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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20220520BHJP
   B65D 47/42 20060101ALI20220520BHJP
   B65D 35/02 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
B65D51/24
B65D47/42
B65D35/02 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018163690
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033092
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】上村 英夫
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3087204(JP,U)
【文献】特開平11-180461(JP,A)
【文献】特開2015-067360(JP,A)
【文献】国際公開第2008/045313(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/24
B65D 47/42
B65D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、
前記容器本体の口部に弱化部を介して一体的に形成され、前記容器本体を密封する栓体と、
前記容器本体の口部に取り外し可能に装着された中栓体と、
前記容器本体内の内容物を注出する注出孔が形成され、前記中栓体に、前記容器本体の容器軸方向に移動可能に配設された注出部材と、
前記容器本体、前記中栓体または前記注出部材に装着される有頂筒状のオーバーキャップと、
を備え、
前記オーバーキャップの天壁部には、分離した前記栓体を内部に保持可能であり、当該オーバーキャップのキャップ軸方向に延在する保持凹部が形成されており、
前記保持凹部が、前記オーバーキャップの天壁部を前記キャップ軸方向に貫通する貫通孔であり、かつ、前記キャップ軸方向に沿う前記オーバーキャップの外側から前記栓体を差し込み可能であることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記容器本体が、チューブ容器であることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容する容器本体と、容器本体の口部に弱化部を介して一体的に形成され、容器本体を密封する栓体と、口部及び栓体を囲繞する有頂筒状のオーバーキャップと、を備える容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような容器では、弱化部を破断して栓体を容器本体から分離することによって、容器本体を開栓している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-029598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の容器においても、開栓時に容器本体から分離した栓体を処分する手間があった。
【0005】
そこで、本発明は、利便性を向上させた容器を提供することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の容器は、内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の口部に弱化部を介して一体的に形成され、前記容器本体を密封する栓体と、前記容器本体の口部に取り外し可能に装着された中栓体と、前記容器本体内の内容物を注出する注出孔が形成され、前記中栓体に、前記容器本体の容器軸方向に移動可能に配設された注出部材と、前記容器本体、前記中栓体または前記注出部材に装着される有頂筒状のオーバーキャップと、を備え、前記オーバーキャップの天壁部には、分離した前記栓体を内部に保持可能であり、当該オーバーキャップのキャップ軸方向に延在する保持凹部が形成されており、前記保持凹部が、前記オーバーキャップの天壁部を前記キャップ軸方向に貫通する貫通孔であり、かつ、前記キャップ軸方向に沿う前記オーバーキャップの外側から前記栓体を差し込み可能であることを特徴とする。
【0007】
