(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】注意喚起用具
(51)【国際特許分類】
E01F 9/529 20160101AFI20220520BHJP
【FI】
E01F9/529
(21)【出願番号】P 2018125674
(22)【出願日】2018-07-01
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503432803
【氏名又は名称】上北建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509077200
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス東北
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】下川原 隆
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 研
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】木賊 康裕
(72)【発明者】
【氏名】堀切川 一男
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-168898(JP,A)
【文献】特開2014-163049(JP,A)
【文献】特開2006-002430(JP,A)
【文献】特開2014-051785(JP,A)
【文献】特開2014-084602(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128576(JP,U)
【文献】特開2014-084601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0376849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の環状部材の外周端部が隣接する態様で道路の道幅に亘って連結され、前記道路上に敷設してこの道路を通過する車両の運転者に振動で注意を喚起する注意喚起用具であって、
当該注意喚起用具の道幅方向の両端部に前記環状部材よりも重いウエイト材を設け
、
前記ウエイト材は、前記環状部材の外周形状とほぼ同一形状を成し、前記環状部材同士の連結構造と互換性を有する連結部が形成され、既設の当該注意喚起用具の複数の前記環状部材のうちの1つと組み替え可能或いは追加して取付可能に構成されていることを特徴とする注意喚起用具。
【請求項2】
前記ウエイト材には、上下方向に貫通する排水穴が設けられていることを特徴とする
請求項1に記載の注意喚起用具。
【請求項3】
前記ウエイト材には、外周形状に沿って延びる長穴が形成されていることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の注意喚起用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転者に対して振動で注意を喚起するための注意喚起用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上に一時的に設置して、走行する車両が乗り上げたときの振動で運転者に注意を与えるための注意喚起用具が使用されている。この注意喚起用具としては、例えば、帯板状の凸板を路面にボルトで固定し、この凸板を乗り上げるときの震動で注意を喚起するものがある(例えば、特許文献1参照)。このような帯板状の凸板は、ある程度の重量を有する構造ではあるが、路面との接地力(グリップ力)が小さいため乗り上げる車両の走行方向にずれ易い。そのため、ボルト或いは接着剤で路面に固定することが必要になる。
【0003】
また、複数個の環状部材を平面状に並べて連結した構造で、道路上にただ敷設するだけのものもある(例えば、特許文献2、3参照)。このような構造の注意喚起用具は、環状部材の形状やその配列に起因して路面に対する接地力が高い。そのため、特許文献1のような帯板状の構造と比較して軽量であり、かつ、ボルトなどで路面に固定しなくてもずれ難いという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-96007号公報
【文献】特開2006-2430号公報
【文献】特開2010-168898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した構造の注意喚起用具は、車両の走行方向に対してずれていくことがないようにしなければならない。また、工事期間中にのみ所望の位置に設置される注意喚起用具では、その設置、回収が容易に行えることが望まれる。
