(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20220520BHJP
B65D 83/04 20060101ALI20220520BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
B65D47/20 210
B65D83/04 H
B65D47/06 400
(21)【出願番号】P 2018163780
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-100078(JP,A)
【文献】特開2004-359251(JP,A)
【文献】特開2014-061898(JP,A)
【文献】特開2015-193392(JP,A)
【文献】特開2005-053502(JP,A)
【文献】実公昭38-004088(JP,Y1)
【文献】特開2014-091522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 83/04
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の錠剤が収容される容器の口部に装着される計量キャップであって、
キャップ軸に沿う上下方向に錠剤が通過可能な連通孔、および、上下方向から見て前記連通孔と重なり前記連通孔の下側に配置される整流部を有する中栓部材と、
前記中栓部材の上側に配置されて有頂筒状をなし、頂壁部に錠剤の取り出し口を有するキャップ本体と、
上下方向において前記頂壁部と前記中栓部材との間に配置され、前記連通孔と連通する第1計量室と、
上下方向において前記頂壁部と前記中栓部材との間に配置され、前記取り出し口と連通し、前記第1計量室と前記キャップ軸に直交する径方向に並ぶ第2計量室と、
前記第1計量室の下側に配置される部分を有し、前記第1計量室と前記第2計量室とを連通する連通部と、を備え
、
前記第1計量室は、上下方向から見て前記連通孔と重なって配置され、
前記整流部は、
前記中栓部材から下側に延び、上下方向から見て前記連通孔を挟んで両側に配置される一対の支持部と、
一対の前記支持部の下端部同士を連結する連結部と、を有する、計量キャップ。
【請求項2】
請求項
1に記載の計量キャップであって、
前記キャップ本体は、前記頂壁部から下側に突出し、上下方向から見て前記連通孔と重なる第1案内壁部を有し、
前記第1案内壁部は、径方向に沿って前記第1計量室から前記第2計量室に向かうにしたがい上側に向けて延びる第1傾斜面を有する、計量キャップ。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の計量キャップであって、
前記中栓部材は、前記中栓部材の上面に配置され、径方向に沿って前記第1計量室から前記第2計量室に向かうにしたがい下側に向けて延びる第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面は、上下方向から見て前記第1計量室と重なる、計量キャップ。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の計量キャップであって、
前記中栓部材は、
前記中栓部材から下側に突出し、上下方向から見て前記連通孔の少なくとも一部を径方向外側から囲う第2案内壁部と、
前記中栓部材から下側に突出し、径方向において前記第2案内壁部と前記連通孔との間に配置される第3案内壁部と、を有し、
前記第3案内壁部の下端部が、前記第2案内壁部の下端部よりも上側に位置する、計量キャップ。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の計量キャップであって、
前記キャップ本体は、前記頂壁部から下側に突出し、径方向において前記第1計量室と前記第2計量室との間に配置される移動抑制壁部を有する、計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の錠剤が収容される容器の口部に装着される計量キャップが知られる。