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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】ステータ構造およびレゾルバ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20220520BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20220520BHJP
   H02K 3/38 20060101ALI20220520BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
H02K3/46 C
H02K24/00
H02K3/38 A
H02K3/34 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018085329
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019193472
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 尚浩
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-112515(JP,A)
【文献】特開2003-307437(JP,A)
【文献】特開2017-189098(JP,A)
【文献】特開2014-149167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/46
H02K 24/00
H02K 3/38
H02K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の本体部と、前記本体部の径方向に延在し前記本体部の周方向に沿って配列される複数のティースとを有するステータコアと、
前記複数のティースを覆うインシュレータと、
前記インシュレータを介して前記複数のティースのそれぞれに巻回される複数のコイルと、
一端側に前記コイルを構成する巻線の末端が絡げられる絡げ部と、他端側にリード線が接続される接続部とを有する端子が複数設けられる端子台部と、
複数の前記端子の前記接続部と組み合わせられてコネクタハウジングを構成するハウジング部を有し、前記コイルを前記ステータコアの軸方向の一方側から覆うコイルカバーと、を備え、
前記コネクタハウジングを構成する前記ハウジング部は筒形状を有して前記コイルカバーと一体に形成され、
前記端子の接続部が前記ハウジング部の内部に露出しているステータ構造。
【請求項2】
前記インシュレータは、前記軸方向に延在する複数のピンを有し、
前記コイルカバーは、前記複数のピンに対応する位置に複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔に挿通されて突出した前記複数のピンの先端部が潰されることにより前記インシュレータに保持される請求項1に記載のステータ構造。
【請求項3】
前記コイルカバーには、前記軸方向に凹んだ複数の凹部が前記複数の貫通孔の周囲にそれぞれ形成され、
潰された前記ピンの先端部は、前記コイルカバーの主面から突出しない位置に配置される請求項2に記載のステータ構造。
【請求項4】
前記端子台部から露出する前記端子の前記絡げ部を覆うカバー部をさらに備える、請求項1~3のいずれか一つに記載のステータ構造。
【請求項5】
前記コイルを前記ステータコアの軸方向の他方側から覆う別のコイルカバーをさらに備え、
前記カバー部は、前記別のコイルカバーと一体で形成される請求項4に記載のステータ構造。
【請求項6】
前記ハウジング部は、前記軸方向に延在する支柱部と、前記支柱部の先端部に設けられ、前記軸方向に延在する別のピンとを有し、
前記カバー部は、前記別のピンに対応する位置に別の貫通孔を有し、
前記端子台部は、前記別のピンが前記別の貫通孔に挿通される際に、前記支柱部をガイドするガイド部を有する請求項4または5に記載のステータ構造。
【請求項7】
ロータと、
請求項1~6のいずれか一つに記載のステータ構造と、
を備える、レゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ構造およびレゾルバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータや発電機などの回転電機の回転角を検出するレゾルバが知られている。かかるレゾルバは、たとえば、環状に形成される本体部の内周側から中心に向かって延在する複数のティースを備えたステータコアと、かかるステータコアの内側においてティースに対向配置されるロータとを備える。
【0003】