【0006】
特許文献1の技術では、注意喚起用具を路面にボルトで固定する構造であるため、ずれるおそれはないが、設置、回収に手間がかかる。特に、ボルトで固定する構造では、路面に穴を開けてしまうため、路面が痛んでしまう。また、帯板状に構成された注意喚起用具は重く、コンパクトな形状ではないため、運搬や設置作業に複数人の作業者が必要になってしまい、作業性が悪い。
【0007】
一方、特許文献2、3の技術では、注意喚起用具が軽量であり、かつ、路面に敷くだけなので、設置、回収作業が非常に容易である。また、車両の進行方向のずれに対しても、環状部材のエッジが路面に食い付くことで、一般道で法定速度の車両が乗り上げた程度ではほとんどずれは生じていない。しかしながら、路面に敷くだけで固定はしていないので、法定速度以上の車両が注意喚起用具に乗り上げたときには、車両の走行方向へのずれ量が大きくなる傾向がある。
【0008】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、設置、回収作業が容易であり、かつ、速い速度の車両が乗り上げてもずれ量を最小限に抑えることができる注意喚起用具を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述課題を解決するため、本発明は、複数の環状部材の外周端部が隣接する態様で道路の道幅に亘って連結され、前記道路上に敷設してこの道路を通過する車両の運転者に振動で注意を喚起する注意喚起用具であって、当該注意喚起用具の道幅方向の両端部に前記環状部材よりも重いウエイト材を設け、前記ウエイト材は、前記環状部材の外周形状とほぼ同一形状を成し、前記環状部材同士の連結構造と互換性を有する連結部が形成され、既設の当該注意喚起用具の複数の前記環状部材のうちの1つと組み替え可能或いは追加して取付可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記ウエイト材には、上下方向に貫通する排水穴が設けられていてもよい。
【0013】
さらにまた、前記ウエイト材には、外周形状に沿って延びる長穴が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る注意喚起用具では、複数の環状部材の外周端部が隣接する態様で道路の道幅に亘って連結され、前記道路上に敷設してこの道路を通過する車両の運転者に振動で注意を喚起するものであり、当該注意喚起用具の道幅方向の両端部に前記環状部材よりも重いウエイト材を設けているので、速度の速い車両が環状部材に乗り上げた場合、環状部材が路面またはタイヤとの反発力で上側に持ち上げられるのを防止することができる。そのため、環状部材の路面に対するグリップ力が維持されることで、車両の走行方向へのずれ量を小さく抑えることができる。この結果、注意喚起用具を路面に敷設するだけでよく、現地での接地、回収作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、ウエイト材のみを重くし、環状部材をそのまま軽量にして使用しているので、帯板状の重いものと比較して全体の重量が軽くなり、注意喚起用具を容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る注意喚起用具を道路に敷設した状態の全体斜視図である。
【
図3】ウエイト材を斜め上側から見た斜視図である。
【
図6】(A)~(D)は、環状部材およびウエイト材を碁盤目状に配置する場合におけるウエイト材の配置を示す平面図である。
【
図7】(A)~(C)は、環状部材およびウエイト材を千鳥状に配置する場合におけるウエイト材の配置を示す平面図である。
【
図8】ウエイト材の第2実施例を示す斜視図である。
【
図9】ウエイト材の第3実施例を示す斜視図である。
【
図10】ウエイト材の第4実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る注意喚起用具について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で使用する上下、左右(道幅)、前後方向(走行方向)とは、走行する車両の運転者から見た方向であって、
図1で示す方向をいうものとする。
【0018】
注意喚起用具1は、
図1に示すように、環状部材2が前後左右に並べて碁盤目状に配置されている。より詳細には、環状部材2が前後方向に2行、左右方向に5列になるように配置されている。これらの環状部材2は、屈曲性を有する連結部材13(
図5参照)でそれぞれ連結されており、隣り合う環状部材同士を重ね合わせるようにして互い違いに折りたたむことができるようになっている(詳細には、特許文献3に記載の折りたたみ方法を参照)。
