(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】直液式アイライナー
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20220520BHJP
B43K 23/08 20060101ALI20220520BHJP
B65D 51/18 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A45D34/04 525Z
B43K23/08 130
B65D51/18
(21)【出願番号】P 2018098112
(22)【出願日】2018-05-22
【審査請求日】2018-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】502323885
【氏名又は名称】ケミコスクリエイションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094802
【氏名又は名称】佐伯 健兒
(72)【発明者】
【氏名】服部 勝▲高▼
(72)【発明者】
【氏名】上田 力
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】田合 弘幸
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-87753(JP,A)
【文献】実開平6-57685(JP,U)
【文献】実開平7-31385(JP,U)
【文献】特開平8-242939(JP,A)
【文献】特開2006-271984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00-34/04
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
B43K 23/08
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直液式アイライナー本体と、前記
直液式アイライナー本体に着脱可能に嵌合するキャップとよりなる
直液式アイライナーであって、
前記キャップが、底部に弾性部材と該弾性部材に付勢されたインナーキャップを内部に設けたキャップであり、
前記キャップが、キャップの外観部に転写フィルム加工、蒸着又は塗装を実施したキャップであり、
前記キャップが前記
直液式アイライナー本体に嵌合される際、キャップ内面のキャップ嵌合リブが、前記
直液式アイライナー本体の外周の中軸嵌合リブに当接しつつ摺動し、前記中軸嵌合リブを乗り越えて嵌合することにより、前記キャップが前記
直液式アイライナー本体に嵌合した状態が保持されるキャップ付の
直液式アイライナーにおいて、
前記キャップ内面のキャップ嵌合リブの形状が、軸方向断面の形状はなだらかな角のない凸状をしており、軸の垂直方向断面の形状は扇面形状であり、
前記中軸嵌合リブが円周のリブで形成されており、
前記中軸嵌合リブの外周の円と前記キャップ嵌合リブの内周の円弧とは同心に形成されている
直液式アイライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイライナー、アイブロー等のキャップを有する化粧料の直液式アイライナーに係わり、キャップの嵌合が良好に行なわれる直液式アイライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイライナー等の
直液式アイライナーにおいて、樹脂成形等よりなるキャップを軸に係止させる技術として、
図5~
図9に示す如く、キャップ内に複数個のアンダーカットになったリブを設け、キャップが所定位置まで嵌め込まれる際、このリブが軸の外周に設けた円周の嵌合リブを乗り越えて係合することでキャップの嵌合状態が保持される構造が知られている。
【0003】
ここで、アンダーカットとは、成形後の型抜き方向に平行なキャップの基本成形面(この場合内周面)よりも内側(成形型側)に張り出すことをいう。なお、合成樹脂のように弾性を有する材料であれば、若干のアンダーカットがあっても、割型等にすることなく成形品の変形により型抜きは可能である。
【0004】
又、キャップ内に形成されたアンダーカットになったリブの形状は、