この発明では、オーバーキャップの天壁部に形成された保持凹部に栓体を係止させた状態で栓体を容器本体から分離させ、分離した栓体をオーバーキャップが保持するので、分離した栓体を処分する手間がなくなり、容器の利便性が向上する。
また、保持凹部がオーバーキャップのキャップ軸方向に延在しているので、例えば成形金型を用いてオーバーキャップを射出成形する際に、型抜き方向が複数になるなど金型構造が複雑になることなく保持凹部が形成されたオーバーキャップを製造することができる。
さらに、保持凹部が貫通孔であり、非貫通の保持凹部を天壁部に形成する場合と比較して、保持凹部の底壁の厚さ分だけ容器の全高を抑制できる。なお、保持凹部が貫通孔であっても、保持凹部内に保持された栓体によって容器本体内の内容物が保持凹部を通して外部に漏出することを抑制できる。
その上、オーバーキャップの天壁部の外面に保持凹部があるので、保持凹部を外部から容易に視認でき、かつ、栓体を保持凹部内に差し込んだ状態でオーバーキャップを保持しやすいので、栓体を容器本体から分離させる操作が容易になる。
【0009】
また、本発明の容器では、前記容器本体が、チューブ容器であってもよい。
この発明では、自立しにくいチューブ状の容器本体であっても、オーバーキャップが下になるように倒立させた状態で陳列したり保管したりすることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかる容器によれば、オーバーキャップに形成された保持凹部が容器本体から分離した栓体を保持するので、栓体を処分する手間を排除して容器の利便性が向上する。また、保持凹部がオーバーキャップの天壁部においてキャップ軸方向に延在しているので、オーバーキャップの製造が複雑化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる容器を示す軸方向断面図である。
図2図1の容器本体及び栓体を示す上面図である。
図3図1の容器を示す上面図である。
図4図1の容器の使用方法を示す軸方向断面図である。
図5】同じく、図1の容器の使用方法を示す軸方向断面図である。
図6】同じく、図1の容器の使用方法を示す軸方向断面図である。
図7】同じく、図1の容器の使用方法を示す軸方向断面図である。
図8】同じく、図1の容器の使用方法を示す軸方向断面図である。
図9】同じく、図1の容器の使用方法を示す軸方向断面図である。
図10】本発明を適用可能な他の実施形態にかかる容器を示す軸方向断面図である。
図11図10の容器を示す上面図である。
図12図10の容器の使用方法を示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態にかかる容器1は、図1に示すように、内容物を収容するチューブ状の容器本体2と、容器本体2の円筒状の口部3に弱化部4を介して一体的に形成された有頂円筒状の栓体5と、容器本体2の口部3に装着された塗布具6と、容器本体2の口部3及び塗布具6を囲繞する有頂円筒状のオーバーキャップ7と、を備える。
【0013】
これら容器本体2の口部3、栓体5及びオーバーキャップ7は、それらの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この中心軸線を容器軸(キャップ軸)Oと称し、図1に示すように、容器軸Oに沿って容器本体2の底部から口部3に向かう方向を上方、その逆方向を下方とする。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに交差する方向を径方向、容器軸O回りに周回する方向を周方向とする。
【0014】
容器本体2は、図1から図3に示すように、下端開口部が径方向に挟み込まれて閉塞された楕円筒状の胴部11と、胴部11の上端開口縁から径方向内側に向けて連設された平面視楕円状の肩部12と、肩部12の開口縁から上方に向けて連設された円筒状の口部3と、を備える。これら胴部11、肩部12及び口部3は、容器軸Oと同軸に配設されている。容器本体2内に収容される内容物は、例えば粘性を有するジェル状の内容物であるが、内容物は、これに限定されない。
【0015】
胴部11は、横断面視で楕円状とされている。
口部3は、肩部12の上端開口縁に連設された円筒状の下側筒部13と、下側筒部13の上端開口縁から径方向内側に向けて連設された多段筒状の上側筒部14と、を有する。
下側筒部13の外周面には、塗布具6が螺着される二条ネジである第1ネジ部13Aが形成されている。