【0019】
また、碁盤目状に配置された環状部材2の左側および右側には、ウエイト材10がそれぞれ1列ずつ配置されている。これらのウエイト材10も、環状部材2と同様に屈曲性を有する連結部材13でそれぞれ連結されており、互い違いに折りたたむことができるようになっている。
【0020】
なお、上述した環状部材2およびウエイト材10の配置は一例であり、設置する道路の道幅に合わせて列を増減して構成することもできる。また、行を増やして構成することもできる。さらには、詳細は後述するが、
図7で示すように、環状部材2およびウエイト材10を千鳥状に配置して構成することもできるし、これについても列や行を増やして構成することもできる。
【0021】
環状部材2は、
図2に示すように、中央部が空洞のリング状(環状)に形成されている。より詳細には、環状部材2は、中心が同一の3つの第1同芯環3A、第2同芯環3B、第3同芯環3Cで構成されており、これらの同芯環3A、3B、3Cが法線方向に延びる接続部4によってそれぞれ接続されている。
【0022】
環状部材2は、樹脂材料によって一体成型されている。この樹脂材料は、車両が走行中に乗り上げたときの反発力が小さく、路面との接地力が高く、かつ、摩耗のし難い硬質の合成樹脂が使用されている。
【0023】
また、環状部材2には、
図2に示すように、3つの同芯環3A、3B、3Cを法線方向に貫通する態様で、連結用穴5が形成されている。この連結用穴5は、環状部材2を配置する際に隣り合う環状部材2に向くようにして配置されている
【0024】
この環状部材2は、中央部が空洞のリング状であるため、その重量が約1kg以下の軽量に形成することができる。さらに、3つの同芯環3A、3B、3Cの間に円弧状の長穴を設けることで、さらに軽量化が図られている。
【0025】
ウエイト材10は、
図3に示すように、環状部材2と同一の外周形状を有する円盤状に形成されている。このウエイト材10には、その中央部に空洞は作られておらず、全体として環状部材2よりも重量が重くなるように構成されている。
【0026】
また、このウエイト材10の材料は、合成樹脂材料或いは硬質ゴム材料によって一体成型されている。これらの材料についても、路面との反発力が小さく、路面との接地力が高く、かつ、摩耗のし難い材料が選定して使用されている。
【0027】
ウエイト材10には、周方向に約90度の間隔を空けて4つの把持部11が形成されている。この把持部11は、上下に貫通する大きな長穴であり、
図1で示す注意喚起用具1を持ち上げて互い違いに折りたたむ際に、作業者がこの把持部11を掴んで持ち上げるためのものである。
【0028】
また、このウエイト材10には、環状部材2のようにリング状には形成されておらず、その中央部に空洞がない。これは、ウエイト材10と路面との接地面積を大きくし、グリップ力(接地力)を高めるためである。また、ウエイト材10の重量を環状部材2と比較してより重く構成するためである。
【0029】
この把持部11の外周側の縁部11Aの形状は、略円弧状に形成されている。より詳細には、この縁部11Aの形状は、環状部材2の第1同芯環3Aの内側の曲率とほぼ一致するように形成されている。そして、ウエイト材10には、
図3および
図4に示すように、この4つの縁部11Aから外周まで法線方向に貫通する連結用穴(連結部)12がそれぞれ設けられている。
【0030】
このウエイト材10の連結用穴12は、環状部材2の連結用穴5と互換性を有しており、
図5に示すように、環状部材2側(或いはウエイト材10側)から連結部材13を挿入して、隣り合うウエイト材10側(或いは環状部材2側)まで挿通して固定することができる。このように、1つの連結部材13を用いて2つの環状部材2同士を連結することもできるし、ウエイト材10と環状部材2とを同じ作業手順で連結することもできるようになっている。
【0031】
すなわち、ウエイト材10は、既に現場で使用されている注意喚起用具に継ぎ足すようにして環状部材2に連結して使用することもできるし、一部の環状部材2をウエイト材10に置換して連結して使用することもできる。
【0032】
このような注意喚起用具1は、
図1で示す左右方向が道幅に向けて配置され、前後方向に走行する車両が乗り上げるようになる。このとき、注意喚起用具1と路面とのグリップ力(ずれ方向に対するグリップ力)は、環状部材2が担うことになる。このグリップ力は、環状部材2の環状の各エッジ部が路面に食い付くことによって発生する。また、環状の構造であることから、路面に対して360度の全方向に均等にグリップ力が発生するので、どの方向にずらす力が作用してもずれ難い。
【0033】
