより鉛直方向で上方の位置とに移動自在に設けたことを特徴とする止め輪装着装置がそれである。
【0007】
この場合、前記一対の把持部材は、棒状に形成して対向配置し、前記係合部を有する先端と対向する根元にカム部材を当接する当接部を有し、先端と根元との間にある中間部を中心に回動自在に設け、カム部材を移動自在に設け、カム部材の移動に応じて当接部を相互に接近、離間して設け、当接部の接近により前記係合部を離間すると共に、当接部の離間により前記係合部を接近してもよい。また、前記当接部を相互に離間する方向に移動する前記カム部材の移動最大値を設定する設定部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、割口に回り止め部材を挿入して止め輪を回り止めして規定位置に位置決めする位置決め機構と、規定位置に位置決めした止め輪を係合してワークの孔より小径に縮径する縮径機構と、縮径機構で縮径した止め輪をワークの孔を挿通して装着溝に搬送する搬送機構とを備え、位置決め機構は回り止め部材で回り止めした止め輪を挟持して規定位置に位置決めする一対の腕部材を備え、縮径機構は止め輪の係合孔に係合する係合部を先端に有する一対の把持部材を回動操作自在に設け、両把持部材は回動操作により係合部を相互に接近して止め輪を縮径すると共に、係合部を相互に離間して止め輪を拡径し、搬送機構は縮径機構を水平方向へ移動自在にする水平移動部と縮径機構を鉛直方向へ移動自在にする鉛直移動部とから構成し、水平移動部は縮径機構をワーク上と位置決め機構で規定位置に位置決めした止め輪上とに移動自在に設け、鉛直移動部は縮径機構の把持部材の係合部をワークの装着溝と略同位置とワークより鉛直方向で上方の位置とに移動自在に設けた。このため、縮径機構の一対の把持部材を回動操作し、係合部を相互に接近してワークの孔より小径にした止め輪を、ワークの孔内周面に当たることなく搬送機構で装着溝に搬送できるから、ワークの孔内周面を傷つけることなく、止め輪をワークの孔内周面に形成された装着溝に装着することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、一対の把持部材は、棒状に形成して対向配置し、係合部を有する先端と対向する根元にカム部材を当接する当接部を有し、先端と根元との間にある中間部を中心に回動自在に設け、カム部材を移動自在に設け、カム部材の移動に応じて当接部を相互に接近、離間して設け、当接部の接近により係合部を離間すると共に、当接部の離間により係合部を接近した。このため、カム部材の移動により一対の把持部材を回動操作し、係合部を相互に接近、離間するから、係合部を係合孔に係合する止め輪を、確実に小径にしたり小径にした止め輪を拡径して復元したりすることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、当接部を相互に離間する方向に移動するカム部材の移動最大値を設定する設定部を設けた。このため、カム部材の移動最大値への移動で係合部を確実に接近できるから、止め輪を確実にワークの孔より小径にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示し、一部を断面にした止め輪装着装置の正面図である。
【
図4】一実施形態の要部を示した縮径機構の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1ないし
図3において、1はC型の止め輪で、割口2の周方向の両側に係合孔3A、3Bを有し、図示しない治具で固定したワークWの孔9内周面に形成された装着溝9Aに装着される。4はスライド部材で、水平方向(
図1および
図2の左右方向)へ移動自在に設け、先端に止め輪1の外周と係合する凹部4Aを形成する。スライド部材4は、
図1および