図11に示すように、リブの端部が直線で形成されている。
【0005】
キャップ側の嵌合リブの形状が直線である理由は、従来は樹脂材料に直接着色剤を入れる手法であったため、蒸着や塗装の事まで考慮されていなかった事もあるが、従来技術のワイヤー放電加工で加工できることから、金型の加工がしやすいことが理由にあげられる。
【0006】
又、
図5に示すように、
直液式アイライナーが直液式の容器の場合には、
直液式アイライナー本体内にアジャスタ(ジャバラ)等が装着され容器内圧を調整しており、キャップには、塗布部の乾燥を防止するためのキャップの密閉を高めるため、キャップ内にインナーキャップとスプリングを設けたものがある。
【0007】
この場合、
図9に示すように、
(1)キャップを装着する前、インナーキャップは中軸に当接していない。
(2)キャップ装着途中で、インナーキャップと中軸が当たり始める。この時、キャップはまだ完全に装着されていない。
(3)キャップ嵌合リブが中軸の本体側嵌合リブを乗り越えて完全に装着された時、スプリングは密閉できる力を完全に発揮する。
即ち、キャップが装着されている間はスプリングは常にインナーキャップを押しており、インナーキャップはその力量を中軸の密閉部に伝えている。よって、インナーキャップを有する直液式の
直液式アイライナー容器の場合はとりわけ、スプリングの力量を考慮したキャップの抜き嵌合値の設計が必要になる。
【0008】
例えば、キャップの抜き嵌合値がスプリングの力より小さければ、キャップは外れてしまい、ペン先は乾燥するため、キャップは密閉の機能を果たす事はできなくなる。よって、インナーキャップとスプリングが装着された直液式容器においてはスプリングの力を考慮した上で、安定した品質を保持するためにある程度強いキャップ嵌合力が必要になる。通常、例えば、スプリング3.9Nに対してキャップ嵌合値は6~25Nの規格に設定してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【0010】
キャップは、本体に対する凹凸嵌合用の突部よりも開口側に、本体の後部に対する圧入嵌合用のリブを有し、又、本体は、後端突出させてなる尾栓をキャップの突部に対する当接部とする筆記具であり、キャップと筆記具本体との嵌合に際して、キャップが破損することを防止できるものである。
【0011】
【文献】実開平6-57685号公報キャップ20内面に形成された係合リブ21が軸10の外周に形成された段部13に弾力的に当接して係合することにより、キャップ20が軸10に嵌合した状態が保持されるキャップ付の筆記具において、係合リブ21の係合によりキャップ20に過大な応力が生じず、又キャップ20表面に変形が生じないようにするものである。係合リブ21を、キャップ20内面から該内面に沿って伸びて可撓性を有するよう薄肉に設けられた可撓片22の先端に形成し、可撓片22とキャップ20内面との間には、係合リブ21が段部13に係合する際の可撓片22の変位を許す隙間23を形成するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は次のような従来技術の問題点を解決することである。即ち、樹脂材料に直接着色剤を混ぜて成形したキャップにおいては何の問題も無かったが、容器外観部に塗装や蒸着を実施したキャップにおいて、常温及び5℃の環境でキャップ嵌合時にキャップ自体が割れてしまうという問題が発生していた。
【0013】
この理由は、
図10に示すように、キャップ装着時及び離脱時にキャップは嵌合代(リブ乗り上げ代)分広がるが、蒸着や塗装をしたキャップは外観部に塗料及びアルミの膜厚が形成されているため、その膜はある程度硬い事から、装着及び離脱時において、力の逃げ場が無く、塗料及びアルミの膜厚が剥がれたり、ひどい場合にはキャップが割れたりしてしまうためである。
【0014】
このように、従来製品の問題点は、キャップの外観部に転写フィルム加工、蒸着又は塗装を実施したキャップを装着、離脱した時に常温及び5℃の環境でキャップが割れたり、塗料及びアルミの膜厚が剥がれたりする不具合が生じていた。
【0015】