特許文献1の計量キャップは、付勢バネにより付勢されるスライド部材を押し込むことにより、ストック室と取出孔部とが連通して、所定量の錠剤が計量キャップの外部に取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の計量キャップにおいては、錠剤を取り出す操作を簡単にして操作性を高める点、および、構造を簡素化して製造コストを低減する点に改善の余地があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、簡単な操作により所定量の錠剤を安定して取り出すことができ、かつ構造を簡素化して製造コストを低減できる計量キャップを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、複数の錠剤が収容される容器の口部に装着される計量キャップであって、キャップ軸に沿う上下方向に錠剤が通過可能な連通孔、および、上下方向から見て前記連通孔と重なり前記連通孔の下側に配置される整流部を有する中栓部材と、前記中栓部材の上側に配置されて有頂筒状をなし、頂壁部に錠剤の取り出し口を有するキャップ本体と、上下方向において前記頂壁部と前記中栓部材との間に配置され、前記連通孔と連通する第1計量室と、上下方向において前記頂壁部と前記中栓部材との間に配置され、前記取り出し口と連通し、前記第1計量室と前記キャップ軸に直交する径方向に並ぶ第2計量室と、前記第1計量室の下側に配置される部分を有し、前記第1計量室と前記第2計量室とを連通する連通部と、を備え、前記第1計量室は、上下方向から見て前記連通孔と重なって配置され、前記整流部は、前記中栓部材から下側に延び、上下方向から見て前記連通孔を挟んで両側に配置される一対の支持部と、一対の前記支持部の下端部同士を連結する連結部と、を有する。
【0007】
この計量キャップでは、容器を倒立姿勢にすると、連通孔を通して容器内から第1計量室へと少なくとも所定量(例えば少なくとも1錠)の錠剤が移動する。そして、容器を倒立姿勢から正立姿勢に戻すと、第1計量室の所定量(例えば1錠)の錠剤が、第1計量室から連通部を通って、第2計量室に移動する。容器を再び倒立姿勢にすると、第2計量室の所定量の錠剤が、第2計量室から取り出し口を通って計量キャップの外部に取り出される。このとき、容器内から連通孔を通って、別の少なくとも所定量の錠剤が、第1計量室へと移動する。したがって、次に容器を正立姿勢から倒立姿勢とすることにより、2回目以降については1アクションで所定量の錠剤を取り出すことができる。
【0008】
本発明によれば、錠剤が、第1計量室、連通部および第2計量室を通って、取り出し口から取り出される。また、連通孔の下側に整流部が配置されるので、錠剤を連通孔に少量ずつ順番に流入させることができる。したがって、所定量の錠剤を安定して取り出すことができる。
【0009】
また、容器を正立姿勢から倒立姿勢にするという簡単な操作により、所定量の錠剤を取り出すことができる。従来の計量キャップのようなスライド部材や付勢バネを必要とする構成ではないため、本発明によれば、部品点数を削減して構造を簡素化でき、製造コストを低減できる。
【0010】
上記計量キャップにおいて、前記整流部は、前記中栓部材から下側に延び、上下方向から見て前記連通孔を挟んで両側に配置される一対の支持部と、一対の前記支持部の下端部同士を連結する連結部と、を有する。
【0011】
この場合、一対の支持部および連結部が配置されていない連通孔の側方等の方向から、錠剤が連通孔に流入する。このため、簡単な構成の整流部により、錠剤を連通孔に少量ずつ順番に流入させる機能(作用)が安定して得られる。
【0012】
上記計量キャップにおいて、前記キャップ本体は、前記頂壁部から下側に突出し、上下方向から見て前記連通孔と重なる第1案内壁部を有し、前記第1案内壁部は、径方向に沿って前記第1計量室から前記第2計量室に向かうにしたがい上側に向けて延びる第1傾斜面を有することが好ましい。
【0013】
この場合、容器を倒立姿勢にしたときに、容器内から第1計量室に移動した錠剤が、第1傾斜面により案内されて、第2計量室に向けて移動する(第2計量室に近づく)。したがって、第1計量室の錠剤が、連通部および第2計量室へと安定して案内されやすくなる。
【0014】
上記計量キャップにおいて、前記中栓部材は、前記中栓部材の上面に配置され、径方向に沿って前記第1計量室から前記第2計量室に向かうにしたがい下側に向けて延びる第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面は、上下方向から見て前記第1計量室と重なることが好ましい。
【0015】
この場合、容器を倒立姿勢から正立姿勢にしたときに、第1計量室の錠剤が、第2傾斜面により案内されて、連通部および第2計量室に向けて移動しやすい。したがって、第1計量室の錠剤が、連通部および第2計量室へと安定して案内される。