また、レゾルバには、インシュレータを介して複数のティースのそれぞれに巻回されるコイルが設けられる。そして、かかるインシュレータには、外部装置から延びるコネクタと接続可能なコネクタハウジングが一体で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-219594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術のように、インシュレータとコネクタハウジングとを一体で形成する場合、射出成形する金型の構造が複雑になる場合があった。また、インシュレータの構造が同じであったとしても、さまざまな形状のコネクタに適合させるため、コネクタハウジングの形状が異なる金型を数多く準備する必要があった。したがって、レゾルバの製造コストが増大する恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製造コストを低減することができるステータ構造およびレゾルバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るステータ構造は、ステータコアと、インシュレータと、複数のコイルと、端子台部と、コイルカバーとを備える。ステータコアは、環状の本体部と、前記本体部の径方向に延在し前記本体部の周方向に沿って配列される複数のティースとを有する。インシュレータは、前記複数のティースを覆う。複数のコイルは、前記インシュレータを介して前記複数のティースのそれぞれに巻回される。端子台部は、一端側に前記コイルを構成する巻線の末端が絡げられる絡げ部と、他端側にリード線が接続される接続部とを有する端子が複数設けられる。コイルカバーは、複数の前記端子の前記接続部と組み合わせられてコネクタハウジングを構成するハウジング部を有し、前記コイルを前記ステータコアの軸方向の一方側から覆う。前記コネクタハウジングを構成する前記ハウジング部は筒形状を有して前記コイルカバーと一体に形成される。前記端子の接続部が前記ハウジング部の内部に露出している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ステータ構造の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るステータ構造において中間構造体にコイルカバーおよび別のコイルカバーを組み付ける前の状態を示す上面斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るステータ構造において中間構造体にコイルカバーおよび別のコイルカバーを組み付ける前の状態を示す底面斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るステータ構造の構成を示す上面図である。
図4図4は、実施形態に係るステータ構造の構成を示す底面図である。
図5図5は、図3におけるA-A線断面図である。
図6図6は、実施形態に係るレゾルバの構成を示す上面図である。
図7図7は、実施形態の変形例に係るステータ構造において中間構造体にコイルカバーおよびカバー部を組み付ける前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るステータ構造およびレゾルバについて図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態によりステータ構造およびレゾルバの用途が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
(ステータ構造の組立工程)
最初に、実施形態に係るステータ構造1(図3参照)の組立工程について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るステータ構造1において中間構造体1aにコイルカバー60および別のコイルカバー70を組み付ける前の状態を示す上面斜視図である。図2は、実施形態に係るステータ構造1において中間構造体1aにコイルカバー60および別のコイルカバー70を組み付ける前の状態を示す底面斜視図である。
【0012】
図1に示すように、図1の(b)に示す中間構造体1aに対して、軸方向の両側から図1の(c)に示すコイルカバー60と、図1の(a)に示す別のコイルカバー70とが組み付けられ、実施形態に係るステータ構造1となる。
【0013】
実施形態にかかる中間構造体1aは、ステータコア10と、インシュレータ20と、コイル30と、端子台部40とを備える。
【0014】
ステータコア10は、電磁鋼板などの軟磁性材料から形成された鋼板を複数枚積層した積層構造を有する。ステータコア10は、本体部11と、複数のティース12とを有する。本体部11は、環状であり、実施形態では円環状である。複数のティース12は、本体部11の内周側から本体部11の中心に向かって(すなわち、径方向に)延在する。
【0015】
また、隣接するティース12同士の間には、空隙であるスロット13が形成される。そして、ステータコア10は、電磁鋼板などの鋼板をプレス加工して製作されたコアを複数枚積層して構成される。
【0016】