よって、本発明の課題は、キャップ外観部に転写フィルム加工、蒸着又は塗装を実施したキャップを装着、離脱したキャップでも常温及び5℃の環境で頻繁な着脱でもキャップが割れない優れた直液式アイライナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、キャップのクラック(キャップ割れ)が生じ難い直液式アイライナーを提供することを目的としている。本発明は従来の問題を解決するため、
【0017】
直液式アイライナー本体と、前記直液式アイライナー本体に着脱可能に嵌合するキャップとよりなる直液式アイライナーであって、
前記キャップが、底部に弾性部材と該弾性部材に付勢されたインナーキャップを内部に設けたキャップであり、
前記キャップが、キャップの外観部に転写フィルム加工、蒸着又は塗装を実施したキャップであり、
前記キャップが前記直液式アイライナー本体に嵌合される際、キャップ内面のキャップ嵌合リブが、前記直液式アイライナー本体の外周の中軸嵌合リブに当接しつつ摺動し、前記中軸嵌合リブを乗り越えて嵌合することにより、前記キャップが前記直液式アイライナー本体に嵌合した状態が保持されるキャップ付の直液式アイライナーにおいて、
前記キャップ嵌合リブの形状が、軸方向断面の形状はなだらかな角のない凸状をしており、軸の垂直方向断面の形状は扇面形状であり、
前記中軸嵌合リブが円周のリブで形成されており、
前記中軸嵌合リブの外周の円と前記キャップ嵌合リブの内周の円弧とは同心に形成されている直液式アイライナーを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の
直液式アイライナーによれば、キャップの嵌合の際にキャップ嵌合リブ21が中軸嵌合リブ1
3を乗越えるためにキャップは嵌合代分(リブ乗り上げ代分)、変位する。本発明の
直液式アイライナーにおいては、
図1、
図2等に示すようにキャップ嵌合リブが円弧状の円弧形状端部を形成しているため、従来の直線状端部(
図7)と比較して、キャップの変位(広がり量)は小さくなる(
図13、
図14、
図15)。
【0019】
このため、キャップ20にかかる応力が分散され、しかも嵌合代(リブ乗り上げ代)が小さいため、キャップ20の外表面の変形もわずかである。したがって、キャップ20を5℃の寒冷な環境下で脱着しても、キャップ20は頻繁な脱着に耐えてクラック(キャップ割れ)等が生じないとともに、キャップ20の表面の転写フィルム、塗装又は蒸着等が剥離することもない。
【0020】
したがって、本発明の
直液式アイライナーによれば、キャップの嵌合によりキャップの広がり量を小さくでき且つキャップにかかる応力を分散でき(
図15)、キャップは頻繁な脱着に耐えてクラック(キャップ割れ)等が生じないとともに、キャップの表面の転写フィルム、塗料又は蒸着等が剥離することもない。したがって、
直液式アイライナーのコスト低減が可能となるとともに、
直液式アイライナーの美観を長期間良好に維持できる。
【0021】
又、キャップ内にインナーキャップを備えたタイプの本発明の
直液式アイライナーにおいては、キャップ20が中軸11の当接段部12に当るまではめ込まれたときに、
図9に示すように、インナーキャップ22はスプリング23によりその一端を中軸11に当接してペン先を密閉すると同時に、キャップ20はスプリング23により離脱方向に強い力がかかり、キャップ嵌合力が小さいとキャップが脱離してしまうが、本発明の
直液式アイライナーでは 十分な嵌合力を発揮できるため、キャップが容易に離脱することはない。
【0022】
この結果、キャップ嵌合値について、キャップ嵌合代を低くすれば、キャップ嵌合値が小さくなりキャップの機能を果たせなくなる事があるが、キャップの嵌合リブの形状を円弧状にする事により、中軸嵌合リブと係止する面積を大きくすることができ(
図15)、規格値内のキャップ嵌合値を実現することが可能となった。
【0023】
即ち、従来の直線状のキャップ嵌合リブよりも本発明のキャップ嵌合リブ21は、インナーキャップとスプリングが装着された直液式容器では特に好適に適用できる。
【0024】
又、前記キャップの外観部に転写フィルム加工、蒸着又は塗装を実施したキャップである本発明の直液式アイライナーにおいては、外観部に塗料及びアルミニウムの膜厚が形成されているため、その膜はある程度硬い事から、装着及び離脱時において、力の逃げ場が無く、塗料及びアルミの膜厚が剥がれたり、キャップが割れてしまうことがあるが、本発明の直液式アイライナーにおいては嵌合代(リブ乗り上げ代)が小さいため、キャップ20の外表面の変形もわずかである。したがって、キャップ20を5℃の寒冷な環境下で脱着しても、キャップ20は頻繁な脱着に耐えてクラック等が生じないとともに、キャップ20の表面の転写フィルム、塗装又は蒸着等が剥離することがない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例の部品であるキャップを示す図面。