【0016】
上記計量キャップにおいて、前記中栓部材は、前記中栓部材から下側に突出し、上下方向から見て前記連通孔の少なくとも一部を径方向外側から囲う第2案内壁部と、前記中栓部材から下側に突出し、径方向において前記第2案内壁部と前記連通孔との間に配置される第3案内壁部と、を有し、前記第3案内壁部の下端部が、前記第2案内壁部の下端部よりも上側に位置することが好ましい。
【0017】
この場合、容器を倒立姿勢にしたときに、容器内の錠剤が、第2案内壁部の下端部および第3案内壁部の下端部に案内されて、連通孔に向けて移動しやすい。したがって、容器内の錠剤が、連通孔および第1計量室へと安定して案内される。
【0018】
上記計量キャップにおいて、前記キャップ本体は、前記頂壁部から下側に突出し、径方向において前記第1計量室と前記第2計量室との間に配置される移動抑制壁部を有することが好ましい。
【0019】
この場合、容器を倒立姿勢にして第2計量室の錠剤を取り出すときに、移動抑制壁部によって、第1計量室の錠剤が第2計量室に移動することが抑制される。第1計量室の錠剤が、第2計量室の錠剤とともに誤って取り出し口から排出されることが抑えられる。したがって、所定量の錠剤を安定して取り出すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一つの態様の計量キャップによれば、簡単な操作により所定量の錠剤を安定して取り出すことができ、かつ構造を簡素化して製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の計量キャップを示す縦断面図である。
【
図2】計量キャップの中栓部材の下面図であり、一部を模式的に表している。
【
図3】計量キャップの使用方法(倒立姿勢)を説明する図である。
【
図4】計量キャップの使用方法(正立姿勢)を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態の変形例の計量キャップの縦断面を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態の計量キャップ10について、図面を参照して説明する。
本実施形態の計量キャップ10は、複数の錠剤Tが収容される有底筒状の容器2の口部3に装着される。本実施形態の例では、錠剤Tが平面視で略楕円形状である。
【0023】
図1に示すように、計量キャップ10は、中栓部材11と、キャップ本体20と、第1計量室31と、第2計量室32と、連通部33と、蓋部40と、ヒンジ部50と、を備える。中栓部材11は、有頂筒状であり、容器2の口部3に装着される。キャップ本体20は、有頂筒状であり、中栓部材11に装着されて中栓部材11を覆う。蓋部40は、有頂筒状であり、キャップ本体20の頂壁部21を覆う。キャップ本体20の頂壁部21には、錠剤Tの取り出し口21aが開口する。
容器2の口部3、中栓部材11、キャップ本体20および蓋部40は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置される。本実施形態では、この共通軸をキャップ軸Oと呼ぶ。
【0024】
本実施形態では、キャップ軸Oに沿う方向(キャップ軸Oが延びる方向)を上下方向またはキャップ軸O方向と呼ぶ。キャップ軸O方向に沿って容器2の底部から、中栓部材11、キャップ本体20および蓋部40へ向かう方向を上側と呼び、中栓部材11、キャップ本体20および蓋部40から、容器2の底部へ向かう方向を下側と呼ぶ。
キャップ軸O方向から見た平面視で、キャップ軸Oに直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向に沿ってキャップ軸Oに接近する方向を径方向内側と呼び、キャップ軸Oから離間する方向を径方向外側と呼ぶ。なお本実施形態では、取り出し口21aの径方向位置が、キャップ軸Oとは異なる位置とされている。以下の説明では、径方向のうち、キャップ軸Oと取り出し口21aとを繋ぐ方向を、前後方向と呼ぶ。前後方向のうち、キャップ軸Oから取り出し口21aに向かう方向を前方と呼び、取り出し口21aからキャップ軸Oに向かう方向を後方と呼ぶ。径方向のうち、前後方向に直交する方向を側方と呼ぶ。
キャップ軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0025】
図1および
図2に示すように、中栓部材11は、中栓周壁12と、中栓頂壁13と、連通孔14と、整流部15と、第2傾斜面16と、シール筒部17と、第2案内壁部18と、第3案内壁部19と、を有する。