図2に示す左方端の保持位置では、先端の凹部4Aに係合した止め輪1を位置決め機構5に搬送し、先端と水平方向で反対側となる根元4Bに他の止め輪1を載置している。そして、スライド部材4は、
図1および
図2の右方端の取出し位置への作動で、根元4Bに載置していた他の止め輪1を先端の凹部4Aに係合する。スライド部材4は、保持位置と取出し位置との間の作動の繰返しで、根元4Bに載置された止め輪1を順次1個づつ位置決め機構5に搬送する。なお、根元4Bには、図示しないマガジンから順次1個づつ新たな止め輪が載置される。
【0013】
位置決め機構5は、スライド部材4の凹部4Aと対向して配置し、回り止め部材6と一対の腕部材7A、7Bを備えている。回り止め部材6は、スライド部材4の凹部4Aに係合した止め輪1の割口2へ進退自在に挿入し、割口2への挿入で止め輪1を回り止めしている。腕部材7A、7Bは回り止め部材6の両側に対称配置して回動自在に設け、回り止め部材6で回り止めした止め輪1を規定位置に位置決めする。詳述するに、腕部材7A、7Bは、長手方向の中間部を中心に回動自在に設け、割口2と周方向へ約90°位相して相互に対向する2個所で、長手方向の先端部を止め輪1の外周面に当接して挟持し、止め輪1を規定位置に位置決めする。そして、位置決め機構5は、腕部材7A、7Bの回動で先端部を止め輪1の外周面から離間することで、止め輪1の位置決めを解除する。
【0014】
8は縮径機構で、棒状に形成した一対の把持部材10A、10Bを回動操作自在に設け、位置決め機構5で規定位置に位置決めした止め輪1を係合してワークWの孔9より小径に縮径する。
図4に示す如く、把持部材10A、10Bは、先端に係合部11A、11Bを突設する係合部材12A、12Bを着脱自在で交換可能に設け、係合部11A、11Bは止め輪1の係合孔3A、3Bに係合する。把持部材10A、10Bは、係合部11A、11Bを有する先端と対向する根元に当接部としてのローラ部材14A、14Bを回転自在に設け、先端と根元との間にある中間部に支点15A、15Bを有し、支点15A、15Bを中心に回動自在に設けている。16は略台形のカム部材で、ローラ部材14A、14Bに当接して上方から下方に向けて縮小する傾斜面16Aを有し、把持部材10A、10Bの鉛直方向で上方に配置し、シリンダ17のピストンロッド17Aに固定して上下方向へ移動自在に設けている。カム部材16は、
図4の状態では上下方向の中間位置にあり、この中間位置では止め輪1をワークWの孔9内周面の装着溝9Aへ装着後に、止め輪1の係合孔3A、3Bから把持部材10A、10Bの係合部11A、11Bを抜き出して係合を解除した状態にある。カム部材16は、
図4の中間位置より上方の上端位置では、ローラ部材14A、14Bが相互に接近すると共に、この接近により係合部11A、11Bが相互に離間し、係合部11A、11Bを位置決め機構5で位置決めした止め輪1の係合孔3A、3Bに係合する。また、カム部材16は、
図4の中間位置より下方の下端位置では、ローラ部材14A、14Bが相互に離間すると共に、この離間により係合部11A、11Bが相互に接近し、係合部11A、11Bを係合孔3A、3Bに係合した止め輪1をワークWの孔9より小径に縮径する。Bは一対の把持部材10A、10B間に介装したばねで、ばね力を一対の係合部11A、11Bが相互に離間する方向に付与する。18A、18Bは把持部材10A、10Bの外側に配置した規制部材で、把持部材10A、10Bの外側に当接して係合部11A、11Bの相互に離間する最大値を設定する。
図1および
図3に示す如く、Tはカム部材16の下端位置への移動最大値を設定する設定部で、シリンダ17のピストンロッド17Aに当接し、ローラ部材14A、14Bが相互に離間する方向への移動を設定する。
【0015】
19は縮径機構8で縮径した止め輪1をワークWの孔9を挿通して装着溝9Aに搬送する搬送機構で、縮径機構8を水平方向の左右へ移動自在にする水平移動部20と、縮径機構8を鉛直方向の上下へ移動自在にする鉛直移動部21とから構成する。水平移動部20は、ロッドレスシリンダ22とガイド部材23とを略平行に水平方向へ配置し、基台24をガイド部材23によりガイドしてロッドレスシリンダ22で