【
図2】本発明の一実施例の部品であるキャップと中軸との嵌合状態を示す図面。
【
図3】本発明の一実施例であるキャップを外した直液式の
直液式アイライナーの図面。
【
図4】本発明の一実施例であるキャップ嵌合リブが中軸嵌合リブを乗り越える状態 を示す図面。
【
図5】従来技術の
直液式アイライナーの断面形状を説明する図面。
【
図6】従来技術の
直液式アイライナーのキャップを外した直液式の
直液式アイライナーの図面。
【
図7】従来技術の
直液式アイライナーのキャップの図面。
【
図8】従来技術の
直液式アイライナーの部品構成を示す図面。
【
図9】従来技術の
直液式アイライナーのキャップの装着動作を説明する図面。
【
図10】従来技術の
直液式アイライナーのキャップは嵌合代分、広がることを示す図面。
【
図11】従来技術の
直液式アイライナーのキャップ嵌合リブが中軸の嵌合リブを乗り越えるときの応力を説明する図面。
【
図12】従来キャップと本発明の一実施例のキャップの動作を説明する図面。
【
図13】従来キャップと本発明の一実施例のキャップの嵌合代を比較した図面。
【
図14】従来キャップと本発明の一実施例のキャップの外径の広がりを比較した図 面。
【
図15】従来キャップと本発明の一実施例のキャップの応力の掛かり方を比較した 図面。
【
図16】本発明の部品であるキャップの別の実施例を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づき本発明の実施例を説明する。 本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0027】
本実施例の
直液式アイライナーは、
図1~
図4に示すように、
直液式アイライナー本体10の中軸11と着脱可能に嵌合するキャップ20とからなる。
直液式アイライナー本体10は、
図3に示すように、先端側がキャップ20と嵌合する細くなった中軸11を有し、この中軸11の基端にキャップ20の端面が当接する軸方向に直角な当接段部12を有するとともに、中軸11の外周であって当接段部12に近接する位置に中軸嵌合リブ13を有する。中軸嵌合リブ13は、中軸11の周方向に全周にわたって環状に形成された形状となっている。キャップ20は、
図12に示すように動作し、
直液式アイライナー本体10の中軸11に嵌合することによりキャップ20の着脱が行われる。
【0028】
図13~
図16に示すように、キャップ20は、前記中軸11に僅かな隙間で嵌合する有底筒状の形状とされたもので、
図1、
図2、
図4に示す如く開口側端部内面にアンダーカットとなったキャップ嵌合リブ21を周方向の4か所に有するものである。本発明の実施例ではキャップ嵌合リブ21は4個設けられているが、これに限定されず適宜の個数設けることができる。
【0029】
図4に示すように、キャップ嵌合リブ21は、キャップ20が
直液式アイライナー本体10の当接段部12に当接するまではめ込まれたときに、中軸嵌合リブ13を乗越える位置に設けられている。
【0030】
キャップ嵌合リブ21の形状は、
図4に示すように軸方向断面(E-E’)の形状がなだらかな角のない凸状をしており、又、軸の垂直方向断面(F-F’)の形状が、
直液式アイライナーの中心軸を中心とする円弧で囲まれた扇の細長い扇面のような円弧状である。したがって、
図1に示すように端部は断面(F-F’)の形状が円弧状に形成されている。
【0031】
ここで、円弧状とは、
図1及び
図2に示すように、キャップ嵌合リブ21を輪切りにした時にその断面(F-F’)の形状が
直液式アイライナーの中心軸を中心とする円弧で囲まれた扇の細長い扇面のような形状を意味する。又、軸方向断面(E-E’)の形状はなだらかな角のない凸状をしており、中軸嵌合リブ13と嵌合できる形状となっている。
【0032】