【0026】
中栓周壁12は、筒状であり、容器2の口部3に対して径方向外側に装着される。本実施形態の例では、中栓周壁12の内周面に設けられる雌ネジ部と、口部3の外周面に設けられる雄ネジ部とが、着脱可能に螺着する。つまり中栓部材11は、容器2の口部3に対して着脱可能に装着される。
中栓周壁12は、係止突起12aを有する。係止突起12aは、中栓周壁12の外周面の下端部に配置されて、径方向外側に突出する。
【0027】
中栓頂壁13は、板状であり、その一対の板面が上下方向を向く。中栓頂壁13は、中栓周壁12の上端部に接続する。中栓頂壁13は、テーパ筒部13aと、位置決め突起13bと、を有する。
テーパ筒部13aは、中栓頂壁13の外周部よりも径方向内側に位置する。テーパ筒部13aは、上下方向から見て中栓頂壁13の略中央部に配置される。テーパ筒部13aは、キャップ軸O上に配置されるが、テーパ筒部13aの中心軸は、キャップ軸Oよりも後方に位置する。テーパ筒部13aは、中栓頂壁13の外周部から径方向内側に向かうにしたがい上側に向けて傾斜して延びるテーパ状である。
位置決め突起13bは、中栓頂壁13の外周部における後端部に配置される。位置決め突起13bは、中栓頂壁13の上面における後端部から上側に向けて突出する。
【0028】
連通孔14は、中栓頂壁13を上下方向に貫通して形成される。連通孔14は、テーパ筒部13aの上端開口部に位置して、上下方向に開口する。すなわち、連通孔14の中心軸は、テーパ筒部13aの中心軸と同軸に配置される。本実施形態の例では、連通孔14が円孔状である。連通孔14は、その内部を錠剤Tが上下方向に通過可能に形成される。
【0029】
整流部15は、上下方向から見て連通孔14と重なり、連通孔14の下側に配置される。整流部15は、一対の支持部15aと、連結部15bと、を有する。
一対の支持部15aは、中栓部材11から下側に延び、上下方向から見て連通孔14を挟んで両側に配置される。本実施形態の例では、一対の支持部15aが、中栓頂壁13のテーパ筒部13aから下側に延び、上下方向から見て連通孔14を中央に挟んだ前方および後方に配置される。一対の支持部15aのうち、連通孔14の前方に位置する一方の支持部15aは、中栓頂壁13から下側に向かうにしたがい後方に向けて傾斜して延びる。一対の支持部15aのうち、連通孔14の後方に位置する他方の支持部15aは、中栓頂壁13から下側に向かうにしたがい前方に向けて傾斜して延びる。
連結部15bは、一対の支持部15aの下端部同士を連結する。連結部15bは、径方向に延びる。本実施形態の例では、連結部15bが、径方向のうち前後方向に延びる。
【0030】
整流部15と中栓頂壁13とにより画成される開口部15cは、連通孔14と連通する。開口部15cの開口寸法は、錠剤Tの外径(長軸方向の外径。最大径)よりも大きい(
図3および
図4を参照)。本実施形態の例では、一対の支持部15a同士の間の径方向の寸法が、錠剤Tの外径よりも大きい。テーパ筒部13aの上端開口部(連通孔14)と連結部15bとの間の上下方向の寸法が、錠剤Tの外径よりも大きい。
【0031】
第2傾斜面16は、中栓部材11の上面に配置され、径方向に沿って第1計量室31から第2計量室32に向かうにしたがい下側に向けて延びる。本実施形態の例では、第2傾斜面16が、中栓頂壁13におけるテーパ筒部13aの上面(外周面)の前方部分に配置され、前方に向かうにしたがい下側に向けて傾斜して延びる。第2傾斜面16は、上下方向から見て、第1計量室31と重なって配置される。
【0032】
シール筒部17は、キャップ軸Oを中心軸とする筒状である。シール筒部17は、中栓頂壁13から下側に向けて延びる。シール筒部17は、容器2の口部3内に嵌合する。
【0033】
第2案内壁部18は、中栓部材11から下側に突出し、上下方向から見て連通孔14の少なくとも一部を径方向外側から囲う。本実施形態の例では、第2案内壁部18が、中栓頂壁13から下側に突出し、上下方向から見て、キャップ軸Oを略中心とする円弧状に延びる。第2案内壁部18は、上下方向から見て、連通孔14の少なくとも前方部分および側方部分を径方向外側から囲う。第2案内壁部18は、上下方向から見て、連通孔14の後方部分以外の部分を径方向外側から囲う。
【0034】