図1および
図2の左右へ移動自在にする。水平移動部20は、基台24が
図1および
図2に示す左方端に位置する状態では縮径機構8をワークW上に位置すると共に、基台24が右方端に位置する状態では縮径機構8を位置決め機構5で規定位置に位置決めした止め輪1上に位置する。鉛直移動部21は、基台24にガイドシリンダ25を取付けて構成する。ガイドシリンダ25は、基台24に取付けたガイド本体26にシリンダ本体27を鉛直方向に固定し、シリンダ本体27からピストンロッド28を上下方向へ移動自在に下方へ突出する。ピストンロッド28は、下方端に取付板29を取付け、取付板29に縮径機構8を載置固定し、縮径機構8の把持部材10A、10Bを取付板29より下方に突出している。取付板29にはピストンロッド28を介して対称位置に2本のロッド30A、30Bを立設し、ロッド30A、30Bはガイド本体26でガイドされて上方に突出する。ロッド30A、30Bの上方端は上板31で連結する。上板31にはピストンロッド28の上下方向位置を検知する位置センサ32を備えている。鉛直移動部21は、基台24が左方端に位置する状態では、取付板29を下方端に移動して把持部材10A、10Bの係合部11A、11BをワークWの孔9内の装着溝9Aと鉛直方向で略同位置に位置すると共に、取付板29を上方端に移動して把持部材10A、10Bの係合部11A、11BをワークWより鉛直方向で上方に位置する。また、鉛直移動部21は、基台24が右方端に位置する状態では、取付板29を下方端に移動して把持部材10A、10Bの係合部11A、11Bを位置決め機構5で規定位置に位置決めした止め輪1の係合孔3A、3Bに係合すると共に、基台24が左方端に位置する状態での取付板29の上方端位置と鉛直方向で略同一位置の上方端に移動する。
【0016】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1ないし
図3は、ワークWの装着溝9Aに一つの止め輪1を装着した状態を示している。この状態では、他の一つの止め輪1が、位置決め機構5で規定位置に位置決め保持され、さらに他の一つの止め輪1が、スライド部材4の根元4Bに載置している。搬送機構19は、水平移動部20で基台24を左方端に位置すると共に、鉛直移動部21で取付板29を下方端に位置し、縮径機構8は、把持部材10A、10Bの係合部11A、11BをワークWの装着溝9Aに装着した止め輪1の係合孔3A、3Bに係合している。
【0017】
この状態で、搬送機構19の鉛直移動部21で取付板29を上方端に移動すると、把持部材10A、10Bの係合部11A、11BがワークWの孔9より上方に抜き出され、ワークWは次の新たなワークWに入れ替えられる。そして、搬送機構19の水平移動部20で基台24を右方端に移動すると、縮径機構8は位置決め機構5で規定位置に位置決めした他の一つの止め輪1上に位置する。この状態で、縮径機構8は、カム部材16を
図4で上方の上端位置に移動して係合部11A、11Bを相互に離間し、係合部11A、11B間の離間寸法を、位置決め機構5で規定位置に位置決めした他の一つの止め輪1の係合孔3A、3B間の離間寸法と略同一にする。
【0018】
この状態で、搬送機構19の鉛直移動部21で取付板29を下方端に移動すると、把持部材10A、10Bの係合部11A、11Bが他の一つの止め輪1の係合孔3A、3Bに係合する。この状態で、位置決め機構5は、回り止め部材6を
図2の左方向に移動して他の一つの止め輪1の割口2から退出すると共に、腕部材7A、7Bを回動して先端部を他の一つの止め輪1の外周面から離間し、他の一つの止め輪1の位置決めを解除する。縮径機構8は、カム部材16を
図4で下方の下端位置に移動して係合部11A、11Bを相互に接近し、他の一つの止め輪1を新たなワークWの孔9より小径に縮径する。