上側筒部14は、下側筒部13の上端縁から径方向内側に向けて連設された円環状の第1内鍔部14Aと、第1内鍔部14Aの内周縁から上方に向けて連設された第1円筒状部14Bと、第1円筒状部14Bの上端縁から径方向内側に向けて連設された円環状の第2内鍔部14Cと、第2内鍔部14Cの内周縁から上方に向けて連設された第2円筒状部14Dと、を有する。第1内鍔部14Aは、径方向内側に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜している。
【0016】
栓体5は、上側筒部14の上端開口縁に弱化部4を介して容器本体2と一体的に形成されている。栓体5は、平面視で円形状の頂板部21と、頂板部21の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の側筒部22と、を有する。側筒部22は、容器軸Oと同軸に配設されている。
頂板部21の上面には、平面視で十字状をなす第1係止突部21Aが上方に向けて突設されている。
側筒部22の外周面には、第1保持突部22Aが全周にわたって連続または間欠に形成されている。側筒部22の下端縁は、弱化部4を介して口部3の上端縁に連設されている。弱化部4は、口部3を径方向外側から薄肉とすることによって形成されている。
【0017】
塗布具6は、図1及び図3に示すように、容器本体2の口部3に装着された中栓体31と、中栓体31に取り付けられた有頂円筒状の塗布体(注出部材)32と、を備える。この塗布体32は、容器軸Oと同軸に配設されている。
中栓体31は、平面視で円環状の底板部41と、底板部41の外周縁から上下方向に延在する円筒状の外筒部42と、外筒部42よりも径方向内側において底板部41から下方に延設された円筒状の装着筒部43と、底板部41の内周縁から上方に延設された円筒状の案内筒部44と、案内筒部44の径方向内側に配設された円柱状の栓部45と、を備える。これら外筒部42、装着筒部43、案内筒部44及び栓部45は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0018】
底板部41の下面には、下方に向けて延在し、口部3の第1円筒状部14Bに外嵌される円筒状の嵌合筒部41Aが形成されている。
外筒部42のうち底板部41よりも上側の部分は、容器軸Oに沿って上下方向に延在している。また、外筒部42のうち底板部41よりも下側の部分は、下方に向かうにしたがって径方向外側に向かうように傾斜する円錐台筒状の傾斜筒部46と、傾斜筒部46の下端から下方に向けて連設された円筒状の取付筒部47と、を有する。
取付筒部47の下側部分の内径及び外径は、取付筒部47の上側部分の内径及び外径よりも拡径されており、取付筒部47の下側部分の外周面は、肩部12の外周縁よりも径方向内側に位置している。また、取付筒部47の下側部分における外周面には、複数の滑止突部47A(図6参照)が周方向に複数形成されている。
装着筒部43の内周面には、口部3の第1ネジ部13Aと螺合する第2ネジ部43Aが形成されている。
【0019】
案内筒部44の上下方向の中間部分における外周面には、上下方向に延在し、径方向内側に向けて窪む第1案内凹部44Aが形成されている。また、案内筒部44の上端部の外径は、この上端部よりも下側の部分における外径よりも小径とされている。そして、案内筒部44の第1案内凹部44Aの上端部における外周面には、径方向外側に向けて突出する第1規制突部44Bが形成されている。
さらに、案内筒部44の内周面には、上下方向に延在し、上端から案内筒部44の上下方向の中間部分に至る回止溝部44Cが周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、案内筒部44の内周面のうち回止溝部44Cよりも下側の部分は、径方向内側に向けて若干突出しており、この下側の部分には、栓部45の下端部に接続される接続部48が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0020】
栓部45の下端部の外径は、この下端部よりも上側の部分の外径よりも大径とされており、栓部45の下端部には、下方に開口する中央凹部45Aが形成されている。栓部45の上端部は、外筒部42及び案内筒部44の上端よりも上方に突出している。また、栓部45は、栓体5よりも上方に位置しており、案内筒部44の下側部分及び接続部48と共に栓体5を径方向及び上方から囲んでいる。
【0021】
塗布体32は、平面視で円形状の頂壁部61と、頂壁部61の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の周筒部62と、周筒部62よりも径方向内側において頂壁部61から下方に向けて延設された円筒状の被案内筒部63と、被案内筒部63よりも径方向内側において頂壁部61から下方に向けて延設された円筒状の内筒部64と、を有する。これら周筒部62、被案内筒部63及び内筒部64は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0022】