第3案内壁部19は、中栓部材11から下側に突出し、径方向において第2案内壁部18と連通孔14との間に配置される。本実施形態の例では、第3案内壁部19が、中栓頂壁13から下側に突出し、上下方向から見て、キャップ軸Oを略中心とする円弧状に延びる。第3案内壁部19は、上下方向から見て、連通孔14の前方部分を径方向外側から囲う。
【0035】
第3案内壁部19は、第2案内壁部18と径方向に隙間をあけて配置される。第3案内壁部19と第2案内壁部18との径方向の隙間は、錠剤Tの外径(短軸方向の外径。最小径)よりも小さい。第3案内壁部19の下端部は、第2案内壁部18の下端部よりも上側に位置する。計量キャップ10の縦断面視において、第2案内壁部18の下端部と第3案内壁部19の下端部とを通る仮想直線(不図示)は、開口部15cおよび連通孔14と交差する。
【0036】
キャップ本体20は、中栓部材11の上側に配置される。キャップ本体20は、中栓部材11をその上側および径方向外側から覆う。キャップ本体20は、周壁部22と、頂壁部21と、第1案内壁部23と、移動抑制壁部24と、位置決めリブ25と、を有する。
【0037】
周壁部22は、筒状であり、中栓周壁12に対して径方向外側に装着される。周壁部22は、その下側部分が中栓周壁12の外部に嵌合する。周壁部22のうち下側部分の内径は、上側部分の内径よりも大きい。すなわち、周壁部22の内周面のうち、下側部分の径方向位置は、上側部分の径方向位置よりも、径方向外側である。
【0038】
周壁部22は、係止溝22aと、周壁段部22bと、を有する。
係止溝22aは、周壁部22の内周面における下端部に配置され、周方向に沿って延びる。係止溝22aは、周壁部22の下側部分において内周面から径方向外側に窪んで形成される。係止溝22aには、中栓周壁12の係止突起12aが係止される。これにより、中栓周壁12に対して周壁部22が少なくとも上側に移動することが規制される。
【0039】
周壁段部22bは、周壁部22の内周面における下側部分と上側部分との境界部に配置される。周壁段部22bは、下側を向き周方向に延びる環状の面により構成される。周壁段部22bは、中栓頂壁13の外周部に対して上側から接触する。これにより、中栓頂壁13に対して周壁部22が下側に移動することが規制される。
つまりキャップ本体20は、中栓部材11に対して上下方向に移動することが規制されている。
【0040】
頂壁部21は、板状であり、その一対の板面が上下方向を向く。頂壁部21は、周壁部22の上端部に接続する。頂壁部21のうち前方部分の上下方向の厚さは、前方部分以外の部分の上下方向の厚さよりも大きい。具体的には、頂壁部21の下面のうち、前方部分の上下方向の位置は、前方部分以外の部分の上下方向の位置よりも、下側である。
【0041】
頂壁部21は、取り出し口21aと、段部21bと、を有する。
取り出し口21aは、頂壁部21を上下方向に貫通する貫通孔により構成される。本実施形態の例では、取り出し口21aが円孔状である。取り出し口21aは、頂壁部21の径方向外端部(外周部)に配置される。取り出し口21aの内部を通して、錠剤Tが計量キャップ10の外部に取り出される。
段部21bは、頂壁部21の下面における前方部分と、前方部分以外の部分との境界部に配置される。段部21bは、後方を向く面により構成される。段部21bは、上下方向から見て第2傾斜面16と重なって配置され、または第2傾斜面16よりも前方に配置される。
【0042】
第1案内壁部23は、頂壁部21から下側に突出し、上下方向から見て連通孔14と重なって配置される。第1案内壁部23は、頂壁部21のうち前方部分以外の部分に配置されて、該部分から下側に延びる。第1案内壁部23の下端部は、テーパ筒部13aの上端開口部のうち後端部と、上下方向に対向する。
【0043】
第1案内壁部23は、第1傾斜面23aを有する。第1傾斜面23aは、上下方向から見て連通孔14と重なって配置される。本実施形態の例では、第1傾斜面23aの全体が、上下方向から見て連通孔14と重なる。第1傾斜面23aは、径方向に沿って第1計量室31から第2計量室32に向かうにしたがい上側に向けて延びる。具体的に、第1傾斜面23aは、第1案内壁部23の下端部から前方に向かうにしたがい上側に向けて傾斜して延びる。本実施形態の例では、側方から見て(
図1を参照)、第1傾斜面23aが凹曲面状である。第1傾斜面23aの下端部(後端部)は、連通孔14の後端部と上下方向に対向する。
【0044】