なお、以降においては、図1の(a)などに示すように、ステータコア10の径方向、軸方向および周方向を規定して説明する。ここで、「径方向」とは、ステータコア10の内側で回転するロータ2(図6参照)の回転軸と直交する方向であり、「軸方向」とは、ロータ2の回転軸の軸方向と一致する方向であり、「周方向」とは、ロータ2の回転方向と一致する方向である。
【0017】
インシュレータ20は、絶縁性の部材であり、たとえば、絶縁性樹脂の射出成形によって形成される。インシュレータ20は、たとえば、ステータコア10が内部に埋め込まれるようなインサート成形で形成され、ステータコア10を軸方向の両側から覆っている。
【0018】
図1の(b)および図2の(b)に示すように、インシュレータ20にはティース12の根元部分にガイド部21が設けられる。かかるガイド部21は、軸方向の両側に突出し、コイル30を構成する巻線が巻回される際の渡り線のガイドとして機能する。
【0019】
また、所定のガイド部21には、ピン22が設けられる。たとえば、実施形態では、インシュレータ20の上面側および下面側にそれぞれ7つのピン22が設けられる。なお、インシュレータ20に設けられるピンの数は上述の例に限られず、任意の数でよい。
【0020】
かかるピン22は、軸方向に延在し、たとえば円柱状である。なお、ピン22は円柱状に限られず、角柱状などその他の形状であってもよい。
【0021】
複数のコイル30は、インシュレータ20を介して、複数のティース12のそれぞれに巻回される。かかるコイル30は、励磁巻線と出力巻線とにより構成される。また、コイル30の出力巻線は、sin相の出力信号を出力するsin相出力巻線と、cos相の出力信号を出力するcos相出力巻線とにより構成される。
【0022】
端子台部40は、インシュレータ20の上面側および底面側に形成され、かかるインシュレータ20から径方向の外側に延在する。端子台部40には、複数(実施形態では6個)の端子41が支持される。
【0023】
端子41は、金属などの導電性の部材であり、たとえば、クランク曲げ形状を有する。端子41は、一端側に端子台部40の上側から軸方向に突出して立設する絡げ部41aを有する。そして、かかる絡げ部41aに対して、対応するコイル30を構成する巻線の末端が絡げられる。
【0024】
たとえば、6個の端子41の絡げ部41aには、励磁巻線の巻き始めと、励磁巻線の巻き終わりと、sin相出力巻線の巻き始めと、sin相出力巻線の巻き終わりと、cos相出力巻線の巻き始めと、cos相出力巻線の巻き終わりとがそれぞれ絡げられる。
【0025】
そして、巻線の末端が絡げられた絡げ部41aに、たとえば、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接を施すことにより、巻線と絡げ部41aとを電気的に接続することができる。
【0026】
また、図2の(b)に示すように、端子41は、他端側に端子台部40の下側(なお、底面視である図2では上側である。以下同様。)から軸方向に突出して立設する接続部41bを有する。
【0027】
また、端子台部40には、外周側における両端部に凹状のガイド部42が形成される。かかるガイド部42は、後述するコイルカバー60の支柱部67を、別のコイルカバー70の別の貫通孔76にガイドする機能を有する。
【0028】
図2の(a)に示すように、コイルカバー60は、円環状の環状部61と、円筒状の筒状部62とを有する。かかる筒状部62は、環状部61の外周側に設けられ、上側に延在する。また、コイルカバー60の環状部61には、上側に凹んだ複数の凹部63が形成される。
【0029】
かかる複数の凹部63は、中間構造体1aのインシュレータ20に設けられるガイド部21のうち、ピン22が設けられるガイド部21と対応する位置に設けられる。また、凹部63の底面には貫通孔64が形成される。かかる貫通孔64は、ガイド部21に設けられるピン22を上方から挿通可能に形成される。
【0030】
また、コイルカバー60には、筒状部62から径方向の外側に延在するハウジング部65が設けられる。かかるハウジング部65は、中間構造体1aの端子台部40における下面側(すなわち、接続部41bが突出する側)に対応する位置に配置される。
【0031】
また、ハウジング部65は、対応するコネクタと係合可能な所定の形状(たとえば、筒形状)を有し、複数の端子41の接続部41bと組み合わせられて、ステータ構造1のコネクタハウジング50(図4参照)を形成する。たとえば、ハウジング部65は、軸方向に延在する筒形状を有する。
【0032】
図1の(c)に示すように、ハウジング部65には、複数(実施形態では6個)の貫通孔66が形成される。かかる貫通孔66は、端子台部40に設けられる端子41の接続部41bを上方から挿通可能に形成される。
【0033】
また、かかるハウジング部65には、外周側における両端部に上側に延在する一対の支柱部67が設けられる。そして、かかる支柱部67には、別のピン68が設けられる。かかる別のピン68は、上側に延在し、たとえば円柱状である。なお、別のピン68は円柱状に限られず、角柱状などその他の形状であってもよい。
【0034】