【0019】
そして、新たなワークWの孔9より小径に縮径した他の一つの止め輪1を、搬送機構19の鉛直移動部21で上方端に移動し、この上方端に移動した他の一つの止め輪1を、搬送機構19の水平移動部20で左方端に移動し、この左方端に移動した他の一つの止め輪1を、搬送機構19の鉛直移動部21で下方端に移動し、新たなワークWの装着溝9と鉛直方向で略同位置に位置する。そして、縮径機構8は、カム部材16を
図4で上方の中間位置に移動して把持部材10A、10Bの係合部11A、11Bを相互に離間し、他の一つの止め輪1を弾性復帰で拡径して新たなワークWの装着溝9に装着する。
【0020】
そして、スライド部材4は、
図1および
図2の右方端の取出し位置へ作動し、根元4Bに載置していた、さらに他の止め輪1を先端の凹部4Aに係合し、さらに他の止め輪1を、
図1および
図2の左方端の保持位置へ作動する。さらに他の止め輪1は、位置決め機構5で規定位置に位置決めする。
【0021】
かかる作動において、割口2に回り止め部材6を挿入して止め輪1を回り止めして規定位置に位置決めする位置決め機構5と、規定位置に位置決めした止め輪1を係合してワークWの孔9より小径に縮径する縮径機構8と、縮径機構8で縮径した止め輪1をワークWの孔9を挿通して装着溝9Aに搬送する搬送機構19とを備え、縮径機構8は止め輪1の係合孔3A、3Bに係合する係合部11A、11Bを先端に有する一対の把持部材10A、10Bを回動操作自在に設け、両把持部材10A、10Bは回動操作により係合部11A、11Bを相互に接近して止め輪1を縮径すると共に、係合部11A、11Bを相互に離間して止め輪1を拡径する。このため、縮径機構8の一対の把持部材10A、10Bを回動操作し、係合部11A、11Bを相互に接近してワークWの孔9より小径にした止め輪1を、ワークWの孔9内周面に当たることなく搬送機構19で装着溝9Aに搬送できるから、ワークWの孔9内周面を傷つけることなく、止め輪1をワークWの孔9内周面に形成された装着溝9Aに装着することができる。
【0022】
また、一対の把持部材10A、10Bは、棒状に形成して対向配置し、係合部11A、11Bを有する先端と対向する根元にカム部材16を当接するローラ部材14A、14Bを有し、先端と根元との間にある中間部の支点15A、15Bを中心に回動操作自在に設け、カム部材16を移動自在に設け、カム部材16の移動に応じてローラ部材14A、14Bを相互に接近、離間して設け、ローラ部材14A、14Bの接近により係合部11A、11Bを離間すると共に、ローラ部材14A、14Bの離間により係合部11A、11Bを接近した。このため、カム部材16の移動により一対の把持部材10A、10Bを回動操作し、係合部11A、11Bを相互に接近、離間するから、係合部11A、11Bを係合孔3A、3Bに係合する止め輪1を、確実に小径にしたり小径にした止め輪を拡径して復元したりすることができる。
【0023】
また、ローラ部材14A、14Bを相互に離間する方向に移動するカム部材16の移動最大値を設定する設定部Tを設けた。このため、カム部材16の移動最大値への移動で係合部11A、11Bを確実に接近できるから、止め輪1を確実にワークWの孔9より小径にすることができる。
【0024】
なお、前述の一実施形態では、縮径機構8は、カム部材16の移動により一対の把持部材10A、10Bを回動操作したが、一対の把持部材の根元を相互に離間する方向へ弾性部材で付勢し、この弾性部材の付勢に抗して一対の把持部材の根元を相互に接近する方向へ水平方向から押圧してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1:止め輪
2:割口
3A、3B:係合孔
5:位置決め機構
8:縮径機構
9:孔
9A:装着溝
10A、10B:把持部材
11A、11B:係合部
19:搬送機構