移動抑制壁部24は、頂壁部21から下側に突出し、径方向において第1計量室31と第2計量室32との間に配置される。移動抑制壁部24は、頂壁部21のうち前方部分に配置されて、該前方部分から下側に延びる。本実施形態の例では、移動抑制壁部24の後方を向く面と、段部21bの後方を向く面とが、上下方向から見て互いに重なる。すなわち、移動抑制壁部24の後方を向く面と、段部21bの後方を向く面とが、互いに面一に配置される。移動抑制壁部24の下端部は、中栓頂壁13の上面との間に、上下方向に間隔をあけて配置される。
【0045】
位置決めリブ25は、周壁部22の上側部分に配置され、該上側部分の内周面から径方向内側に突出し、上下方向に延びる。位置決めリブ25の上端部は、頂壁部21の下面と接続する。位置決めリブ25は、周壁部22の上側部分における後端部に、一対設けられる。一対の位置決めリブ25同士は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。一対の位置決めリブ25同士の間には、位置決め突起13bが挿入される。位置決めリブ25は、位置決め突起13bと周方向に隙間をあけて対向し、または接触する。
一対の位置決めリブ25同士の間に位置決め突起13bが配置されることにより、キャップ本体20と中栓部材11との周方向の相対移動が規制される。キャップ本体20と中栓部材11とが、互いに周方向に位置決めされた状態で組み立てられる。
【0046】
第1計量室31は、上下方向において頂壁部21と中栓部材11との間に配置され、連通孔14と連通する。第1計量室31は、上下方向において、頂壁部21の前方部分以外の部分と、中栓頂壁13のテーパ筒部13aとの間に配置される。第1計量室31は、上下方向から見て連通孔14と重なって配置される。具体的に、第1計量室31のうち前端部は、上下方向から見て第2傾斜面16と重なって配置される。第1計量室31のうち前端部以外の部分が、上下方向から見て連通孔14と重なって配置される。第1計量室31のうち前端部以外の部分には、第1案内壁部23の第1傾斜面23aが配置される。
【0047】
第1計量室31は、上下方向において頂壁部21とテーパ筒部13aとの間に画成される空間である。第1計量室31は、前後方向において段部21bおよび移動抑制壁部24と、第1傾斜面23aとの間に画成される空間である。第1計量室31の前後方向の長さは、上下方向の長さよりも大きい。第1計量室31の上下方向の長さは、錠剤Tの外径(最大径)よりも僅かに大きい(
図3を参照)。第1計量室31は、容器2を
図3に示す倒立姿勢としたときに、所定量(例えば1錠)の錠剤Tを保持可能である。
【0048】
第2計量室32は、上下方向において頂壁部21と中栓部材11との間に配置され、取り出し口21aと連通する。第2計量室32は、上下方向において、頂壁部21の前方部分と、中栓頂壁13のうちテーパ筒部13aよりも前方に位置する部分との間に配置される。第2計量室32は、上下方向から見て取り出し口21aと重なって配置される。第2計量室32は、第1計量室31と径方向に並ぶ。第2計量室32は、第1計量室31の前方に隣り合って配置される。
【0049】
第2計量室32は、上下方向において頂壁部21と中栓頂壁13との間に画成される空間である。第2計量室32は、前後方向において周壁部22の前端部と、移動抑制壁部24との間に画成される空間である。第2計量室32の前後方向の長さおよび上下方向の長さは、錠剤Tの外径(最大径)よりも大きい(
図4を参照)。第2計量室32は、容器2を
図4に示す正立姿勢としたときに、所定量の錠剤Tを保持可能である。
【0050】
第2計量室32の上端は、頂壁部21の下面のうち前方部分により構成される。第1計量室31の上端は、頂壁部21の下面のうち、前方部分以外の部分(前方部分よりも後方に位置する部分)により構成される。このため、第2計量室32の上端は、第1計量室31の上端よりも下側に位置する。
第2計量室32の下端は、中栓頂壁13の上面のうち、テーパ筒部13aよりも前方に位置する部分により構成される。第1計量室31の下端は、テーパ筒部13aの上端開口部により構成される。このため、第2計量室32の下端は、第1計量室31の下端よりも下側に位置する。
つまり、第2計量室32は、第1計量室31に対して下側に配置される。
【0051】