さらに、コイルカバー60には、環状部61の内周側に設けられ、上側に延在する複数の凸部69が設けられる。かかる複数の凸部69は、中間構造体1aのステータコア10に形成される複数のスロット13に対応する位置に設けられる。そして、凸部69は、スロット13に対応する形状を有する。
【0035】
図1の(a)に示すように、別のコイルカバー70は、円環状の環状部71と、円筒状の筒状部72とを有する。かかる筒状部72は、環状部71の外周側に設けられ、下側に延在する。また、別のコイルカバー70の環状部71には、下側に凹んだ複数の凹部73が形成される。
【0036】
かかる複数の凹部73は、中間構造体1aのインシュレータ20に設けられるガイド部21のうち、ピン22が設けられるガイド部21と対応する位置に設けられる。また、凹部73の底面には貫通孔74が形成される。かかる貫通孔74は、ガイド部21に設けられるピン22を下方から挿通可能に形成される。
【0037】
また、別のコイルカバー70には、筒状部72から径方向の外側に延在するカバー部75が設けられる。かかるカバー部75は、中間構造体1aの端子台部40における上面側(すなわち、絡げ部41aが突出する側)に対応する位置に配置され、かかる端子台部40の上側を覆う。これにより、端子41の絡げ部41aに絡げられた巻線を保護することができる。
【0038】
また、かかるカバー部75には、外周側における両端部に別の貫通孔76が形成される。かかる別の貫通孔76は、後述するコイルカバー60の支柱部67に設けられる別のピン68を下方から挿通可能に形成される。
【0039】
さらに、別のコイルカバー70には、環状部71の内周側に設けられ、下側に延在する複数の凸部77が設けられる。かかる複数の凸部77は、中間構造体1aのステータコア10に形成される複数のスロット13に対応する位置に設けられる。そして、凸部77は、スロット13に対応する形状を有する。
【0040】
そして、ステータ構造1の組立工程では、中間構造体1aを、コイルカバー60と別のコイルカバー70とで軸方向の両側から挟み込む。これにより、コイルカバー60が中間構造体1aのコイル30を軸方向の一方側から覆い、別のコイルカバー70がコイル30を軸方向の他方側から覆う。
【0041】
この際、端子台部40の下側に設けられる端子41の接続部41bをハウジング部65の貫通孔66に挿通する。またこの際、コイルカバー60の凸部69をステータコア10に形成されるスロット13に挿入するとともに、別のコイルカバー70の凸部77をスロット13に挿入し、凸部69と凸部77とでスロット13の内周側を塞ぐ。
【0042】
またこの際、インシュレータ20の下側に設けられるピン22をコイルカバー60の貫通孔64に挿通するとともに、インシュレータ20の上側に設けられるピン22を別のコイルカバー70の貫通孔74に挿通する。さらにこの際、コイルカバー60の支柱部67を端子台部40のガイド部42でガイドすることにより、支柱部67に設けられる別のピン68を別のコイルカバー70のカバー部75における別の貫通孔76に挿通する。
【0043】
その後、コイルカバー60の貫通孔64から突出したピン22の端部と、別のコイルカバー70の貫通孔74から突出したピン22の端部と、別のコイルカバー70における別の貫通孔76から突出した別のピン68の端部とを、赤外線カシメや熱カシメ、熱溶着などの手段で潰す。これにより、コイルカバー60および別のコイルカバー70が中間構造体1aに保持され、実施形態に係るステータ構造1が完成する。
【0044】
(ステータ構造の構成)
つづいて、実施形態に係るステータ構造1の構成について、図3図5を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係るステータ構造1の構成を示す上面図であり、図4は、実施形態に係るステータ構造1の構成を示す底面図であり、図5は、図3におけるA-A線断面図である。
【0045】
ここで、実施形態では、図4および図5に示すように、ハウジング部65と複数の端子41の接続部41bとが組み合わせられて、軸方向に延在する筒形状を有するコネクタハウジング50が構成される。
【0046】
かかるコネクタハウジング50は、筒形状の内部で端子41の接続部41bを露出させていることから、かかる筒形状に対応するコネクタが挿入され、かかるコネクタと係合することにより、コネクタ内のリード線と端子41とを電気的に接続することができる。
【0047】
このように、実施形態では、コイルカバー60にハウジング部65を設け、中間構造体1aに設けられる複数の端子41の接続部41bと組み合わせることにより、コネクタハウジング50を構成することができる。
【0048】
すなわち、実施形態では、コネクタハウジング50を構成するにあたって、端子台部40が設けられるインシュレータ20と、ハウジング部65が設けられるコイルカバー60とを別々に成形することから、射出成形する金型の構造をシンプルにすることができる。
【0049】