一方、速度の速い車両が環状部材2に乗り上げた場合、環状部材2は、路面に強く叩きつけられ、その反発力で上側に持ち上げられ、グリップ力が小さくなることがある。この反発力は、車両の速度が速いほど大きくなることが実験で判明している。ウエイト材10は、軽量に構成された環状部材2よりも重いため、環状部材2が反発力で上側に持ち上げられるのを防止する機能を果たしている。
【0034】
すなわち、注意喚起用具1は、環状部材2とウエイト材10を組み合わせることで、路面に沿ってずれを生じさせる力を環状部材2で受けると共に、環状部材2が路面から上側に離れないようにウエイト材10で抑えることで、2つの部材が互いに協働して動作、作用することになる。
【0035】
この注意喚起用具1は、ウエイト材10のみを重くし、環状部材2をそのまま軽量にして使用しているので、1~2人の作業者だけで持ち上げることができる。特に、全体をコンパクトに折りたためる構造であるため、折りたたんだ注意喚起用具1を1~2人の作業者だけで、容易に運搬、設置、回収を行うことができる。
【0036】
また、注意喚起用具1の全体におけるウエイト材10の位置は、種々の配置で実験したところ、
図1および
図6(A)に示すように、左右の両端に配置する場合が上述した反発力に抗し、注意喚起用具1の車両走行方向へのずれ量を最も小さく抑えられることが判明した。また、
図6(B)に示すように、左右の両端と、中央部にウエイト材10を配置してもよい。
【0037】
さらに、
図7に示すように、環状部材2を千鳥状(ジグザグ状)に配置した注意喚起用具も使用されており、この場合にも同様に、左右の両端にウエイト材10を配置するのが好ましい(
図7(A)参照)。また、
図7(B)に示すように、左右の両端と、中央部にウエイト材10を配置してもよい。
【0038】
次に、ウエイト材20、30、40の種々の変形例を
図8~
図10を用いて説明する。なお、以下の説明では、上述したウエイト材10と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成については同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0039】
図8で示すウエイト材20は、その中央部分に中央穴21を設けると共に、この中央穴21と把持部11との間に複数の排水穴22を設けたものである。中央穴21は、例えば、LEDなどの発光体装置を取り付けるためのものである。このように発光体装置を取り付けることにより、車両を道路の中央側に誘導し、注意喚起用具1の環状部材2の上を確実に通過するようにすることができる。
【0040】
排水穴22は、上下方向に貫通しており、ウエイト材20の上面に付着する雨水等を路面に排水し、この上面に雨水が貯まらないようにするためのものである。また、排水穴22は、その数や径の大きさを変更することで、ウエイト材20の重量を適宜調整するためにも使用することができる。また、上面には、排水穴22に向けて排水用のテーパーを設けるようにしてもよい。
【0041】
図9で示すウエイト材30は、把持部11の周方向の間に複数の長穴31A、31B、31Cを設けている。この長穴31A、31B、31Cは、上下方向に貫通し、ウエイト材30の外周形状に沿って延びており、法線方向に離間して形成されている。この長穴31A、31B、31Cは、ウエイト材30と路面とのグリップ力を高めるためのものである。ウエイト材30には、走行する車両が積極的に乗り上げることを想定していないが、例え乗り上げてしまったとしても、この長穴31A、31B、31Cの機能によって注意喚起用具1が走行方にずれ難いようにすることができる。また、この長穴31A、31B、31Cは、雨水を排水する機能も備えている。さらには、中央穴21および排水穴22を設けずに長穴31A、31B、31Cだけを設けるようにすることもできる。
【0042】
図10で示すウエイト材40は、排水穴22を把持部11の中央部寄りに設け、把持部11および排水穴22の周方向の間に複数の長穴41A、41B、41C、41D、41Eを設けている。このように長穴41A、41B、41C、41D、41Eの数をより多く設けることで、グリップ力をさらに向上させるようにすることもできる。
【0043】
このようにウエイト材30、40では長穴31A、31B、31C、41A、41B、41C、41D、41Eを設けているが、路面との接地面積が不必要に小さくならないように、最適な形状、数量を選択することで、最適なグリップ力を得られるようにしている。
【0044】
また、ウエイト材30、40のように長穴を設けてグリップ力を高めることで、
図6(C)または
図7(C)に示すように、ウエイト材10、20、30、40を注意喚起用具1の左右方向の中央部にも配置することができるようになる。これにより、現場での道路の交通状況を踏まえて最適な位置にウエイト材10、20、30、40を適宜変更して配置することができる。