連通部33は、第1計量室31と第2計量室32とを連通する。連通部33は、第1計量室31の下側に配置される部分を有する。連通部33は、上下方向において移動抑制壁部24と中栓頂壁13との間に位置する空間部分を含む。連通部33は、移動抑制壁部24と周方向に隣り合う空間部分を含む。連通部33は、第2計量室32の下側部分と周方向に隣り合う空間部分を含む。連通部33のうち、第1計量室31よりも下側に配置される部分には、上下方向において移動抑制壁部24と中栓頂壁13との間に位置する空間部分、および、第2計量室32の下側部分と周方向に隣り合う空間部分が含まれる。連通部33は、径方向において第1計量室31から第2計量室32に向かうにしたがい下側に向けて延びる通路である。錠剤Tは、連通部33を通って、第1計量室31から第2計量室32へと移動可能である。
【0052】
蓋部40は、頂壁部21の上側に配置され、取り出し口21aを開放可能に閉塞する。蓋部40は、頂壁部21をその上側および径方向外側から覆う。蓋部40は、蓋部周壁41と、蓋部頂壁42と、を有する。
【0053】
蓋部周壁41は、筒状であり、頂壁部21に対して径方向外側に着脱可能に装着される。蓋部周壁41は、その下端部が頂壁部21の外縁部に嵌合する。蓋部周壁41は、操作突片41aを有する。操作突片41aは、蓋部周壁41の前端部に配置されて、蓋部周壁41の外周面から前方に向けて突出する。
【0054】
蓋部頂壁42は、板状であり、その一対の板面が上下方向を向く。蓋部頂壁42は、栓部42aを有する。栓部42aは、筒状であり、蓋部頂壁42から下側に向けて突出する。栓部42aは、蓋部頂壁42の下面の前方部分に配置される。栓部42aは、取り出し口21a内に嵌合する。
【0055】
ヒンジ部50は、キャップ本体20と蓋部40とを連結する。ヒンジ部50は、周壁部22の後端部の上端と、蓋部周壁41の後端部の下端とを、連結する。
キャップ本体20、蓋部40およびヒンジ部50は、単一の部材により一体に形成されている。
【0056】
以上説明した本実施形態の計量キャップ10では、
図3に示すように容器2を倒立姿勢にすると、連通孔14を通して容器2内から第1計量室31へと少なくとも所定量(本実施形態では少なくとも1錠)の錠剤Tが移動する。そして、
図4に示すように、容器2を倒立姿勢から正立姿勢に戻すと、第1計量室31の所定量(本実施形態では1錠)の錠剤Tが、第1計量室31から連通部33を通って、第2計量室32に移動する。このとき、所定量以外の余分な錠剤Tについては、第1計量室31から連通孔14を通って容器2内に戻される。
図3に示すように容器2を再び倒立姿勢にすると、第2計量室32の所定量の錠剤Tが、第2計量室32から取り出し口21aを通って計量キャップ10の外部に取り出される。このとき、容器2内から連通孔14を通って、別の少なくとも所定量の錠剤Tが、第1計量室31へと移動する。したがって、次に容器2を正立姿勢から倒立姿勢とすることにより、2回目以降については1アクションで所定量の錠剤Tを取り出すことができる。
【0057】
本実施形態によれば、錠剤Tが、第1計量室31、連通部33および第2計量室32を通って、取り出し口21aから取り出される。また、連通孔14の下側に整流部15が配置されるので、錠剤Tを連通孔14に少量ずつ順番に流入させることができる。したがって、所定量の錠剤Tを安定して取り出すことができる。
【0058】
また、容器2を正立姿勢から倒立姿勢にするという簡単な操作により、所定量の錠剤Tを取り出すことができる。従来の計量キャップのようなスライド部材や付勢バネを必要とする構成ではないため、本実施形態によれば、部品点数を削減して構造を簡素化でき、製造コストを低減できる。
【0059】
また本実施形態では、整流部15の一対の支持部15aおよび連結部15bが配置されていない連通孔14の側方から、開口部15cを通って錠剤Tが連通孔14に流入する。このため、簡単な構成の整流部15により、錠剤Tを連通孔14に少量ずつ順番に流入させる機能(作用)が安定して得られる。
【0060】
また本実施形態では、容器2を倒立姿勢にしたときに、容器2内から第1計量室31に移動した錠剤Tが、第1傾斜面23aにより案内されて、第2計量室32に向けて移動する(第2計量室32に近づく)。したがって、第1計量室31の錠剤Tが、連通部33および第2計量室32へと安定して案内されやすくなる。
【0061】
また本実施形態では、第2傾斜面16が、上下方向から見て第1計量室31と重なって配置される。このため、容器2を倒立姿勢から正立姿勢にしたときに、第1計量室31の錠剤Tが、第2傾斜面16により案内されて、連通部33および第2計量室32に向けて移動しやすい。したがって、第1計量室31の錠剤Tが、連通部33および第2計量室32へと安定して案内される。
【0062】