また、実施形態では、コイルカバー60に設けられるハウジング部65の形状を様々に変更することにより、さまざまな形状のコネクタに適合させることができる。すなわち、インシュレータ20の金型をコネクタごとに変更することなく、さまざまな形状のコネクタに適合させることができる。
【0050】
したがって、実施形態によれば、ステータ構造1の製造コストを低減することができる。また、実施形態では、コイルカバー60とハウジング部65とが一体で形成されていることから、ハウジング部65を中間構造体1aに強固に取り付けることができる。
【0051】
また、実施形態では、ピン22の端部や別のピン68の端部を赤外線カシメや熱カシメ、熱溶着などの手段で潰すことにより、コイルカバー60および別のコイルカバー70が中間構造体1aに保持される。
【0052】
したがって、実施形態によれば、コイルカバー60および別のコイルカバー70を簡便に中間構造体1aに保持することができることから、ステータ構造1の製造コストを低減することができる。
【0053】
また、実施形態では、図5に示すように、先端部が潰されたピン22が、コイルカバー60の凹部63に収容され、環状部61に設けられるコイルカバー60の主面60aから突出しないように配置される。これにより、コイルカバー60の主面60aに当接するように回転電機を配置する際に、先端部が潰されたピン22が回転電機に干渉しないようにすることができる。
【0054】
同様に、実施形態では、先端部が潰されたピン22が、別のコイルカバー70の凹部73に収容され、環状部71に設けられる別のコイルカバー70の主面70aから突出しないように配置される。これにより、別のコイルカバー70の主面70aに当接するように図示しない回転電機を配置する際に、先端部が潰されたピン22が回転電機に干渉しないようにすることができる。
【0055】
したがって、実施形態によれば、ステータ構造1の回転電機への取り付け性を向上させることができる。
【0056】
また、実施形態では、別のコイルカバー70とカバー部75とが一体で形成されている。これにより、実施形態では、カバー部75を中間構造体1aに強固に取り付けることができる。
【0057】
また、実施形態では、端子台部40が、コイルカバー60の支柱部67をガイドするガイド部42を有する。これにより、実施形態では、支柱部67に設けられる別のピン68を別のコイルカバー70における別の貫通孔76に簡便に挿通させることができる。
【0058】
なお、実施形態のステータ構造1では、端子台部40の上面と別のコイルカバー70のカバー部75との間にワニスを充填してもよい。これにより、端子41の絡げ部41aに絡げられた巻線の腐食を防止することができる。
【0059】
(レゾルバの構成)
つづいて、実施形態に係るレゾルバ3の構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、実施形態に係るレゾルバ3の構成を示す上面図である。
【0060】
図6に示すように、ステータ構造1の内側にロータ2を設けることにより、実施形態に係るレゾルバ3が得られる。実施形態に係るレゾルバ3は、VR(Variable Reluctance)型レゾルバである。たとえば、レゾルバ3はインナーロータ型のレゾルバであり、ロータ2がステータ構造1の内側に配置されている。
【0061】
ロータ2は、複数枚のコアを有しており、かかる複数枚のコアが軸方向に積層して構成される。かかるコアは、電磁鋼板などのように軟磁性材料から形成された鋼板をプレス加工して製作される。
【0062】
ロータ2の外周面は、径方向に凹凸した非円形状に形成されている。図6に示すロータ2は、外周面に2箇所の凸部2aを有しており、ロータ2の軸倍角が2Xの場合を示している。なお、ロータ2の軸倍角は、1Xであってもよく、3X以上であってもよい。
【0063】
(変形例)
上述の実施形態では、中間構造体1aを2つのコイルカバー(コイルカバー60および別のコイルカバー70)で上下から挟み込んでステータ構造1を構成した例について示した。しかしながら、ステータ構造1は、2つのコイルカバーで中間構造体1aを上下から挟み込む構成に限られない。
【0064】
図7は、実施形態の変形例に係るステータ構造1において中間構造体1aにコイルカバー60およびカバー部75を組み付ける前の状態を示す斜視図である。図7に示すように、変形例では、別のコイルカバー70を含まない構成を示している。
【0065】
コイルカバー60は、実施形態と同様に、中間構造体1aのコイル30を軸方向の一方側から覆う。またその際、端子台部40の下側に設けられる端子41の接続部41bをハウジング部65の貫通孔66に挿通し、インシュレータ20の下側に設けられるピン22(図2の(b)参照)をコイルカバー60の貫通孔64に挿通する。そして、コイルカバー60の貫通孔64から突出したピン22の端部を上述の手段で潰す。
【0066】
これにより、コイルカバー60が中間構造体1aに保持されるとともに、ハウジング部65と端子41の接続部41bとが組み合わせられて、コネクタハウジング50(図4参照)が構成される。
【0067】