キャップ嵌合リブ21はキャップ20と一体に樹脂成型して形成することができる。これには銅電極の放電による高精度な金型加工技術を用いて高精度の金型加工により形成することができる。
【0033】
キャップ20やキャップ嵌合リブ21の材質は通常のキャップ20に使用される材料で特に限定されないが、好ましくはポリプロピレン等の合成樹脂が用いられる。
【0034】
キャップ20の表面は装飾的理由から、キャップ20の成型材料に直接着色剤を含有させて成型したり、キャップ表面を蒸着や塗装により、アルミニウム膜や塗装膜でコートされていても良い。キャップの表面にアルミニウム膜や塗装膜でコートされるとキャップ割れし易いが、特に本発明の直液式アイライナーにおいては、キャップにかかる応力が分散されるので、アルミニウム膜や塗装膜でコートされている場合にも特に好適に使用することができる。
【0035】
本発明の
直液式アイライナー本体10の中軸11の外周には、
図3に示すように中軸嵌合リブ13が円周のリブで形成されている。
【0036】
そして、
図2に示すように、中軸嵌合リブ13の外周の円と、キャップ嵌合リブ21の内周の円弧とは、同心に形成されている。もし、同心から大きくずれているような場合には、キャップ20の着脱が良好に行われず、キャップ割れの原因にもなる。
【0037】
以上のキャップ嵌合リブ21によって、本発明の
直液式アイライナーでは、
図2、
図3に示すように、キャップ20の着脱時に、前記円弧状のキャップ嵌合リブ21が前記中軸嵌合リブ13にキャップ嵌合リブ21の円弧形状端部を周方向全長で当接しつつ摺動し、前記中軸嵌合リブ13を乗越えてキャップ20の着脱をする。
【0038】
本発明の
直液式アイライナーでは、前記の円弧状のキャップ嵌合リブ21をキャップ20側に設けたので、キャップ20装着時及びキャップ20離脱時において、
図14に示すように、キャップ20の広がり量が従来技術の0.36mmであったのに対して、 本発明では 0.21mmに抑える事ができる。
【0039】
又、
図15に示すようにキャップ20装着時及びキャップ20離脱時のキャップ20に掛かる応力についても分散できる。
【0040】
更に、従来の
直液式アイライナーではキャップ嵌合代を低くすれば、キャップ嵌合値が低くなりキャップの機能を果たせなくなるのであるが、本発明の
直液式アイライナーでは、
図15に示すように、キャップ嵌合リブ21の形状を円弧状にする事により、
直液式アイライナー本体10の中軸嵌合リブ13をホールドする範囲を広く取ることができるので規格値(6~25N)内の大きなキャップ嵌合値を実現できる。本発明の実施例ではキャップ嵌合値はプッシュプルゲージを用いて測定した。
【0041】
又、
直液式アイライナーのキャップ20が、キャップ20の内部にインナーキャップ22、スプリング23を装着した直液式の直液式アイライナーである場合には、
図9に示すように、インナーキャップ22はスプリング23によりその一端を中軸11に当接してペン先を密閉すると同時に、キャップ20はスプリング23により離脱方向に力がかかるが、キャップ嵌合リブ21が中軸嵌合リブ13と嵌合してキャップ20の離脱を防いでいる。
【0042】
よって、インナーキャップ22とスプリング23が装着された直液式容器においてはスプリング23の力を考慮した上で、ある程度強いキャップ嵌合力が必要になる(スプリング 3.9N に対してキャップ嵌合値は 6~25N の規格に設定される)。
【0043】
したがって、従来の直線状のリブよりも本発明のキャップ嵌合リブ21は大きなキャップ嵌合値を実現できるので、インナーキャップ22とスプリング23が装着された直液式容器では特に好適に適用できる。本実施例ではスプリング23が使用されたが、インナーキャップ22を付勢する部材であればこれに限定されるものではなく、他の弾性部材も使用できる。
【0044】
以下に、本発明の
直液式アイライナーの試験結果を従来技術の
直液式アイライナーと比較して記載する。用いた
直液式アイライナーは
図13、
図14及び
図15に記載のキャップ嵌合代及びキャップ広がり量を示す本発明及び従来技術の
直液式アイライナーである。即ち、本発明の
直液式アイライナーは、キャップ嵌合リブ21が円弧状である(キャップ20の嵌合代0.105mm、キャップ20の広がり量0.21mm)。
従来技術の
直液式アイライナーは、キャップ嵌合リブが直線状である(キャップ20の嵌合代0.180mm、キャップ20の広がり量0.36mm)。