また本実施形態では、中栓部材11が、第2案内壁部18および第3案内壁部19を有する。このため、容器2を倒立姿勢にしたときに、容器2内の錠剤Tが、第2案内壁部18の下端部および第3案内壁部19の下端部に案内されて、連通孔14に向けて移動しやすい。したがって、容器2内の錠剤Tが、連通孔14および第1計量室31へと安定して案内される。
【0063】
また本実施形態では、容器2を倒立姿勢にして第2計量室32の錠剤Tを取り出すときに、移動抑制壁部24によって、第1計量室31の錠剤Tが第2計量室32に移動することが抑制される。第1計量室31の錠剤Tが、第2計量室32の錠剤Tとともに誤って取り出し口21aから排出されることが抑えられる。したがって、所定量の錠剤Tを安定して取り出すことができる。
【0064】
また本実施形態では、キャップ本体20、蓋部40およびヒンジ部50が、単一の部材により一体に形成されている。このため、蓋部40によって取り出し口21aを開閉可能としつつ、計量キャップ10の部品点数の増加を抑えて構造を簡素化できる。
【0065】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0066】
前述の実施形態では、中栓部材11が容器2の口部3に装着され、キャップ本体20が中栓部材11に装着される例を挙げたが、これに限らない。キャップ本体20が、口部3に直接装着されてもよい。この場合、中栓部材11は、口部3と固定されてもよいし、キャップ本体20と固定されてもよい。
【0067】
前述の実施形態では、整流部15の一対の支持部15aが、連通孔14を中央に挟んで前方および後方に配置される例を挙げたが、これに限らない。一対の支持部15aは、上下方向から見て、連通孔14を挟んで前後方向以外の方向(側方等)の両側に配置されてもよい。
また整流部15は、一対の支持部15aおよび連結部15bを有する構成に限らない。整流部15は、錠剤Tを連通孔14に少量ずつ順番に流入させることが可能な構成を有していればよい。
【0068】
図5は、前述の実施形態で説明した計量キャップ10の変形例を示している。なお、
図5においては、整流部15の図示を省略している。この変形例では、中栓部材11が、囲い壁部11aと、第4案内壁部11bと、を有する。
【0069】
囲い壁部11aは、筒状であり、中栓頂壁13から上側に向けて延びる。囲い壁部11aの中心軸は、キャップ軸Oよりも前方に位置する。囲い壁部11aは、テーパ筒部13aの上端開口部(連通孔14)、第2傾斜面16、第2計量室32の下側部分、および、連通部33のうち第1計量室31の下側に配置される部分を、径方向外側から囲う。なお連通部33のうち第1計量室31の下側に配置される部分とは、上下方向において移動抑制壁部24と中栓頂壁13との間に位置する空間部分、および、第2計量室32の下側部分と周方向に隣り合う空間部分を含む。
【0070】
第4案内壁部11bは、中栓頂壁13から上側に向けて突出するリブ状である。第4案内壁部11bは、囲い壁部11aの内周面と接続し、この内周面から第2計量室32に向けて延びる。図示の例では、第4案内壁部11bが複数設けられる。第4案内壁部11bは、その上面に第3傾斜面11cを有する。第3傾斜面11cは、周方向に沿って第2計量室32および取り出し口21a(の中心)に近づくにしたがい、下側に向けて傾斜して延びる。つまり中栓部材11は、中栓部材11の上面に配置され、周方向に沿って取り出し口21aに近づくにしたがい下側に向けて延びる第3傾斜面11cを有する。
【0071】
この変形例によれば、錠剤Tが囲い壁部11aおよび第3傾斜面11cにより案内されて、取り出し口21aの直下に配置されやすくなる。このため、容器2を倒立姿勢にしたときに、第2計量室32の錠剤Tが、取り出し口21aから安定してキャップ外部に取り出される。
なお
図5に示すように、計量キャップ10は、蓋部40およびヒンジ部50を備えていなくてもよい。計量キャップ10は、シール筒部17および段部21bを有していなくてもよい。
【0072】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
2…容器、3…口部、10…計量キャップ、11…中栓部材、14…連通孔、15…整流部、15a…支持部、15b…連結部、16…第2傾斜面、18…第2案内壁部、19…第3案内壁部、20…キャップ本体、21…頂壁部、21a…取り出し口、23…第1案内壁部、23a…第1傾斜面、24…移動抑制壁部、31…第1計量室、32…第2計量室、33…連通部、40…蓋部、50…ヒンジ部、O…キャップ軸、T…錠剤