頂壁部61は、中央部が上方に向けて凸となるように、径方向外側に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜している。また、頂壁部61の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔である注出孔61Aが形成されており、頂壁部61には、注出孔61Aに隣接し、上方に向けて突出する平面視で円環状の注出突部61Bが形成されている。また、注出孔61Aには、栓部45の上端部が嵌め込まれている。さらに、頂壁部61の上面には、内容物を塗り広げるための複数の塗布突部61Cが上方に向けて突設されている。
【0023】
周筒部62は、外筒部42よりも径方向外側に配設されており、周筒部62の内周面には、上下方向に延在し、外筒部42の上端部における外周面に近接または摺接する補強リブ部62Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
被案内筒部63は、径方向で外筒部42と案内筒部44との間に配設されており、被案内筒部63の下側部分における内周面には、径方向外側に向けて窪み、第1規制突部44Bを上下方向に移動可能とする第2案内凹部63Aが形成されている。そして、被案内筒部63の第2案内凹部63Aの下端部における内周面には、径方向内側に向けて突出し、第1規制突部44Bに対して下方から係止可能な第2規制突部63Bが形成されている。第2規制突部63Bは、第1案内凹部44A内を上下方向に移動可能である。
【0024】
内筒部64は、案内筒部44と栓部45との間に配設されている。内筒部64の外周面には、上下方向に延在し、回止溝部44Cに収容される回止リブ部64Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、回止リブ部64Aは、回止溝部44Cと周方向で係止し、塗布体32が中栓体31に対して容器軸O回りに回転することを規制する。また、内筒部64の下端部は、案内筒部44の下側部分の内周面と栓部45の下端部の外周面との間に嵌め込まれており、接続部48に当接または近接している。
【0025】
オーバーキャップ7は、平面視で円環状の天壁部71と、天壁部71の外周縁から下方に向けて延設された円筒状の側壁部72と、を有する。
天壁部71の中央部には、栓体5を保持する保持部73が設けられている。保持部73は、天壁部71の内周縁から下方に向けて延在する円筒状の陥没筒部74と、陥没筒部74の下端から径方向内側に向けて突出する平面視で円環状の環状接続部75と、環状接続部75の内周縁から上方に向けて延設された円筒状の保持筒部76と、を有する。これら陥没筒部74、環状接続部75及び保持筒部76は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0026】
保持筒部76の上下方向の長さは、栓体5の上下方向の長さと同等となっており、保持筒部76の内径は、栓体5の外径と同等となっている。また、保持筒部76の上端の上下方向の位置は、天壁部71の上面と同等となっている。さらに、保持筒部76の下端部には、径方向内側に向けて突出し、第1係止突部21Aと周方向で係止する第2係止突部76Aが周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)形成されている。第2係止突部76Aは、平面視で十字状をなす第1係止突部21Aに対応する平面視で十字状をなす孔部を画成する。
また、保持筒部76の上端部における内周面には、径方向内側に向けて突出し、栓体5の第1保持突部22Aと係止可能な第2保持突部76Bが全周にわたって連続または間欠に形成されている。
この保持筒部76によって、上下方向の貫通孔である保持凹部77が画成されている。
側壁部72の下端部は、取付筒部47の上側部分に外嵌されている。また、側壁部72の下端部は、取付筒部47の下側部分の上端面に当接または近接している。
【0027】
次に、以上のような構成の容器1の使用方法を説明する。
まず、塗布具6を容器本体2から取り外して栓体5を露出させる。ここで、塗布具6は、オーバーキャップ7を塗布具6から取り外した後に容器本体2から取り外されてもよく、オーバーキャップ7と一体的に容器本体2から取り外されてもよい。