【0045】
まず常温26℃の環境下で、蒸着及び塗装を実施したキャップ20を中軸11に5回離脱、装着を繰り返し、キャップに割れが発生するか否かを確認した。その結果を実施例1、2として次に記載する。
【実施例1】
【0046】
(テスト条件)
塗装(膜厚15~21μm)を実施したキャップ20に、中軸にキャップ20を装着した状態から、5回離脱、装着を繰り返しキャップ割れが発生するか確認した。常温26℃の環境下実施した。
(テスト結果)
従来技術の直液式アイライナー 20本中、3本割れ発生。
本発明の直液式アイライナー 20本中、割れ無し。
【実施例2】
【0047】
(テスト条件)
蒸着(膜厚20~24μm)を実施したキャップ20に、中軸11にキャップ20を装着した状態から、5回離脱、装着を繰り返しキャップ割れが発生するか確認した。常温26℃の環境下実施した。
(テスト結果)
従来技術の直液式アイライナー 20本中、1本割れ発生。
本発明の直液式アイライナー 20本中、割れ無し。
【0048】
次に、冷蔵庫5℃からすぐに取り出して試験を実施した。他の条件は前記実施例1、2と同じである。その結果を実施例3、4として次に記載する。
【実施例3】
【0049】
(テスト条件)
塗装(膜厚15~21μm)を実施したキャップ20に、中軸11にキャップ20を装着した状態から、5回離脱、装着を繰り返しキャップ割れが発生するか確認した。冷蔵庫5℃からすぐに取り出して試験実施した。
(テスト結果)
従来技術の直液式アイライナー 20本中、14本割れ発生。
本発明の直液式アイライナー 20本中、割れ無し。
【実施例4】
【0050】
(テスト条件)
蒸着(膜厚20~24μm)を実施したキャップに、中軸にキャップを装着した状態から、5回離脱、装着を繰り返しキャップ割れが発生するか確認した。冷蔵庫5℃からすぐに取り出して試験実施した。
従来技術の直液式アイライナー 20本中、2本割れ発生。
本発明の直液式アイライナー 20本中、割れ無し。
【0051】
以上、実施例1から4では、常温26℃の環境下又は、冷蔵庫5℃からすぐに取り出して試験実施環境下の両方で本発明の直液式アイライナーにおいてキャップ割れの発生は皆無であった。
【0052】
又、以下に耐久試験も実施した。その結果を実施例5として記載する。
【実施例5】
【0053】
本発明の直液式アイライナーにおいて、常温26℃の環境下で1000回嵌合を繰り返してもキャップ割れの発生は皆無であった。
又、キャップ嵌合値についても規格内であることを確認し、耐久性の良いキャップ20の機能を果たす事を実現した。
【0054】
更に蒸着膜や塗装膜の膜厚が厚いキャップについても5℃の環境下で割れない事を確認した。以下にその試験結果を実施例6として次に記載する。
【実施例6】
【0055】
(テスト条件)
塗装品(膜厚18~26μm)及び蒸着品(膜厚30~36μm)を実施したキャップ20に、中軸11にキャップ20を装着した状態から、5回離脱、装着を繰り返しキャップ割れが発生するか確認した。冷蔵庫5℃からすぐに取り出して試験を実施した。
(テスト結果)
塗装品(膜厚18~26μm)(本発明) 20本中、割れ無し。
蒸着品(膜厚30~36μm)(本発明) 20本中、割れ無し。
【0056】
本発明は、以上に述べた実施例に限定されず、各種の変形があり得ることはいうまでもない。即ち、
【0057】
中軸嵌合リブ13は直液式アイライナー本体10の中軸11の全周に亘って形成されているが、部分的に僅かに欠けていてもキャップ嵌合リブ21と嵌合しうる限りは本発明の範囲に含まれる。
【0058】
又、
図16に示すように、キャップ20、後軸の外観形状、J-J断面図のキャップ20の断面形状(嵌合リブ形状を含む)、中軸11の形状(中軸嵌合リブ13の形状を含む)の全てがどのような形状をしていても、又、本発明はK-Kの断面図において、円弧のキャップ嵌合リブ21の長さ、円弧のキャップ嵌合リブ21の数は限定されず、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10 直液式アイライナー本体
11 中軸
12 当接段部
13 中軸嵌合リブ
20 キャップ
21 キャップ嵌合リブ
21a円弧形状端部
22 インナーキャップ
23 スプリング