一方で、中間構造体1aの上側からは、別のコイルカバー70ではなく、カバー部75が中間構造体1aを覆う。その際、コイルカバー60の支柱部67に設けられる別のピン68をカバー部75における別の貫通孔76に挿通する。そして、カバー部75における別の貫通孔76から突出した別のピン68の端部を、上述の手段で潰す。これにより、カバー部75をコイルカバー60に保持させることができる。
【0068】
このように、変形例では、カバー部75が中間構造体1aにおける端子台部40の上側を覆う。したがって、変形例によれば、端子41の絡げ部41aに絡げられた巻線を保護することができる。
【0069】
また、変形例のステータ構造1では、端子台部40の上面とカバー部75との間にワニスを充填してもよい。これにより、端子41の絡げ部41aに絡げられた巻線の腐食を防止することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0071】
たとえば、実施形態では、インシュレータ20が一体で形成された例について示したが、インシュレータを軸方向に2つに分割して形成し、かかる2つのインシュレータでステータコア10を挟み込むように設けてもよい。さらに、実施形態では、インナーロータ型のレゾルバ3に本発明を適用した場合について示したが、アウターロータ型のレゾルバに本発明を適用してもよい。
【0072】
以上のように、実施形態に係るステータ構造1は、ステータコア10と、インシュレータ20と、複数のコイル30と、端子台部40と、コイルカバー60とを備える。ステータコア10は、環状の本体部11と、本体部11の径方向に延在し本体部11の周方向に沿って配列される複数のティース12とを有する。インシュレータ20は、複数のティース12を覆う。複数のコイル30は、インシュレータ20を介して複数のティース12のそれぞれに巻回される。端子台部40は、コイル30を構成する巻線の末端が絡げられる絡げ部41aとリード線が接続される接続部41bとを有する端子41が複数設けられる。コイルカバー60は、複数の端子41の接続部41bと組み合わせられてコネクタハウジング50を構成するハウジング部65を有し、コイル30をステータコア10の軸方向の一方側から覆う。これにより、ステータ構造1の製造コストを低減することができる。
【0073】
また、実施形態に係るステータ構造1において、インシュレータ20は、軸方向に延在する複数のピン22を有し、コイルカバー60は、複数のピン22に対応する位置に複数の貫通孔64を有し、複数の貫通孔64に挿通されて突出した複数のピン22の先端部が潰されることによりインシュレータ20に保持される。これにより、ステータ構造1の製造コストを低減することができる。
【0074】
また、実施形態に係るステータ構造1において、コイルカバー60には、軸方向に凹んだ複数の凹部63が複数の貫通孔64の周囲にそれぞれ形成され、潰されたピン22の先端部は、コイルカバー60の主面60aから突出しない位置に配置される。これにより、ステータ構造1の回転電機への取り付け性を向上させることができる。
【0075】
また、実施形態に係るステータ構造1において、端子台部40から露出する端子41の絡げ部41aを覆うカバー部75をさらに備える。これにより、端子41の絡げ部41aに絡げられた巻線を保護することができる。
【0076】
また、実施形態に係るステータ構造1は、コイル30をステータコア10の軸方向の他方側から覆う別のコイルカバー70をさらに備え、カバー部75は、別のコイルカバー70と一体で形成される。これにより、カバー部75を中間構造体1aに強固に取り付けることができる。
【0077】
また、実施形態に係るステータ構造1において、ハウジング部65は、軸方向に延在する支柱部67と、支柱部67の先端部に設けられ、軸方向に延在する別のピン68とを有し、カバー部75は、別のピン68に対応する位置に別の貫通孔76を有し、端子台部40は、別のピン68が別の貫通孔76に挿通される際に、支柱部67をガイドするガイド部42を有する。これにより、支柱部67に設けられる別のピン68を別のコイルカバー70における別の貫通孔76に簡便に挿通させることができる。
【0078】
また、実施形態に係るレゾルバ3は、ロータ2と、上述のステータ構造1とを備える。これにより、ステータ構造1の製造コストが低減されたレゾルバ3を提供することができる。
【0079】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 ステータ構造,1a 中間構造体,2 ロータ,3 レゾルバ,10 ステータコア,11 本体部,12 ティース,13 スロット,20 インシュレータ,22 ピン,30 コイル,40 端子台部,41 端子,41a 絡げ部,41b 接続部,42 ガイド部,50 コネクタハウジング,60 コイルカバー,60a 主面,63 凹部,64 貫通孔,65 ハウジング部,67 支柱部,68 別のピン,70 別のコイルカバー,75 カバー部,76 別の貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7