【0028】
栓体5を露出させた後、図4に示すように、栓体5をオーバーキャップ7の保持筒部76内に上方から差し込む。栓体5を差し込むと、栓体5の第1係止突部21Aが保持筒部76の第2係止突部76Aと周方向で係止されると共に、栓体5の第1保持突部22Aが保持筒部76の第2保持突部76Bに対して上下方向で係止される。そのため、栓体5が保持筒部76から離脱することが抑制される。
また、保持筒部76の下端が開口しているので、栓体5を保持筒部76内に差し込んだ際に、保持筒部76内の空気は、保持筒部76の下端開口を通して排出される。これにより、保持筒部76への栓体5の差込動作が安定する。
なお、オーバーキャップ7の天壁部71に保持凹部77が形成されているので、外部から容易に保持凹部77を視認できる。
【0029】
栓体5を保持筒部76内に差し込んだ後、図5に示すように、容器本体2をオーバーキャップ7に対して相対的に周方向に回転させる。これにより、栓体5と容器本体2の口部3とを接続している弱化部4が破断され、容器本体2が開封される。容器本体2から分離された栓体5は、保持筒部76内で保持される。容器本体2を開封した後、塗布具6を容器本体2の口部3に螺着する。ここで、オーバーキャップ7の天壁部71に保持凹部77が形成されており、栓体5を保持筒部76内に差し込んだ状態でオーバーキャップ7の側壁部72を保持しやすいので、栓体5を容器本体2から分離させる操作がしやすくなっている。
【0030】
塗布具6を容器本体2の口部3に螺着した後、図6に示すように、塗布体32を中栓体31に対して上方に引き上げる。塗布体32の中栓体31に対する上昇は、被案内筒部63の第2規制突部63Bが案内筒部44の第1規制突部44Bに下方から係止することによって規制される。そして、栓部45の上端部は、頂壁部61の注出孔61Aから離脱し、注出孔61Aを開放する。また、内筒部64の下端部は、案内筒部44の下側部分の内周面と栓部45の下端部の外周面との間の空間よりも上方に移動する。これにより、容器本体2の口部3の上端開口部から塗布体32の頂壁部61の注出孔61Aに至る流路が開放される。
【0031】
この状態で容器本体2を圧搾などすると、容器本体2内の内容物は、口部3の上端開口部から案内筒部44の下側部分、接続部48及び栓部45によって画成される空間内に流入する。そして、内容物は、周方向で隣り合う接続部48間の隙間を通って、案内筒部44の内周面または内筒部64の内周面と栓部45の外周面との間の空間に流入する。さらに、内容物は、注出孔61Aから外部に注出される。注出孔61Aから注出された内容物は、頂壁部61の上面を塗布対象に当てることにより、塗布対象に塗り広げられる。
【0032】
内容物の塗布を終了した後、図7に示すように、オーバーキャップ7を塗布具6に装着する。オーバーキャップ7を装着させていくと、保持筒部76によって保持されている栓体5は、注出突部61Bに当接し、塗布体32を中栓体31に対して押し下げる。これにより、栓部45の上端部は、注出孔61Aに挿入されて注出孔61Aを閉塞する。また、内筒部64の下端部は、案内筒部44の下側部分の内周面と栓部45の下端部の外周面との間に嵌め込まれる。これにより、容器本体2内から注出孔61Aに至る流路が閉塞される。もちろん、塗布体32を中栓体31に対して押し下げた後にオーバーキャップ7を装着してもよい。
【0033】
オーバーキャップ7を塗布具6に被着すると、図8に示すように、保持凹部77内に保持されている栓体5は、頂壁部61の注出突部61Bに当接または近接する。ここで、図9に示すように、頂壁部61の上面に残留している内容物Xは、頂壁部61に沿って栓体5の外周面と保持筒部76の内周面との間の間隙に流入しようとすることがある(矢印A)。しかし、保持筒部76が栓体5を保持しているので、内容物は、オーバーキャップ7から外部に漏出しない。
以上のようにして、容器1を使用する。
【0034】
以上、本実施形態にかかる容器1によれば、分離後の栓体5がオーバーキャップ7の保持筒部76内に保持されるので、栓体5を処分する手間を排除して容器1の利便性を向上させることができる。また、保持凹部77が上下方向に延在しているので、オーバーキャップ7の製造を複雑化させることなく保持凹部77を形成することができる。
さらに、保持凹部77を貫通孔とすることによって、非貫通の保持凹部の底壁の厚さ分だけ容器1の全高を抑制できる。
その上、自立しにくいチューブ状の容器本体2であっても、オーバーキャップ7を下にして倒立させることにより、容器1を陳列したり保管したりすることができる。