【0045】
本発明の実施の形態に係る注意喚起用具1によれば、複数の環状部材2の外周端部が隣接する態様で道路の道幅に亘って連結され、道路上に敷設してこの道路を通過する車両の運転者に振動で注意を喚起するものであり、注意喚起用具1の道幅方向の両端部に環状部材2よりも重いウエイト材10を設けているので、速度の速い車両が環状部材2に乗り上げた場合、環状部材2が路面またはタイヤとの反発力で上側に持ち上げられるのを防止することができる。そのため、環状部材2のグリップ力が維持されることで、車両の走行方向へのずれ量を小さく抑えることができる。この結果、注意喚起用具1を路面に敷設するだけでよく、現地での接地、回収作業を容易に行うことができる。
【0046】
また、ウエイト材10のみを重くし、環状部材2をそのまま軽量にして使用しているので、帯板状の重いものと比較して全体の重量が軽くなり、注意喚起用具1を容易に運搬することができる。
【0047】
また、ウエイト材10は、環状部材2の外周形状とほぼ同一形状を成し、環状部材2同士の連結構造と互換性を有する連結用穴12が形成されているので、既設の当該注意喚起用具の複数の環状部材のうちの1つと組み替え可能或いは追加して取り付けることができる。そのため、既設の現場では、ウエイト材10のみを連結して使用することができるので、コストを低く抑えることができる。また、環状部材2の外周形状とほぼ同一形状であることから、ウエイト材10を既設の環状部材2と置換して取り付けることで、ウエイト材10を注意喚起用具全体の中の最適な位置に配置することができる。さらには、外周形状がほぼ同一形状であるため、ウエイト材10を取り付けた状態でも、注意喚起用具1をコンパクトに折りたたむことができ、運搬、収納時の利便性を損なわない。
【0048】
さらに、ウエイト材20、30、40には、上下方向に貫通する排水穴22が設けられているので、ウエイト材20、30、40の上面に雨水等が貯まらないようにすることができる。そのため、車両がウエイト材20、30、40に乗り上げたとしても、この雨水等によって車両が滑るおそれを小さくすることができる。
【0049】
さらにまた、ウエイト材30、40には、外周形状に沿って延びる長穴31A、31B、31C、41A、41B、41C、41D、41Eが形成されているので、走行する車両がウエイト材30、40に乗り上げてしまったとしても、この長穴31A、31B、31C、41A、41B、41C、41D、41Eのエッジ部が路面と食い付き、注意喚起用具1が走行方にずれ難いようにすることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態に係る注意喚起用具について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0051】
例えば、本実施の形態では、ウエイト材10を環状部材2とは別に構成しているが、これに限定されない。例えば、環状部材2の中央部の空洞部分にウエイト材を埋め込むようにして取り付け、埋め込んだ環状部材2の重量が重くなるようにしてもよい。
図1を用いて詳細に説明すると、
図1で示すウエイト材10の部分にも環状部材2を配置し、この環状部材2の中央の空洞部分を埋めるようにしてウエイト材を取り付けるようにする。この取付は、例えば、連結部材13に相当する部材を用いて行うなど、通常の取付技術を用いて行うことができる。
【0052】
また、空洞部分に埋め込むウエイト材に排水穴22、長穴31Aなどを設けてもよい。これによっても、注意喚起用具1の左右の両端部を他の環状部材2の部分よりも重くすることができ、注意喚起用具1の左右の内側に位置する環状部材2が上側に持ち上げられる反発力に抗することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、環状部材2の一例として円環状のもので説明しているが、円環状以外のものでも構わない。例えば、環状部材2の外周形状が6角形状などの多角形状や楕円形状などでもよい。すなわち、無端状に環が構成されているものであれば、その外形状にこだわることなくこの環状部材に含まれる。このとき、ウエイト材10、20、30、40の外周形状も、これに併せ多角形状や楕円形状などにすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 注意喚起用具
2 環状部材
3A 第1同芯環
3B 第2同芯環
3C 第3同芯環
4 接続部
5 連結用穴
10、20、30、40 ウエイト材
11 把持部
11A 縁部
12 連結用穴(連結部)
13 連結部材
21 中央穴
22 排水穴
31A、31B、31C、41A、41B、41C、41D、41E 長穴