また、保持筒部76を用いて栓体5を容器本体2から分離しており、栓体5を手で分離できるような寸法とする必要がないので、栓体5を小型化することができる。そのため、案内筒部44の下側部分、接続部48及び栓部45によって画成される栓体5の収容空間を小さくすることができ、容器本体2の開栓後の保管時などにこの空間に残存する内容物の量を削減することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、保持凹部は、貫通孔ではなく、例えば図10及び図11に示すように、底部を有する保持凹部であってもよい。
図10及び図11に示す容器100のオーバーキャップ101は、天壁部102及び側壁部72を有する。
天壁部102の中央部に形成された保持部103は、陥没筒部74と、環状接続部75と、有底円筒状の保持筒部104と、を有する。これら陥没筒部74、環状接続部75及び保持筒部104は、容器軸Oと同軸に配設されている。この保持筒部104によって、保持凹部105が画成されている。
保持筒部104の底部は、注出突部61Bの上端に当接または近接している。また、保持筒部104の内周面には、上端から上下方向の中間部分まで延在する通気スリット104Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。そのため、図12に示すように、栓体5を保持筒部104内に差し込んだ際に、保持筒部104内の空気は、通気スリット104Aを通して排出される(矢印B)。これにより、保持筒部104への栓体5の差込動作が安定する。
【0036】
注出部材は、頂壁部が塗布対象に内容物を塗り広げるように形成された塗布体として構成されているが、中栓体に対して注出部材が昇降することによって注出孔を開閉するものであれば、塗布体に限らず、他の構成であってもよい。
中栓体は、容器本体の口部に螺着されているが、栓体を容器本体から分離するために少なくとも一度は取り外し可能となっていれば、他の構成によって口部に装着されていてもよい。
容器本体は、チューブ状容器に限らず、他の形状の容器であってもよい。このとき、容器本体は、単独で自立可能であってもよい。
栓体は、有頂円筒状のような中空の構造に限らず、円柱状など中実の構造であってもよい。
また、栓体は、保持筒部内に差し込んだ後に容器本体をオーバーキャップに対して回転させることによって容器本体から分離させているが、オーバーキャップとの間の相対的な動作によって容器本体から分離されればよく、例えば保持筒部内に差し込んだ後に容器本体をオーバーキャップに対して引っ張ることによって容器本体から分離されてもよい。
さらに、栓体は、オーバーキャップに対して上方から差し込まれているが、下方から差し込まれてもよい。ただし、栓体をオーバーキャップに対して上方から差し込むことにより、差込時にオーバーキャップの側壁部が容器本体に干渉することを抑制できる。また、栓体を分離した際に栓体の下端縁に生じることがあるバリがオーバーキャップの上側を向くので、栓体をオーバーキャップに対して上方から差し込むことにより、オーバーキャップを装着したときにこのバリが塗布体の頂壁部に干渉することを抑制できる。
保持凹部は、二重筒状の構造を有しているが、キャップ軸方向に延在していれば、他の構造を有していてもよい。例えば、保持筒部は、天壁部よりも下方に設けられているが、天壁部から上方に突出するように形成されてもよい。また、保持筒部は、天壁部の中央部に形成されている必要はなく、例えば天壁部の外周縁部など、天壁部の他の位置に形成されてもよい。さらに、保持凹部は、複数形成されていてもよい。
オーバーキャップは、中栓体に装着されているが、塗布体に装着されてもよく、容器本体に装着されてもよい。また、オーバーキャップのキャップ軸は、必ずしも容器軸と一致していなくてもよく、容器軸からずらされていても、傾けられていてもよい。
各構成部材の説明において、「円筒状」、「楕円状」などと記載しているが、三角形状や矩形状などの他の多角形状など、適宜他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明によれば、利便性を向上させた容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0038】
1,100 容器、2 容器本体、3 口部、4 弱化部、5 栓体、7,101 オーバーキャップ、31 中栓体、32 塗布体(注出部材)、61A 注出孔、71,102 天壁部、77,105 保持凹部
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